(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397029
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】エピ予熱リング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
H01L21/205
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-541986(P2016-541986)
(86)(22)【出願日】2014年8月19日
(65)【公表番号】特表2016-530730(P2016-530730A)
(43)【公表日】2016年9月29日
(86)【国際出願番号】US2014051603
(87)【国際公開番号】WO2015038294
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年8月16日
(31)【優先権主張番号】61/878,420
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/461,137
(32)【優先日】2014年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シャー, カルティーク
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, シュー−クワン
【審査官】
山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−049462(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/124845(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0103263(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバ用のリングアセンブリであって、
中央開口を有する環状本体を含み、前記環状本体は、
前記半導体処理チャンバのガス注入側の近くに配置される、第一の上面及び前記第一の上面に平行な第一の底面を有する第一の半円部、及び
前記半導体処理チャンバのガス排気側の近くに配置される、第二の上面及び前記第二の上面に平行な第二の底面を有する第二の半円部であって、前記第一の半円部に対してある角度だけ傾いている第二の半円部
を含む、リングアセンブリ。
【請求項2】
前記第二の半円部は前記第一の半円部に対して対称である、請求項1に記載のリングアセンブリ。
【請求項3】
前記第二の半円部が、前記第一の半円部の上面に対して下方に傾いている、請求項1に記載のリングアセンブリ。
【請求項4】
前記角度が、約2°〜約6°である、請求項1に記載のリングアセンブリ。
【請求項5】
基板を処理するための処理チャンバであって、
内部処理領域を画定するチャンバ本体と、
基板支持面を有する、前記チャンバ本体の内部に配置された基板支持体と、
前記チャンバ本体の内部に配置されたリング支持体の上に配置された予熱リングであって、予熱リングの一部が前記基板支持面に対してある角度だけ傾いている予熱リングと、
を含み、
前記予熱リングは、ある間隙をおいて前記基板支持体の周囲に配置するような大きさの中央開口を有する環状本体であり、
前記環状本体は、
第一の上面及び前記第一の上面に平行な第一の底面を有する第一の半円部、及び
第二の上面及び前記第二の上面に平行な第二の底面を有する第二の半円部であって、前記基板支持面に対して前記角度だけ下方に傾いている第二の半円部
を含み、
前記第一の半円部が、前記チャンバ本体のガス注入側の近くに配置され、前記第二の半円部が、前記チャンバ本体のガス排気側の近くに配置される、処理チャンバ。
【請求項6】
前記角度が、約2°〜約6°である、請求項5に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記第二の半円部は前記第一の半円部に対して対称である、請求項5に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
半導体処理チャンバ用のリングアセンブリであって、
