特許第6397667号(P6397667)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6397667貼合装置、貼合方法、光学表示デバイスの生産システムおよび光学表示デバイスの生産方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397667
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】貼合装置、貼合方法、光学表示デバイスの生産システムおよび光学表示デバイスの生産方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20180913BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   G09F9/00 342
   B29C63/02
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-132812(P2014-132812)
(22)【出願日】2014年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-12010(P2016-12010A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2017年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100148884
【弁理士】
【氏名又は名称】▲廣▼保 直純
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(72)【発明者】
【氏名】土岡 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 大充
【審査官】 小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/151035(WO,A1)
【文献】 特開2007−033821(JP,A)
【文献】 特開2007−030435(JP,A)
【文献】 特開2006−276365(JP,A)
【文献】 特開2007−214343(JP,A)
【文献】 特開2002−280338(JP,A)
【文献】 特開2013−095123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B27/00−35/14
B29C63/00−65/82
G02F1/133−1/1334
1/1339−1/1341
1/1347
G09F9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学表示部品にシート片を貼合する貼合装置であって、
前記光学表示部品が載置される貼合ステージと、
前記シート片を湾曲した保持面に保持するとともに、前記保持面に保持した前記シート片を前記貼合ステージに載置された前記光学表示部品に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片を前記光学表示部品に貼合する貼合ヘッドと、
光学部材シートを原反ロールからセパレータシートと共に巻き出す巻き出し部と、
前記光学部材シートを前記セパレータシートを残して切断して前記シート片を形成するカット部と、
前記シート片を前記セパレータシート側から支持するシートステージと、
前記貼合ヘッドによって前記セパレータシートから前記シート片が剥離された後、単独となった前記セパレータシートを巻き取る巻き取り部と、
を含み、
前記貼合ヘッドは、前記保持面の第一端部から第二端部に向かう第一の方向、および、前記保持面の前記第二端部から前記第一端部に向かう第二の方向に転動可能であり、
前記保持面を前記シートステージ上に静止した前記シート片に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片を前記セパレータシートから剥離し前記保持面に保持し、
前記巻き取り部は、前記貼合ヘッドが前記保持面を前記シート片に押し付けて転動を開始した直後の第一の期間は、前記セパレータシートを巻き解く方向に回転し、前記第一の期間が経過した後、前記転動が終了するまでの第二の期間は、前記セパレータシートを巻き取る方向に回転する
貼合装置。
【請求項2】
前記貼合ステージ上に前記光学表示部品と隣接して当て板が設けられ、
前記貼合ヘッドは、前記保持面が前記当て板の上面に押し付けられた後、前記当て板の上面および前記光学表示部品の上面を連続的に転動することにより、前記保持面に保持した前記シート片を前記光学表示部品に貼合する
請求項に記載の貼合装置。
【請求項3】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムであって、
前記光学表示部品に前記光学部材であるシート片を貼合する貼合装置を含み、
前記貼合装置は、請求項1または2に記載の貼合装置である
光学表示デバイスの生産システム。
【請求項4】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムであって、
前記光学表示部品に前記光学部材よりも大きいシート片を貼合する貼合装置と、
前記シート片が貼合された前記光学表示部品を撮像し、その撮像データに基づいて、前記シート片のカットラインを検出する検出装置と、
前記光学表示部品に貼合された前記シート片を前記カットラインに沿って切断することにより、前記シート片から前記光学部材を切り出す切断装置と、
を含み、
前記貼合装置は、請求項1または2に記載の貼合装置である
光学表示デバイスの生産システム。
【請求項5】
光学表示部品にシート片を貼合する貼合方法であって、
前記光学表示部品を貼合ステージに載置する載置ステップと、
前記シート片を貼合ヘッドの湾曲した保持面に保持するとともに、前記保持面に保持した前記シート片を前記貼合ステージに載置された前記光学表示部品に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って前記貼合ヘッドを転動させることにより、前記シート片を前記光学表示部品に貼合する貼合ステップと、
光学部材シートを原反ロールからセパレータシートと共に巻き出す巻き出しステップと、
前記光学部材シートを前記セパレータシートを残して切断して前記シート片を形成するカットステップと、
前記シート片をシートステージによって前記セパレータシート側から支持する支持ステップと、
前記貼合ヘッドよって前記セパレータシートから前記シート片が剥離された後、単独となった前記セパレータシートを巻き取り部によって巻き取る巻き取りステップと、
を含み、
前記貼合ステップでは、前記貼合ヘッドを前記保持面の第一端部から第二端部に向かう第一の方向、および、前記保持面の前記第二端部から前記第一端部に向かう第二の方向に転動可能であり、
前記貼合ヘッドの前記保持面が前記シートステージ上に静止した前記シート片に押し付けられながら前記貼合ヘッドが前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片が前記セパレータシートから剥離し前記保持面に保持され、
前記巻き取りステップでは、前記貼合ヘッドが前記保持面を前記シート片に押し付けて転動を開始した直後の第一の期間は、前記巻き取り部を前記セパレータシートを巻き解く方向に回転し、前記第一の期間が経過した後、前記転動が終了するまでの第二の期間は、前記巻き取り部を前記セパレータシートを巻き取る方向に回転する
貼合方法。
【請求項6】
前記貼合ステージ上に前記光学表示部品と隣接して当て板が設けられ、
前記貼合ステップでは、前記貼合ヘッドの前記保持面が前記当て板の上面に押し付けられた後、前記貼合ヘッドが前記当て板の上面および前記光学表示部品の上面を連続的に転動することにより、前記保持面に保持した前記シート片が前記光学表示部品に貼合される
請求項に記載の貼合方法。
【請求項7】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法であって、
前記光学表示部品に前記光学部材であるシート片を貼合する貼合ステップを含み、
前記貼合ステップは、請求項5または6に記載の貼合方法を用いて行われる
光学表示デバイスの生産方法。
【請求項8】
光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法であって、
前記光学表示部品に前記光学部材よりも大きいシート片を貼合する貼合ステップと、
前記シート片が貼合された前記光学表示部品を撮像し、その撮像データに基づいて、前記シート片のカットラインを検出する検出ステップと、
前記光学表示部品に貼合された前記シート片を前記カットラインに沿って切断することにより、前記シート片から前記光学部材を切り出す切断ステップと、
