特許第6395666号(P6395666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6395666干渉式位置測定装置および干渉式位置測定装置の作動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6395666
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】干渉式位置測定装置および干渉式位置測定装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20180913BHJP
   G01D 5/38 20060101ALI20180913BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   G01D5/347 110U
   G01D5/38 A
   G01B11/00 G
   G01D5/347 110V
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-111943(P2015-111943)
(22)【出願日】2015年6月2日
(65)【公開番号】特開2015-230310(P2015-230310A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2018年6月4日
(31)【優先権主張番号】10 2014 210 706.7
(32)【優先日】2014年6月5日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・マイスナー
(72)【発明者】
【氏名】イェルク・ドレシャー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ホルツアップフェル
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−247886(JP,A)
【文献】 特開2005−55221(JP,A)
【文献】 特開2011−2452(JP,A)
【文献】 特開2010−129780(JP,A)
【文献】 特開2006−133222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/36−5/38
G01B 9/00−9/10、11/00
G02B 26/10−26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの測定方向に沿って移動可能に配置された物体の位置を決定するための干渉式位置測定装置であって、光源によって放出された光線束が少なくとも2つの部分光線束に分割され、該部分光線束のうち少なくとも1つの部分光線束が物体において1つ以上の光学機能素子に入射し、続いて重畳位置で部分光線束が干渉により重畳され、生じた少なくとも1つの信号光線束が次いで評価ユニットの方向に伝播し、評価ユニットにより、位置に依存した少なくとも1つの測定信号が信号光線束から生成可能である干渉式位置測定装置において、
信号経路における重畳位置の後方および信号デジタル化装置の前方に、所定の走査時点を決定するための少なくとも1つの切換素子が配置されていることを特徴とする干渉式位置測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉式位置測定装置において、
前記少なくとも1つの切換素子が複数の経路を備え、該経路にそれぞれ1つの信号光線束が割り当てられている干渉式位置測定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の干渉式位置測定装置において、
前記少なくとも1つの切換素子が、重畳位置と、後方に配置された複数の光電式の検出素子(51.1〜51.3)との間に配置されており、信号光線束を光学的に変調するように構成されている干渉式位置測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の干渉式位置測定装置において、
前記少なくとも1つの切換素子が、時間的に限定的に切換可能な透過特性を備える光学式の変調器として構成されている干渉式位置測定装置。
【請求項5】
請求項3に記載の干渉式位置測定装置において、
前記少なくとも1つの切換素子が、時間的に限定的に切換可能な増幅特性を備える光学式の半導体増幅器として構成されている干渉式位置測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の干渉式位置測定装置において、
前記少なくとも1つの切換素子が複数の光電式の検出素子の後方に配置されており、電気式切換素子として構成されており、該電気式切換素子は、前記生じた少なくとも1つの信号光線束から生成された位置に依存した少なくとも1つの測定信号を後続の信号処理素子に供給する前に電気的に変調する干渉式位置測定装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の干渉式位置測定装置において、
光学機能素子(10)が、周期的な測定区分を備える基準器として構成されており、少なくとも2つの分割された部分光線束によって入射される干渉式位置測定装置。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の干渉式位置測定装置において、