中央開口を有する環状本体を含み、前記環状本体は第一の半円部及び第二の半円部を含み、前記第一の半円部は上面及び当該上面に平行な底面を有し、前記第二の半円部は上面及び当該第二の半円部の上面に平行な底面を有し、前記第一の半円部は、前記中央開口を通過して前記環状本体を横切る線に沿って前記第二の半円部に接続し、前記第二の半円部に対して約1°〜約15°の角度を形成する、リングアセンブリ。
【請求項9】
記第二の半円部は前記第一の半円部に対して対称である、請求項8に記載のリングアセンブリ。
【請求項10】
前記第二の半円部が、前記第一の半円部の上面に対して下方に傾いている、請求項8に記載のリングアセンブリ。
【請求項11】
前記角度が、約2°〜約6°である、請求項8に記載のリングアセンブリ。
【請求項12】
前記中央開口が、前記半導体処理チャンバ内に配置された基板支持体の周囲に配置するように大きさが決められている、請求項8に記載のリングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、広くは、基板処理チャンバ用の予熱リングに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]半導体デバイスのサイズの継続的縮小は、例えば、半導体処理チャンバに供給されるプロセスガスの流れ及び温度に対する、更なる正確な制御に依存する。通常、クロスフロー処理チャンバでは、プロセスガスがチャンバに供給され、処理すべき基板の表面上をクロスする。プロセスガスの温度が、例えば、基板支持体を囲む予熱リングによって制御され得る。
【0003】
[0003]
図1は、クロスフロー処理チャンバ100の概略断面図を示す。処理チャンバ100は、上方ドーム104、下方ドーム、及びチャンバ側壁108によって画定される処理領域の中に配置される回転基板支持体102を有する。プロセスガス源110から供給されるプロセスガス(複数可)が、プロセスガス入口114を通って上方処理領域112に導入される。プロセスガス入口114は、プロセスガスを層流状に(例えば、流路116によって示されるような、概して半径方向に内側への方向)導くように構成される。処理中、パージガスも、上方処理領域112のプロセスガスの圧力より相対的に大きい圧力で、パージガス源122からパージガス入口124を通って下方処理チャンバ126の中に導入される。パージガスの一部が、上方に流れ、基板支持体102と予熱リング103の間を漏れ、上方処理領域112の中に流れるであろう。パージの上方への流れは、プロセスガスが下方処理チャンバ126の中に流れるのを防止し、それにより、下方ドーム106の下方に配置されたランプからの熱放射を減少させる、望ましくない反応生成物の下方ドーム106への堆積を最小化する。プロセスガス及びパージガスは、排気装置120に連結された(プロセスガス入口114の反対側の)ガス出口118を通って上方処理領域112を出る。
【0004】
[0004]しかしながら、上方処理領域112の中へと上方に流れるパージガスは、基板128のエッジの近くでプロセスガスの濃度の希釈を引き起こし得るということが、観察された。希釈は、基板128のエッジの近くで主に生じ、これは、乱流及び流れの追加的抵抗を作り出し(領域「A」で示される)、そこを通ってプロセスガスは拡散し、基板128の表面に移動しなければならない。それ故に、基板のエッジにおける堆積効率が、損なわれる。堆積中に基板を回転させることは、回転対称の堆積を作り出すことができるが、希釈によって引き起こされる堆積効率の低下のために、特に基板128のエッジの近くで膜の均一性が低下する。その結果、基板のエッジの近くでの膜厚が減少する(エッジロールオフ効果)。
【0005】
[0005]流れの特性は、基板上の膜の均一性に直接に影響を与えるので、基板のエッジの近くでのプロセスガスの希釈を減少又は除去し、プロセスガスが処理中に処理チャンバの下方処理領域の中に入るのを防止する改良された堆積装置に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の実施形態は、広くは、プロセスガスを加熱するための改良された予熱リングを有する処理チャンバに関する。一実施形態において、処理チャンバは、内部処理領域を画定するチャンバ本体、チャンバ本体の中に配置された基板支持体であって、基板を支持するための基板支持面を有する基板支持体、及び、チャンバ本体の中に配置されたリング支持体上に配置された予熱リングを含み、パージガスがガス注入側よりもガス排気側を通ってより多く流れるのを促進するため、予熱リングの一部が、基板支持面に対してある角度だけガス排気側の方に傾斜している。
