(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、以下の説明において、前後左右上下方向は、
図1(a)(b)に示す包装箱1の状態を基準としている。
本実施形態の包装箱1は、
図1(a)(b)に示すように、底板10、前壁20、後壁30、対向する左側壁40Aと右側壁40B、および頂板50を備えている。底板10の後縁部(後端)に後壁30が連設され、後壁30の上縁部(上端)に頂板50が連設されている。また、頂板50の前縁部(前端)に前壁20が連設されている。左側壁40Aは、底板10の左縁部に連設された左下側壁10Aと、頂板50の左縁部に連設された左上側壁50Aとからなる。また、右側壁40Bは、底板10の右縁部に連設された右下側壁10Bと、頂板50の右縁部に連設された右上側壁50Bとからなる。
包装箱1には、これらの要素によって囲まれる内部空間が形成されている。この内部空間は、収容物Cである包装容器に入った即席麺(
図5(b)参照)や袋入り菓子等の食品を収容するための空間である。
なお、収容物Cは、上面C1(
図6(a)参照)を頂板50側に向けて包装箱1内に収容され、収容物Cの上面C1が開封される側となる。
【0015】
包装箱1は、
図2に示すように、一枚のシートを切り抜いたブランクシートSを用いて形成されている。
ブランクシートSは、二枚のライナー原紙の間に波状に加工された中芯を貼合した段ボールシートからなる。ブランクシートSの表面には、収容物の広告に関する表示(印刷、不図示)が施されている。ブランクシートSを形成する場合には、表面側となる表側ライナーを任意の方法で印刷しておき、中芯、裏側ライナーの順で貼合して形成してもよく、また、貼合して段ボールシートを形成した後に、表面側に印刷等を施してもよい。なお、表側ライナーおよび裏側ライナーの両方に印刷等を施してもよい。また、段ボールシートを形成した後に、両面に印刷等を施してもよい。なお、ブランクシートSは、頂板50の表面のみに印刷等を施してもよい。
【0016】
図2に示すブランクシートSは裏面側が見えるように配置されている。そして、ブランクシートSを裏面側が見えるように配置した状態から、各折線(切込線が備わる折線を含む)において90度の角度で谷折りすることで、
図1(a)(b)に示す包装箱1が形成される。そして、包装箱1の表面には広告が表示される。
【0017】
ブランクシートSの各折線(罫線)は、ブランクシートSの裏面を押し込んで形成された線状の溝(押し罫線)である。なお、ブランクシートSをより折り曲げ易くするために、必要に応じて、押し罫線に沿って、例えば点線状の切り込みを形成することも可能である。
【0018】
底板10は、
図2に示すように、長方形に形成されており、前後方向の長さよりも左右方向の長さが大きく形成されている。左下側壁10Aは、底板10の左縁部に折線L11を介して連設されている。また、右下側壁10Bは、底板10の右縁部に折線L12を介して連設されている。
底板10の前縁部には折線L13を介してのり代13が連設されている。折線L13には、点線状の切り込みL13a(
図4参照)が形成されている。のり代13は、
図1(a)に示すように、前壁20の前面に貼合される。のり代13の上縁部13eは、前壁20に備わる下側前カット線L8に沿って(下側前カット線L8に重なるように)配置される。
【0019】
図2に示すように、後壁30は、底板10の後縁部に折線L1を介して連設されている。折線L1には、点線状の切り込みL1a(
図4参照)が形成されている。後壁30の左右縁部には、折線L1に直交する折線L2,L3が形成されている。そして、後壁30の左縁部には、折線L2を介して左後フラップ31が連設され、右縁部には、折線L3を介して右後フラップ32が連設されている。左後フラップ31は、左下側壁10Aおよび左上側壁50Aの裏面に重なる部位である。右後フラップ32は、右下側壁10Bおよび右上側壁50Bの裏面に重なる部位である。
【0020】
後壁30の上縁部には、折線L1と平行な折線L4が形成され、折線L4に沿って上側後カット線L41が形成されている。上側後カット線L41は、切込線からなり、この位置で切り離すことができる。なお、本実施形態では、折線L4に沿う点線状の切込線、および折線L4から傾斜する傾斜状の切込線を備えている。上側後カット線L41は、
