特許第6397270号(P6397270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397270
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20180913BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20180913BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20180913BHJP
【FI】
   H01L21/78 F
   H01L21/78 N
   B24B27/06 M
   B24B41/06 Z
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-171905(P2014-171905)
(22)【出願日】2014年8月26日
(65)【公開番号】特開2016-46485(P2016-46485A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】花島 聡
(72)【発明者】
【氏名】竹川 真弘
【審査官】 高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−076773(JP,A)
【文献】 特開2013−131709(JP,A)
【文献】 特開2009−043771(JP,A)
【文献】 特開2013−004666(JP,A)
【文献】 特開2002−231658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/304
H01L 21/78
B24B 3/00 − 3/60
B24B 21/00 −51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハがポリエチレンテレフタレート(PET)からなるダイシングテープの表面に貼着されるとともにダイシングテープの外周が環状のフレームに装着されたウエーハユニットを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハユニットのウエーハを切削する切削手段と、該切削手段によって切削加工されたウエーハを洗浄する洗浄手段と、を具備する切削装置において、
該保持手段は、ウエーハユニットのウエーハが貼着された領域のダイシングテープを吸引保持する保持面を備え、該保持によって外周に沿ってダイシングテープに折癖を形成する第1の保持テーブルと、該第1の保持テーブルの外周側方に配設され該第1の保持テーブルの保持面より低い位置でウエーハユニットの環状のフレームを保持する第1のフレーム保持手段とから構成され、
該洗浄手段は、ウエーハユニットのウエーハが貼着された領域のダイシングテープを吸引保持する保持面を備えた第2の保持テーブルと、該第2の保持テーブルの外周側方に配設され該第2の保持テーブルの保持面より低い位置でウエーハユニットの環状のフレームを保持する第2のフレーム保持手段と、該第2の保持テーブルに保持されたウエーハに洗浄水を供給する洗浄水供給手段とから構成されており、
該第2の保持テーブルの外径は、該第1の保持テーブルの外周に沿ってダイシングテープに形成された折癖が第2の保持テーブルの外側に位置付けられるように、該第1の保持テーブルの外径と同等以下に設定されている、
ことを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハに切削加工を施すための切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列された分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々のデバイスを製造している。また、サファイア基板や炭化珪素基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハも分割予定ラインに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等の分割予定ラインに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれている切削装置によって行われている。