一つ又はそれ以上の光学機能素子が、第1部分光線束によって入射される反射鏡として測定アーム内に構成されており、これに対して第2部分光線束が、参照アーム内の固定された別の反射鏡に入射する干渉式位置測定装置。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか一項に記載の干渉式位置測定装置において、
光源が、連続モードで作動するように構成されている干渉式位置測定装置。
【請求項10】
少なくとも1つの測定方向に沿って移動可能に配置された物体の位置を決定するための干渉式位置測定装置の作動方法であって、光源から放出された光線束が少なくとも2つの部分光線束に分割され、該部分光線束のうちの少なくとも1つの部分光線束が物体において1つ以上の光学機能素子に入射し、続いて部分光線束が重畳位置で重畳されて干渉され、生じた少なくとも1つの信号光線束が次いで評価ユニットの方向に伝播し、該評価ユニットにより、生じた少なくとも1つの信号光線束から位置に依存した少なくとも1つの測定信号が生成される干渉式位置測定装置の作動方法において、
信号経路における重畳位置の後方および信号デジタル化装置の前方に配置された少なくとも1つの切換素子を介して、所定の走査時点を決定することを特徴とする作動方法。
【請求項11】
請求項10に記載の作動方法において、
重畳位置と、該重畳位置の後方に配置された複数の光電式の検出素子との間に配置された少なくとも1つの切換素子を介して、少なくとも1つの信号光線束を光学的に変調する作動方法。
【請求項12】
請求項10に記載の作動方法において、
複数の光電式の検出装置の後方に配置された切換素子を介して、生じた少なくとも1つの信号光線束から生成された位置に依存した少なくとも1つの測定信号を、後続の信号処理素子に供給される前に電気的に変調する作動方法。
【請求項13】
請求項10に記載の作動方法において、
光源を連続的に作動する作動方法。
【請求項14】
請求項10に記載の作動方法において、
クロック信号を介して時間的に限定的に前記少なくとも1つの切換素子をスイッチオン・オフする作動方法。
【請求項15】
請求項10に記載の作動方法において、
重畳位置と、該重畳位置の後方に配置された複数の光電式の検出素子との間に配置された第1切換素子によって、生じた少なくとも1つの信号光線束を光学的に変調し、
複数の光電式の検出素子の後方に配置された第2切換素子によって、生じた少なくとも1つの信号光線束から生成された位置に依存した少なくとも1つの測定信号を、後続の信号処理素子に供給される前に電気的に変調する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに対して移動可能な2つの物体の相対位置を高精度に決定するために適した干渉式位置測定装置およびこのような位置測定装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高精度の位置測定装置は、移動された物体の位置を検出するために、例えば工作機械または半導体を製造する機械などの様々な機械において使用される。特に後者のシステムでは互いに相対的に位置決めすべき機械構成素子の移動速度が次第に高くなっている。これに伴い位置測定に対する要求が高まり、例えば数ナノメートル範囲の位置決め精度が要求されることもある。
【0003】
一般に、このような機械では、例えば移動された物体の位置を複数の空間自由度で決定するために、複数の測定軸線に沿ってできるだけ同時的に位置決定を行う必要がある。複数の測定軸線において異なる時点で位置検出を行った場合、物体の空間的位置の決定に誤差が生じる。例えば複数の測定軸線において数ナノ秒の範囲で位置検出に時間的揺れが生じた場合、所定の高さの移動速度では数ナノメートルのオーダの位置誤差が生じることもある。位置検出時点のこのようなずれを以下では累積ジッタとも呼ぶ。
【0004】
この問題を解決するために、機械制御ユニットの要求信号を介して光パルスを生成し、この光パルスを用いて、使用される基準器を光学式位置測定装置において走査することにより累積ジッタの発生を防止することが欧州特許第1334332号明細書により既知である。生成された光パルスにより位置決定の時点が正確に定義されている。この刊行物では、位置測定装置として回折格子に基づいた光学式位置測定装置が使用され、走査のためには結像走査方式および干渉走査方式の両方を使用することができる。高精度の測定を行うためには、特に上記干渉式位置測定装置が適しており、回折格子に基づいた実施形態の他に、基本的には純粋に干渉計による実施形態を使用することもできる。このような干渉式位置測定装置では、光源から放出される光線束が少なくとも2つの部分光線束に分離され、これらの部分光線束のうち少なくとも一方の部分光線束が物体において適切な機能素子に1回または複数回入射する。機能素子は、回折格子に基づいた実施形態の場合には基準器であり、干渉計を使用した実施形態の場合には反射鏡もしくは逆反射器である。次いで部分光線束は重畳位置で干渉により重畳され、少なくとも1つの得られた信号光線束は評価ユニットの方向に伝播し、評価ユニットは信号光線束から位置に依存した少なくとも1つの測定信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1334332号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の基礎をなす課題は、干渉式位置測定装置を使用した高精度の位置測定を確保する他の可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を備える干渉式位置測定装置によって解決される。
