(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397691
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】排ガス分析システム及び排ガス分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20180913BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20180913BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
G01N1/00 101R
F02D45/00 368Z
G01N1/22 G
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-164593(P2014-164593)
(22)【出願日】2014年8月12日
(65)【公開番号】特開2016-40536(P2016-40536A)
(43)【公開日】2016年3月24日
【審査請求日】2017年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155023
【氏名又は名称】株式会社堀場製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(72)【発明者】
【氏名】青木 伸太郎
【審査官】
三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】
特表平11−508368(JP,A)
【文献】
特開2004−117261(JP,A)
【文献】
特開2004−170357(JP,A)
【文献】
特開平04−331324(JP,A)
【文献】
特開平10−205374(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0101302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
F02D 45/00
G01N 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気管の所定箇所から排ガスをサンプルするサンプル管と、該サンプル管を介して導入された排ガスの所定成分濃度を測定する分析装置とを具備した排ガス分析システムであって、
前記排気管の所定箇所に取り付けられた第1排ガスセンサ及び該第1排ガスセンサよりも下流側の排気管または前記サンプル管に取り付けられた第2排ガスセンサから、それぞれ排ガスの同種特定成分の濃度を取得する特定成分濃度取得回路と、
各排ガスセンサで得られた特定成分同士の濃度を比較し、前記第1排ガスセンサから得られた特定成分濃度が、前記第2排ガスガスセンサで得られるまでの時間である特定成分伝搬時間を決定するととともに、前記特定成分伝搬時間に基づいて、内燃機関から排出された排ガスが分析装置に到達するまでの到達時間を算出する到達時間算出回路と、
内燃機関から排出された実質的に直後時点での排ガス流量を取得する排ガス流量取得回路と、
前記分析装置で測定された所定成分濃度と、該所定成分濃度の測定時刻よりも前記到達時間だけ前に、前記排ガス流量取得回路で取得された排ガス流量とを掛け合わせた値を、所定期間に亘って時間積分することにより、該所定期間における前記所定成分の排出量を算出する所定成分排出量算出回路とを具備していることを特徴とする排ガス分析システム。
【請求項2】
前記排ガス流量取得回路が、車両または内燃機関に予め付帯する機能によって得られる吸入空気量および燃料流量を取得し、該吸入空気量および燃料流量に基づいて排ガス流量を算出するものである請求項1記載の排ガス分析システム。
【請求項3】
前記第1排ガスセンサが排気管における内燃機関近傍に取り付けられており、前記第2排ガスセンサが排気管におけるサンプル管の取付位置近傍に取り付けられている請求項1または2記載の排ガス分析システム。
【請求項4】
前記特定成分が、排気管に設置されている触媒によって変化ないし吸収されない物質である請求項1ないし3いずれか記載の排ガス分析システム。
【請求項5】
前記特定成分がO2である請求項1ないし4いずれか記載の排ガス分析システム。
【請求項6】
内燃機関の排気管の所定箇所から排ガスをサンプルするサンプル管と、該サンプル管を介して導入された排ガスの所定成分濃度を測定する分析装置とを具備する排ガス分析システムを用いた排ガス分析方法であって、
