特許第6395474号(P6395474)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395474
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20180913BHJP
   A61F 13/476 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   A61F13/511 100
   A61F13/476
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-135431(P2014-135431)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-13201(P2016-13201A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100141438
【弁理士】
【氏名又は名称】吉迫 大祐
(72)【発明者】
【氏名】田村 竜也
(72)【発明者】
【氏名】野田 祐樹
【審査官】 ▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−142413(JP,A)
【文献】 特開2000−189459(JP,A)
【文献】 特開平01−158953(JP,A)
【文献】 特開2013−208419(JP,A)
【文献】 特開昭64−056051(JP,A)
【文献】 特開2010−220913(JP,A)
【文献】 実開平05−093430(JP,U)
【文献】 特開平11−197179(JP,A)
【文献】 特開平05−154177(JP,A)
【文献】 特表2017−502730(JP,A)
【文献】 特表平08−507232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する長さ方向、幅方向及び厚さ方向と、それぞれ前記厚さ方向の一方側及び他方側に位置する第1面及び第2面とを有し、
前記第1面を形成する液透過性のトップシートと、前記第2面を形成する液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された液吸収性の吸収体と、前記トップシートに形成された複数の液透過孔とを備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、前記吸収体が配置された吸収体配置部と、それぞれ前記吸収体配置部の前記幅方向の一方側及び他方側に位置する第1フラップ部及び第2フラップ部と、それぞれ前記第1フラップ部及び前記第2フラップ部から前記幅方向の外側に延在する第1ウイング部及び第2ウイング部とを有し、
前記第1面は、前記吸収体配置部の表面に相当する第1領域と、前記第1ウイング部の表面に相当する第2領域と、前記第2ウイング部の表面に相当する第3領域と、前記第1領域及び前記第2領域の間に位置する第4領域と、前記第1領域及び前記第3領域の間に位置する第5領域とを有し、
前記複数の液透過孔は、それぞれ、前記第1面に形成された開口部を有し、
前記第2領域及び前記第3領域の開口率は、それぞれ、前記第4領域及び前記第5領域の開口率よりも小さく、
前記トップシートは、前記長さ方向に延在する前記第1面の中央領域を形成する第1シート部材と、前記中央領域の前記幅方向の一方側に隣接する前記第1面の第1隣接領域を形成する第2シート部材と、前記中央領域の前記幅方向の他方側に隣接する前記第1面の第2隣接領域を形成する第3シート部材と、によって形成されており、
前記第2シート部材と前記第3シート部材は、それぞれ前記第1シート部材の前記幅方向の両側部分において前記厚さ方向の第1面側から重なり、シール部を介して前記第1シート部材と接合されている、前記吸収性物品。
【請求項2】
前記液透過孔は、前記第1ウイング部及び/又は前記第2ウイング部の自由端部の少なくとも一部に形成されていない、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収性物品は、前記第2面のうち前記第1ウイング部の表面に相当する領域内に設けられた第1粘着部と、前記第2面のうち前記第2ウイング部の表面に相当する領域内に設けられた第2粘着部とを有し、
前記第1面は、前記厚さ方向において前記第1粘着部と重なる第1重なり領域と、前記厚さ方向において前記第2粘着部と重なる第2重なり領域とを有し、
前記第2領域は、前記第4領域の近位に位置する近位部分と、前記第4領域の遠位に位置する遠位部分とを有し、
前記第3領域は、前記第5領域の近位に位置する近位部分と、前記第5領域の遠位に位置する遠位部分とを有し、
前記第2領域に形成された前記開口部は、前記第2領域の近位部分には存在するが、前記第2領域の遠位部分には存在せず、
前記第3領域に形成された前記開口部は、前記第3領域の近位部分には存在するが、前記第3領域の遠位部分には存在しない、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性物品は、前記トップシートのうち前記第1ウイング部を形成する部分及び前記バックシートのうち前記第1ウイング部を形成する部分の間に配置された第1液吸収性シートと、前記トップシートのうち前記第2ウイング部を形成する部分及び前記バックシートのうち前記第2ウイング部を形成する部分の間に配置された第2液吸収性シートとを有し、
前記第1液吸収性シートは、前記第2領域の近位部分及び遠位部分を区画する仮想直線をまたいで配置されており、
前記第2液吸収性シートは、前記第3領域の近位部分及び遠位部分を区画する仮想直線をまたいで配置されている、請求項3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記液透過孔は、前記トップシートに形成された凹部であり、
前記凹部を形成する内周面の一部は、前記トップシートを貫通するスリットによって、前記第1面から分断されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記スリットは、前記長さ方向に延在している、請求項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、トップシート及びバックシートの間に配置された液吸収性の吸収体と、トップシートに形成された孔部とを備える吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−197179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の吸収性物品において、トップシートに形成された孔部は、トップシートのうち、本体部を形成する部分には形成されているが、本体部から延出するウイング部を形成する部分には形成されていない。
【0005】
吸収性物品が着用される際、本体部は下着のクロッチ部の肌当接面に設置され、ウイング部は下着のクロッチ部の非肌当接面側に折り返される。ウイング部が折り返された状態において着用者から液状排泄物が排泄されると、液状排泄物は、本体部の表面から、ウイング部の表面に向けて流れ出し、吸収性物品の外部へ漏出しやすい。特許文献1に記載の吸収性物品では、かかる液状排泄物の漏出を防止することができない。
【0006】
そこで、本発明は、吸収性物品の外部への液体の漏出を防止することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
互いに直交する長さ方向、幅方向及び厚さ方向と、それぞれ前記厚さ方向の一方側及び他方側に位置する第1面及び第2面とを有し、
前記第1面を形成する液透過性のトップシートと、前記第2面を形成する液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された液吸収性の吸収体と、前記トップシートに形成された複数の液透過孔とを備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、前記吸収体が配置された吸収体配置部と、それぞれ前記吸収体配置部の前記幅方向の一方側及び他方側に位置する第1フラップ部及び第2フラップ部と、それぞれ前記第1フラップ部及び前記第2フラップ部から前記幅方向の外側に延在する第1ウイング部及び第2ウイング部とを有し、
