【実施例】
【0032】
<実験1>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのサファイアウェーハを用いた。酸化物単結晶ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのタンタル酸リチウムウェーハを用いた。サファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSを原子間力顕微鏡で評価したところ、1.0nm以下であった。
まず、サファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面に、窒素雰囲気下でプラズマ活性化装置を用いてプラズマ処理を施し、表面活性化を行った。次に、表面活性化したサファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの表面を室温(25℃)で貼り合わせて接合体を得た。次に、接合体が70、80、90、100、110、125、150、175、200、225、250、または275℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った。加熱手段には、熱処理オーブンを用い、熱電対でオーブン内の雰囲気温度を測定して接合体の温度とした。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。なお、外観検査は目視で行い、割れや欠けがないものを○、微小なクラックが有るものを△、ウェーハが破損したものを×とした。支持ウェーハをサファイアとすると、熱処理温度を70〜225℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0033】
<実験2>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハを用いて、接合体が70、80、90、100、110、125、150、175、200、または225℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実験1と同様に行った。なお、シリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。支持ウェーハをシリコンとすると、熱処理温度を70〜200℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0034】
<実験3>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハ上に100nmの酸化膜を付したシリコンウェーハを用いて、接合体が70、80、90、100、110、125、150、175、200、または225℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実験1と同様に行った。なお、酸化膜付きシリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。なお、酸化膜付きシリコンウェーハは、予めシリコンウェーハを1100℃で1時間程度加熱することにより、シリコンウェーハ上に100nmの熱酸化膜を成長させたシリコンウェーハとした。支持ウェーハを酸化膜付きシリコンとすると、熱処理温度を70〜200℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0035】
<実験4>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのガラスウェーハを用いて、接合体が70、80、90、100、110、または125℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実験1と同様に行った。なお、ガラスウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた接合体の外観検査の結果を表1に示す。支持ウェーハをガラスとすると、熱処理温度を70〜110℃としたサンプルについては、割れや欠けが発生せず、接合していることが確認できた。
【0036】
【表1】
【0037】
実験1〜4はタンタル酸リチウムウェーハを用いたが、酸化物単結晶ウェーハとしてニオブ酸リチウムウェーハを用いて実験1〜4と同様の実験を行っても、表1と同じ結果を得た。また、表面活性化処理をプラズマ処理の代わりに、オゾン水処理、UVオゾン処理、真空イオンビーム処理とした場合でも、全く同一の結果が得られた。これらの結果から上記の活性化方法いずれの場合も有効であり、且つ、タンタル酸リチウムとニオブ酸リチウムとの間に差異は無いことが判明した。
【0038】
<実施例1>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのサファイアウェーハを用いた。酸化物単結晶ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのタンタル酸リチウムウェーハを用いた。サファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。
まず、タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量7.0×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した。次に、イオン注入したタンタル酸リチウムウェーハの表面と、タンタル酸リチウムウェーハと貼り合わせるサファイアウェーハの表面に、7×10
−6Pa下で真空イオンビーム装置を用いてArをイオン源とし、真空イオンビーム処理を施し、表面活性化を行った。次に、表面活性化したサファイアウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの表面を室温(25℃)で貼り合わせて接合体を得た。次に、接合体が90、100、110、125、150、175、200、または225℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った。なお、加熱手段として、熱処理オーブンを用い、熱電対でオーブン内の雰囲気温度を測定して接合体の温度とした。熱処理した接合体を室温に下がるまで静置し、その後、室温(25℃)で、楔状の刃を備えた超音波カッターを用いて、接合体のイオン注入層の端部にカッター刃を接触した状態で超音波(30kHz)を印加して、イオン注入層に沿って剥離し、サファイアウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した複合ウェーハを得た。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。なお、外観検査は、目視で行い、薄膜の転写がウェーハ全面において出来ているものを○、薄膜の転写が一部不良であるものを△、薄膜の転写ができなかったものを×とした。
【0039】
<比較例1>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例1と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0040】
<比較例2>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例1と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0041】
