特許第6395586号(P6395586)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395586
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】被加工物の分割方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20180913BHJP
   B23K 26/03 20060101ALI20180913BHJP
   B23K 26/351 20140101ALI20180913BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20180913BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 S
   B23K26/03
   B23K26/351
   H01L21/302 201B
   H01L21/302 105A
   H01L21/78 B
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-252870(P2014-252870)
(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公開番号】特開2016-115787(P2016-115787A)
(43)【公開日】2016年6月23日
【審査請求日】2017年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】西田 吉輝
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏行
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 健志
(72)【発明者】
【氏名】田渕 智隆
(72)【発明者】
【氏名】横尾 晋
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−095952(JP,A)
【文献】 特開2006−253402(JP,A)
【文献】 特開2004−055684(JP,A)
【文献】 特開2014−107283(JP,A)
【文献】 特開2012−256796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B23K 26/03
B23K 26/351
H01L 21/302
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1面に第1金属膜が形成されると共に第2面に第2金属膜が形成され、該第1金属膜上に第1アライメントマークが配設され、該第2金属膜上に第2アライメントマークが配設された板状の被加工物を分割予定ラインに沿って分割する被加工物の分割方法であって、
該第1金属膜上に第1保護膜を被覆する第1の保護膜被覆工程と、
該第1の保護膜被覆工程により被覆された該第1保護膜を通して該第1金属膜上に形成された第1アライメントマークを撮像手段により撮像して、分割予定ラインの位置を検出する第1のアライメント工程と、
該第1のアライメント工程実施後、該第1保護膜が被覆された第1の面側からレーザービームを照射して、該第1金属膜を該分割予定ラインに沿って除去して該基板を露出させる第1のレーザー加工工程と、
該第1のレーザー加工工程により該基板が露出した被加工物の該第1の面側からプラズマエッチングを施し、少なくとも該基板の厚さの半分の深さを有する第1エッチング溝を形成する第1のエッチング工程と、
該第1金属膜上に被覆した該第1保護膜を除去する第1の保護膜除去工程と、
該第1の保護膜除去工程実施後、被加工物の該第2金属膜上に第2保護膜を被覆する第2の保護膜被覆工程と、
該第2の保護膜被覆工程により被覆された該第2保護膜を通して該第2金属膜上に形成された第2アライメントマークを該撮像手段により撮像して、該分割予定ラインの位置を検出する第2のアライメント工程と、
該第2のアライメント工程実施後、該第2保護膜が被覆された該第2面側からレーザービームを照射し、該第2面に形成された該第2金属膜を該分割予定ラインに沿って除去して該基板を露出させる第2のレーザー加工工程と、
該第2のレーザー加工工程実施後、被加工物の該第2面側からプラズマエッチングを施し、該第1のエッチング工程で形成された該第1エッチング溝に達する深さの第2エッチング溝を形成し、被加工物を該分割予定ラインに沿って分割する第2のエッチング工程と、
該第2のエッチング工程実施後、該第2面に被覆された該第2保護膜を除去する第2の保護膜除去工程と、
を備えたことを特徴とする被加工物の分割方法。