【0008】
本発明による干渉式位置測定装置の有利な実施形態が、請求項1に従属する請求項に記載の手段により明らかである。
【0009】
さらに、上記課題は、請求項10に記載の特徴を備える干渉式位置測定装置の作動方法によっても解決される。
【0010】
本発明による干渉式位置測定装置の作動方法の有利な実施形態が、請求項10に従属する請求項に記載の手段により明らかである。
【0011】
本発明による干渉式位置測定装置は、少なくとも1つの測定方向に沿って移動可能に配置された物体の位置を決定するために用いられる。この場合、光源によって放出された光線束は少なくとも2つの部分光線束に分割され、これらの部分光線束のうち少なくとも1つの部分光線束は物体において1つ以上の光学機能素子に入射する。続いて部分光線束は重畳位置で干渉により重畳される。得られた少なくとも1つの信号光線束は評価ユニットの方向に伝播し、評価ユニットにより、位置に依存した少なくとも1つの測定信号が信号光線束から生成可能である。信号経路における重畳位置の後方および信号デジタル化装置の前方には所定の走査時点を決定するための少なくとも1つの切換素子が配置されている。
【0012】
この場合、切換素子が複数の経路を備え、これらの経路にそれぞれ1つの信号光線束が割り当てられているように構成してもよい。
【0013】
可能な一実施形態では、切換素子は、重畳位置と、後方に配置された複数の光電式の検出素子との間に配置され、信号光線束を光学的に変調するために適切に構成されていてもよい。
【0014】
この場合、切換素子は、時間的に限定的に切換可能な透過特性を備える光学式の変調器として構成されていてもよい。
【0015】
さらに切換素子は、時間的に限定的に切換可能な増幅特性を備える光学式の半導体増幅器として構成されていることも可能である。
【0016】
代替的に、切換素子が複数の光電式の検出素子の後方に配置されており、電気式切換素子として構成されており、信号光線束から生成された信号を後続の信号処理素子に供給する前に変調してもよい。
【0017】
可能な一変化形態では、光学機能素子は、周期的な測定区分を備える基準器として構成されおり、少なくとも2つの分割された部分光線束によって入射されてもよい。
【0018】
代替的には、光学機能素子は第1部分光線束によって入射される反射鏡として測定アーム内に構成されていてもよい。これに対して第2部分光線束は、参照アーム内の固定された別の反射鏡に入射する。
【0019】
好ましくは、光源は、連続モードで作動するように構成されている。
【0020】
本発明による干渉式位置測定装置の作動方法は、少なくとも1つの測定方向に沿って移動可能に配置された物体の位置を決定するために用いられる。この場合、光源から放出された光線束は少なくとも2つの部分光線束に分割され、これらの部分光線束のうちの少なくとも1つの部分光線束は物体において1つ以上の光学機能素子に入射し、次いで重畳位置で部分光線束に干渉により重畳される。生じた少なくとも1つの信号光線束は、続いて評価ユニットの方向に伝播し、評価ユニットにより、信号光線束から位置に依存した少なくとも1つの測定信号が生成される。信号経路における重畳位置の後方および信号デジタル化装置の前方に配置された少なくとも1つの切換素子を介して、所定の走査時点が決定される。
【0021】
重畳位置と、後方に配置された複数の光電式の検出素子との間に配置された切換素子を介して、少なくとも1つの信号光線束が光学的に変調されるように構成してもよい。
【0022】
代替的には、複数の光電式の検出素子の後方に配置された切換素子を介して、信号光線束から生成された信号が後続の信号処理素子に供給される前に電気的に変調されるように構成してもよい。
【0023】
有利には、光源は連続的に作動される。
【0024】
さらにクロック信号を介して時間的に限定的に切換素子をスイッチオン・オフすることも可能である。
【0025】
重畳位置と、後方に配置された複数の光電式の検出素子との間に配置された第1切換素子によって少なくとも1つの信号光線束が光学的に変調され、複数の光電式の検出素子の後方に配置された第2切換素子によって信号光線束から生成された信号が後続の信号処理素子に供給される前に電気的に変調されるようにさらに構成してもよい。
【0026】
