【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、独立行政法人科学技術振興機構、復興促進プログラム(マッチング促進)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、前記行動パターンに依存して、横臥・起立時間が減少しているか否かを判定し、移動時間が延長されているかを判定することで、発情開始と予測することを特徴とする請求項5に記載の動物の行動判別装置。
水平方向の加速度と水平方向の角速度とに基づいて得られる動物の前後方向の動作の大きさを示す第1の値と、前記水平方向の加速度と前記水平方向の角速度とに基づいて得られる動物の前後及び左右方向の動作の大きさを示す第2の値とにより、動物の行動パターンを判別することを特徴とする動物の行動判別装置。
ここで、
前記第1の値は、|角速度(X方向)|/|加速度(Y方向)|(1式)により、
前記第2の値は、|角速度(X方向)|/|加速度(Y方向)|×|角速度(Y方向)|/|加速度(X方向)|(2式)により求められる。
但し、X方向を動物の側面方向とし、Y方向を動物の正面方向とし、加速度方向は動作方向とし、角速度方向は動作方向を軸とする回転方向とする。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態による動物の行動判別技術について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
尚、以下においては、牛の行動を判別する技術を例にしているが、四肢で歩行する動物であれば、本発明は、牛に限定されるものではない。また、装置の装着位置を変更すれば、二足歩行の動物・人間の動作確認にも利用可能である。人間の頭に装着するなどしても良い。
【0024】
国内では、一部の肉用品種を除き、人工授精や胚移植により牛を妊娠させている。これらの繁殖技術は発情日を基準とするため、牛の発情行動を把握することは必要である。特に人工授精を行う場合には、受胎率の向上のために授精適期の的確な推定は重要であり、発情開始および終了時刻ならびに発情最盛期の時間帯を把握することが必要である。牛における発情行動、特に乗駕許容の持続時間は14〜21時間と短いことに対して、発情行動は21日間隔でしか発現しないため、1回の発情の見逃しによる試算損失は数万円にも及ぶ。そのことから、発情を確実に見つけることは、安定した子牛生産や良好な繁殖経営のために極めて重要であり、安価なセンサ等で発情を推定できる行動を判別する技術が求められる。
【0025】
従来から、センサを利用し牛の行動を判別する方法としては、(1)歩数を監視する方法、(2)行動量を監視する方法、の2種類がある。
【0026】
(1)歩数の変化を監視する方法
牛歩(コムテック社の登録商標)が商品化されており、送信機を兼ねた歩数計を前肢に装着し1時間単位の歩数データをパソコン通信によって受信し、歩数の変化を監視するシステムである。
【0027】
(2)行動量の変化を監視する方法
ドクターカウベル(マイメディア社の登録商標)等およびハツハツ(P.Aテクノロジー社)が商品化されており、ドクターカウベルは牛の首に振動センサを、ハツハツは加速度センサを利用した行動量計を取り付け、行動量および体温の変化を監視する装置である。
【0028】
これらの方法は、動物の行動を、「確実な横臥」、「横臥又は静止起立」、「動作有り」、「移動」等に判別することはできない。また、歩数や行動量の増加は必ずしも発情特異的ではなく、高精度な発情の予測は応用できない。
【0029】
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、動物の行動を、簡単な構成で、「確実な横臥」、「横臥又は静止起立」、「動作有り」、「移動」に判別することができる。
【0030】
図1Aは、本発明の実施の形態による行動判別装置を含むシステムの一構成例を示す機能ブロック図である。行動判別装置は、行動パターン判定部を含む情報処理装置の少なくとも一部からなる。
【0031】
本実施の形態によるシステムAは、例えば、端末装置などの装置(1)1と、例えば情報処理装置などの遠隔の装置(2)3とを有している。
図1Bは、牛の平坦な背中の部分に装置(1)(端末装置)1を載せた様子を示す図である。端末装置1の搭載位置は、牛などの四肢歩行動物の背部の「装置を取り付けた個体自身の鼻等で触れられない位置」、「設置が安定するなるべく平らな位置」などの条件を満たす位置である。ここでは、端末装置1を第1の装置(1)とも称し、牛の背中に乗せる装置を指す。
【0032】
以下に、本実施の形態によるシステム(行動判別装置)Aの種々の構成例について例示的に説明する。
図1Aは、基本的には以下の
図2Bから