図1(b)に示すように、後壁30と頂板50との境の稜線に沿って後壁30の左端から右端まで延びている。
また、後壁30には、
図2に示すように、左右方向(長手方向)に延びる下側後カット線L42が形成されている。下側後カット線L42は、切込線からなり、この位置で切り離すことができる。なお、この切込線は、ミシン線と呼ばれる不連続な切込線や、ジッパーと呼ばれる鉤状をした不連続な切込線等により構成することができる(以下同じ)。
【0021】
下側後カット線L42は、
図2に示すように、左右方向に延在する横線部L42aと、横線部L42aの両端部に連続する凹状部L42b,L42bと、凹状部L42b,L42bに連続する段差横線部L42c,L42cと、を備えている。
【0022】
横線部L42aは、折線L4(上側後カット線L41)と平行に形成されている。横線部L42aは、後記するように、店頭陳列時に包装箱1を頂板50を切り離したトレーとして使用する際に切断される(
図10参照)。なお、横線部L42aは、後記するように、店頭陳列時に頂板50を立ち上げて使用する場合には、切断されずに後壁30を繋いでいる(
図9参照)。
【0023】
凹状部L42bは、
図3に示すように、傾斜部L42b1と、傾斜部L42b1に連続する底部L42b2と、底部L42b2に連続する立上部L42b3と、を備えている。傾斜部L42b1は、後壁30の右縁部(左側では左縁部)に近づくにつれて、折線L1側(後壁30の下部側)に近づく方向に傾斜している。段差横線部L42c,L42cは、後壁30において横線部L42aよりも高い位置に形成されている。段差横線部L42c,L42cは、
図1(b)に示すように、右上側壁50Bと右下側壁10Bとの突き合わせ部位(左上側壁50Aと左下側壁10Aとの突き合わせ部位)に通じている。
なお、右後フラップ32(左後フラップ31)には、
図3に示すように、段差横線部L42cに連続する切込部L42c1が形成されている。
【0024】
凹状部L42bは、店頭陳列時に後記するようにして切断されることで、切欠き部47(
図5(a)参照)を形成する。切欠き部47が形成されることで、
図8(a)に示すように、切欠き部47,47に隣接する後壁30の角部付近には、切欠き部47,47の切り込みによって相対的に上方へ向けて突出する突出壁部48,48が形成される。突出壁部48,48には、後記するようにして前頂板502の前端部502aの左右の角部付近が支えられる。
【0025】
後壁30の左右部分には、上側後カット線L41および下側後カット線L42に直交する縦カット線L43,L43が形成されている。縦カット線L43,L43は、点線状の切込線からなり、この位置で切り離すことができる。
【0026】
縦カット線L43は、
図3に示すように、上側縦線部L43aと、上側縦線部L43aに連続する半円状部L43bと、半円状部L43bに連続する下側縦線部L43cと、を備えている。縦カット線L43は、包装箱1を開梱する際(店頭陳列を行う際)に使用されるツマミ部45(
図5(a)参照)の一側を形成する。
下側縦線部L43cの下端は、下側後カット線L42の横線部L42aの端部(凹状部L42bの傾斜部L42b1の上端部)に接続されている。半円状部L43bの内側には、折線L46aが形成されている。折線L46aは上側縦線部L43aおよび下側縦線部L43cと一直線上に形成されている。
また、縦カット線L43の側方には、折線L44が形成されている。折線L44は、凹状部L42bの立上部L42b3と一直線上に形成されている。折線L44は、縦カット線L43と平行である。
【0027】
ツマミ部45は、包装箱1を開梱する際に手の指で把持される部分である。ツマミ部45は、上側後カット線L41と、縦カット線L43と、凹状部L42bと、折線L44とによって囲われる範囲で構成される。
本実施形態では、上側後カット線L41および下側後カット線L42が特許請求項の範囲における「後カット線」に相当する。
なお、
図2に示すように、左側のツマミ部45の縦カット線L43を境にして、これよりも左側では、切込線が逆向き(傾斜状の切込線が逆向き)になっている。これによって縦カット線L43よりも左側では、ツマミ部45をつまんで左方向に開封操作し易くなっている。