【請求項2】
少なくとも該第2のエッチング工程及び該第2の保護膜除去工程は、被加工物の該第1面側に粘着テープを貼着した状態で実施することを特徴とする請求項1記載の被加工物の分割方法。
【請求項3】
該第1保護膜及び該第2保護膜は水溶性の樹脂から構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の被加工物の分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の両面に金属膜が形成された板状の被加工物を分割予定ラインに沿って分割する被加工物の分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造プロセスにおいては、略円板状の半導体ウェーハの表面に格子状に配列された複数の分割予定ラインによって多数の矩形状のチップ領域を区画し、これらのチップ領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。
【0003】
表面に複数のデバイスを有する半導体ウェーハは、裏面研削して所定の厚みに加工された後、切削装置等により分割予定ラインに沿ってダイシングして、各チップ領域を半導体チップとして得ている。このようにして製造された半導体チップは樹脂封止によりパッケージングされて、携帯電話やパソコン等の各種電子機器に広く利用されている。
【0004】
半導体ウェーハを半導体チップにダイシングする手段としては、高速回転する円板状の切削ブレードをウェーハに切り込ませるブレードダイシング、レーザービームを分割予定ラインに沿って照射してダイシングするレーザーダイシング(例えば、特開平10−305420号公報参照)、半導体ウェーハに分割予定ラインを露出させた状態でレジスト膜を被覆し、プラズマエッチングによって分割する方法、(例えば、特開2006−120834号公報参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−305420号公報
【特許文献2】特開2006−120834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、デバイスチップの構成が多様化し、基板の両面に金属膜が形成されたデバイスチップ等が出てきている。このような構成のデバイスチップをウェーハから効率的に品質良く分割するためには、例えばレーザーダイシングで金属膜を除去した後、プラズマエッチングで個々のデバイスに分割する方法が考えられる。
【0007】
然し、レーザーダイシングするためには、レーザー加工によるデブリ対策として被加工物の表面に保護膜を被覆する工程や、エッチングのためのエッチングマスクを形成する工程等が必要となり、全体として工程が複雑化してコスト高となるという問題がある。
【0008】
また、プラズマエッチングによるウェーハの分割では、エッチングにより形成されるエッチング溝が深くなる程、エッチングの進行速度が遅くなっていく傾向がある。このような場合、基板を薄くすることによりエッチングの進行速度の低下は防止できるが、基板の両面に金属膜が形成されたウェーハでは、基板を薄化することができず、結果的に加工時間が長くなってしまうという問題も発生している。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基板の両面に金属膜が形成された板状の被加工物を効率的に複数のチップに分割することのできる被加工物の分割方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、基板の第1面に第1金属膜が形成されると共に第2面に第2金属膜が形成され、該第1金属膜上に第1アライメントマークが配設され、該第2金属膜上に第2アライメントマークが配設された板状の被加工物を分割予定ラインに沿って分割する被加工物の分割方法であって、該第1金属膜上に第1保護膜を被覆する第1の保護膜被覆工程と、該第1の保護膜被覆工程により被覆された該第1保護膜を通して該第1金属膜上に形成された第1アライメントマークを撮像手段により撮像して、分割予定ラインの位置を検出する第1のアライメント工程と、該第1のアライメント工程実施後、該第1保護膜が被覆された第1の面側からレーザービームを照射して、該第1金属膜を該分割予定ラインに沿って除去して該基板を露出させる第1のレーザー加工工程と、該第1のレーザー加工工程により該基板が露出した被加工物の該第1の面側からプラズマエッチングを施し、少なくとも該基板の厚さの半分の深さを有する第1エッチング溝を形成する第1のエッチング工程と、該第1金属膜上に被覆した該第1保護膜を除去する第1の保護膜除去工程と、該第1の保護膜除去工程実施後、被加工物の該第2金属