【0007】
[0007]他の実施形態において、半導体処理チャンバの中で用いられるリングアセンブリが提供される。リングアセンブリは、中央開口、内周縁及び外周縁を有する環状本体であって、第一の半円部及び第二の半円部を含む環状本体を有し、パージガスがガス注入側よりもガス排気側を通ってより多く流れるのを促進するため、第二の半円部は、第一の半円部の上面に対してある角度だけガス排気側の方に傾斜している。
【0008】
[0008]更に別の実施形態において、基板を処理するための処理チャンバが提供される。処理チャンバは、処理チャンバの中に配置された回転可能な基板支持体であって、基板を支持するための基板支持面を有する基板支持体、基板支持体の比較的下方に配置される下方ドーム、基板支持体の比較的上方に配置される上方ドームであって、下方ドームに向かい合う上方ドーム、上方ドームと下方ドームの間に配置されたリング本体であって、上方ドーム、リング本体及び下方ドームは、概して、処理チャンバの内部容積を画定し、基板の直径を実質的に覆うのに十分広いガス流を提供するために、少なくとも一つの直線的な集まりで配置された一つ以上のガス注入口を有するリング本体、リング本体に連結するリング支持体上に配置された予熱リングであって、パージガスがガス注入側よりもガス排気側を通ってより多く流れるのを促進するため、予熱リングの一部が、基板支持面に対して既定の角度だけガス排気側の方に傾斜している予熱リング、を含む。
【0009】
[0009]本開示の上述の特徴が詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本開示のより詳細な説明が、実施形態を参照してなされ得、実施形態の幾つかが、添付の図面に示される。しかしながら、添付の図面は、本開示の代表的な実施形態のみを示しており、従って、開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態を許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010]クロスフロー処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図2】[0011]一実施形態による、例示的な処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図3】[0012]一実施形態による、
図2の予熱リングを取り替えるために用いられ得る予熱リングの透視図を示す。
【
図4】[0013]他の実施形態による、
図2の予熱リングを取り替えるために用いられ得る予熱リングの上面図を示す。
【
図5】[0014]更に他の実施形態による、
図2の予熱リングを取り替えるために用いられ得る予熱リングの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0015]理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すのに、同一の参照番号を使用した。一つの実施形態の要素および特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施形態に有利に組み込まれうることが意図される。
【0012】
[0016]以下の記述では、説明の目的のために、本開示の徹底的な理解を提供するため、多数の詳細が記述される。場合によっては、本開示を不明瞭にすることを回避するため、周知の構造及び装置が、詳細によりはむしろ、ブロック図の形で示される。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施することを可能にするのに十分詳細に記載される。他の実施形態が利用されうるということと、本開示の範囲から逸脱することなく、論理的、機械的、電気的及び他の変更がなされうるということが理解されるべきである。
【0013】
例示的な処理チャンバ
[0017]
