(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性樹脂繊維を含み、上面及び下面を備え、上方及び下方を含む厚さ方向と、お互いに直交する第1方向及び第2方向を含む平面方向とを有する、吸収性物品用の不織布であって、
前記不織布が、基部と、畝部と、複数の窪み部とを含む、複数の畝部ユニットを備え、
前記複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、前記畝部が、前記第1方向に延びる長手方向と、前記第2方向に延びる幅方向とを有し且つ前記基部から前記上方に突出しており、前記複数の窪み部のそれぞれが、前記畝部の周縁部に配置され且つ前記基部から前記下方に窪んでおり、
前記不織布が、複数の第1方向畝部ユニット群であって、そのそれぞれが、前記第1方向に沿って、前記複数の畝部が第1畝部間隔をあけて配置されるように、前記複数の畝部ユニットを含むものを備え、
前記複数の第1方向畝部ユニット群が、前記第2方向に第2方向ピッチで配置されていて、
前記複数の第1方向畝部ユニット群を構成する前記複数の畝部ユニットが、千鳥状に配置されていて、
前記複数の第1方向畝部ユニット群を構成する前記複数の畝部ユニットにおいて、
前記第1畝部間隔が、前記畝部の前記長手方向の長さより短く、前記複数の畝部が、前記第2方向に重複する範囲に、前記第2方向に延びる畝部重複領域を形成していて、
前記第1方向の位置が同じで、前記第2方向に互いに隣り合う複数の畝部ユニットの前記複数の窪み部が、前記畝部重複領域の前記第1方向の外側に、前記畝部重複領域に沿って並ぶように配置されている、
ことを特徴とする、前記不織布。
前記複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、前記複数の窪み部が、前記畝部の前記長手方向の一方の側部側の前記周縁部に配置された、複数の一方の窪み部と、前記畝部の前記長手方向の他方の側部側の前記周縁部に配置された、複数の他方の窪み部とに区画され、前記複数の一方の窪み部及び前記複数の他方の窪み部のそれぞれが、前記第1方向に沿って、第1窪み部間隔をあけて配置されている、請求項1又は2に記載の不織布。
前記複数の第1方向畝部ユニット群が、お互いに隣接する一方の第1方向畝部ユニット群の、前記複数の他方の窪み部と、他方の第1方向畝部ユニット群の、前記複数の一方の窪み部とが、前記第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、請求項3〜5のいずれか一項に記載の不織布。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、以下の態様に関する。
[態様1]
熱可塑性樹脂繊維を含み、上面及び下面を備え、上方及び下方を含む厚さ方向と、お互いに直交する第1方向及び第2方向を含む平面方向とを有する、吸収性物品用の不織布であって、
上記不織布が、基部と、畝部と、複数の窪み部とを含む、複数の畝部ユニットを備え、
上記複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、上記畝部が、第1方向に延びる長手方向と、第2方向に延びる幅方向とを有し且つ上記基部から上記上方に突出しており、上記複数の窪み部のそれぞれが、上記畝部の周縁部に配置され且つ上記基部から上記下方に窪んでおり、
上記不織布が、複数の第1方向畝部ユニット群であって、そのそれぞれが、第1方向に沿って、上記複数の畝部が第1畝部間隔をあけて配置されるように、上記複数の畝部ユニットを含むものを備え、
上記複数の第1方向畝部ユニット群が、第2方向に第2方向ピッチで配置されている、
ことを特徴とする、上記不織布。
【0012】
上記不織布では、複数の畝部ユニットのそれぞれが、畝部と、畝部の周縁部に配置された複数の窪み部とを有するので、畝部の形状が明確となり、使用者が、畝部を明確に認識することができる。また、上記不織布は、畝部を含む畝部ユニットを、第1方向及び第2方向に規則的に有することから、上記不織布は、使用者に、上記畝部を、織物の縫い目(経糸又は緯糸)のように認識させることができ、上記不織布は、使用者に、織物のような精緻な外観を付与することができる。
また、上記不織布では、畝部の周縁部に配置された窪み部が、畝部を上方に持ち上げる構造を有しており、そして上記不織布をその厚さ方向(下方)に圧縮した際に、窪み部が優先的に潰れ、そして上記不織布を平面方向に動かした際に、窪み部により持ち上げられている畝部が、平面方向にある程度自由に動くことができるので、上記不織布は、使用者に柔軟感を付与することができる。また、上記不織布では、畝部が明確な形状を有することから、使用者に、窪み部に由来する柔軟感の中に、畝部に起因するある程度の硬さ感を付与することができる。上記柔軟感及び硬さ感は、織物の繊維に由来する柔軟感と、織物の織構造に由来する硬さ感に類するものであり、上記不織布は、使用者に、織物のような触感を付与することができる。
【0013】
[態様2]
上記複数の第1方向畝部ユニット群のそれぞれにおいて、上記複数の畝部ユニットが、上記複数の畝部ユニットを構成する上記複数の畝部が第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、態様1に記載の不織布。
【0014】
上記不織布では、畝部ユニットが、当該畝部ユニットを構成する複数の畝部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、すなわち、上記複数の畝部が第1方向に沿って直線上に位置するように間欠的に配置されているので、畝部が経糸が上方に浮いている印象を与え、そして隣接する2つの畝部の間の部分が経糸が下方に沈んでいる印象を与えることができる。従って、上記不織布は、態様1の不織布よりも、使用者に、織物のような精緻な外観を付与することができるとともに、織物のような触感を付与することができる。
【0015】
[態様3]
上記複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、上記複数の窪み部が、上記畝部の上記長手方向の一方の側部側の上記周縁部に配置された、複数の一方の窪み部と、上記畝部の上記長手方向の他方の側部側の上記周縁部に配置された、複数の他方の窪み部とに区画され、上記複数の一方の窪み部及び上記複数の他方の窪み部のそれぞれが、第1方向に沿って、第1窪み部間隔をあけて配置されている、態様1又は2に記載の不織布。
【0016】
上記不織布では、畝部の長手方向の一方の側部側の周縁部に配置された、複数の一方の窪み部と、畝部の長手方向の他方の側部側の周縁部に配置された、複数の他方の窪み部とが、それぞれ、一方の側部側及び他方の側部側の畝部の形状を明確とするので、使用者が畝部をより明確に認識し、上記不織布が、態様1又は2の不織布よりも、織物のような精緻な外観を付与することができる。
また、上記不織布では、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、それぞれ、長手方向の一方の側部と、長手方向の一方の側部とから、第1窪み部間隔をあけて、畝部を上方に持ち上げる構造を有するので、窪み部が、上記不織布をその厚さ方向(下方)に圧縮した際に優先的に潰れることができ、そして上記不織布を平面方向に動かした際に、窪み部により持ち上げられている畝部が、平面方向にある程度自由に動くことができるので、態様1又は2の不織布よりも、使用者に柔軟感を付与することができ、そして明確な形状を有する畝部が、使用者にある程度の硬さ感を付与することができ、ひいては織物のような触感を付与することができる。
【0017】
[態様4]
上記複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、上記複数の一方の窪み部と、上記複数の他方の窪み部とが、第2方向の位置が一致するように一対に配置されている、態様3に記載の不織布。
【0018】
上記不織布では、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、第2方向の位置が一致するように一対に配置されているので、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、畝部の一方の側部側及び他方の側部側の畝部の形状を明確とするので、使用者に畝部を明確に認識させることができ、上記不織布が、態様3の不織布よりも、織物のような精緻な外観を付与することができる。