この切削装置は、ウエーハがダイシングテープの表面に貼着されるとともにダイシングテープの外周が環状のフレームに装着されたウエーハユニットを保持する保持持手段と、該保持手段に保持されたウエーハを切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該切削手段によって切削加工されたウエーハを洗浄する洗浄手段を具備している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−119740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したウエーハユニットを構成するダイシングテープには合成樹脂シートが用いられるが、ダイシングテープが比較的硬いポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂シートによって形成されている場合には、保持手段に保持されたウエーハユニットのダイシングテープは、“への字状”の折癖が残り、洗浄手段を構成する保持テーブルにウエーハユニットを載置して吸引保持する際にエアーがリークしてウエーハが貼着された領域のダイシングテープを吸引保持することができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、ウエーハユニットを構成するダイシングテープに折癖が存在する状態であってもウエーハが貼着された領域のダイシングテープを確実に吸引保持することができる保持テーブルを備えた洗浄手段を具備する切削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、ウエーハがポリエチレンテレフタレート(PET)からなるダイシングテープの表面に貼着されるとともにダイシングテープの外周が環状のフレームに装着されたウエーハユニットを保持する保持手段と、該保持手段に保持されたウエーハユニットのウエーハを切削する切削手段と、該切削手段によって切削加工されたウエーハを洗浄する洗浄手段と、を具備する切削装置において、
該保持手段は、ウエーハユニットのウエーハが貼着された領域のダイシングテープを吸引保持する保持面を備え、該保持によって外周に沿ってダイシングテープに折癖を形成する第1の保持テーブルと、該第1の保持テーブルの外周側方に配設され該第1の保持テーブルの保持面より低い位置でウエーハユニットの環状のフレームを保持する第1のフレーム保持手段とから構成され、
該洗浄手段は、ウエーハユニットのウエーハが貼着された領域のダイシングテープを吸引保持する保持面を備えた第2の保持テーブルと、該第2の保持テーブルの外周側方に配設され該第2の保持テーブルの保持面より低い位置でウエーハユニットの環状のフレームを保持する第2のフレーム保持手段と、該第2の保持テーブルに保持されたウエーハに洗浄水を供給する洗浄水供給手段とから構成されており、
該第2の保持テーブルの外径は、該第1の保持テーブルの外周に沿ってダイシングテープに形成された折癖が第2の保持テーブルの外側に位置付けられるように、該第1の保持テーブルの外径と同等以下に設定されている、
ことを特徴とする切削装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による切削装置においては、ウエーハがポリエチレンテレフタレート(PET)からなるダイシングテープの表面に貼着されるとともにダイシングテープの外周が環状のフレームに装着されたウエーハユニットを保持する保持手段はウエーハユニットのウエーハが貼着された領域のダイシングテープを吸引保持する保持面を備え、該保持によって外周に沿ってダイシングテープに折癖を形成する第1の保持テーブルと、該第1の保持テーブルの外周側方に配設され第1の保持テーブルの保持面より低い位置でウエーハユニットの環状のフレームを保持する第1のフレーム保持手段とから構成され、切削手段によって切削加工されたウエーハを洗浄する洗浄手段はウエーハユニットのウエーハが貼着された領域のダイシングテープを吸引保持する保持面を備えた第2の保持テーブルと、該第2の保持テーブルの外周側方に配設され該第2の保持テーブルの保持面より低い位置でウエーハユニットの環状のフレームを保持する第2のフレーム保持手段と、第2の保持テーブルに保持されたウエーハに洗浄水を供給する洗浄水供給手段とから構成されており、第2の保持テーブルの外径は、該第1の保持テーブルの外周に沿ってダイシングテープに形成された折癖が第2の保持テーブルの外側に位置付けられるように、第1の保持テーブルの外径と同等以下に設定されているので、ウエーハユニットが保持手段に保持されることによって
ダイシングテープが“への字状”に折れ曲がった状態で折癖が付いていても、折癖が第2の保持テーブルの上面である保持面に位置付けられることなく第2の保持テーブルの外側に位置付けられる。従って、第2の保持テーブルの上面である保持面とダイシングテープとの間からエアーのリークが生ずることはなく、ウエーハユニットのウエーハが貼着された領域のダイシングテープは第2の保持テーブルに確実に吸引保持される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に従って構成された切削装置の斜視図。