図2は、一実施形態による、例示的な処理チャンバ200の概略断面図を示す。一つの適当な処理チャンバの非限定的な例は、Applied Materials,Inc.,Santa Clara, Calif.より商業的に入手可能である、RP EPIリアクタである。処理チャンバ200が、本書に記載された様々な実施形態を実施するために利用されるように、以下に説明されるが、違う製造業者からの他の半導体処理チャンバも、本開示に記載された実施形態を実施するために用いられ得る。処理チャンバ200は、エピタキシャル堆積プロセスなどの、化学気相堆積を実施するために採用され得る。処理チャンバ200は、チャンバ本体202、サポートシステム204、及びコントローラ206を例示的に含む。チャンバ本体202は、内部処理領域212を画定する上方ドーム226、側壁208及び底部壁210を有する。基板を支持するために用いられる基板支持体214が、内部処理領域212の中に配置される。基板支持体214は、シャフト220から伸びる支持アーム218と接続される支持ポスト216によって回転され、支持される。動作中、基板支持体214上に配置された基板は、リフトピン224を介して基板リフトアーム222によって持ち上げられ得る。基板支持体214は、示されているようなディスク状の基板支持体であってもよいし、又は中央開口のないリング状の基板支持体であってもよく、これは、ランプ235の熱放射への基板の曝露を容易にするために、基板のエッジから基板を支持する。
【0014】
[0018]上方ドーム226が、基板支持体214の上方に配置され、下方ドーム228が、基板支持体214の下方に配置される。堆積処理は、内部処理領域212の中の基板支持体214上に配置された基板の上面で通常起こる。
【0015】
[0019]上方ライナ230が、上方ドーム226の下方に配置され、ベースリング229又は中央窓部233の周囲で上方ドーム226の中央窓部233に係合する周辺フランジ231などのチャンバ部品上への望ましくない堆積を防止するように適合される。上方ライナ230は、予熱リング232に隣接して配置される。予熱リング232は、基板支持体214が処理位置にある間、基板支持体214の周囲に配置されるように、構成される。予熱リング232の半径方向の幅が、基板支持体214とリング支持体234の間に幾分伸び、上方に流れるプロセスガスのための予熱ゾーンを提供しながら、ランプ235から基板のデバイス側への熱/光ノイズの漏れを防止又は最小化する。プロセスガスが、基板支持体214の上面を横切って層流状に(例えば、流路270によって示されるような、概して半径方向に内側への方向)内部処理領域212の中へ流れるように、予熱リング232は、予熱リング232を支持し位置決めするリング支持体234の上に取外し可能に配置される。リング支持体234は、処理チャンバの中に配置されたライナであってもよい。
【0016】
[0020]予熱リング232は、(ランプ235などの)ランプからのエネルギーを吸収するための任意の適当な材料から製造され得る。幾つかの実施形態において、予熱リング232は、石英、炭化ケイ素(SiCy)、炭化ケイ素(SiCy)で被覆されたグラファイト、不透明石英、被覆された石英、又はプロセスガスによる化学的分解に耐久性のある任意の同様な、適当な材料から作られ得る。ここで、yは、既知の炭化ケイ素成分を表す。一実施形態において、予熱リング232は、炭化ケイ素で被覆されたグラファイトを含む。
【0017】
[0021]ベースリング229は、処理チャンバ200の内周の中にぴったり入るように大きさが決められたリング本体を有し得る。リング本体は、概して円形の形状を有し得る。ベースリング229の内周は、リング支持体234を受け入れるように構成される。一例において、リング支持体234は、ベースリング229の内周の中にはめ込まれるように又は内周によって囲まれるように大きさが決められる。「リング」という用語は、予熱リング232又はベースリング229などの、処理チャンバのある部品を記述するために用いられるけれども、これらの部品の形状が、円形である必要はなく、長方形、多角形、長円形、等を含むが、これらに限定されない、任意の形状を含んでよいことが、意図される。
【0018】
[0022]処理チャンバ200は、ランプ235などの、処理チャンバ200の中に配置された部品に熱エネルギーを供給するように適合されている複数の熱源を含む。例えば、ランプ235は、基板及び予熱リング232に熱エネルギーを供給し、基板上へのプロセスガスの熱分解をもたらし、基板上に一つ以上の層を形成するように、適合され得る。幾つかの実施形態において、放射加熱ランプ235の列が、上部ドーム226の上に代替的又は追加的に配置されてもよい。下方ドーム228は、熱放射の通過を容易にするために、石英などの、光学的に透明な材料から作られてもよい。動作中の予熱リング232の温度は、摂氏約100度〜摂氏約800度であり得る。