前記排気管の所定箇所に取り付けられた第1排ガスセンサ及び該第1排ガスセンサよりも下流側の排気管または前記サンプル管に取り付けられた第2排ガスセンサから、それぞれ排ガスの同種特定成分の濃度を取得する特定成分濃度取得ステップと、
各排ガスセンサで得られた特定成分同士の濃度を比較し、前記第1排ガスセンサから得られた特定成分濃度が、前記第2排ガスガスセンサで得られるまでの時間である特定成分伝搬時間を決定するととともに、前記特定成分伝搬時間に基づいて、内燃機関から排出された排ガスが分析装置に到達するまでの到達時間を算出する到達時間算出ステップと、
内燃機関から排出された実質的に直後時点での排ガス流量を取得する排ガス流量取得ステップと、
前記分析装置で測定された所定成分濃度と、該所定成分濃度の測定時刻よりも前記到達時間だけ前に、前記排ガス流量取得ステップで取得された排ガス流量とを掛け合わせた値を、所定期間に亘って時間積分することにより、該所定期間における前記所定成分の排出量を算出する所定成分排出量算出ステップと、
を含む排ガス分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出される排ガスを分析する排ガス分析装置に関し、特に車両搭載型のものに好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関から排出される各成分のエミッションを測定する排ガス分析システムとしては、排ガス各成分の濃度を測定する分析装置と、排ガスの流量を測定する流量センサと具備し、濃度と流量との積を試験時間で積分して各成分の排出量、すなわちエミッションを算出するものが知られている。
このエミッション算出の原理からすれば、排ガスの成分濃度に、該成分濃度を測定した同時刻の排ガス流量を掛け合わせる必要がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に示すような車両搭載型の排ガス分析システムでは、排気管の例えばテールパイプなどの所定箇所にサンプル管のプローブ部分を取り付け、このサンプル管を通して排ガスの一部を分析装置に導いて各成分の濃度を測定するとともに、ピトー管式などの流量計を前記プローブ部分の近傍に取り付けることにより、同じ排ガスの成分濃度と排ガス流量とを同時に測定できるようにしている(もっとも、サンプル管を排ガスが通過する時間や分析装置での分析時間などによって、成分濃度測定が若干遅れるが、この遅れ時間は小さいので無視したり、あるいはサンプル管を流れる排ガス流速はほぼ一定であり、その遅れ時間は計算によっても容易に求まるので、その遅れ時間を加味したりしてエミッションを算出している。)。
ところで、車両によっては、スペースや構造的な問題から、サンプル管の近傍に流量センサを取りつけることが難しい場合がある。
【0004】
そのような場合、サンプル管から離れた場所に流量センサを取り付けたり、あるいは、車両に付属されているセンサ、例えば吸入空気量計と燃料消費計とから吸入空気量と消費燃料を、ECUのバスなどから取得し、それらから排ガス流量を算出したりする。この場合の排ガス流量は、内燃機関から排出された直後時点での流量となる。
【0005】
しかしながら、このように排ガスを分析のためにサンプルしている箇所と、流量を測定している箇所とが離れていると、その間を排ガスが流れる時間だけ、流量測定と成分濃度測定に時間差が生じ、それらを掛け合わせてもエミッションを正確に求められないという不具合が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−156850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述した課題を解決すべく図ったものであって、排ガスの流量センサを所望の箇所に取り付けられないような車両であっても、無理なく精度の良いエミッション測定ができる排ガス分析システムを提供することをその所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る排ガス分析システムは、内燃機関の排気管の所定箇所から排ガスをサンプルするサンプル管と、該サンプル管を介して導入された排ガスの所定成分濃度を測定する分析装置とを具備した排ガス分析システムであって、以下の構成要件を具備することを特徴とする。
【0009】