また、上記不織布では、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、一対になって、畝部を上方に持ち上げる構造を有するので、窪み部が、上記不織布をその厚さ方向に圧縮された際に優先的に潰れることができ、そして上記不織布を平面方向に動かした際に、窪み部により持ち上げられている畝部が、平面方向にある程度自由に動くことができるので、態様3の不織布よりも、使用者に柔軟感を付与することができ、そして明確な形状を有する畝部が、使用者にある程度の硬さ感を付与することができ、ひいては織物のような触感を付与することができる。
【0019】
[態様5]
上記複数の第1方向畝部ユニット群のそれぞれにおいて、上記複数の畝部ユニットが、上記複数の一方の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されており、そして上記複数の他方の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、態様3又は4に記載の不織布。
【0020】
上記不織布では、複数の畝部ユニットが、一方の複数の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されており、そして他方の複数の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されているので、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、畝部の一方の側部側及び他方の側部側の形状を明確とし、使用者が畝部を明確に認識し、上記不織布が、態様3又は4の不織布よりも、織物のような精緻な外観を付与することができる。
また、上記不織布では、複数の畝部ユニットが、一方の複数の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されており、そして他方の複数の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されているので、窪み部が、上記不織布をその厚さ方向に圧縮された際に優先的に且つ均等に潰れることができ、そして上記不織布を平面方向に動かした際に、窪み部により持ち上げられている畝部が、平面方向にある程度自由に動くことができるので、態様3又は4の不織布よりも、使用者に柔軟感を付与することができ、そして明確な形状を有する畝部が、使用者にある程度の硬さ感を付与することができ、ひいては織物のような触感を付与することができる。
【0021】
[態様6]
上記複数の第1方向畝部ユニット群が、お互いに隣接する一方の第1方向畝部ユニット群の、上記複数の他方の窪み部と、他方の第1方向畝部ユニット群の、上記複数の一方の窪み部とが、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、態様3〜5のいずれか一項に記載の不織布。
【0022】
上記不織布では、お互いに隣接する一方の第1方向畝部ユニット群の、一方の複数の窪み部と、他方の第1方向畝部ユニット群の、他方の複数の窪み部とが、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、すなわち、一方の第1方向畝部ユニット群と、他方の第1方向畝部ユニット群とが、近接して配置されるので、織物の縫い目に相当する畝部が、近接して配置されることになり、上記不織布は、態様3〜5のいずれかの不織布よりも、使用者に、織物のような精緻な外観を付与することができる。
また、上記不織布では、一方の第1方向畝部ユニット群と、他方の第1方向畝部ユニット群とが、近接して配置されているので、複数の窪み部が、近接して且つ多数配置されることになり、上記不織布をその厚さ方向に圧縮した際に、窪み部が、優先的に潰れるとともに、圧縮されていない際には、窪み部の形状が元に戻りやすくなり、使用者に、窪み部に由来する柔軟感を繰り返し付与することができる。
【0023】
[態様7]
上記複数の第1方向畝部ユニット群を構成する上記複数の畝部ユニットが、千鳥状に配置されている、態様1〜6のいずれか一項に記載の不織布。
上記不織布では、複数の第1方向畝部ユニット群を構成する複数の畝部ユニットが、千鳥状に配置されているので、上記畝部が、織物、特に平織りの経糸のような印象を与え、上記不織布は、使用者に、織物、特に、平織りのような精緻な外観を付与することができる。
【0024】
[態様8]
第1畝部間隔が、上記畝部の上記長手方向の長さより短く、上記複数の畝部が、第2方向に重複する範囲に、第2方向に延びる畝部重複領域を形成している、態様7に記載の不織布。
【0025】
上記不織布では、複数の畝部が、第2方向に重複する範囲に、第2方向に延びる畝部重複領域を形成しているので、複数の畝部の中心部分が、第1方向に延びる経糸の印象を与え、そして畝部重複領域が、第2方向に延びる緯糸の印象を与え、上記不織布は、使用者に、織物のような精緻な外観を付与することができる。
【0026】
[態様9]
上記複数の窪み部のそれぞれが、底部を有する、態様1〜8のいずれか一項に記載の不織布。
上記不織布では、窪み部が底部を有するので、窪み部が底部を有しない場合と比較して、窪み部が厚さ方向の圧縮に強くなり、不織布がより高い柔軟性を有する。
【0027】
[態様10]
上記複数の窪み部のそれぞれが、上記基部と、上記底部とを連結する周壁部を備える、態様9に記載の不織布。
上記不織布では、窪み部が、基部と、底部とを連結する周壁部を有するので、窪み部が当該周壁部を有しない場合と比較して、窪み部が厚さ方向の圧縮に強くなり、不織布がより高い柔軟性を有する。
【0028】
[態様11]
上記複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、上記複数の窪み部の少なくとも一部が、上記畝部及び上記底部の間の上記周壁部に、貫通孔を備える、態様10に記載の不織布。
上記不織布は、畝部及び底部の間の、窪み部の周壁部に貫通孔を備えるので、窪み部の周壁部に貫通孔を備えない場合と比較して、畝部を平面方向に動かした際に、畝部が、窪み部の影響を受けずに動きやすくなり、上記不織布が、平面方向に滑らかさを有する。
【0029】
[態様12]
上記不織布が、第2基部と、第2畝部と、複数の第2窪み部とを含む、複数の第2畝部ユニットを備え、
上記複数の第2畝部ユニットのそれぞれにおいて、第2畝部が、第2方向に延びる長手方向と、第1方向に延びる幅方向とを有し且つ第2基部から上記上方に突出しており、上記複数の第2窪み部のそれぞれが、第2畝部の第2周縁部に配置され且つ第2基部から上記下方に窪んでおり、
上記不織布が、複数の第2方向畝部ユニット群であって、そのそれぞれが、第1方向に沿って、上記複数の第2畝部が第2畝部間隔をあけて配置されるように、上記複数の第2畝部ユニットを含むものを備え、
上記複数の第2方向畝部ユニット群が、第1方向に第1方向ピッチで配置されている、
態様1〜11のいずれか一項に記載の不織布。
【0030】
上記不織布は、第1方向に延びる、複数の畝部と、第2方向に延びる、複数の第2畝部とを備えるので、畝部及び第2畝部が、それぞれ、織物の経糸及び緯糸のような印象を与え、上記不織布は、畝部及び第2畝部の位置を調整することにより、所望の織物の精緻な外観を付与することができ、そして所望の織物のような触感を付与することができる。
【0031】
[態様13]
上記複数の第2方向畝部ユニット群のそれぞれにおいて、上記複数の第2畝部ユニットが、上記複数の第2畝部ユニットを構成する上記複数の第2畝部が、第2方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、態様12に記載の不織布。
【0032】
上記不織布では、第2畝部ユニットが、当該第2畝部ユニットを構成する複数の第2畝部が、第2方向に沿って間欠的に配置されるように配置されている、すなわち、上記複数の第2畝部が第2方向に沿って直線上に位置するように間欠的に配置されているので、第2畝部が、緯糸が上方に浮いている印象を与え、そして隣接する2つの第2畝部の間の部分が緯糸が下方に沈んでいる印象を与えることができる。従って、上記不織布は、態様12の不織布よりも、使用者に、織物のような精緻な外観を付与することができるとともに、織物のような触感を付与することができる。
【0033】
[態様14]
賦形された不織布の製造方法であって、
賦形すべき不織布を予熱するステップ、及び
予熱された、上記賦形すべき不織布を、第1賦形部材及び第2賦形部材を備える一対の賦形部材の間に、その上面及び下面が、それぞれ、第2賦形部材及び第1賦形部材と接するように通すことにより、上記賦形すべき不織布を賦形し、賦形された不織布として、態様1〜13のいずれか一項に記載の不織布を形成するステップ、
を含み、