を含み、
前記貼合ステップは、請求項5または6に記載の貼合方法を用いて行われる
光学表示デバイスの生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼合装置、貼合方法、光学表示デバイスの生産システムおよび光学表示デバイスの生産方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート材を被貼付物に貼合する装置として、特許文献1に記載の装置が知られている。特許文献1の装置は、長尺状のシート材を所定サイズにカットしてヘッドに保持する。そして、ヘッドを被貼付物が載置されたステージに移動させ、ヘッドと被貼付物とを位置決めした後、ヘッドを被貼付物上に押し付けてシート材を被貼付物に転写する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4482757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、ヘッドの形状を円弧形状とし、ヘッドの湾曲方向の一端部に接続されたシリンダーの荷重によってヘッドを一方向に回転させている。この構成では、ヘッドは一方向にしか回転しないため、被貼付物上でのヘッドの転動方向は常に同じ方向である(例えば、特許文献1の図4では、右から左に向かう方向)。そのため、シート材の貼合方向(被貼付物上でのヘッドの転動方向)が被貼付物ごとに決められている場合には、貼合方向の異なる被貼付物の生産に対応できないか、または、被貼付物をステージに搬送する搬送部において被貼付物の向きを回転させる機構などが必要になる。
【0005】
例えば、被貼付物とシート材との位置ずれは、ヘッドと被貼付物との位置決めがヘッドの移動装置によって高精度に行われるシート材の貼合開始位置において最も小さくなる。そのため、被貼付物とシート材との位置決めを被貼付物上のアライメントマークを用いて行う場合には、アライメントマークに近い被貼付物の第一の辺からアライメントマークから遠い被貼付物の第二の辺に向けて貼合を行うことが好ましい。しかしながら、アライメントマークの位置は、設計によって適宜変更される。そのため、ステージに同じ姿勢で被貼付物を搬送しても、アライメントマークの位置が異なれば、貼合開始位置が第一の辺とは異なる辺(例えば、第二の辺)に設定され、貼合精度が十分に高められなくなる。
【0006】
本発明の目的は、貼合精度を高めることが可能な貼合装置、貼合方法、光学表示デバイスの生産システムおよび光学表示デバイスの生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る貼合装置は、光学表示部品にシート片を貼合する貼合装置であって、前記光学表示部品が載置される貼合ステージと、前記シート片を湾曲した保持面に保持するとともに、前記保持面に保持した前記シート片を前記貼合ステージに載置された前記光学表示部品に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片を前記光学表示部品に貼合する貼合ヘッドと、を含み、前記貼合ヘッドは、前記保持面の第一端部から第二端部に向かう第一の方向、および、前記保持面の前記第二端部から前記第一端部に向かう第二の方向に転動可能であり、前記貼合ステージ上に前記光学表示部品と隣接して当て板が設けられ、前記貼合ヘッドは、前記保持面が前記当て板の上面に押し付けられた後、前記当て板の上面および前記光学表示部品の上面を連続的に転動することにより、前記保持面に保持した前記シート片を前記光学表示部品に貼合する
【0008】
本発明の一態様に係る貼合装置において、前記光学表示部品の上面と前記当て板の上面とは、連続した平面を形成する。
【0009】
本発明の一態様に係る貼合装置において、光学部材シートを原反ロールからセパレータシートと共に巻き出す巻き出し部と、前記光学部材シートを前記セパレータシートを残して切断して前記シート片を形成するカット部と、前記シート片を前記セパレータシート側から支持するシートステージと、を含み、前記貼合ヘッドは、前記保持面を前記シートステージ上に静止した前記シート片に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片を前記セパレータシートから剥離し前記保持面に保持することができる。
【0010】
本発明の一態様に係る貼合装置において、前記貼合ヘッドによって前記セパレータシートから前記シート片が剥離された後、単独となった前記セパレータシートを巻き取る巻き取り部を含み、前記巻き取り部は、前記貼合ヘッドが前記保持面を前記シート片に押し付けて転動を開始した直後の第一の期間は、前記セパレータシートを巻き解く方向に回転し、前記第一の期間が経過した後、前記転動が終了するまでの第二の期間は、前記セパレータシートを巻き取る方向に回転することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る貼合装置は、光学表示部品にシート片を貼合する貼合装置であって、前記光学表示部品が載置される貼合ステージと、前記シート片を湾曲した保持面に保持するとともに、前記保持面に保持した前記シート片を前記貼合ステージに載置された前記光学表示部品に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片を前記光学表示部品に貼合する貼合ヘッドと、光学部材シートを原反ロールからセパレータシートと共に巻き出す巻き出し部と、前記光学部材シートを前記セパレータシートを残して切断して前記シート片を形成するカット部と、前記シート片を前記セパレータシート側から支持するシートステージと、前記貼合ヘッドによって前記セパレータシートから前記シート片が剥離された後、単独となった前記セパレータシートを巻き取る巻き取り部と、を含み、前記貼合ヘッドは、前記保持面の第一端部から第二端部に向かう第一の方向、および、前記保持面の前記第二端部から前記第一端部に向かう第二の方向に転動可能であり、前記保持面を前記シートステージ上に静止した前記シート片に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片を前記セパレータシートから剥離し前記保持面に保持し、前記巻き取り部は、前記貼合ヘッドが前記保持面を前記シート片に押し付けて転動を開始した直後の第一の期間は、前記セパレータシートを巻き解く方向に回転し、前記第一の期間が経過した後、前記転動が終了するまでの第二の期間は、前記セパレータシートを巻き取る方向に回転する。
本発明の一態様に係る貼合装置において、前記貼合ステージ上に前記光学表示部品と隣接して当て板が設けられ、前記貼合ヘッドは、前記保持面が前記当て板の上面に押し付けられた後、前記当て板の上面および前記光学表示部品の上面を連続的に転動することにより、前記保持面に保持した前記シート片を前記光学表示部品に貼合する。
本発明の第一の態様に係る光学表示デバイスの生産システムは、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムであって、前記光学表示部品に前記光学部材であるシート片を貼合する貼合装置を含み、前記貼合装置は、上述した本発明の一態様に係る貼合装置である。
【0012】
本発明の第二の態様に係る光学表示デバイスの生産システムは、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産システムであって、前記光学表示部品に前記光学部材よりも大きいシート片を貼合する貼合装置と、前記シート片が貼合された前記光学表示部品を撮像し、その撮像データに基づいて、前記シート片のカットラインを検出する検出装置と、前記光学表示部品に貼合された前記シート片を前記カットラインに沿って切断することにより、前記シート片から前記光学部材を切り出す切断装置と、を含み、前記貼合装置は、上述した本発明の一態様に係る貼合装置である。
【0013】
本発明の一態様に係る貼合方法は、光学表示部品にシート片を貼合する貼合方法であって、前記光学表示部品を貼合ステージに載置する載置ステップと、前記シート片を貼合ヘッドの湾曲した保持面に保持するとともに、前記保持面に保持した前記シート片を前記貼合ステージに載置された前記光学表示部品に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って前記貼合ヘッドを転動させることにより、前記シート片を前記光学表示部品に貼合する貼合ステップと、を含み、前記貼合ステップでは、前記貼合ヘッドを前記保持面の第一端部から第二端部に向かう第一の方向、および、前記保持面の前記第二端部から前記第一端部に向かう第二の方向に転動可能であり、前記貼合ステージ上に前記光学表示部品と隣接して当て板が設けられ、前記貼合ステップでは、前記貼合ヘッドの前記保持面が前記当て板の上面に押し付けられた後、前記貼合ヘッドが前記当て板の上面および前記光学表示部品の上面を連続的に転動することにより、前記保持面に保持した前記シート片が前記光学表示部品に貼合される
