特許第6394798号(P6394798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6394798-ブロック共重合体 図000020
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394798
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】ブロック共重合体
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   C08F293/00
【請求項の数】16
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-517260(P2017-517260)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公表番号】特表2017-530235(P2017-530235A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】KR2015010323
(87)【国際公開番号】WO2016053001
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年6月5日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0131964
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2015-0079480
(32)【優先日】2015年6月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ノ・ジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・クン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・クォン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ソ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】セ・ジン・ク
(72)【発明者】
【氏名】ミ・ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ヨン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ジュ・リュ
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−531618(JP,A)
【文献】 特開2009−057519(JP,A)
【文献】 特開2013−068882(JP,A)
【文献】 特表2013−514449(JP,A)
【文献】 特開2014−070154(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/084126(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/084127(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/084129(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 293/00
C08F 20/00 − 20/70
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表示される単位を有する第1ブロック及び下記の化学式2で表示される第2ブロックを含む、ブロック共重合体:
【化1】
化学式1でRは水素またはアルキル基であり、Xは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR−、−S(=O)−、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X−または−X−C(=O)−であり、前記でXは単一結合酸素原子、硫黄原子、−NR−、−S(=O)−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは水素またはアルキル基であり、Yは−Q−Pで表示される置換基が少なくとも一つ置換されているアリール基であり、前記でQは−K−C(=O)−X−、−X−C(=O)−K−またはシクロアルキレン基であり、前記でXは酸素原子、硫黄原子、−S(=O)−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Kはアルケニレン基であり、Pは、3個以上の鎖形成原子を有する鎖である。
【化2】
化学式2でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X−または−X−C(=O)−であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Wは3個以上のハロゲン原子で置換された炭素数6〜12のアリール基である。
【請求項2】
化学式1のXが−C(=O)−O−または−O−C(=O)−である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
化学式1のYは−Q−Pで表示される置換基が少なくとも一つ置換されている炭素数6〜12のアリール基である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項4】
化学式1のYは−Q−Pで表示される置換基が少なくとも一つ置換されているフェニル基であり、前記−Q−Pで表示される置換基は、前記化学式1のX位置を基準として前記フェニル基のパラ位置に置換されている、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項5】
置換基−Q−PのQは−K−C(=O)−O−または−O−C(=O)−K−であり、前記でKは炭素数2〜20のアルキレン基である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項6】
置換基−Q−PのQは炭素数3〜12のシクロアルキレン基である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項7】
置換基−Q−PのPは炭素数3〜30のアルキル基である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項8】
化学式2でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子または−S(=O)−であり、Wは3個以上のハロゲン原子で置換された炭素数6〜12のアリール基である、請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項9】
第2ブロックは下記の化学式3で表示される、請求項に記載のブロック共重合体:
【化3】
化学式3でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X−または−X−C(=O)−であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、R〜Rはそれぞれ独立的に水素、アルキル基、ハロアルキル基またはハロゲン原子であり、R〜Rが含むハロゲン原子の数は個以上である。
【請求項10】
化学式3のXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子または−S(=O)−である、請求項9に記載のブロック共重合体。
【請求項11】
〜Rが含むハロゲン原子の数は個以上である、請求項に記載のブロック共重合体。
【請求項12】
〜Rが含むハロゲン原子の数は5個以上である、請求項に記載のブロック共重合体。
【請求項13】
ハロゲン原子はフッ素原子である、請求項に記載のブロック共重合体。
【請求項14】
自己組織化された請求項1に記載のブロック共重合体を含む、高分子膜。
【請求項15】
自己組織化された請求項1に記載のブロック共重合体を含む高分子膜を基板上に形成することを含む、高分子膜の形成方法。
【請求項16】
基板および前記基板上に形成されており、自己組織化された請求項1に記載のブロック共重合体を含む高分子膜を有する積層体で前記ブロック共重合体の第1ブロックまたはそれとは異なるブロックを選択的に除去する過程を含む、パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2014年9月30日付提出された大韓民国特許出願第2014−0131964号および2015年6月4日付提出された大韓民国特許出願第2015−0079480号に基づいた優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、ブロック共重合体およびその用途に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ブロック共重合体は互いに異なる化学的構造を有する高分子ブロックが共有結合を通じて連結されている分子構造を有している。ブロック共重合体は相分離によってスフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)またはラメラ(lamella)などのような周期的に配列された構造を形成することができる。ブロック共重合体の自己組織化現象によって形成された構造のドメインの大きさは広範囲に調節され得、多様な形態の構造の製作が可能で高密度磁気保存媒体、ナノ線製作、量子ドットまたは金属ドットなどのような多様な次世代ナノ素子や磁気記録媒体またはリソグラフィーなどによるパターン形成などに応用され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,391,626号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、ブロック共重合体およびその用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において用語アルキル基は、特に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基を意味し得る。前記アルキル基は直鎖型、分枝型または環状アルキル基であり得、任意的に一つ以上の置換基によって置換され得る。