場合によって生じる累積ジッタを防止するために、本発明によればパルス式に作動される光源の代わりに、信号経路において、干渉する部分光線束の重畳後および信号デジタル化前に変調が行われる。このようにして、信号は、累積ジッタが付随した信号処理の前に、例えばA/D変換などによってパルス化され、これにより所定の走査時点が正確に決定される。したがって、従来技術とは異なり、一般に比較的大きい技術的手間を要するパルス式に作動される出力の高い光源は必ずしも必要ではない。著しく手間の少ない光源、すなわち、例えば適切なcwレーザ光源など、連続モードで作動する出力の高い光源が使用される。これにより、所定の高精度の測定原理で必要となるコヒーレンス長の大きい光源も提供されている。このようにして、基準器を備え、回折格子に基づいた位置測定装置を光学機能素子として実現できるだけでなく、さらに本発明による位置測定装置を干渉計として構成することもできる。このような干渉計では、光学機能素子を可動の反射鏡として測定アーム内に構成し、さらに参照アーム内に固定された反射鏡を設けてもよい。干渉計として構成した場合の別の利点として、部分光線束の重畳が行われた後にはじめて本発明による切換もしくはパルス化が行われることより、測定経路において信号変調度の変更はもはや生じないことに言及しておく。重畳前のパルス化の場合には、2つの相互に時間的に遅延されたパルスが常に干渉する。これにより、測定アームと参照アームとの間に距離差による変調度の低下が生じる。
【0027】
次に本発明の他の詳細および利点を図面に関連した本発明による装置の実施例の説明に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明による干渉式位置測定装置の第1実施例を示す概略図である。
図2図2a〜2dは、本発明による干渉式位置測定装置の作動原理を説明するための概略図である。
図3図3は、適切な切換素子の可能な実施形態を示す概略図である。
図4図4は、適切な切換素子の別の可能な実施形態を示す概略図である。
図5図5は、本発明による干渉式位置測定装置の第2実施例を示す概略的な部分図である。
図6図6は、本発明による干渉式位置測定装置の第3実施例を示す概略的な部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による干渉式位置測定装置および本発明による方法の第1実施例を図1および図2a〜2dに基づいて以下に説明する。この場合、図1は、この実施例の概略図を示し、図2a〜2dは、基本的な作動原理を説明するための概略的な信号図をそれぞれ示す。
【0030】
第1実施例では、本発明による干渉式の位置測定装置は、特に基準器として構成された機能素子10、走査ユニット20、光源30、切換素子40、および評価ユニット50を含む、回折格子に基づいた位置測定装置として構成されている。
【0031】
機能素子10は、走査ユニット20に対して、少なくとも1つの測定方向xに沿って移動可能に配置されている。この場合、いずれの構成素子が固定されているか、または移動可能に配置されているかは基本的には重要ではなく、機能素子10と走査ユニット20とが互いに相対移動可能であることのみが決定的である。したがって、機能素子10は、測定方向xに沿って移動する物体、例えばそれぞれの機械部品に結合されていてもよく、走査ユニット20によって、この機械部品の位置は、固定された機械部品に対して高精度に測定される。本発明による干渉式位置測定装置によって位置に依存した測定信号が生成され、例えば移動可能な機械部品を正確に位置決めするために上位の機械制御装置(図示しない)によって処理される。
【0032】
機能素子10の基準器は、図示の実施例では、適切な支持基板に配置された反射測定区分を含む。反射測定区分は、例えば、測定方向xに周期的に配置された複数の区分からなり、これらの区分は異なる反射率または異なる位相シフト作用を有する。
【0033】
連続的に作動されるか、もしくは連続波モードで作動するレーザが光源30として設けられている。このためには、例えばファブリーペローレーザ、DFBレーザ、外部共振型レーザ、ファイバレーザが適しており、これらのレーザの光線は500nm〜2μmまでの広い波長領域をカバーすることができる。光源30から放出された光線束は、例えば光ファイバ80を介して走査ユニット20に供給される。走査ユニット20は、設けられている光学式走査原理に応じて、例えば回折格子、レンズ、反射器、逆反射器など種々異なる光学構成素子を含んでいてもよい。これらの種々異なる光学構成素子は、以下に例示的に説明する走査光路と同様に図1には示されていない。なぜなら、本発明は基本的には所定の光学走査原理に依存しておらず、ありとあらゆる干渉式光学走査原理との関連でそれぞれの操作光路を実現することができるからである。
【0034】
光源30によって放出された光線束は、本発明による位置測定装置では少なくとも2つの部分光線束に分割される。このような分割は、例えば回折格子またはビームスプリッタキューブなどの適宜なビームスプリッタを介して行うことができる。この場合、分割は、選択した走査原理に応じて、既に走査ユニット20で行うことも可能であり、あるいは基準器もしくは機能素子10ではじめて行うことも可能である。一方または両方の部分光線束が機能素子10に1回または複数回入射した後に、最終的に部分光線束は重畳位置で再び統合され、そこで干渉により重畳される。生じた少なくとも1つの信号光線束は、次いで評価ユニット50の方向に伝播し、評価ユニット50によって、この信号光線束から位置に依存した少なくとも1つの測定信号を生成することができる。
【0035】