【0028】
頂板50は、後壁30側にある後頂板501と、前壁20側にある前頂板502とから構成されている。後頂板501と前頂板502とは、前頂
板502の後縁部の第一折線L51,L51および半円形状の円弧状切込線51aによって区画されている。第一折線L51,L51は、本実施形態では、折線L4に平行であり、頂板50の左右方向に一直線上に配置されている。また、後頂板501には、第一折線L51,L51の近傍位置に第一折線L51,L51に各々平行な第二折線L52,L52が形成されている。第二折線L52,L52は、円弧状切込線51aの円弧部分にその一端が接するように、かつ、左右方向に一直線上に配置されている。なお、第二折線L52,L52は、必ずしも第一折線に平行に設ける必要はなく、第一折線L51,L51に対して角度をもって設けてもよい。
【0029】
円弧状切込線51aの左端は、左側の第一折線L51に接続されており、円弧状切込線51aの右端は、右側の第一折線L51に接続されている。前頂板502には、円弧状切込線51aで切り離される半円形状の広告部51が備わり、前頂板502は、後記する店頭陳列時に広告機能を兼ね備えたものとなっている。頂板50は、第二折線L52,L52および円弧状切込線51aを境にして、後頂板501と前頂板502とに折り曲げ可能(二つ折り可能)である(
図6(a)(b),
図8(b)参照)。
広告部51は、頂板50を二つ折りにした際に、前頂板502と一体となって起立可能である(
図6(b),
図8(b)参照)。
【0030】
頂板50の左縁部には、折線L4に直交する折線L6が形成され、折線L6に沿って左カット線L6aが形成されている。左カット線L6aは、切込線からなり、この位置で切り離すことができる。左上側壁50Aは、この左カット線L6aを介して頂板50の左縁部に連設されている。左カット線L6aは、
図1(a)に示すように、左側壁40Aと頂板50との境の稜線に沿って、左側壁40Aの前端から後端まで延びている。なお、左カット線L6aの切込線の向き(傾斜状の切込線の向き、以下同じ)は、後壁30の左側のツマミ部45の左側から連続する切込線の向きと同じである。
また、頂板50の右縁部には、
図2に示すように、折線L4に直交する折線L7が形成され、折線L7に沿って右カット線L7aが形成されている。右上側壁50Bは、この右カット線L7aを介して頂板50の右縁部に連設されている。右カット線L7aは、
図1(b)に示すように、右側壁40Bと頂板50との境の稜線に沿って、右側壁40Bの前端から後端まで延びている。右カット線L7aの切込線の向きは、後壁30の上側後カット線L41から連続する切込線の向きと同じである。
【0031】
前壁20は、頂板50の前縁部に折線L5を介して連設されている。頂板50の前縁部には、折線L5に沿って上側前カット線L5aが形成されている。上側前カット線L5aは、切込線からなり、この位置で切り離すことができる。上側前カット線L5aは、
図1(a)に示すように、前壁20と頂板50との境の稜線に沿って、前壁20の左端から右端まで延びている。上側前カット線L5aの切込線の向きは、右上側壁50Bの右カット線L7aから連続する切込線の向きと同じである。
【0032】
前壁20の左縁部には、
図2に示すように、折線L9を介して左前フラップ21が連設され、前壁20の右縁部には、折線L10を介して右前フラップ22が連設されている。左前フラップ21は、左下側壁10Aおよび左上側壁50Aの裏面に重なる部位である。右前フラップ22は、右下側壁10Bおよび右上側壁50Bの裏面に重なる部位である。左前フラップ21および右前フラップ22には、切込部L8b1,L8b1が形成されている。また、左前フラップ21の折線L9の略上半分側には、点線状(ミシン目状)の切込部L9aが形成されている。
【0033】
前壁20には、
図2に示すように、左右方向(長手方向)に延びる下側前カット線L8が形成されている。下側前カット線L8は、切込線からなり、この位置で切り離すことができる。下側前カット線L8の切込線の向きは、上側前カット線L5aの切込線の向きと同じである。