本明細書において用語アルコキシ基は、特に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルコキシ基を意味し得る。前記アルコキシ基は直鎖型、分枝型または環状アルコキシ基であり得、任意的に一つ以上の置換基によって置換され得る。
【0007】
本明細書において用語アルケニル基またはアルキニル基は、特に規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニル基またはアルキニル基を意味し得る。前記アルケニル基またはアルキニル基は直鎖型、分枝型または環状であり得、任意的に一つ以上の置換基によって置換され得る。
【0008】
本明細書において用語アルキレン基は、特に規定しない限り、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基を意味し得る。前記アルキレン基は直鎖型、分枝型または環状アルキレン基であり得、任意的に一つ以上の置換基によって置換され得る。
【0009】
本明細書において用語アルケニレン基またはアルキニレン基は、特に規定しない限り、炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニレン基またはアルキニレン基を意味し得る。前記アルケニレン基またはアルキニレン基は直鎖型、分枝型または環状であり得、任意的に一つ以上の置換基によって置換され得る。
【0010】
本明細書において用語アリール基またはアリーレン基は、特に規定しない限り、一つのベンゼン環構造、2個以上のベンゼン環が一つまたは2個の炭素原子を共有して連結されているか、または任意のリンカーによって連結されている構造を含む化合物またはその誘導体から由来する1価または2価残基を意味し得る。前記アリール基またはアリーレン基は、特に規定しない限り、例えば、炭素数6〜30、炭素数6〜25、炭素数6〜21、炭素数6〜18または炭素数6〜13のアリール基であり得る。
【0011】
本出願において、用語芳香族構造は前記アリール基またはアリーレンギを意味し得る。
【0012】
本明細書において用語脂環族環構造は、特に規定しない限り、芳香環構造でない環状炭化水素構造を意味する。前記脂環族環構造は、特に規定しない限り、例えば、炭素数3〜30、炭素数3〜25、炭素数3〜21、炭素数3〜18または炭素数3〜13の脂環族環構造であり得る。
【0013】
本出願において、用語単一結合は該当部位に別途の原子が存在しない場合を意味し得る。例えば、A−B−Cで表示された構造でBが単一結合である場合にBで表示される部位に別途の原子が存在せず、AとCが直接連結されてA−Cで表示される構造を形成することを意味し得る。
【0014】
本出願において、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アルコキシ基、アリール基、アリーレン基、鎖または芳香族構造などに任意に置換され得る置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイル基オキシ、メタクリロイル基オキシ基、チオール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アルコキシ基またはアリール基などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0015】
本出願のブロック共重合体は下記の化学式1で表示される単位を含むブロックを含むことができる。
【0016】
【化1】
化学式1でRは水素またはアルキル基であり、Xは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、カルボニル基、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でXは単一結合酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは水素またはアルキル基であり、Yは−Q−Pで表示される置換基が少なくとも一つ置換されているアリール基であり、前記でQは−K−C(=O)−X2−、−X2−C(=O)−K−またはシクロアルキレン基であり、前記でXは酸素原子、硫黄原子、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Kはアルケニレン基であり、Pは、3個以上の鎖形成原子を有する鎖である。
【0017】
化学式1でXは他の例示において単一結合、酸素原子、カルボニル基、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であるか、−C(=O)−O−であり得る。
【0018】
化学式1でYは−Q−Pで表示される置換基が少なくとも一つ置換されているアリール基であって、例えば、炭素数6〜18または炭素数6〜12のアリール基であるか、あるいはフェニル基であり得る。前記アリーレン基には前記−Q−Pで表示される置換基が一つ以上置換され得、例えば、1個〜3個または1個〜2個置換され得る。前記置換基1価いか前記アリール基に置換されており、前記アリール基がフェニル基である場合、その置換基は例えば、前記化学式1でXを基準として前記フェニル基のパラ位置に置換され得る。前記アリール基には前記置換基他にも必要であれば前述した他の置換基が置換され得る。また、前記置換基ではQで表示される部分がアリール基に連結されて置換され得る。
【0019】
前記置換基でQは他の例示において−K−C(=O)−O−、−O−C(=O)−K−またはシクロアルキレン基であり、前記でKは炭素数2〜20、炭素数2〜16、炭素数2〜12、炭素数2〜8または炭素数2〜4のアルケニレン基であり得る。また、前記でシクロアルキレン基は、炭素数3〜12のシクロアルキレンであり得る。
【0020】
前記置換基でPは、少なくとも3個の鎖形成原子で形成される鎖構造である。本出願において、用語鎖形成原子は、所定鎖の直鎖構造を形成する原子を意味する。前記鎖は直鎖型であるか、分枝型であり得るが、鎖形成原子の数は最も長い直鎖を形成している原子の数だけで計算され、前記鎖形成原子に結合されている他の原子(例えば、鎖形成原子が炭素原子である場合にその炭素原子に結合している水素原子など)は計算されない。また、分枝型鎖である場合に前記鎖形成原子の数は最も長い鎖を形成している鎖形成原子の数で計算され得る。例えば、前記鎖がn−ペンチル基である場合に鎖形成原子はすべて炭素であってその数は5であり、前記鎖が2−メチルペンチル基である場合にも鎖形成原子はすべて炭素であってその数は5である。前記鎖形成原子としては、炭素、酸素、硫黄または窒素などが例示され得、適切な鎖形成原子は炭素、酸素または窒素であるか、炭素または酸素であり得る。前記鎖形成原子の数は4以上または5以上であり得る。前記鎖形成原子の数は、また、30以下、25以下、20以下、16以下、12以下または8以下であり得る。
【0021】
化学式1の単位を含むブロックは前記化学式1のブロックのみを含むか、適切な量で他の単位を含むことができる。このようなブロックは、ブロック共重合体が優秀な自己組織化特性を表わすようにすることができる。
【0022】
一つの例示において前記鎖は、直鎖アルキル基のような直鎖炭化水素鎖であり得る。このような場合にアルキル基は、炭素数3以上または炭素数3〜30、炭素数3〜25、炭素数3〜20、炭素数3〜16、炭素数3〜12または炭素数3〜8のアルキル基であり得る。前記アルキル基の少なくとも一つの水素原子は任意的に他の置換基によって置換され得る。
【0023】
ブロック共重合体に前記化学式1の単位を含むブロック(以下、第1ブロックと呼称され得る。)と共に含まれ得る他のブロック(以下、第2ブロックと呼称され得る。)の種類は特に制限されない。
【0024】
例えば、第2ブロックは、ポリビニルピロリドンブロック、ポリ乳酸(polylactic acid)ブロック、ポリビニルピリジンブロック、ポリスチレンまたはポリトリメチルシリルスチレン(poly trimethylsilylstyrene)などのようなポリスチレン(polystyrene)ブロック、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)のようなポリアルキレンオキシドブロック、ポリブタジエン(poly butadiene)ブロック、ポリイソプレン(poly isoprene)ブロックまたはポリエチレン(poly ethylene)などのポリオレフィンブロックが例示され得る。このようなブロックは本明細書で第2Aブロックと呼称され得る。
【0025】
一つの例示において前記第2ブロックとしては一つ以上のハロゲン原子を含む芳香族構造を有するブロックであり得る。
【0026】
このような第2ブロックは、例えば、下記の化学式2で表示されるブロックであり得る。このようなブロックは、本明細書で第2Bブロックと呼称され得る。
