(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流動方向を、前記被加熱物の平坦状の衝突面と直交する方向に定めて、前記混合ガスを前記衝突面に衝突させるようにして、前記衝突面に沿った平面火炎を形成することを特徴とする請求項1記載の燃焼方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
予混合燃焼は、燃料と酸化剤ガスとの混合割合を、酸化剤ガスが過剰となる状態に設定することや、混合ガスに不活性ガスを混合させることが行い易いものであることにより、火炎の温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる利点を備えるものであるが、予混合燃焼には、逆火の危険が本質的に存在することになる。
【0007】
すなわち、特許文献1においては、混合気噴射ノズルから噴出される予混合気の流速が、燃焼室内での混合気の燃焼速度の1.5倍以上になるようにすることにより、逆火の発生を抑制することになる。
しかしながら、例えば、火力調整(混合気流量低減)の必要性や、機器類の故障や誤作動等により、混合気噴射ノズルから噴出される予混合気の流速が、混合気の燃焼速度よりも低下する可能性がある等、予混合燃焼には、逆火の危険が本質的に存在することになる。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、逆火の発生を回避した状態で、燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させることができる燃焼方法を提供する点にある。
本発明の別の目的は、逆火の発生を回避した状態で、燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させることができる燃焼装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の燃焼方法は、燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させる方法であって、その第1特徴は、
前記燃料と前記酸化剤ガスとを
前記燃料を噴出する燃料噴出ノズルと当該燃料噴出ノズルの周囲の
前記酸化剤ガスを噴出する空気噴出孔とから同じ方向に向けて各別に燃焼空間に噴出して、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間にて混合させ、かつ、前記燃料と前記酸化剤ガスとの混合ガスが前記燃焼空間を流動する流速が、前記燃焼空間における前記混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件にて、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間に供給し、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流速が前記燃焼速度以下に減速した後に、前記混合ガスを着火させて火炎を形成して燃焼させ、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスを、被加熱物に衝突させて、前記混合ガスの流速を前記燃焼速度以下に減速させることを特徴とする。
【0010】
本願において「燃料」とは燃焼空間に供給可能な燃料を意味し、気体状の所謂燃料ガスの他、液体燃料(燃焼空間への導入前に予蒸発させて燃料ガスとして燃焼空間に導入するもの、及び液体のまま燃焼空間に噴霧した後蒸発して燃料ガスとなるもの)をも含む。
本願の燃焼方法では、燃料と酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給して、燃焼空間にて、燃料と酸化剤ガスとを混合させて混合ガスを生成することになるが、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件にて、燃料と酸化剤ガスとが燃焼空間に供給されているため、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなり、混合ガスは燃焼を開始することなく、燃焼空間を流動することになる。
ちなみに、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度は、燃焼空間における混合気の濃度(当量比)、温度、及び圧力、並びに混合ガスの流動状態(層流であるか、乱流であるか)から、推算される。この推算においては、層流火炎に対しては燃焼の詳細反応ソフト「CHEMKIN」(Reaction Design社製)を、乱流火炎に対しては「ANSYS Fluent」(ANSYS社製)等のCFDソフトに組み込まれた燃焼計算パッケージを使用する。このようにして予め推算される燃焼空間における混合ガスの燃焼速度を基準に、本願に於ける混合ガスの燃焼空間を流動する流速を設定する。
【0011】
そして、燃焼空間を流動する混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速した後に、混合ガスを着火させて火炎を形成して燃焼させるようにする。
ちなみに、流動する混合ガスを減速させる要因は
