【実施例】
【0026】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものでない。
【0027】
(実施例1−1、比較例1−1〜1−7)起泡剤の種類の検討
(1)試験品の調製
下記表1に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、ぽん酢の試験品を調製した。
【0028】
(2)評価試験
(1)で調製した試験品を市販のノンエアゾール型泡吐出容器(ポンプフォーマー)に入れ、容器から押し出して泡状ぽん酢を作成し、起泡性を評価した。また、泡状ぽん酢を皿及び市販のハム上に載せ、15分間放置し、泡保持性と油に対する泡保持性を評価した。また、風味(香りの特徴)の評価は、調製直後の試験品について習熟した官能検査員によって行った。各試験項目の評価基準は以下のとおりである。
【0029】
<起泡性>5段階評価
5:きめ細かい気泡が形成され角が立つ。
4:きめ細かい気泡が形成され角はないが立体的な泡である。
3:泡は形成されるが、立体的ではない。
2:泡が形成されるがすぐに消えてしまう。
1:泡が形成されず液状である。
【0030】
<泡保持性>4段階評価
5:泡状ぽん酢を皿にのせた後、15分経過しても、きめ細かい気泡が形成され角が立っている。
4:泡状ぽん酢を皿にのせた後、15分経過しても、きめ細かい気泡が形成され角は立たないが立体的な泡が保持されている。
3:泡状ぽん酢を皿にのせた後、15分経過しても、立体的ではないが泡が保持されている:
2:泡状ぽん酢を皿にのせた後、15分経過後、泡が保持されず、液状となる。
【0031】
<油に対する泡保持性>4段階評価
5:泡状ぽん酢を市販のハムにのせた後、15分経過しても、きめ細かい気泡が形成され角が立っている。
4:泡状ぽん酢を市販のハムにのせた後、15分経過しても、きめ細かい気泡が形成され角は立たないが立体的な泡が保持されている。
3:泡状ぽん酢を市販のハムにのせた後、15分経過しても、立体的ではないが泡が保持されている。
2:泡状ぽん酢を市販のハムにのせた後、15分経過後、泡が保持されず、液状である。
【0032】
<風味>
○:良好な風味を有する。
△:苦味やえぐ味が感じられる。
【0033】
<総合評価>
◎:起泡性、泡保持性の平均が4.5以上、泡保持性(油)が4、香味が○
○:起泡性、泡保持性の平均が4以上、泡保持性(油)が4または3、香味が○
△:起泡性、泡保持性の平均が4以上、泡保持性(油)が3または香味が△
×:起泡性、泡保持性の平均が4未満、泡保持性(油)が2
【0034】
(3)結果
以上の評価結果を表1に合わせて示す。表中、泡保持性(油)は、油に対する泡保持性を意味する。また、粘度は、B型粘度計を用いて、20℃、回転数30rpmで20秒間測定した値である(以降の実施例および比較例も同じ)。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示すとおり、大豆多糖類とゼラチンを配合した試験品は、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味のいずれの評価も良好であった(実施例1−1)。これに対し、大豆多糖類とゼラチンを配合しない試験品(比較例1−1)、大豆多糖類またはゼラチンのいずれかを配合しない試験品(比較例1−2、比較例1−3)は起泡性が十分でなかったり、起泡しても泡保持性、特に油に対する泡保持性に劣っていた。また、ゼラチンとの組み合わせについて、大豆多糖類以外の他の起泡性成分(コラーゲンペプチド、キサンタンガム、キラヤサポニン、グリセリン)では、起泡性が十分でなかったり、起泡しても泡保持性、特に油に対する泡保持性に劣っていたり、苦みやえぐみが感じられた(比較例1−4〜1−7)。
【0037】
(実施例2−1〜2−5、比較例2−1〜2−2)大豆多糖類の配合量の検討
下記表2に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、ぽん酢の試験品を調製した。
得られた試験品について、前述と同じ試験方法および評価基準にて、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味を評価した。結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2に示すとおり、大豆多糖類の配合量が、全量に対して0.1〜5.0(w/w%)の範囲で、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味のいずれの評価も良好であった(実施例2−1〜2−5)。
【0040】
(実施例3−1〜3−5)他の泡保持剤の検討
下記表3に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、ぽん酢の試験品を調製した。
得られた試験品について、前述と同じ試験方法および評価基準にて、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味を評価した。結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】
表3に示すとおり、大豆多糖類との組み合わせについて、ゼラチンに代えて他の泡保持成分(アラビアガム、ガティガム、コラーゲンペプチド、キサンタンガム)を使用しても、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味のいずれの評価も良好であった(実施例3−1〜3−5)。
