特許第6394830号(P6394830)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6394830液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6394830
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】液晶組成物及びそれを使用した液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/54 20060101AFI20180913BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20180913BHJP
   C09K 19/24 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   C09K19/54 C
   G02F1/13 500
   C09K19/30
   C09K19/32
   C09K19/34
   C09K19/12
   C09K19/14
   C09K19/16
   C09K19/18
   C09K19/20
   C09K19/24
【請求項の数】5
【全頁数】80
(21)【出願番号】特願2018-505761(P2018-505761)
(86)(22)【出願日】2017年6月13日
(86)【国際出願番号】JP2017021753
(87)【国際公開番号】WO2018003482
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】特願2016-128475(P2016-128475)
(32)【優先日】2016年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100159293
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 真
(72)【発明者】
【氏名】小林 篤生
(72)【発明者】
【氏名】山口 英彦
(72)【発明者】
【氏名】原 智章
【審査官】 仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−112131(JP,A)
【文献】 特開平08−311453(JP,A)
【文献】 特開平08−176549(JP,A)
【文献】 特開2006−124544(JP,A)
【文献】 特開2009−007517(JP,A)
【文献】 特開2004−256791(JP,A)
【文献】 特開2002−256267(JP,A)
【文献】 特開2003−253265(JP,A)
【文献】 特開平07−053962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/54
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
400nmより短波長の光により励起された液晶化合物の蛍光強度の総量が、10000RFU(relative light unit)以下であり、吸収ピークが400nm以下の化合物としてベンゾトリアゾール系化合物から選ばれる化合物を1種又は2種以上と、液晶組成物中のラジカルを捕捉する化合物としてヒンダードアミン系の化合物を1種又は2種以上と、
液晶化合物として一般式(II)
【化1】
(式中、RII1は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
II1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
II1は単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
II1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、また、アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
II1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数存在するAII1及びZII1は同一であっても異なっていても良い。)
で表される化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
【請求項2】
吸収ピークが400nm以下の化合物が、分子量400以下の化合物である請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
吸収ピークが400nm以下の化合物の含有量の総量が液晶組成物において0.001質量%以上5質量%以下である請求項1又は2に記載の液晶組成物。
【請求項4】
吸収ピークが400nm以下の化合物の含有量の総量と液晶組成物中のラジカルを捕捉する化合物の含有量の総量との比が1:1〜1:10000の範囲内である請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物を使用した表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用な液晶組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッサー、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ、時計、広告表示板等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、TFT(薄膜トランジスタ:thin film transistor)を用いた垂直配向を特徴としたVA(vertucally aligned)型や水平配向を特徴としたIPS(in-plane switching)型/FFS(fringe field switching)型等がある。
【0003】
これらの表示方式において、IPS型、ECB型(Electrically Controlled Birefringence)、VA型、あるいはCSH(color super homeotropic)型等は、誘電率異方性(Δε)が負の値を示す液晶材料を用いるという特徴を有する。一方、TN型、STN型又はIPS型等の水平配向型ディスプレイではΔεが正の液晶組成物が用いられている。近年、Δεが正の液晶組成物を電圧無印加時に垂直に配向させ、IPS型/FFS型電界を印加する事で表示する駆動方式も報告されている。これら全ての駆動方式において低電圧駆動、高速応答、広い動作温度範囲が求められている。すなわち、Δεの絶対値が大きく、粘度(η)が小さく、高いネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が要求されている。また、屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積であるΔn×dの設定から、液晶組成物のΔnをセルギャップに合わせて適当な範囲に調節する必要がある。加えて液晶表示素子をテレビ等へ応用する場合においては高速応答性が重視されるため、γの小さい液晶組成物が要求される。個々の表示素子にとってΔεやΔn等を最適な値とするために、液晶組成物は数種類から数十種類の化合物から構成されていることが一般的である。
【0004】
これら液晶組成物の物性における要求に加え、液晶表示素子に用いられる液晶組成物は、水分、空気、熱、光などの外的刺激に対して安定であることが求められる。外的刺激に対する安定性が損なわれると、液晶表示素子に焼き付きや表示ムラ等の表示不良が発生してしまう。焼き付きや表示ムラ等の表示不良を抑えるためには、電圧保持率(VHR)が高いことが必須であると一般的に考えられており、そのために、例えば、酸化防止剤又は光安定剤と特定の化合物とを組み合わせた液晶組成物を使用することが知られている(特許文献1及び特許文献2)。この外的刺激に対する安定性はあらゆる用途において重視され、高いVHRを実現できる液晶組成物の更なる開発が求められていた。
【0005】
更に、液晶テレビ等の高速応答が要求される液晶組成物においては、Δn及びTniを低下させることなく、ηを十分に小さく、γを十分に小さく、弾性定数(K33)を大きくすることに加え、高いVHRが求められていた。また、これを用いた焼き付きや表示ムラ等の表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の液晶表示素子が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−84460号
【特許文献2】特開2014−84462号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、熱や光に対して安定で、高い電圧保持率を維持できる液晶組成物を提供し、更にこれを用いることで焼き付きや表示ムラ等の表示不良がない又は抑制された、表示品位に優れた液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らは種々の化合物及び種々の組成物の検討を行った結果、液晶化合物及び液晶組成物の劣化を初期段階で抑えることにより前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、400nmより短波長の光により励起された液晶化合物の蛍光強度の総量が、10000RFU(relative light unit)以下である液晶組成物を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液晶組成物は、熱や光に対して安定で、高い電圧保持率を維持できるため、これを液晶表示素子に用いることにより、焼き付きや表示ムラ等の表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた液晶表示素子を得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者は、種々の液晶化合物及び種々の液晶組成物を検討し、液晶化合物及び液晶組成物の劣化のメカニズムを検討した。液晶表示素子に用いられる液晶組成物は、液晶表示素子の製造時に、液晶組成物を封止するためのシール剤の硬化等の工程で光及び/又は熱にさらされる。また、製造後の液晶表示素子も、光にさらされたり、高温下の環境におかれたりする。液晶化合物は、光、熱等の外部刺激によって励起状態となる。励起状態の化合物は、更なる外部刺激によって失活し、続いて開裂してラジカルを発生する。発生したラジカル化合物は、付加反応を起こしてイオンを生成したりすることから、これら反応生成物が液晶組成物中に不純物として多量に存在することになる。その結果、液晶組成物の安定性が損なわれ、液晶表示素子の品質低下につながると考えられる。
【0011】
本発明者は、劣化の初期段階、すなわち、励起状態の液晶化合物を低減させる作用により液晶化合物の劣化を抑えることができ、安定性の高い液晶組成物を得られることを見出した。
【0012】
また、本発明者は、液晶化合物が励起状態となることを抑える作用に加え、且つ、液晶組成物中に発生したラジカル化合物を捕捉することでラジカル化合物の量を低減させる作用により、より安定性の高い液晶組成物を得られることを見出した。
【0013】
本発明における液晶組成物は、400nmより短波長の光により励起された液晶化合物の蛍光強度の総量が、10000RFU(relative light unit)以下である。これにより、液晶組成物中の液晶化合物の励起状態が抑えられる。RFUの値は小さいほど好ましく、好ましくは、蛍光強度の総量は、9000RFU以下であり、8000RFU以下であり、7000RFU以下であり、6000RFU以下であり、5000RFU以下であり、4000RFU以下であり、3000RFU以下であり、2500RFU以下であり、2300以下であり、2000以下であり、1500以下であり、1300以下であり、1000以下であり、500以下であり、0であることが最も好ましい。
【0014】
液晶組成物において、400nmより短波長の光により励起された液晶化合物の蛍光強度の総量は、分光光度計を用いて測定することができる。液晶組成物の分光光度計による測定は、液晶組成物を例えば1mm×1mm×1mmの液柱として光を照射することで測定できる。試料となる液柱が小さい場合は、超微量分光光度計ナノドロップ(NANO Drop)を用いて測定できる。照射する光は、400nmより短波長であることが好ましく、390nm以下であることが好ましく、380nm以下であることが好ましく、370nm以下であることが好ましく、365以下であることが好ましい。また、10nmより長波長であることが好ましく、50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることが好ましく、100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることが好ましく、200nm以上であることが好ましく、250nm以上であることが好ましく、300nm以上であることが好ましい。
【0015】
本発明における液晶組成物は、液晶組成物中に照射される光を吸収する化合物及び/又は液晶化合物の蛍光の強度を低下させる化合物(以下、本明細書において、「液晶組成物中に照射される光を吸収する化合物及び/又は液晶化合物の蛍光の強度を低下させる化合物」を、「化合物A」という。)を、一種又は2種以上含有することが好ましい。化合物Aを含有することで、液晶化合物が励起状態になるのを防止する、及び/又は、励起した液晶化合物のエネルギーを吸収して、液晶化合物を基底状態に戻すことができる。よって、化合物Aを含有することにより、励起状態の液晶化合物を低減させることができる。
【0016】
化合物Aは、吸収ピークが400nm以下の化合物であることが好ましく、395nm以下の化合物が好ましく、390以下であることが好ましく、385以下の化合物が好ましく、380nm以下の化合物が好ましい。
【0017】
また、化合物Aは、励起寿命が10−8秒以下の化合物であることが好ましい。
【0018】
化合物Aの分子量は、1000以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、400以下がさらに好ましい。分子量を400以下とすることで、液晶組成物中での分散性が高く、液晶化合物の間に化合物Aが存在しやすくなるためである。また、液晶組成物への溶解性に優れている点においても好ましい。分子量は、1000以下であることが好ましく、800以下であることが好ましく、600以下であることが好ましく、500以下であることが好ましく、400以下であることが好ましい。
【0019】
化合物Aは、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物、チオエーテル系化合物が好ましい。中でもベンゾフェノン系化合物、及びベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、フェノール構造を有する化合物が好ましい。
【0020】
ベンゾトリアゾール系化合物は、以下の一般式(A−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0021】
【化1】
【0022】
(式中、RA1は水素原子、水酸基、カルボキシル基、水酸基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は隣接していない2個以上の−CH−は、それぞれ独立して−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH−、トランス1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基に置換されてもよく、RA1中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又はシアノ基で置換されていてもよく、