処理の間、基板支持体214は、摂氏1000度に加熱され得、予熱リング232は、摂氏約650〜750度に加熱され得る。プロセスガスが、ベースリング229を通って形成されるプロセスガス入口240を通って処理チャンバ200の中に流れるときに、加熱された予熱リング232は、プロセスガスを活性化する。プロセスガスは、プロセスガス入口240の反対側に配置されたプロセスガス出口242を通って処理チャンバ200を出る。プロセスガス入口240、基板支持体214及びプロセスガス出口242は、処理の間、およそ同じ高さにあるので、プロセスガスは、概して平らな層流状に基板(図示せず)の上面を横切って流路270に沿ってプロセスガス出口242へ流される。更なる半径方向の均一性が、基板支持体214を通じた基板の回転により提供されうる。
【0019】
[0023]一つのプロセスガス入口240が示されているが、プロセスガス入口240は、二つ以上の個別のガス流を供給するための二つ以上のガス入口を含んでよい。プロセスガス入口240は、速度、密度、又は組成などの様々なパラメータの個別のガス流を供給するように構成され得る。複数のプロセスガス入口が適合される一実施形態において、プロセスガス入口240は、実質的な直線の配列でベースリング229の一部分に沿って分布され、基板の直径を実質的に覆うのに十分広いガス流を供給し得る。例えば、プロセスガス入口240は、可能な範囲で、少なくとも一つの直線的な集まりで配列され、基板の直径に概して一致するガス流を提供し得る。
【0020】
[0024]処理チャンバ200は、ベースリング229を通って形成されたパージガス入口250を含み得る。パージガス入口250は、プロセスガス入口240より下の高さに配置され得る。一例において、予熱リング232は、プロセスガス入口240とパージガス入口250の間に配置される。パージガス入口250は、処理チャンバ200の上方部(すなわち、基板支持体214より上の処理領域)の中のプロセスガスの圧力より大きい圧力で、処理チャンバ200の下方部254(すなわち、基板支持体214より下の処理領域)の中へ、パージガス源252から、水素などの不活性パージガスの流れを供給し得る。一実施形態において、パージガス入口250は、パージガスを概して半径方向に内側への方向に向けるように構成される。膜堆積プロセスの間、基板支持体214は、パージガスが流路272に沿って下方へと回って基板支持体214の裏側を横切って層流状に流れるような位置に、置かれ得る。パージガスが流れることにより、プロセスガスの流れが下方部254の中に入るのを防止若しくは実質的に回避する、又は下方部254に入るプロセスガスの拡散を減少させると考えられる。パージガスは、下方部254を出て、パージガス入口250の反対側に配置されているプロセスガス出口242を通って処理チャンバ200から排気される。
【0021】
[0025]サポートシステム204は、処理チャンバ200の中の膜の成長などの、予め決められたプロセスを実行しモニタするために用いられる構成要素を含み得る。サポートシステム204は、ガスパネル、ガス分配導管、真空及び排気サブシステム、電源、並びにプロセス制御器械のうちの一つ以上を含む。コントローラ206が、サポートシステム204に連結され、処理チャンバ200とサポートシステム204を制御するように適合される。コントローラ206は、中央処理装置(CPU)、メモリ、及びサポート回路を含む。コントローラ206内にある命令が実行され、処理チャンバ200の動作又はその中での一つ以上の膜堆積プロセスを制御し得る。
【0022】
例示的な予熱リング
[0026]
図3は、一実施形態による、
図2の予熱リング232を置き替えるために用いられ得る予熱リング300の透視図を示す。予熱リング300は、
図2の基板支持体214などの基板支持体302の周囲に配置するように大きさが決められている中央開口を有する。予熱リング300は、予熱リング300の上部から見るとき、通常、円形であるが、長方形、多角形、長円形、等を含むが、これらに限定されない任意の他の形状も意図されている。予熱リング300は、
図2に示されるようなリング支持体234などの、リング支持体(図示せず)によって支持される環状本体を有する。予熱リング300は、内周縁330、外周縁332、上面334、及び上面334と向かい合う底面336を含む。予熱リング300は、既定の間隙「B」だけ基板支持体302から離れるように配置される。間隙は、約0.1mm〜約0.8mmの範囲であってよく、例えば、約0.3mmであってよい。間隙が、基板支持体302の回転を可能にし、プロセスガスに対する希釈効果を除去又は最小化しながら、パージガスが予熱リング300と基板支持体302との間を漏れるのを可能にする限り、予熱リング300は、より大きな間隙「B」を有してもよいし、より小さな間隙「B」を有してもよい。