前記第1面は、前記吸収体配置部の表面に相当する第1領域と、前記第1ウイング部の表面に相当する第2領域と、前記第2ウイング部の表面に相当する第3領域と、前記第1領域及び前記第2領域の間に位置する第4領域と、前記第1領域及び前記第3領域の間に位置する第5領域とを有し、
前記複数の液透過孔は、それぞれ、前記第1面に形成された開口部を有し、
前記第2領域及び前記第3領域の開口率は、それぞれ、前記第4領域及び前記第5領域の開口率よりも小さい、前記吸収性物品を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸収性物品の外部への液体の漏出を防止することができる吸収性物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図2図2は、図1のA線断面図である。
図3図3(A)は、図1に示される吸収性物品のトップシートに形成された液透過孔の斜視図であり、図3(B)は、図3(A)のB−B線断面図であり、図3(C)は、図3(A)のC−C線断面図である。
図4図4は、図1に示される吸収性物品の第1面(トップシート側の表面)が有する第1領域〜第5領域を説明するための図である。
図5図5(A)及び(B)は、粘着部が複数条の粘着剤ラインによって形成される一実施形態を示す平面図である。
図6図6は、本発明の第2実施形態に係る吸収性物品の平面図である。
図7図7は、図6のA−A線断面図である。
図8図8は、トップシートのギア延伸に使用されるギア延伸ロールを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の吸収性物品について詳細に説明する。なお、本明細書において、長さ方向の両側のうち、吸収性物品の中心を通って幅方向に延在する仮想中心線の近位側を「長さ方向の内側」と表現し、遠位側を「長さ方向の外側」と表現する場合がある。また、幅方向の両側のうち、吸収性物品の中心を通って長さ方向に延在する仮想中心線の近位側を「幅方向の内側」と表現し、遠位側を「幅方向の外側」と表現する場合がある。また、厚さ方向の両側のうち、着用者の肌側に位置する厚さ方向の一方側を「肌側」といい、着用者の着衣側に位置する厚さ方向の他方側を「着衣側」又は「下着側」という場合がある。
【0011】
本発明の一態様(以下「態様1」という)に係る吸収性物品は、
互いに直交する長さ方向、幅方向及び厚さ方向と、それぞれ前記厚さ方向の一方側及び他方側に位置する第1面及び第2面とを有し、
前記第1面を形成する液透過性のトップシートと、前記第2面を形成する液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された液吸収性の吸収体と、前記トップシートに形成された複数の液透過孔とを備える吸収性物品であって、
前記吸収性物品は、前記吸収体が配置された吸収体配置部と、それぞれ前記吸収体配置部の前記幅方向の一方側及び他方側に位置する第1フラップ部及び第2フラップ部と、それぞれ前記第1フラップ部及び前記第2フラップ部から前記幅方向の外側に延在する第1ウイング部及び第2ウイング部とを有し、
前記第1面は、前記吸収体配置部の表面に相当する第1領域と、前記第1ウイング部の表面に相当する第2領域と、前記第2ウイング部の表面に相当する第3領域と、前記第1領域及び前記第2領域の間に位置する第4領域と、前記第1領域及び前記第3領域の間に位置する第5領域とを有し、
前記複数の液透過孔は、それぞれ、前記第1面に形成された開口部を有し、
前記第2領域及び前記第3領域の開口率は、それぞれ、前記第4領域及び前記第5領域の開口率よりも小さい、前記吸収性物品である。
【0012】
態様1に係る吸収性物品において、第1領域及び第2領域の間に位置する第4領域は、第1フラップ部の表面のうち、第1フラップ部の表面及び第1ウイング部の表面を区画する第1境界線と、第1境界線の一方の端点を通って幅方向に延在する第1仮想直線と、第1境界線の他方の端点を通って幅方向に延在する第2仮想直線と、第1領域の輪郭線上の点のうち最も第2領域側に位置する点を通って長さ方向に延在する第3仮想直線とによって囲まれた領域である。第1境界線は、第1フラップ部を平坦に保持しつつ、第1ウイング部を折り曲げることが可能な折り曲げ線のうち、折り曲げられた第1ウイング部の表面積が最大化である折り曲げ線に相当し、この折り曲げ線と吸収性物品の輪郭線との交点が第1境界線の両端点に相当する。
【0013】
態様1に係る吸収性物品において、第1領域及び第3領域の間に位置する第5領域は、第2フラップ部の表面のうち、第2フラップ部の表面及び第2ウイング部の表面を区画する第2境界線と、第2境界線の一方の端点を通って幅方向に延在する第4仮想直線と、第2境界線の他方の端点を通って幅方向に延在する第5仮想直線と、第1領域の輪郭線上の点のうち最も第3領域側に位置する点を通って長さ方向に延在する第6仮想直線とによって囲まれた部分を意味する。第2境界線は、第2フラップ部を平坦に保持しつつ、第2ウイング部を折り曲げることが可能な折り曲げ線のうち、折り曲げられた第2ウイング部の表面積が最大化である折り曲げ線に相当し、この折り曲げ線と吸収性物品の輪郭線との交点が第2境界線の両端点に相当する。
【0014】
態様1に係る吸収性物品が着用される際、吸収体配置部、第1フラップ部及び第2フラップ部によって構成される本体部は下着のクロッチ部の肌当接面に設置され、第1ウイング部及び第2ウイング部は下着のクロッチ部の非肌当接面側(肌当接面の反対側)に折り返される。このため、着用者から排泄された液状排泄物は、吸収体配置部の表面に相当する第1領域から、第1ウイング部の表面に相当する第2領域及び第2ウイング部の表面に相当する第3領域に向けて流れ出しやすい。第2領域に向けて流れ出した液状排泄物は、第1フラップ部の表面のうち第1領域及び第2領域の間に位置する部分に相当する第4領域を通り、第2領域に到達する。第3領域に向けて流れ出した液状排泄物は、第2フラップ部の表面のうち第1領域及び第3領域の間に位置する部分に相当する第5領域を通り、第3領域に到達する。液状排泄物は、第4領域及び第5領域を通る際、第4領域及び第5領域に存在する液透過孔の開口部で捕捉され、トップシートを透過する。第4領域及び第5領域で捕捉されず、第2領域及び第3領域に到達した液状排泄物は、第2領域及び第3領域に存在する液透過孔の開口部で捕捉され、トップシートを透過する。したがって、態様1に係る吸収性物品は、第2領域及び第3領域に向けて流れ出した液状排泄物の、吸収性物品の外部へ漏出を防止することができる。
【0015】
態様1に係る吸収性物品において、第2領域及び第3領域に向けて流れ出した液状排泄物は、第2領域及び第3領域に到達する前に、第4領域及び第5領域に存在する液透過孔の開口部で捕捉される。したがって、第2領域及び第3領域に到達する液状排泄物は、第4領域及び第5領域に到達する液状排泄物よりも少ない。このため、第2領域の開口率が第4領域の開口率よりも小さく、第3領域の開口率が第5領域の開口率よりも小さくても、態様1に係る吸収性物品は、液状排泄物の漏出防止効果を発揮することができる。
【0016】
トップシートを透過した液状排泄物は、トップシート及びバックシートの間を拡散し、第2領域及び第3領域から滲み出すおそれがある。第1ウイング部及び第2ウイング部が下着のクロッチ部の非肌当接面側に折り返されているとき、第2領域及び第3領域は着用者の衣服側に位置するため、第2領域及び第3領域から液状排泄物が滲み出すと、滲み出した液状排泄物によって着用者の衣服が汚れるおそれがある。この点、態様1に係る吸収性物品では、第2領域の開口率が第4領域の開口率よりも小さく、第3領域の開口率が第5領域の開口率よりも小さいので、第2領域及び第3領域から滲み出した液状排泄物によって着用者の衣服が汚れにくい。
【0017】
態様1に係る吸収性物品では、第2領域の開口率が第4領域の開口率よりも小さく、第3領域の開口率が第5領域の開口率よりも小さいので、トップシートのうち第1ウイング部及び第2ウイング部を形成する部分の強度の低下、及び、これに起因する第1ウイング部及び第2ウイング部の下着への装着性の低下を防止することができる。