(1)前記排気管の所定箇所に取り付けられた第1排ガスセンサ及び該第1排ガスセンサよりも下流側の排気管または前記サンプル管に取り付けられた第2排ガスセンサから、それぞれ排ガスの同種特定成分の濃度を取得する特定成分濃度取得回路。
(2)各排ガスセンサで得られた特定成分同士の濃度を比較し、前記第1排ガスセンサから得られた特定成分濃度が、前記第2排ガスセンサで得られるまでの時間である特定成分伝搬時間を決定するととともに、前記特定成分伝搬時間に基づいて、内燃機関から排出された排ガスが分析装置に到達するまでの到達時間を算出する到達時間算出回路。
(3)内燃機関から排出される実質的に直後時点での排ガス流量を取得する排ガス流量取得回路。
(4)前記分析装置で測定された所定成分濃度と、該所定成分濃度の測定時よりも前記到達時間だけ前に、前記排ガス流量取得回路で取得された排ガス流量、すなわち内燃機関から排出される実質的に直後時点での排ガス流量とを掛け合わせた値を、所定期間に亘って時間積分することにより、該所定期間における前記所定成分の排出量を算出する所定成分排出量算出回路。
ここで、「内燃機関から排出された排ガスが分析装置に到達するまでの到達時間」とは、厳密な時間ではなく、算出された所定成分の排出量が許容誤差内に収まるような実質的な時間のことをいう。したがって、例えば、サンプル管での排ガス流通時間が無視できるのであれば、内燃機関から出た排ガスが、サンプル管の入口近傍に到達するまでの時間を到達時間としてもよいし、そうでないのであれば、内燃機関から出た排ガスがサンプル管を通って分析装置の入口近傍にまで到達する時間を到達時間とするなどしてもよい。
【0010】
センサ等を取り付けることなく前記排ガス流量を取得するには、前記排ガス流量取得
回路が、車両または内燃機関に予め付帯する機能によって得られる吸入空気量および燃料流量を取得し、該吸入空気量および燃料流量に基づいて排ガス流量を算出するものが好ましい。
【0011】
精度良く前記到達時間を算出し、所定成分排出量の測定精度を向上させるには、前記第1排ガスセンサが排気管における内燃機関近傍に取り付けられており、前記第2排ガスセンサが排気管におけるサンプル管の取付位置近傍に取り付けられていることが望ましい。
【0012】
前記特定成分の濃度が触媒で変化すると、特定成分伝搬時間を決定できない恐れが生じるため、これを回避するには、該特定成分が、排気管に設置されている触媒によって変化ないし吸収されない物質であることが好ましい。
【0013】
特定成分がO
2であれば、排ガスセンサとして、簡易で小さく応答性のよいものが存在するうえ、O
2は触媒によっても吸収されたり変化したりしないため、本発明の効果が特に顕著となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成した本発明によれば、分析装置での排ガス所定成分の測定時刻と、排ガス流量の測定時刻とのずれである到達時間を求めて、流量を測定した排ガスを特定し、その排ガスの所定成分を測定するとともに、それらを掛け合わせて時間積分することによって、所定期間に亘る所定成分の排出量を算出しているので、排ガスを分析のためにサンプルしている箇所と、流量を測定している箇所が離れている場合であっても、所定成分の排出量を精度良く測定することができる。
【0015】
また、内燃機関から排出された直後時点の排ガス流量は、車両または内燃機関に予め付帯させてある機能によって得られるため、専用の流量センサは不要であるうえ、排ガスセンサは、流量センサに比べ、簡易かつ小型で取付場所に自由度があり、ほとんどの車種に取り付けられるため、車種に依存せず、エミッションを無理なく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態における排ガス分析システムを車両に搭載した状態を示す模式図。
【
図2】同実施形態における排ガス分析システムの機能ブロック図。
【
図3】同実施形態における排ガス分析システムの動作を説明するための動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る排ガス分析システム100は、
図1に示すように、該車両Vの内燃機関EGから排出される排ガス各成分のエミッションや燃費などを測定する、例えば車両搭載型のものである。
【0019】
より具体的に説明すると、このものは、車両排気管5のテールパイプにプローブ部分が取り付けられたサンプル管1と、このサンプル管1を介して排ガスの一部をサンプリングし、該排ガスに含まれる種々の所定成分の濃度を測定する分析装置2と、該分析装置2から出力される各所定成分濃度に基づいてエミッション等を算出する情報処理装置3とに加え、この実施形態では、排気管5の2箇所に取り付けられたO