本実施例の具体的な構成では、光源30から光ファイバ80および走査ユニット20を介して入射した光線束は基準器に1回目の入射時に2つの部分光線束に分割され、これらの部分光線束は次いで走査ユニット20の方向に反射される。この場合、部分光線束の1回目の逆反射が基準器の方向に行われ、基準器において走査ユニット20の方向にもう一回反射が行われる。走査ユニット20では、次いで部分光線束が基準器の方向に2回目に逆反射され、基準器で部分光線束は重畳位置で干渉により重畳され、これにより生じた信号光線束は走査ユニット20の方向に伝播する。次いで走査ユニット20では、異なる位相関係を有する3つの信号光線束への分割が行われ、これらの信号光線束は、光ファイバ60.1,60.2,60.3、切換素子40、および光ファイバ70.1,70.2,70.3を介して評価ユニット50に到達する。図1では、位相をずらされた3つの信号光線束に割り当てられた光電式の検出素子51.1,51.2,51.3ならびに伝達インピーダンス増幅器52のみが、評価ユニット50の側において他の信号処理素子として示されている。位置に依存し、位相をずらされた複数の測定信号を生成するためにこれらの素子は用いられ、測定信号は次いでさらなる処理のために他の評価ユニット(図示しない)に供給され、この評価ユニットでは信号補正および位置計算が行われる。位置データは、次いでデータバスを介して固定のクロック周波数として出力側に提供される。
【0036】
評価ユニット50ではまず切換素子40によって生成された光パルスが、光検出器として構成された検出素子51.1,51.2,51.3により電気信号、一般に光電流に変換される。これらの信号はさらなるステップで伝達インピーダンス増幅器52を介して増幅され、電荷増幅器(図示しない)において積分される。積分された電荷は次の処理ステップでデジタル化され、走査時点における位相および位置を計算するために使用される。この場合、積分された電荷は、走査窓のゲート時間ならびに光学信号の信号振幅に比例しており、したがって従来の走査の強度信号と同様に位相および位置を計算するために使用することができる。
【0037】
光ファイバ60.1〜60.3で走査ユニット20によって生成された光信号は、機能素子10の位置に依存しており、機能素子10が走査ユニット20に対して相対移動した場合に正弦状に変調される。これらの正弦信号の周波数は、機能素子10の移動速度に比例しており、一般的な用途では、0Hz(停止状態)〜約20MHzまでであってもよい(数m/sの移動速度)。
【0038】
従来技術によるこれまでの走査では、これらの光学的な正弦信号はまず光検出器、例えば、半導体フォトダイオードまたは光電子増倍管によって電流もしくは光電流に変換される。使用可能なレーザ光源は、数ミリワットの典型的な光出力を有し、走査ユニット20の個々の出力信号の光出力は典型的にはマイクロワット範囲である。対応して、例えばデジタル化の形式で光電流を処理する前に、これまでに既知のシステムでは、生じた高い信号周波数に基づいて大きい帯域を備える著しい増幅率が必要である。この場合、増幅は、例えば光電流を電圧に変換する伝達インピーダンス増幅器によって行うことができ、電圧は次いでアナログ‐デジタル変換器によってデジタル化することができる。同時に上記増幅はできるだけ雑音なしに行う必要がある。なぜなら、この場合に生じる雑音は、計算されるべき出力位相および位置における雑音をもたらしかねないからである。光電流の増幅に対するこのような高い要求により、適宜な増幅器が限界周波数に近い高い信号周波数で作動され、機能素子10の移動速度に応じて増幅器の総周波数範囲の大部分が通過される。この場合、種々異なる入力周波数は増幅器における信号の異なる位相回転および異なるグループ遅延をもたらし、その結果、例えばアナログ‐デジタル変換器による走査までに入射する光信号の信号作動時間は一定ではなく、機能素子10の移動速度に依存している。同時に、個々の信号間の作動時間は、例えば構成部材のばらつきによって変化し、例えば熱による構成部材のドリフトによって変動し、したがって、位置が実際に検出される時点は一定ではない。
【0039】
これに対して本発明によれば、切換素子40によって光学信号を走査することにより、走査時点は単に切換素子40の切換時点によって決定され、光信号の入力周波数、したがって機能素子10の移動速度には依存していない。切換素子40の制御帯域はわずかな光電流の増幅と同じ制限を受けないので、この制御帯域は、敏感な伝達インピーダンス増幅器によって達成可能な帯域よりも著しく高く選択することができ、したがって実質的に構成部材の変動やドリフトの影響を受けにくい。信号の変化および増幅は、この場合にはもはや走査時点に影響しない。したがって、本発明による解決方法によって、より正確で、よりドリフトの少ない測定もしくは走査を実現することができる。
【0040】
本発明による光学式走査の場合には、正弦状の入力信号が高い信号周波数によって変換および増幅される必要はなく、光学式走査の後にパルスの電荷が積分され、測定されるので、信号変換および増幅の帯域はもはや最大入力周波数に対応している必要はない。むしろ後続の電子機器が走査周波数の約3倍の帯域を有していれば十分であり、これにより2つの走査パルスの間で光パルスがほぼ完全に積分される。したがって100kHzの例示的な走査率の場合、約300kHzの帯域で十分である。これまでに既知の方法では、このために20MHzよりも大きい帯域が必要であった。これにより、本発明による装置の信号処理電子機器は著しく敏感になり、できるだけ雑音なしに最適に実現することができる。
【0041】