【0018】
態様1に係る吸収性物品の好ましい一態様(以下「態様2」という)において、前記液透過孔は、前記第1ウイング部及び/又は前記第2ウイング部の自由端部の少なくとも一部に形成されていない。液透過孔は、第1ウイング部及び/又は第2ウイング部の自由端部のうち、少なくとも、第1ウイング部及び/又は第2ウイング部の幅方向の外側の端部に形成されていないことが好ましい。態様2に係る吸収性物品では、トップシートを透過した液状排泄物がトップシート及びバックシートの間を拡散しても、第1ウイング部及び/又は第2ウイング部の自由端部から液状排泄物が滲み出しにくい。また、液透過孔が第1ウイング部及び/又は第2ウイング部の自由端部の少なくとも一部に形成されていないので、所定の形状を保持した状態で、原反からトップシートを切り出しやすい。
【0019】
態様1又は態様2に係る吸収性物品の好ましい一態様(以下「態様3」という)において、
前記吸収性物品は、前記第2面のうち前記第1ウイング部の表面に相当する領域内に設けられた第1粘着部と、前記第2面のうち前記第2ウイング部の表面に相当する領域内に設けられた第2粘着部とを有し、
前記第1面は、前記厚さ方向において前記第1粘着部と重なる第1重なり領域と、前記厚さ方向において前記第2粘着部と重なる第2重なり領域とを有し、
前記第2領域は、前記第4領域の近位に位置する近位部分と、前記第4領域の遠位に位置する遠位部分とを有し、
前記第3領域は、前記第5領域の近位に位置する近位部分と、前記第5領域の遠位に位置する遠位部分とを有し、
前記第2領域に形成された前記開口部は、前記第2領域の近位部分には存在するが、前記第2領域の遠位部分には存在せず、
前記第3領域に形成された前記開口部は、前記第3領域の近位部分には存在するが、前記第3領域の遠位部分には存在しない。
【0020】
態様3に係る吸収性物品において、第2領域は、第1重なり領域の輪郭線上の点のうち最も第4領域側に位置する点を通って長さ方向に延在する第7仮想直線によって区画される2つの部分である、第4領域の近位に位置する近位部分と、第4領域の遠位に位置する遠位部分とを有し、第3領域は、第2重なり領域の輪郭線上の点のうち最も第5領域側に位置する点を通って長さ方向に延在する第8仮想直線よって区画される2つの部分である、第5領域の近位に位置する近位部分と、第5領域の遠位に位置する遠位部分とを有する。
【0021】
態様3に係る吸収性物品において、第2領域の近位部分及び遠位部分を区画する第7仮想直線と交差する開口部は、第2領域の近位部分に存在する開口部に該当しない。同様に、第3領域の近位部分及び遠位部分を区画する第8仮想直線と交差する開口部は、第3領域の近位部分に存在する開口部に該当しない。
【0022】
態様3に係る吸収性物品において、第1ウイング部及び第2ウイング部が下着のクロッチ部の非肌当接面側に折り返される際、第7仮想直線及び第8仮想直線が折り曲げ線となりやすい。第1ウイング部及び第2ウイング部が第7仮想直線及び第8仮想直線で折り返されると、第2領域の遠位部分及び第3領域の遠位部分が着用者の衣類側に位置するが、第2領域の遠位部分及び第3領域の遠位部分には液透過孔の開口部が存在しない。したがって、トップシートを透過した液状排泄物がトップシート及びバックシートの間を拡散しても、第2領域の遠位部分及び第3領域の遠位部分から液状排泄物が滲み出しにくい。
【0023】
態様3に係る吸収性物品において、第2領域の遠位部分及び第3領域の遠位部分には液透過孔の開口部が存在しないので、トップシートのうち第1ウイング部及び第2ウイング部を形成する部分の強度が十分なものとなる。したがって、第1ウイング部及び第2ウイング部が第1粘着部及び第2粘着部によって下着のクロッチ部の非肌当接面に固定されたとき、第1粘着部及び第2粘着部による吸収体物品のズレ防止効果が発揮されやすい。
【0024】
態様3に係る吸収性物品の好ましい一態様(以下「態様4」という)において、
前記吸収性物品は、前記トップシートのうち前記第1ウイング部を形成する部分及び前記バックシートのうち前記第1ウイング部を形成する部分の間に配置された第1液吸収性シートと、前記トップシートのうち前記第2ウイング部を形成する部分及び前記バックシートのうち前記第2ウイング部を形成する部分の間に配置された第2液吸収性シートとを有し、
前記第1液吸収性シートは、前記第2領域の近位部分及び遠位部分を区画する仮想直線をまたいで配置されており、
前記第2液吸収性シートは、前記第3領域の近位部分及び遠位部分を区画する仮想直線をまたいで配置されている。
【0025】
態様4に係る吸収性物品では、トップシートを透過した液状排泄物がトップシート及びバックシートの間を拡散しても、液吸収性シートで吸収されるので、液状排泄物が第2領域の遠位部分及び第3領域の遠位部分から滲み出しにくい。
【0026】
態様1〜態様4のいずれかに係る吸収性物品の一態様(以下「態様5」という)において、前記トップシートは、複数のシート部材で形成されている。態様5に係る吸収性物品では、複数のシート部材が異なる機能を担うことができる。
【0027】
態様1〜態様5のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(以下「態様6」という)において、前記液透過孔は、前記トップシートに形成された凹部であり、前記凹部を形成する内周面の一部は、前記トップシートを貫通するスリットによって、前記第1面から分断されている。態様6に係る吸収性物品では、吸収体に吸収された液状排泄物が、液透過孔を通じて見えにくいとともに、液透過孔を通じて滲み出しにくい。
【0028】
態様6に係る吸収性物品の好ましい一態様(以下「態様7」という)において、前記スリットは、前記長さ方向に延在している。態様7に係る吸収性物品では、スリットが折り曲げ基点となり、第1ウイング部及び第2ウイング部を折り曲げやすい。
【0029】
本発明の吸収性物品の種類及び用途は特に限定されるものではない。吸収性物品としては、例えば、生理用ナプキン、使い捨てオムツ、パンティーライナー等の衛生用品が挙げられ、これらはヒトを対象としてもよいし、ペット等のヒト以外の動物を対象としてもよい。本発明の吸収性物品が吸収対象とする液状排泄物としては、例えば、経血、下り物、尿、水様便等が挙げられる。以下、生理用ナプキンを例として、図面に基づいて、本発明の吸収性物品の実施形態を説明する。
【0030】
<第1実施形態>
以下、図1図4に基づいて、本発明の吸収性物品の第1実施形態に係る生理用ナプキン1Aを説明する。
【0031】
以下、図1及び図2に基づいて、生理用ナプキン1Aの構成を説明する。図1は、生理用ナプキン1Aの平面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。なお、図1では、トップシート2Aに形成された液透過孔5の一部が、図2では、トップシート2Aに形成された液透過孔5の全てが、図の簡略化の目的で省略されている。
【0032】
生理用ナプキン1Aは、互いに直交する長さ方向X、幅方向Y及び厚さ方向Zを有する。なお、その他の図面に示される方向X、方向Y及び方向Zは、それぞれ、図1及び図2に示される長さ方向X、幅方向Y及び厚さ方向Zと一致する。
【0033】
生理用ナプキン1Aは、厚さ方向Zの一方側に位置する第1面S11と、厚さ方向Zの他方側に位置する第2面S12とを有する。第1面S11及び第2面S12は、生理用ナプキン1Aの外面を形成している。
【0034】
生理用ナプキン1Aは、第1面S11を形成する液透過性のトップシート2Aと、第2面S12を形成する液不透過性のバックシート3と、トップシート2A及びバックシート3の間に配置された液吸収性の吸収体4と、トップシート2Aに形成された複数の液透過孔5とを備える。
【0035】
生理用ナプキン1Aは、第1面S11が着用者の肌側に位置し、第2面S12が着用者の下着側に位置するように着用される。着用者から排泄された液状排泄物は、トップシート2Aを通じて吸収体4に浸透し、吸収体4で吸収及び保持される。吸収体4に吸収及び保持される液状排泄物の漏れは、バックシート3によって防止される。なお、生理用ナプキン1Aが吸収対象とする液状排泄物は、主として、経血である。