、混合ガス
が衝突する物体を燃焼空間に存在させて、強制的に減速させるようにしてもよい。
【0012】
また、混合ガスの着火の形態は、点火プラグ等を用いて強制着火させる形態や、パイロットバーナを設けて着火させる形態を採用することができ、また、燃焼空間内の温度や圧力を高くして、自発着火させる形態を採用することもできる。
【0013】
このように、燃料と酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給して、燃料と酸化剤ガスとを燃焼空間にて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料を燃焼させることができるのであり、そして、燃料と酸化剤ガスとの混合割合を、酸化剤ガスが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎の温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。また、混合ガスは燃焼空間内にあるガスとも混合するが、このような混合による火炎の温度低下と燃焼速度低下(局所高温防止)の効果によって、窒素酸化物の生成を抑制することが可能となる。
【0014】
また、燃料が予混合燃焼に類似する形態で燃焼されるものの、燃料と酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給して、燃焼空間にて、燃料と酸化剤ガスとを混合させて混合ガスを生成するものであるから、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなる供給条件を外れても、つまり、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも遅くなっても、燃料を噴出する噴出部に付着する火炎を形成する状態(通常の拡散燃焼状態)で燃焼が行われるものであるため、予混合燃焼に本質的に存在する逆火の危険を回避することができる。
【0015】
要するに、本発明の第1特徴によれば、逆火の発生を回避した状態で、燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させることができる燃焼方法を提供できる。
【0017】
また、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速い速度で燃焼空間を流動する混合ガスが、被加熱物
と衝突することにより、混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速されることになり、その後、混合ガスを着火させて火炎を形成して燃焼させる。
【0018】
このように、混合ガスを被加熱物
と衝突させて、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させるものであるから、燃焼空間内に存在する雰囲気ガスとの接触による要因のみにて減速させるようにする場合に較べて、燃焼空間の小型化を図ることができる。
【0019】
また、混合ガスを被加熱物
と衝突させて、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させた場合には、被加熱物の近傍に火炎を形成する状態で、混合ガスを燃焼させることができるため、被加熱物を効率良く加熱でき、加えて、火炎の熱が被加熱物に効率良く移動されることにより、結果的に、火炎の温度を低下させて、窒素酸化物の生成を一層抑制することが可能となる。
【0020】
ちなみに、混合ガスを被加熱物
と衝突させることにより、火炎の温度を十分に低下できる場合には、燃料と酸化剤ガスとの混合割合を、理論空気量に近い比となるように定めるようにしながら、窒素酸化物の生成を抑制する形態で燃焼させることが可能となるのであり、この場合には、排ガス量の減少により省エネルギー化を図ることができるものとなる。
【0021】
要するに、本発明の第
1特徴は、上
記作用効果に加えて、燃焼空間の小型化、被加熱物の加熱効率の向上、及び、窒素酸化物の生成の低下を図ることができる燃焼方法を提供できる。
【0022】
本発明の燃焼方法の第
2特徴は、上記第
1特徴に加えて、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流動方向を、前記被加熱物の平坦状の衝突面と直交する方向に定めて、前記混合ガスを前記衝突面に衝突させるようにして、前記衝突面に沿った平面火炎を形成することを特徴とする。
【0023】
すなわち、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速い速度で燃焼空間を流動する混合ガスが、被加熱物の平坦状の衝突面に対して直交する方向から衝突して、混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速されることになり、その後、混合ガスを着火させて、衝突面に沿った平面火炎を形成して燃焼させることになる。
【0024】
被加熱物の衝突面に沿った状態に形成される平面火炎は、衝突面の全体を効率良く加熱し、また、衝突面を均一に加熱することになるため、被加熱物の全体を均一に加熱するのに有効となる。