したがって、本発明による干渉式の位置測定装置もしくは本発明による方法では、信号経路において部分光線束の重畳位置の後方、および後続の信号デジタル化装置もしくはA/D変換器の前方に図1に概略的にのみ示した切換素子40を配置することが重要である。これにより位置検出が行われる所定の走査時点が保証されていることを確保できる。後続の信号処理などによって生じる累積ジッタをこのようにして確実に防止することができる。したがって位置検出時点の決定は、この場合、光ファイバ60.1〜60.3を介して評価ユニット50の方向に走査ユニット20を離れる信号光線束の同時的変調もしくは限定的なスイッチオン・オフによってのみ行われる。このために、切換素子40は信号ライン90を介して評価ユニット50の適宜なクロック信号によって制御される。
【0042】
単一の走査ユニットの他に、本発明による装置には、さらに複数の機能素子を走査するために複数の走査ユニットを使用するように構成されていてもよい。この場合、種々異なる走査ユニットもしくは機能素子を介して、複数の測定方向もしくは複数の移動軸線に沿った物体の移動、例えば複数の空間自由度で移動するテーブルの状態を検出することができる。この場合、例えば、適宜なクロック信号によって同期された種々異なる切換素子を介して種々異なる走査ユニットの信号を評価ユニットに供給することができる。
【0043】
例えば共通の切換素子を介して、または複数の切換素子の並行した同期的な制御を介して種々異なる走査ユニットの走査時点を決定することにより、固定した既知の時点における種々異なる走査ユニットの位置信号を保存することができる。したがって種々異なる軸線の測定値には互いに時間的ずれがなく、このようにしてテーブルの状態を高精度に決定することができる。
【0044】
単一の走査ユニットのみが設けられており、この走査ユニットにより単一の測定方向に沿った移動に関する位相をずらされた複数の測定信号が検出される場合には、本発明による手段によってこれらの信号の同時的な生成が行われる。これらの信号は、さもなければ累積ジッタの影響を受ける。この場合、本発明による切換素子なしには、互いに異なる時点の位相信号が1つの位置信号として誤算され、したがって測定された実際の位置を示さない。
【0045】
したがって、本発明による解決方法の決定的な利点は、いわばデジタル式に、入力信号周波数とは無関係に、従来技術において適用されている光検出器からA/D変換器までのアナログ信号チェーンの場合よりも少ないドリフトで正確に切換素子の制御を実施できることである。
【0046】
図2a〜2dに基づいて、以下に本発明の基本的な作動原理をさらに説明する。この場合、図1に示したように、図2a〜2dの種々異なる概略的な信号図は信号経路のそれぞれの構成素子に対応している。
【0047】
光学機能素子10もしくは基準器が走査ユニット20に対して相対移動した場合には、連続モードで作動する光源30による照射時に、図2aに示すように位置に依存した3つの周期的な光学信号I90,I210,I330が生じる。これらの光学信号は、それぞれ互いに120°の位相ずれを示し、正弦状の経過を有している。図2aには、信号I90,I210,I330の強度の時間的変化が示されている。生成された信号I90,I210,I330は、光ファイバ60.1〜60.3を介して走査ユニット20から切換素子40の方向に伝送される。
【0048】
本発明によれば、切換素子40は時間的に限定的にスイッチオン・オフされ、したがって信号光線束もしくはそれぞれの光学信号I90,I210,I330の強度は光ファイバ60.1〜60.3内で時間的に変調される。このために、適切に構成された切換素子40では、例えば透過特性が、例えば図2bに示すように時間的に限定的に変更される。この図には、切換素子40の透過率TSEの時間的経過が記入されている。図からわかるように、時間間隔trepをおいて継続時間tにわたって切換素子40が透過性に切り換えられ、継続時間tと継続時間tとの間においては完全に非透過性に切り換えられる。したがって、透過率TSEは継続時間tにおけるTSE=100%と継続時間trepにおける透過率TSE=0%との間で切り換えられる。本実施例では、切換素子40は3つの経路を備え、これらの経路には、生成された3つの信号光線束のいずれか1つもしくはいずれか1つの信号I90,I210,I330が割り当てられている。図2aは、3つの経路それぞれにおける典型的な透過率特性を示す。切換素子40を通過した後に光学信号I90,I210,I330はパルス状に提供される。以下にはそれぞれの信号I90,I210,I330のパルス継続時間がtにより示されている。
【0049】
図2cには、切換素子40を通過した後の種々異なる信号I90,I210,I330の時間的な信号変化が示されている。すなわち、後続の評価ユニット50内の光電式の検出素子51.1〜51.3に入射する信号I90,I210,I330の経過が示されている。検出素子51.1〜51.3を介して、これまでは純粋に光学的な信号が電気的な信号に変換され、パルス継続時間tにわたって積分される。これにより、信号I90,I210,I330毎に、図2dに示すようにそれぞれのパルスについて値が生じ、この値は次いでデジタル化、すなわちA/D変換され、さらなる信号処理のために保存される。
【0050】