図2図1に示す切削装置に装備されるウエーハユニットを保持する保持手段の斜視図。
図3図1に示す保持手段の断面図。
図4図1に示す切削装置に装備される洗浄手段の一部を破断して示す斜視図。
図5図4に示す洗浄手段を構成する第2の保持テーブルを被加工物搬入・搬出位置に位置付けた状態を示す説明図。
図6図4に示す洗浄手段を構成する第2の保持テーブルを作業位置に位置付けた状態を示す説明図。
図7図4に示す洗浄手段を構成する第2の保持テーブルおよび第2のフレーム保持手段の斜視図。
図8図7に示す第2のフレーム保持手段の要部拡大図。
図9図2および図3に示す保持手段によってウエーハユニットを保持した状態を示す説明図。
図10図7に示す洗浄手段を構成する第2の保持テーブルおよび第2のフレーム保持手段によってウエーハユニットを保持する状態を示す説明図。
図11図1に示す切削装置によって切削されるウエーハを含むウエーハユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成された加工装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
【0011】
図1には、本発明に従って構成された切削装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における切削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。この装置ハウジング2内には、図11に示すウエーハユニットを保持する保持手段3が加工送り方向である矢印Xで示す方向(X軸方向)に移動可能に配設されている。ここで、図11に示すウエーハユニットについて説明する。図11に示すウエーハユニット10は、ステンレス鋼等の金属材によって形成され中央部に開口111を備えた環状のフレーム110と、該環状のフレーム110の開口111を覆うように装着されたポリエチレンテレフタレート(PET)等の比較的硬い合成樹脂シートからなるダイシングテープ120と、該ダイシングテープ120の表面120aに貼着された半導体ウエーハ130とからなっている。なお、半導体ウエーハ130は、図示の実施形態においてはシリコンウエーハからなり表面130aに格子状に形成された複数の分割予定ライン131によって区画された複数の領域にデバイス132が形成されている。このように構成された半導体ウエーハ130は、裏面130bがダイシングテープ120の表面120aに貼着されるとともにダイシングテープ120の外周部が環状のフレーム110に装着されることによって、ダイシングテープ120を介して環状のフレーム110に支持される。
【0012】
図1に戻って説明を続けると、ウエーハユニット10を保持する保持手段3は、ウエーハユニット10の半導体ウエーハ130が貼着された領域のダイシングテープ120を吸引保持するウエーハの径より大きい径の第1の保持テーブル31と、該第1の保持テーブル31の外周側方に配設されウエーハユニット10の環状のフレーム110を保持する第1のフレーム保持手段32とから構成されている。第1の保持テーブル31および第1のフレーム保持手段32とからなる保持手段3について、図2および図3を参照して説明する。保持手段3を構成する第1の保持テーブル31は、円板状のテーブル本体311と、該テーブル本体311の上面に装着される吸着チャック312とによって構成されている。テーブル本体311は、ステンレス鋼等の金属材からなり、上面には嵌合凹部311aが形成されており、この嵌合凹部311aの底面外周部に環状の載置棚311bが設けられている。そして、嵌合凹部311aに無数の吸引孔を備えたポーラスなセラミックス等からなる多孔性部材によって形成され上面が保持面として機能する吸着チャック312が嵌合され、環状の載置棚311bに載置される。また、テーブル本体311には、上記嵌合凹部311aに開口する連通路311cが設けられており、この連通路311cが図示しない吸引手段に連通されている。従って、図示しない吸引手段を作動することにより、連通路311cおよび嵌合凹部311aを介して吸着チャック312の上面である保持面に負圧が作用せしめられる。このように構成された第1の保持テーブル31は、図示しない回転駆動機構によって回転せしめられるように構成されている。
【0013】
上記第1の保持テーブル31を構成するテーブル本体311の軸方向中間部分における外周部には、環状の支持溝311dが形成されており、この環状の支持溝311dを通して第1のフレーム保持手段32が装着される。第1のフレーム保持手段32は、図示の一端部が、実施形態においてはそれぞれ90度の間隔を持って4個配設されている。この第1のフレーム保持手段32は、それぞれ一端部が環状の支持溝311dを通して挿入され環状の支持溝311d下面に適宜の固定手段によって取り付けられた支持棒321と、該支持棒321の他端部に装着されたクランプ322とからなっている。このように構成された第1のフレーム保持手段32のクランプ322は、上記第1の保持テーブル31の上面である保持面より低い位置に配設されている。従って、第1のフレーム保持部材32は、第1の保持テーブル31の外周側方において第1の保持テーブル31の上面である保持面より低い位置でウエーハユニット10の環状のフレーム110を保持する。