【0014】
本発明の一態様に係る貼合方法において、前記光学表示部品の上面と前記当て板の上面とは、連続した平面を形成する。
【0015】
本発明の一態様に係る貼合方法において、光学部材シートを原反ロールからセパレータシートと共に巻き出す巻き出しステップと、前記光学部材シートを前記セパレータシートを残して切断して前記シート片を形成するカットステップと、前記シート片をシートステージによって前記セパレータシート側から支持する支持ステップと、を含み、前記貼合ステップでは、前記貼合ヘッドの前記保持面が前記シートステージ上に静止した前記シート片に押し付けられながら前記貼合ヘッドが前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片が前記セパレータシートから剥離し前記保持面に保持されるものとすることができる。
【0016】
本発明の一態様に係る貼合方法において、前記貼合ヘッドよって前記セパレータシートから前記シート片が剥離された後、単独となった前記セパレータシートを巻き取り部によって巻き取る巻き取りステップを含み、前記巻き取りステップでは、前記貼合ヘッドが前記保持面を前記シート片に押し付けて転動を開始した直後の第一の期間は、前記巻き取り部を前記セパレータシートを巻き解く方向に回転し、前記第一の期間が経過した後、前記転動が終了するまでの第二の期間は、前記巻き取り部を前記セパレータシートを巻き取る方向に回転することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る貼合方法は、光学表示部品にシート片を貼合する貼合方法であって、前記光学表示部品を貼合ステージに載置する載置ステップと、前記シート片を貼合ヘッドの湾曲した保持面に保持するとともに、前記保持面に保持した前記シート片を前記貼合ステージに載置された前記光学表示部品に押し付けながら前記保持面の湾曲に沿って前記貼合ヘッドを転動させることにより、前記シート片を前記光学表示部品に貼合する貼合ステップと、光学部材シートを原反ロールからセパレータシートと共に巻き出す巻き出しステップと、前記光学部材シートを前記セパレータシートを残して切断して前記シート片を形成するカットステップと、前記シート片をシートステージによって前記セパレータシート側から支持する支持ステップと、前記貼合ヘッドよって前記セパレータシートから前記シート片が剥離された後、単独となった前記セパレータシートを巻き取り部によって巻き取る巻き取りステップと、を含み、前記貼合ステップでは、前記貼合ヘッドを前記保持面の第一端部から第二端部に向かう第一の方向、および、前記保持面の前記第二端部から前記第一端部に向かう第二の方向に転動可能であり、前記貼合ヘッドの前記保持面が前記シートステージ上に静止した前記シート片に押し付けられながら前記貼合ヘッドが前記保持面の湾曲に沿って転動することにより、前記シート片が前記セパレータシートから剥離し前記保持面に保持され、前記巻き取りステップでは、前記貼合ヘッドが前記保持面を前記シート片に押し付けて転動を開始した直後の第一の期間は、前記巻き取り部を前記セパレータシートを巻き解く方向に回転し、前記第一の期間が経過した後、前記転動が終了するまでの第二の期間は、前記巻き取り部を前記セパレータシートを巻き取る方向に回転する。
本発明の一態様に係る貼合方法において、前記貼合ステージ上に前記光学表示部品と隣接して当て板が設けられ、前記貼合ステップでは、前記貼合ヘッドの前記保持面が前記当て板の上面に押し付けられた後、前記貼合ヘッドが前記当て板の上面および前記光学表示部品の上面を連続的に転動することにより、前記保持面に保持した前記シート片が前記光学表示部品に貼合される。
本発明の第一の態様に係る光学表示デバイスの生産方法は、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法であって、前記光学表示部品に前記光学部材であるシート片を貼合する貼合ステップを含み、前記貼合ステップは、上述した本発明の一態様に係る貼合方法を用いて行われる。
【0018】
本発明の第二の態様に係る光学表示デバイスの生産方法は、光学表示部品に光学部材を貼合してなる光学表示デバイスの生産方法であって、前記光学表示部品に前記光学部材よりも大きいシート片を貼合する貼合ステップと、前記シート片が貼合された前記光学表示部品を撮像し、その撮像データに基づいて、前記シート片のカットラインを検出する検出ステップと、前記光学表示部品に貼合された前記シート片を前記カットラインに沿って切断することにより、前記シート片から前記光学部材を切り出す切断ステップと、を含み、前記貼合ステップは、上述した本発明の一態様に係る貼合方法を用いて行われる。
【0019】
前記第一の態様に係る光学表示デバイスの生産システムおよび生産方法ならびに前記第二の態様に係る光学表示デバイスの生産システムおよび生産方法において、「光学部材」とは、光学表示デバイスの仕様に基づいて設定された大きさの光学部材をいう。「光学表示デバイスの仕様に基づいて設定された大きさ」とは、例えば、光学表示部品の外形寸法に対応する大きさをいい、具体的には、光学表示部品に貼合したときに、実使用上問題となるような余剰部分を生じない大きさを意味する。
【0020】
例えば、光学表示部品の中央部には、画像を表示する表示領域が設けられ、光学表示部品の端部には、半導体チップやフレキシブルプリント配線などが接続される複数の端子が備えられた電気部品取付部が設けられる。この場合、「光学部材」としては、例えば、光学表示部品の表示領域の大きさ以上、光学表示部品の外形状(平面視における輪郭形状)の大きさ以下の領域であって、かつ光学表示部品における電気部品取付部等の機能部分を避けた領域の大きさを有する光学部材が用いられる。
【0021】
前記第二の態様に係る光学表示デバイスの生産システムおよび生産方法において、「光学部材よりも大きいシート片」とは、目的とする大きさ(光学表示デバイスの仕様に基づいて設定された大きさ)の光学部材よりも若干大きいシート片をいう。シート片において光学部材よりも大きい部分は、余剰部分として切断の対象となる。シート片から余剰部分が切り離されることにより、目的とする大きさの光学部材が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、気泡を抑制することが可能な貼合装置、貼合方法、光学表示デバイスの生産システムおよび光学表示デバイスの生産方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一の実施の形態に係る貼合装置の概略図である。
図2】貼合ヘッドにシート片を貼着する工程を示す図である。
図3】貼合ヘッドに貼着したシート片を光学表示部品に転写する工程を示す図である。
図4】貼合ヘッドに貼着したシート片を光学表示部品に転写する工程を示す図である。
図5】光学部材シートの断面図である。
図6】本発明の第一の実施の形態に係る光学表示デバイスの生産システムの概略図である。
図7】本発明の第二の実施の形態に係る貼合装置におけるシート片の切断工程を示す図である。
図8】光学表示部品とシート片との貼合位置を決定する方法を説明する図である。
図9】本発明の第二の実施の形態に係る光学表示デバイスの生産システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一の実施の形態]
以下、図1ないし図6を用いて、本発明の第一の実施の形態に係る貼合装置および光学表示デバイスの生産システムを説明する。
【0025】
図1は、本実施形態の貼合装置100の概略図である。
本実施形態の貼合装置100は、光学表示部品Pの一面に、長尺状の光学部材シートFXをハーフカットして得られたシート片F1Xを貼合する。
【0026】
光学表示部品Pとしては、例えば、液晶パネルや有機ELパネルなどのパネル状の光学表示部品を用いることができる。光学部材シートFXとしては、例えば、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどを用いることができる。本実施形態では、例えば、光学部材シートFXとして、図5に示す偏光フィルムが用いられる。
【0027】
図5の光学部材シートFXは、フィルム状の光学部材本体F1aと、光学部材本体F1aの一方の面(図5では上面)に設けられた粘着層F2aと、粘着層F2aを介して光学部材本体F1aの一方の面に分離可能に積層されたセパレータシートF3aと、光学部材本体F1aの他方の面(図5では下面)に積層された表面保護フィルムF4aと、を含む。
【0028】