【0027】
【化2】
化学式2でBは一つ以上のハロゲン原子を含む芳香族構造を有する1価置換基であり得る。
【0028】
このような第2ブロックは、第1ブロックと優秀な相互作用を示してブロック共重合体が優秀な自己組織化特性などを表わすようにすることができる。
【0029】
化学式2で芳香族構造は、例えば、炭素数6〜18または炭素数6〜12の芳香族構造であり得る。
【0030】
また、化学式2に含まれるハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子などが例示され得、適切にフッ素原子を用いることができるが、これに制限されるものではない。
【0031】
一つの例示において化学式2のBは1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子で置換された炭素数6〜12の芳香族構造を有する1価置換基であり得る。前記でハロゲン原子の個数の上限は特に制限されず、例えば、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下のハロゲン原子が存在することができる。
【0032】
例えば、第2Bブロックである化学式2は下記の化学式3で表示され得る。
【0033】
【化3】
化学式3でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、Wは少なくとも1個のハロゲン原子を含むアリール基である。前記でWは少なくとも1個のハロゲン原子で置換されたアリール基、例えば、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロレン原子で置換された炭素数6〜12のアリール基であり得る。
【0034】
第2Bブロックは、例えば、下記の化学式4で表示され得る。
【0035】
【化4】
化学式4でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、R〜Rはそれぞれ独立的に水素、アルキル基、ハロアルキル基またはハロゲン原子であり、R〜Rが含むハロゲン原子の数は1個以上である。
【0036】
化学式4でXは、他の例示において単一結合、酸素原子、アルキレン基、−C(=O)−O−または−O−C(=O)−であり得る。
【0037】
化学式4でR〜Rはそれぞれ独立的に水素、アルキル基、ハロアルキル基またはハロゲン原子であるものの、R〜Rは1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子、例えば、フッ素原子を含むことができる。R〜Rに含まれるハロゲン原子、例えば、フッ素原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下であり得る。
【0038】
一つの例示において前記第2ブロックは、下記の化学式5で表示されるブロックであり得る。このようなブロックは、本明細書で第2Cブロックと呼称され得る。
【0039】
【化5】
化学式5でTおよびKはそれぞれ独立的に酸素原子または単一結合で、Uはアルキレン基である。
【0040】
一つの例示において前記第2Cブロックは、前記化学式5でUは炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基であるブロックであり得る。
【0041】
前記第2Cブロックは、前記化学式5のTおよびKのうちいずれか一つが単一結合であり、他の一つが酸素原子であるブロックであり得る。このようなブロックで前記Uは炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基であるブロックであり得る。
【0042】
前記第2Cブロックは、前記化学式5のTおよびKがすべて酸素原子であるブロックであり得る。このようなブロックで前記Uは炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基であるブロックであり得る。
【0043】
第2ブロックはさらに他の例示において金属原子または半金属原子を一つ以上含むブロックであり得る。このようなブロックは本明細書で第2Dブロックと呼称され得る。このようなブロックは、例えば、ブロック共重合体を用いて形成した自己組織化された膜に対してエッチング工程が進行される場合に、エッチング選択性を改善することができる。
【0044】
第2Dブロックに含まれる金属または半金属原子としては、ケイ素原子、鉄原子またはホウ素原子などが挙げられるが、ブロック共重合体に含まれる他の原子との差によって適切なエッチング選択性を見せることができるものであれば特に制限されない。
【0045】
第2Dブロックは、前記金属または半金属原子とともに1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子、例えば、フッ素原子を含むことができる。第2Dブロックに含まれるフッ素原子のようなハロゲン原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下であり得る。
【0046】
第2Dブロックは、下記の化学式6で表示され得る。
【0047】
【化6】
化学式6でBは金属原子または半金属原子を含む置換基およびハロゲン原子を含む芳香族構造を有する1価置換基であり得る。
【0048】
化学式6の前記芳香族構造は、炭素数6〜12の芳香族構造、例えば、アリール基であるか、アリーレン基であり得る。
【0049】
化学式6の第2 2Dブロックは、例えば、下記の化学式7で表示され得る。
【0050】
【化7】
化学式7でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でRは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR2−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、Wは金属原子または半金属原子を含む置換基および少なくとも1個のハロゲン原子を含むアリール基である。
【0051】
前記でWは、金属原子または半金属原子を含む置換基および少なくとも1個のハロゲン原子を含む炭素数6〜12のアリール基であり得る。
【0052】
このようなアリール基で前記金属原子または半金属原子を含む置換基は少なくとも1個または1個〜3個含まれ、前記ハロゲン原子は1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上含まれ得る。
【0053】
前記でハロゲン原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下で含まれ得る。
【0054】
化学式7の第2Dブロックは、例えば、下記の化学式8で表示され得る。
【0055】
【化8】
化学式8でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でRは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR2−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、R〜Rはそれぞれ独立的に水素、アルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン原子および金属または半金属原子を含む置換基であり、R〜Rのうち少なくとも一つはハロゲン原子であり、R〜Rのうち少なくとも一つは金属または半金属原子を含む置換基であり得る。
【0056】
化学式8でR〜Rのうち少なくとも1個、1個〜3個または1個〜2個は前述した金属原子または半金属原子を含む置換基であり得る。
【0057】
化学式8でR〜Rにはハロゲン原子が1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上含まれ得る。R〜Rに含まれるハロゲン原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下であり得る。
【0058】
前記の内容で金属または半金属原子を含む置換基としては、トリアルキルシロキシ基、フェロセニル(ferrocenyl)基、ポリヘドラルオリゴメリックシルセスキオキサン(polyhedral oligomeric silsesquioxane)基などのようなシルセスキオキサニル基またはカルボラニル(carboranyl)基などが挙げられるが、このような置換基は、少なくとも一つの金属または半金属原子を含み、エッチング選択性が確保されるように選択されるのであれば特に制限されない。
【0059】
第2ブロックはさらに他の例示において電気陰性度が3以上である原子であってハロゲン原子ではない原子(以下、非ハロゲン原子と呼称され得る。)を含むブロックであり得る。前記のようなブロックは本明細書で第2Eブロックと呼称され得る。第2Eブロックに含まれる前記非ハロゲン原子の電気陰性度は他の例示においては3.7以下であり得る。
【0060】
第2Eブロックに含まれる前記非ハロゲン原子としては、窒素原子または酸素原子などが挙げられるが、これに制限されない。
【0061】
第2Eブロックは、前記電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子とともに1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上のハロゲン原子、例えば、フッ素原子を含むことができる。第2Eブロックに含まれるフッ素原子のようなハロゲン原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下であり得る。
【0062】
第2Eブロックは、下記の化学式9で表示され得る。