【0023】
[0027]予熱リング300は、第一の半円部304及び第一の半円部304と実質的に同一である第二の半円部306を含み得る。第一の半円部304と第二の半円部306は、予熱リング300の直径方向に中心点312を通過する中心軸「X」に関して互いに実質的に対称である。第一の半円部304と第二の半円部306は、単一の一体式本体として形成されてもよいし、溶接されて一つの一体式部品になる二つの別々の部品として形成されてもよい。第一の半円部304が、プロセスガス入口、例えば
図2のプロセスガス入口240、が配置されているガス注入側の近くに配置され得る。第二の半円部306が、プロセスガス出口、例えば
図2のプロセスガス出口242、が配置されているガス排気側の近くに配置され得る。
【0024】
[0028]第一の半円部304は、実質的に平坦な上面及び平坦な上面に向かい合い且つ平行である実質的に平坦な底面を有し得る。第二の半円部306は、実質的に平坦な上面及び平坦な上面に向かい合い且つ平行である実質的に平坦な底面を有し得る。
図3に示された一実施形態において、第二の半円部306は、概して、ガス注入側からガス排気側へ向かって下方に傾斜する。具体的には、第二の半円部306は、基板支持面308を定める基板支持体302の水平面に対して、又は基板支持面308と概して平行である第一の半円部306の上面に対して、既定の角度「θ」だけガス排気側に向かって下方に傾いている。既定の角度「θ」は、約1°〜約15°であってよく、例えば、約1°〜約3°、約3°〜約5°、約5°〜約7°、約7°〜約9°、約9°〜約11°、約11°〜約13°、約13°〜約15°であってもよい。一例において、既定の角度「θ」は、約2°〜約6°、例えば約3°である。約3°の角度で下方に傾いている第二の半円部306は、ガス排気側の基板支持体302の遠端で、第二の半円部306と基板支持面308の間を測定すると、約5mm〜約15mmの間隙高さ「D」を一般にもたらす。予熱リング300と基板支持体302の間の間隙「B」は、ガス注入側でプロセスガスに対する希釈効果を最小化するために小さく保たれるべきである一方、基板支持体を上下に動かすときに、第二の半円部306の下部が、基板支持体302上に配置された基板とぶつからないように十分大きく保たれるべきである、ということが留意される。
【0025】
[0029]予熱リング300を支持するために用いられる、
図2のリング支持体234などのリング支持体は、予熱リング300の異なる高さを収容できるように、それに応じて修正され得る、ということが理解される。すなわち、ガス排気側におけるリング支持体の高さは、予熱リング300の第二の半円部306の傾斜した角度を収容できるように、ガス注入側におけるリング支持体の高さより相対的に低くなるように調整される。ガス排気側におけるリング支持体の高さの低下は、
図3に示される間隙高さ「D」に概して一致し得る。リング支持体の輪郭が、予熱リング300の第二の半円部306の傾いた表面310に少なくともおおよそ従うように、リング支持体は修正され得る。
【0026】
[0030]ガス排気側に向かって下方に傾斜した部分(すなわち、第二の半円部306)を有する予熱リング300は、第二の半円部306と基板支持面308の間の間隙高さ「D」の増加により、より多くのパージガスが、ガス注入側よりもガス排気側を通って流れることができるようになるので、基板のエッジの近くのプロセスガスの希釈効果を減少させると考えられる。従って、ガス注入側で上昇して来るパージガスが減少し、それにより、基板のエッジの近くでパージガスによって作り出される乱流及び/又は流れ抵抗層を除去又は最小化する。その結果、本開示の背景技術において論じられたような、堆積中のエッジロールオフ効果が、減少する。
【0027】