上記一対の賦形部材において、第1賦形部材が、一方向に間欠的に延びる、複数の突稜と、上記複数の突稜の間に配置された、複数の凹溝とを備え、第2賦形部材が、上記一方向に沿って間欠的に配置され且つ上記複数の凹溝のそれぞれと噛み合うように配置された、先端部を含む、複数のピンを備える、
ことを特徴とする、上記製造方法。
【0034】
上記製造方法により製造される不織布は、上述の効果を有する。また、上記製造方法は、市販の不織布から、織物のような精緻な外観及び織物のような触感を有する不織布を簡易且つ高速で生産することができる。
【0035】
本開示の吸収性物品用の不織布、及び賦形された不織布としての、当該不織布の製造方法について、以下、詳細に説明する。
本開示の吸収性物品用の不織布は、吸収性物品に用いられるための、賦形された不織布に関するものであるが、以下、「吸収性物品用の賦形された不織布」を、単に、『不織布』と称する場合がある。なお、賦形される前の不織布は、「賦形すべき不織布」と称し、「(賦形された)不織布」と区別する。
【0036】
<賦形された不織布>
図1は、本開示の実施形態の1つ(第1実施形態)に従う、賦形された不織布1の平面図である。
図2は、
図1のII−II断面における断面斜視図である。
図3は、
図1のIII−III断面における断面図である。
図4は、
図1の領域IVに示される畝部ユニット7の拡大図である。
図5は、第1方向畝部ユニット群31を説明するための図である。
【0037】
第1実施形態に従う不織布1は、熱可塑性樹脂繊維(図示せず)を含み、上面3及び下面5を備え、上方T
U及び下方T
Lを含む厚さ方向Tと、お互いに直交する第1方向D
1及び第2方向D
2を含む平面方向Pとを有する、吸収性物品用の賦形された不織布である。
不織布1は、複数の畝部ユニット7であって、それぞれが、基部9と、畝部11と、複数の窪み部13とを含むものを備える。
各畝部ユニット7では、畝部11が、第1方向D
1に延びる長手方向Lと、第2方向D
2に延びる幅方向Wとを有し、基部9から上方T
Uに突出しており、複数の窪み部13のそれぞれが、畝部11の周縁部19に配置され、基部9から下方T
Lに窪んでいる。
【0038】
図2に示されるように、不織布1において、複数の窪み部13のそれぞれが、底部21を有する。そうすることにより、窪み部が底部を有しない場合と比較して、窪み部13が厚さ方向T(下方T
L)の圧縮に強くなり、不織布1に柔軟性を付与することができる。
なお、底部21は、不織布1の中で、最も繊維密度が高い。そうすることにより、窪み部13が、不織布1の土台として、複数の畝部11を強固に支えることができる。
【0039】
また、
図2に示されるように、不織布1において、複数の窪み部13のそれぞれが、基部9と、底部21とを連結する周壁部23を備える。そうすることにより、窪み部が周壁部を有しない場合と比較して、窪み部13が厚さ方向T(下方T
L)の圧縮に強くなり、不織布1に柔軟性を付与することができる。
【0040】
さらに、
図2に示されるように、畝部ユニット7において、複数の窪み部13が、畝部11及び底部21の間の周壁部23に、貫通孔25を備える。そうすることにより、畝部11を平面方向Pに動かした際に、畝部11が、窪み部13の影響を受けずに動きやすくなり、不織布1が、平面方向Pに滑らかさを有する。
【0041】
図4に示されるように、畝部ユニット7において、複数の窪み部13が、畝部11の長手方向Lの一方の側部33側の周縁部19に配置された、2つの一方の窪み部15(15a,15b)と、畝部11の長手方向Lの他方の側部34側の周縁部19に配置された、2つの他方の窪み部17(17a,17b)とに区画される。2つの一方の窪み部15(15a,15b)は、第1方向D
1に沿って、第1窪み部間隔I
D1をあけて配置されており、そして2つの他方の窪み部17(17a,17b)は、第1方向D
1に沿って、第1窪み部間隔I
D1をあけて配置されている。
【0042】
図4に示されるように、畝部ユニット7において、2つの一方の窪み部15(15a,15b)と、2つの他方の窪み部17(17a,17b)とが、第2方向D
2の位置が一致するように一対に配置されている。すなわち、一方の窪み部15aと、他方の窪み部17aとは、第2方向D
2の位置が一致するように一対に配置されており、そして一方の窪み部15bと、他方の窪み部17bとは、第2方向D
2の位置が一致するように一対に配置されている。
【0043】
図5に示されるように、不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31(31',31'')を含む。第1方向畝部ユニット群31'は、畝部ユニット7(7'a)、畝部ユニット7(7'b)及び畝部ユニット7(7'c)を含む。第1方向畝部ユニット群31'では、畝部ユニット7'a,畝部ユニット7'b及び畝部ユニット7'cが、それらを構成する、畝部11'a,畝部11'b及び畝部11'cが、第1方向D
1に沿って間欠的に配置されるように配置されている。すなわち、畝部11'a,畝部11'b及び畝部11'cが、第1畝部間隔I
R1をあけて、直線LL
1上に配置されている。
【0044】
同様に、第1方向畝部ユニット群31''は、畝部ユニット7(7''a)及び畝部ユニット7(7''b)を含む。第1方向畝部ユニット群31''では、畝部ユニット7''a及び畝部ユニット7''bが、それらを構成する、畝部11''a及び畝部11''bが、第1方向D
1に沿って間欠的に配置されるように配置されている。すなわち、畝部11''a及び畝部11''bが、第1畝部間隔I
R1をあけて、直線LL
2上に配置されている。
第1方向畝部ユニット群31'と、第1方向畝部ユニット群31''とは、第2方向D
2に、所定の第2方向ピッチP
2で配置されている。
【0045】
図5に示されるように、第1方向畝部ユニット群31'において、畝部ユニット7'a、畝部ユニット7'b及び畝部ユニット7'cが、畝部ユニット7'aの一方の窪み部15'abと、畝部ユニット7'bの一方の窪み部15'ba及び一方の窪み部15'bbと、畝部ユニット7'cの一方の窪み部15'caとが、第1方向D
1に沿って間欠的に配置されるように配置されている。すなわち、畝部ユニット7'aの一方の窪み部15'abと、畝部ユニット7'bの一方の窪み部15'ba及び一方の窪み部15'bbと、畝部ユニット7'cの一方の窪み部15'caとが、直線LL
3上に並んでいる。
【0046】
同様に、第1方向畝部ユニット群31'において、畝部ユニット7'a、畝部ユニット7'b及び畝部ユニット7'cが、畝部ユニット7'aの他方の窪み部17'abと、畝部ユニット7'bの他方の窪み部17'ba及び他方の窪み部17'bbと、畝部ユニット7'cの他方の窪み部17'caとが、第1方向D
1に沿って間欠的に配置されるように配置されている。すなわち、畝部ユニット7'aの他方の窪み部17'abと、畝部ユニット7'bの他方の窪み部17'ba及び他方の窪み部17'bbと、畝部ユニット7'cの他方の窪み部17'caとが、直線LL
4上に並んでいる。
【0047】
また、第1方向畝部ユニット群31''において、畝部ユニット7''a及び畝部ユニット7''bが、畝部ユニット7''aの一方の窪み部15''aa及び一方の窪み部15''abと、畝部ユニット7''bの一方の窪み部15''ba及び一方の窪み部15''bbとが、第1方向D
1に沿って間欠的に配置されるように配置されている。すなわち、畝部ユニット7''aの一方の窪み部15''aa及び一方の窪み部15''abと、畝部ユニット7''bの一方の窪み部15''ba及び一方の窪み部15''bbとが、直線LL
4上に並んでいる。
【0048】
同様に、第1方向畝部ユニット群31''において、畝部ユニット7''a及び畝部ユニット7''bが、畝部ユニット7''aの他方の窪み部17''aa及び他方の窪み部17''abと、畝部ユニット7''bの他方の窪み部17''ba及び他方の窪み部17''bbとが、第1方向D
1に沿って間欠的に配置されるように配置されている。すなわち、畝部ユニット7''aの他方の窪み部17''aa及び他方の窪み部17''abと、畝部ユニット7''bの他方の窪み部17''ba及び他方の窪み部17''bbとが、直線LL
5上に並んでいる。
【0049】
なお、第1方向畝部ユニット群31'における、畝部ユニット7'aの他方の窪み部17'ab、畝部ユニット7'bの他方の窪み部17'ba及び他方の窪み部17'bb、並びに畝部ユニット7'cの他方の窪み部17'caと、第1方向畝部ユニット群31''における、畝部ユニット7''aの一方の窪み部15''aa及び一方の窪み部15''ab、並びに畝部ユニット7''bの一方の窪み部15''ba及び一方の窪み部15''bbとが、第1方向D