【0025】
要するに、本発明の第
2特徴によれば、上記第
1特徴による作用効果に加えて、被加熱物の全体を均一に加熱するのに有効な燃焼方法を提供できる。
【0030】
本発明の燃焼方法の第
3特徴は、上記第1
又は第2特徴に加えて、
前記燃焼空間が、断熱的な固体壁で囲繞されていることを特徴とする。
【0031】
すなわち、燃焼空間が、断熱的な固体壁で囲繞されているから、燃焼空間の内部を、十分な高温状態に維持することができる。
これにより、被加熱物による火炎の急冷に伴って起きる燃焼反応の停止(クエンチング)で発生する不完全燃焼ガスを、その高温空間にて完全燃焼(酸化)し、その熱で空間の温度を上昇させることで不完全燃焼ガスの保有熱を有効に回収することができるとともに、安全を確保することができる。その結果、燃焼空間内に存在する被加熱物を高温状態に良好に加熱することができる。
【0032】
要するに、本発明の第
3特徴によれば、上記第1
又は第2特徴による作用効果に加えて、被加熱物を高温状態に良好に加熱するのに有効な燃焼方法を提供できる。
【0033】
本発明の燃焼装置は、燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させるものであって、その特徴構成は、
前記燃料と前記酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給する各別供給手段が、前記燃料と前記酸化剤ガスとの混合ガスが前記燃焼空間を流動する流速が、前記燃焼空間における前記混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件を満足させる状態で、前記燃料と前記酸化剤ガスとを
前記燃料を噴出する燃料噴出ノズルと当該燃料噴出ノズルの周囲の
前記酸化剤ガスを噴出する空気噴出孔とから同じ方向に向けて各別に燃焼空間に噴出して、前記燃料と前記酸化剤ガスとを前記燃焼空間にて混合させるように設けられて、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスの流速が前記燃焼速度以下に減速した後に、前記混合ガスが着火して火炎を形成して燃焼するように構成され、
前記燃焼空間を流動する前記混合ガスを、被加熱物に衝突させて、前記混合ガスの流速を前記燃焼速度以下に減速させるように構成されている点を特徴とする。
【0034】
すなわち、燃料と酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給して、燃焼空間にて、燃料と酸化剤ガスとを混合させて混合ガスを生成することになるが、各別供給手段が、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなるようにする供給条件を満足させる状態で、燃料と酸化剤ガスとを燃焼空間に供給するため、燃焼空間を流動する混合ガスの流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなり、混合ガスは燃焼を開始することなく、燃焼空間を流動することになる。
燃焼空間における混合気の濃度(当量比)、温度、及び圧力、並びに混合ガスの流動状態(層流であるか、乱流であるか)から推算される。このようにして予め推算される燃焼空間における混合ガスの燃焼速度を基準に、本願に於ける混合ガスの燃焼空間を流動する流速を設定する。
【0035】
そして、燃焼空間を流動する混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速した後に、混合ガスが着火して火炎を形成して燃焼することになる。
ちなみに、流動する混合ガスを減速させる要因は
、混合ガス
が衝突する物体を燃焼空間に存在させて、強制的に減速させるようにしてもよい。
【0036】
また、混合ガスの着火の形態は、点火プラグ等を用いて強制着火させる形態や、パイロットバーナを設けて着火させる形態を採用することができ、また、燃焼空間内の温度や圧力を高くして、自発着火させる形態を採用することもできる。
【0037】
このように、燃料と酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給して、燃料と酸化剤ガスとを燃焼空間にて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料を燃焼させることができるのであり、そして、燃料と酸化剤ガスとの混合割合を、酸化剤ガスが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎の温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
【0038】
また、燃料が予混合燃焼に類似する形態で燃焼されるものの、燃料と酸化剤ガスとを各別に燃焼空間に供給して、燃焼空間にて、燃料と酸化剤ガスとを混合させて混合ガスを生成するものであるから、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも速くなる供給条件を外れても、つまり、混合ガスが燃焼空間を流動する流速が、燃焼空間における混合ガスの燃焼速度よりも遅くなっても、燃料を噴出する噴出部に付着する火炎を形成する状態で燃焼が行われるものであるため、予混合燃焼に本質的に存在する逆火の危険を回避することができる。