膜上に第2保護膜を被覆する第2の保護膜被覆工程と、該第2の保護膜被覆工程により被覆された該第2保護膜を通して該第2金属膜上に形成された第2アライメントマークを該撮像手段により撮像して、該分割予定ラインの位置を検出する第2のアライメント工程と、該第2のアライメント工程実施後、該第2保護膜が被覆された該第2面側からレーザービームを照射し、該第2面に形成された該第2金属膜を該分割予定ラインに沿って除去して該基板を露出させる第2のレーザー加工工程と、該第2のレーザー加工工程実施後、被加工物の該第2面側からプラズマエッチングを施し、該第1のエッチング工程で形成された該第1エッチング溝に達する深さの第2エッチング溝を形成し、被加工物を該分割予定ラインに沿って分割する第2のエッチング工程と、該第2のエッチング工程実施後、該第2面に被覆された該第2保護膜を除去する第2の保護膜除去工程と、を備えたことを特徴とする被加工物の分割方法が提供される。
【0011】
好ましくは、少なくとも第2のエッチング工程及び第2の保護膜除去工程は、被加工物の第1面側に粘着テープを貼着した状態で実施される。好ましくは、第1及び第2の保護膜は水溶性の樹脂から形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の被加工物の分割方法によると、レーザー加工の際にデブリ対策として被加工物に被覆する保護膜をエッチングマスクとして使用することにより、エッチングマスクの形成工程を省いて工程が複雑化することによるコストアップを防止することができる。
【0013】
また、プラズマエッチングを被加工物の表面側からと裏面側からのそれぞれから行うことにより、エッチング溝が深くなることによるエッチング速度の低下の影響を最小限に抑制し、被加工物を効率的に分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明実施形態に係るウェーハの表面側斜視図である。
図2図1に示したウェーハの一部拡大断面図である。
図3】第1の保護膜被覆工程を示す斜視図である。
図4】第1の保護膜が被覆された状態のウェーハの一部拡大断面図である。
図5】第1のレーザー加工工程を説明する斜視図である。
図6】レーザービーム発生ユニットのブロック図である。
図7図7(A)は第1のレーザー加工工程を示すウェーハの一部拡大断面図、図7(B)は第1のレーザー加工工程終了後のウェーハの一部拡大断面図である。
図8図8(A)は第1のエッチング工程を示すウェーハの一部拡大断面図、図8(B)は第1のエッチング工程終了後のウェーハの一部拡大断面図である。
図9図9(A)は第1の保護膜除去工程を説明する斜視図、図9(B)は第1の保護膜除去工程実施後のウェーハの一部拡大断面図である。
図10図10(A)は第2のレーザー加工工程を示すウェーハの一部拡大断面図、図10(B)は第2のレーザー加工工程実施後のウェーハの一部拡大断面図である。
図11】粘着テープ貼着工程を示す斜視図である。
図12図12(A)は第2のエッチング工程を示すウェーハの一部拡大断面図、図12(B)は第2のエッチング工程実施後のウェーハの一部拡大断面図、図12(C)は第2の保護膜除去工程実施後のウェーハの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、本発明実施形態に係る半導体ウェーハの表面側斜視図が示されている。半導体ウェーハ(以下、単にウェーハと称することがある)11は、図2の断面図に示すように、シリコン等の基板13と、基板13の表面に複数の絶縁膜と複数の機能膜とからなる機能層15が積層されて構成されている。
【0016】
そして、この機能層15に格子状に配列された複数の分割予定ライン(ストリート)17が形成され、分割予定ライン17により画成された各領域にIC、LSI等のデバイス19が形成されて構成されている。
【0017】
機能層15上には第1金属膜21が形成され、基板13の裏面には第2金属膜23が形成されている。第1及び第2金属膜21,23は銅(Cu)又はアルミニウム(Al)等から形成されている。
【0018】
図1に示すように、第1金属膜21上には複数のアライメントマーク25が形成されている。同様に、第2金属膜23上にも第1アライメントマーク25に対応する位置に複数の第2アライメントマークが形成されている。
【0019】
第1金属膜21上に形成された4個のアライメントマーク25は、1本の分割予定ライン17の両端近傍に形成されており、対向する一対のアライメントマーク25を結んだ直線は1本の分割予定ライン17に一致する。
【0020】
本発明の分割方法の加工対象は、図1及び図2に示した半導体ウェーハ11に限定されるものではなく、表面に複数の分割予定ラインを有し、表面及び裏面の両面に金属膜が形成された板状の被加工物が分割対象となるものである。