1に沿って間欠的に配置されるように配置されている、すなわち、直線LL
4上に並んでいる。
【0050】
第1実施形態では、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する、複数の畝部ユニット7が、千鳥状に配置されている。そうすることにより畝部11が、平織りの経糸のような印象を与え、不織布1が、使用者に、織物、特に、平織りのような精緻な外観を付与することができる。
【0051】
図1に示されるように、第1実施形態では、複数の畝部11の第1畝部間隔I
R1が、畝部11の長手方向Lの長さLEより短く、複数の畝部11の長手方向Lの両端のそれぞれが、第2方向D
2に重複する範囲に、第2方向に延びる畝部重複領域35を形成している。
畝部重複領域35が存在することにより、畝部11が織物の経糸の印象を付与し、そして畝部重複領域35が緯糸の印象を付与し、不織布1が、使用者に、織物のような精緻な外観を付与するとともに、織物のような触感を付与することができる。
【0052】
本開示の別の複数の実施形態に従う不織布は、上述の複数の第1方向畝部ユニット群と、複数の第2方向畝部ユニット群とを含む。
図6は、本開示の実施形態の1つ(第2実施形態)に従う不織布1を説明するための平面図である。
第2実施形態に従う、不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31と、複数の第2方向畝部ユニット群131とを含む。
【0053】
複数の第1方向畝部ユニット群31は、第2方向D
2に所定の第2方向ピッチP
2で配置されている。また、複数の第1方向畝部ユニット群31のそれぞれは、第1方向D
1に沿って、複数の第1畝部11が所定の第1畝部間隔I
R1をあけて配置されるように、複数の第1畝部ユニット7を含む。第1畝部ユニット7(第1基部9、第1畝部11、第1窪み部13、及び第1窪み部間隔I
R1)は、第1実施形態に示される、畝部ユニット7(基部9、畝部11、窪み部13、及び第1窪み部間隔I
R1)と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0054】
複数の第2方向畝部ユニット群131は、第1方向D
1に所定の第1方向ピッチP
1で配置されている。また、複数の第2方向畝部ユニット群131のそれぞれは、第2方向D
2に沿って、複数の第2畝部111が所定の第2畝部間隔I
R2をあけて配置されるように、複数の第2畝部ユニット107を含む。複数の第2畝部ユニット107は、第2基部109と、第2畝部111と、複数の第2窪み部113とを含む。第2畝部111は、第2方向D
2に延びる長手方向(図示せず)と、第1方向D
1に延びる幅方向(図示せず)とを有し且つ第2基部109から上面3側の上方(図示せず)に突出しており、そして複数の第2窪み部113のそれぞれが、第2畝部111の第2周縁部119に配置され且つ第2基部109から、下面5側の下方(図示せず)に窪んでいる。第2畝部ユニット107(第2基部109、第2畝部111、第2窪み部113、及び第2窪み部間隔I
R2)は、その向きが異なる以外は、第1畝部ユニット7(第1基部9、第1畝部11、第1窪み部13、及び第1窪み部間隔I
R1)と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0055】
第2実施形態に従う不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31と、複数の第2方向畝部ユニット群131とを、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する第1畝部11が、隣接する2つの第2畝部111の間(第2畝部間隔I
R2)を横断しないように、そして複数の第2方向畝部ユニット群131を構成する第2畝部111が、隣接する2つの第1畝部11の間(第1畝部間隔I
R1)を横断しないように含む。
【0056】
その結果、不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31と、複数の第2方向畝部ユニット群131とを、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する第1畝部ユニット7と、複数の第2方向畝部ユニット群131とが、複数の格子37を形成するように含む。そうすることにより、第1方向D
1に延びる、複数の第1畝部11が、織物の経糸の外観及び触感を付与し、第2方向D
2に延びる、複数の第2畝部111が、緯糸の外観及び触感を付与し、不織布1が、織物のような精緻な外観及び触感を使用者に付与することができる。
【0057】
第2実施形態では、複数の第2方向畝部ユニット群131のそれぞれにおいて、複数の第2畝部ユニット107が、複数の第2畝部ユニット107を構成する複数の第2畝部111が、第2方向D
2に沿って間欠的に配置されるように配置されている。すなわち、すなわち、複数の第2畝部111が、第2畝部間隔I
R2をあけて、直線(図示せず)上に配置されている。第2実施形態の変形例として、複数の第1方向畝部ユニット群31のそれぞれにおける、隣接する2つの第1畝部ユニット7の間に、そして複数の第2方向畝部ユニット群131のそれぞれにおける、隣接する2つの第2畝部ユニット107の間に、窪み部が形成されていてもよい。そうすることにより、第1畝部11の長手方向端部の形状と、第2畝部111の長手方向端部の形状とが明確となり、不織布が、第2実施形態に従う不織布よりも、織物のような精緻な外観、並びに織物のような触感を有することができる。
【0058】
図7は、本開示の実施形態の1つ(第3実施形態)に従う不織布1を説明するための平面図である。
第3実施形態に従う不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31と、複数の第2方向畝部ユニット群131とを、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する第1畝部11が、隣接する2つの第2畝部111の間(第2畝部間隔I
R2)を横断するように、そして複数の第2方向畝部ユニット群131を構成する第2畝部111が、隣接する2つの第1畝部11の間(第1畝部間隔I
R1)を横断するように含む。
【0059】
換言すると、不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31と、複数の第2方向畝部ユニット群131とを、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する、隣接する2つの第1畝部ユニット7の間に、複数の第2方向畝部ユニット群131を構成する第2畝部ユニット107が存在するように含む。また、不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31と、複数の第2方向畝部ユニット群131とを、複数の第2方向畝部ユニット群131を構成する、隣接する2つの第2畝部ユニット107の間に、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する第1畝部ユニット7が存在するように含む。さらに換言すると、第3実施形態に従う不織布1では、第1方向D
1において、第1畝部11と、第2畝部111とが、交互に配置されており、第2方向D
2において、第1畝部11と、第2畝部111とが、交互に配置されている。
【0060】
そうすることにより、第1方向D
1に延びる、複数の第1畝部11が、経糸の外観及び触感を付与し、第2方向D
2に延びる、複数の第2畝部111が、緯糸の外観及び触感を付与し、第3実施形態に従う不織布1が、織物、特に、平織りの精緻な外観及び触感を、使用者に付与することができる。
なお、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する複数の畝部ユニット7のそれぞれの形状は、第2実施形態に従う畝部ユニット7と同様であるので、説明を省略する。また、複数の第2方向畝部ユニット群131を構成する複数の第2畝部ユニット107のそれぞれの形状は、第2実施形態に従う第2畝部ユニット107と同様であるので、説明を省略する。
【0061】
本開示の不織布が、複数の第1方向畝部ユニット群と、複数の第2方向畝部ユニット群とを有する実施形態では、第1畝部及び第2畝部の配置を調整することにより、所望の織物、例えば、平織、綾織、朱子織等のような外観及び触感を有することができる。
【0062】