下側前カット線L8は、横線部L8aと、横線部L8aの両端部に連続する傾斜部L8a1,L8a1と、傾斜部L8a1,L8a1に連続する段差横線部L8b,L8bと、を備えている。
【0034】
横線部L8aおよび段差横線部L8b,L8bは、折線L5(上側前カット線L5a)と平行に形成されている。傾斜部L8a1は、横線部L8aと段差横線部L8bとを繋いでいる。このような下側前カット線L8は、後記する店頭陳列時に頂板50を分離する際に、上側前カット線L5aとともに切り離される。
本実施形態では、上側前カット線L5aおよび下側前カット線L8が特許請求項の範囲における「前カット線」に相当する。
【0035】
なお、左上側壁50Aと左下側壁10Aとは、包装箱1の左側部において上下方向の中間位置で突き合わされている(
図1(a)参照)。また、右上側壁50Bと右下側壁10Bとは、包装箱1の右側部において上下方向の中間位置で突き合わされている(
図1(b)参照)。
【0036】
次に、
図2に示すブランクシートSから
図1(a)(b)に示す包装箱1を組み立てる手順の一例について説明する。
まず、
図4に示すように、後壁30を、折線L1で底板10に対し90度折り曲げ、頂板50および前壁20を一体的に立ち上げる。
【0037】
その後、後壁30の左後フラップ31および右後フラップ32を、折線L2,L3で後壁30に対し90度折り曲げる。
【0038】
続いて、頂板50を折線L4で後壁30に対し90度折り曲げるとともに、前壁20を折線L5で頂板50に対し90度折り曲げる。
【0039】
その後、前壁20の左前フラップ21および右前フラップ22を、折線L9,L10で前壁20に対し90度折り曲げる。
【0040】
続いて、左下側壁10Aを、折線L11で底板10に対して90度折り曲げ、左後フラップ31および左前フラップ21の表面に重ねて図示しない接着剤で接着する。同様に、左上側壁50Aを折線L6で頂板50に対して90度折り曲げ、左後フラップ31および左前フラップ21の表面に重ねて図示しない接着剤で接着する。
また、右下側壁10Bを、折線L12で底板10に対して90度折り曲げ、右後フラップ32および右前フラップ22の表面に重ねて図示しない接着剤で接着する。同様に、右上側壁50Bを、折線L7で頂板50に対して90度折り曲げ、右後フラップ32および右前フラップ22の表面に重ねて図示しない接着剤で接着する。
【0041】
その後、のり代13を、折線L13で底板10に対し90度折り曲げ、前壁20の前面に接着剤で接着する。
このようにして、
図1(a)(b)に示すように、包装箱1の組み立てが完了する。
なお、収容物Cは、包装箱1を組み立てる途中のいずれかの状態で、開口されている口部から包装箱1内に収容することができる。
また、ラップラウンド方式で、底板10に収容物Cを置いた後に前記のように組み立てることで収容物Cを包むようにして包装箱1を組み立てることもできる。
【0042】
次に、包装箱1を店頭陳列用の箱(トレイ)として使用する際の手順について説明する。
まず、頂板50を開封する操作を行う。はじめに、後壁30の右側にある縦カット線L43の半円状部L43bを指(不図示)で押して半円状部L43bから指を挿入し、ツマミ部45を摘むようにして後方へ引っ張る。そうすると、ツマミ部45の周囲の縦カット線L43、上側後カット線L41および凹状部L42bが切断され、折線L44を介してツマミ部45が後方へ引き起こされる。
【0043】
その後、ツマミ部45を摘んで引っ張り、
図5(a)に示すように、ツマミ部45の右側の上側後カット線L41および段差横線部L42cを切断して、後壁30の
右上側部分を後壁30および頂板50から切り離す。その後、右側部において右カット線L7aを切断し、右上側壁50Bを頂板50から切り離す。このとき、右上側壁50Bは、包装箱1の右側部において上下方向の中間位置で右下側壁10Bに突き合わされているだけであるので、切り離しが容易である。
【0044】
その後、ツマミ部45をさらに引っ張り、前壁20側において上側前カット線L5aおよび下側前カット線L8に沿って前壁20の上部を前壁20および頂板50から切り離す。なお、前壁20の左前フラップ21には切込部L9aが形成されているので、この切込部L9a(左前角部)において、ツマミ部45から連続して切り離してきた切断片(後壁30の左上部側の切断片、右上側壁50Bの切断片および前壁20の上部側の切断片)を、一旦、切ることができる。