図3および図4に基づいて、信号経路における信号光線束の本発明による変調の第1実施例で使用できる適切な切換素子を以下に説明する。この場合、特に提案された切換素子が、重畳位置と後続の複数の検出素子との間で信号光線束を光学的に変調するために適している。
【0051】
適宜な切換素子は、上述のように複数の光学経路の同時的なスイッチオン・オフを可能とするように構成されており、これらそれぞれの経路には、種々異なるいずれの信号光線束が割り当てられている。これにより切換素子が周期的に相互にジッタまたはドリフトにさらされ、最終的には累積ジッタとして測定エラーがもたらされるという問題を回避することができる。切換素子相互のドリフトは、例えば、複数の走査ユニットの信号経路における信号の走査時点がもはや相互に同一ではないという結果をもたらす。このことは、特に移動速度が速い場合には、移動されたテーブルの状態を計算するために種々異なる時点の位置、すなわち最終的に互いに異なる位置が誤算されるという問題をもたらす。こうしたことは、冒頭で述べたようにできるだけ防止することが望ましい誤差につながる。
【0052】
同じことが、個々の走査ユニットにおける位相をずらされた信号についてもあてはまる。これらの信号の相互の走査時点が変動した場合、異なる位置もしくは時間に由来し、したがって走査ユニットおよび機能素子の真の位置を再現していない、位相をずらされた信号から位置を計算することになる。
【0053】
適切な複数経路を備える切換素子140の第1実施例が、図3に極めて概略的に示されている。切換素子140は、時間的に限定的に切換可能な透過特性を有する光変調器として構成されている。この切換素子140は平坦なマルチモード導波路141を含み、このマルチモード導波路には、走査ユニットから放出された信号光線束が変調器の端面に対して所定の角度で結合される。マルチモード導波路141の表面の部分領域141.1には電気的に可変の屈折率を有する材料が塗布されており、入射した信号光線束が一回全反射される。この部分領域141.1に電圧を印加することにより限定的に全反射を可能とするか、または防止することもできる。すなわち、これにより時間的に限定的に切換素子140の切換可能な透過特性を実現することができる。これに対して代替的に、マルチモード導波路141の部分領域141には、反射特性を限定的に電気的に切換可能な材料を使用してもよい。したがって、いわば「切換可能なミラー」を含むこの切換素子140の複数の経路を介して、走査ユニットから放出された複数の信号光線束を伝送することができる。したがって、後方に配置された検出素子を介して光学信号を電気信号もしくは光電流に変換する前に、信号光線束の光学変調もしくはパルス化が可能である。
【0054】
図3の出力側に示した2本の矢印は、スイッチオン状態およびスイッチオフ状態で生じる光路を示している。切換素子140の光学的に活性の材料が「オフ」位置にある場合には、光はまさに切換素子140を通過し、切換素子の表面を超えて出射する。材料が「オン」位置にある場合には、光は偏向もしくは反射され、第2端面を超えて出射し、例えば再びマルチモード導波路に伝送される。
【0055】
このように構成された切換素子の変調度を高めるためには、さらにマルチモード導波路において、通過した部分光線束が境界面で複数回反射されるように構成してもよい。このような切換素子に関連して、例えば "Laser Beam Shaping Applications; F.M. Dickey et al.; Marcel Dekker, Inc., 2005; S. 95; Bild 2.24" を参照されたい。
【0056】
適切な複数経路を備える切換素子240の第2実施例が、時間的に限定的に切換可能な増幅特性を備える光変調器として形成されており、図4に極めて概略的に示されている。この場合、走査ユニットから放出された信号光線束の変調もしくは限定的なスイッチオン・オフは光学式の半導体増幅器によって行われ、信号光線束は複数の経路で半導体増幅器を通過する。例えばいわゆる「埋設されたヘテロ構造」として構成された半導体基板241の上側および下側には、このために接触領域241.1が形成されており、これらの接触領域を介して半導体基板241に電圧を印加することができ、さらに半導体材料は吸収性であるが、1よりも大きい増幅率で切り換えることができる。適切な半導体材料の使用により、このように構成された切換素子240では、信号光線束の光学変調時に極めて高い切換頻度、ひいては極めて短いパルス継続時間を実現することができる。
【0057】
このような実施形態において複数の信号光線束のための複数経路を備える変調器を構成するためには、このような増幅器構造体を半導体基板に互いに隣接して形成し、共通の接触範囲を設けることができる。このようにして、全ての増幅器は同時に切り換えられ、種々異なる経路の相互のジッタを最小限にすることができる。
【0058】
例えば上記2つの実施形態にしたがって切換素子を光変調器として構成した場合には、具体的な用途に応じて切換素子を干渉式位置測定装置に直接に組み込む構成としてもよいし、または外部で評価ユニット内に配置し、制御してもよい。
【0059】
特に後者の場合、すなわち切換素子を評価ユニットに組み込む場合には、例えば音響光学変調器または電気光学変調器、ポッケルスセルまたは電界吸収型変調器など他の光変調器を切換素子として使用することもでき、生成された信号光線束はこれらの光変調器によって干渉式位置測定装置にそれぞれ一緒に伝送される。