図2Fの構成に相当する。以下に説明する全ての機能部を必須の構成としなくても良い。また、第1から第3までの装置内の各構成要素は、交換可能な場合には、いずれに持たせても良い。
【0033】
図2Aは、行動判別装置(システム)の第1のシステム構成例を示す機能ブロック図である。
【0034】
図2Aに示すように、第1システム(行動判別装置)は、端末装置(装置(1)、第1の装置)1内に、加速度センサ1−1と、角速度センサ1−2と、赤外線センサ1−3と、記憶部(メモリ、HDDなど)1−4と、制御部(CPU)1−5と、タイマ1−6と、演算部1−7と、行動パターン判定部1−8と、表示部(出力部)1−10と、を有している。
【0035】
加速度センサ1−1は、2軸又は3軸加速度センサであり、角速度センサ1−2も、2軸又は3軸角速度センサである。3軸センサの場合には、各センサのX軸を牛の側(横)方向、Y軸を牛の頭方向、Z軸を上方向(鉛直方向)になるように設置する。以下、X方向、Y方向、Z方向と称する。従って、本実施の形態では2軸のセンサであることが要件となる。赤外線センサ1−3は、上方向における物の有無を判別することができる。記憶部1−4は、各機能部をCPUにより制御するためのプログラムやセンサによるセンシング結果などを記憶する。さらに、演算処理用プログラムなどの他に、行動を判別するための行動判別用の判別データ1−4−1等を記憶する。制御部1−5は、各機能部を制御するCPUである。タイマ1−6は、センシングデータを取得した時刻等を提供し、センシングデータとともに時刻を関連付けすることができる。演算部1−7は、センシングデータや時刻等のデータに基づいて、行動判別用の判別データ1−4−1を作成する。
【0036】
行動パターン判定部1−8は、センシングデータ等に基づいて、演算部1−7で演算された値等に基づき行動判別用の判別データ1−4−1を参照して、動物の行動パターンを判定する。表示部1−10は、得られた行動パターンなどを表示する。表示部に代えて又は表示部とともに、データや結果を印刷したりする出力部を有していても良い。
【0037】
図2Bは、行動判別装置(システム)の第2のシステム構成例を示す機能ブロック図である。
【0038】
図2Bに示すように、第2のシステムは、装置(1)1と、装置(2)3とを有している。例えば、装置(1)1は牛に取り付けられる端末装置であり、装置(2)3は出力を行うタブレットなどの端末装置である。
【0039】
装置(1)1には、加速度センサ1−1から行動パターン判定部1−8までと通信部1−9が設けられ、装置(2)3には、通信部3−1と、表示部3−2が設けられている。
【0040】
通信部1−9、通信部3−1は、装置(1)1と、装置(2)3の間でのデータ等のやり取りを行う。その他の処理は、基本的に、第1のシステムと同様である。
【0041】
図2Cは、行動判別装置(システム)の第3のシステム構成例を示す機能ブロック図である。
【0042】
図2Cに示すように、第3のシステムは、装置(1)1と、装置(2)3とを有している。例えば、装置(1)1は牛に取り付けられる端末装置であり、装置(2)3は出力を行うタブレットなどの端末装置である。
【0043】
装置(1)1には、加速度センサ1−1からタイマ1−6までと通信部1−9とが、装置(2)3には、通信部3−1と、記憶部3−3、制御部3−4、タイマ3−5、演算部3−6、行動パターン判定部3−7、表示部3−2が設けられている。記憶部3−3に、判別データ3−3−1が記憶される。
【0044】
通信部1−9、通信部3−1は、装置(1)1と、装置(2)3の間でのデータ等のやり取りを行う。
【0045】
第3のシステムでは、装置(1)1側でセンシングデータと時刻を取得し、装置(2)3側で、演算処理と行動判別処理とを行う。その他の処理は、基本的に、第1のシステムと同様である。
【0046】
図2Dは、行動判別装置(システム)の第4のシステム構成例を示す機能ブロック図である。
【0047】
図2Dに示すように、第4のシステムは、装置(1)1と、装置(2)3と、装置(3)5と、を有している。例えば、装置(1)1は牛に取り付けられる端末装置であり、装置(2)3は出力を行う情報処理装置などの中継装置であり、装置(3)5は、出力を行うタブレットなどの端末装置である。
【0048】
装置(1)1には、加速度センサ1−1からタイマ1−6までと通信部1−9が、装置(2)3には、通信部3−1と、記憶部3−3、制御部3−4、タイマ3−5、演算部3−6、行動パターン判定部3−7、通信部3−8が、装置(3)5には、通信部5−1と、表示部5−2が設けられている。記憶部3−3に、判別データ3−3−1が記憶される。
【0049】
通信部1−9、通信部3−1は、装置(1)1と、装置(2)3の間でのデータ等のやり取りを行う。通信部3−8、通信部5−1は、装置(2)3と、装置(3)5の間でのデータ等のやり取りを行う。