【0045】
その後、前記と同様にして、後壁30の左側にある縦カット線L43の半円状部L43bから指を挿入して、ツマミ部45を引っ張り、後壁30の左上部側を後壁30および頂板50から切り離す。その後、左側部において左カット線L6aを切断し、左上側壁50Aを頂板50から切り離す。この場合にも、左上側壁50Aは、包装箱1の左側部において上下方向の中間位置で左下側壁10Aに突き合わされているだけであるので、切り離しが容易である。
【0046】
このように切り離すことで、
図5(b)に示すように、後壁30を残して(後壁30は不図示)頂板50が開封される。
【0047】
その後、
図6(a)に示すように、頂板50を持ち上げ、頂板50の後頂板501の裏面に前頂板502が重なるように頂板50を二つ折りにする。
そして、
図6(b)に示すように、前頂板502の前端部502a(
図6(a)参照)を後頂板501の裏面と底板10に並べられた収容物Cとの間に差し込む。前頂板502の前端部502aは、
図9に示すように、ツマミ部45を切り離すことによって形成された切欠き部47に係止する。これによって、広告部51が起立された状態に保持される。
【0048】
次に、頂板50を二つ折りにする際の作用を詳細に説明する。なお、
図7〜
図9では収容物Cの表示を省略している。
まず、
図7(a)に示すように、頂板50の前側を幾分持ち上げるようにする。そして、
図7(b)に示すように、頂板50の裏面側から円弧状切込線51aの頂部側を、例えば指で軽く叩き、広告部51の頂部側を後頂板501から切り離す。
【0049】
続いて、切り離された広告部51の頂部を指で摘み、広告部51を上方へ引き上げる。そうすると、引き上げる操作に伴って、円弧状切込線51aの端部に向けて広告部51が後頂板501から徐々に切り離される。その過程で、切り離される位置が第二折線L52,L52に差し掛かると、
図7(b)に示すように、第二折線L52,L52に沿って前頂板502が後頂板501に対して折れ曲がる。つまり、広告部51を上方へ引き上げる際に前頂板502に作用する力が第二折線L52,L52の折れ曲がりによって好適に逃される。これによって、前頂板502の湾曲が防止され、前頂板502の左右側縁部502bも直線状に維持される。
【0050】
そして、さらに広告部51を上方へ引き上げると、
図7(c)に示すように、広告部51の切り離し位置が円弧状切込線51aの端部に至り、前記した第二折線L52,L52による折れ曲がりに加えて、第一折線L51,L51で前頂板502が折れ曲がる状態となる。つまり、広告部51を上方へ引き上げる際に前頂板502に作用する力が第一折線L51,L51および第二折線L52,L52の前後二つの折れ曲がりによって好適に逃されることとなる。これによって、前頂板502の湾曲がより一層防止されるようになり、前頂板502の左右側縁部502bも直線状に維持される。
【0051】
その後、
図8(a)に示すように、第一折線L51,L51に沿って頂板50が二つ折りにされる状態にする。本実施形態では、このように第一折線L51,L51で二つ折りにされた状態で、前頂板502の前端部502aが、収容物Cの上面C1(
図6(b)参照)よりも上方に配置される位置関係となるように設定されている。つまり、二つ折りにする際の操作を収容物Cに干渉することなく(当接することなく)、収容物Cの上方で行うことができる。したがって、二つ折りにする際の操作で、収容物Cに当接して収容物Cが倒れてしまったり、包装が傷んでしまったりするのを未然に防止することができる。
【0052】
その後、
図8(a)に矢印で示すように、後頂板501に対して前頂板502を下方にスライド移動させ、
図8(b)に示すように、前頂板502の前端部502aを後壁30の切欠き部47,47に係止する。この場合、前後二つの第一折線L51,L51および第二折線L52,L52によって、前頂板502に作用する力が好適に逃され、その結果、前頂板502の湾曲が防止される。つまり、前後二つの第一折線L51,L51および第二折線L52,L52によって、二つ折り状態が柔軟に保持されつつ、前頂板502が、略垂直方向にスライド移動される。これによって、後頂板501と収容物Cとの間の狭いスペースに前頂板502を好適に挿入することができる。また、挿入の際に前頂板502にシワや折れ目が入るのを好適に防止することができる。