【0039】
要するに、本発明の特徴構成によれば、逆火の発生を回避した状態で、燃料と酸化剤ガスとを混合させたのちに燃焼させることができる燃焼装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(連続炉の全体構成)
図1及び
図2に示すように、例示する連続炉は、被加熱物Dとしての直方体状の鋼塊1を加熱処理するものであって、トンネル状の炉体2の底部2Tに、被加熱物搬送部3が、炉体2の入口部2iと出口部2eとに亘る状態で設けられて、プッシャ4にて順次送り込まれる鋼塊1を被加熱物搬送部3にて連続的に搬送しながら、鋼塊1を加熱処理するように構成されている。
【0042】
炉体2の天井壁部2U及び両横側壁部2Sには、コークス炉ガス(COG)やメタンを主成分とする都市ガス等の燃料ガスG(燃料の一例)と酸化剤ガスとしての燃焼用空気Aとを炉体2の内部の燃焼空間Nに各別に噴出する複数の噴出体Bが、炉体2の長手方向に沿って、間隔を隔てて設けられている。
ちなみに、炉体2の内部の温度、つまり、燃焼空間Nの温度は、目的によって異なるものの本例では定常運転状態においては、900℃〜1000℃程度であり、燃料ガスGが自己着火する温度である。
【0043】
燃焼用空気Aを送風する送風ブロア5が設けられ、送風ブロア5にて送風される燃焼用空気Aを案内する空気供給路7が、空気予熱用熱交換器6を経由して噴出体Bに接続されている。
炉体2の天井壁部2Uに形成した排ガス流路8を通して炉外に導かれた燃焼排ガスが、空気予熱用熱交換器6を経由する排ガス排出路9を通して排気用煙突(図示せず)に導かれている。
【0044】
つまり、送風ブロア5にて送風される燃焼用空気Aが、空気予熱用熱交換器6によって、炉体2の内部から排出される排ガスによって予熱されたのち、噴出体Bに供給されるように構成されている。
【0045】
また、燃焼用空気Aを噴出体Bに供給する空気供給路7には、燃焼用空気Aの供給量を調整する空気調整ダンパ10が設けられ、噴出体Bに燃料ガスGを供給する燃料供給路11には、燃料供給を断続する開閉弁12及び燃料ガスGの供給量を調整する燃料調整弁13が設けられて、噴出体Bから噴出される燃料ガスGの噴出量や燃焼用空気Aの噴出量を調整できるように構成されている。
【0046】
連続炉の燃焼を制御する燃焼制御部C1が、燃焼開始、燃焼停止等の燃焼指令情報を指令する手動設定器14の指令情報に基づいて、空気調整ダンパ10、開閉弁12及び燃料調整弁13の作動を制御して、噴出体Bから噴出される燃料ガスGの燃焼状態を制御するように構成されている。
【0047】
すなわち、燃焼制御部C1は、燃焼開始が指令されると、燃料ガスGを初期燃焼状態で燃焼させる立ち上げ運転を行い、立ち上げ運転の終了後に、燃料ガスGを定常燃焼状態で燃焼させる定常運転を行うことになり、また、燃焼停止指令が指令されると、燃焼を停止させる停止運転を行うことになる。
【0048】
ちなみに、初期燃焼状態では、噴出体Bに付着する火炎を生成する状態で燃料ガスGを燃焼させ、定常燃焼状態では、鋼塊1の上面や横側面に沿った平面火炎Ft(
図2参照)を形成する状態で燃料ガスGを燃焼させることになり、その詳細は後述する。
【0049】
(噴出体の詳細)
噴出体Bには、燃料ガスGを噴出する燃料噴出ノズルBgと、燃焼用空気Aを噴出する一対の空気噴出孔Baとが、燃料噴出ノズルBgの周囲に複数個の空気噴出孔Baを対照的に位置させる状態、または環状路を形成する状態で設けられている。
また、燃料噴出ノズルBgと空気噴出孔Baとは、燃料ガスGと燃焼用空気Aと同じ方向に向けて噴出するように形成されている。
【0050】
複数の噴出体Bのうちの、炉体2の天井壁部2Uに装備された噴出体Bにて燃料ガスGと燃焼用空気Aとを噴出する方向が、鋼塊1の上面と直交する方向となり、炉体2の横側壁部2Sに装備される噴出体Bにて燃料ガスGと燃焼用空気Aとを噴出する方向が、鋼塊1の横側面と直交する方向となるように、複数の噴出体Bが炉体2に設置されている。
【0051】
(燃焼制御の詳細)
燃焼制御部C1は、初期燃焼状態においては、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度以下となる状態で、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに噴出させて、噴出体Bに付着する火炎を生成する状態で燃料ガスGを燃焼させることになる。
【0052】
また、燃焼制御部C1は、定常燃焼状態においては、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも速くなる供給条件を満足させる状態で、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに供給することになり、そして、燃焼空間Nを流動する混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速した後に、混合ガスを着火させて火炎Fを形成して燃焼させることになる。
【0053】