光学部材本体F1aは、例えば、偏光板として機能し、光学表示部品Pの表示領域、あるいは表示領域とその周辺領域とにわたって貼合される。光学部材本体F1aは、その一方の面に粘着層F2aを残しつつセパレータシートF3aを分離させた状態で、光学表示部品Pに粘着層F2aを介して貼合される。以下、光学部材シートFXからセパレータシートF3aを除いた部分を貼合シートF5という。シート片F1Xは、長尺状の貼合シートF5を所定サイズにカットして得られた貼合シートF5のシート片である。
【0029】
セパレータシートF3aは、粘着層F2aから分離されるまでの間に粘着層F2a及び光学部材本体F1aを保護する。表面保護フィルムF4aは、光学部材本体F1aと共に光学表示部品Pに貼合される。表面保護フィルムF4aは、光学部材本体F1aに対して光学表示部品Pと反対側に配置されて光学部材本体F1aを保護する。なお、光学部材シートFXが表面保護フィルムF4aを含まない構成であったり、表面保護フィルムF4aが光学部材本体F1aから分離される構成であってもよい。
【0030】
光学部材本体F1aは、シート状の偏光子F6と、偏光子F6の一方の面に接着剤等で接合される第一フィルムF7と、偏光子F6の他方の面に接着剤等で接合される第二フィルムF8とを有する。第一フィルムF7及び第二フィルムF8は、例えば偏光子F6を保護する保護フィルムである。
【0031】
なお、光学部材本体F1aは、一層の光学層からなる単層構造でもよく、複数の光学層が互いに積層された積層構造でもよい。前記光学層は、偏光子F6の他に、位相差フィルムや輝度向上フィルム等でもよい。第一フィルムF7と第二フィルムF8の少なくとも一方は、液晶表示素子の最外面を保護するハードコート処理やアンチグレア処理を含む防眩などの効果が得られる表面処理が施されてもよい。光学部材本体F1aは、第一フィルムF7と第二フィルムF8の少なくとも一方を含まなくてもよい。例えば第一フィルムF7を省略した場合、セパレータシートF3aを光学部材本体F1aの一方の面に粘着層F2aを介して貼り合わせてもよい。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の貼合装置100は、例えば、シート搬送装置110と、ヘッドユニット150と、ヘッド移動装置160と、ステージユニット170と、制御装置190と、を含む。
【0033】
シート搬送装置110は、例えば、巻き出し部111と、巻き取り部112と、ニップロール部113と、シートステージ114と、カット部115と、を含む。
【0034】
巻き出し部111は、長尺状の光学部材シートFXを巻回した原反ロールRXを保持するとともに光学部材シートFXをその長手方向に繰り出す。光学部材シートFXは、例えば、その搬送方向と直交する水平方向(シート幅方向)で、光学表示部品Pの表示領域の第一の辺(例えば、短辺)の長さと同等の幅を有する。
【0035】
以下、光学部材シートFX(セパレータシートF3a)を巻き出し部111から巻き出して搬送する方向をシート搬送方向といい、シート搬送方向の上流側をシート搬送上流側といい、シート搬送方向の下流側をシート搬送下流側という。
【0036】
カット部115は、原反ロールRXから巻き出された光学部材シートFXをセパレータシートF3aを残して厚み方向に切断(ハーフカット)する。カット部115は、例えば、光学部材シートFXがシート幅方向と直交する長さ方向で光学表示部品Pの表示領域の第二の辺(例えば、長辺)の長さと同等の長さだけ繰り出される毎に、シート幅方向の全幅にわたって光学部材シートFXの厚さ方向の一部を切断する。
【0037】
カット部115は、光学部材シートFXの搬送中に働くテンションによってセパレータシートF3aが破断しないように(所定の厚さがセパレータシートF3aに残るように)、切断刃の進退位置を調整し、粘着層F2aとセパレータシートF3aとの界面の近傍までハーフカットを施す。なお、切断刃の代わりに、レーザー切断装置をカット部115として用いることもできる。
【0038】
ハーフカット後の光学部材シートFXには、その厚さ方向で光学部材本体F1a、粘着層F2aおよび表面保護フィルムF4aが切断されることにより、光学部材シートFXのシート幅方向の全幅にわたる切込線が形成される。光学部材シートFは、切込線によって長手方向で表示領域の第二の辺の長さに相当する長さを有する区画に分けられる。この区画が、それぞれ貼合シートF5における一つのシート片F1Xとなる。
【0039】
光学部材シートFXのシート搬送方向に対する切断角度は、制御装置190によって制御される。例えば、シート搬送方向の複数個所に光学部材シートFXのエッジの画像を撮像する撮像装置を配置し、これらの撮像装置で撮像した複数個所のエッジの画像に基づいて、制御装置190が複数個所のエッジの位置を検出する。そして、検出された複数個所のエッジの相対的な位置関係に基づいて、制御装置190が光学部材シートFXのカット位置におけるエッジのシート搬送方向に対する傾き角度を算出する。そして、制御装置190によって制御された切断角度でカット部115が光学部材シートFXを切断する。これにより、光学部材シートFXがシート幅方向に蛇行した場合でも、光学部材シートFXを目的の方向に精度よく切断することができる。
【0040】
シートステージ114は、原反ロールRXから巻き出された光学部材シートFXの下面(セパレータシートF3a側の面)を支持する。シートステージ114は、例えば、カット部115によって光学部材シートFXをハーフカットするカット位置と、シート片F1XをセパレータシートF3aから剥離する剥離位置と、の双方に跨るように設けられる。
【0041】
ニップロール部113は、互いに回転軸方向が平行に配置された第一ニップロール113aと第二ニップロール113bとを含む。第一ニップロール113aと第二ニップロール113bは、互いに同期して回転することにより、セパレータシートF3aをシート搬送上流側からシート搬送下流側(巻き取り部112に巻き取る方向)、および、シート搬送下流側からシート搬送上流側(巻き取り部112から巻き解く方向)に向けて搬送する。
【0042】
巻き取り部112は、貼合ヘッド120によってセパレータシートF3aからシート片F1Xが剥離された後、単独となったセパレータシートF3aを巻き取る。巻き取り部112は、第一ニップロール113aおよび第二ニップロール113bと同期して回転することにより、セパレータシートF3aの巻き取りおよび巻き解しを行う。
【0043】
ヘッドユニット150は、例えば、貼合ヘッド120と、ヘッド駆動装置130と、ヘッド昇降装置140と、を含む。
【0044】
貼合ヘッド120は、例えば、ヘッド本体部121と、粘着シート122と、を含む。ヘッド本体部121は、上面が平坦な面となっており、下面が下側に凸となる湾曲した曲面となっている。ヘッド本体部121の下面には、粘着シート122が固着される。粘着シート122としては、例えば、粘着性のシリコーンゴムなどが用いられる。粘着シート122の表面は、シート片F1Xを貼着して保持する湾曲した保持面122aとなっている。保持面122aは、例えばシート片F1Xの貼合面(粘着層F2a)よりも弱い貼着力を有し、シート片F1Xの表面保護フィルムF4aを繰り返し貼着、剥離可能とされる。
【0045】
貼合ヘッド120は、シートステージ114上に支持されたシート片F1Xに湾曲した保持面122aを押し付けながら保持面122aの湾曲に沿って転動することにより、シート片F1XをセパレータシートF3aから剥離し保持面122aに保持する。貼合ヘッド120は、保持面122aに保持したシート片F1Xを貼合ステージ171に載置された光学表示部品Pに押し付けながら保持面122aの湾曲に沿って転動することにより、シート片F1Xを光学表示部品Pに貼合する。
【0046】
ヘッド駆動装置130は、例えば、ベースプレート135と、回転駆動部136と、ロッド部137と、を含む。
【0047】
貼合ヘッド120は、ヘッド本体部121の上面中央部に接続されたロッド部137を介して回転駆動部136の回転支持軸136aに接続される。回転支持軸136aは、ベースプレート135に固定される。貼合ヘッド120は、ロッド部137および回転支持軸136aを介してベースプレート135の下面に回転自在に吊り下げられる。保持面122aは、例えば、回転支持軸136aを中心とした円弧状の曲面となっている。
【0048】
貼合ヘッド120は、回転駆動部136によって回転支持軸136aの回りに所定の角度範囲で回転する。これにより、セパレータシートF3aから保持面122aへのシート片F1Xの貼着と、保持面122aから光学表示部品Pへのシート片F1Xの貼合(転写)と、が行われる。
【0049】
ヘッド昇降装置140は、昇降駆動部141と、ロッド部142と、を含む。ロッド部142の第一端部は、ベースプレート135の上面に固定され、ロッド部142の第二端部は、昇降駆動部141に接続されている。昇降駆動部141は、例えば、サーボモーターを内蔵し、サーボモーターの駆動力によってロッド部142が上下方向に移動する。これにより、貼合ヘッド120が鉛直方向に移動する。