【0053】
以上のようにすることで、包装箱1を、広告部51を起立させた陳列用のトレイとして使用することができる。
【0054】
以上説明した本実施形態の包装箱1によれば、後頂板501および前頂板502を起立させる店頭陳列時に、後頂板501と前頂板502とを第一折線L51,L51で折り曲げながら、第二折線L52,L52を用いて好適に二つ折りにすることができる。つまり、第一折線L51,L51および第二折線L52,L52の二つの折線によって起立の際に生じる前頂板502の歪み(湾曲)を好適に吸収することができる。
したがって、店頭陳列時に頂板50にシワや折れ目が入り難く、見栄えよく収容物Cを展示することができる包装箱1が得られる。
【0055】
また、頂板50は、第二折線L52,L52で二つ折りにされて、後壁30の下側後カット線L42を前頂板502で覆う状態に、後壁30の裏面の広い範囲を覆うので、見栄え良く収容物Cを展示することができる。
【0056】
また、後壁30に、前頂板502を係止するための切欠き部47,47が設けられているので、前頂板502の起立状態を好適に維持することができる。すなわち、前頂板502を切欠き部47,47に挿入すると同時に、前端部502aの左右の角部付近が、切欠き部47,47に隣接する突出壁部48,48に支えられるため、ブランクシートSの剛性によらず、起立状態で固定することができる。
【0057】
また、のり代13は、前壁20の前面側から前壁20に貼り付けられているので、前壁20の補強材として機能する。これによって、切り離し時に作用する力によって、前壁20が破断するのを好適に防止することができる。
また、のり代13の上縁部13eは、前壁20の下側前カット線L8に沿って(下側前カット線L8に重なるように)配置されるので、前壁20の上部を切り離す際の定規として機能する。したがって、切り離し操作が行い易い。
【0058】
また、切欠き部47,47は、後カット線に沿って頂板50を開封した際に、後カット線の下側後カット線L42に備わる凹状部L42b,L42bによって形成されるので、店頭陳列時の手間がかからない。
【0059】
また、本実施形態のブランクシートSによれば、店頭陳列時に、後頂板501と前頂板502とを第一折線L51,L51で折り曲げながら、第二折線L52,L52を用いて好適に二つ折りにすることができる。つまり、第一折線L51,L51および第二折線L52,L52の二つの折線によって起立の際に生じる前頂板502の歪み(湾曲)を好適に吸収することができる。
したがって、店頭陳列時に頂板50にシワや折れ目が入り難く、見栄えよく収容物Cを展示することができる包装箱1が得られる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
前記実施形態の包装箱1は、
図10に示すように、後壁30の下側後カット線L42に沿って上部側を切り離すことによって、広告部51のないトレーとして展示使用することができる。
【0061】
また、前記実施形態のブランクシートSは、底板10の前縁部にのり代13を連設し、頂板50の前縁部に前壁20を連設したが、これに限られることはなく、底板10の前縁部に前壁20を連設し、頂板50の前縁部にのり代13を連設してもよい。また、前記実施形態のブランクシートSは、底板10の前縁部にのり代13を連設したが、これに限られることはなく、前壁20の前縁部にのり代13を連設してもよい。
【0062】
また、前記実施形態において、広告部51は、半円形状のものを示したが、これに限られることはなく、頂板50の折り曲げ時に起立して表示可能なものであれば種々の形状を採用し得る。
【0063】
前記実施形態では、底板10および頂板50が長方形状の包装箱1を例に説明したが、これに限られることはなく、底板10および頂板50を正方形状や多角形状(例えば、六角形や八角形状等)として包装箱1を構成してもよい。