【0063】
【化9】
化学式9でBは電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基およびハロゲン原子を含む芳香族構造を有する1価置換基であり得る。
【0064】
化学式9の前記芳香族構造は、炭素数6〜12の芳香族構造、例えば、アリール基であるか、アリーレン基であり得る。
【0065】
化学式9のブロックは、他の例示において下記の化学式10で表示され得る。
【0066】
【化10】
化学式10でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でRは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR2−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、Wは電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基および少なくとも1個のハロゲン原子を含むアリール基である。
【0067】
前記でWは、電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基および少なくとも1個のハロゲン原子を含む炭素数6〜12のアリール基であり得る。
【0068】
このようなアリール基で前記電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基は少なくとも1個または1個〜3個含まれ得る。また、前記ハロゲン原子は1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上含まれ得る。前記でハロゲン原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下で含まれ得る。
【0069】
化学式10のブロックは、他の例示において下記の化学式11で表示され得る。
【0070】
【化11】
化学式11でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でRは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR2−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、R〜Rはそれぞれ独立的に水素、アルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン原子および電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基であり、R〜Rのうち少なくとも一つはハロゲン原子であり、R〜Rのうち少なくとも一つは電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基であり得る。
【0071】
化学式11でR〜Rのうち少なくとも1個、1個〜3個または1個〜2個は前述した電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基であり得る。
【0072】
化学式11でR〜Rにはハロゲン原子が1個以上、2個以上、3個以上、4個以上または5個以上含まれ得る。R〜Rに含まれるハロゲン原子は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下または6個以下であり得る。
【0073】
前述した内容で電気陰性度が3以上である非ハロゲン原子を含む置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アミド基、エチレンオキシド基、ニトリル基、ピリジン基またはアミノ基などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0074】
他の例示において第2ブロックは、ヘテロ環置換基を有する芳香族構造を含むことができる。このような第2ブロックは本明細書で第2Fブロックと呼称され得る。
第2Fブロックは下記の化学式12で表示され得る。
【0075】
【化12】
化学式12でBはヘテロ環置換基で置換された炭素数6〜12の芳香族構造を有する1価置換基であり得る。
【0076】
化学式12の芳香族構造は、必要な場合に一つ以上がハロゲン原子を含むことができる。
【0077】
化学式12の単位は下記の化学式13で表示され得る。
【0078】
【化13】
化学式13でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でRは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR2−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、Wはヘテロ環置換基を有する炭素数6〜12のアリール基である。
【0079】
化学式13の単位は下記の化学式14で表示され得る。
【0080】
【化14】
化学式14でXは、単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR1−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−C(=O)−X1−または−X1−C(=O)−であり、前記でRは水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、前記でXは単一結合、酸素原子、硫黄原子、−NR2−、−S(=O)2−、アルキレン基、アルケニレン基またはアルキニレン基であり、前記でRは、水素、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基またはアリール基であり、R〜Rはそれぞれ独立的に水素、アルキル基、ハロアルキル基、ハロゲン原子およびヘテロ環置換基であり、R〜Rのうち少なくとも一つはヘテロ環置換基であり得る。
【0081】
化学式14でR〜Rのうち少なくとも一つ、例えば、1個〜3個または1個〜2個は、前記ヘテロ環置換基であり、残りは水素原子、アルキル基またはハロゲン原子であるか、水素原子またはハロゲン原子やまたは水素原子であり得る。
【0082】
前述したヘテロ環置換基としては、フタルイミド由来置換基、チオフェン由来置換基、チアゾール由来置換基、カルバゾール由来置換基またはイミダゾール由来置換基などが例示されるが、これに制限されるものではない。
【0083】
本出願のブロック共重合体は前述した第1ブロックと共に前述した第2ブロックのうち一つ以上を含むことができる。このようなブロック共重合体は2個のブロックまたは3個のブロックを含むか、それ以上のブロックを含むことができる。例えば、前記ブロック共重合体は、前記第1ブロックのうちいずれか一つと前記第2ブロックのうちいずれか一つを含むジブロック共重合体であり得る。
【0084】
前記ブロック共重合体は、基本的に優秀な相分離ないしは自己組織化特性を表わすことができる。また、各ブロックの選択および組合と下記の記述されたパラメーターの中の一つ以上を満足するようにすることによって前記相分離ないしは自己組織化特性がより改善されるようにすることができる。
【0085】
ブロック共重合体は共有結合に連結された2個またはそれ以上の高分子鎖を含むので相分離が起きることになる。本出願のブロック共重合体は優秀な相分離特性を示し、必要に応じて微細相分離(microphase seperation)によるナノスケールの構造を形成することができる。ナノ構造の形態および大きさはブロック共重合体の大きさ(分子量など)や、ブロック間の相対的比率などによって調節され得る。相分離によって形成される構造では、球型、シリンダー、ジャイロイド(gyroid)、ラメラおよび反転構造などが例示され得、このような構造を形成するブロック共重合体の能力を自己組織化性と呼称され得る。本出願のブロック共重合体は後述するパラメーターのうちいずれか一つだけを充足することもでき、2個以上のパラメーターを同時に充足することもできる。本出願において、用語垂直配向は、ブロック共重合体の配向性を表わすもので、ブロック共重合体によって形成されるナノ構造体の配向が基板の方向と垂直な配向を意味し得る。ブロック共重合体の自己組織化された構造を多様な基板の上に水平あるいは垂直に調節する技術はブロック共重合体の実際的応用において非常に大きな比重を占める。通常、ブロック共重合体の膜でナノ構造体の配向はブロック共重合体を形成しているブロックののうちいずれのブロックが表面あるいは空気中に露出するかによって決定される。一般に多数の基板が極性であり、空気は非極性であるため、ブロック共重合体のブロックの中でより大きい極性を有するブロックが基板にウェッティング(wetting)し、さらに小さい極性を有するブロックが空気との界面でウェッティング(wetting)することになる。したがって、ブロック共重合体の互いに異なる特性を有するブロックが同時に基板側にウェッティングするようにするために多様な技術が提案されており、最も代表的な技術は中性表面製作を適用した配向の調節である。ところが、本出願の一つの側面では、下記のパラメーターを適切に調節することになれば、ブロック共重合体が中性表面処理などを含んだ垂直配向を達成するためのものと知られた公知の処理が遂行されていない基板に対しても垂直配向が可能である。また、本出願の追加的な側面では、前記のような垂直配向を熱的熟成(thermal annealing)によって広い領域に短時間内に誘導することもできる。
【0086】