【0036】
トップシート2Aは、着用者から排泄された液状排泄物が透過し得る液透過性シートであり、トップシート2Aに供給された液状排泄物を吸収体4に移行させる。本実施形態においてトップシート2Aとして使用される液透過性シートは、複数の液透過孔5が形成された合成樹脂シートである。合成樹脂シートそれ自体は液透過性を有しないので、トップシート2Aの液透過性は、合成樹脂シートに形成された複数の液透過孔5に基づく。合成樹脂シートを構成する合成樹脂としては、例えば、オレフィンと他のモノマー(例えば、アクリル酸エステル、酢酸ビニル等)との共重合体等が挙げられる。
【0037】
トップシート2Aは、厚さ方向Zの一方側に位置する第1面S21と、厚さ方向Zの他方側に位置する第2面S22とを有する。トップシート2Aの第1面S21は、生理用ナプキン1Aの第1面S11に相当する。トップシート2Aは、厚さ方向Zにおいて吸収体4と重なる第1部分と、第1部分の幅方向Yの一方側に位置する第2部分と、第1部分の幅方向Yの他方側に位置する第3部分と、第2部分から幅方向Yの外側に延在する第4部分と、第3部分から幅方向Yの外側に延在する第5部分とを有する。トップシート2Aの第1部分、第2部分、第3部分、第4部分及び第5部分は、それぞれ、生理用ナプキン1Aの吸収体配置部11、第1フラップ部12a、第2フラップ部12b、第1ウイング部13及び第2ウイング部14を構成する。
【0038】
トップシート2Aの輪郭線は、バックシート3の輪郭線と略一致する。トップシート2Aの周縁部は、バックシート3の周縁部と重ねられ、不図示のシール部によって接合されている。シール部は、生理用ナプキン1Aの変形時におけるトップシート2A及びバックシート3の離間を防止する。シール部による接合様式としては、例えば、ヒートエンボス処理による接合、ホットメルト型接着剤による接合等が挙げられる。
【0039】
バックシート3は、着用者から排泄された液状排泄物が透過し得ない液不透過性シートであり、吸収体4に吸収及び保持された液状排泄物の漏れを防止する。バックシート3として使用される液不透過性シートは、例えば、防水処理を施した不織布、合成樹脂フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等である。バックシート3の厚さ、坪量等は、液不透過性等を考慮して適宜調整される。バックシート3は、着用時のムレを低減させるために、液不透過性に加えて、通気性又は透湿性を有することが好ましい。
【0040】
バックシート3は、厚さ方向Zの一方側に位置する第1面S31と、厚さ方向Zの他方側に位置する第2面S32とを有する。バックシート3の第2面S32は、生理用ナプキン1Aの第2面S12に相当する。バックシート3は、厚さ方向Zにおいて吸収体4と重なる第1部分と、第1部分の幅方向Yの一方側に位置する第2部分、第1部分の幅方向Yの他方側に位置する第3部分、第2部分から幅方向Yの外側に延在する第4部分と、第3部分から幅方向Yの外側に延在する第5部分とを有する。バックシート3の第1部分、第2部分、第3部分、第4部分及び第5部分は、それぞれ、生理用ナプキン1Aの吸収体配置部11、第1フラップ部12a、第2フラップ部12b、第1ウイング部13及び第2ウイング部14を構成する。
【0041】
吸収体4は、着用者から排泄された液状排泄物を吸収し得る吸収性材料を含有し、トップシート2Aを透過した液状排泄物を吸収及び保持する。吸収性材料としては、例えば、親水性繊維、高吸収性ポリマー等が挙げられる。親水性繊維としては、例えば、パルプ等のセルロース系繊維が挙げられる。
【0042】
吸収体4は、例えば、吸収性材料層と、吸収性材料層を被覆するコアラップとから構成される。吸収性材料層は、単一の層であってもよいし、複数の層であってもよい。コアラップは、着用者から排泄された液状排泄物が透過し得る液透過性シートである。コアラップは、例えば、不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム等である。
【0043】
液透過孔5は、トップシート2Aの略全体に形成されているが、第1ウイング部13及び第2ウイング部14の自由端部に形成されていない。但し、液透過孔5の形成位置は変更可能である。変更例としては、例えば、液透過孔5が、第1ウイング部13及び/又は第2ウイング部14の自由端部の少なくとも一部、好ましくは、自由端部のうち幅方向Yの外側の端部131,141に形成されていない実施形態等が挙げられる。
【0044】
生理用ナプキン1Aは、吸収体4が配置された吸収体配置部11と、吸収体配置部11の幅方向Yの一方側に位置する第1フラップ部12aと、吸収体配置部11の幅方向Yの他方側に位置する第2フラップ部12bと、第1フラップ部12aから幅方向Yの外側に延在する第1ウイング部13と、第2フラップ部12bから幅方向Yの外側に延在する第2ウイング部14とを有する。
【0045】
平面視において、吸収体配置部11の輪郭線は、吸収体4の輪郭線と略一致する。第1フラップ部12a及び第2フラップ12aは、吸収体配置部11とともに本体部10を形成する。本体部10の幅方向Yの両端部101,102は、長さ方向Xに略直線状に延在している。第1ウイング部13の基端部は、本体部10の端部101の略中央部と連結しており、第2ウイング部14の基端部は、本体部10の端部102の略中央部と連結している。第1ウイング部13及び第2ウイング部14の周縁部のうち基端部以外の部分は、本体部10と連結されていない自由端部である。したがって、第1ウイング部13及び第2ウイング部14は、基端部を軸として、本体部10に対して折り曲げることが可能である。
【0046】
生理用ナプキン1Aは、生理用ナプキン1Aの第2面S12のうち第1ウイング部13の表面に相当する領域内に設けられた第1粘着部61と、生理用ナプキン1Aの第2面S12のうち第2ウイング部14の表面に相当する領域内に設けられた第2粘着部62と、生理用ナプキン1Aの第2面S12のうち吸収体配置部11の表面に相当する領域内に設けられた第3粘着部63とを有する。但し、第1粘着部61〜第3粘着部63は省略可能である。
【0047】
第1粘着部61及び第2粘着部62は、それぞれ、第1ウイング部13及び第2ウイング部14が下着のクロッチ部の非肌当接面側に折り返された際、折り返された第1ウイング部13及び第2ウイング部14を下着のクロッチ部の非肌当接面に固定する。第3粘着部63は、吸収体配置部11が下着のクロッチ部の肌当接面に設置された際、吸収体配置部11を下着のクロッチ部の肌当接面に固定する。これにより、着用時の生理用ナプキン1Aのズレが防止される。
【0048】
第1粘着部61〜第3粘着部63は、生理用ナプキン1Aの第2面S12(バックシート3の第2面S32)の所定領域に粘着剤を面状に塗工することによって形成された粘着剤層である。但し、生理用ナプキン1Aの第2面S12の所定領域における粘着剤の塗工パターンは、面状に限定されるものではない。粘着剤は、第2面S12の所定領域の輪郭線上に連続又は不連続で存在していればよく、当該所定領域内には、粘着剤が存在しない部分が存在していてもよい。例えば、第1粘着部61〜第3粘着部63の1つ又は2つ以上は、長さ方向X又は幅方向Yに延在する複数条の粘着剤ラインによって形成されてもよい。粘着剤ラインの形状としては、例えば、直線状、スパイラル状、オメガ状等が挙げられる。
【0049】
図5(A)は、第1粘着部61が長さ方向Xに延在する複数条の粘着剤ラインによって形成される一実施形態を示す平面図であり、図5(B)は、第1粘着部61が幅方向Yに延在する複数条の粘着剤ラインによって形成される一実施形態を示す平面図である。なお、図5に基づく第1粘着部61に関する説明は、第2粘着部62及び第3粘着部63にも適用される。
【0050】
第1粘着部61が長さ方向Xに延在する複数条の粘着剤ラインによって形成される場合(図5(A))、幅方向Yの両端に位置する2つの粘着剤ラインAL1,AL2と、長さ方向Xの一方側に位置する各粘着剤ラインの端点LT1を結ぶ直線と、長さ方向Xの他方側に位置する各粘着剤の端点LT2を結ぶ直線とによって、第1粘着部61の輪郭線(粘着剤が塗工された領域の輪郭線)が画定される。なお、端点LT1が直線上にない場合、隣り合う2つの端点LT1を直線で結べばよい。端点LT2が直線上にない場合も同様である。