【0050】
第4のシステムでは、装置(1)1側でセンシングデータと時刻を取得し、装置(2)3側で、演算処理と行動判別処理とを行う。そして、表示等の出力は、装置(3)5で行う。その他の処理は、基本的に、第1のシステムと同様である。
【0051】
図2Eは、行動判別装置(システム)の第5のシステム構成例を示す機能ブロック図である。
【0052】
図2Eに示すように、第5のシステムは、装置(1)1と、装置(2)3とを有している。例えば、装置(1)1は牛に取り付けられる端末装置であり、装置(2)3は出力を行うタブレットなどの端末装置である。
【0053】
装置(1)1には、加速度センサ1−1から演算部1−7までと通信部1−9が、装置(2)3には、通信部3−1と、記憶部3−3、制御部3−4、タイマ3−5、行動パターン判定部3−7、表示部3−2が設けられている。記憶部3−3に、判別データ3−3−1が記憶される。
【0054】
通信部1−9、通信部3−1は、装置(1)1と、装置(2)3の間でのデータ等のやり取りを行う。
【0055】
第5のシステムでは、装置(1)1側でセンシングデータと時刻を取得した後に演算処理までを行い、装置(2)3側で、演算結果を受け取って行動判別処理を行う。その他の処理は、基本的に、第1のシステムと同様である。
【0056】
図2Fは、行動判別装置(システム)の第6のシステム構成例を示す機能ブロック図である。
【0057】
図2Fに示すように、第6のシステムは、装置(1)1と、装置(2)3と、装置(3)5と、を有している。例えば、装置(1)1は牛に取り付けられる端末装置であり、装置(2)3は出力を行う情報処理装置などの中継装置であり、装置(3)5は、出力を行うタブレットなどの端末装置である。
【0058】
装置(1)1には、加速度センサ1−1から演算部1−7までと通信部1−9が、装置(2)3には、通信部3−1と、記憶部3−3、制御部3−4、タイマ3−5、行動パターン判定部3−7、通信部3−8が、装置(3)5には、通信部5−1と、表示部5−2が設けられている。記憶部3−3に、判別データ3−3−1が記憶される。
【0059】
通信部1−9、通信部3−1は、装置(1)1と、装置(2)3の間でのデータ等のやり取りを行う。通信部3−8、通信部5−1は、装置(2)3と、装置(3)5の間でのデータ等のやり取りを行う。
【0060】
第6のシステムでは、装置(1)1側でセンシングデータと時刻を取得した後に演算処理を行い、装置(2)3側で、演算処理結果を受け取って行動判別処理を行う。そして、表示等の出力は、装置(3)5で行う。その他の処理は、基本的に、第1のシステムと同様である。
その他、種々のバリエーションが本発明には含まれるものとする。
【0061】
図3Aから
図3Dまでは、牛の行動判別のイメージを示す図である。以下では、
図1A、
図2Cのような構成を例にして処理の内容を説明するが、
図2Aから
図2Fまでの構成の変更に応じて、処理の主体等を変更すれば良い。
【0062】
図4は、装置(2)3内の情報処理装置における情報処理の流れの例を示すフローチャート図である。
図7から
図12までは、動物の行動パターンを判定するためのデータの一例について牛を例にして示した判別データ3−3−1の例を示す図である。
【0063】
まず、判別データ3−3−1の例について詳細に説明する。これらの判別データは、例えば、本実施の形態によりシステムを用いて得られた端末装置1からのセンシングデータと、カメラなどにより撮影された牛の行動とを対比させて得ることが出来る。このようなデータを一旦得ることが出来れば、その後の行動判別において継続的に利用することができる。飼育環境などに応じて、適宜、データを修正するようにしても良い。
【0064】
3軸加速度センサ1−1および3軸角速度センサ(各センサのY軸を頭方向、Z軸を上方向になるように設置)1−2を有する装置(1)1(
図1A、
図2C)を牛に装着し、装置(1)1から得られる加速度(X・Y:m/s
2)、角速度(X・Y:deg/s)を以下の手順で解析することにより、牛の行動パターンを、「確実な横臥」、「横臥又は静止起立」、「動作有り」、「移動」に判別することができる。また、後述するように、「他牛の乗駕行動を検知できる牛背面位置」に取り付けると発情の予測にも応用できる。尚、ここでは、3軸のセンサを用いているが、Z軸方向のデータを利用する必要がないため、2軸センサを用いることができる。
【0065】
以下に牛の場合を例にして行動判別法を示す。
1)牛の行動を判別する方法として、動作の大きさ(前後方向)を示す値として式(1)を用いる。
【0066】
動作の大きさを示す値(前後方向:x値)=|角速度(X方向)|/|加速度(Y方向) | … (1)