ちなみに、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度は、燃焼空間N内における混合気の濃度(当量比)、温度、及び圧力、並びに混合ガスの流動状態(層流であるか、乱流であるか)から推算される。
そして、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速を、燃焼速度の1.5〜4.5の範囲に定めることが好ましい。
【0054】
この第1実施形態においては、燃焼空間Nを流動する混合ガスを、鋼塊1に衝突させることにより、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させて、混合ガスを着火させて燃焼させることになる。
具体的には、上述の如く、炉体2の天井壁部2Uに装備された噴出体Bにて燃料ガスGと燃焼用空気Aとを噴出する方向が、鋼塊1の上面と直交する方向となり、炉体2の横側壁部2Sに装備される噴出体Bにて燃料ガスGと燃焼用空気Aとを噴出する方向が、鋼塊1の横側面と直交する方向となるように定められるものであるから、鋼塊1の上面及び横側面が、混合ガスが衝突する平坦状の衝突面Qとして機能することになる。なお、炉体の底面からも同様にして火炎を形成し、加熱してより均一に鋼塊1を加熱することも可能である。
【0055】
そして、燃焼空間Nを流動する混合ガスを鋼塊1の衝突面Qに衝突させるようにして、火炎Fとして、衝突面Qに沿った平面火炎Ftを形成する状態で、混合ガスを燃焼させるようになっている。
【0056】
ちなみに、この第1実施形態においては、定常燃焼状態において上記供給条件で燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給する各別供給手段Hが、複数の噴出体B及び燃焼制御部C1を主要部として構成されることになる。
【0057】
(第1実施形態の補足説明)
以上の通り、この第1実施形態によれば、定常燃焼状態においては、燃料ガスGと酸化剤ガスしての燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nにて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料ガスGを燃焼させることができる。
したがって、燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合割合を、燃焼用空気Aが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
【0058】
また、燃料ガスGが予混合燃焼に類似する形態で燃焼されるものの、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃焼空間Nにて、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを混合させて混合ガスを生成するものであるから、混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも遅くなっても、燃料ガスGを噴出する噴出体Bに付着する火炎を形成する状態で燃焼が行われるものであるため、予混合燃焼に本質的に存在する逆火の危険を回避することができる。
【0059】
また、混合ガスを被加熱物Dとしての鋼塊1に衝突させて、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させるものであるから、燃焼空間Nの小型化を図ることができ、しかも、被加熱物Dとしての鋼塊1の近傍に火炎Fを形成する状態で、混合ガスを燃焼させることができるため、被加熱物Dとしての鋼塊1を効率良く加熱でき、加えて、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を一層抑制することが可能となる。小型化できる特徴は、必要に応じて、底面から鋼塊を加熱する際には特に有利な条件になる。
【0060】
また、燃焼空間Nを流動する混合ガスが、被加熱物Dとしての鋼塊1の平坦状の衝突面Qに対して直交する方向から衝突して、衝突面Qに沿った平面火炎Ftを形成して燃焼することになるから、衝突面Qの全体を効率良く加熱し、また、衝突面Qを均一に加熱することになるため、被加熱物Dとしての鋼塊1の全体を均一に加熱するのに有効となる。
【0061】
さらに、燃焼空間Nが、断熱的な固体壁としての炉体2で囲繞されているから、燃焼空間Nの内部を、十分な高温状態にすることができるため、被加熱物Dとしての鋼塊1を高温状態に良好に加熱することができる。同時に、不完全燃焼を抑えることができ、不完全燃焼に伴う燃焼損失を抑制できるとともに安全を確保することができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の
参考の実施形態である第2実施形態を図面に基づいて説明する。
(ガスコンロの全体構成)
図3に示すように、例示するガスコンロは、天板16の上面に五徳17を設けて、被加熱物Dとしての鍋18を五徳17にて載置するように構成されている。
天板16における五徳17の内方側部分には、メタンを主成分とする都市ガス等の燃料ガスGを噴出する燃料噴出体19が設けられ、燃料噴出体19の下方には、燃焼用空気Aの流動を許容する間隙を隔てた状態で皿状の汁受体20が設けられている。