【0021】
本実施形態の分割方法では、まず機能層15の表面に形成された第1金属膜21上に第1保護膜を被覆する第1の保護膜被覆工程を実施する。この第1の保護膜被覆工程では、図3に示すように、スピンナテーブル10上に第1金属膜21を露出させてウェーハ11を吸引保持する。
【0022】
そして、スピンナテーブル10を回転させながら液状樹脂供給源12から供給された水溶性の液状樹脂16をノズル14で第1金属膜21上に供給し、液状樹脂16を第1金属膜21上にスピンコーティングする。
【0023】
スピンコーティングされた液状樹脂16を乾燥させて、図4に示すように、第1金属膜21上に第1保護膜27を被覆する。第1保護膜27は、後で実施するプラズマエッチング工程のマスクとして利用するため、SF等のエッチングガスに対して耐性を有している必要がある。
【0024】
尚、図4のウェーハの一部拡大断面図では、分割予定ライン17に基板13が露出しているように示されているが、実際には、図2に示すように、基板13上に機能層15が積層され、機能層15に複数の分割予定ライン17及び複数のデバイス19が形成されている。以下に説明する他のウェーハの一部拡大断面図においても同様である。
【0025】
第1の保護膜被覆工程実施後、図5に示すように、第1の保護膜被覆工程により被覆された第1保護膜27を通して第1金属膜21上に形成されたアライメントマーク25を撮像手段36により撮像して、分割予定ライン17の位置を検出する第1のアライメント工程を実施する。撮像手段(撮像ユニット)36は顕微鏡及びCCDカメラ等のカメラを含んでおり、撮像した画像は制御手段38を介してモニタ40上に表示される。
【0026】
第1のアライメント工程では、撮像ユニット36により第1の保護膜27を通して第1金属膜21上に形成された第1アライメントマーク25を撮像し、一対の第1アライメントマーク25を結んだ直線がX軸と平行となるようにチャックテーブル18を回転する。
【0027】
更に、レーザー加工装置の集光器26が最初にレーザー加工すべき分割予定ライン17の直上に位置づけられるようにチャックテーブル18をY軸方向に移動する。
【0028】
第1の方向に伸長する分割予定ライン17についてのアライメント終了後、チャックテーブル18を90°回転してから、第1の方向に直交する第2の方向に伸長する分割予定ライン17についても同様なアライメントを実施する。
【0029】
図5において、レーザービーム照射ユニット(レーザービーム照射手段)20はケーシング22中に収容された図6に示すレーザービーム発生ユニット24と、ケーシング22の先端に装着された集光器26とを含んでいる。
【0030】
図6に示すレーザービーム発生ユニット24は、YAGレーザー発振器、YVO4レーザー発振器等のレーザー発振器28と、レーザー発振器28の繰り返し周波数を設定する繰り返し周波数設定手段30と、レーザー発振器28のパルス幅を調整するパルス幅調整手段32を含んでいる。レーザー発生ユニット24は更に、レーザー発振器28から発振されたレーザービームのパワーを調整するパワー調整手段34を含んでいる。
【0031】
第1のアライメント工程実施後、図7(A)に示すように、第1保護膜27が被覆された第1面側からレーザービームLBを照射し、第1金属膜21を分割予定ライン17に沿って除去して基板13を露出させる第1のレーザー加工工程を実施する。
【0032】
集光器26から出射されるレーザービームLBは、第1保護膜27及び第1金属膜21に対して吸収性を有する波長のレーザービームであり、例えば355nmの波長を有している。
【0033】
第1のレーザー加工工程は、チャックテーブル18をY軸方向に分割予定ライン17のピッチずつ割り出し送りしながら、第1の方向に伸長する分割予定ライン17に沿って次々と実施する。次いで、チャックテーブル18を90°回転してから、第2の方向に伸長する分割予定ライン17に沿ってチャックテーブル18をY軸方向に割り出し送りしながら次々と実施する。
【0034】
第1のレーザー加工工程を実施すると、図7(B)に示すように、レーザービームLBのアブレーション加工により分割予定ライン17に沿って第1保護膜27及び第1金属膜21が除去され、基板13が露出されるレーザー加工溝29が形成される。
【0035】
第1のレーザー加工工程実施後、図8(A)に示すように、第1保護膜27をエッチングマスクとして、第1のレーザー加工工程により基板13が露出したウェーハ11の第1面側から矢印Aに示すようにエッチングガスを供給してプラズマエッチングを施し、図8(B)に示すように、少なくとも基板13の厚さの半分の深さを有するエッチング溝31を形成する第1のエッチング工程を実施する。エッチングガスとしては、例えばSFガスを使用する。