[0031]加えて、予熱リング300の第二の半円部306の傾いた表面310は、リング支持体の上面に自動ロックしているので、予熱リング300の第二の半円部306の傾いた角度は、予熱リング300が処理中に回転するのを防止する。従って、予熱リング300は、さもなければ従来の傾いていない予熱リング(すなわち、予熱リングは、予熱リングの直径方向に沿って完全に平坦である)の場合に、処理中での近隣の基板支持体の回転のために、有するであろう、横方向の位置合わせズレ又は移動の問題(及び、それ故に、膜厚の非均一性)を有しない。必要ならば、処理中の予熱リング300の横方向の動きを更に抑制するために、リング支持体の上面は、予熱リング300に形成された対応する高くした部分(突出部又は突起など)を受け入れるように構成された、二つ以上のポケット又は凹部を提供してもよい。
【0028】
[0032]予熱リング300は、石英、炭化ケイ素(SiCy)、炭化ケイ素(SiCy)で被覆されたグラファイト、不透明石英、被覆された石英、又はプロセスガスによる化学的分解に耐久性のある任意の同様な、適当な材料から作られ得る。ここで、yは、既知の炭化ケイ素成分を表す。一実施形態において、予熱リング300は、炭化ケイ素で被覆されたグラファイトを含む。
【0029】
[0033]予熱リング300は、互いに対称に作られた第一の半円部304と第二の半円部306を有すると、本書では論じられているけれども、予熱リング300は、基板のエッジの近くのプロセスガスの希釈効果を操作して、堆積の均一性を改善するために、傾斜部のパーセンテージがより多くてもよいし、より少なくてもよい。ガス排気側に向かって傾いている部分のパーセンテージが多くなるほど、より多くのパージガスが、ガス注入側よりもガス排気側を通って流れることが可能になる。
図4は、別の実施形態による、
図2の予熱リング232を置き替えるために用いられ得る予熱リング400の上面図を示す。予熱リング400は、予熱リング400の様々な点で、例えば、ガス注入側の予熱リング400の遠端「F」から距離「D1」の第一の点402で、下方に傾斜し始める傾斜部を有し得る、ということを
図4は示す。第一の点402は、直径方向に予熱リング400を通過する点である。
【0030】
[0034]300mm基板を処理するために設計された又は組立てられた処理チャンバについて、予熱リング400は、約320mm〜約360mm、例えば約340mm、の外径及び約5mm〜約30mmの半径方向の幅を有し得る。そのような場合、距離「D1」は、約30mm〜約60mmであり得、これは、予熱リング400の約80%〜約90%が、予熱リング400の直径方向にガス排気側に向かって下方に傾けられていることに、ほぼ対応する。同様に、幾つかの実施形態において、予熱リング400は、ガス注入側の予熱リング400の遠端「F」から距離「D2」の第二の点404で下方に傾斜し始める傾斜部を有してもよい。第二の点404は、直径方向に予熱リング400を通過する点である。距離「D2」は、約90mm〜約120mmであり得、これは、予熱リング400の約65%〜約75%が、予熱リング400の直径方向にガス排気側に向かって下方に傾けられていることに、ほぼ対応する。同様に、幾つかの実施形態において、予熱リング400は、ガス注入側の予熱リング400の遠端「F」から距離「D3」の第三の点406で下方に傾斜し始める傾斜部を有してもよい。第三の点406は、直径方向に予熱リング400を通過する点である。距離「D3」は、約190mm〜約220mmであり得、これは、予熱リング400の約35%〜約45%が、予熱リング400の直径方向にガス排気側に向かって下方に傾けられていることに、ほぼ対応する。同様に、幾つかの実施形態において、予熱リング400は、ガス注入側の予熱リング400の遠端「F」から距離「D4」の第四の点408で下方に傾斜し始める傾斜部を有してもよい。第四の点408は、直径方向に予熱リング400を通過する点である。距離「D4」は、約230mm〜約260mmであり得、これは、予熱リング400の約25%〜約35%が、予熱リング400の直径方向にガス排気側に向かって下方に傾けられていることに、ほぼ対応する。これらの実施形態のいずれにおいても、傾斜部は、基板支持面を定める水平面に対して、約1°〜約15°、例えば、約3°〜約6°の予め決められた角度「θ」であってよい。
【0031】
[0035]
図5は、別の実施形態による、
図2の予熱リング232を置き替えるために用いられ得る予熱リング500の上面図を示す。予熱リング500は、第二の半円部306が除去されていることを除いて、