【0050】
ヘッド移動装置160は、ガイドレール161と、スライダー162と、を含む。昇降駆動部141の上端部は、スライダー162に固定される。これにより、ヘッドユニット150がスライダー162に垂直に吊り下げられる。ガイドレール161は、シート搬送装置110と貼合ステージ171との間に跨るように設けられる。スライダー162は、ガイドレール161に沿って往復移動する。これにより、貼合ヘッド120は、シート片F1XをセパレータシートF3aから剥離する剥離位置と、シート片F1Xを光学表示部品Pに貼合する貼合位置との間を移動する。
【0051】
ヘッド駆動装置130、ヘッド昇降装置140およびヘッド移動装置160により、貼合ヘッド120を回転駆動、昇降移動および水平移動させるヘッド駆動機構が構成される。貼合ヘッド120は、ヘッド駆動装置130およびヘッド移動装置160に駆動されて回転および水平移動することにより、シートステージ114に支持されたシート片F1X上および貼合ステージ171に載置された光学表示部品P上を転動する。これにより、セパレータシートF3aから保持面122aへのシート片F1Xの貼着および保持面122aから光学表示部品Pへのシート片F1Xの貼合(転写)が行われる。
【0052】
貼合ヘッド120は、ヘッド駆動装置130により第一の回転方向(例えば時計回りの方向)に回転しつつ、ヘッド移動装置160により第一の移動方向(例えば右方向)に水平移動することにより、保持面122aの第一端部(例えば左端部)から第二端部(例えば右端部)に向かう第一の方向に転動可能である。また、貼合ヘッド120は、ヘッド駆動装置130により第二の回転方向(例えば反時計回りの方向)に回転しつつ、ヘッド移動装置160により第二の移動方向(例えば左方向)に水平移動することにより、保持面122aの第二端部(例えば右端部)から第一端部(例えば左端部)に向かう第二の方向に転動可能である。
【0053】
ステージユニット170は、貼合ステージ171と、ステージ駆動装置172と、当て板173と、を含む。
【0054】
貼合ステージ171は、光学表示部品Pを載置する載置面171aを有する。貼合ステージ171は、例えば、光学表示部品Pの下面(シート片F1Xと貼合する面とは反対側の面)を吸着することにより、光学表示部品Pを載置面171a上に保持する。
【0055】
当て板173は、光学表示部品Pの一辺に沿って配置された板状または棒状の部材である。当て板173は、載置面171a上に固定される。当て板173の高さは、光学表示部品Pの高さと概ね一致する。当て板173は、光学表示部品Pが載置される位置よりも転動方向AFDの上流側に配置される。
【0056】
光学表示部品Pは当て板173に隣接して配置される。光学表示部品Pは、端部を当て板173の側面に接触させた状態で載置面171a上に固定される。これにより、光学表示部品Pの上面と当て板173の上面とが連続した平面を形成する。
【0057】
当て板173は、貼合ステージ171上の少なくとも二か所(第一の位置および第二の位置)に固定して配置することができる。第一の位置は、転動方向AFDを第一の方向とした場合に対応する貼合ステージ171上の位置(例えば光学表示部品Pの左隣りの位置)であり、第二の位置は、転動方向AFDを第二の方向とした場合に対応する貼合ステージ171上の位置(例えば光学表示部品Pの右隣りの位置)である。
【0058】
貼合ヘッド120は、シートF1Xよりも貼合方向ADFの上流側に位置する保持面122aが当て板173の上面に押し付けられた後、貼合ヘッド120が当て板173の上面および光学表示部品Pの上面を連続的に転動することにより、保持面122aに保持したシート片F1Xを光学表示部品Pの一面に貼合する。シート片F1Xと光学表示部品Pとを接触させる前に、光学表示部品Pの外側で貼合ヘッド120を助走させることにより、荷重や速度などの貼合条件をシート片F1X全体で均一化することができる。
【0059】
ステージ駆動装置172は、貼合ステージ171を貼合ヘッド120の転動方向AFDおよび貼合ヘッド120の転動方向AFDと直交する方向に移動させる。また、ステージ駆動装置172は、貼合ステージ171を水平面内で回転させる。ステージ駆動装置172は、貼合ステージ171を駆動することにより、貼合ステージ171に保持された光学表示部品Pと貼合ヘッド120に保持されたシート片F1Xとの相対貼合位置を調整する。これにより、光学表示部品Pとシート片F1Xとのアライメントが行われる。
【0060】
制御装置190は、コンピュータシステムを含んで構成される。コンピュータシステムは、CPU等の演算処理部と、メモリやハードディスク等の記憶部とを含む。制御装置190は、コンピュータシステムの外部の装置との通信を実行可能なインターフェースを含み、貼合装置100を構成する各種装置および貼合装置100の外部の各種装置の動作を統括的に制御する。
【0061】
以下、図2を用いて、貼合ヘッド120にシート片F1Xを貼着する工程を説明する。
【0062】
図2(a)に示すように、貼合ヘッド120をシートステージ114に対して傾けた状態でシートステージ114の上方に配置する。シート片F1Xの搬送を停止し、シート片F1Xをシートステージ114上で静止させる。シートステージ114は、シート片F1XをセパレータシートF3a側から支持する。そして、貼合ヘッド120とシートステージ114上のシート片F1Xとを位置決めする。貼合ヘッド120は、転動方向上流側が転動方向下流側よりも下方に位置するように傾いている。本実施形態の場合、シート搬送下流側の端部がシート搬送上流側の端部よりも下方に位置するように傾いている。
【0063】
貼合ヘッド120とシート片F1Xとの位置決めが行われたら、ヘッド昇降装置140により、貼合ヘッド120はシート片F1Xと接触する高さまで下降する。これにより、貼合ヘッド120のシート搬送下流側の端部が、シート片F1Xのシート搬送下流側の端部上に押し付けられる。
【0064】
次に、図2(b)に示すように、回転駆動部136とヘッド移動装置160とを同期して駆動することにより貼合ヘッド120をシート搬送下流側からシート搬送上流側に向けて転動(回転および水平移動)させる。これにより、シート片F1Xがシート搬送下流側からシート搬送上流側にかけて徐々に保持面122aに貼り付けられる。
【0065】
貼合ヘッド120が保持面122aをシート片F1Xに押し付けて転動を開始した直後の第一の期間は、巻き取り部112およびニップロール部113は、回転駆動部136およびヘッド移動装置160の駆動に同期して、セパレータシートF3aを巻き解く方向(逆方向)に回転する。これにより、ニップロール部113の上流側でセパレータシートF3aが弛み、貼合ヘッド120によって荷重がかかっている部分よりもシート搬送下流側のシート片F1XおよびセパレータシートF3aが保持面122aの湾曲に沿ってシートステージ114の上方に浮き上がる。
【0066】
セパレータシートF3aは弛んだ状態であるため、シート片F1Xのシート搬送下流側の端部には、シート片F1Xを保持面122aから剥離させる力が生じにくい。よって、シート片F1Xと保持面122aとの密着力が高まり、保持面122aへのシート片F1Xの貼着が確実に行われる。また、セパレータシートF3aを弛ませることによって、シート片F1XがセパレータシートF3aから剥離する際に、瞬間的に大きな剥離力がセパレータシートF3aに加わることが抑制される。よって、セパレータシートF3aが破断することが抑制される。
【0067】
図2(c)に示すように、第一の期間が経過した後、貼合ヘッド120の転動が終了するまでの第二の期間は、巻き取り部112およびニップロール部113は、セパレータシートF3aを巻き取る方向(順方向)に回転する。これにより、セパレータシートF3aの弛みが解消されるとともに、セパレータシートF3aからのシート片F1Xの剥離が促される。巻き取り部112およびニップロール部113の回転方向を逆方向から順方向に切り替えるタイミングは、例えば、保持面122aへのシート片F1Xの貼着が、5%〜70%、好ましくは10%〜50%まで完了したタイミングとされる。
【0068】
巻き取り部112およびニップロール部113によってセパレータシートF3aの巻き解しおよび巻き取りを行っている間、貼合ヘッド120は回転駆動部136およびヘッド移動装置160によって常に同じ方向に転動し続ける。貼合ヘッド120は、保持面122aをシート片F1Xに押し付けながら保持面122aの湾曲に沿って転動することにより、シート片F1XをセパレータシートF3aから剥離し保持面122aに保持する。
【0069】