本出願の一つの側面のブロック共重合体は、疏水性表面上で視斜角入射小角散乱(GISAXS、Grazing Incidence Small Angle X ray Scattering)のインプレーン(in plane)回折パターンを表わす膜を形成することができる。前記ブロック共重合体は、親水性表面上で視斜角入射小角散乱(GISAXS、Grazing Incidence Small Angle X ray Scattering)でインプレーン回折パターンを表わす膜を形成することができる。
【0087】
本出願において、GISAXSでインプレーン回折パターンを表わすとはGISAXS分析時にGISAXS回折パターンでX座標に垂直なピークを表わすことを意味し得る。このようなピークは、ブロック共重合体の垂直配向性によって確認される。したがって、インプレーン回折パターンを表わすブロック共重合体は垂直配向性を有する。追加的な例示で前記GISAXS回折パターンのX座標で確認されるピークは、少なくとも2個以上であり得、複数のピークが存在する場合にそのピークの散乱ベクター(q値)は正数比を有しながら確認され得、このような場合にブロック共重合体の相分離効率はより向上することができる。
【0088】
本出願において、用語垂直は、誤差を勘案した表現であり、例えば、±10度、±8度、±6度、±4度または±2度以内の誤差を含む意味であり得る。
【0089】
親水性と疏水性の表面上ですべてインプレーン回折パターンを表わす膜を形成できるブロック共重合体は垂直配向を誘導するために別途の処理を遂行していない多様な表面上で垂直配向特性を表わすことができる。本出願において、用語疏水性表面は、純水(purified water)に対する濡れ角が5度〜20度の範囲内にある表面を意味する。疏水性表面の例としては、酸素プラズマ、硫酸またはピラナ溶液で処理されたシリコンの表面が挙げられるが、これに制限されるものではない。本出願において、用語親水性表面は、純水(purified water)に対する常温濡れ角が50度〜70度の範囲内にある表面を意味する。親水性表面としては、酸素プラズマで処理したPDMS(polydimethylsiolxane)の表面、HMDS(hexamethyldisilazane)処理したシリコンの表面またはフッ酸(Hydrogen fluoride、HF)処理したシリコンの表面などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0090】
特に規定しない限り、本出願において、濡れ角などのように温度によって変化され得る物性は常温で測定した数値である。用語常温は、加温されるか、減温されていない自然のままの温度であり、約10℃〜30℃、約25℃または約23℃の温度を意味し得る。
【0091】
親水性または疏水性表面上に形成されて視斜角入射小角散乱(GISAXS)上でインプレーン回折パターンを表わす膜は熱的熟成(thermal annealing)を経た膜であり得る。視斜角入射小角散乱(GISAXS)を測定するための膜は、例えば、前記ブロック共重合体を約0.7重量%の濃度に溶媒(例えば、フルオロベンゼン(flourobenzene)に希釈して製造したコート液を約25nmの厚さおよび2.25cmのコート面積(横:1.5cm、縦:1.5cm)で該当親水性または疏水性表面にコートし、このようなコート膜を熱的熟成させて形成することができる。熱的熟成は、例えば、前記膜を約160℃の温度で約1時間の間維持して遂行できる。視斜角入射小角散乱(GISAXS)は前記のように形成された膜に約0.12〜0.23度の範囲内の入射角でX線を入射させて測定することができる。公知の測定機器(例えば、2D marCCD)で膜から散乱して出る回折パターンを得ることができる。前記回折パターンを通じてインプレーン回折パターンの存在の有無を確認する方式は公知である。
【0092】
視斜角入射小角散乱(GISAXS)で前述したピークを表わすブロック共重合体は優秀な自己組織化特性を表わすことができ、そのような特性が目的により効果的に調節され得る。
【0093】
本出願のブロック共重合体は、XRD分析(X線回折分析、X−ray Diffraction analysis)時に所定範囲の散乱ベクター(q)内で少なくとも一つのピークを表わすことができる。
【0094】
例えば、前記ブロック共重合体は、X線回折分析で0.5nm−1〜10nm−1の散乱ベクター(q)範囲内で少なくとも一つのピークを表わすことができる。前記ピークが現れる散乱ベクター(q)は他の例示において0.7nm−1以上、0.9nm−1以上、1.1nm−1以上、1.3nm−1以上または1.5nm−1以上であり得る。前記ピークが現れる散乱ベクター(q)は他の例示において9nm−1以下、8nm−1以下、7nm−1以下、6nm−1以下、5nm−1以下、4nm−1以下、3.5nm−1以下または3nm−1以下であり得る。
【0095】
前記散乱ベクター(q)の範囲内で確認されるピークの半高さ幅(Full width at half maximum、FWHM)は、0.2〜0.9nm−1の範囲内であり得る。前記半高さ幅は他の例示において0.25nm−1以上、0.3nm−1以上または0.4nm−1以上であり得る。前記半高さ幅は他の例示において0.85nm−1以下、0.8nm−1以下または0.75nm−1以下であり得る。
【0096】
本出願において、用語半高さ幅は、最大ピークの強度の1/2の強度を表わす位置でのピークの幅(散乱ベクター(q)の差)を意味し得る。
【0097】
XRD分析での前記散乱ベクター(q)および半高さ幅は、後述するXRD分析によって得られた結果を最小自乗法を適用した数値分析学的な方式で求めた数値である。前記方式ではXRD回折パターンで最も最小の強度(intensity)を見せる部分をベースライン(baseline)にして前記での強度(intensity)を0になるようにした状態で前記XRDパターンピークのプロファイルをガウシアンフィッティング(Gaussian fitting)した後、フィッティングされた結果から前記散乱ベクターと半高さ幅を求めることができる。前記ガウシアンフィッティング時にR自乗(R square)は少なくとも0.9以上、0.92以上、0.94以上または0.96以上である。XRD分析から前記のような情報を得ることができる方式は公知であり、例えば、オリジン(origin)などの数値解析プログラムを適用することができる。
【0098】
前記散乱ベクター(q)の範囲内で前記半高さ幅のピークを表わすブロック共重合体は、自己組織化に適合した結晶性部位を含むことができる。前述した散乱ベクター(q)の範囲内で確認されるブロック共重合体は優秀な自己組織化特性を表わすことができる。
【0099】
XRD分析はブロック共重合体試料にX線を透過させた後に散乱ベクターによる散乱強度を測定して遂行できる。XRD分析はブロック共重合体に対して特別な前処理なしに遂行することができ、例えば、ブロック共重合体を適切な条件で乾燥した後にX線に透過させて遂行できる。X線としては垂直大きさが0.023mmであり、水平大きさが0.3mmであるX線を適用することができる。測定機器(例えば、2D marCCD)を使って試料から散乱して出る2D回折パターンをイメージで取得し、取得された回折パターンを前述した方式でフィッティング(fitting)して散乱ベクターおよび半高さ幅などを求めることができる。
【0100】
後述するようにブロック共重合体の少なくとも一つのブロックが前記鎖を含む場合に、前記鎖の鎖形成原子の数(n)は、前記X線回折分析によって求められる散乱ベクター(q)と下記の数式1を満足することができる。
【0101】
[数式1]
3nm−1〜5nm−1=nq/(2×π)
数式1でnは前記鎖形成原子の数であり、qは、前記ブロック共重合体に対するX線回折分析でピークが観察される最も小さい散乱ベクター(q)であるか、あるいは最も大きいピーク面積のピークが観察される散乱ベクター(q)である。また、数式1でπは、円周率を意味する。
【0102】
前記で数式1に導入される散乱ベクターなどは前述したX線回折分析方式で言及したような方式により求めた数値である。
【0103】
数式1で導入される散乱ベクター(q)は、例えば、0.5nm−1〜10nm−1の範囲内の散乱ベクター(q)であり得る。前記数式1に導入される散乱ベクター(q)は他の例示において0.7nm−1以上、0.9nm−1以上、1.1nm−1以上、1.3nm−1以上または1.5nm−1以上であり得る。前記数式1に導入される散乱ベクター(q)は他の例示において9nm−1以下、8nm−1以下、7nm−1以下、6nm−1以下、5nm−1以下、4nm−1以下、3.5nm−1以下または3nm−1以下であり得る。
【0104】
数式1は、ブロック共重合体が自己組織化されて相分離構造を形成した場合に前記鎖が含まれているブロック間の間隙(D)と前記鎖の鎖形成原子の数の関係を表わし、前記鎖を有するブロック共重合体で前記鎖の鎖形成原子の数が前記数式1を満足する場合に前記鎖が表わす結晶性が増大され、それによりブロック共重合体の相分離特性ないしは垂直配向性を大きく向上できる。前記数式1によるnq/(2×π)は、他の例示において4.5nm−1以下の場合もある。前記で前記鎖が含まれているブロック間の間隙(D、単位:nm)は、数式D=2×π/qで計算され得、前記でDは前記ブロック間の間隙(D、単位:nm)であり、πおよびqは数式1と定義された通りである。
【0105】
本出願の一つの側面では、ブロック共重合体の第1ブロックの表面エネルギーと前記第2ブロックの表面エネルギーの差の絶対値が10mN/m以下、9mN/m以下、8mN/m以下、7.5mN/m以下または7mN/m以下であり得る。前記表面エネルギーの差の絶対値は1.5mN/m、2mN/mまたは2.5mN/m以上であり得る。このような範囲の表面エネルギーの差の絶対値を有する第1ブロックと第2ブロックが共有結合によって連結された構造は、適切な非相溶性による相分離によって効果的な微細相分離(microphase seperation)を誘導することができる。前記で第1ブロックは、例えば、前述した前記鎖を有するブロックであり得る。