【0060】
本発明による干渉式位置測定装置の第2実施例を図5に基づいて説明する。図5は、この実施形態の極めて概略的な部分図、すなわち評価ユニット350の構成のみを示している。この実施例の説明では、第1実施例との重要な違いについてのみ以下に詳述する。
【0061】
この実施例では信号光線束の生成は上記第1実施例と同様に行われる。しかしながら第1実施例とは異なり、所定の走査時点を決定するための切換素子は干渉する部分光線束の重畳位置と後続の光電式の検出素子との間の信号経路に配置されていない。この実施例では、切換素子354は電気式の切換素子として形成され、光電式検出素子351.1〜351.6の後方に配置されている。図示の実施例では、2つの別個の走査ユニットに割り当てられ、2本の軸線に沿った移動を検出することができる全部で6つの検出素子351.1〜351.6が示されている。これにより、光電式の検出素子351.1〜351.6に入射する信号光線束もしくは光学信号ではなく、これらの信号から光電式の検出素子351.1〜351.6によって生成された電気信号が、他の信号処理素子、例えば電荷増幅器355および信号処理ユニット356に伝送される前に変調される。
【0062】
本発明による干渉式位置測定装置のこの実施例では、上述した信号光線束の光学式変調に対して代替的に、切換素子354の適切な電気スイッチを介して光パルスに対応した時間窓の間だけ信号処理電子機器が開かれ、信号が検出される。残りの時間には、切換素子354の開かれたスイッチが欠如しているために、後方に配置された信号処理電子機器は、印加された電気信号に関していわば「盲目」である。このように干渉する部分光線束が重畳された後に信号経路において所望のパルスを生成する方法は、いわゆる「ゲートカウント」と呼ぶこともできる。
【0063】
上述の第1の解決方法の場合のように、この場合にも正弦状の入力信号の走査が後続の信号積分により行われ、切換素子に後続の電子機器は走査時点の決定にはもはや関わらず、高い信号周波数の帯域幅を有している必要はない。
【0064】
一般に、このような手順ではもちろん切換素子相互の時間的安定性に高い要求が生じる。切換素子354の個別の電気的経路は共通の変調器によって操作することはできず、それぞれ個別に切り換える必要がある。これにより、それぞれの切換素子350の個々のスイッチ相互の、および基準値に対する時間的安定性への要求が極めて高い。
【0065】
図6には、図1の実施例に類似した極めて概略的な図で本発明による干渉式位置測定装置の第3実施例が示されている。この実施形態は、回折格子に基づいた位置測定装置としてではなく、干渉計として構成されている。したがって第1実施例とは異なり、測定方向xに沿って移動する物体(図示しない)に配置された光学式の機能素子410が反射鏡として構成されている。この場合、反射鏡には、走査ユニット420で生成された両方の部分光線束が1回または複数回入射する。したがってこの光路を介して干渉計測定アームが形成され、分割後に生じた第2部分光線束は干渉計参照アームにおいて固定された別の反射鏡415に入射する。その他の点では信号ライン490を介して供給される同期信号および評価ユニット450を備える切換素子440の構成は基本的に第1実施例に対応している。
【0066】
既に冒頭で述べたように、干渉する部分光線束が重畳された後の信号経路に切換素子が設けられていることにより、もはやパルス式に作動される光源を使用して、場合によって生じる累積ジッタを防止する必要はない。したがって、本発明による干渉式位置測定装置を干渉計として構成した場合には、例えばHe‐Neレーザ、Nd‐YAGレーザまたはファイバレーザなど、十分に大きいコヒーレンス長を有する最適な光源430を選択することができる。
【0067】
具体的に説明した実施例の他に本発明の範囲では当然ながらさらに他の構成可能性が存在する。
【0068】
したがって、例えば第1実施例と第2実施例との組合せを実現することも可能である。すなわち、重畳位置の後方の信号経路で光学変調を行う実施形態と電気変調を行う実施形態とを組み合わせることも可能である。
【0069】
例えば、光変調器として構成された切換素子を介して検出素子の前方で時間的に長い光パルスを生成することもでき、次いでこの光パルスから「ゲートカウント」もしくは適切な切換素子を介して電気変調のために適宜に短いパルスが切り取られる。変調を2つのプロセスに移行させることにより、それぞれのプロセス自体について必要な変調度に対する要求は極めて小さくなり得る。
【0070】
さらに変調度を高めるためには、本発明の範囲では以下のアプローチを実現することができる。すなわち、光学式の複数経路変調器によって正確なパルス形成を行うことができ、付加的に、後続の信号処理電子機器がパルスとパルスとの間の時間にわたって「盲目」に切り換えられる「ゲートカウント」が評価ユニットで行われる。この解決方法の利点は、この場合には信号処理電子機器の許容走査時点の限定が光学式に行われることなどから、可能なジッタに対する要求が極めて小さくなることである。
【符号の説明】
【0071】
10,410 光学機能素子
30;430 光源
40;140;240;354;440 切換素子
51.1〜51.3,351.1〜351.6 検出素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6