以上により、シート片F1Xの表面保護フィルムF4aが貼合ヘッド120の保持面122aに順次貼着される。保持面122aに貼着されたシート片F1Xは、セパレータシートF3aから剥離され、粘着層F2a(光学表示部品Pとの貼合面)が露出した状態となる。シート片F1Xを保持した貼合ヘッド120は、ヘッド移動装置160により、光学表示部品Pが載置された貼合ステージ171に移送される。
【0070】
図2では、シート面内に欠点のない良品のシート片F1Xを貼合ヘッド120に保持する工程を示したが、シート面内に欠点を有する不良品のシート片F1Xを貼合ヘッド120に保持する場合も同様の処理が行われる。不良品のシート片F1Xを保持した貼合ヘッド120は、ヘッド駆動装置160により、貼合ステージ171とは異なる位置に配置された図示略の捨貼位置(廃棄位置)に移送される。そして、捨貼位置に設けられた廃材シートなどに不良品のシート片F1Xが重ね貼りされる。
【0071】
シート片F1Xの欠点は、例えば、シート片F1Xの内部において固体と液体と気体の少なくとも一つからなる異物が存在する部分や、シート片F1Xの表面に凹凸やキズが存在する部分、シート片F1Xの歪や材質の偏りなどによって輝点となる部分などである。
【0072】
次に、図3を用いて、貼合ヘッド120に貼着したシート片F1Xを光学表示部品Pに貼合(転写)する工程を説明する。
【0073】
図3(a)に示すように、シート片F1Xを保持した貼合ヘッド120は、粘着層F2aを下向きにした状態で、ヘッド昇降装置140によってシート搬送装置110と干渉しない高さまで上昇する。そして、貼合ヘッド120は、ヘッド移動装置160によって、光学表示部品Pが載置された貼合ステージ171の上方の位置まで移送される。
【0074】
貼合ヘッド120がシートステージ114から貼合ステージ171まで移動する際に、例えば、保持面122aに保持されたシート片F1Xの二つの角部は、第一撮像装置181によって撮像される。第一撮像装置181によって撮像されたシート片F1Xの画像は、図示略の第一画像処理装置によって画像解析され、シート片F1Xの二つの角部の位置が検出される。第一画像処理装置によって検出されたシート片F1Xの角部の位置に関する情報は、制御装置190に送られる。制御装置190は、第一画像処理装置によって検出された情報に基づいて、貼合ヘッド120に対するシート片F1Xの配置位置を確認する。
【0075】
第一撮像装置181は、例えば、シート片F1Xの後端側の二つの角部を撮像するが、第一撮像装置181によって撮像されるシート片F1Xの数や位置はこれに限らない。貼合ヘッド120に対するシート片F1Xの配置位置が確認できる限りにおいて、第一撮像装置181によって撮像されるシート片F1Xの数を一つないし四つの範囲で自由に選択することができ、撮像される角部の位置も自由に設定することができる。
【0076】
貼合ステージ171に保持された光学表示部品Pは、例えば、第二撮像装置182によって撮像される。第二撮像装置182は、例えば、光学表示部品Pに設けられたアライメントマークやブラックマトリクスなどをアライメント基準として撮像する。第二撮像装置182によって撮像された光学表示部品Pの画像は、図示略の第二画像処理装置によって画像解析され、アライメント基準の位置が検出される。第二画像処理装置によって検出された光学表示部品Pのアライメント基準の位置に関する情報は、制御装置190に送られる。制御装置190は、第二画像処理装置によって検出された情報に基づいて、貼合ステージ171に対する光学表示部品Pの配置位置を確認する。
【0077】
制御装置190は、貼合ヘッド120に対するシート片F1Xの配置位置と、貼合ステージ171に対する光学表示部品Pの配置位置と、に基づいて、ステージ駆動装置172を制御する。制御装置190は、ステージ駆動装置172を用いて、貼合ステージ171を水平面内で水平移動させたり、貼合ステージ171を水平面内で回転駆動したりする。これにより、貼合ステージ171に保持された光学表示部品Pと貼合ヘッド120に保持されたシート片F1Xとの相対貼合位置が調整される。
【0078】
図3(b)に示すように、光学表示部品Pとシート片F1Xとの相対貼合位置が調整されたら、ヘッド昇降装置140により、貼合ヘッド120は光学表示部品Pに接触する高さまで下降する。貼合ヘッド120は、転動方向上流側の端部が転動方向下流側の端部よりも下方に位置するように傾いている。貼合ヘッド120を下降することにより、シート片F1Xよりも転動方向上流側に位置する貼合ヘッド120の端部が、光学表示部品Pの転動方向上流側に位置する当て板173の上面に押し付けられる。
【0079】
次に、図3(c)に示すように、回転駆動部136とヘッド移動装置160とを同期して駆動することにより、貼合ヘッド120を当て板173の上面から光学表示部品Pの上面に向けて転動させる。貼合ヘッド120の転動に伴って、保持面122aに保持されたシート片F1Xが徐々に光学表示部品Pの上面に貼り付けられる。
【0080】
貼合ヘッド120は、例えば、シート片F1Xの貼合面(粘着層F2a)よりも弱い接着力を有し、シート片F1Xの表面保護フィルムF4aを繰り返し貼着、剥離可能とされている。そのため、粘着層F2a側が光学表示部品Pに押圧されたシート片F1Xは、保持面122aから剥離されて、光学表示部品Pの上面に貼合される。以上により、光学表示部品Pへのシート片F1Xの貼合処理が完了する。
【0081】
図3では、シート面内に欠点のない良品のシート片F1Xを貼合ヘッド120から光学表示部品Pに転写する工程を示したが、シート面内に欠点を有する不良品のシート片F1Xを捨貼位置に設けられた廃材シートなどに貼合する場合にも同様の処理が行われる。
【0082】
図3では、貼合ヘッド120を保持面122aの第一端部(例えば左端部)から第二端部(例えば右端部)に向かう第一の方向に転動させて、光学表示部品Pの左端側の辺から右端側の辺に向けてシート片F1Xを貼合したが、シート片F1Xの貼合方向はこれに限らない。例えば、図4に示すように、貼合ヘッド120を保持面122aの第二端部(例えば右端部)から第一端部(例えば左端部)に向かう第二の方向に転動させて、光学表示部品Pの右端側の辺から左端側の辺に向けてシート片F1Xを貼合することも可能である。
【0083】
この場合、図4(a)に示すように、保持面122aの第二端部が第一端部よりも下方に位置するように貼合ヘッド120を傾けた状態で貼合ヘッド120を貼合ステージ171の上方に配置する。当て板173は、光学表示部品Pの転動方向上流側(例えば右側)に隣接して配置される。
【0084】
次に、貼合ステージ171に載置された光学表示部品Pと貼合ヘッド120の保持面122aに保持されたシート片F1Xとの相対貼合位置を調整する。そして、ヘッド昇降装置140により、貼合ヘッド120を光学表示部品Pに接触する高さまで下降する。貼合ヘッド120を下降することにより、シート片F1Xよりも転動方向上流側に位置する保持面122aの第二端部が、光学表示部品Pの転動方向上流側に位置する当て板173の上面に押し付けられる。
【0085】
次に、図4(b)に示すように、回転駆動部136とヘッド移動装置160とを同期して駆動することにより、貼合ヘッド120を当て板173の上面から光学表示部品Pの上面に向けて転動させる。貼合ヘッド120の転動に伴って、保持面122aに保持されたシート片F1Xが徐々に光学表示部品Pの上面に貼り付けられる。
【0086】
貼合ヘッド120の転動方向を第一の方向から第二の方向に切り替えるメリットは次のような場合に生じる。
【0087】
例えば、光学表示部品Pとシート片F1Xとの位置ずれは、貼合ヘッド120と光学表示部品Pとの位置決めがヘッド移動装置160によって高精度に行われるシート片F1Xの貼合開始位置において最も小さくなる。そのため、光学表示部品Pとシート片F1Xとの位置決めを光学表示部品P上のアライメント基準(例えばアライメントマーク)を用いて行う場合には、アライメント基準に近い光学表示部品Pの第一の辺からアライメント基準から遠い光学表示部品Pの第二の辺に向けて貼合を行うことが好ましい。
【0088】
一方、アライメント基準の位置は、設計によって適宜変更される。そのため、貼合ヘッド120の転動方向を一方向のみとすると、貼合ステージ171に同じ姿勢で光学表示部品Pを搬送しても、アライメント基準の位置が異なれば、貼合開始位置が第一の辺とは異なる辺(例えば、第二の辺)に設定され、貼合精度が十分に高められなくなる。本実施形態のように貼合ヘッド120の転動方向を第一の方向および第二の方向に切り替え可能とすると、このような問題は生じにくくなる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の貼合装置100では、貼合ヘッド120は、保持面122aの第一端部から第二端部に向かう第一の方向、および、保持面122aの第二端部から第一端部に向かう第二の方向に転動可能である。そのため、光学表示部品Pのアライメント基準の位置が変更された場合でも、それに合わせて転動方向を適切な方向に変更することができる。よって、貼合精度を高めることが可能な貼合装置が提供される。