【0063】
燃料噴出体19は、環状に形成されて、その内方側部分には、複数の燃料噴出孔21が周方向に間隔を隔てて並ぶ状態に形成されている。
燃料噴出体19に燃料ガスGを供給する燃料供給路22には、燃料供給を断続する開閉弁23及び燃料ガスGの供給量を調整する燃料調整弁24が設けられて、燃料噴出体19から噴出される燃料ガスGの噴出量を調整できるように構成されている。
【0064】
ガスコンロの燃焼を制御する燃焼制御部C2が、燃焼開始、燃焼停止、火力の大きさ等の燃焼指令情報を指令する燃焼設定器25の指令情報に基づいて、開閉弁23及び燃料調整弁24の作動を制御して、燃料噴出体19から噴出される燃料ガスGの燃焼状態を制御するように構成されている。
【0065】
すなわち、燃焼制御部C2は、燃焼開始が指令されると、燃料ガスGを燃料噴出体19から噴出させて、燃焼を開始し、燃焼停止が指令されると、燃料噴出体19からの燃料ガスの噴出を停止することになり、また、設定された火力の大きさに基づいて、燃料噴出体19からの燃料ガスGの噴出量を調整することになる。
【0066】
この第2実施形態においては、鍋18の下方側の空間が、燃焼空間Nとして機能するものであって、燃料噴出体19の複数の燃料噴出孔21から噴出された燃料ガスGは、互いに衝突しながら上方に向けて流動する形態で、燃焼空間Nを流動することになり、この燃焼に伴い発生する高温状態に於ける密度差で炉内に形成される対流により、燃焼用空気Aが燃料ガスGの流れに向けて流動する形態で、燃焼用空気Aが燃焼空間Nを流動することになる。
【0067】
(燃焼制御の詳細)
燃焼制御部C2は、燃料噴出体19から噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも速くなる供給条件を満足させる状態で、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに供給することになり、そして、燃焼空間Nを流動する混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速した後に、混合ガスを着火させて火炎Fを形成して燃焼させることになる。
【0068】
ちなみに、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度は、燃焼空間N内における混合気の濃度(当量比)、温度、及び圧力、並びに混合ガスの流動状態(層流であるか、乱流であるか)等から推算されるが、本条件では常温常圧の層流として問題ない。
そして、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速を、燃焼速度の1.5〜4.5の範囲に定めることが好ましい。
【0069】
この第2実施形態においては、燃焼空間Nを流動する混合ガスを、鍋18の底部に衝突させることにより、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させて、混合ガスを着火させて燃焼させることになる。
具体的には、上述の如く、燃料噴出体19から噴出された燃料ガスGと燃料ガスGの流れに吸引された燃焼用空気Aとの混合ガスが、燃焼空間Nの内部を上方に向けて流動することになるため、混合ガスの流動する方向が、鍋18の底面と直交する方向となるように定められるものであるから、鍋18の底面が、混合ガスが衝突する平坦状の衝突面Qとして機能することになる。
【0070】
そして、燃焼空間Nを流動する混合ガスを鍋18の衝突面Qに衝突させるようにして、火炎Fとして、衝突面Qに沿った平面火炎Ftを形成する状態で、混合ガスを燃焼させるようになっている。
【0071】
ちなみに、この第2実施形態においては、上記供給条件で燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給する各別供給手段Hが、燃料噴出体19及び燃焼制御部C2を主要部として構成されることになる。
【0072】
(第2実施形態の補足説明)
以上の通り、この第2実施形態によれば、燃料ガスGと酸化剤ガスしての燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nにて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料ガスGを燃焼させることができる。
したがって、燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合割合を、燃焼用空気Aが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
【0073】
また、燃料ガスGが予混合燃焼に類似する形態で燃焼されるものの、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃焼空間Nにて、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを混合させて混合ガスを生成するものであるから、混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも遅くなっても、燃料ガスGを噴出する燃料噴出体19に付着する火炎を形成する状態で燃焼が行われるものであるため、予混合燃焼に本質的に存在する逆火の危険を回避することができる。