A2は水素原子、水酸基、カルボキシル基、水酸基又は炭素原子数1〜20のアルキル基又は以下の一般式(A−1a)
【0023】
【化2】
【0024】
(式中、RA1aは水素原子、水酸基、カルボキシル基、水酸基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は隣接していない2個以上の−CH−は、それぞれ独立して−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH−、トランス1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基に置換されてもよく、RA1中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又はシアノ基で置換されていてもよく、
A1aは0、1、2、3又は4を表し、
A1aは単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−又は−OCO−を表し、
式中の黒点は一般式(A−1)への結合を表す。)
で表される基を表し、RA2中のアルキル基中に存在する1個又は隣接していない2個以上の−CH−は、それぞれ独立して−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH−、トランス1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基に置換されてもよく、RA1中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又はシアノ基で置換されていてもよく、
A1は0、1、2、3又は4を表し、
A2は0、1、2、3、4又は5を表す。)
A1及びRA2は水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数2〜12のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基であることがより好ましい。アルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基は直鎖状であっても又は分枝状であってもよい。
【0025】
A1及びnA1aは0又は1であることが好ましい。
【0026】
A2は0、1、2又は3であることが好ましい。
【0027】
化合物Aの含有量の総量は、液晶組成物において0.001質量%以上5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、これら化合物の含有量の総量の上限は、4質量%以下、であることが好ましく、3質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることが好ましく、1.3質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが好ましい。一方、これら化合物の含有量の総量の下限は、0.003質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることが好ましく、0.008質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることが好ましく、0.08質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることが好ましい。
【0028】
本発明の液晶組成物は、更に、ラジカルを捕捉する化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0029】
ラジカルを捕捉する化合物は、ヒンダードアミン系の化合物(以下、本明細書において、ヒンダードアミン系の化合物を「化合物B1」という。)であることがこのましい。化合物B1は、以下の一般式(i)又は一般式(ii)で表される化合物が好ましい。
【0030】
【化3】
【0031】
(式中、Ri0は水素原子、水酸基、−O・、又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は隣接していない2個以上の−CH−は、それぞれ独立して−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH−、トランス1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基に置換されてもよく、Ri0中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又はシアノ基で置換されていてもよく、
i1、Ri2、Ri3及びRi4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該Ri1とRi2及び/又はRi3とRi4は互いに結合して環を形成してもよく、
i5、Ri6、Ri7及びRi8はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、RII5とRII6及び/又はRII7とRII8がアルキル基を表す場合、該RII5とRII6及び/又はRII7とRII8は互いに結合して環を形成してもよく、
は0又は1を表し、
は1〜6の整数を表し、Mは1〜6価の有機基を表し、Mの価数はmが表す数と同じ数であり、Ri0、Ri1、Ri2、Ri3、Ri4、Ri5、Ri6、Ri7、Ri8及びnが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
【0032】
【化4】
【0033】
(式中、Rii0は水素原子、水酸基、−O・、又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は隣接していない2個以上の−CH−は、それぞれ独立して−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、−Si(CH−、トランス1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基に置換されてもよく、Rii0中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又はシアノ基で置換されていてもよく、
ii1、Rii2、Rii3及びRii4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、該Rii1とRii2及び/又はRii3とRii4は互いに結合して環を形成してもよく、
iiは0又は1を表し、
tは1から4を表し、Uは環構造を形成する2×t価の有機基を表し、Rii0、Rii1、Rii2、Rii3、Rii4、Rii5、Rii6、Rii7、Rii8及びniiが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(i)及び一般式(ii)において、Ri0及びRii0は液晶組成物との相溶性の観点から、水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基又は炭素原子数2〜20のアルケニル基であることが好ましく、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数1〜12のアルコキシ基又は炭素原子数3〜12のアルケニル基であることがより好ましい。アルキル基、アルコキシ基又はアルケニル基は直鎖状又は分子状であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。製造の簡便さから、水素原子又は炭素原子数1〜5の直鎖状のアルキル基であることが特に好ましい。また、光劣化防止能を高めるには水素原子又は水酸基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0034】
i1、Ri2、Ri3、Ri4、Rii1、Rii2、Rii3及びRii4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、原料の入手の容易さ及び化合物の安定性の観点からメチル基であることが特に好ましい。また、製造時に混入する極性不純物の除去を容易にするためにはRi1とRi2及び/又はRi3とRi4は互いに結合して環構造を形成することが好ましい。同様に、Rii1とRii2及び/又はRii3とRii4は互いに結合して環構造を形成することが好ましい。
【0035】
i5、Ri6、Ri7、Ri8、Rii5、Rii6、Rii7及びRii8はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましく、原料の入手の容易さ及び化合物の安定性の観点から水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
【0036】
一般式(i)で表される化合物において、mは1〜6の整数を表し、Mは1〜6価の有機基を表し、Mの価数はnが表す数と同じ数であるが、mは3であり、Mは3価の有機基であることが好ましい。
【0037】
が3を表す場合、Mは一般式(i−M)
【0038】
【化5】
【0039】
(式中の、Z、Z及びZはそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−、−CFO−、−NH−又は単結合を表す。
Sp、Sp及びSpはそれぞれ独立して単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−OCF−又は−CFO−に置換されてもよい。
Aは
【0040】
【化6】
【0041】
(式中の、Rは、水素原子、−OH又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−、−O−CO−に置換されてもよい。また、環状構造中の水素原子はハロゲン原子又はシアノ基で置換されていてもよい。)
から選ばれる基を表す。)
で表される構造であることが、液晶組成物との相溶性および保存安定性を高めるためには好ましい。
【0042】
ここで、製造の容易さ、および原料の入手容易さより、Z、Z及びZの少なくとも1個以上は−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが好ましく、Z、Z及びZの全てが−O−、−CO−O−又は単結合を表すことが特に好ましい。また、Sp、Sp及びSpは、単結合又は炭素原子数1〜10のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表すことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜4のアルキレン基を表すことがより好ましい。該アルキレン基は無置換であるか、又はアルキレン基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−CO−、−CO−O−又は−O−CO−に置換されていることが好ましく、無置換であることがより好ましい。具体的には、Sp、Sp及びSpは、−CO−、−CH−CO−、−CH−CH−CO−、−CH−O−、−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−O−、−CH−O−CO−、−CH−CH−O−CO−、−CH−CH−CH−O−CO−、炭素原子数1〜4の無置換のアルキレン基又は単結合であることが特に好ましい。
【0043】
また、−Sp−Z−、−Sp−Z−及び−Sp−Z−は、それぞれ独立して−CO−O−、−CH−CO−O−、−CH−CH−CO−O−、−CH−CH−−CH−CO−O−、−CH−O−、−CH−CH−O−、−CH−CH−CH−O−、−CH−O−CO−O−、−CH−CH−O−CO−O−又は−CH−CH−CH−O−CO−O−であることが好ましく、−CO−O−、−CH−CO−O−又は−CH−CH−CO−O−であることがより好ましい。
【0044】
Aは
【0045】
【化7】
【0046】
(式中の、Rは、水素原子、−OH又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中に存在する1個又は2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−又は−O−CO−に置換されてもよい。)で表される構造であることが、液晶組成物との相溶性および保存安定性を高めるためにはより好ましい。ここで、製造の容易さ、および原料の入手容易さより、Rは、水素原子、−OH、炭素原子数2〜10のアルキル基、−O−CO−R(Rは炭素原子数1〜9のアルキル基を表す)が好ましく、水素原子を表すことが特に好ましい。
【0047】
具体的には、一般式(i)としてnが3を表す化合物は、一般式(i−a1)〜(i−a14)で表される化合物が特に好ましい。
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
(式中のR11、R12及びR13は、それぞれ独立して一般式(I)中のRi0と同じ意味を表す。)
また、一般式(i)で表される化合としては、以下の一般式(I−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0051】
【化10】
【0052】
一般式(i−1)中、Risはそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表すが、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。RHSが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0053】
iSはmiSが1を表す場合炭素原子数1から15のアルキル基を表し、miSが2から6の整数を表す場合炭素原子数1から15のアルキレン基を表し、MiS中に存在する1個以上の−CH−は−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−、−COO−、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基で置換されてもよいが、液晶組成物へ与える粘性や自身の揮発性を考慮すると、MiSは炭素原子数2から10のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数2から8のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数4から8のアルキル基又はアルキレン基が好ましく、炭素原子数6又は8のアルキル基又はアルキレン基が好ましい。MiSは直鎖状であっても分岐していてもよい。
【0054】
iSは1から6の整数を表すが、2から4であることが好ましい。
【0055】
iSが1を表す場合、一般式(i−1)で表される化合物は、一般式(i−11)又は一般式(i−12)で表される化合物であることが好ましい。
【0056】
【化11】
【0057】
(式中、RH11は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表し、Mは炭素原子数1から13のアルキレン基を表す。)
【0058】
【化12】
【0059】
(式中、Ris及びRi11は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表す。)
iSが2を表す場合、一般式(i−1)で表される化合物は、一般式(i−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0060】
【化13】
【0061】