<実施例2>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハを用いて、接合体が90、100、110、125、150、175、または200℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に行った。なお、シリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0042】
<比較例3>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例2と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0043】
<比較例4>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例2と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0044】
<実施例3>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのシリコンウェーハ上に100nmの酸化膜を付したシリコンウェーハを用いて、接合体が90、100、110、125、150、175、または200℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に行った。なお、酸化膜付きシリコンウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。なお、酸化膜付きシリコンウェーハは、予めシリコンウェーハを1100℃で1時間程度加熱することにより、シリコンウェーハ上に100nmの熱酸化膜を成長させたシリコンウェーハとした。
【0045】
<比較例5>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例3と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0046】
<比較例6>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例3と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0047】
<実施例4>
支持ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのガラスウェーハを用いて、接合体が90、100、または110℃となるように各々加熱し、各温度において24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に行った。なお、ガラスウェーハおよびタンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0048】
<比較例7>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例4と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0049】
<比較例8>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例4と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
表2に示すように、支持ウェーハをサファイアとし、熱処理温度を90〜225℃としたサンプル、支持ウェーハをシリコンとし、熱処理温度を90〜200℃としたサンプル、支持ウェーハを酸化膜付きシリコンとし、熱処理温度を90〜200℃としたサンプル、および、支持ウェーハをガラスとし、熱処理温度を90〜110℃としたサンプルについては、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
いずれの支持ウェーハにおいても、熱処理温度を70℃とした場合に、イオン注入層での剥離は生じず、貼り合わせた両ウェーハの界面で剥がれが生じた。また、熱処理温度を80℃とした場合には、支持ウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜が転写できた部分と一部未転写の部分が発生した。70℃および80℃ではイオン注入界面での脆化が十分でなく、また、両ウェーハの貼り合わせの接合力が不足し、全面転写に至らなかったものと思われる。
【0052】
酸化物単結晶ウェーハとしてニオブ酸リチウムウェーハを用いて実施例1〜4と同様の実験についても行ったが、表2と同じ結果を得た。また、表面活性化処理を真空イオンビーム処理の代わりに、オゾン水処理、UVオゾン処理、プラズマ処理とした場合でも結果は全く同一であった。
【0053】
<実施例5>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×10
16、7.5×10
16、10×10
16、12.5×10
16、15×10
16、17.5×10
16、20×10
16、22.5×10
16、25×10
16、または27.5×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例1と同様に実施した。
【0054】
<比較例9>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例5と同様に実施した。
【0055】
<参考例1>
酸化物単結晶ウェーハとして、直径100mm、厚さ0.35mmのタンタル酸リチウムウェーハを用いた。タンタル酸リチウムウェーハの互いに貼り合わせに用いる面の表面粗さRMSは、1.0nm以下であった。タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量30×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した。結果、貼り合わせる前のタンタル酸リチウムウェーハの表面上に凹凸が観察され、貼り合わせ時の所望の表面粗さとならないため貼り合わせを行わなかった。タンタル酸リチウムウェーハの表面上の凹凸は、注入した水素が固溶しきれずに内部で発泡したため生じたと思われる。
【0056】
<実施例6>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×10
16、7.5×10
16、10×10
16、12.5×10
16、15×10
16、17.5×10
16、20×10
16、22.5×10
16、25×10
16、または27.5×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例2と同様に実施した。
【0057】
<比較例10>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例6と同様に実施した。
【0058】
<実施例7>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×10
16、7.5×10
16、10×10
16、12.5×10
16、15×10
16、17.5×10
16、20×10
16、22.5×10
16、25×10
16、または27.5×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例3と同様に実施した。
【0059】
<比較例11>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例7と同様に実施した。
【0060】
<実施例8>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を5.0×10
16、7.5×10