【0106】
表面エネルギーは水滴型分析器(Drop Shape Analyzer、KRUSS社のDSA100製品)を用いて測定することができる。具体的に表面エネルギーは測定しようとする対象試料(ブロック共重合体または単独重合体)をフルオロベンゼン(flourobenzene)に約2重量%の固形分濃度に希釈させたコート液を基板に約50nmの厚さと4cmのコート面積(横:2cm、縦:2cm)で常温で約1時間程度乾燥させた後、160℃で約1時間の間熱的熟成(thermal annealing)させた膜に対して測定することができる。熱的熟成を経た前記膜に表面張力(surface tension)が公知されている脱イオン化水を落としてその接触角を求める過程を5回繰り返し、得られた5個の接触角数値の平均値を求め、同様に表面張力が公知されているジヨードメタン(diiodomethane)を落としてその接触角を求める過程を5回繰り返し、得られた5個の接触角数値の平均値を求める。その後、求められた脱イオン化水とジヨードメタンに対する接触角の平均値を利用してOwens−Wendt−Rabel−Kaelble方法によって溶媒の表面張力に関する数値(Strom値)を代入して表面エネルギーを求めることができる。ブロック共重合体の各ブロックに対する表面エネルギーの数値は、前記ブロックを形成する単量体でのみ製造された単独重合体(homopolymer)に対して前述した方法で求めることができる。
【0107】
ブロック共重合体が前述した前記鎖を含む場合に前記鎖が含まれているブロックは他のブロックに比べて高い表面エネルギーを有することができる。例えば、ブロック共重合体の第1ブロックが前記鎖を含むのであれば、第1ブロックは第2ブロックに比べて高い表面エネルギーを有することができる。このような場合に第1ブロックの表面エネルギーは、約20mN/m〜40mN/mの範囲内にあり得る。前記第1ブロックの表面エネルギーは、22mN/m以上、24mN/m以上、26mN/m以上または28mN/m以上であり得る。前記第1ブロックの表面エネルギーは、38mN/m以下、36mN/m以下、34mN/m以下または32mN/m以下であり得る。このような第1ブロックが含まれ、第2ブロックと前記のような表面エネルギーの差を見せるブロック共重合体は、優秀な自己組織化特性を表わすことができる。
【0108】
ブロック共重合体で第1ブロックと第2ブロックの密度の差の絶対値は0.25g/cm以上、0.3g/cm以上、0.35g/cm以上、0.4g/cm以上または0.45g/cm以上であり得る。前記密度の差の絶対値は0.9g/cm以上、0.8g/cm以下、0.7g/cm以下、0.65g/cm以下または0.6g/cm以下であり得る。このような範囲の密度差の絶対値を有する第1ブロックと第2ブロックが共有結合によって連結された構造は、適切な非相溶性による相分離によって効果的な微細相分離(microphase seperation)を誘導することができる。
【0109】
前記ブロック共重合体の各ブロックの密度は公知の浮力法を利用して測定することができ、例えば、エタノールのように空気中での質量と密度を知っている溶媒内でのブロック共重合体の質量を分析して密度を測定することができる。
【0110】
ブロック共重合体が前述した前記鎖を含む場合に前記鎖が含まれているブロックは他のブロックに比べて低い密度を有することができる。例えば、ブロック共重合体の第1ブロックが前記鎖を含むのであれば、第1ブロックは第2ブロックに比べて低い密度を有することができる。このような場合に第1ブロックの密度は、約0.9g/cm〜1.5g/cm程度の範囲内にあり得る。前記第1ブロックの密度は、0.95g/cm以上であり得る。前記第1ブロックの密度は、1.4g/cm以下、1.3g/cm以下、1.2g/cm以下、1.1g/cm以下または1.05g/cm以下であり得る。このような第1ブロックが含まれ、第2ブロックと前記のような密度差を見せるブロック共重合体は、優秀な自己組織化特性を表わすことができる。前記言及された表面エネルギーと密度は、常温で測定した数値であり得る。
【0111】
ブロック共重合体は、体積分率が0.4〜0.8の範囲内にあるブロックと、体積分率が0.2〜0.6の範囲内にあるブロックを含むことができる。ブロック共重合体が前記鎖を含む場合、前記鎖を有するブロックの体積分率が0.4〜0.8の範囲内にあり得る。例えば、前記鎖が第1ブロックに含まれる場合に第1ブロックの体積分率が0.4〜0.8の範囲内であり、第2ブロックの体積分率が0.2〜0.6の範囲内にあり得る。第1ブロックと第2ブロックの体積分率の合計は1であり得る。前記のような体積分率で各ブロックを含むブロック共重合体は優秀な自己組織化特性を表わすことができる。ブロック共重合体の各ブロックの体積分率は各ブロックの密度とGPC(Gel Permeation Chromatogrph)により測定される分子量に基づいて求めることができる。
【0112】
ブロック共重合体の数平均分子量(Mn(Number Average Molecular Weight))は、例えば、3,000〜300,000の範囲内にあり得る。本明細書において用語数平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を使って測定した標準ポリスチレンに対する換算数値であり、本明細書において用語分子量は特に規定しない限り、数平均分子量を意味する。分子量(Mn)は他の例示においては、例えば、3000以上、5000以上、7000以上、9000以上、11000以上、13000以上または15000以上であり得る。分子量(Mn)はさらに他の例示において250000以下、200000以下、180000以下、160000以下、140000以下、120000以下、100000以下、90000以下、80000以下、70000以下、60000以下、50000以下,40000以下、30000以下または25000以下程度であり得る。ブロック共重合体は、1.01〜1.60の範囲内の分散度(polydispersity、Mw/Mn)を有することができる。分散度は他の例示において約1.1以上、約1.2以上、約1.3以上または約1.4以上であり得る。
【0113】
このような範囲でブロック共重合体は適切な自己組織化特性を表わすことができる。ブロック共重合体の数平均分子量などは目的とする自己組織化構造などを勘案して調節され得る。
【0114】
ブロック共重合体が前記第1および第2ブロックを少なくとも含む場合に前記ブロック共重合体内で第1ブロック、例えば、前述した前記鎖を含むブロックの比率は10モル%〜90モル%の範囲内にあり得る。
【0115】
本出願はまた前記ブロック共重合体を含む高分子膜に関するものである。前記高分子膜は多様な用途に用いることができ、例えば、多様な電子または電子素子、前記パターンの形成工程または磁気保存記録媒体、フラッシュメモリーなどの記録媒体またはバイオセンサなどに使われ得る。
【0116】
一つの例示において前記高分子膜で前記ブロック共重合体は、自己組織化を通じてスフィア(sphere)、シリンダー(cylinder)、ジャイロイド(gyroid)またはラメラ(lamellar)などを含む周期的構造を具現していることができる。
【0117】
例えば、ブロック共重合体で第1または第2ブロックまたはそれと共有結合された他のブロックのセグメント内で他のセグメントがラメラ形態またはシリンダー形態などのような規則的な構造を形成していることもあり得る。
【0118】
本出願の前記高分子膜は前述したインプレーン回折パターン、すなわちGISAXS分析時にGISAXS回折パターンでX座標に垂直なピークを表わすことができる。追加的な例示で前記GISAXS回折パターンのX座標で確認されるピークは、少なくとも2個以上であり得、複数のピークが存在する場合にそのピークの散乱ベクター(q値)は正数比を有しながら確認され得る。
【0119】
本出願において、前記のようなブロック共重合体を製造する具体的な方法は、前述した各単位を形成できる単量体を使ってブロック共重合体の少なくとも一つのブロックを形成する段階を含む限り特に制限されない。例えば、ブロック共重合体は前記単量体を使ったLRP(Living Radical Polymerization)方式で製造することができる。例えば、有機希土類金属複合体を重合開始剤に用いるか、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤に用いてアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの無機酸塩の存在下で合成する陰イオン重合、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤に用いて有機アルミニウム化合物の存在下で合成する陰イオン重合方法、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を利用する原子移動ラジカル重合法(ATRP)、重合制御剤として原子移動ラジカル重合剤を利用するものの電子を発生させる有機または無機還元剤下で重合を遂行するARGET(Activators Regenerated by Electron Transfer)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、ICAR(Initiators for continuous activator regeneration)原子移動ラジカル重合法(ATRP)、無機還元剤可逆的付加−開裂連鎖移動剤を利用する可逆的付加−開裂連鎖移動による重合法(RAFT)または有機テルリウム化合物を開始剤として利用する方法などがあり、このような方法のうち適切な方法が選択されて適用され得る。