図8は、本開示の別の実施形態(第4実施形態)に従う不織布1を説明するための平面図である。第4実施形態に従う不織布1は、綾織(3枚斜文織)に相当する縫目構造を有する。第4実施形態に従う不織布1は、複数の第1方向畝部ユニット群31と、複数の第2方向畝部ユニット群131とを、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する、隣接する2つの第1畝部11が、隣接する2つの第2畝部111の間(第2畝部間隔I
R2)を横断するように、そして複数の第2方向畝部ユニット群131を構成する第2畝部111が、隣接する2つの第1畝部11の間(第1畝部間隔I
R1)を横断するように含む。
【0063】
なお、複数の第1方向畝部ユニット群31を構成する複数の畝部ユニット7のそれぞれの形状は、複数の窪み部13の開口部の形状が略矩形から略円形に変更された点と、畝部ユニット7(特に、畝部11)の第1方向D
1の長さが異なる点と以外は、第2実施形態に従う畝部ユニット7と同様であるので、説明を省略する。また、複数の第2方向畝部ユニット群131を構成する複数の第2畝部ユニット107のそれぞれの形状は、複数の窪み部13の開口部の形状が略矩形から略円形に変更された点と、第2畝部ユニット107(特に、第2畝部111)の第2方向D
2の長さが異なる点と以外は、第2実施形態に従う第2畝部ユニット107と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
図8に示されるように、本開示の不織布は、第1畝部及び第2畝部の位置を調整することにより、所望の織物のような外観及び触感を有することができる。また、実際の織物とは異なり、経糸に相当する、第1方向に延びる畝部の長手方向の長さを長くしても、経糸が組織点から遠く離れる「浮き」等の問題が生じず、実際の織物と異なり、構造上の問題が生じにくく、織物による所望の模様を、実際の織物よりも簡易に再現することができる。
【0065】
本開示の不織布において、窪み部が底部を有する実施形態では、窪み部の底部の繊維密度が、畝部の繊維密度、より具体的には、畝部の頂部の繊維密度よりも高いことが好ましい。不織布が剛性に優れるからである。また、上記実施形態では、窪み部の底部において、熱可塑性樹脂繊維が融着していないことが好ましい。肌触りの観点からである。
【0066】
本開示の不織布において、複数の畝部の長手方向の長さ(第1方向の長さ)及び幅方向の長さ(第2方向の長さ)は、再現すべき織物の外観、触感等によって変化しうるが、複数の畝部のそれぞれは、好ましくは2.0〜30mm、より好ましくは3.0〜15mm、そしてさらに好ましくは3.0〜10mmの長手方向の長さを有し、そして好ましくは0.1〜2.0mm、より好ましくは0.2〜1.5mm、そしてさらに好ましくは0.3〜1.0mmの幅方向の長さを有する。本開示の不織布では、複数の畝部は、不織布に、織物の経糸の外観及び触感を付与するものである。複数の畝部のそれぞれが、上述の長手方向の長さ及び幅方向長さを有することにより、不織布が、織物のような精緻な外観と、織物のような触感とを有することができる。
【0067】
本開示の不織布において、複数の第1方向畝部ユニット群の間隔を画定する、複数の畝部の所定の第1畝部間隔は、上述の畝部の長手方向の長さと同様のものが挙げられる。第1畝部間隔は、本開示の不織布に、織物の経糸(畝部)が沈んだ外観及び触感を付与するためのものであるからである。
また、複数の畝部の所定の第1畝部間隔は、畝部の長手方向の長さよりも短いことが好ましい。そうすることにより、本開示の不織布が、第2方向に延びる、畝部重複領域を有しやすくなる。なお、畝部重複領域は、本開示の不織布に、緯糸が浮いている外観及び触感を付与することができる。
【0068】
また、本開示の不織布は、好ましくは0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは、0.75〜2.0mmの、畝部の高さ(基部の上面から、畝部の頂部の上面までの高さ)を有することが好ましい。上記畝部の高さが0.25mm未満であると、織物のような外観及び触感が得られにくくなる。また、上記畝部の高さが5.0mm超であると、畝部及び窪み部が潰れやすくなり、不織布が、適度な硬さを有しにくくなる。
【0069】
本開示の不織布の複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、複数の窪み部のそれぞれは、畝部の長手方向の長さ(第1方向の長さ)よりも短い長手方向の長さを有することが好ましく、そして畝部の幅方向の長さ(第2方向の長さ)と同一又はそれよりも短い幅方向の長さを有することが好ましい。複数の窪み部のそれぞれは、より好ましくは0.25〜5.0mm、さらに好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらにいっそう好ましくは0.75〜2.0mmの、畝部の長手方向の長さを有する。同様に、複数の窪み部のそれぞれは、より好ましくは0.1〜2.0mm、さらに好ましくは0.2〜1.5mm、そしてさらにいっそう好ましくは0.3〜1.0mmの、畝部の幅方向の長さを有する。窪み部の効果の観点からである。
【0070】
本開示の不織布は、好ましくは0.05〜2.0mm、より好ましくは0.075〜1.5mm、そしてさらに好ましくは0.1〜1.0mmの窪み部の深さ(窪み部の底部の上面から、基部の上面までの高さ)を有する。上記深さが0.05mm未満であると、窪み部に起因する柔軟性が得られにくくなる傾向がある。上記深さが2.0mmを超えると、不織布の厚み方向の強度が低下する傾向がある。
【0071】
上述の窪み部の深さは、畝部の高さの、好ましくは10〜80%、より好ましくは15〜70%、そしてさらに好ましくは20〜60%の比率を有する。上記比率が10%未満であると、窪み部に起因する柔軟性が得られにくくなる傾向がある。上記比率が80%を超えると、窪み部の周壁部の厚さが薄くなり、その強度が低下し、窪み部の周壁部が毛羽立ちやすくなり、不織布の肌触りが低下する場合がある。
【0072】
本開示の不織布では、複数の窪み部のそれぞれが、底部を有することが好ましい。窪み部が底部を有しない場合と比較して、窪み部が厚さ方向の圧縮に強くなり、不織布に柔軟性を付与することができるからである。
また、本開示の不織布では、複数の窪み部のそれぞれが、基部と、底部とを連結する周壁部を備えることが好ましい。窪み部が当該周壁部を有しない場合と比較して、窪み部が厚さ方向の圧縮に強くなり、不織布に柔軟性を付与することができるからである。
【0073】
本開示の不織布では、複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、複数の窪み部の少なくとも一部が、隣接する畝部及び底部の間の周壁部に、貫通孔を備えることが好ましい。畝部を平面方向に動かした際に、畝部が、窪み部の影響を受けずに動きやすくなり、上記不織布が、平面方向に滑らかさを有するからである。
【0074】
本開示の不織布が、窪み部の周壁部に貫通孔を有する場合には、不織布は、0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは0.75〜2.0mmの貫通孔の、第1方向の長さを有する。上記長さが0.25mm未満であると、窪み部の柔軟性が不十分である場合があり、畝部の十分な柔軟性が確保できない場合がある。上記長さが5.0mm超であると、貫通孔が大きく、その周縁部が毛羽立ちやすくなり、不織布の肌触りが低下する場合がある。
【0075】
本開示の不織布が窪み部の周壁部に貫通孔を有する場合には、貫通孔を、窪み部の周壁部の底部よりの位置に設けることが好ましい。貫通孔を、肌が触れやすい畝部からできるだけ遠ざけることにより、貫通孔が肌に触れる機会を減らし、違和感及び異物感を覚えにくくするためである。それにより、肌を不織布の平面方向に動かした際の滑らかさを確保することができる。
【0076】
本開示の不織布では、第1方向畝部ユニット群の第2方向ピッチは、所望の織物の外観、触感等に応じて適宜設定されるものであるが、第2方向ピッチの下限は、好ましくは0.25mm、より好ましくは0.5mm、そしてさらに好ましくは、0.75mmである。上記下限が0.25mm未満であると、畝部の高さが低くなり、そして窪み部の深さが浅くなり、織物のような外観及び触感が得られにくくなるからである。
第2方向ピッチの上限は、再現すべき織物の構造によって異なるが、例えば、経糸が密である織物の外観及び触感を再現すべき場合には、第2方向ピッチの上限は、好ましくは5.0mm、より好ましくは3.0mm、そしてさらに好ましくは2.0mmである。
【0077】