【0051】
粘着剤が幅方向Yに延在する複数条のラインとして塗工される場合(図5(B))、長さ方向Xの両端に位置する2つの粘着剤ラインBL1,BL2と、幅方向Yの一方側に位置する各粘着剤ラインの端点LT3を結ぶ直線と、幅方向Yの他方側に位置する各粘着剤の端点LT4を結ぶ直線とによって、第1粘着部61の輪郭線(粘着剤が塗工された領域の輪郭線)が画定される。なお、端点LT3が直線上にない場合、隣り合う2つの端点LT3を直線で結べばよい。端点LT4が直線上にない場合も同様である。
【0052】
生理用ナプキン1Aは、トップシート2Aのうち第1ウイング部13を形成する部分及びバックシート3のうち第1ウイング部13を形成する部分の間に配置された第1液吸収性シート71と、トップシート2Aのうち第2ウイング部14を形成する部分及びバックシート3のうち第2ウイング部14を形成する部分の間に配置された第2液吸収性シート72とを有する。但し、液吸収性シート71,72は省略可能である。第1液吸収性シート71は、後述する仮想直線VL7をまたいで配置されており、第2液吸収性シート72は、後述する仮想直線VL8をまたいで配置されている。
【0053】
生理用ナプキン1Aは、トップシート2A及び吸収体4を厚さ方向Zに一体化する圧搾部8を有する。但し、圧搾部8は省略可能である。圧搾部8は、ヒートエンボス処理により、生理用ナプキン1Aの第1面S11の中央領域の周囲に形成された圧搾溝である。第1面S11の中央領域は、着用者の排泄口(例えば、小陰唇、大陰唇等)が当接し、着用者から排泄された液状排泄物が主として供給される領域である。
【0054】
以下、図3に基づいて、トップシート2Aに形成された液透過孔5の構成を説明する。図3(A)は、トップシート2Aに形成された液透過孔5の斜視図であり、図3(B)は、図3(A)のB−B線断面図であり、図3(C)は、図3(A)のC−C線断面図である。
【0055】
液透過孔5は、生理用ナプキン1Aの第1面S11に形成された開口部50を有する。開口部50は、平面視略矩形状であるが、開口部50の形状は変更可能である。変更例としては、例えば、平面視略楕円形状等が挙げられる。
【0056】
本実施形態において、開口部50の開口面積は液透過孔5間で略一定であるが、開口部50の開口面積は液透過孔5間で異なっていてもよい。1つの開口部50の開口面積は、好ましくは0.1〜3.0mm2、さらに好ましくは0.3〜1.0mm2である。開口部50の開口面積の測定は、次のように実施される。マイクロスコープ等で撮影した生理用ナプキン1Aの第1面S11の画像を2値化することにより、生理用ナプキン1Aの第1面S11の画像から対象とする開口部50の領域を抽出し、抽出領域の面積を算出し、算出された面積を対象とする開口部50の開口面積とする。このような測定には、例えば、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ及び付属ソフトウェアを使用することができるが、画像データ保存の可能なその他の撮影機器及び画像処理ソフトウェアを使用してもよい。
【0057】
本実施形態において、長さ方向Xに隣接する2つの開口部50の間隔及び幅方向Yに隣接する2つの開口部50の間隔は略一定であるが、長さ方向Xに隣接する2つの開口部50の間隔及び/又は幅方向Yに隣接する2つの開口部50の間隔は一定でなくてもよい。長さ方向Xに隣接する2つの開口部50の間隔は、好ましくは0.1〜5.0mm、さらに好ましくは0.5〜2.0mmである。幅方向Yに隣接する2つの開口部50の間隔は、好ましくは0.2〜4.0mm、さらに好ましくは0.5〜1.5mmである。長さ方向Xに隣接する2つの開口部50の間隔は、一方の開口部50の輪郭線上の点のうち他方の開口部50に最も近い点を通って幅方向Yに延在する仮想直線と、他方の開口部50の輪郭線上の点のうち一方の開口部50に最も近い点を通って幅方向Yに延在する仮想直線との距離である。幅方向Yに隣接する2つの開口部50の間隔は、一方の開口部50の輪郭線上の点のうち他方の開口部50に最も近い点を通って長さ方向Xに延在する仮想直線と、他方の開口部50の輪郭線上の点のうち一方の開口部50に最も近い点を通って長さ方向Xに延在する仮想直線との距離である。
【0058】
液透過孔5は、トップシート2Aに形成された凹部である。凹部を形成する内周面の一部は、トップシート2Aを貫通するスリット54によって、生理用ナプキン1Aの第1面S11から分断されている。すなわち、液透過孔5は、略矩形状の底面51と、底面51の長さ方向Xの両端部及び生理用ナプキン1Aの第1面S11を接続する側面52,53とを有する。しかしながら、底面51の幅方向Yの両端部及び生理用ナプキン1Aの第1面S11は、トップシート2Aを貫通するスリット54によって分断されているため、液透過孔5は、底面51の幅方向Yの両端部及び生理用ナプキン1Aの第1面S11を接続する側面を欠いている。したがって、開口部50から凹部の内部に浸入した液状排泄物は、スリット54を通じて凹部の外部へ移行することができる。
【0059】
凹部の深さD(すなわち、開口部50と底面51との距離)は、トップシート2Aの厚さTよりも大きい。したがって、トップシート2Aの第2面S22と底面51との間には、凹部の内部及び外部を連通させる開口部が形成されている。但し、凹部の深さDはトップシート2Aの厚さT以下であってもよい。凹部の深さDがトップシート2Aの厚さT以下である実施形態では、着用者が生理用ナプキン1Aを着用する際にトップシート2Aが湾曲することにより、トップシート2Aの第2面S22と底面51との間には、凹部の内部及び外部を連通させる開口部が形成される。
【0060】
液透過孔5の構造は、液透過性を保持可能な範囲において変更可能である。変更例としては、液透過孔5が、トップシート2Aに形成された凹部であって、凹部を形成する周壁又は底壁に、トップシート2Aを貫通する貫通孔が形成された凹部である実施形態が挙げられる。
【0061】
液透過孔が形成された合成樹脂シートは、合成樹脂シートをギア延伸することによって製造することができる。ギア延伸は、例えば、図8に示される一対のギア延伸ロール120,130によって実施することができる。ギア延伸ロール120の外周面には、液透過孔に対応する位置に歯121が設けられており、歯が設けられていない部分は溝122となっている。歯121及び溝122は、MD方向(不図示)及びCD方向(MD方向と垂直な方向)に交互に配置されて列をなしており、各列において、隣り合う2つの歯121の間には、1つの溝122が位置している。ギア延伸ロール130の外周面には、ギア延伸ロール120の溝122に対応する位置に歯131が設けられており、歯131が設けられていない部分は溝132となっている。歯131及び溝132は、MD方向及びCD方向に交互に配置されて列をなしており、各列において、隣り合う2つの歯131の間には、1つの溝132が位置している。なお、MD方向は長さ方向Xに対応し、CD方向は幅方向Yに対応する。各歯は、底部から先端部に向って細くなる台形型であり、底部の幅W1及び先端部の幅W2は、液透過孔の形態に応じて適宜調整される。各歯の高さH、隣り合う2つの歯のピッチP等は、液透過孔の形態、配置等に応じて適宜調整される。一対のギア延伸ロール120,130は、歯121が溝132に入り込むとともに、歯131が溝122に入り込むことにより、互いに噛み合って回転するようになっている。合成樹脂シートは、ギア延伸ロール120,130の歯溝が噛み合う部分を通過することにより、凹凸賦形される。ギア延伸ロール120の歯121によって凸状に賦形される部分は、液透過孔に相当する。ギア延伸ロール120,130の歯溝が噛み合っている時の歯の間隔C、歯の噛み込み深さD、合成樹脂シートの加熱温度等を調整することにより、合成樹脂シートの凹凸賦形時に、合成樹脂シートを貫通するスリット又は貫通孔を形成することができる。合成樹脂シートの加熱は、ギア延伸ロール120,130の加熱により実施することができる。