2センサ41、42をも具備するものである。
サンプル管1は、内部で結露やHC凝縮が生じないように、管本体にヒータ(いずれも図示しない)を巻き回したものである。
【0020】
分析装置2は、例えば、CO
2濃度計、NO
X濃度計、THC計などの複数の成分濃度計からなるものである。なお、各成分濃度計の詳細については既知であるため、ここでは説明を省略する。
【0021】
O
2センサは、排ガスと大気とを導入する導入管を具備したジルコニア式またはチタニア式のものであり、排ガスに含まれるO
2濃度を示すO
2濃度信号を出力する。このO
2センサは、小型で簡単な構造であることが特徴である。この実施形態では、第1O
2センサ41(請求項でいう第1排ガスセンサ)を、排気管5の始端近傍に取り付けるとともに、第2O
2センサ42(請求項でいう第2排ガスセンサ)を、排気管5に設けられている触媒装置(図示しない)を挟んで、該排気管5におけるプローブ取付箇所近傍に取り付けている。
【0022】
情報処理装置3は、物理的にいえば、CPU、メモリ、通信ポート、A/Dコンバータなどを有した専用ないし汎用のいわゆるコンピュータであり、ここでは分析装置とは別体をなすものであるが、これを分析装置内に組み込んでも構わない。
【0023】
一方、情報処理装置3は、機能的にいえば、この前記メモリに予め記憶させたプログラムにしたがってCPUやその周辺機器が協働することにより、分析データ受信回路32、特定成分濃度取得回路31、排ガス流量取得回路33、到達時間算出回路34、所定成分排出量算出回路35等としての機能を発揮し、排ガス中の各所定成分のエミッション等を算出すべく動作する。
次に前記各回路の機能説明も兼ねて、本排ガス分析システム100の動作の一例を説明する。
【0024】
試験走行(ここでは路上試験走行)が始まると、分析データ受信回路32が、前記分析装置2で測定した前記各所定成分の濃度を示す所定成分濃度データを、その測定時刻とともに一連の時系列データとして受信し、メモリの所定領域に設定した所定成分濃度データ格納部D2に格納する。
【0025】
その一方で、特定成分濃度取得回路31が、各O
2センサ41、42の示すO
2濃度を逐次取得し、それらを取得した時刻とともに時系列データとしてメモリの所定領域に設定した第1特定成分濃度データ格納部D3および第2特定成分濃度データ格納部D4にそれぞれ格納する。
【0026】
また、前記排ガス流量取得回路33が、車両Vまたは内燃機関EGに付帯する吸入空気量計および供給燃料計(図示しない)からECUのバス(例えばCAN)やOBDを介して、吸入空気量および燃料流量を取得し、該吸入空気量および燃料流量に基づいて排ガス流量を算出する。そして、この排ガス流量取得回路33は、吸入空気量および燃料流量を取得した時刻ととともに、前記算出した排ガス流量を時系列データとしてメモリの所定領域に設定した排ガス流量データ格納部D1に格納する。なお、吸入空気量および燃料流量から排ガス流量を算出する具体的な手順については既知であるので、ここでの説明は省略する。
【0027】
このようにして、試験走行期間に亘っての、分析装置2で測定された各所定成分の濃度を示す所定成分濃度データ、第1O
2センサ41から得られたO
2濃度(以下、第1O
2濃度ともいう。)を示す第1O
2濃度データ、第2O
2センサ42から得られたO
2濃度(以下、第2O
2濃度ともいう。)を示す第2O
2濃度データ、および排ガス流量を示す排ガス流量データが、前記所定成分濃度データ格納部D2、第1特定成分濃度データ格納部D3、第2特定成分濃度データ格納部D4および排ガス流量データ格納部D1にそれぞれ格納される。
【0028】
次に、到達時間算出回路34が、各特定成分濃度データ格納部D3、D4を参照して、試験期間中における一連の第1O
2濃度と第2O
2濃度とを比較し、所定時刻でサンプリングされた第1O
2濃度と同じ値を示す第2O
2濃度を抽出するとともに、その第2O
2濃度がサンプリングされた時刻を特定する。そして、その時刻差を算出する。この時刻差が、O
2が第1O
2センサ41から第2O
2センサ42に至るまでの特定成分伝播時間であり、ここでは、該特定成分伝播時間を、排ガスが内燃機関EGから分析装置2に至るまでの到達時間とみなして、前記第2O
2濃度がサンプリングされた時刻と紐付け、メモリの所定領域に設定した到達時間データ格納部D5に格納する。
【0029】
この到達時間の概念を