【0014】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、切削手段としてのスピンドルユニット4を具備している。スピンドルユニット4は、図示しない移動基台に装着され割り出し方向である矢印Yで示す方向(Y軸方向)および切り込み方向である矢印Zで示す方向(Z軸方向)に移動調整されるスピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転自在に支持され図示しない回転駆動機構によって回転駆動される回転スピンドル42と、該回転スピンドル42に装着された切削ブレード43とを具備している。また、スピンドルユニット4は、図示しない切削水供給手段に接続された切削水供給ノズル44も付設されている。
【0015】
図示の実施形態における切削装置は、上記保持手段3に保持されたウエーハユニット10の半導体ウエーハ130の表面を撮像し、上記切削ブレード43によって切削すべき領域を検出するための撮像手段5を具備している。この撮像手段5は顕微鏡やCCDカメラ等の光学手段からなっており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。また、切削装置は、撮像手段5によって撮像された画像等を表示する表示手段6を具備している。
【0016】
図示の実施形態における切削装置は、加工後のウエーハを洗浄するための洗浄手段7を具備している。この洗浄手段7について、図4乃至図8を参照して説明する。
図示の実施形態における洗浄手段7は、スピンナーテーブル機構71と、該スピンナーテーブル機構71を包囲して配設された洗浄水受け手段72を具備している。スピンナーテーブル機構71は、上記ウエーハユニット10の半導体ウエーハ130が貼着された領域のダイシングテープ120を吸引保持する第2の保持テーブル710と、該第2の保持テーブル710の外周側方に配設され第2の保持テーブル710の保持面より低い位置でウエーハユニット10の環状のフレーム110を保持する第2のフレーム保持手段713と、第2の保持テーブル710を回転駆動する電動モータ718と、該電動モータ718を上下方向に移動可能に支持する支持機構719を具備している。第2の保持テーブル710は、図7に示すようにステンレス鋼等の金属材によって円盤状に形成されたテーブル本体711と、該テーブル本体711の上面に装着され上面が保持面として機能する多孔性材料から形成された吸着チャック712とからなっており、この吸着チャック712が図示しない吸引手段に連通されている。従って、図示しない吸引手段を作動することにより、吸着チャック712の上面である保持面に負圧が作用せしめられる。このように構成された第2の保持テーブル711の外径は、上記保持手段3の第1の保持テーブル31の外径と同等以下でウエーハの外径以上に設定されている。
【0017】
上記第2の保持テーブル710の外周側方に配設され第2の保持テーブル710の保持面より低い位置でウエーハユニット10の環状のフレーム110を保持する第2のフレーム保持手段713は、第2の保持テーブル711を囲繞して設けられ該第2の保持テーブル711の保持面より低い位置に形成されウエーハユニット10の環状のフレーム110が載置されるフレーム載置部714と、該フレーム載置部714の外周に装着されフレーム載置部714に載置された環状のフレームを押えるフレーム押え手段715とからなっている。第2のフレーム保持手段713を構成するフレーム載置部714は、上記第2の保持テーブル710を構成するテーブル本体711と段差を設けて一体的に構成してもよい。フレーム載置部714の外周に装着されるフレーム押え手段715は、図示の実施形態においてはそれぞれ90度の間隔を持って4個配設されている。このフレーム押え手段715は、図8に示すようにフレーム載置部714の外周から突出して設けられた支持部714aに支持軸716によって軸支された振り子部材717からなっている。振り子部材717は、上端部が支持軸716によって軸支されたアーム部717aと、該アーム部717aの下端部に設けられた錘部717bと、アーム部717aと連結部717cによって連結され支持軸716より上側に配設された爪部717dとによって構成されている。このように構成された振り子部材717は、第2の保持テーブル710とともにフレーム載置部714が回転すると、錘部717bが遠心力により支持軸716を中心として外側方に振られて回動するため、爪部717dも支持軸716を中心として回動して先端がフレーム載置部714に押し付けられる。