本開示の不織布の第1方向畝部ユニット群において、複数の畝部ユニットが、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されていることが好ましい。本開示の不織布に、織物のような緻密な外観及び触感を付与する観点からである。
【0078】
本開示の不織布では、複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、複数の窪み部が、畝部の長手方向の一方の側部側の周縁部に配置された、複数の一方の窪み部と、畝部の長手方向の他方の側部側の周縁部に配置された、複数の他方の窪み部とに区画されることが好ましく、そして複数の一方の窪み部及び複数の他方の窪み部のそれぞれが、第1方向に沿って、第1窪み部間隔をあけて配置されていることが好ましい。複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、それぞれ、長手方向の一方の側部と、長手方向の一方の側部とから、所定の第1窪み部間隔をあけて、畝部を上方に持ち上げる構造を有するので、窪み部が、上記不織布をその厚さ方向に圧縮された際に優先的に潰れることができ、そして上記不織布を平面方向に動かした際に、窪み部により持ち上げられている畝部が、平面方向に自由に動くことができるので、使用者に柔軟感、ひいては織物のような触感を付与することができるからである。
なお、第1窪み部間隔は、隣接する畝部の長手方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0079】
また、本開示の不織布において、複数の窪み部が、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とに区画される実施形態では、複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、第2方向の位置が一致するように一対に配置されていることが好ましい。上記不織布では、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とが、一対になって、畝部を上方に持ち上げる構造を有するので、窪み部が、上記不織布をその厚さ方向に圧縮された際に優先的に潰れることができ、そして上記不織布を平面方向に動かした際に、窪み部により持ち上げられている畝部が、平面方向に自由に動くことができるので、使用者に柔軟感、ひいては織物のような触感を付与することができるからである。
【0080】
また、本開示の不織布において、複数の窪み部が、複数の一方の窪み部と、複数の他方の窪み部とに区画される実施形態では、複数の第1方向畝部ユニット群のそれぞれにおいて、複数の畝部ユニットが、複数の一方の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されていることが好ましく、そして複数の他方の窪み部が、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されていることが好ましい。窪み部が、上記不織布をその厚さ方向に圧縮された際に優先的に且つ均等に潰れることができ、そして上記不織布を平面方向に動かした際に、窪み部により持ち上げられている畝部が、平面方向に自由に動くことができるので、使用者に柔軟感、ひいては織物のような触感を付与することができるからである。
【0081】
本開示の不織布では、第1実施形態に示されるように、複数の第1方向畝部ユニット群が、お互いに隣接する一方の第1方向畝部ユニット群の、複数の他方の窪み部と、他方の第1方向畝部ユニット群の、複数の一方の窪み部とが、第1方向に沿って間欠的に配置されるように配置されていることが好ましい。織物のような精緻な外観を付与することができるからである。また、上記不織布をその厚さ方向に圧縮した際に、窪み部が、優先的に潰れるとともに、圧縮されていない際には、窪み部の形状が元に戻りやすくなり、使用者に、窪み部に由来する柔軟感を繰り返し付与することができるからである。
【0082】
本開示の不織布では、複数の第1方向畝部ユニット群を構成する複数の畝部ユニットが、千鳥状に配置されていることができる。そうすることにより、上記不織布が、使用者に、織物、特に、平織りのような精緻な外観を付与することができる。
【0083】
本開示の不織布において、上記熱可塑性樹脂繊維としては、当技術分野で通常用いられているものが挙げられ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の単繊維、PE及びPPのグラフトポリマーからなる繊維が挙げられる。不織布を高速で製造する観点からは、融点の低い熱可塑性樹脂繊維、例えば、ポリエチレンが好ましい。
上述の複合繊維としては、芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維、島/海型繊維等の複合繊維が挙げられる。
【0084】
本開示の不織布は、通常10〜100g/m
2、好ましくは15〜75g/m
2、そしてより好ましくは20〜50g/m
2の坪量を有する。上記坪量は、賦形する前の不織布(賦形すべき不織布)の坪量と略同一である。賦形により、不織布の厚さ方向に畝部及び窪み部が形成されるが、不織布の平面方向のサイズは、実質的に変わらないためである。
また、本開示の不織布は、通常0.1〜5.0mm、好ましくは0.5〜3.0mm、そしてより好ましくは0.8〜2.0mmの、非賦形部分の厚さ、例えば、基部の厚さを有する。
【0085】
本明細書において、不織布の厚さ(mm)は、以下の通り測定される。
株式会社大栄科学精器製作所製 FS−60DS[測定面44mm(直径),測定圧3g/cm
2]を準備し、標準状態(温度23±2℃,相対湿度50±5%)の下、不織布の異なる5つの部位を加圧し、各部位における加圧10秒後の厚さを測定し、5つの測定値の平均値を不織布の厚さとする。
【0086】
本明細書において、畝部の高さ、窪み部の深さ等の長さは、三次元計測X線CT装置(ヤマト科学(株)製 TDM−1000−IS/SP)でスキャンした画像から、所望の領域(畝部、窪み部等)の長さを任意で20点測定し、平均することにより決定される。
【0087】
本開示の不織布が、複数の第2方向畝部ユニット群を有する場合には、第2方向畝部ユニット群の所定の第1方向ピッチ、複数の第2畝部の所定の第2畝部間隔、第2畝部ユニット(第2基部、第2畝部、複数の第2窪み部、第2窪み部間隔)等は、第1方向畝部ユニット群のそれら、すなわち、第1方向畝部ユニット群の所定の第2方向ピッチ、複数の畝部の所定の第1畝部間隔、畝部ユニット(基部、畝部、複数の窪み部、第1窪み部間隔)等と同様のものが挙げられる。
【0088】
本開示の不織布の複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、畝部に関する「周縁部」は、不織布の平面方向において、畝部の外縁の外側に存在する部分であり、そして畝部の外縁から、畝部の長手方向の中心における畝部の幅の、好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.5倍以下、そしてさらに好ましくは1.0倍以下の距離にある部分を意味する。上記幅が上述の範囲にあることにより、複数の窪み部が畝部に隣接して配置されることになり、畝部の形状が明確となる。
なお、本開示の不織布が、複数の第2畝部ユニット、並びに複数の第2方向畝部ユニット群を有する実施形態では、第2畝部と、第2周縁部の関係も、同様であることが好ましい。
【0089】
本開示の不織布の複数の畝部ユニットのそれぞれにおいて、複数の窪み部は、畝部と、第2方向に重複する範囲に配置されていること、すなわち、畝部の長手方向の両側部のみに配置されていることが好ましい。そうすることにより、畝部の形状が明確となる傾向にある。
同様に、本開示の不織布が、複数の第2畝部ユニット、並びに複数の第2方向畝部ユニット群を有する実施形態では、複数の第2窪み部は、第2畝部と、第1方向に重複する範囲に配置されていることが好ましい。すなわち、第2畝部の長手方向の両側部のみに配置されていることが好ましい。
【0090】
本開示の不織布は、複数の畝部ユニットのみから形成されていてもよく、そして複数の畝部ユニット以外の部分、例えば、畝部ユニットに属しない基部、基部から下方に窪んでいる窪み部等を有してもよい。
本開示の不織布が、本開示の不織布が、複数の第2畝部ユニット、並びに複数の第2方向畝部ユニット群を有する実施形態では、上記不織布は、複数の畝部ユニットと、複数の第2畝部ユニットとから構成されていてもよく、そして複数の畝部ユニット及び第2畝部ユニット以外の部分、例えば、畝部ユニット及び第2畝部ユニットに属しない基部、基部から下方に窪んでいる窪み部等を有してもよい。
【0091】