(式中、RH1及びRH2は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表し、Mは炭素原子数1から15のアルキレン基を表すが、M中に存在する1個以上の−CH−は−O−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−、−OCO−、−COO−、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基で置換されてもよい。)
一般式(i−2)中、RH1及びRH2は、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。
一般式(i−2)中、Mは炭素原子数1から15のアルキレン基を表すが、液晶組成物へ与える粘性や自身の揮発性を考慮すると、Mは炭素原子数2から10のアルキレンが好ましく、炭素原子数4から8のアルキレンが好ましく、炭素原子数6又は8のアルキレンが好ましい。
具体的には、一般式(i−24)、一般式(i−26)及び一般式(i−28)で表される化合物が挙げられる。これらの式中のRH1及びRH2は先述のとおりである。
【0062】
【化14】
【0063】
また、miSが3から6の整数を表す場合、一般式(i−1)で表される化合物は、一般式(i−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0064】
【化15】
【0065】
(式中、RH3、RH4及びRH5は、それぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1から10のアルキル基を表す。nH1及びnH2はそれぞれ独立的に0又は1を表す。nH3は1から4の整数を表す。nH3が2,3又は4であり、RH5が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(i−3)中、RH3、RH4及びRH5は、水素原子であることが特に好ましい。アルキル基である場合は炭素原子数1から8であることが好ましく、炭素原子数1から5であることが好ましく、炭素原子数1から3であることが好ましく、炭素原子数1であることが更に好ましい。
【0066】
一般式(i−3)中、nH3は1を表す場合、上記一般式(i−a1)〜一般式(i−a3)を表すことが好ましい。また、一般式(i−3)中、nH3は2を表す場合、以下の一般式(i−31)及び一般式(i−32)で表される化合物が好ましい。これらの式中のRH3、RH4及びRH5は先述のとおりである。
【0067】
【化16】
【0068】
【化17】
【0069】
また、一般式(i)で表される化合物においてnが0を表す化合物としては、以下の化合物が好ましい。
【0070】
【化18】
【0071】
【化19】
【0072】
一般式(ii)で表される化合物としては、以下の一般式(ii−1)又は一般式(ii−2)で表される化合物が好ましい。
【0073】
【化20】
【0074】
(式中、Rii10は水素原子又は水酸基を表し、Rii12は水素原子または一価の有機基を表し、
Spii1は単結合又は炭素原子数1から12のアルキレン基を表し、アルキレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−により置き換えられていてもよく、
ii1はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基であり、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基で置換されていてもよく、Rii11は水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基又は一般式(i−e)
【0075】
【化21】
【0076】
(式中、Re1は水素原子又は水酸基を表し、Spie1は単結合又は炭素原子数1から12のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−又は−C≡C−により置き換えられていてもよく、s1は0又は1を表す。)
で表される基を表し、Rii11中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−により置き換えられてもよく、
ii1は0又は1を表し、piiは0、1又は2を表すが、piiが2を表す場合、複数存在するSpii1及びAii2はそれぞれ独立して同一であっても異なっていてもよい。)
【0077】
【化22】
【0078】
(式中、Rii10及びRii21は水素原子又は水酸基を表し、nii2、l、o及びrはそれぞれ独立して0又は1を表す。)
また、ラジカルを捕捉する化合物は、ヒンダードフェノール系の化合物(以下、本明細書において、ヒンダードフェノール系の化合物を「化合物B2」という。)であることがこのましい。化合物B2は一般式(H1)で表される化合物が好ましい。
【0079】
【化23】
【0080】
(式中、Xは炭素数1から25の炭化水素(該炭化水素中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、1,4−フェニレン基は任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良く、
は炭素数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、1,4−フェニレン基は任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良く、lは2〜6の整数を表す。)
一般式(H1)で表される酸化防止剤としては、以下の一般式(H1−I)
【0081】
【化24】
【0082】
(式中、Mは炭素数1から25の炭化水素(該炭化水素中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)を表し、Xは炭素数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表し、1,4−フェニレン基は任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良く、a、b、c、dはそれぞれ独立的に0または1を表すが、a+b+c+dは2以上を表す。)で表される化合物がより好ましい。
【0083】
は炭素数2から15の炭化水素(該炭化水素中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)が好ましく、Xは炭素数2から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていても良い。)、単結合、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、a+b+c+dは2から4がより好ましく、2が特に好ましい。
【0084】
一般式(H−I)中のMは炭素数1から15のアルキレン基であることが更に好ましく、揮発性を考慮すると炭素数は大きい数値が好ましく、粘度を考慮すると炭素数は大き過ぎない方が好ましい。以上のことから、Mは炭素数2から15がより好ましく、炭素数2から10が特に好ましい。
【0085】
また、化合物B2は一般式(H2)で表される化合物が好ましい。
【0086】
【化25】
【0087】
(一般式(H2)中、RH21は炭素原子数1から22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CFO−又は−OCF−で置換されてよく、
H2は0、1又は2を表し、
H21
(a) トランス−1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)、及び
(c) 1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又はクロマン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表すが、上記の基(a)、基(b)又は基(c)に含まれる1つ又は2つ以上の水素原子はそれぞれフッ素原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基又は塩素原子で置換されていても良く、aH2が2を表しMH21が複数存在する場合、複数存在するMH21は同一であっても異なっていても良く、
H21は単結合、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−COO−又は−OCO−を表すが、aH2が2を表しZH21が複数存在する場合、複数存在するZH21は同一であっても異なっていても良い。)
一般式(H1)及び一般式(H2)で表される化合物として具体的には、一般式(H−1)から一般式(H−4)で表されることが好ましい。
【0088】
【化26】
【0089】
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、RH1は炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基、炭素原子数2から10のアルケニル基又は炭素原子数2から10のアルケニルオキシ基を表すが、基中に存在する1個の−CH−又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−O−又は−S−に置換されても良く、また、基中に存在する1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよい。更に具体的には、炭素原子数2から7のアルキル基、炭素原子数2から7のアルコキシル基、炭素原子数2から7のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基であることが好ましく、炭素原子数3から7のアルキル基又は炭素原子数2から7のアルケニル基であることが更に好ましい。
一般式(H−4)中、MH4は炭素原子数1から15のアルキレン基(該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の−CH−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置換されていてもよい。)、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−C≡C−、単結合、1,4−フェニレン基(1,4−フェニレン基中の任意の水素原子はフッ素原子により置換されていてもよい。)又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、炭素原子数1から14のアルキレン基であることが好ましく、揮発性を考慮すると炭素原子数は大きい数値が好ましいが、粘度を考慮すると炭素原子数は大き過ぎない方が好ましいことから、炭素原子数2から12が更に好ましく、炭素原子数3から10が更に好ましく、炭素原子数4から10が更に好ましく、炭素原子数5から10が更に好ましく、炭素原子数6から10が更に好ましい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−フェニレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は−N=によって置換されていてもよい。また、1,4−フェニレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
一般式(H−1)から一般式(H−4)中、1,4−シクロヘキシレン基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−は−O−又は−S−によって置換されていてもよい。また、1,4−シクロヘキシレン基中の水素原子はそれぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよい。
更に具体的には、例えば、式(H−11)から式(H−15)が挙げられる。
【0090】
【化27】
【0091】
本発明の液晶組成物において化合物B1及び化合物B2の総量を、組成物中に下限値として、0.001%以上含有することが好ましく、0.002%以上含有することが好ましく、0.003%以上含有することが好ましく、0.004%以上含有することが好ましく、0.005%以上含有することが好ましく、0.006%以上含有することが好ましく、0.007%以上含有することが好ましく、0.008%以上含有することが好ましく、0.009%以上含有することが好ましく、0.01%以上含有することが好ましく、0.02%以上含有することが好ましく、0.03%以上含有することが好ましく、0.04%以上含有することが好ましく、0.05%以上含有することが好ましく、0.06%以上含有することが好ましく、0.07%以上含有することが好ましく、0.08%以上含有することが好ましく、0.09%以上含有することが好ましく、0.10%以上含有することが好ましく、0.11%以上含有することが好ましく、0.12%以上含有することが好ましく、0.13%以上含有することが好ましく、0.14%以上含有することが好ましく、0.15%以上含有することが好ましく、0.20%以上含有することが好ましく、0.25%以上含有することが好ましく、0.30%以上含有することが好ましく、0.35%以上含有することが好ましく、0.40%以上含有することが好ましく、0.50%以上含有することが好ましく、1%以上含有することが好ましい。また、上限値として5%以下含有することが好ましく、3%以下含有することが好ましく、2%以下含有することが好ましく、1.5%以下含有することが好ましく、1%以下含有することが好ましく、0.9%以下含有することが好ましく、0.8%以下含有することが好ましく、0.7%以下含有することが好ましく、0.6%以下含有することが好ましく、0.5%以下含有することが好ましく、0.45%以下含有することが好ましく、0.4%以下含有することが好ましく、0.35%以下含有することが好ましく、0.3%以下含有することが好ましく、0.25%以下含有することが好ましく、0.2%以下含有することが好ましく、0.15%以下含有することが好ましく、0.1%以下含有することが好ましく、0.07%以下含有することが好ましく、0.05%以下含有することが好ましく、0.03%以下含有することが好ましい。
【0092】
より具体的には、0.01から2質量%含有することが好ましく、0.01から1質量%であることが好ましく、0.01から0.2質量%であることが更に好ましく、0.01から0.15質量%であることが特に好ましい。更に詳述すると、低温における析出の抑制を重視する場合にはその含有量は0.01から0.1質量%が好ましい。
【0093】
本発明の液晶組成物において、化合物A1の含有量の総量と、化合物B1及び化合物B2の含有量の総量との比が1:100〜10000:1の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1:10〜1000:1の範囲内であり、1:1〜1:500であり、1:1〜1:100であることが好ましい。
【0094】
本発明の液晶組成物は、一般式(II)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0095】
【化28】
【0096】
(式中、RII1は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
II1及びAII2はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていてもよく、
II1は単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
II1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、また、アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、