【0090】
図6は、本発明の第一の実施の形態に係る光学表示デバイスの生産システム1000の概略図である。光学表示デバイスは、光学表示部品Pに光学部材を貼合することにより構成される。光学部材の大きさは、光学表示デバイスの仕様に基づいて設定される。生産システム1000は、光学表示部品Pに前記光学部材であるシート片を貼合する貼合装置として、上述した貼合装置100を備える。
【0091】
本実施形態の生産システム1000は、洗浄装置1001と、第一貼合装置1002と、第二貼合装置1003と、剥離装置1004と、第三貼合装置1005と、検査装置1006と、を含む。第一貼合装置1002、第二貼合装置1003および第三貼合装置1005は、上述した貼合装置100の構成を有する。洗浄装置1001と、第一貼合装置1002と、第二貼合装置1003と、剥離装置1004と、第三貼合装置1005と、検査装置1006は、光学表示部品Pを搬送する一連の搬送ラインに配置される。
【0092】
洗浄装置1001は、図示略のローダーから搬入された光学表示部品Pを洗浄し、光学表示部品Pに付着した異物などを除去する。洗浄装置1001は、例えば、光学表示部品Pの第一面(例えば、表示領域に表示された画像を視認する側の面)および第二面(例えば、表示領域に表示された画像を視認する側とは反対側の面)にブラシ掛けおよび水洗を行い、その後に光学表示部品Pの第一面および第二面の液切りを行う水洗式とすることができる。洗浄装置1001は、光学表示部品Pの表裏面の静電気除去および集塵を行う乾式とすることもできる。光学表示部品Pは、例えば、液晶パネルである。
【0093】
第一貼合装置1002は、光学表示部品Pの第一面に第一シート片を貼合する。第一貼合装置1002は、上述した貼合装置100と同様に、貼合ヘッドの転動方向を第一の方向と第二の方向に切り替え可能なものである。そのため、光学表示部品Pの設計仕様が変更された場合でも、第一シート片と光学表示部品Pとの貼合精度を高めることができる。
【0094】
第一シート片は、例えば、光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさにカットされた枚葉状の偏光板である。「光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさ」とは、光学表示部品Pに貼合したときに、実使用上問題となるような余剰部分を生じない大きさを意味する。第一シート片は、図5に示したシート片F1Xと同様の構成を有する。
【0095】
例えば、光学表示部品Pの中央部には、画像を表示する表示領域が設けられ、光学表示部品Pの端部には、半導体チップやフレキシブルプリント配線などが接続される複数の端子が備えられた電気部品取付部が設けられる。この場合、第一シート片としては、例えば、光学表示部品Pの表示領域の大きさ以上、光学表示部品Pの外形状(平面視における輪郭形状)の大きさ以下の領域であって、かつ光学表示部品Pにおける電気部品取付部等の機能部分を避けた領域の大きさを有するシート片が用いられる。
【0096】
第二貼合装置1003は、光学表示部品Pの第二面に第二シート片を貼合する。第二貼合装置1003は、上述した貼合装置100と同様に、貼合ヘッドの転動方向を第一の方向と第二の方向に切り替え可能なものである。そのため、光学表示部品Pの設計仕様が変更された場合でも、第二シート片と光学表示部品Pとの貼合精度を高めることができる。
【0097】
第二シート片は、例えば、光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさにカットされた枚葉状の偏光板である。第二シート片は、図5に示したシート片F1Xと同様の構成を有する。光学表示部品Pの第二面に貼合された第二シート片の透過軸と、光学表示部品Pの第一面に貼合された第一シート片の透過軸とは、互いに直交する。
【0098】
第一貼合装置1002と第二貼合装置1003との間の光学表示部品Pの搬送ライン上には、例えば、光学表示部品Pの表裏を反転する反転装置(図示略)が設けられる。第一面に第一シート片が貼合された光学表示部品Pは、表裏を反転された状態で第二貼合装置1002に供給される。
【0099】
剥離装置1004は、光学表示部品Pの第二面に貼合された第二シート片から表面保護フィルムを剥離する。
【0100】
第三貼合装置1005は、剥離装置1004によって表面保護フィルムが剥離された第二シート片の表面に第三シート片を貼合する。第三貼合装置1005は、上述した貼合装置100と同様に、貼合ヘッドの転動方向を第一の方向と第二の方向に切り替え可能なものである。そのため、光学表示部品Pの設計仕様が変更された場合でも、第三シート片と光学表示部品Pとの貼合精度を高めることができる。
【0101】
第三シート片は、例えば、光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさにカットされた枚葉状の輝度向上フィルムである。輝度向上フィルムは、透過軸と直交する直線偏光を反射する反射型の偏光板である。第三シート片は、図5に示したシート片F1Xと同様の構成を有する。光学表示部品Pの第二面に貼合された第二シート片の透過軸と、第二シート片上に貼合される第三シート片の透過軸とは、互いに平行である。
【0102】
検査装置1006は、光学表示部品Pに対して第一シート片、第二シート片および第三シート片の位置が適正か否か(位置ズレが公差範囲内にあるか)などの検査を行う。光学表示部品Pに対する第一シート片、第二シート片または第三シート片の位置が適正でないと判定された光学表示部品は、不図示の払い出し手段によりシステム外に排出される。
【0103】
第一シート片、第二シート片および第三シート片が貼合された光学表示部品は、必要に応じて、欠陥検査(異物検査など)や、電気部品の実装などの付帯的な処置が施された後、光学表示デバイスDPとして出荷される。
【0104】
以上説明した生産システム1000においては、第一貼合装置1002、第二貼合装置1003および第三貼合装置1005として、上述した貼合装置100と同様の構成を有する貼合装置が用いられている。そのため、シート片と光学表示部品Pとの貼合精度に優れた光学表示デバイスDPを提供することができる。
【0105】
[第二の実施の形態]
以下、図7ないし図9を用いて、本発明の第二の実施の形態に係る貼合装置および光学表示デバイスの生産システムを説明する。
【0106】
図7は、本実施形態の生産システムにおけるシート片FXmの切断工程を示す図である。
【0107】
本実施形態において第一の実施の形態と異なる点は、貼合ヘッドによって光学表示部品Pに貼合されるシート片FXmが、目的とする大きさ(光学表示デバイスの仕様に基づいて設定された大きさ)の光学部材FOよりも若干大きいシート片である点と、シート片FXmを光学表示部品Pに貼合した後に、シート片FXmの余剰部分を切断装置184によって切断する点、である。よって、以下では、シート片FXmの切断工程を中心に説明する。また、第一の実施の形態と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0108】
シート片FXmの断面構造は、図5に示したシート片F1Xと同様である。シート片FXmは、図1に示した長尺状の光学部材シートFXを所定のサイズにカットして得られる。シート片FXmは、例えば、光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさ(第一領域FBの大きさ)よりも若干大きい。「光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさ」とは、光学表示部品Pに貼合したときに、実使用上問題となるような余剰部分を生じない大きさを意味する。シート片FXmは、光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさよりも大きいため、実使用上問題となる余剰部分(第二領域FS)を切断装置184によって切断する。
【0109】
シート片FXmを光学表示部品Pに貼合する貼合装置は、第一の実施の形態で説明した貼合装置100と同様である。本実施形態では、この貼合装置の下流側の搬送ライン上に検出装置189および切断装置184が設けられる。
【0110】
検出装置189は、シート片FXmが貼合された光学表示部品Pを撮像する撮像装置183を含む。検出装置189は、撮像装置183の撮像データに基づいて、シート片FXmのカットラインWCL(シート片FXmを切断すべき位置)を検出する。
【0111】