求めた値を第1の値とする。
【0067】
2)牛の行動を判別する方法として、動作の大きさ(前後・左右方向:y値)を示す値として(2)を利用した。
【0068】
動作の大きさを示す値(前後・左右方向)=
|角速度(X方向|/|加速度(Y方向)|×|角速度(Y方向)|/|加速度(X方向)| …(2)
求めた値を第2の値とする。
【0069】
以下に行動判別の意味について詳細に説明する。
式(1)における、|角速度(X方向)|(単位:deg/s)とは、端末装置1の設置位置をP1とすると、
図3A(a)に示すように、位置P1を中心として前後へ傾く(符号11)速度である。
【0070】
また、式(1)における、|加速度(Y方向)|(単位:m/s
2)とは、端末装置1の設置位置をP1とすると、
図3A(b)に示すように、位置P1を中心とした前後13a・13bへの加速度である。
【0071】
式(1)の考え方としては、以下の通りである(次元変換)。
a1) 「前後への加速度」あたりの「前後へ傾く速度」は、
a2) deg/s ÷ m/s
2 = deg・s/mの次元であり、
a3) sは一秒間隔で解析が行われるため打ち消され、
a4) 単位はdeg/mとなり、
a5) すなわち、(1)式は、前後方向の移動量あたりの背線の変化角度である。
【0072】
前後方向の移動量あたりの背線の変化角度とは、
図3Bに示すように、直進方向の移動量13a・13bあたりの背線L1の傾きθ
1(pitch)であると考えて良い。
【0073】
一方、式(2)における動作の大きさを示す値(前後・左右方向)=|角速度(X方向)|/|加速度(Y方向)|×|角速度(Y方向)|/|加速度(X方向)|の第2項において、|角速度(Y方向)|(単位:deg/s)とは、
図3C(a)に示すように、位置P1を中心として左右へ傾く(符号15)速度である。
【0074】
また、|加速度(X方向)|(単位:m/s
2)とは、
図3C(b)に示すように、位置P1を中心とした左右17a・17bへの加速度である。
【0075】
式(2)の考え方としては、以下の通りである(次元変換)。
b1) 「左右への加速度」あたりの「左右へ傾く速度」は、
b2) deg/s ÷ m/s
2 = deg・s/mの次元であり、
b3) sは一秒間隔で解析が行われるため打ち消され、
b4) 単位はdeg/mとなり、
b5) すなわち(2)式の第2項は、左右方向の移動量あたりの背線軸の回転角度である。
【0076】
左右方向の移動量あたりの背線軸の回転角度とは、
図3Dに示すように、左右方向の移動量17a・17bあたりの背線軸L3の回転角(roll)θ
2である。
【0077】
式(2)=背線の変化角度/前後方向の移動量×背線軸の回転角度/左右方向の移動量である。ここで、
・背線の変化角度 : 横臥<起立<移動
・前後方向の移動量 : 横臥≦起立≪移動
・背線軸の回転角度 : 横臥≦起立≪移動
・左右方向の移動量 : 横臥<起立<移動
であるから、背線の変化角度、背線軸の回転角度、前後方向の移動量、左右方向の移動量から動物の行動を判別することができる。
【0078】
3)横臥、起立、移動行動時のセンサ値を行動別に分類し、式1・2による算出値である第1の値xと第2の値yとの対数変換した値同士の関係は、
図7に示すように、正の直線関係にあることが発見された。
図7によれば、x値(グラフの横軸)およびy値(グラフの縦軸)が大きくなるに従って、牛の動作が大きくなる傾向があることがわかる。そして、y<1の動作(小)域では牛の行動パターンとしては横臥、起立が多く分布し、y>1の動作(大)では牛の行動パターンとして、移動が多く分布する。
【0079】
4)
図8に示すように、起立行動時の式(2)より求めた値を対数変換した度数分布によれば、y≧0.02850の範囲に99%以上の起立行動が分布し、横臥はそれ以下となることがわかる。
【0080】
5)
図9に示すように、移動行動時の式(2)より求めた値を対数変換した度数分布から、y>1.85739の範囲に90%以上の移動行動が分布し、起立及び横臥はそれ以下となることがわかる。
【0081】
6)
図10に示すように、横臥行動時の式(2)より求めた値を対数変換した度数分布から、y<1.87018の範囲に90%以上の横臥行動が分布し、横臥中の動作、寝返り、身繕い等はそれ以上となることがわかる。
【0082】
7)
図11に示すように、横臥行動時の式(1)により求めた値を対数変換した度数分布から、x<4.4420の範囲に約99%の横臥行動が分布し、移動はそれ以上となることがわかる。
【0083】
8)
図8−11の結果から、
図12に示すように、式(1)および式(2)を用いることにより、牛の行動を、「確実な横臥」、「横臥又は静止起立」、「動作有り」、「移動」にほぼ確実に分類することができる。