本開示の不織布は、吸収性物品用の賦形された不織布である。従って、賦形前の、賦形すべき不織布が、平坦な不織布、具体的には、平坦な上面及び下面を有する不織布である場合には、本開示の不織布は、以下の構造を有する。
上面側では、複数の畝部ユニットのそれぞれが、基部と、畝部と、複数の窪み部とを含み、そして畝部が、第1方向に延びる長手方向と、第2方向に延びる幅方向とを有し且つ基部(の上面)から上方に突出しており、複数の窪み部のそれぞれが、畝部の周縁部に配置され且つ基部(の上面)から下方に窪んでいる。
【0092】
それに対して、下面側では、複数の畝部ユニットのそれぞれが、上面の畝部に対応する畝部対応溝部と、基部と、上面の窪み部に対応する、複数の、窪み部対応突状部とを含む。上記畝部対応溝部は、上記畝部と、不織布の厚さ方向に対応する位置に配置されており、第1方向に延びる長手方向と、第2方向に延びる幅方向とを有し且つ基部(の下面)から上方に窪んでいる。複数の窪み部対応突状部のそれぞれは、上記複数の窪み部のそれぞれと、不織布の厚さ方向に対応する位置、すなわち、畝部の周縁部に配置されており、且つ基部(の下面)から、下方に突出している。
【0093】
なお、本開示の不織布が、第2畝部ユニット、並びに複数の第2方向畝部ユニット群を有し、そして賦形前の、賦形すべき不織布が、平坦な不織布、具体的には、平坦な上面及び下面を有する不織布である実施形態では、第2畝部及び第2窪み部も、同様の構造を有する。
【0094】
また、本開示の不織布において、賦形前の賦形すべき不織布が、平坦な上面及び下面を有する不織布であり、且つ平面方向において、均一な坪量を有する場合には、本開示の不織布は、平面方向において、略均一な坪量を有する。原則として、賦形は、上方及び下方になされるものであって、平面方向の坪量が変化するものではないからである。
【0095】
本開示の不織布は、吸収性物品用に好適であり、上記吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、尿取りパッド、パンティーライナー等が挙げられる。本開示の不織布は、例えば、吸収性物品のトップシート、サイドシート、外装体、個包装された吸収性物品の個包装シート等として用いられる。
なお、本開示の不織布は、賦形された不織布であることから、その上面が使用者側となるように用いられること、例えば、トップシート及びサイドシートの肌側面、外装体の外面、個包装シートの外面として用いられることが好ましいが、その下面が使用者側となるように用いられてもよい。
【0096】
<賦形された不織布の製造方法>
本開示の賦形された不織布の製造方法(以下、「本開示の方法」と称する場合がある)は、次のステップを含む。
・賦形すべき不織布を予熱するステップ(以下、「予熱ステップ」と称する場合がある。)
・予熱された、賦形すべき不織布を、第1賦形部材及び第2賦形部材を備える一対の賦形部材の間に、その上面及び下面が、それぞれ、第2賦形部材及び第1賦形部材と接するように通すことにより、賦形すべき不織布を賦形し、賦形された不織布を形成するステップ(以下、「賦形ステップ」と称する場合がある。)
【0097】
本開示の方法の一例として、第1実施形態に従う、賦形された不織布1の製造方法を、
図9〜
図14を用いて説明する。
図9は、第1実施形態に従う、賦形された不織布1の製造方法に用いられる製造装置201を模式的に示す図である。
図10は、一対の第1賦形ロール213及び第2賦形ロール217を模式的に示す要部拡大斜視図である。
図11は、第1賦形ロール213及びその突稜215の要部拡大図である。
図12は、第2賦形ロール217のピン219の配置を模式的に示す要部拡大図である。
図13は、第1賦形ロール213の突稜215と、第2賦形ロール217のピン219のかみ合わせを示す図である。
図14は、第1賦形ロール213と、第2賦形ロール217との噛み合わせ時における、
図13のXIV−XIV断面における断面図である。
【0098】
図9に示されるように、製造装置201は、賦形すべき不織布39がロール状に巻かれ、賦形すべき不織布39を搬送方向MDに向けて巻き出す巻出装置203と、賦形すべき不織布39を予熱する予熱装置205と、予熱された、賦形すべき不織布41を賦形し、賦形された不織布1を形成するための賦形装置211とを備えている。
【0099】
予熱装置205は、一対の予熱ロール、すなわち、第1予熱ロール207及び第2予熱ロール209を備えており、賦形すべき不織布39を、回転している第1予熱ロール207に巻き付けて予熱した後、回転している第2予熱ロール209に受け渡し、予熱された、賦形すべき不織布41を形成する。
【0100】
賦形装置211は、一対の賦形ロール、すなわち、上方の第1賦形ロール213と、下方の第2賦形ロール217とを備えている。
図10に示されるように、第1賦形ロール213は、一方向D
O(搬送方向MD)に間欠的に延びる、複数の突稜215と、複数の突稜215の間に配置され、一方向D
O(搬送方向MD)に延びる、複数の凹溝216とを備え、第2賦形ロール217が、一方向D
O(搬送方向MD)に沿って間欠的に配置され且つ複数の凹溝216のそれぞれと噛み合うように配置された、先端部220を含む、複数のピン219を備える。複数のピン219は、第2賦形ロール217の外周面218に形成されている。
【0101】
なお、間欠的に延びる、複数の突稜215と、複数の凹溝216とは、一方向D
O(搬送方向MD)と直交する他方向D
A(直交方向CD)に、交互に配置されている。また、一方向D
O及び他方向D
Aが、それぞれ、搬送方向MD及び直交方向CDと平行である。
【0102】
図10及び
図11に示されるように、複数の突稜215は、一方向D
O(搬送方向MD)に間欠的に、具体的には突稜間隔I
1をあけて配置されている。また、複数の突稜215は、他方向D
A(直交方向CD)に間欠的に、具体的には突稜ピッチP
1で配置されている。
【0103】
図10及び
図12に示されるように、複数のピン219は、一方向D
O(搬送方向MD、第2賦形ロール217の周方向)において、間欠的に、具体的には、ピン間隔I
2でほぼ直線的に配設されている。複数のピン219はまた、他方向D
A(直交方向CD、第2賦形ロール217の幅方向)において、第1賦形ロール213の突稜215と接触しないピンピッチP
2で配設されている。さらに、複数のピン219は、第2賦形ロール217の外周面218において、千鳥状に配置されている。
【0104】
製造装置201を用いて、賦形された不織布1を製造するために、巻出装置203から巻き出された、賦形すべき不織布39を予熱するステップと、予熱された、賦形すべき不織布41を賦形して、賦形された不織布1を形成するステップを実施する。
【0105】
予熱ステップでは、巻出装置203から巻き出され、搬送方向MDに搬送されている、賦形すべき不織布39を、予熱装置205の、回転している一対の予熱ロール(第1予熱ロール207及び第2予熱ロール209)の外周面に順次接触させることにより予熱する。
【0106】
図13及び
図14に示されるように、賦形ステップでは、予熱された、賦形すべき不織布41を、賦形装置211において、噛み合いながら回転している第1賦形ロール213及び第2賦形ロール217の間に通し、予熱された、賦形すべき不織布41を、噛み合っている上方の第1賦形ロール213の突稜215及び凹溝216と、下方の第2賦形ロール217のピン219との間で延伸することにより、賦形された不織布1が形成される。
なお、賦形ステップを実施するに際しては、予熱された、賦形すべき不織布41を不均一に延伸し、賦形しやすくするように、第1賦形ロール213及び第2賦形ロール217を加熱することが好ましい。
【0107】
上方の第1賦形ロール213は、突稜215を、予熱された、賦形すべき不織布41の第2面223と接触させ、接触している部分を下方の第2賦形ロール217の方向に押し込むことにより、畝部11を賦形する。
下方の第2賦形ロール217は、複数のピン219を、予熱された、賦形すべき不織布41の第1面221と接触させ、ピン219の先端部220に接触している部分を、上方の第1賦形ロール213の凹溝216内に押し込む。その結果、予熱された、賦形すべき不織布41のうち、ピン219の先端部220と接触していた部分は、凹溝216内に強く押し込まれて賦形され、底部21を有する窪み部13が形成される。
【0108】
また、窪み部13は、ピン219の先端部220と接触していた部分により形成される底部21と、周壁部23とを有する。