II1は1、2、3又は4を表すが、mII1が2、3又は4を表す場合、複数存在するAII1及びZII1は同一であっても異なっていても良い。)
<一般式(II)で表される化合物の第一態様>
一般式(II)で表される化合物は、誘電率異方性が正のいわゆるp型液晶化合物であって、以下の一般式(J)で示される化合物を挙げることができる。
【0097】
一般式(II)で表される化合物として、一般式(J)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
【0098】
【化29】
【0099】
(式中、RJ1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
J1は、0、1、2、3又は4を表し、
J1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子、塩素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基で置換されていても良く、
J1及びZJ2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
J1が2、3又は4であってAJ2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nJ1が2、3又は4であってZJ1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
J1は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(J)中、RJ1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0100】
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0101】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0102】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0103】
【化30】
【0104】
J1、AJ2及びAJ3はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、それらはフッ素原子により置換されていてもよく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0105】
【化31】
【0106】
下記の構造を表すことがより好ましい。
【0107】
【化32】
【0108】
J1及びZJ2はそれぞれ独立して−CHO−、−OCH−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すことが好ましく、−OCH−、−CFO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−OCH−、−CFO−又は単結合が特に好ましい。
【0109】
J1はフッ素原子又はトリフルオロメトキシ基が好ましく、フッ素原子が好ましい。
【0110】
J1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、Tniを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0111】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0112】
本発明の組成物において、一般式(J)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0113】
本発明の組成物の総量に対しての一般式(J)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
【0114】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0115】
信頼性を重視する場合にはRJ1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0116】
一般式(J)で表される化合物としては一般式(M)で表される化合物及び一般式(K)で表される化合物が好ましい。
【0117】
本発明の組成物は、一般式(M)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
【0118】
【化33】
【0119】
(式中、RM1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
M1は、0、1、2、3又は4を表し、
M1及びAM2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
M1及びZM2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
M1が2、3又は4であってAM2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nM1が2、3又は4であってZM1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
M1及びXM3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
M2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(M)中、RM1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0120】
信頼性を重視する場合にはRM1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0121】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0122】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0123】
【化34】
【0124】
M1及びAM2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0125】
【化35】
【0126】
下記の構造を表すことがより好ましい。
【0127】
【化36】
【0128】
M1及びZM2はそれぞれ独立して−CHO−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すことが好ましく、−CFO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−CFO−又は単結合が特に好ましい。
【0129】
M1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、Tniを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0130】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0131】
本発明の組成物において、一般式(M)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0132】
本発明の組成物の総量に対しての式(M)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
【0133】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0134】
一般式(M)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(M−1)及び一般式(M−2)であることが好ましい。
【0135】
【化37】
【0136】
(式中、R31は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X31及びX32はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y31はフッ素原子又はOCFを表し、M31〜M33はそれぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、該トランス−1,4−シクロへキシレン基中の1つ又は2つの−CH−は酸素原子が直接隣接しないように、−O−で置換されていてもよく、該フェニレン基中の1つ又は2つの水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、n31及びn32はそれぞれ独立して0、1又は2を表し、n41+n42は、1、2又は3を表す。)
一般式(M−1)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(M−1−a)から一般式(M−1−f)で表される化合物が好ましい。
【0137】
【化38】
【0138】
(式中、R31、X31、X32及びY31は一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34〜X39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
一般式(M−2)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(M−2−a)から一般式(M−2−n)で表される化合物が好ましい。
【0139】
【化39】
【0140】
【化40】
【0141】
(式中、R31、X31、X32及びY31は一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34〜X39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
また、一般式(M)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(M−3)から一般式(M−26)であることが好ましい。
【0142】
【化41】
【0143】
【化42】
【0144】
(式中、R31、X31、X32及びY31は一般式(M)中のR31、X31、X32及びY31と同じ意味を表し、X34〜X39はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
本発明の組成物は、一般式(K)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。これら化合物は誘電的に正の化合物(Δεが2より大きい。)に該当する。
【0145】
【化43】
【0146】
(式中、RK1は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
K1は、0、1、2、3又は4を表し、
K1及びAK2はそれぞれ独立して、
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよい。)及び
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)及び基(b)上の水素原子はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
K1及びZK2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−OCF−、−CFO−、−COO−、−OCO−又は−C≡C−を表し、
K1が2、3又は4であってAK2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nK1が2、3又は4であってZK1が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、
K1及びXK3はそれぞれ独立して水素原子、塩素原子又はフッ素原子を表し、
K2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基又は2,2,2−トリフルオロエチル基を表す。)
一般式(K)中、RK1は、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。
【0147】
信頼性を重視する場合にはRK1はアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0148】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0149】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点はアルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。)
【0150】
【化44】
【0151】
K1及びAK2はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0152】
【化45】
【0153】
下記の構造を表すことがより好ましい。
【0154】
【化46】
【0155】
K1及びZK2はそれぞれ独立して−CHO−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すことが好ましく、−CFO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−CFO−又は単結合が特に好ましい。
【0156】
K1は、0、1、2又は3が好ましく、0、1又は2が好ましく、Δεの改善に重点を置く場合には0又は1が好ましく、Tniを重視する場合には1又は2が好ましい。
【0157】
組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類である。またさらに、本発明の別の実施形態では4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類以上である。
【0158】
本発明の組成物において、一般式(K)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0159】
本発明の組成物の総量に対しての式(K)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、例えば本発明の一つの形態では95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
【0160】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値を低めに、上限値を低めにすることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高めに、上限値を高めにすることが好ましい。
【0161】
一般式(K)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(K−1)及び一般式(K−2)であることが好ましい。
【0162】
【化47】
【0163】
(式中、R41は炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、X41及びX42はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y41はフッ素原子又はOCFを表し、M41〜M43はそれぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、該トランス−1,4−シクロへキシレン基中の1つ又は2つの−CH−は酸素原子が直接隣接しないように、−O−で置換されていてもよく、該フェニレン基中の1つ又は2つの水素原子はフッ素原子で置換されていてもよく、n41及びn42はそれぞれ独立して0、1又は2を表し、n41+n42は、1、2又は3を表す。)