【0120】
例えば、前記ブロック共重合体は、ラジカル開始剤およびリビングラジカル重合試薬の存在下で、前記ブロックを形成できる単量体を含む反応物をリビングラジカル重合法で重合することを含む方式で製造することができる。
【0121】
ブロック共重合体の製造時に前記単量体を使って形成するブロックと共に前記共重合体に含まれる他のブロックを形成する方式は特に制限されず、目的とするブロックの種類を考慮して適切な単量体を選択して前記他のブロックを形成することができる。
【0122】
ブロック共重合体の製造過程は、例えば前記過程を経て生成された重合生成物を非溶媒内で沈殿させる過程をさらに含むことができる。
【0123】
ラジカル開始剤の種類は特に制限されず、重合効率を考慮して適切に選択することができ、例えば、AIBN(azobisisobutyronitrile)または2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(2,2’−azobis−(2,4−dimethylvaleronitrile))などのアゾ化合物や、BPO(benzoyl peroxide)またはDTBP(di−t−butyl peroxide)などのような過酸化物系列を使うことができる。
【0124】
リビングラジカル重合過程は、例えば、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、アセトン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライム、ジグライム、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドまたはジメチルアセトアミドなどのような溶媒内で遂行され得る。
【0125】
非溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノールまたはイソプロパノールなどのようなアルコール、エチレングリコールなどのグリコール、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタンまたはペトロリウムエーテルなどのようなエーテル系列が使われ得るが、これに制限されるものではない。
【0126】
本出願はまた前記ブロック共重合体を使って高分子膜を形成する方法に関するものである。前記方法は前記ブロック共重合体を含む高分子膜を自己組織化された状態で基板上に形成することを含むことができる。例えば、前記方法は前記ブロック共重合体またはそれを適正な溶媒に希釈したコート液の層を塗布などによって基板上に形成し、必要であれば、前記層を熟成するか熱処理する過程を含むことができる。
【0127】
前記熟成または熱処理は、例えば、ブロック共重合体の相転移温度またはガラス転移温度を基準として遂行され得、例えば、前記ガラス転移温度または相転移温度以上の温度で遂行され得る。このような熱処理が遂行される時間は特に制限されず、例えば、約1分〜72時間の範囲内で遂行され得るが、これは必要に応じて変更され得る。また、熱処理温度は、例えば、100℃〜250℃程度であり得るが、これは使われるブロック共重合体を考慮して変更され得る。
【0128】
前記形成された層は、他の例示においては常温の非極性溶媒および/または極性溶媒内で、約1分〜72時間の間溶媒熟成されることもある。
【0129】
本出願はまたパターン形成方法に関するものである。前記方法は、例えば、基板および前記基板の表面に形成されており、自己組織化された前記ブロック共重合体を含む高分子膜を有する積層体で前記ブロック共重合体の第1または第2ブロックを選択的に除去する過程を含むことができる。前記方法は前記基板にパターンを形成する方法であり得る。例えば前記方法は、前記ブロック共重合体を含む高分子膜を基板に形成し、前記膜内に存在するブロック共重合体のいずれか一つまたはそれ以上のブロックを選択的に除去した後に基板を食刻することを含むことができる。このような方式で、例えば、ナノスケールの微細パターンの形成が可能である。また、高分子膜内のブロック共重合体の形態にしたがって前記方式を通じてナノロッドまたはナノホールなどのような多様な形態のパターンを形成することができる。必要であれば、パターン形成のために前記ブロック共重合体と他の共重合体あるいは単独重合体などを混合することができる。このような方式に適用される前記基板の種類は特に制限されず、必要に応じて選択され得、例えば、酸化ケイ素などが適用され得る。
【0130】
例えば、前記方式は高いアスペクト比を表わす酸化ケイ素のナノスケールのパターンを形成することができる。例えば、酸化ケイ素上に前記高分子膜を形成し、前記高分子膜内のブロック共重合体が所定構造を形成している状態でブロック共重合体のいずれか一つのブロックを選択的に除去した後、酸化ケイ素を多様な方式、例えば、反応性イオン食刻等でエッチングしてナノロッドまたはナノホールのパターンなどを含む多様な形態を具現することができる。また、このような方法を通じてアスペクト比が大きなナノパターンの具現が可能であり得る。
【0131】
例えば、前記パターンは、数十ナノメートルのスケールで具現され得、このようなパターンは、例えば、次世代情報電子用磁気記録媒体などを含む多様な用途に活用され得る。
【0132】
例えば、前記方式によれば、約3nm〜40nmの幅を有するナノ構造物、例えば、ナノ線が約6nm〜80nmの間隔をおいて配置されているパターンを形成することができる。他の例示においては約3nm〜40nmの幅、例えば直径を有するナノホールが約6nm〜80nmの間隔を形成すれば配置されている構造の具現も可能である。
【0133】
また、前記構造でナノ線やナノホールが大きいアスペクト比(aspect ratio)を有するようにすることができる。
【0134】
前記方法でブロック共重合体のいずれか一つのブロックを選択的に除去する方式は特に制限されず、例えば、高分子膜に適正な電磁気波、例えば、紫外線などを照射して相対的にソフトなブロックを除去する方式を使うことができる。この場合、紫外線照射条件はブロック共重合体のブロックの種類によって決定され、例えば、約254nm波長の紫外線を1分〜60分の間照射して遂行できる。
【0135】
紫外線の照射に引き続き高分子膜を酸などで処理して紫外線によって分解されたセグメントをさらに除去する段階を遂行することもできる。
【0136】
また、選択的にブロックが除去された高分子膜をマスクにして基板をエッチングする段階は特に制限されず、例えば、CF4/Arイオンなどを使った反応性イオン食刻段階を通じて遂行することができ、この過程に引き続き酸素プラズマ処理などによって高分子膜を基板から除去する段階をさらに遂行できる。
【発明の効果】
【0137】
本出願は、ブロック共重合体およびその用途が提供され得る。本出願のブロック共重合体は、優秀な自己組織化特性ないしは相分離特性を有し、要求される多様な機能も自由に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
図1】それぞれ実施例2のブロック共重合体を用いて形成した膜のAFMメージである。
図2】それぞれ実施例2のブロック共重合体を用いて形成した膜のSEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0139】
以下、本出願に係る実施例および比較例を通じて本出願をより詳細に説明するか、本出願の範囲は下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0140】
1.NMR測定
NMR分析は三重共鳴5mm探針(probe)を有するVarian Unity Inova(500MHz)分光計を含むNMR分光計を使って常温で遂行した。NMR測定用溶媒( CDCl)に分析対象物質を約10mg/ml程度の濃度に希釈させて使用し、化学的移動はppmで表現した。
【0141】
<適用略語>
br=広い信号、s=単一線、d=二重線、dd=二重二重線、t=三重線、dt=二重三重線、q=四重線、p=五重線、m=多重線。
【0142】
2.GPC(Gel Permeation Chromatograph)
数平均分子量(Mn)および分子量分布はGPC(Gel permeation chromatography)を使って測定した。5mLバイアル(vial)に実施例または比較例のブロック共重合体またはマクロ開始剤などの分析対象物を入れ、約1mg/mL程度の濃度になるようにTHF(tetrahydro furan)に希釈する。その後、Calibration用標準試料と分析しようとする試料をsyringe filter(pore size:0.45μm)を通じて濾過させた後測定した。分析プログラムはAgilent technologies社のChemStationを使用し、試料のelution timeをcalibration curveと比較して重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をそれぞれ求め、その比率(Mw/Mn)で分子量分布(PDI)を計算した。GPCの測定条件は下記の通りである。
【0143】
<GPC測定条件>
機器:Agilent technologies社の1200 series
カラム:Polymer laboratories社のPLgel mixed B 2個使用
溶媒:THF
カラム温度:35℃
サンプル濃度:1mg/mL、200L注入
標準試料:ポリスチレン(Mp:3900000、723000、316500、52200、31400、7200、3940、485)
【0144】
実施例1.