窪み部13の底部21は、賦形の際、上方の第1賦形ロール213と下方の第2賦形ロール217とが、予熱された、賦形すべき不織布41を噛み込んだ状態で、ピン219の先端部220が、予熱された、賦形すべき不織布41の当接部分を凹溝216内に押し込むことにより形成される。従って、底部21は、他の部分、例えば、畝部の頂部よりも高い繊維密度を有し、剛性に優れる。従って、賦形された不織布1は、窪み部13の底部21に起因して、剛性に優れる。
【0109】
予熱された、賦形すべき不織布41において、ピン219の先端部220と、突稜215との間の部分は、突稜215が賦形すべき不織布39を下方の第2賦形ロール217の方向に押し込み且つピン219が上方の第1賦形ロール213の方向に押し込む際に発生する張力等により、熱可塑性樹脂繊維が破断され、貫通孔25を形成する。
賦形された不織布1は、上面3が第2賦形ロール217を向いて、そして下面5が第1賦形ロール213を向いて形成される。また、搬送方向MD及び直交方向CDが、それぞれ、賦形された不織布1の第1方向D
1及び第2方向D
2に対応する。
【0110】
本開示の方法では、予熱ステップにおいて、賦形すべき不織布を予熱する手段は、特に制限されず、例えば、第1実施形態におけるように、賦形すべき不織布を、予熱部材、具体的には、予熱ロールに巻き付けることにより、賦形すべき不織布を予熱することができる。また、賦形すべき不織布に、加熱された流体、例えば、加熱された空気を吹付けることにより、賦形すべき不織布を予熱してもよい。賦形された不織布を高速で製造する観点からは、予熱部材を用いて予熱ステップを実施することが好ましい。
【0111】
予熱ステップにおいて、予熱部材及び加熱された流体の予熱温度:T
P(℃)は、賦形すべき不織布を構成する熱可塑性樹脂繊維の融点:T
m(℃)と、好ましくは、T
M−60<T
P<T
M、より好ましくは、T
M−40<T
P<T
M−5、そしてさらに好ましくは、T
M−30<T
P<T
M−10の関係にある。続く賦形ステップにおいて、高速で賦形を行う観点からである。賦形ステップを高速で実施する観点からは、予熱温度は、熱可塑性樹脂繊維の融点に近い方が好ましいが、予熱温度が高すぎると、熱可塑性樹脂繊維同士が融着し、賦形された不織布が硬くなる傾向がある。
なお、熱可塑性樹脂繊維等が、複数種の熱可塑性樹脂を含む場合、例えば、複合繊維である場合には、上記融点は、複数種の熱可塑性樹脂のうち、融点の低い方の熱可塑性樹脂の融点を意味する。
【0112】
本開示の方法では、賦形ステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布を賦形する一対の賦形部材は、第1賦形部材が、一方向に間欠的に延びる、複数の突稜と、複数の突稜の間に配置された、複数の凹溝とを備え、第2賦形部材が、一方向に沿って間欠的に配置され且つ複数の凹溝のそれぞれと噛み合うように配置された、複数のピンを備えている限り、それらの形状は、特に制限されない。例えば、一対の賦形部材が、平面状の基板に、突稜、凹溝、ピン等を有するものであってもよい。一対の賦形部材が、一対の賦形ロールである場合には、賦形された不織布を、高速で製造することができる。
【0113】
上記賦形ステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布を加熱することが好ましい。賦形された不織布を高速で製造する観点からである。予熱された、賦形すべき不織布を加熱するために、第1賦形部材及び第2賦形部材の一方又は両方を加熱することが好ましい。
【0114】
上記観点からは、第1賦形部材及び/又は第2賦形部材が、賦形温度:T
S(℃)に加熱されており、賦形温度:T
S(℃)と、上記熱可塑性樹脂繊維の融点:T
M(℃)との間に、好ましくは、T
M−60<T
S<T
M+30、より好ましくは、T
M−40<T
S<T
M+10、そしてさらに好ましくはT
M−30<T
S<T
Mの関係が成立する。
【0115】
本開示の方法では、賦形温度:T
S(℃)と、予熱温度:T
P(℃)との間に、好ましくは、−20≦T
S−T
P≦+20、より好ましくは、−10≦T
S−T
P≦+10、そしてさらに好ましくは−5≦T
S−T
P≦+5の関係が成立する。そうすることにより、賦形ステップにおいて、予熱された、賦形すべき不織布を、賦形温度まで調整する時間を短縮化することができ、賦形された不織布を高速で製造することができる。なお、予熱ステップから賦形ステップまでの間に、予熱された、賦形すべき不織布の温度が下がることを考慮し、予熱温度:T
P(℃)が、賦形温度:T
S(℃)より高くてもよい。
【0116】
本開示の方法では、第1賦形部材の、一方向に間欠的に延びる突稜の突稜ピッチ(他方向のピッチ,
図11の符号P
1)は、賦形された不織布の第1方向畝部ユニット群の第2方向ピッチに相当し、賦形された不織布の所望の第2方向ピッチに合わせて適宜設定される。
【0117】
本開示の方法では、第1賦形部材の突稜の高さ(突稜の根本から先端までの高さ)は、賦形された不織布の、所望の外観、触感等により適宜設定されうるが、突稜の高さは、好ましくは0.25〜5.0mm、より好ましくは0.5〜3.0mm、そしてさらに好ましくは、1.0〜2.5mmである。
【0118】
本開示の方法では、第1賦形部材と、第2賦形部材との噛込深さは、好ましくは0.5〜3.0mm、そしてより好ましくは1.0〜2.0mmである。噛込深さが0.5mm未満であると、賦形された不織布に、畝部及び窪み部が形成されにくくなり、そして噛込深さが3.0mmを超えると、賦形された不織布の畝部が高く且つ窪み部が深くなり、賦形された不織布の強度が低下する傾向がある。
【0119】
本開示の方法において、複数のピンのそれぞれが、先端部の先端に平坦面を備えることが好ましい。賦形された不織布において、窪み部の底部が、貫通孔を有しにくく、そして窪み部の底部の繊維密度が、畝部の繊維密度より高くなり、賦形された不織布が剛性に優れるからである。その場合には、平坦面の面積は、賦形された不織布の、所望の外観、触感等により適宜設定されうるが、好ましくは0.1〜1.0mm
2、そしてより好ましくは0.2〜0.8mm
2の面積を有する。
【0120】
本開示の方法において、一対の賦形部材により賦形される直前の、予熱された、賦形すべき不織布の搬送速度が、一対の賦形部材により賦形された直後の、賦形された不織布の搬送速度よりも速いことが好ましく、より好ましくは0%超且つ5%以下そしてさらに好ましくは1%超且つ3%以下速い。そうすることにより、予熱された、賦形すべき不織布が、一対の賦形部材のところで、搬送方向に変形しにくくなり、予熱された、賦形すべき不織布を安定して賦形することができる。
【0121】
本開示の方法において、賦形すべき不織布としては、上述の熱可塑性樹脂繊維を含むものであれば特に制限されず、種々の不織布を用いることができる。賦形すべき不織布の例としては、例えば、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられる。
【0122】
本開示の方法において、賦形すべき不織布は、通常10〜100g/m
2、好ましくは15〜75g/m
2、そしてより好ましくは20〜50g/m
2の坪量を有する。また、賦形すべき不織布は、通常0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mm、そしてより好ましくは0.8〜2mmの厚さを有する。
【実施例】
【0123】
以下、例を挙げて本開示を説明するが、本開示はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1]
賦形すべきの不織布として、エアスルー不織布を準備した。エアスルー不織布は、上層及び下層の2層から形成されていた。上層は、芯鞘型複合繊維(芯:PET,鞘:PE,繊度:2.8dtex,繊維長:44mm)から形成され、坪量は、20g/m
2であった。下層は、芯鞘型複合繊維(芯:PET,鞘:PE,繊度:2.2dtex,繊維長:44mm)から形成され、坪量は10g/m
2であった。
【0124】
エアスルー不織布を、
図9〜14にて説明された製造装置201に通し、第1実施形態に従う、賦形された不織布No.1を形成した。なお、予熱ステップ及び賦形ステップの温度は、両方とも100℃であり、そして搬送速度は、約250m/分であった。
【0125】
賦形された不織布No.1の画像を、
図15に示す。畝部の長手方向の長さは、約5mmであった。
賦形された不織布No.1を、トップシート及び外装体として含む使い捨ておむつNo.1と、個包装シートととして含む、個包装された生理用ナプキンNo.1を製造し、複数の被験者に使用してもらったところ、含む使い捨ておむつNo.1及び生理用ナプキンNo.1は、織物のような精緻な外観を有するとともに、織物のような触感を有するとの回答を得た。