【0036】
本実施形態の分割方法では、エッチング溝31の深さは基板13の厚さの半分程度であるため、エッチングの進行速度の低下を抑制することができ、迅速にエッチング溝31を形成することができる。
【0037】
第1のエッチング工程実施後、第1金属膜21上に被覆した第1保護膜27を除去する第1の保護膜除去工程を実施する。この第1の保護膜除去工程では、図9(A)に示すように、スピンナ洗浄装置40のスピンナテーブル42でウェーハ11を吸引保持し、第1保護膜27を上方に露出させる。
【0038】
そして、スピンナテーブル42を回転させながら洗浄水供給源44からの洗浄水をノズル46から第1保護膜27上に噴出することにより、第1金属膜21上から水溶性の第1保護膜27を除去する。洗浄水としては純水を利用するのが好ましい。第1の保護膜除去工程実施後のウェーハ11の一部拡大断面図が図9(B)に示されている。
【0039】
第1の保護膜除去工程実施後、ウェーハ11を反転して、図3に示すスピンナテーブル10で第1金属膜21を下側にしてウェーハ11を吸引保持し、第2金属膜23を上方に露出させる。
【0040】
そして、第1の保護膜被覆工程と同様に、ノズル14から水溶性の液状樹脂16を第2金属膜23上に供給して、第2金属膜23上に液状樹脂16をスピンコートする。液状樹脂を乾燥させて、第2金属膜23上に第2保護膜33を被覆する。
【0041】
第2の保護膜被覆工程実施後、第2の保護膜被覆工程により被覆された第2保護膜33を通して第2金属膜23上に形成された第2アライメントマークを撮像手段36により撮像して、分割予定ライン17の位置を検出する第2のアライメント工程を実施する。
【0042】
第2のアライメント工程実施後、図10(A)に示すように、第2保護膜33が被覆されたウェーハ11の第2面側からレーザービームLBを照射し、アブレーション加工により第2保護膜33及び第2金属膜23を分割予定ライン17に沿って除去してレーザー加工溝35を形成し、基板13を露出させる第2のレーザー加工工程を実施する。第2のレーザー加工工程実施後のウェーハ11の一部拡大断面図が図10(B)に示されている。
【0043】
第2のレーザー加工工程実施後、図11に示すように、ウェーハ11に形成された第1金属膜21に粘着テープ37を貼着する粘着テープ貼着工程を実施する。粘着テープ貼着工程実施後、図12(A)に示すように、第2のレーザー加工工程により形成されたレーザー加工溝35に沿って基板13が露出したウェーハ11の第2面側から矢印Aに示すようにSF等のエッチングガスを供給してプラズマエッチングを施す(第2のエッチング工程)。
【0044】
この第2のエッチング工程により、図12(B)に示すように、第1のエッチング工程で形成されたエッチング溝31に達する深さのエッチング溝39を形成し、ウェーハ11を分割予定ライン17に沿って複数のデバイスチップに分割する。
【0045】
粘着テープ貼着工程により、ウェーハ11に形成された第1金属膜21に粘着テープ37を貼着しているのは、第2のエッチング工程実施後に個々に分割されたデバイスチップがウェーハ11の形状を保つようにするためである。
【0046】
第2のエッチング工程実施後、第2金属膜23上に塗付した第2保護膜33を除去する第2の保護膜除去工程を実施する。この第2の保護膜除去工程は、図9(A)を参照して説明した第1の保護膜除去工程と同様であるため、その詳細な説明を省略する。第2の保護膜除去工程実施後のウェーハ11の一部拡大断面図が図12(C)に示されている。
【0047】
上述した実施形態によると、レーザー加工の際にデブリ対策としてウェーハ11に被覆する保護膜27,33をエッチングマスクとして使用することにより、エッチングマスクの形成工程を省いて工程が複雑化することによるコストアップを防止できる。
【0048】
また、プラズマエッチングをウェーハ11の表面側からと裏面側からの両側から行うことにより、エッチング溝が深くなることによるエッチング速度の低下を最小限に抑えることができ、ウェーハ11を効率的に個々のデバイスチップに分割することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 スピンナテーブル
11 半導体ウェーハ
13 基板
15 機能層
16 液状樹脂
17 分割予定ライン
18 チャックテーブル
19 デバイス
20 レーザービーム照射ユニット
21 第1金属膜
23 第2金属膜
24 レーザービーム発生ユニット
25 アライメントマーク
26 集光器
27 第1保護膜
29,35 レーザー加工溝
31,39 エッチング溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12