【0084】
すなわち、判別条件は以下の通りである。
「確実な横臥」 :y<0.03
「横臥又は静止起立」:0.03≦y≦2.0
「動作あり」 :y>2.0,x≦4.5
「移動」 :y>2.0,x>4.5
(3)式
【0085】
上記の判別データ3−3−1を用いて行動を判別する処理について
図2C、
図4を用いて詳細に説明する。まず、処理が開始され(ステップS1)、ステップS2において、装置(2)3の通信部3−1が、装置(1)1の通信部1−9から得た加速度センサ1−1と角速度センサ1−2におけるセンシングデータα、ωを受信する。ステップS3において、前後方向の動作の大きさxと、前後・左右方向の動作の大きさyとを、演算部3−6が、上記の式(1)、(2)に基づいて、上記の第1の値、第2の値などを演算する。
【0086】
次いで、ステップS4において、記憶部3−3の判別データ3−3−1を読み込んで、参照する。
【0087】
次いで、ステップS5において、行動パターン判定部3−7が、演算部3−6の演算データと参照する判別データ3−3−1とから、牛の行動パターンを判定する。例えば、演算データが
図12のいずれの領域に入るかにより行動パターンを上記(3)式により判定することができる。
【0088】
ステップS6において、表示部3−2により、判定結果を出力する。ステップS7において、処理を終了する場合には(Yes)ステップS8(end)に進み、処理を継続する場合には、ステップS2に戻る。
【0089】
以上の処理により、センシングデータに基づいて、牛の行動パターンを精度良く判別することができる。カメラなどによる観測と異なり、判定が自動的にできるという利点がある。また、センシングデータ量を少なくしても精度の良い行動判別が可能なため、情報処理の負担を軽減することができる。
【0090】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態による行動判別技術について説明する。
本実施の形態では、
図2A〜
図2Fまで(ここでは、
図2Cを例にする。)に示すように、装置(1)1に設けた赤外線センサ1−3等により、装置(1)1を装着した第1の牛とは異なる第2の牛の動きを検出する。
【0091】
例えば、背部に装着した赤外線センサ1−3による牛の背中(十字部)付近での第2の牛(他牛)の動き、例えば発情発現の兆候である乗駕行動を検知する。
【0092】
図5は、乗駕行動検出処理の流れを示すフローチャート図である。これらの処理は、例えば演算部3−6と、行動パターン判定部3−7等により行っても良いし、その他の処理部により行っても良い。ここでは、演算部3−6と行動パターン判定部3−7により検出を行う場合を例にして説明する。
【0093】
図5に示すように、装置(1)1において、赤外線センサ1−3による第2の牛の乗駕行動に基づく第2の牛の存在が検出されて、装置(1)1の通信部1−9からデータが送られると、装置(2)3における処理が開始され(ステップS11)、通信部3−1が、装置(1)1から送られた赤外線に基づく牛の検出データと検出タイミングを示すタイマ1−6における時刻とを受信する(ステップS12)。データの受信は、受信されたタイミングで開始されても良いし、継続的に行われても良い。
【0094】
ここで、ステップS13において、赤外線センサ1−3によるデータの受信開始から終了までの継続的な受信期間が、牛の乗駕と忌避とを区別するしきい値である、例えば3秒より長いか否かを判定する。そして、3秒より長い場合には(ステップS13でYes)、ステップS14に進み、当該検出データが乗駕許容行動と判定される。しきい値は適宜調整可能である。
【0095】
次いで、ステップS16において、ステップS14、S15の判定結果を出力し、ステップS17で処理を終了するか否かを判定して、処理の終了(ステップS18)又は処理の継続(ステップS12)のいずれかに進める。
【0096】
そして、検出結果を例えば牧場を管理する牧場管理センターなどに設置される遠隔の装置(2)3に無線で知らせる。この無線により、牧場管理センターにおいて牛の発情を知ることができる。
【0097】
以上のように、本実施の形態による行動判別方法では、赤外線データを用いて牛の乗駕行動を検出することができる。また、乗駕許容行動であるか乗駕拒否行動であるかを判定することができる。
【0098】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態による行動判別技術について説明する。
本実施の形態では、第1の実施の形態による行動判別方法と、第2の実施の形態による牛の乗駕許容行動と乗駕拒否行動との判別方法とを利用して牛の乗駕許容行動と乗駕拒否行動とを容易に判定するものである。
【0099】