一般式(K−1)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(K−1−a)から一般式(K−1−d)で表される化合物が好ましい。
【0164】
【化48】
【0165】
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44〜X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
一般式(K−2)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(K−2−a)から一般式(K−2−g)で表される化合物が好ましい。
【0166】
【化49】
【0167】
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44〜X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
また、一般式(K)で表される液晶化合物は、具体的には下記一般式(K−3)から一般式(K−5)であることが好ましい。
【0168】
【化50】
【0169】
(式中、R41、X41、X42及びY41は一般式(K)中のR41、X41、X42及びY41と同じ意味を表し、X44〜X49はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。)
<一般式(II)で表される化合物の第二態様>
一般式(II)で表される化合物は、誘電率異方性が負のいわゆるn型液晶化合物であって、以下の一般式(LC1)及び一般式(LC2)で示される化合物を挙げることができる。
【0170】
一般式(II)で表される化合物として、一般式(N−1)〜一般式(N−3)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0171】
【化51】
【0172】
(式中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
N21は水素原子又はフッ素原子を表し、
N31は−CH−又は酸素原子を表し、
N11、nN12、nN21、nN22、nN31及びnN32はそれぞれ独立して0〜3の整数を表すが、nN11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32はそれぞれ独立して1、2又は3であり、AN11〜AN32、ZN11〜ZN32が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良い。ただし、一般式(N−2)及び一般式(N−3)において一般式(N−1)で表される化合物は除き、また、一般式(N−3)において一般式(N−2)で表される化合物は除く。)
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)で表される化合物は、誘電的に負の化合物(Δεの符号が負で、その絶対値が2より大きい。)に該当するが、Δεが負でその絶対値が3よりも大きな化合物であることが好ましい。
【0173】
一般式(N−1)、(N−2)及び(N−3)中、RN11、RN12、RN21、RN22、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基、炭素原子数2〜8のアルケニル基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜3のアルケニル基が更に好ましく、炭素原子数3のアルケニル基(プロペニル基)が特に好ましい。中でも、RN11及びRN12の少なくとも1つ以上がアルケニル基を表す化合物と、一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができる。同様に、RN21及びRN22の少なくとも1つ以上がアルケニル基を表す化合物と一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができ、また、RN31及びRN32の少なくとも1つ以上がアルケニル基を表す化合物と、一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができる。
【0174】
また、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0175】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0176】
【化52】
【0177】
N11、AN12、AN21、AN22、AN31及びAN32はそれぞれ独立してΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、トランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0178】
【化53】
【0179】
トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0180】
N11、ZN12、ZN21、ZN22、ZN31及びZN32はそれぞれ独立して−CHO−、−CFO−、−CHCH−、−CFCF−又は単結合を表すことが好ましく、−CHO−、−CHCH−又は単結合が更に好ましく、−CHO−又は単結合が特に好ましい。
【0181】
N21はフッ素原子が好ましい。
【0182】
N31は酸素原子が好ましい。
【0183】
N11+nN12、nN21+nN22及びnN31+nN32は1又は2が好ましく、nN11が1でありnN12が0である組み合わせ、nN11が2でありnN12が0である組み合わせ、nN11が1でありnN12が1である組み合わせ、nN11が2でありnN12が1である組み合わせ、nN21が1でありnN22が0である組み合わせ、nN21が2でありnN22が0である組み合わせ、nN31が1でありnN32が0である組み合わせ、nN31が2でありnN32が0である組み合わせ、が好ましい。
【0184】
本発明の組成物の総量に対しての式(N−1)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0185】
本発明の組成物の総量に対しての式(N−2)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0186】
本発明の組成物の総量に対しての式(N−3)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%であり、20%である。
【0187】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を高く上限値が高いことが好ましい。
【0188】
本発明の液晶組成物は、一般式(N−1)として、一般式(i−1)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0189】
【化54】
【0190】
(式中、Ai11、Ai12及びAi13はそれぞれ独立して1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、1,4−シクロへキシレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよく、1,4−フェニレン基中に存在する1個の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよく、Zi1は−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−又は−CFCF−を表し、mi11及びmi12はそれぞれ独立して0又は1を表し、RN11、RN12及びZN12は、それぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11、RN12及びZN12と同じ意味を表す。)
一般式(i−1)で表される化合物は、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)又は一般式(i−1C)で表される化合物であることが好ましい。
【0191】
【化55】
【0192】
(式中、RN11、RN12、Ai11及びZi1は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11、RN12、Ai11及びZi1と同じ意味を表す。)
【0193】
【化56】
【0194】
(式中、RN11、RN12、Ai11、Ai12及びZi1は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11、RN12、Ai11、Ai12及びZi1と同じ意味を表す。)
【0195】
【化57】
【0196】
(式中、mi13は1を表し、RN11、RN12、Ai11、Ai12、Ai13、Zi1、Zi2及びmi11は、それぞれ独立的に一般式(i−1)におけるRN11、RN12、Ai11、Ai12、Ai13、Zi1、Zi2及びmi11と同じ意味を表す。)
一般式(i−1A)で表される化合物としては、下記一般式(i−1A−1)〜一般式(i−1A−4)で表される化合物が好ましい。
【0197】
【化58】
【0198】
(式中、RN11及びRN12は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(i−1B)で表される化合物としては、下記一般式(i−1B−1)〜一般式(i−1B−7)で表される化合物であることが好ましい。
【0199】
【化59】
【0200】
(式中、RN11及びRN122は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(i−1C)で表される化合物としては、下記一般式(i−1C−1)〜一般式(i−1C−4)で表される化合物であることが好ましく、一般式(i−1C−1)、及び一般式(i−1C−2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0201】
【化60】
【0202】
(式中、RN11及びRN122は、それぞれ独立して一般式(i−1)におけるRi1及びRi2と同じ意味を表す。)
本発明の液晶組成物は、一般式(i)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましいが、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)又は一般式(i−1C)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有してもよいし、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)又は一般式(i−1C)で表される化合物をそれぞれ1種以上含有してもよい。一般式(i−1A)及び一般式(i−1B)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、2種から10種含有することがより好ましい。
【0203】
更に詳述すると、一般式(i−1A)、一般式(i−1B)及び一般式(i−1C)は一般式(i−1A−1)、一般式(i−1B−1)及び一般式(i−1C−1)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、一般式(i−1A−1)で表される化合物及び一般式(i−1B−1)で表される化合物の組み合わせであることがより好ましい。
【0204】
また、本発明の液晶組成物は、一般式(LC3)として、一般式(ii)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0205】
【化61】
【0206】
(式中、Aii1、Aii2はそれぞれ独立して1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、1,4−シクロへキシレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよく、1,4−フェニレン基中に存在する1個の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよく、mii1及びmii2はそれぞれ独立して1又は2を表し、RN11及びRN12は、それぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(ii−1)として、一般式(ii−1)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0207】
【化62】
【0208】
(式中、RN11、RN12、Aii1及びmii1は一般式(ii)におけるRN11、RN12、Aii1及びmii1と同じ意味を表す。)
一般式(ii−1)で表される化合物は、一般式(II−2A)又は一般式(II−2B)で表される化合物であることが好ましい。
【0209】
【化63】
【0210】
(式中、RN11、RN12及びAii1は一般式(ii)におけるRN11、RN12及びAii1と同じ意味を表す。)
【0211】
【化64】
【0212】
(式中、Aii11及びAii11はそれぞれ独立して1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すが、1,4−シクロへキシレン基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−又は−S−に置き換えられてもよく、1,4−フェニレン基中に存在する1個の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子又は塩素原子に置換されてもよく、RN11及びRN12は一般式(ii)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(ii−1A)で表される化合物としては、下記一般式(ii−1A−1)及び一般式(ii−1A−2)で表される化合物が好ましい。
【0213】
【化65】
【0214】
(式中、RN11及びRN12は、一般式(ii)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(ii−1B)で表される化合物としては、下記一般式(ii−1B−1)〜一般式(ii−1B−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0215】
【化66】
【0216】
(式中、RN11及びRN12は、一般式(ii)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
本発明の液晶組成物は、一般式(ii)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましいが、一般式(ii−1A)及び一般式(ii−1B)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上を含有してもよいし、一般式(ii−1A)及び一般式(ii−1B)で表される化合物をそれぞれ1種以上含有してもよい。一般式(ii−1A)及び一般式(ii−1B)で表される化合物を2種から10種含有することが好ましい。
【0217】
更に詳述すると、一般式(ii−1A)は一般式(ii−1A−1)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、一般式(ii−1B)は一般式(ii−1B−1)及び一般式(ii−1B−2)で表される化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、一般式(ii−1A−1)及び一般式(ii−1B−1)で表される化合物の組み合わせであることがより好ましい。
【0218】