図3に示されるような予熱リング300と同様である。言い換えると、予熱リング500は、予熱リング500の上部から見ると、単一の半円部品である。予熱リング500は、約0.1mm〜約0.8mmの範囲であり得、例えば約0.3mmであり得る、既定の間隙「G」だけ基板支持体502から離れるように配置される。間隙が、基板支持体502の回転を可能にし、プロセスガスに対する希釈効果を除去又は最小化しながら、パージガスが予熱リング500と基板支持体502との間を漏れるのを可能にする限り、予熱リング500は、より大きな間隙「G」を有してもよいし、より小さな間隙「G」を有してもよい。
【0032】
[0036]予熱リング500は、
図2の基板支持体214などの、基板支持体502の周囲を部分的に囲むように大きさが決められる。一つの実施形態において、プロセスガスの加熱は、ガス注入側で主に必要とされるので、予熱リング500は、ガス注入側の基板支持体502だけを囲んでもよい。
図5に示された一つの実施形態において、単一の半円部品で形成された予熱リング500は、基板支持体502の周囲のうちの、ガス注入側の約50%を囲むように構成される。予熱リング500が、ガス注入側の基板支持体502の約半分の周囲を主に囲む結果として、より多くのパージガスが、ガス注入側よりもガス排気側を通って流れるであろう。従って、ガス注入側で上昇して来るパージガスが減少し、それにより、基板のエッジの近くでパージガスによって作り出される乱流及び/又は流れ抵抗層を除去又は最小化する。その結果、本開示の背景技術において論じられたような、堆積中のエッジロールオフ効果が、減少する。
【0033】
[0037]幾つかの実施形態において、単一の半円部品で形成された予熱リング500は、ガス注入側で基板支持体502の周囲のより多くのパーセンテージを囲むように構成されてもよいし、より小さなパーセンテージを囲むように構成されてもよい。例えば、予熱リング500は、基板支持体502の周囲の約15%〜約95%、例えば、基板支持体502の周囲の約20%〜約30%、約30%〜約40%、約40%〜約50%、約50%〜約60%、約60%〜約70%、約70%〜約80%、約80%〜約90%を囲み、ガス注入側が、予熱リングによって実質的に覆われ、ガス注入側のプロセスガスに対する希釈効果を除去又は最小化し得る。
【0034】
[0038]予熱リング500は、石英、炭化ケイ素(SiCy)、炭化ケイ素(SiCy)で被覆されたグラファイト、不透明石英、被覆された石英、又はプロセスガスによる化学的分解に耐久性のある任意の同様な、適当な材料から作られ得る。ここで、yは、既知の炭化ケイ素成分を表す。一実施形態において、予熱リング500は、炭化ケイ素で被覆されたグラファイトを含む。
【0035】
[0039]処理中での近隣における基板支持体の回転による、横方向の位置合わせズレ又は移動の問題(及び、それ故に、膜厚の非均一性)を防止するために、予熱リング500の底面に、二つ以上の高くした部分(突出部又は突起など)が設けられてもよく、その結果、予熱リング500は、予熱リングを支持するために用いられる
図2のリング支持体234などのリング支持体の上に、リング支持体の上面に形成された(高くした部分を受け入れるために用いられる)対応するポケット又は凹部によって、確実に保持されることができる。代替的に、ねじ、ボルト、又はクリップなどの締め付け手段が、予熱リングを固定するために用いられてもよい。
【0036】
[0040]要約すると、予熱リングを有する処理装置が開示される。予熱リングは、ガス排気側に向かって下方に傾く部分を有し、パージガスが、ガス注入側よりもガス排気側を通ってより多く流れるのを促進し得る。本書に開示されたような傾斜した予熱リングは、基板のエッジの近くでプロセスガスの希釈を減少させることができ、これは、次に、膜厚の均一性を改善する。傾斜した予熱リングはまた、処理チャンバの下方処理領域から流れるパージガスとともに来る基板上の粒子汚染を減少させるのに役立つ。更に、傾斜した予熱リングは、その傾斜した角度の特徴で予熱リングがリング支持体に自動ロックすることにより、予熱リングが処理中に回転する(及び従って横方向に移動する)問題を除去する。本書で開示した実施形態は、底部チャンバがパージされ、パージガスが処理チャンバに流れている全ての減圧クロスフローリアクタについて流れと堆積を改善するために用いることができる。
【0037】
[0041]上記は本開示の実施形態に向けられているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の及び更なる実施形態を考え出すこともでき、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。