また、ギア延伸ロール120,130の歯121,131の先端部の角部に対して部分的に面取りを施さないことにより、合成樹脂シートの凹凸賦形時に、合成樹脂シートを貫通するスリット又は貫通孔を形成することができる。この場合、合成樹脂シートを貫通するスリット又は貫通孔は、面取りが施されていない角部によってギア延伸された部分には形成されるが、面取りが施された角部によってギア延伸された部分には形成されない。また、ギア延伸する前に予め合成樹脂シートに細かい傷(凹部)を形成しておくことにより、合成樹脂シートの賦形時に、合成樹脂シートを貫通するスリット又は貫通孔を形成することができる。合成樹脂シートへの細かい傷(凹部)の形成は、外周面に凸部が設けられたローレットロールと、平滑な表面を有する予熱ロールとを使用して実施することができる。予熱ロールは加熱されているため、合成樹脂シートは柔らかくなり、成形しやすくなる。合成樹脂シートが、ローレットロールと予熱ロールとの間を通過する時、合成樹脂シートには、ローレットロールの凸部によって細かい傷(凹部)が形成される。その後、合成樹脂シートがギア延伸されると、細かい傷(凹部)が形成された部分は破れ、破れた部分が広げられ、合成樹脂シートを貫通するスリット又は貫通孔が形成される。
【0062】
以下、図4に基づいて、生理用ナプキン1Aの第1面S11が有する第1領域R1〜第5領域R5を説明する。なお、図4では、トップシート2Aに形成された液透過孔5の全てが、図の簡略化の目的で省略されている。
【0063】
生理用ナプキン1Aの第1面11は、第1領域R1〜第5領域R5を有する。第1領域R1〜第5領域R5はいずれも仮想領域であり、図4において、各領域を画定する線は仮想直線で示されている。図4に示される他の領域も同様である。
【0064】
生理用ナプキン1Aの第1面S11は、厚さ方向Zにおいて第1粘着部61と重なる第1重なり領域R20を有する。平面視において、第1重なり領域R20の輪郭線は、第1粘着部61の輪郭線と一致する。第1重なり領域R20の幅方向Yの両端部RE201,RE202は、長さ方向Xに直線状に延在しているが、両端部RE201,RE202は、その一方又は両方が長さ方向Xに曲線状に延在していてもよい。
【0065】
生理用ナプキン1Aの第1面S11は、厚さ方向Zにおいて第2粘着剤層62と重なる第2重なり領域R30を有する。平面視において、第2重なり領域R30の輪郭線は、第2粘着部62の輪郭線と一致する。第2重なり領域R30の幅方向Yの両端部RE301,RE302は、長さ方向Xに直線状に延在しているが、両端部RE301,RE302は、その一方又は両方が長さ方向Xに曲線状に延在していてもよい。
【0066】
第1領域R1は、吸収体配置部11の表面に相当する領域である。第1領域R1は、第1面11のうち厚さ方向Zにおいて吸収体4と重なる領域(すなわち、吸収体4を第1面S11に投影することによって形成される投影領域)として画定される。第1領域R1の幅方向Yの両端部RE11,RE12は、長さ方向Xに直線状に延在しているが、両端部RE11,RE12は、その一方又は両方が長さ方向Xに曲線状に延在していてもよい。
【0067】
第2領域R2は、第1ウイング部13の表面に相当する領域である。第2領域R2は、第1重なり領域R20の輪郭線上の点のうち最も第4領域R4側に位置する点を通って長さ方向Xに延在する仮想直線VL7によって区画される2つの部分:第4領域R4の近位に位置する近位部分R21;及び第4領域R4の遠位に位置する遠位部分R22を有する。本実施形態において、第1重なり領域R20の端部RE202は、仮想直線VL7と一致する。
【0068】
第3領域R3は、第2ウイング部14の表面に相当する領域である。第3領域R3は、第2重なり領域R30の輪郭線上の点のうち最も第5領域R5側に位置する点を通って長さ方向Xに延在する仮想直線VL8よって区画される2つの部分:第5領域R5の近位に位置する近位部分R31;及び第5領域R5の遠位に位置する遠位部分R32を有する。本実施形態において、第2重なり領域R30の端部RE302は、仮想直線VL8と一致する。
【0069】
第4領域R4は、第1領域R1及び第2領域R2の間に位置する領域である。「第1領域R1及び第2領域R2の間に位置する領域」は、第1フラップ部12aの表面のうち、第1フラップ部12aの表面及び第1ウイング部13の表面を区画する境界線BL1と、境界線BL1の一方の端点Pを通って幅方向Yに延在する仮想直線VL1と、境界線BL1の他方の端点Qを通って幅方向Yに延在する仮想直線VL2と、第1領域R1の輪郭線上の点のうち最も第2領域R2側に位置する点を通って長さ方向に延在する仮想直線VL3とによって囲まれた部分を意味する。本実施形態において、第1領域R1の端部RE11は、仮想直線VL3と一致する。
【0070】
境界線BL1は、第1フラップ部12aを平坦に保持しつつ、第1ウイング部13を折り曲げることが可能な折り曲げ線のうち、折り曲げられた第1ウイング部13の表面積が最大化である折り曲げ線に相当し、この折り曲げ線と生理用ナプキン1Aの輪郭線との交点が境界線BL1の両端点P,Qに相当する。
【0071】
第5領域R5は、第1領域R1及び第3領域R3の間に位置する領域である。「第1領域R1及び第3領域R3の間に位置する領域」は、第2フラップ部12bの表面のうち、第2フラップ部12bの表面及び第2ウイング部14の表面を区画する境界線BL2と、境界線BL2の一方の端点Rを通って幅方向Yに延在する仮想直線VL4と、境界線BL2の他方の端点Sを通って幅方向Yに延在する仮想直線VL5と、第1領域R1の輪郭線上の点のうち最も第3領域R3側に位置する点を通って長さ方向Xに延在する仮想直線VL6とによって囲まれた部分を意味する。本実施形態において、第1領域R1の端部RE12は、仮想直線VL6と一致する。
【0072】
境界線BL2は、第2フラップ部12bを平坦に保持しつつ、第2ウイング部14を折り曲げることが可能な折り曲げ線のうち、折り曲げられた第2ウイング部14の表面積が最大化である折り曲げ線に相当し、この折り曲げ線と生理用ナプキン1Aの輪郭線との交点が境界線BL2の両端点R,Sに相当する。
【0073】
第1領域R1〜第5領域R5には、液透過孔5の開口部50が所定の開口率で形成されている。なお、ある領域の開口率(%)は、当該領域に形成された開口部50の開口面積の総和/当該領域の面積×100によって算出される。
【0074】
第1領域R1、第4領域R4及び第5領域R5の開口率の上限は特に限定されるものではない。但し、第1領域R1、第4領域R4及び第5領域R5の開口率が大きすぎると、トップシート2Aのうち本体部10を形成する部分の強度が不十分になるおそれがある。したがって、第1領域R1、第4領域R4及び第5領域R5の開口率は、好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは20%以下である。
【0075】
第1領域R1、第4領域R4及び第5領域R5の開口率の下限は特に限定されるものではない。但し、第1領域R1、第4領域R4及び第5領域R5の開口率が小さすぎると、トップシート2Aのうち本体部10を形成する部分の液透過性が不十分になるおそれがある。したがって、第1領域R1、第4領域R4及び第5領域R5の開口率は、好ましくは3%以上であり、さらに好ましくは5%以上である。
【0076】
第2領域R2の開口率及び第3領域R3の開口率は、所定の条件を満たす必要がある。すなわち、第2領域R2の開口率は、第4領域R4の開口率よりも小さい必要があり、第3領域R3の開口率は、第5領域R5の開口率よりも小さい必要がある。第2領域R2の開口率及び第3領域R3の開口率は、所定の条件を満たす範囲において適宜調整可能である。第2領域R2の開口率と第4領域R4の開口率との差(第4領域R4の開口率−第2領域R2の開口率)及び第3領域R3の開口率と第5領域R5の開口率との差(第5領域R5の開口率−第3領域R3の開口率)は、好ましくは1〜20%、さらに好ましくは3〜10%である。
【0077】