図13は、
図12に対応する図であり、
図12に加えて、第2の実施の形態による乗駕許容と乗駕拒否との判別方法を利用して、牛の乗駕許容行動、忌避行動のデータをプロットしたものである。この図より、牛の乗駕許容行動は、以下のように表される。
【0100】
牛の乗駕許容行動、忌避行動のデータは、例えば、
図5のステップS12において赤外線データの受信を開始した時点から赤外線のデータの受信を終了した時点までの間において、角速度(X方向)、加速度(Y方向)、角速度(Y方向)および加速度(X方向)の平均値を利用し、(1式)および(2式)の関係を求めたものである。
【0101】
図13より、乗駕許容行動は、x≧4.5(移動域)、y>2.0(動作有りまたは移動域)に、分布し、乗駕忌避行動は、1<x<4.5(動作あり)、y>2.0(動作有りまたは移動域)に分布することがわかる。
【0102】
求めた値が、
図13における牛の乗駕許容判定領域か乗駕忌避判定領域かを判別し、行動が、牛の乗駕許容か乗駕忌避かそれ以外かを知ることができる。この判別処理は、例えば、
図5のステップS12の赤外線データを受信した時に行えば良い。
【0103】
本実施の形態によれば、動物の行動判別方法を利用して、簡単に牛の乗駕許容か乗駕忌避かそれ以外かを知ることができる。
【0104】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態による行動判別技術について説明する。
発情牛は非発情牛と比べて横臥・起立時間が減少し、移動時間が延長する。そこで、本発明の第1の実施の形態による行動パターン判別方法を利用して単位時間当たりの行動の発現割合を把握することにより、発情開始が予測できる。
【0105】
図4のステップS5から、
図6に示すように、ステップS21において、横臥・起立時間が減少しているか否かを判定し、Yesであれば、ステップS22に進み、移動時間が延長されているかを判定する。ステップS22においてYesであれば、ステップS23に進み、発情開始と予測して、その旨の出力等を行う。Noであれば、ステップS21に戻る。
【0106】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の実施の形態等の行動判別方法を利用して、横臥・起立時間と、移動時間とに基づいて、牛の発情を検出することができる。
【0107】
本実施の形態によれば、加速度センサ、角速度センサおよび本判別方法を利用することで、「確実な横臥」、「横臥又は静止起立」、「動作有り」、「移動」の判別を精度良く行うことができる。
【0108】
また、単位時間当たりの行動の発現割合を把握することにより、発情開始の予測をすることもできる。
【0109】
発情行動のうち発情開始の指標となる「乗駕許容行動」を「乗駕忌避行動」や「乗駕失敗」と判別することができる。
【0110】
牛以外の動物に対しても式(1)・(2)を適用することで行動判別が可能である。
【0111】
すなわち、本実施の形態について牛を例にして説明したが、その他の動物についても、同様の方法で行動パターンを判別することができる。例えば馬などは、パラメータ値が異なるだけであり、同様の手法でパラメータを求めれば良い。
【0112】
処理および制御は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)によるソフトウェア処理、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)によるハードウェア処理によって実現することができる。
【0113】
また、上記の実施の形態において、添付図面に図示されている構成等については、これらに限定されるものではなく、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0114】
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
【0115】
また、本実施の形態で説明した機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各部の処理を行ってもよい。尚、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0116】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
【0117】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また前記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。機能の少なくとも一部は、集積回路などのハードウェアで実現しても良い。