また、一般式(N−1)として、下記一般式(LC3−b)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0219】
【化67】
【0220】
(式中、RN11、RN12、AN11、AN12及びZN11はそれぞれ独立して、一般式(N−1)におけるRN11、RN12、AN11、AN12及びZN11と同じ意味を表し、XLC3b1〜XLC3b4は水素原子又はフッ素原子を表すが、XLC3b1及びXLC3b2、又はXLC3b3及びXLC3b4のうちの少なくとも一方の組み合わせは共にフッ素原子を表し、mLC3b1は0又は1を表す。ただし、一般式(LC3−b)において、一般式(i−1)及び一般式(ii)で表される化合物は除く。)
一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−b1)〜一般式(LC3−b10)を表すことが好ましい。
【0221】
【化68】
【0222】
(式中、RN11及びRN12はそれぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
N11及びRN12の組み合わせは特に限定されないが、両方がアルキル基を表すもの、両方がアルケニル基を表すもの、いずれか一方がアルキル基を表し、他方がアルケニル基を表すもの、いずれか一方がアルキル基を表し、他方がアルコキシを表すもの、及びいずれか一方がアルキル基をあらわし、他方がアルケニルオキシ基を表すものであることが好ましく、両方がアルキル基を表すもの、及び両方がアルケニル基を表すものであることがより好ましい。
【0223】
また、一般式(LC3−b)としては、下記一般式(LC3−c)を表すことが好ましい。
【0224】
【化69】
【0225】
(式中、RN11及びRN12はそれぞれ独立して一般式(N−1)におけるRN11及びRN12と同じ意味を表す。)
一般式(N−2)で表される化合物は一般式(N−2−1)〜(N−2−3)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0226】
【化70】
【0227】
(式中、RN211及びRN22はそれぞれ独立して、一般式(N−2)におけるRN211及びRN22と同じ意味を表す。)
一般式(N−3)で表される化合物は一般式(N−3−1)及び(N−3−2)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0228】
一般式(N−3−1)で表される化合物は下記の化合物である。
【0229】
【化71】
【0230】
(式中、RN31及びRN32はそれぞれ独立して、一般式(N−3)におけるRN31及びRN32と同じ意味を表す。)
<一般式(II)で表される化合物の第三態様>
第四成分は誘電率異方性が0程度である、いわゆる非極性液晶化合物であり、以下の一般式(L)で示される化合物を挙げることができる。
【0231】
本発明の組成物は、一般式(L)で表される化合物を1種類又は2種類以上含有することが好ましい。一般式(L)で表される化合物は誘電的にほぼ中性の化合物(Δεの値が−2〜2)に該当する。
【0232】
【化72】
【0233】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、該アルキル基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−はそれぞれ独立して−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−によって置換されていてもよく、
L1は0、1、2又は3を表し、
L1、AL2及びAL3はそれぞれ独立して
(a) 1,4−シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−に置き換えられてもよい。)
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい。)及び
(c) ナフタレン−2,6−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又はデカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(ナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ独立してシアノ基、フッ素原子又は塩素原子で置換されていても良く、
L1及びZL2はそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−(CH−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−OCF−、−CFO−、−CH=N−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−を表し、
L1が2又は3であってAL2が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良く、nL1が2又は3であってZL3が複数存在する場合は、それらは同一であっても異なっていても良いが、一般式(J)、一般式(N−1)、一般式(N−2)及び一般式(N−3)で表される化合物を除く。)
一般式(L)で表される化合物は単独で用いてもよいが、組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類である。あるいは本発明の別の実施形態では2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類であり、6種類であり、7種類であり、8種類であり、9種類であり、10種類以上である。
【0234】
本発明の組成物において、一般式(L)で表される化合物の含有量は、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率、プロセス適合性、滴下痕、焼き付き、誘電率異方性などの求められる性能に応じて適宜調整する必要がある。
【0235】
本発明の組成物の総量に対しての式(L)で表される化合物の好ましい含有量の下限値は、0%であり、1%であり、10%であり、20%であり、30%であり、40%であり、50%であり、55%であり、60%であり、65%であり、70%であり、75%であり、80%である。好ましい含有量の上限値は、95%であり、85%であり、75%であり、65%であり、55%であり、45%であり、35%であり、25%である。
【0236】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値を低く上限値が低いことが好ましい。
【0237】
信頼性を重視する場合にはRL1及びRL2はともにアルキル基であることが好ましく、化合物の揮発性を低減させることを重視する場合にはアルコキシ基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合には少なくとも一方はアルケニル基であることが好ましい。
【0238】
L1及びRL2は、それが結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び炭素原子数4〜5のアルケニル基が好ましく、それが結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。ネマチック相を安定化させるためには炭素原子及び存在する場合酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0239】
アルケニル基としては、式(R1)から式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。(各式中の黒点は環構造中の炭素原子を表す。)
【0240】
【化73】
【0241】
中でも、RL1及びRL2の少なくとも1つ以上がアルケニル基を表す化合物と、一般式(I)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、電圧保持率(VHR)の低下を顕著に抑えることができる。
【0242】
L1は応答速度を重視する場合には0が好ましく、ネマチック相の上限温度を改善するためには2又は3が好ましく、これらのバランスをとるためには1が好ましい。また、組成物として求められる特性を満たすためには異なる値の化合物を組み合わせることが好ましい。
【0243】
L1、AL2及びAL3はΔnを大きくすることが求められる場合には芳香族であることが好ましく、応答速度を改善するためには脂肪族であることが好ましく、それぞれ独立してトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、3,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表すことが好ましく、下記の構造を表すことがより好ましく、
【0244】
【化74】
【0245】
トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことがより好ましい。
【0246】
L1及びZL2は応答速度を重視する場合には単結合であることが好ましい。
【0247】
分子内のハロゲン原子数は0個又は1個が好ましい。
【0248】
一般式(L)で表される化合物は一般式(L−1)で表される化合物から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0249】
【化75】
【0250】
(式中、RL1及びRL2はそれぞれ独立して、一般式(L)におけるRL1及びRL2と同じ意味を表す。)
L11及びRL12は、直鎖状の炭素原子数1〜5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1〜4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2〜5のアルケニル基が好ましい。一般式(L−1)で表される化合物は単独で使用することもできるが、2以上の化合物を組み合わせて使用することもできる。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの求められる性能に応じて適宜組み合わせて使用する。使用する化合物の種類は、例えば本発明の一つの実施形態としては1種類であり、2種類であり、3種類であり、4種類であり、5種類以上である。
【0251】
好ましい含有量の下限値は、本発明の組成物の総量に対して、1%であり、2%であり、3%であり、5%であり、7%であり、10%であり、15%であり、20%であり、25%であり、30%であり、35%であり、40%であり、45%であり、50%であり、55%である。好ましい含有量の上限値は、本発明の組成物の総量に対して、95%であり、90%であり、85%であり、80%であり、75%であり、70%であり、65%であり、60%であり、55%であり、50%であり、45%であり、40%であり、35%であり、30%であり、25%である。
【0252】
本発明の組成物の粘度を低く保ち、応答速度が速い組成物が必要な場合は上記の下限値が高く上限値が高いことが好ましい。さらに、本発明の組成物のTniを高く保ち、温度安定性の良い組成物が必要な場合は上記の下限値が中庸で上限値が中庸であることが好ましい。また、駆動電圧を低く保つために誘電率異方性を大きくしたいときは、上記の下限値が低く上限値が低いことが好ましい。
【0253】
一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0254】
【化76】
【0255】
(式中、RL11は水素原子又はメチル基を表し、RL2は一般式(L)中のRL2と同じ意味を表す。)
一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.11)〜式(L−1−1.13)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−1.12)又は式(L−1−1.13)で表される化合物であることが好ましく、特に、式(L−1−1.13)で表される化合物であることが好ましい。
【0256】
【化77】
【0257】
また、一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.21)から式(L−1−1.24)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−1.22)から式(L−1−1.24)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−1.22)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−1.23)又は式(L−1−1.24)で表される化合物を用いることが好ましい。
【0258】
【化78】
【0259】
また、一般式(L−1−1)で表される化合物は、式(L−1−1.31)及び式(L−1−1.41)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0260】
【化79】
【0261】
また、一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0262】
【化80】
【0263】
(式中R121及びR122はそれぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルコキシ基を表す。)
一般式(L−1−2)で表される化合物は、式(L−1−2.1)から式(L−1−2.12)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましく、式(L−1−2.1)、式(L−1−2.3)又は式(L−1−2.4)で表される化合物であることが好ましい。特に、式(L−1−2.1)で表される化合物は本発明の組成物の応答速度を特に改善するため好ましい。また、応答速度よりも高いTniを求めるときは、式(L−1−2.3)、式(L−1−2.4)、式(L−1−2.11)及び式(L−1−2.12)で表される化合物を用いることが好ましい。式(L−1−2.3)、式(L−1−2.4)、式(L−1−2.11)及び式(L−1−2.12)で表される化合物の合計の含有量は、低温での溶解度をよくするために20%以上にすることは好ましくない。
【0264】
【化81】
【0265】
また、一般式(L−1)で表される化合物は、一般式(L−1−3)及び/又は(L−1−4)で表される化合物群から選ばれる化合物であることが好ましい。
【0266】
【化82】
【0267】
(式中Rii31及びRii41はそれぞれ独立して一般式(L)中のRii2と同じ意味を表す。)
また、一般式(L)で表される化合物は、下記一般式(L−2)から一般式(L−11)で表される化合物であることが好ましい。本発明の液晶組成物は、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L−2)から一般式(L−11)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。
【0268】
【化83】
【0269】
(式中、RL31及びRL32は、炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基、RL32は、炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から5のアルコキシル基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から5のアルケニルオキシ基を表す。)