【0018】
図4乃至図6に戻って説明を続けると、電動モータ718は、その駆動軸718aの上端に上記第2の保持テーブル711を連結する。上記支持機構719は、複数本(図示の実施形態においては3本)の支持脚719aと、該支持脚719aをそれぞれ連結し電動モータ718に取り付けられた複数本(図示の実施形態においては3本)のエアシリンダ719bとからなっている。このように構成された支持機構719は、エアシリンダ719bを作動することにより、電動モータ718および第2の保持テーブル711を図5に示す上方位置である被加工物搬入・搬出位置と、図6に示す下方位置である作業位置に位置付ける。
【0019】
上記洗浄水受け手段72は、洗浄水受け容器721と、該洗浄水受け容器721を支持する3本(図4には2本が示されている)の支持脚722と、上記電動モータ718の駆動軸718aに装着されたカバー部材723とを具備している。洗浄水受け容器721は、図5および図6に示すように円筒状の外側壁721aと底壁721bと内側壁721cとからなっている。底壁721bの中央部には上記電動モータ718の駆動軸718aが挿通する穴721dが設けられおり、この穴721dの周縁から上方に突出する内側壁721cが形成されている。また、図4に示すように底壁721bには排液口721eが設けられており、この排液口721eにドレンホース724が接続されている。上記カバー部材723は、円盤状に形成されており、その外周縁から下方に突出するカバー部723aを備えておる。このように構成されたカバー部材723は、電動モータ718および第2の保持テーブル711が図6に示す作業位置に位置付けられると、カバー部723aが上記洗浄水受け容器721を構成する内側壁721cの外側に隙間をもって重合するように位置付けられる。
【0020】
図示の実施形態における洗浄手段7は、スピンナーテーブル機構71を構成する第2の保持テーブル710に保持されたウエーハユニット10の半導体ウエーハ130に洗浄水を供給する洗浄水供給手段74を具備している。この洗浄水供給手段74について、図5および図6を参照して説明する。
洗浄水供給手段74は、第2の保持テーブル711に保持されたウエーハユニット10の半導体ウエーハ130に向けて洗浄水を供給する洗浄水噴射ノズル741と、該洗浄水噴射ノズル741を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ742を備えている。洗浄水噴射ノズル741は、水平に延び先端部が下方に屈曲されたノズル部741aと、該ノズル部741aの基端から下方に延びる支持部741bとからなっており、支持部741bが上記洗浄水受け容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設されている。洗浄水噴射ノズル741のノズル部741aは、洗浄水通路とエアー通路を備えており、洗浄水通路が洗浄水供給源に接続されており、エアー通路がエアー供給源に接続されている。このように構成された洗浄水噴射ノズル741の支持部741bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部741bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0021】
また、図示の実施形態における洗浄手段7は、上記第2の保持テーブル711に保持されたウエーハユニット10の加工後の半導体ウエーハ130にエアーを供給するためのエアー噴射手段75を具備している。エアー噴射手段75は、第2の保持テーブル711に保持されたウエーハユニット10の洗浄後の半導体ウエーハ130に向けてエアーを噴出するエアーノズル751と、該エアーノズル751を揺動せしめる正転・逆転可能な電動モータ752を備えており、該エアーノズル751が図示しないエアー供給源に接続されている。エアーノズル751は、水平に延び先端部が下方に屈曲されたノズル部751aと、該ノズル部751aの基端から下方に延びる支持部751bとからなっており、支持部751bが上記洗浄水受け容器721を構成する底壁721bに設けられた図示しない挿通穴を挿通して配設されている。なお、エアーノズル751の支持部751bが挿通する図示しない挿通穴の周縁には、支持部751bとの間をシールするシール部材(図示せず)が装着されている。
【0022】
図1に戻って説明を続けると、図示の実施形態における切削装置は、上記装置ハウジング2におけるカセット載置領域11aには、被加工物を収容するカセットを載置するカセット載置テーブル11が配設されている。このカセット載置テーブル11は、図示しない昇降手段によって上下方向に移動可能に構成されている。カセット載置テーブル11上には、上記ウエーハユニット10を収容するカセット12が載置される。