16、10×10
16、12.5×10
16、15×10
16、17.5×10
16、20×10
16、22.5×10
16、25×10
16、または27.5×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件で各々イオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成したことと、接合体を90℃で24時間加熱処理を行った以外は実施例4と同様に実施した。
【0061】
<比較例12>
タンタル酸リチウムウェーハの表面から、水素原子イオンを用いて注入量を4.0×10
16atom/cm
2、加速電圧100KeVの条件でイオン注入を行い、タンタル酸リチウムウェーハの内部にイオン注入層を形成した以外は実施例8と同様に実施した。
【0062】
水素原子イオン注入量を5.0×10
16〜27.5×10
16atom/cm
2とした実施例5〜8の場合、いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。一方、水素原子イオン注入量を4.0×10
16atom/cm
2とした比較例9〜12の場合、いずれの支持ウェーハを用いた場合でも、タンタル酸リチウムウェーハのイオン注入層で剥離は生じなかった。これはイオン注入量が十分ではなく、後の工程で脆化に至らなかったためと思われる。
なお、実施例5〜8では水素原子イオンを用いたが、水素分子イオンを用いてその注入量を水素原子イオンの注入量の半分とすることでも、同様の結果を得ることができた。また、酸化物単結晶ウェーハとしてニオブ酸リチウムウェーハを用いても実施例5〜8と同じ結果を得ることができた。
【0063】
<実施例9>
熱処理した接合体を室温に下がるまで静置し、その後、超音波洗浄機を用いて、25℃の水槽中に接合体を浸漬させ、水槽に超音波(26kHz)を120秒間印加して、水を介して接合体に超音波振動を与えてイオン注入層に沿って剥離し、サファイアウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した複合ウェーハを得た以外は、実施例1と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。なお、外観検査は、目視で行い、薄膜の転写がウェーハ全面において出来ているものを○、薄膜の転写が一部不良であるものを△、薄膜の転写ができなかったものを×とした。
【0064】
<比較例13>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例9と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0065】
<比較例14>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例9と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0066】
<実施例10>
熱処理した接合体を室温に下がるまで静置し、その後、超音波洗浄機を用いて、25℃の水槽中に接合体を浸漬させ、水槽に超音波(26kHz)を120秒間印加して、水を介して接合体に超音波振動を与えてイオン注入層に沿って剥離し、シリコンウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した複合ウェーハを得た以外は、実施例2と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0067】
<比較例15>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例10と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0068】
<比較例16>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例10と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0069】
<実施例11>
熱処理した接合体を室温に下がるまで静置し、その後、超音波洗浄機を用いて、25℃の水槽中に接合体を浸漬させ、水槽に超音波(26kHz)を120秒間印加して、水を介して接合体に超音波振動を与えてイオン注入層に沿って剥離し、酸化膜付きシリコンウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した複合ウェーハを得た以外は、実施例3と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0070】
<比較例17>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例11と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0071】
<比較例18>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例11と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0072】
<実施例12>
熱処理した接合体を室温に下がるまで静置し、その後、超音波洗浄機を用いて、25℃の水槽中に接合体を浸漬させ、水槽に超音波(26kHz)を120秒間印加して、水を介して接合体に超音波振動を与えてイオン注入層に沿って剥離し、ガラスウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した複合ウェーハを得た以外は、実施例4と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0073】
<比較例19>
接合体を70℃で24時間加熱処理した以外は実施例12と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0074】
<比較例20>
接合体を80℃で24時間加熱処理した以外は実施例12と同様にして実施した。得られた複合ウェーハの外観検査の結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
表3に示すように、支持ウェーハをサファイアとし、熱処理温度を90〜225℃としたサンプル、支持ウェーハをシリコンとし、熱処理温度を90〜200℃としたサンプル、支持ウェーハを酸化膜付きシリコンとし、熱処理温度を90〜200℃としたサンプル、および、支持ウェーハをガラスとし、熱処理温度を90〜110℃としたサンプルについては、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウム薄膜が転写されたことを確認した。
いずれの支持ウェーハにおいても、熱処理温度を70℃とした場合に、イオン注入層での剥離は生じず、貼り合わせた両ウェーハの界面で剥がれが生じた。また、熱処理温度を80℃とした場合には、支持ウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜が転写できた部分と一部未転写の部分が発生した。70℃および80℃ではイオン注入界面での脆化が十分でなく、また、両ウェーハの貼り合わせの接合力が不足し、全面転写に至らなかったものと思われる。
【0077】
酸化物単結晶ウェーハとしてニオブ酸リチウムウェーハを用いて実施例9〜12と同様の実験についても行ったが、表3と同じ結果を得た。また、表面活性化処理を真空イオンビーム処理の代わりに、オゾン水処理、UVオゾン処理、プラズマ処理とした場合でも結果は全く同一であった。