なお、コンロの場合、正常な状態での燃料ガス噴出速度の低下は小火に絞ったときに起きるが、火炎が燃料噴出体19に付着し鍋から離れる状態は、焦げ付きを抑えるのに都合がよい。
【0074】
また、混合ガスを被加熱物Dとしての鍋18に衝突させて、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させるものであるから、燃焼空間Nの小型化を図ることができ、しかも、被加熱物Dとしての鍋18の近傍に火炎Fを形成する状態で、混合ガスを燃焼させることができるため、被加熱物Dとしての鍋18を効率良く加熱でき、加えて、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を一層抑制することが可能となる。
【0075】
また、燃焼空間Nを流動する混合ガスが、被加熱物Dとしての鍋18の底部の平坦状の衝突面Qに対して直交する方向から衝突して、衝突面Qに沿った平面火炎Ftを形成して燃焼することになるから、衝突面Qの全体を効率良く加熱し、また、衝突面Qを均一に加熱することになるため、被加熱物Dとしての鍋18の全体を均一に加熱するのに有効となる。
【0076】
尚、この第2実施形態においては、燃焼空間Nを流動する燃料ガスGの流れによる吸引作用や、鍋18の周囲の燃焼ガスの上昇流Eの流れによる吸引作用にて、燃焼用空気Aを燃焼空間Nに供給する場合を例示したが、燃焼用空気Aを燃焼空間Nに強制的に供給する送風手段を設ける形態で実施してもよい。
【0077】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の
参考の実施形態である第3実施形態を図面に基づいて説明する。
(給湯器の全体構成)
図4に示すように、例示する給湯器は、ケーシング27の内部にフィンチューブ式熱交換器Kを備える形態に構成されている。
フィンチューブ式熱交換器Kは、伝熱フィン28fが外周部に付設された複数の本体側伝熱管28を備える本体部と、その本体部に接続された湯水導入及び出湯用の一対の伝熱管29とを備えており、一対の伝熱管29の一方から供給された湯水を本体部の本体側伝熱管28を流動させたのち、一対の伝熱管29の他方から出湯する形態で湯水を流動させて、一般給湯栓等に給湯するように構成されている。
【0078】
一対の伝熱管29が、本体部の下方側箇所に、左右に並ぶ状態で設けられ、ケーシング27における一対の伝熱管29を覆う下方部分27Aが、伝熱管29の外周に沿った半円筒状となるように形成されて、被加熱物Dとしての一対の伝熱管29の夫々と下方部分27Aとの間に、横断面形状が円弧状の燃焼空間Nが形成されている。
【0079】
フィンチューブ式熱交換器Kの両横側部には、メタンを主成分とする都市ガス等の燃料ガスGと酸化剤ガスとしての燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに各別に噴出する噴出部Mが設けられている。
つまり、一対の伝熱管29のうちの一方と下方部分27Aとの間に形成された燃焼空間Nに対して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に噴出する噴出部Mと、一対の伝熱管29のうちの他方と下方部分27Aとの間に形成された燃焼空間Nに対して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に噴出する噴出部Mとが設けられている。
【0080】
噴出部Mには、空気噴出孔Maが形成され、その空気噴出孔Maの中央部に、燃料噴出ノズルMgが、空気噴出孔Maを貫通する状態で設けられている。
【0081】
燃焼用空気Aを送風する送風ブロア30にて送風される燃焼用空気Aを案内する空気供給路31が、噴出部Mに接続され、空気供給路31には、燃焼用空気Aの供給量を調整する空気調整ダンパ32が設けられている。
また、噴出部Mに燃料ガスGを供給する燃料供給路22には、燃料供給を断続する開閉弁34及び燃料ガスGの供給量を調整する燃料調整弁35が設けられている。
しがって、噴出部Mから噴出される燃料ガスGの噴出量や燃焼用空気Aの噴出量を調整できるように構成されている。
【0082】
給湯器の燃焼を制御する燃焼制御部C3が、目標給湯温度等を設定する手動設定部36の設定情報や一般給湯栓が開かれる等により指令される給湯指令等に基づいて、空気調整ダンパ32、開閉弁34及び燃料調整弁35の作動を制御して、噴出部Mから噴出される燃料ガスGの燃焼状態を制御するように構成されている。
【0083】
すなわち、燃焼制御部C3は、燃給湯指令が指令されると、燃料ガスG及び燃焼用空気Aを噴出部Mから噴出させて、燃焼を開始し、給湯指令の指令が停止すると、噴出部Mからの燃料ガスG及び燃焼用空気Aの噴出を停止することになり、また、設定された目標給湯温度等の情報に基づいて、噴出部Mから噴出される燃料ガスGの噴出量や燃焼用空気Aの噴出量を調整することになる。
【0084】
(燃焼制御の詳細)