【0023】
また、図示の実施形態における切削装置は、カセット載置テーブル11上に載置されたカセット12に収容されているウエーハユニット10を仮置きテーブル13に搬出する搬出手段14と、仮置きテーブル13に搬出されたウエーハユニット10を上記チャックテーブル3上に搬送する第1の搬送手段15と、チャックテーブル3上で切削加工されたウエーハユニット10を上記洗浄手段7へ搬送する第2の搬送手段16を具備している。
【0024】
図示の実施形態における切削装置は以上のように構成されており、以下その作用について主に図1を参照して説明する。
カセット載置テーブル11上に載置されたカセット12の所定位置に収容されているウエーハユニット10は、図示しない昇降手段によってカセット載置テーブル11が上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次に、搬出手段14が進退作動して搬出位置に位置付けられたウエーハユニット10を仮置きテーブル13上に搬出する。このようにして仮置きテーブル13に搬出されたウエーハユニット10は、第1の搬送手段15の旋回動作によって図9に示すように上記保持手段3の第1の保持テーブル31上に搬送される。保持テーブル31上にウエーハユニット10の半導体ウエーハ130が貼着された領域のダイシングテープ120が載置されたならば、図示しない吸引手段が作動して半導体ウエーハ130が貼着された領域のダイシングテープ120を第1の保持テーブル31上に吸引保持する。また、ウエーハユニット10の環状のフレーム110は、第1のフレーム保持手段32のクランプ322によって固定される。このようにして環状のフレーム110をクランプ322によって固定すると、クランプ322は第1の保持テーブル31の上面である保持面より低い位置に配設されているので、図9に示すように環状のフレーム110に装着されたダイシングテープ120は第1の保持テーブル31を構成するテーブル本体311の外周縁との接触部において“への字状”に折れ曲がった状態となる。このようにダイシングテープ120がテーブル本体311の外周縁との接触部において“への字状”に折れ曲がった状態で後述する切削工程が実施されると、ダイシングテープ120には折癖が残存してしまう。
【0025】
上述したようにウエーハユニット10を保持した保持手段3は、撮像手段5の直下まで移動せしめられる。保持手段3が撮像手段5の直下に位置付けられると、撮像手段5によってウエーハユニット10の半導体ウエーハ130に形成された分割予定ライン131が検出され、スピンドルユニット4を割り出し方向である矢印Y方向に移動調節して分割予定ライン131と切削ブレード43との精密位置合わせ作業が行われる。
【0026】
その後、切削ブレード43を矢印Zで示す方向に所定量切り込み送りし所定の方向に回転させつつ、ウエーハユニット10を保持した保持手段3を切削送り方向である矢印Xで示す方向(切削ブレード43の回転軸と直交する方向)に所定の切削送り速度で移動することにより、保持手段3に保持されたウエーハユニット10の半導体ウエーハ130は切削ブレード43により所定の分割予定ライン131に沿って切断される(切削工程)。この切削工程においては、図示しない切削水供給手段が作動して切削水供給ノズル44から切削水が切削ブレード43の側面に向けて噴射される。このようにして、半導体ウエーハ130を所定の分割予定ライン131に沿って切断したら、保持手段3を矢印Yで示す方向に分割予定ライン131の間隔だけ割り出し送りし、上記切削工程を実施する。そして、半導体ウエーハ130の所定方向に延在する全ての分割予定ライン131に沿って切削工程を実施したならば、保持手段3を90度回転させて、半導体ウエーハ130の所定方向と直交する方向に延在する分割予定ライン131に沿って切削工程を実行することにより、半導体ウエーハ130に格子状に形成された全ての分割予定ライン131が切削されて個々のデバイスに分割される。なお、分割された個々のデバイスは、ダイシングテープ120の作用によってバラバラにはならず、環状のフレーム110に支持されたウエーハの状態が維持されている。
【0027】