【0043】
(実施例4−1〜4−5、比較例4−1〜4−2)大豆多糖類とゼラチンの配合比の検討
下記表4に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、ぽん酢の試験品を調製した。
得られた試験品について、前述と同じ試験方法および評価基準にて、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味を評価した。結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】
表4に示すとおり、大豆多糖類とゼラチンとの含有量の質量比[(A)/(B)]は0.08〜16.0の範囲では、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味のいずれの評価も良好であった(実施例4−1〜4−5)。
【0046】
(実施例5−1〜5−7)保存性向上剤の検討
下記表5に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、ぽん酢の試験品を調製した。
得られた試験品について、前述と同じ試験方法および評価基準にて、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味を評価した。また、保存性は、試験品を60℃で8日間静置した後、同様にして泡保持性を皿に載せて評価した。結果を表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】
表5に示すとおり、大豆多糖類とゼラチンに加えて、小麦グルテン分解物(大日本明治製糖株式会社製)、トウモロコシ由来タンパク質分解物(大日本明治製糖株式会社製)、または豚肉由来タンパク質分解物(大日本明治製糖株式会社製)を配合すると、起泡性および泡保持性は非常に良好であるのに加え、保存性も認められた(実施例5−1〜5−7)。
【0049】
(実施例6)有機酸含有飲料の製造
下記表6に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、有機酸含有飲料の試験品を調製した。
得られた試験品について、前述と同じ試験方法および評価基準にて、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、保存性、風味を評価した。結果を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】
表6に示すとおり、大豆多糖類とゼラチンを配合すると起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味のいずれの評価も良好であった(実施例6−2〜6−3)。また、大豆多糖類とゼラチンに加えて小麦グルテン分解物(大日本明治製糖株式会社製)も配合すると、油に対する泡保持性や保存性も向上した(実施例6−1)。これに対し、大豆多糖類とゼラチンを配合しない試験品、大豆多糖類またはゼラチンのいずれかを配合しない試験品は起泡性が十分でなかったり、起泡しても泡保持性、特に油に対する泡保持性に劣っていた(比較例6−1〜6−3)。
【0052】
(実施例7)つゆの製造
下記表7に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、つゆの試験品を調製した。
得られた試験品について、前述と同じ試験方法および評価基準にて、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、保存性、風味を評価した。結果を表7に示す。
【0053】
【表7】
【0054】
表7に示すとおり、大豆多糖類とゼラチンを配合した試験品は、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味のいずれの評価も良好であった(実施例7−2〜7−3)。大豆多糖類とゼラチンに加えて小麦グルテン分解物(大日本明治製糖株式会社製)も配合すると、保存性も向上した(実施例7−1)。これに対し、食酢を配合しない試験品(比較例7−1)、大豆多糖類とゼラチンを配合しない試験品(比較例7−4)、大豆多糖類またはゼラチンのいずれかを配合しない試験品(比較例7−2、7−3)は起泡性が十分でなかったり、また起泡しても泡保持性、特に油に対する泡保持性に劣っていた。
【0055】
(実施例8)調味酢
下記表8に示す配合量(単位はすべてg)で各原料を水に混合溶解し、調味酢の試験品を調製した。
得られた試験品について、前述と同じ試験方法および評価基準にて、起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、保存性、風味を評価した。結果を表8に示す。
【0056】
【表8】
【0057】
表8に示すとおり、大豆多糖類とゼラチンを配合すると起泡性、泡保持性、油に対する泡保持性、風味のいずれの評価も良好であり(実施例8−2)、大豆多糖類とゼラチンに加えて小麦グルテン分解物(大日本明治製糖株式会社製)も配合すると、保存性も向上した(実施例8−1)。これに対し、大豆多糖類とゼラチンを配合しない試験品、大豆多糖類またはゼラチンのいずれかを配合しない試験品は起泡性が十分でなかったり、また起泡しても泡保持性、特に油に対する泡保持性に劣っていた(比較例8−1〜8−3)。