燃焼制御部C1は、噴出部Mから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも速くなる供給条件を満足させる状態で、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nに供給することになり、そして、燃焼空間Nを流動する混合ガスの流速が燃焼速度以下に減速した後に、混合ガスを着火させて火炎Fを形成して燃焼させることになる。
【0085】
ちなみに、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度は、燃焼空間N内の温度や圧力、及び、混合ガスの流動状態(層流であるか、乱流であるか)等を考慮して定められることになる。
そして、噴出体Bから噴出された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速を、燃焼速度の1.5〜4.5の範囲に定めることが好ましい。
【0086】
この第3実施形態においては、燃焼空間Nを流動する混合ガスを、伝熱管29の外周面に接触させることにより、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させて、混合ガスを着火させて燃焼させることになる。
つまり、燃焼空間Nを流動する混合ガスを、伝熱管29の外周面に接触させるようにして、火炎Fとして、伝熱管29の外周面(表面)に沿った円弧状火炎Fcを形成する状態で、混合ガスを燃焼させるようになっている。
【0087】
そして、燃焼空間Nの燃焼ガスが、フィンチューブ式熱交換器Kの本体部に流動して、本体側伝熱管28を加熱したのちに、外部に排出されるように構成されている。
【0088】
ちなみに、この第3実施形態においては、上記供給条件で燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給する各別供給手段Hが、一対の噴出部M及び燃焼制御部C3を主要部として構成されることになる。
【0089】
(第3実施形態の補足説明)
以上の通り、この第3実施形態によれば、燃料ガスGと酸化剤ガスしての燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを燃焼空間Nにて混合させたのち、混合ガスを燃焼させるものであるから、予混合燃焼に類似する形態で、燃料ガスGを燃焼させることができる。
したがって、燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合割合を、燃焼用空気Aが過剰となる状態に設定すること等によって、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を抑制することができる。
【0090】
また、燃料ガスGが予混合燃焼に類似する形態で燃焼されるものの、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを各別に燃焼空間Nに供給して、燃焼空間Nにて、燃料ガスGと燃焼用空気Aとを混合させて混合ガスを生成するものであるから、混合ガスが燃焼空間Nを流動する流速が、燃焼空間Nにおける混合ガスの燃焼速度よりも遅くなっても、燃料ガスGを噴出する噴出部Mに付着する火炎を形成する状態で燃焼が行われるものであるため、予混合燃焼に本質的に存在する逆火の危険を回避することができる。
【0091】
また、混合ガスを伝熱管29に接触させて、混合ガスの流速を燃焼速度以下に減速させるものであるから、燃焼空間Nの小型化を図ることができ、しかも、被加熱物Dとしての伝熱管29の近傍に火炎Fを形成する状態で、混合ガスを燃焼させることができるため、被加熱物Dとしの伝熱管29を効率良く加熱でき、加えて、火炎Fの温度を低下させて、窒素酸化物の生成を一層抑制することが可能となる。
【0092】
また、燃焼空間Nを流動する混合ガスが、被加熱物Dとしての伝熱管29の外周面(表面)に接触して、伝熱管29の外周面(表面)に沿った円弧状火炎Fcを形成して燃焼することになるから、伝熱管29の表面を効率良く加熱し、また、伝熱管29の大きな範囲を加熱するのに有効となるため、伝熱管29の全体を効率良く加熱するのに有効となる。
その結果、フィンチューブ熱交換器28の伝熱面積を小さくできるので、熱交換器全体を小型化できる。
【0093】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記第1〜第3実施形態においては、燃料として、都市ガス等の燃料ガスG(気体燃料)を用いるようにしたが、先にも示したように、例えば、液体燃料(燃焼空間への導入前に予蒸発させて燃料ガスとして燃焼空間に導入するもの、及び液体のまま燃焼空間に噴霧した後蒸発して燃料ガスとなるもの)も燃料とすることができる。
【0094】
(2)上記第1〜第3実施形態においては、酸化剤ガスとして、燃焼用空気Aを用いるようにしたが、例えば、空気に純酸素を加えた酸素富化空気を用いるようにする等、酸化剤ガスとしては、酸素を含有する種々のガスを利用することができる。
【0096】
(
3)本発明の燃焼方法は、上記第1実施形態の連続炉、第2実施形態のガスコンロ、及び、第3実施形態の給湯器に適用する他、種々の燃焼機器に適用できるものである。
例えば、蒸気ボイラに適用できるものであり、この場合、上記第3実施形態における本体側伝熱管28及び一対の伝熱管29に相当する蒸気生成用加熱管を上下方向に沿う姿勢で配置する形態で構成してもよい。