一般式(L)で表される化合物は、一般式(L−4)、一般式(L−6)、一般式(L−7)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることが好ましく、一般式(L−6)、一般式(L−7)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(L−7)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることが更に好ましく、一般式(L−6)及び一般式(L−8)から選ばれる化合物であることも好ましい。更に詳述すると、大きなΔnが求められる場合には、一般式(L−6)、一般式(L−8)及び一般式(L−11)から選ばれる化合物であることが好ましい。
また、一般式(L−4)、一般式(L−7)及び一般式(L−8)で表される化合物においては、RL31は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基、RL32は炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数1から5のアルコキシ基であることが好ましく、RL31は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが更に好ましく、炭素原子数2又は3のアルケニル基であることが更に好ましく、一般式(L−6)で表される化合物においては、RL31及びRL32はそれぞれ独立して炭素原子数1から5のアルキル基又は炭素原子数2から5のアルケニル基であることが好ましい。
【0270】
また、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L−12)、一般式(L−13)又は一般式(L−14)で表される化合物を1種又は2種以上含有することも好ましい。
【0271】
【化84】
【0272】
(式中、RL51及びRL52はそれぞれ独立して炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表し、XL51及びXL52はそれぞれ独立してフッ素原子又は水素原子を表し、XL51及びXL52のいずれか一つはフッ素原子であり、他の一つは水素原子である。)
また、一般式(L)で表される化合物として、一般式(L−16.1)から一般式(L−16.3)で表される化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
【0273】
【化85】
【0274】
また、一般式(L)で表される化合物として、一般式(N−001)で表される化合物を1種又は2種以上含有してもよい。
【0275】
【化86】
【0276】
(式中、RN1及びRN2はそれぞれ独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から8のアルコキシル基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から8のアルケニルオキシル基を表し、L及びLはそれぞれ独立して水素原子、フッ素原子、CH又はCFを表す。ただし、L及びLの両方がフッ素原子を表すものを除く。)
N1及びRN2は、炭素原子数1から5のアルキル基を表すことが好ましい。
【0277】
本発明の液晶組成物は、25℃において誘電率異方性(Δε)が正の値を有することが好ましく、25℃における誘電率異方性(Δε)が1.5から20.0であることが好ましく、1.5から18.0がより好ましく、1.5から15.0がより好ましく、1.5から11がさらに好ましく、1.5から8が特に好ましい
誘電率異方性(Δε)が正の値を有する液晶組成物は、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物を含有することが好ましい。より具体的には、一般式(M)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物を含有することが好ましく、一般式(M−1)及び/又は一般式(M−2)で表される化合物及び一般式(L−1−1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0278】
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。実質的にとは、製造時に不可避的に生成する不純物等の意図せず含有する化合物を除くという意味である。
【0279】
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(M)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。
【0280】
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物の合計の含有量は、組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、23%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、28%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、33%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、38%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましい。また、上限値として、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、88%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、83%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、78%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、73%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、68%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、63%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましい。
【0281】
本発明の液晶組成物は、25℃において誘電率異方性(Δε)が負の値を有することが好ましく、25℃における誘電率異方性(Δε)が−2.0から−8.0であることが好ましく、−2.0から−6.0が好ましく、−2.0から−5.0がより好ましく、−2.5から−4.0が特に好ましい。
【0282】
誘電率異方性(Δε)が負の値を有する液晶組成物は、一般式(N−1)〜一般式(N−3)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物を含有することが好ましい。より具体的には、一般式(N−1)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物を含有することが好ましく、一般式(N−1)で表される化合物及び一般式(L−1−1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0283】
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(N−1)〜一般式(N−3)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。
【0284】
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(N−1)で表される化合物及び一般式(L)で表される化合物の合計の含有量は、組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、80%以上含有することが好ましく、85%以上含有することが好ましく、88%以上含有することが好ましく、90%以上含有することが好ましく、92%以上含有することが好ましく、95%以上含有することが好ましく、97%以上含有することが好ましく、98%以上含有することが好ましく、99%以上含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。また、上限値として、90%以下含有することが好ましく、95%以下含有することが好ましく、98%以下含有することが好ましく、99%以下含有することが好ましく、実質的に他の化合物を含有しないことが好ましい。
【0285】
本発明の液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物、一般式(J)で表される化合物及び一般式(L−1)で表される化合物の合計の含有量は、組成物中に下限値として、5%以上含有することが好ましく、10%以上含有することが好ましく、13%以上含有することが好ましく、15%以上含有することが好ましく、18%以上含有することが好ましく、20%以上含有することが好ましく、23%以上含有することが好ましく、25%以上含有することが好ましく、28%以上含有することが好ましく、30%以上含有することが好ましく、33%以上含有することが好ましく、35%以上含有することが好ましく、38%以上含有することが好ましく、40%以上含有することが好ましい。また、上限値として、95%以下含有することが好ましく、90%以下含有することが好ましく、88%以下含有することが好ましく、85%以下含有することが好ましく、83%以下含有することが好ましく、80%以下含有することが好ましく、78%以下含有することが好ましく、75%以下含有することが好ましく、73%以下含有することが好ましく、70%以下含有することが好ましく、68%以下含有することが好ましく、65%以下含有することが好ましく、63%以下含有することが好ましく、60%以下含有することが好ましく、55%以下含有することが好ましく、50%以下含有することが好ましく、40%以下含有することが好ましい。
【0286】
本発明の液晶組成物は、25℃における屈折率異方性(Δn)が0.08から0.14であるが、0.09から0.13がより好ましく、0.09から0.12が特に好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.13であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
【0287】
本発明の液晶組成物は、25℃における粘度(η)が10から50mPa・sであるが、10から40mPa・sであることがより好ましく、10から35mPa・sであることが特に好ましい。
【0288】
本発明の液晶組成物は、25℃における回転粘性(γ)が60から130mPa・sであるが、60から110mPa・sであることがより好ましく、60から100mPa・sであることが特に好ましい。
【0289】
本発明の液晶組成物は、ネマチック相−等方性液体相転移温度(Tni)が60℃から120℃であるが、70℃から100℃がより好ましく、70℃から85℃が特に好ましい。
【0290】
本発明の液晶組成物は、上述の化合物以外に、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、又は重合性モノマー等を含有してもよい。
【0291】
例えば、本発明の液晶組成物は、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶として、25℃における誘電率異方性(Δε)が+2.0から+50.0である液晶化合物を含有しても良く、その含有量は0質量%から50質量%であるが、1質量%から30質量%であることが好ましく、3質量%から30質量%であることが好ましく、5質量%から20質量%であることが好ましい。
【0292】
例えば、液晶組成物は重合性モノマーとしてビフェニル誘導体、ターフェニル誘導体等の重合性化合物を0.01から2質量%含有していてもよい。
【0293】
重合性モノマーとしては、一つの反応性基を有する単官能性の重合性化合物、及び二官能又は三官能等の二つ以上の反応性基を有する多官能性の重合性化合物を一種又は二種以上含有してもよい。反応性基を有する重合性化合物はメソゲン性部位を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0294】
反応性基を有する重合性化合物において、反応性基は光による重合性を有する置換基が好ましい。
【0295】
反応性基を有する重合性化合物のうち、単官能性の反応基を有する重合性化合物として具体的には、下記一般式(VI)
【0296】
【化87】
【0297】
(式中、Xは、水素原子又はメチル基を表し、Spは、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、tは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Vは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、Wは水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。)で表される重合性化合物が好ましい。
【0298】
上記一般式(VI)において、Xは、水素原子又はメチル基を表すが、反応速度を重視する場合には水素原子が好ましく、反応残留量を低減することを重視する場合にはメチル基が好ましい。
【0299】
上記一般式(VI)において、Spは、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、tは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表すが、炭素鎖があまり長くないことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基がより好ましい。また、Spが−O−(CH−を表す場合も、tは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。
【0300】
上記一般式(VI)において、Vは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、2つ以上の環状置換基により置換されていることが好ましい。
【0301】
一般式(VI)で表される重合性化合物は更に具体的には、一般式(X1a)
【0302】
【化88】
【0303】
(式中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
は単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基(該アルキレン基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキレン基中の1個又は2個以上の水素原子はそれぞれ独立してフッ素原子、メチル基又はエチル基で置換されていてもよい。)を表し、
及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜17のアルキル基で置換されていてもよい。)を表わし、
及びAはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよい。)を表し、
pは1〜10を表し、
、B及びBは、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基(該アルキル基中の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して酸素原子、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子又は炭素原子数3〜6のトリアルコキシシリル基で置換されていてもよい。)を表わす化合物が挙げられる。
【0304】
また、一般式(VI)で表される重合性化合物は具体的には、一般式(X1b)
【0305】