第2領域R2〜第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数は、第2領域R2の開口率が、第4領域R4の開口率よりも小さく、第3領域R3の開口率が、第5領域R5の開口率よりも小さい範囲において適宜調整可能である。なお、ある領域の単位面積当たりの開口部50の個数は、当該領域に存在する開口部50の総数(個)/当該領域の総面積(cm2)によって算出される。
【0078】
第2領域R2の単位面積当たりの開口部50の個数は、第4領域R4の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少なく、第3領域R3の単位面積当たりの開口部50の個数は、第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少ない。第2領域R2及び第3領域R3の単位面積当たりの開口部50の個数は、好ましくは0〜100個/cm2、さらに好ましくは0〜50個/cm2であり、第4領域R4及び第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数は、好ましくは10〜200個/cm2、さらに好ましくは20〜100個/cm2である。
【0079】
第2領域R2に存在する開口部50は、第1重なり領域R20と第4領域R4との間に位置している。すなわち、第2領域R2に存在する開口部50は、仮想直線VL7によって区画される第2領域R2の2つの領域のうち、近位部分R21には存在しているが、遠位部分R22には存在していない。なお、仮想直線VL7と交差する開口部50は、近位部分R21に存在する開口部50に該当しない。第2領域R2の近位部分R21における単位面積当たりの開口部50の個数は、好ましくは10〜200個/cm2、さらに好ましくは20〜100個/cm2である。
【0080】
第3領域R3に存在する開口部50は、第2重なり領域R30と第5領域R5との間に位置している。すなわち、第3領域R3に存在する開口部50は、仮想直線VL8よって区画される第3領域R3の2つの領域のうち、近位部分R31には存在しているが、遠位部分R32には存在していない。なお、仮想直線VL8と交差する開口部50は、近位部分R31に存在する開口部50に該当しない。第3領域R3の近位部分R31における単位面積当たりの開口部50の個数は、好ましくは10〜200個/cm2、さらに好ましくは20〜100個/cm2である。
【0081】
本実施形態において、第2領域R2の近位部分R21における単位面積当たりの開口部50の個数は、第4領域R4の単位面積当たりの開口部50の個数と略同一であり、第3領域R3の近位部分R31における単位面積当たりの開口部50の個数は、第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数と略同一である。しかしながら、第2領域R2の遠位部分R22及び第3領域R3の遠位部分R32には開口部50が存在していない。この結果、第2領域R2の単位面積当たりの開口部50の個数は、第4領域R4の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少なく、第3領域R3の単位面積当たりの開口部50の個数は、第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少ない。但し、第2領域R2の遠位部分R22及び第3領域R3の遠位部分R32における開口部50の有無は変更可能である。変更例としては、例えば、第2領域R2の遠位部分R22にも開口部50が存在しているが、第2領域R2の単位面積当たりの開口部50の個数が、第4領域R4の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少ない実施形態、及び、第3領域R3の遠位部分R32にも開口部50が存在しているが、第3領域R3の単位面積当たりの開口部50の個数が、第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少ない実施形態が挙げられる。
【0082】
本実施形態において、第2領域R2〜第5領域R5に存在する開口部50の開口面積は略同一である。しかしながら、第2領域R2の単位面積当たりの開口部50の個数は、第4領域R4の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少なく、第3領域R3の単位面積当たりの開口部50の個数は、第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数よりも少ない。この結果、第2領域R2の開口率は、第4領域R4の開口率よりも小さく、第3領域R3の開口率は、第5領域R5の開口率よりも小さい。但し、第2領域R2〜第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数は変更可能である。変更例としては、例えば、第2領域R2の単位面積当たりの開口部50の個数が、第4領域R2の単位面積当たりの開口部50の個数と同一であるか又はそれよりも多いが、第2領域R2に存在する開口部50の開口面積が、第4領域R4に存在する開口部50の開口面積よりも小さい結果、第2領域R2の開口率が、第4領域R4の開口率よりも小さい実施形態、及び、第3領域R3の単位面積当たりの開口部50の個数が、第5領域R5の単位面積当たりの開口部50の個数と同一であるか又はそれよりも多いが、第3領域R3に存在する開口部50の開口面積が、第5領域R5に存在する開口部50の開口面積よりも小さい結果、第3領域R3の開口率が、第5領域R5の開口率よりも小さい実施形態が挙げられる。
【0083】
生理用ナプキン1Aは、以下の作用効果を発揮することができる。
生理用ナプキン1Aが着用される際、吸収体配置部11、第1フラップ部12a及び第2フラップ部12bによって形成される本体部10は下着のクロッチ部の肌当接面に設置され、第1ウイング部13及び第2ウイング部14は下着のクロッチ部の非肌当接面側(肌当接面の反対側)に折り返される。このため、着用者から排泄された液状排泄物は、吸収体配置部11の表面に相当する第1領域R1から、第1ウイング部13の表面に相当する第2領域R2及び第2ウイング部14の表面に相当する第3領域R3に向けて流れ出しやすい。第2領域R2に向けて流れ出した液状排泄物は、第1フラップ部12aの表面のうち第1領域R1及び第2領域R2の間に位置する部分に相当する第4領域R4を通り、第2領域R2に到達する。第3領域R3に向けて流れ出した液状排泄物は、第2フラップ部12bの表面のうち第1領域R1及び第3領域R3の間に位置する部分に相当する第5領域R5を通り、第3領域R3に到達する。液状排泄物は、第4領域R4及び第5領域R5を通る際、第4領域R4及び第5領域R5に存在する液透過孔5の開口部50で捕捉され、トップシート2Aを透過する。第4領域R4及び第5領域R5で捕捉されず、第2領域R2及び第3領域R3に到達した液状排泄物は、第2領域R2及び第3領域R3に存在する液透過孔5の開口部50で捕捉され、トップシート2Aを透過する。したがって、生理用ナプキン1Aは、第2領域R2及び第3領域R3に向けて流れ出した液状排泄物の、生理用ナプキン1Aの外部へ漏出を防止することができる。
【0084】
生理用ナプキン1Aにおいて、第2領域R2及び第3領域R3に向けて流れ出した液状排泄物は、第2領域R2及び第3領域R3に到達する前に、第4領域R4及び第5領域R5に存在する液透過孔5の開口部50で捕捉される。したがって、第2領域R2及び第3領域R3に到達する液状排泄物は、第4領域R4及び第5領域R5に到達する液状排泄物よりも少ない。このため、第2領域R2の開口率が第4領域R4の開口率よりも小さく、第3領域R3の開口率が第5領域R5の開口率よりも小さくても、生理用ナプキン1Aは、液状排泄物の漏出防止効果を十分に発揮することができる。
【0085】
トップシート2Aを透過した液状排泄物は、トップシート2A及びバックシート3の間を拡散し、第2領域R2及び第3領域R3から滲み出すおそれがある。第1ウイング部13及び第2ウイング部14が下着のクロッチ部の非肌当接面側に折り返されているとき、第2領域R2及び第3領域R3は着用者の衣服側に位置するため、第2領域R2及び第3領域R3から液状排泄物が滲み出すと、滲み出した液状排泄物によって着用者の衣服が汚れるおそれがある。この点、生理用ナプキン1Aでは、第2領域R2の開口率が第4領域R4の開口率よりも小さく、第3領域R3の開口率が第5領域R5の開口率よりも小さいので、第2領域R2及び第3領域R3から滲み出した液状排泄物によって着用者の衣服が汚れにくい。