単量体(A)の合成
下記の化学式AでRはメチル基であり、Xは−C(=O)−X1−であり、前記でXは酸素原子であり、Yは−Q−Pで表示される置換基がパラ位置に置換されているフェニレン基であり、前記でQは−K−C(=O)−X2−であり、Kはエチレン基であり、X2は酸素原子であり、Pは直鎖ヘキシル基である単量体(A)は次の方式で合成した。para−クマリック酸(p−Coumaric acid)(10g)、1−ヘキサンオール(6.2g)およびpara−トルエンスルホン酸(10.5g)を100mLの1、4−ジオキサンが入っているフラスコに入れて105℃で還流させながら反応させた。反応完了後ジクロロメタンを混合し、シリカカラムを通じてpara−トルエンスルホン酸を除去した。その後、酢酸エチルおよびヘキサンを利用してシリカカラムで精製し、残存する1−ヘキサンオールを減圧蒸留で除去して液状のpara−クマリック酸ヘキシル(8.3g、収得率55%)を得た。
【0145】
<NMR分析結果>
H−NMR(CDCl):δ7.61(d、1H);δ7.41(d、2H);δ6.83(d、2H);δ6.28(d、1H);5.47(s、1H);δ4.17(t、2H);δ1.68(tt、2H);δ1.38(tt、2H);δ1.31(m、4H);δ0.88(t、3H)。
【0146】
前記para−クマリック酸ヘキシル(8.3g)、メタアクリル酸(3.2g)およびジクロロメタン(300mL)をフラスコに入れた後、N、N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、7.6g)およびN、N−ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.6g)を添加して反応させた。反応後ジクロロメタンを除去して酢酸エチルとヘキサンを利用したシリカカラムで精製して下記の化学式Aの液状の単量体(A)(9.6g、収得率91%)を得た。
【0147】
<NMR分析結果>
H−NMR(CDCl):δ7.67(d、1H);δ7.55(d、2H);δ7.16(d、2H);δ6.41(d、1H);δ6.36(s、1H);δ5.78(s、1H);δ4.20(t、2H);δ2.06(s、3H);δ1.70(tt、2H);δ1.40(tt、2H);δ1.33(m、4H);δ0.91(t、3H)。
【0148】
【化15】
【0149】
重合体(A)の合成
フラスコに前記単量体(A)、RAFT試薬(CPDB、2−cyanoprop−2−yl−benzodithioate)および熱開始剤(AIBN、azobisisobutyronitrile)を20:1:0.5(単量体(A):RAFT試薬:熱開始剤)の当量比率で入れてアニソール(anisole)で希釈して約30重量%の固形分濃度の溶液を製造した。引き続き製造された溶液を窒素雰囲気の約70℃で2時間程度反応させた後、メタノールに沈殿させて重合体(A)を得た。前記重合体(A)の数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)はそれぞれ8,100と1.35であった。
【0150】
実施例2.
【0151】
単量体(B)の合成
実施例1の化学式AでRはメチル基であり、Xは−C(=O)−X1−で、X1は酸素原子であり、Yは−Q−Pで表示される置換基がパラ位置に置換されているフェニレンであり、Qはシクロヘキシレン基であり、Pは前記シクロヘキシレン基のパラ位置に置換されている直鎖ペンチル基である単量体(B)は、次の方法で合成した。4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)フェノール(15.0g)およびメタクリル酸(5.8g)をフラスコに入れて400mLのジクロロメタンに溶かした。製造された溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(13.8g)およびN、N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(3.0g)を添加して反応させた。反応後でジクロロメタンを除去して酢酸エチルおよびヘキサンを利用したシリカカラムで精製して溶媒を除去して白色固体の単量体(B)(16.7g、収得率87%)を得た。
【0152】
<NMR分析結果>
H−NMR(CDCl):δ7.21(d、2H);δ7.02(d、2H);δ6.33(s、1H);δ5.73(s、1H);δ2.47(t、1H);δ2.06(s、3H);δ1.88(t、4H);1.43(q、2H);δ1.33−1.21(m、8H);δ1.04(q、2H);δ0.90(t、3H)
【0153】
重合体(B)の合成
フラスコに前記単量体(B)、RAFT試薬(CPDB、2−cyanoprop−2−yl−benzodithioate)および熱開始剤(AIBN、azobisisobutyronitrile)を15:1:0.1(単量体(B):RAFT試薬:熱開始剤)の当量比率で入れてアニソール(anisole)で希釈して約22重量%の固形分濃度の溶液を製造した。その後混合液を窒素雰囲気の70℃で約3時間の間反応させてマクロ開始剤を収得した。前記マクロ開始剤の数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)はそれぞれ7,400と1.35であり、DSC分析時に約50℃で溶融点を示した。
【0154】
前記マクロ開始剤、PFS(pentafluorostyrene)および熱開始剤(AIBN、azobisisobutyronitrile)を1:500:0.5の重量比率(マクロ開始剤:PFS:AIBN)で入れ、アニソール(anisole)で希釈して約70重量%の固形分濃度の溶液を製造した。その後混合液を窒素雰囲気の70℃で約1時間50分の間反応させてブロック共重合体(B)を収得した。前記ブロック共重合体(B)の数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)はそれぞれ13,400と1.27であった。
【0155】
試験例1.
実施例2で合成されたブロック共重合体(B)を使って自己組織化された高分子膜を形成し、その結果を確認した。具体的に共重合体を溶媒に約1.0重量%の濃度に溶解させて製造されたコート液をシリコンウェハ上に3000rpmの速度で60秒の間スピンコートし、約220℃での熱的熟成(thermal annealing)を通じて自己組織化されたブロック共重合体を含む膜を形成した。図1は前記のように形成された高分子膜のAFMイメージであり、図2はSEMイメージである。


図1
図2