【化89】
【0306】
(式中、Aは水素原子又はメチル基を表し、
6員環T、T及びTはそれぞれ独立して
【0307】
【化90】
【0308】
のいずれか(ただしqは1から4の整数を表す。)を表し、
qは0又は1を表し、
及びYはそれぞれ独立して単結合、−CHCH−、−CHO−、−OCH−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH−、−CHCHCHO−、−OCHCHCH−、−CH=CHCHCH−又は−CHCHCH=CH−を表し、
は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、
は炭素原子数1〜18の炭化水素基を表す。)で表わす化合物も挙げられる。
【0309】
更に、一般式(VI)で表される重合性化合物は具体的には、一般式(X1c)
【0310】
【化91】
【0311】
(式中、R70は水素原子又はメチル基を表し、R71は縮合環を有する炭化水素基を表す。)で表わす化合物も挙げられる。
【0312】
また、 反応性基を有する重合性化合物の内、多官能性の反応基を有する重合性化合物が、下記一般式(VII)
【0313】
【化92】
【0314】
(式中、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、Uは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)又は環状置換基により置換されていてもよく、kは1〜5の整数を表す。)で表される重合性化合物が好ましい。
上記一般式(VII)において、X及びXはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表すが、反応速度を重視する場合には水素原子が好ましく、反応残留量を低減することを重視する場合にはメチル基が好ましい。
【0315】
上記一般式(VII)において、Sp及びSpはそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2〜7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表すが、炭素鎖があまり長くないことが好ましく、単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基が好ましく、単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基がより好ましい。また、Sp及びSpが−O−(CH−を表す場合も、sは1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、Sp及びSpの少なくとも一方が、単結合であることがより好ましく、いずれも単結合であることが特に好ましい。
【0316】
上記一般式(VII)において、Uは炭素原子数2〜20の直鎖もしくは分岐多価アルキレン基又は炭素原子数5〜30の多価環状置換基を表すが、多価アルキレン基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよく、炭素原子数5〜20のアルキル基(基中のアルキレン基は酸素原子が隣接しない範囲で酸素原子により置換されていてもよい。)、環状置換基により置換されていてもよく、2つ以上の環状置換基により置換されていることが好ましい。
【0317】
上記一般式(VII)において、Uは具体的には、以下の式(VII−1)から式(VII−5)を表すことが好ましく、式(VII−1)から式(VII−3)を表すことがより好ましく、式(VII−1)を表すことが特に好ましい。
【0318】
【化93】
【0319】
(式中、両端はSp又はSpに結合するものとする。)
Uが環構造を有する場合、前記Sp及びSpは少なくとも一方が単結合を表すことが好ましく、両方共に単結合であることも好ましい。
【0320】
上記一般式(VII)において、kは1〜5の整数を表すが、kが1の二官能化合物、又はkが2の三官能化合物であることが好ましく、二官能化合物であることがより好ましい。
【0321】
更に詳述すると、一般式(P)
【0322】
【化94】
【0323】
で表される重合性化合物を一種又は二種以上含有することが好ましい。
【0324】
一般式(P)において、X201及びX202は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又は−CF基を表す。X201及びX202は、いずれも水素原子であるジアクリレート誘導体、いずれもメチル基であるジメタクリレート誘導体が好ましく、一方が水素原子でありもう一方がメチル基である化合物も好ましい。用途により好ましい化合物を用いることができるが、PSA表示素子においては、一般式(P)で表される重合性化合物はメタクリレート誘導体を少なくとも1個有することが好ましく、2個有することも好ましい。
【0325】
一般式(P)において、Sp201及びSp202は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は環に結合するものとする。)を表す。Sp201及びSp202は、PSA型の液晶表示素子においては少なくとも一方が単結合であることが好ましく、いずれも単結合である化合物又は一方が単結合でもう一方が炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−であることが好ましく、この場合、炭素原子数1〜4のアルキレン基が好ましく、sは1〜4が好ましい。
【0326】
一般式(P)において、M201、M202及びM203は、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基(基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH−は−O−又は−S−によって置換されていてもよい。)、1,4−フェニレン基(基中の1個又は非隣接の2個以上の−CH=は−N=によって置換されていてもよい。)、1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基を表し、基中の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子、−CF基、炭素原子数1から10のアルキル基、炭素原子数1から10のアルコキシル基又は式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていてもよい。
【0327】
【化95】
【0328】
一般式(P)において、Z201及びZ202は、それぞれ独立して、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CY=CY−(式中、Y及びYは、それぞれ独立して、フッ素原子又は水素原子を表す。)、−C≡C−又は単結合を表すが、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−C≡C−又は単結合が好ましく、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合が更に好ましい。
【0329】
一般式(P)において、n201は、0、1又は2を表すが、0又は1が好ましい。但し、M202及びZ202が複数存在する場合、それぞれ異なっていても良く、同じでもよい。
【0330】
一般式(P)で表される重合性化合物を少なくとも1種含有していても良く、1種〜5種含有することが好ましく、1種〜3種含有することが更に好ましい。
一般式(P)の含有量は0.01〜2.00質量%であることが好ましく、0.05〜1.00質量%であることが更に好ましく、0.10〜0.50質量%であることが特に好ましい。
【0331】
更に具体的には、一般式(P)においてn201が0の場合、Sp201及びSp202の間の環構造は、式(XXa−1)から式(XXa−5)であることが好ましく、式(XXa−1)から式(XXa−3)であることが更に好ましく、式(XXa−1)又は式(XXa−2)であることが特に好ましい。但し、式の両端はSp201又はSp202に結合するものとする。
【0332】
【化96】
【0333】
これらの骨格を含む一般式(P)で表される重合性化合物は重合後の配向規制力がPSA型の液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない効果がある。
【0334】
以上のことから、重合性モノマーとして、式(XX−1)から一般式(XX−10)で表される化合物が好ましく、式(XX−1)から式(XX−4)が更に好ましい。
【0335】
【化97】
【0336】
式(XX−1)から一般式(XX−10)中、Spxxは炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH−(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は環に結合するものとする。)を表す。
【0337】
式(XX−1)から一般式(XX−10)中、1,4−フェニレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF、−CH、式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていてもよい。
【0338】
一般式(P)においてn201が1の場合、例えば、式(P31)から式(P48)のような重合性化合物が好ましい。
【0339】
【化98】
【0340】
式(P31)から式(P48)中の1,4−フェニレン基及びナフタレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF、−CH、式(R−1)から式(R−15)のいずれかによって置換されていてもよい。
【0341】
これらの骨格を含む一般式(P)で表される重合性化合物は重合後の配向規制力がPSA型の液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない効果がある。
【0342】
一般式(P)においてn201が1、なおかつ、式(R−1)又は式(R−2)を複数個有する場合、例えば、式(P301)から式(P316)のような重合性化合物が好ましい。
【0343】
【化99】
【0344】
式(P301)から式(P316)中の1,4−フェニレン基及びナフタレン基中の水素原子は、更に、−F、−Cl、−CF、−CHによって置換されていてもよい。
【0345】
一般式(P)で表される重合性化合物として、例えば、式(Ia−1)〜式(Ia−31)のような重合性化合物も好ましい。
【0346】
【化100】
【0347】
【化101】
【0348】
【化102】
【0349】
【化103】
【0350】
本発明の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、表示不良がない又は抑制された、表示品位の優れた応答速度の速いものであり、特に、アクティブマトリックス駆動の液晶表示素子として、例えばTN型、OCB型、VA型、VA−IPS型、PSVA型、PSA型、FFS型、IPS型又はECB型に適用できる。なお、PSVA型とPSA型は実質的に同義である。
【0351】
更に、重合性化合物を含有した本発明の液晶組成物は、電圧印加下あるいは電圧無印加下で該液晶組成物中に含有する重合性化合物を重合させて作製した高分子安定化のVA型、PSA型、TN型、OCB型、ECB型、IPS型、FFS型又はVA−IPS型等の液晶表示素子を提供できる。
【実施例】
【0352】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は「質量%」を意味する。
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。
(側鎖)
−n −C2n+1 炭素数nの直鎖状のアルキル基
n− C2n+1− 炭素数nの直鎖状のアルキル基
−On −OC2n+1 炭素数nの直鎖状のアルコキシ基
nO− C2n+1O− 炭素数nの直鎖状のアルコキシ基
−V −CH=CH
V− CH=CH−
−V1 −CH=CH−CH
1V− CH−CH=CH−
−2V −CH−CH−CH=CH
V2− CH=CH−CH−CH
−2V1 −CH−CH−CH=CH−CH
1V2− CH−CH=CH−CH−CH
(連結基)
−CFFO− −CF−O−
−OCFF− −O−CF
−1O− −CH−O−
−O1− −O−CH
−COO− −COO−
−OCO− −OCO−
(環構造)
【0353】
【化104】
【0354】
実施例では、添加剤として以下で表される化合物を用いた。
【0355】
【化105】
【0356】
また、実施例及び比較例では、添加剤として以下で表される化合物を用いた。
【0357】
【化106】
【0358】
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0359】
蛍光強度:各種評価用の液晶サンプルを準備し、Themo Scientific NANO Drop 3000 Fluorospectrometer(Themo Scientific社製)の台座にピペットで資料を1μL乗せる。サンプリングアームを閉じ、サンプルを液柱とする。365nmのBlue LED光源で照射し、サンプルの蛍光強度を測定する。
【0360】
VHR(UV):サンプルを導入した評価セルを100℃で2時間アニールし、高圧水銀ランプでUVを3(J)照射後の電圧保持率(1V、5Hz、60℃)但し、照度は365nmで100mW/cmとした。
(実施例1〜37、比較例1〜3)
以下に示す組成物(LC−A)を調整した。
【0361】
以下のLC−Aの液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表のとおりであった。
【0362】
以下のLC−Aの液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表のとおりであった。
【0363】
【表1】
【0364】
液晶組成物LC−Aを100質量部に対して、上記式(A−1−1)、式(A−1−2)、式(A−1−3)、式(B−1)、式(B−2)及び式(H−14)で表される化合物を以下の表で示す割合で添加し、蛍光強度とVHRを測定した。結果を以下に示す。
【0365】
【表2】
【0366】
比較例1〜3及び実施例1〜37より、式(A−1−1)、(A−1−2)及び(A−1−3)で表される化合物(化合物Aに相当する化合物)の少なくともいずれか一つを含有することで、蛍光強度を低下できることがわかる。実施例1〜37は、比較例よりも高いVHR(UV)であることが確認された。また、実施例3〜10、13〜20、23〜37より、化合物A及び化合物Bに相当する化合物を両方含有することで、VHRをより向上できることがわかった。
(実施例38〜74、比較例4〜6)
以下に示す組成物(LC−B)を調整した。
【0367】
以下のLC−Bの液晶組成物を調製し、その物性値を測定した。液晶組成物の構成とその物性値の結果は表のとおりであった。
【0368】
【表3】
【0369】
液晶組成物LC−Bを100質量部に対して、上記式(A−1−1)、式(A−1−2)、式(A−1−3)、式(B−1)、式(B−2)及び式(H−14)で表される化合物を以下の表で示す割合で添加し、蛍光強度とVHRを測定した。結果を以下に示す。
【0370】
【表4】
【0371】
比較例4〜6及び実施例38〜74より、式(A−1−1)、(A−1−2)及び(A−1−3)で表される化合物(化合物Aに相当する化合物)の少なくともいずれか一つを含有することで、蛍光強度を低下できることがわかる。実施例38〜74は、比較例よりも高いVHR(UV)であることが確認された。また、実施例40〜47、40〜57、60〜74より、化合物A及び化合物Bに相当する化合物を両方含有することで、VHRをより向上できることがわかった。