【0086】
生理用ナプキン1Aでは、第2領域R2の開口率が第4領域R4の開口率よりも小さく、第3領域R3の開口率が第5領域R5の開口率よりも小さいので、トップシート2Aのうち第1ウイング部13及び第2ウイング部14を形成する部分の強度の低下、及び、これに起因する第1ウイング部13及び第2ウイング部14の下着への装着性の低下を防止することができる。
【0087】
生理用ナプキン1Aにおいて、液透過孔5は、第1ウイング部13及び第2ウイング部14の自由端部、特に、第1ウイング部13及び第2ウイング部14の自由端部のうち幅方向Yの外側の端部131,141に形成されていない。したがって、生理用ナプキン1Aでは、トップシート2Aを透過した液状排泄物がトップシート2A及びバックシート3の間を拡散しても、第1ウイング部13及び第2ウイング部14の自由端部から液状排泄物が滲み出しにくい。また、液透過孔5が第1ウイング部13及び第2ウイング部14の自由端部に形成されていないので、所定の形状を保持した状態で、原反からトップシート2Aを切り出しやすい。
【0088】
生理用ナプキン1Aにおいて、第1ウイング部13及び第2ウイング部14が下着のクロッチ部の非肌当接面側に折り返される際、仮想直線VL7及び仮想直線VL8が折り曲げ線となりやすい。第1ウイング部13及び第2ウイング部14が仮想直線VL7及び仮想直線VL8で折り返されると、第2領域R2の遠位部分R22及び第3領域R3の遠位部分R32が着用者の衣服側に位置するが、第2領域R2の遠位部分R22及び第3領域R3の遠位部分R32には液透過孔5の開口部50が存在しない。したがって、トップシート2Aを透過した液状排泄物がトップシート2A及びバックシート3の間を拡散しても、第2領域R2の遠位部分R22及び第3領域R3の遠位部分R32から液状排泄物が滲み出しにくい。
【0089】
生理用ナプキン1Aにおいて、第2領域R2の遠位部分R22及び第3領域R3の遠位部分R32には液透過孔5の開口部50が存在しないので、トップシート2Aのうち第1ウイング部13及び第2ウイング部14を形成する部分の強度が十分なものとなる。したがって、第1ウイング部13及び第2ウイング部14が第1粘着部61及び第2粘着部62によって下着のクロッチ部の非肌当接面に固定されたとき、第1粘着部61及び第2粘着部62による生理用ナプキン1Aのズレ防止効果が発揮されやすい。
【0090】
生理用ナプキン1Aでは、トップシート2Aを透過した液状排泄物がトップシート2A及びバックシート3の間を拡散しても、液吸収性シート71,72で吸収されるので、液状排泄物が第2領域R2の遠位部分R22及び第3領域R3の遠位部分R32から滲み出しにくい。
【0091】
生理用ナプキン1Aにおいて、液透過孔5は、トップシート2Aに形成された凹部であり、該凹部を形成する内周面の一部は、トップシート2Aを貫通するスリット54によって、第1面S11から分断されている。したがって、生理用ナプキン1Aでは、吸収体4に吸収された液状排泄物が、液透過孔5を通じて見えにくいとともに、液透過孔5を通じて滲み出しにくい。
【0092】
生理用ナプキン1Aにおいて、スリット54は、長さ方向Xに延在している。したがって、生理用ナプキン1Aでは、スリット54が折り曲げ基点となり、第1ウイング部13及び第2ウイング部14を折り曲げやすい。
【0093】
<第2実施形態>
以下、図6及び図7に基づいて、本発明の吸収性物品の第2実施形態に係る生理用ナプキン1Bを説明する。図6は、生理用ナプキン1Bの平面図であり、図7は、図6のA−A線断面図である。
【0094】
生理用ナプキン1Bは、トップシート2Aの代わりにトップシート2Bが使用されている点を除き、生理用ナプキン1Aと同一の構成を有する。なお、図6及び図7において、生理用ナプキン1Bが有する部分及び部材のうち、生理用ナプキン1Aと同一であるものは、生理用ナプキン1Aと同一の符号で表されており、必要がある場合を除き、その説明を省略する。
【0095】
トップシート2Bは、複数のシート部材で構成されている点で、単一のシート部材で構成されているトップシート2Aと異なる。
【0096】
生理用ナプキン1Bの第1面S11は、長さ方向Xに延在する中央領域S111と、幅方向Yの一方側において中央領域S111に隣接する第1隣接領域S112と、幅方向Yの他方側において中央領域S111に隣接する第2隣接領域S113とを有する。
【0097】
トップシート2Bは、中央領域S111を形成する第1シート部材21Bと、第1隣接領域S112を形成する第2シート部材22Bと、第2隣接領域S113を形成する第3シート部材23Bとを有する。
【0098】
第2シート部材22B及び第3シート部材23Bは、第1シート部材21Bの幅方向Yの両側部分に重ねられて、不図示のシール部で接合されている。シール部による接合様式としては、例えば、ヒートエンボス処理による接合、ホットメルト型接着剤による接合等が挙げられる。
【0099】
第1シート部材21Bは、第2シート部材22B及び第3シート部材23Bから露出する表面S211を有する。なお、第1シート部材21Bの表面の一部は第2シート部材22B及び第3シート部材23Bによって覆われ、外部に露出していない。第1シート部材21Bの表面S211は、生理用ナプキン1Bの第1面S11の中央領域S111に相当する。
【0100】
第2シート部材22B及び第3シート部材23Bは、それぞれ、全体が外部に露出する表面S212及び表面S213を有する。第2シート部材22Bの表面S212は、生理用ナプキン1Bの第1面S11の第1隣接領域S112に相当し、第3シート部材23Bの表面S213は、生理用ナプキン1Bの第1面S11の第2隣接領域S113に相当する。
【0101】
第1シート部材21Bは、着用者から排泄された液状排泄物が透過し得る液透過性シートである。本実施形態において第1シート部材21Bとして使用される液透過性シートは不織布である。不織布はそれ自体が液透過性を有するので、第1シート部材21Bには液透過孔5は形成されていない。
【0102】
第2シート部材22B及び第3シート部材23Bは、着用者から排泄された液状排泄物が透過し得る液透過性シートである。本実施形態において第2シート部材22B及び第3シート部材23Bとして使用する液透過性シートは、複数の液透過孔5が形成された合成樹脂シートである。合成樹脂シートそれ自体は液透過性を有しないので、第2シート部材22B及び第3シート部材23Bの液透過性は、合成樹脂シートに形成された複数の液透過孔5に基づく。複数の液透過孔5が形成された合成樹脂に関する説明は、トップシート2Aに関する説明と同様であるので、省略する。なお、図6において、第2シート部材22Bに形成された液透過孔5の一部が、第3シート部材23Bに形成された液透過孔5の全てが、図7において、第2シート部材22B及び第3シート部材23Bに形成された液透過孔5の全てが、図の簡略化の目的で省略されている。
【0103】
生理用ナプキン1Bは、生理用ナプキン1Aと同様の作用効果を発揮することができる。
【符号の説明】
【0104】
1A,1B 生理用ナプキン(吸収性物品の一例)
2A,2B トップシート
3 バックシート
4 吸収体
5 液透過孔
50 液透過孔の開口部
10 本体部
11 吸収体配置部
12a 第1フラップ部
12b 第2フラップ部
13 第1ウイング部
14 第2ウイング部
X 長さ方向
Y 幅方向
Z 厚さ方向
11 生理用ナプキンの第1面
12 生理用ナプキンの第2面
1 吸収体配置部の表面に相当する第1領域
2 第1ウイング部の表面に相当する第2領域
3 第2ウイング部の表面に相当する第3領域
4 第1フラップ部の表面のうち第1領域及び第2領域の間に位置する第4領域
5 第2フラップ部の表面のうち第1領域及び第3領域の間に位置する第5領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8