撮像装置183は、例えば、切断ステージ185に載置された光学表示部品Pの上方から、シート片FXm越しに光学表示部品Pを撮像する。撮像装置183は、例えば、シート片FXmが貼合される光学表示部品Pの基板(例えば、カラーフィルター基板)の四隅の画像を撮像する。検出装置189は、例えば、この撮像データを画像処理して基板の外周縁の位置を検出し、この外周縁の位置をシート片FXmのカットラインWCLとして検出する。
【0112】
検出装置189によって検出されたカットラインWCLの情報は、制御装置190に送られる。制御装置190は、検出装置189から送られたカットラインWCLの情報に基づいて、切断装置184を制御し、シート片FXmをカットラインWCLに沿って切断する。これにより、シート片FXmの表示領域と対向する第一領域FBと、第一領域FBの外側の第二領域FSとが切り離され、目的とする大きさの光学部材FOがシート片FXmから切り出される。
【0113】
シート片FXmのカットラインWCLは、搬送ライン上を搬送される光学表示部品Pごとに検出される。よって、光学表示部品Pごとにサイズのバラツキがあっても、光学表示部品Pの外形寸法に対応する大きさの光学部材FOをシート片FXmから確実に切り出すことができる。
【0114】
本明細書において、目的とする大きさの光学部材FOよりも大きめのシート片FXmを光学表示部品Pに貼合した後、光学表示部品Pの撮像データに基づいてシート片FXmの余剰部分を切断する方式を「ウィンドウカット方式」と称する。本実施形態では、ウィンドウカット方式を採用することによって、光学表示部品Pの所望の位置に所望の大きさの光学部材FOを貼合する。ウィンドウカット方式を採用することによって、以下の効果が得られる。
【0115】
(i)光学部材を光学表示部品Pに貼合する場合には、光学表示部品Pおよび光学部材FOの各寸法バラツキ、並びに光学表示部品Pに対する光学部材FOの貼合バラツキ(位置ズレ)などを考慮して、本来必要とされる大きさよりも若干大きい光学部材FOを光学表示部品Pに貼合する。しかしながら、この方法では、光学表示部品Pの表示領域の周辺部に表示に寄与しない余分な領域(額縁領域)が形成され、機器の小型化が阻害される。ウィンドウカット方式を採用した場合には、シート片FXmを貼合した後の光学表示部品Pを撮像し、その撮像データに基づいてシート片FXmを切断するので、目的とする位置に目的とする大きさの光学部材FOを確実に配置することができる。
【0116】
(ii)シート片FXmの光学軸の方向は、製造誤差によって、本来設計されていた方向からずれる場合がある。この場合、予めシート片FXm(光学部材シートFX)の光学軸の方向を測定しておき、その測定結果に基づいて、シート片FXmと光学表示部品Pとの相対貼合位置を調整することが好ましいが、シート片FXmの大きさを目的とする光学部材FOの大きさに一致させると、このような調整を行うことができない。ウィンドウカット方式では、光学部材FOよりも大きいシート片FXmを光学表示部品Pに貼合し、その後シート片FXmの余剰部分を切断するため、このような調整が可能となる。
【0117】
例えば、光学表示部品Pに対するシート片FXmの貼合位置(相対貼合位置)は、以下のように決定することができる。
【0118】
まず、図8(a)に示すように、光学部材シートFXの幅方向に複数の検査ポイントCPを設定し、各検査ポイントCPにおいて光学部材シートFXの光学軸の方向を検出する。光学軸を検出するタイミングは、原反ロールRX(図1参照)の製造時でもよく、原反ロールRXから光学部材シートFXを巻き出してハーフカットするまでの間でもよい。光学部材シートFXの光学軸方向のデータは、光学部材シートFXの長手方向の位置および幅方向の位置と関連付けられて図示略の記憶装置に記憶される。
【0119】
制御装置190は、前記記憶装置から各検査ポイントCPの光学軸のデータ(光学軸の面内分布の検査データ)を取得し、シート片FXmが切り出される部分の光学部材シートFX(切込線CLによって区画される領域)の平均的な光学軸の方向を検出する。
【0120】
例えば、図8(b)に示すように、光学軸の方向とシート片FXmのエッジラインELとのなす角度(ずれ角)を検査ポイントCP毎に検出し、前記ずれ角のうち最も大きな角度(最大ずれ角)をθmaxとし、最も小さな角度(最小ずれ角)をθminとしたときに、最大ずれ角θmaxと最小ずれ角θminとの平均値θmid(=(θmax+θmin)/2)を平均ずれ角として検出する。そして、シート片FXmのエッジラインELに対して平均ずれ角θmidをなす方向をシート片FXmの平均的な光学軸の方向として検出する。なお、前記ずれ角は、例えば、シート片FXmのエッジラインELに対して左回りの方向を正とし、右回りの方向を負として算出される。
【0121】
そして、上記の方法で検出された光学部材シートFXの平均的な光学軸の方向が、光学表示部品Pの表示領域P4の一辺に対して所望の角度をなすように、光学表示部品Pに対するシート片FXmの貼合位置(相対貼合位置)が決定される。例えば、設計仕様によって光学部材の光学軸の方向が表示領域P4の一辺に対して90°をなす方向に設定されている場合には、光学部材シートFXの平均的な光学軸の方向が表示領域P4の一辺に対して90°をなすように、シート片FXmが光学表示部品Pに貼合される。
【0122】
その後、図7に示した検出装置189によりシート片FXmのカットラインWCLが検出され、切断装置184により、シート片FXmがカットラインWCLに沿って切断される。これにより、光学軸の方向が精密に制御された光学部材FOが、所望の大きさおよび所望の位置に配置される。よって、表示品質に優れた狭額縁な光学表示デバイスDPを提供することができる。
【0123】
図9は、本発明の第二の実施の形態に係る光学表示デバイスの生産システム2000の概略図である。生産システム2000は、ウィンドウカット方式を採用した生産システムである。生産システム2000は、光学表示部品Pに前記光学部材よりも大きいシート片を貼合する貼合装置として、第一の実施の形態で説明した貼合装置100を備える。
【0124】
本実施形態の生産システム2000は、洗浄装置2001と、第一貼合装置2002と、第一切断装置2003と、第二貼合装置2004と、第二切断装置2005と、剥離装置2006と、第三貼合装置2007と、第三切断装置2008と、検査装置2009と、を含む。洗浄装置2001と、第一貼合装置2002と、第一切断装置2003と、第二貼合装置2004と、第二切断装置2005と、剥離装置2006と、第三貼合装置2007と、第三切断装置2008と、検査装置2009は、光学表示部品Pを搬送する一連の搬送ラインに配置される。
【0125】
洗浄装置2001、第一貼合装置2002、第二貼合装置2004、剥離装置2006、第三貼合装置2007および検査装置2009は、第一の実施の形態の洗浄装置1001、第一貼合装置1002、第二貼合装置1003、剥離装置1004、第三貼合装置1005および検査装置1006とそれぞれ同じ構成を有する。ただし、第一貼合装置2002、第二貼合装置2004および第三貼合装置2007では、目的とする大きさの光学部材よりも若干大きいシート片を光学表示部品Pに貼合する。
【0126】
第一切断装置2003、第二切断装置2005および第三切断装置2008は、上述した切断装置184および検出装置189と同様の構成を有する。すなわち、第一切断装置2003、第二切断装置2005および第三切断装置2008では、目的とする大きさの光学部材よりも大きめのシート片FXmを貼合した光学表示部品Pを撮像装置によって撮像し、その撮像データに基づいてシート片の余剰部分を切断するウィンドウカット方式が採用される。よって、表示品質に優れた狭額縁な光学表示デバイスDPを提供することができる。
【0127】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、貼合ヘッド120として、円弧状の保持面122aを有するものを用いたが、貼合ヘッド120の構成はこれに限らない。貼合ヘッド120は、円弧以外の湾曲した形状の保持面を有するものでもよいし、円筒状の保持面を有するものでもよい。
【符号の説明】
【0128】
100…貼合装置、111…巻き出し部、112…巻き取り部、114…シートステージ、115…カット部、120…貼合ヘッド、122a…保持面、171…貼合ステージ、173…当て板、184…切断装置、189…検出装置、1000…光学表示デバイスの生産システム、1002,1003,1005…貼合装置、2000…光学表示デバイスの生産システム、2002,2004,2007…貼合装置、2003,2005,2008…切断装置、DP…光学表示デバイス、F1X,FXm…シート片、F3a…セパレータシート、FO…光学部材、FX…光学部材シート、P…光学表示部品、RX…原反ロール、WCL…カットライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9