上述したように半導体ウエーハ130の分割予定ライン131に沿って切削工程が終了したら、ウエーハユニット10を保持した保持手段3は最初にウエーハユニット10を保持した位置に戻される。そして、半導体ウエーハ130の吸引保持を解除するとともに、環状のフレーム110のクランプ322による固定を解除する。次に、ウエーハユニット10は第2の搬送手段16によって図10の(a)に示すように洗浄手段7のスピンナーテーブル機構71を構成する第2の保持テーブル710上に搬送される。このとき洗浄水噴射ノズル741およびエアーノズル751は、図5および図6に示すように第2の保持テーブル710の上方から離隔した待機位置に位置付けられている。そして、図示しない吸引手段を作動することにより第2の保持テーブル710上にウエーハユニット10の半導体ウエーハ130が貼着された領域のダイシングテープ120を吸引保持する。このとき、第2の保持テーブル710の上面である保持面と第2のフレーム保持手段713を構成するフレーム載置部714は段差が設けられているとともに、第2の保持テーブル710の外径は上記保持手段3の第1の保持テーブル31の外径と同等以下でウエーハの外径以上に設定されているので、ダイシングテープ120が上述したように“への字状”に折れ曲がった状態で折癖が付いていても、折癖が第2の保持テーブル710の上面である保持面に位置付けられることなく第2の保持テーブル710の外側に位置付けられる。従って、第2の保持テーブル710の上面である保持面とダイシングテープ120との間からエアーのリークが生ずることはなく、ウエーハユニット10の半導体ウエーハ130が貼着された領域のダイシングテープ120は第2の保持テーブル710に確実に吸引保持される。
【0028】
上述したように第2の保持テーブル710上にウエーハユニット10の切削加工された半導体ウエーハ130が貼着された領域のダイシングテープ120が吸引保持されたならば、洗浄工程を実施する。即ち、第2の保持テーブル711を図6に示す作業位置に位置付けるとともに、洗浄水供給手段74を構成する電動モータ742を駆動して洗浄水噴射ノズル741の噴出口をスピンナーテーブル711上に保持された半導体ウエーハWの中心部上方に位置付ける。そして、洗浄水供給手段74を作動するとともに、第2の保持テーブル710を例えば800rpmの回転速度で回転せしめる。このようにして、第2の保持テーブル710が回転すると、図10の(b)に示すように第2のフレーム保持手段713のフレーム押え手段715としての振り子部材717を構成する錘部717bが遠心力により支持軸716を中心として外側方に振られて回動するため、爪部717dも支持軸716を中心として回動して先端がフレーム載置部714に載置されている環状のフレーム110を押える。この結果、洗浄水噴射ノズル741から第2の保持テーブル711に保持されたウエーハユニット10の半導体ウエーハ130に噴射される。このとき、電動モータ742を駆動して洗浄水噴射ノズル741の噴出口から噴出された洗浄水を第2の保持テーブル710に保持されたウエーハユニット10の半導体ウエーハ130の中心に当たる位置から外周部に当たる位置までの所要角度範囲で揺動せしめる。この結果、上記切削工程において半導体ウエーハ130に付着したコンタミを確実に除去することができる。
【0029】
上述した洗浄工程が終了したら、乾燥工程を実行する。即ち、洗浄水噴射ノズル741を待機位置に位置付け、第2の保持テーブル710を例えば3000rpmの回転速度で15秒程度回転せしめるとともに、エアー供給手段75のエアーノズル751からエアーを半導体ウエーハWに噴出する。このとき、エアー供給手段75を構成する電動モータ752を駆動してエアーノズル751の噴出口から噴出されたエアーが第2の保持テーブル710に保持された半導体ウエーハWの中心に当たる位置から外周部に当たる位置までの所要角度範囲で揺動せしめる。この結果、半導体ウエーハ130は乾燥せしめられる。このようにして洗浄および乾燥された半導体ウエーハ130を備えたウエーハユニット10は、第1の搬送手段15によって仮置きテーブル13に搬送される。そして、ウエーハユニット10は、搬出手段14によってカセット12の所定位置に収納される。
【符号の説明】
【0030】
2:切削装置の装置ハウジング
3:保持手段
31:第1の保持テーブル
311:テーブル本体
312:吸着チャック
32:第1のフレーム保持手段
322:クランプ
4:スピンドルユニット
41:スピンドルハウジング
42:回転スピンドル
43:切削ブレード
44:切削水供給ノズル
5:撮像手段
6:表示手段
7:洗浄手段
71:スピンナーテーブル機構
710:第2の保持テーブル
713:第2のフレーム保持手段
718:電動モータ
72:洗浄水受け手段
721:洗浄水受け容器
74:洗浄水供給手段
741:洗浄水噴射ノズル
75:エアー供給手段
751:エアーノズル
10:ウエーハユニット
110:環状のフレーム
120:ダイシングテープ
130:半導体ウエーハ
11:カセット載置テーブル
12:カセット
13:仮置きテーブル
14:搬出手段
15:第1の搬送手段
16:第2の搬送手段
図1
図2
図3
図4
図5
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図11