図3を用いて説明する。
図3は、第1O
2濃度の時間変化と第2O
2濃度の時間変化を表すグラフである。排ガス流量は内燃機関EGの運転状態によって刻一刻変化し、その流速も変化するため、これら各時間変化を示すグラフは、同一形ではなく、部分的に時間方向に伸縮した関係になる。しかして、所定時刻T1に第1O
2センサ41で検知されたO
2濃度(第1O
2濃度)と同じ値の濃度が第2O
2センサ42で検知され、この間の時間(到達時間)がt1である。また、別の時刻T2では、到達時間はt1とは異なるt2となることがわかる。
【0030】
次に、この到達時間算出回路34は、前記所定時刻から未来に向かって、順次第1O
2濃度のサンプリング時刻をずらし、その値と同じ値を有する第2O
2濃度のサンプリング時刻を特定することによって、次々と第2O
2濃度の各サンプリング時刻に対応する到達時間を到達時間データ格納部D5に格納する。過去に向かっても同様である。このように前記所定時刻を基準にして逐次サンプリング時刻をずらして第2濃度を検索することで、対応する第2濃度の時刻の特定が可能になる。
このようにして、到達時間算出回路34により、試験期間中の、前記第2O
2濃度がサンプリングされた各時刻に対応する全ての到達時間が算出される。
【0031】
次に、所定成分排出量算出回路35が、前記分析装置2で測定された所定成分濃度と、該所定成分濃度の測定時刻よりも前記到達時間だけ前に、前記排ガス流量取得回路33で取得された排ガス流量とを掛け合わせた値を、試験走行期間に亘って時間積分することにより、該試験走行期間における各所定成分の排出量を算出する。
【0032】
より具体的に説明すると、所定成分排出量算出回路35は、前記所定成分濃度データ格納部D2および到達時間データ格納部D5を参照して、前記各所定成分濃度の測定時刻と同じ時刻にサンプリングされた第2O
2濃度に対応する到達時間を特定する。
【0033】
次に、該所定成分排出量算出回路35は、前記排ガス流量データ格納部D1を参照して、所定成分濃度の測定時刻よりも前記到達時間だけ前に、前記排ガス流量取得回路33で取得された排ガス流量、すなわち内燃機関EGから排出される実質的に直後時点での排ガス流量とを掛け合わせた値である瞬時エミッション値をメモリの所定領域に設定した瞬時エミッションデータ格納部D6に格納する。
【0034】
この動作を各測定時刻で行い、試験走行期間に亘る瞬時エミッション値を足し合わせる、すなわち、時間積分することによって、該試験走行期間での各所定成分の排出量を算出する。
【0035】
以上のように構成した本実施形態によれば、ピトー管式流量計など、取付場所の制限が大きい専用の流量計を用いることなく、構造が簡単で、排気管のほとんどの場所に設置できるO
2センサを用いているので、ほとんどの車種に対応してエミッションを測定することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、各サンプリング時刻での到達時間は、
図3の各グラフのいずれか一方を他方に一致させるべく、時間方向に伸縮させるグラフマッチング等を施して算出するようにしてもよい。
【0036】
前記実施形態では、到達時間を第1O
2センサ41での測定時刻と第2O
2センサ42での測定時刻との差としていたが、より精度を高めるために、これにサンプル管1を排ガスが流れる時間を足し合わせたものを到達時間としても良い。また、前記実施形態同様、単にO
2センサでの測定時刻の差をもって到達時間とするのであれば、第2O
2センサ42をサンプル管1の終端部、すなわち分析装置2近傍に設置すれば、その精度をより向上させることができる。
【0037】
第1O
2センサ41と第2O
2センサ42との設置場所は、その他にも種々考えられる。例えば各O
2センサ41、42をそれぞれ排気管の内径が変わらない同一径部分の始端と終端に取り付け、測定時刻の差である前記特定成分伝播時間を算出することによって排ガス流量または排ガス流速を算出し、その排ガス流量または排ガス流速に基づいて、内燃機関から排出された排ガスが分析装置に到達するまでの到達時間を算出するようにしてもよい。
【0038】
前記所定時刻は、例えば、内燃機関EGの始動時や、急激にO
2濃度が変化した時点、あるいはO
2濃度が最大になった時点など、第1O
2濃度がユニークな挙動を示したり、ユニークな値を取る時刻にすればより好ましい。なぜならば、第1O
2濃度と同じ値を有する第2濃度は複数の時刻で表れ、特定が難しくなることから、第1O
2濃度がユニークな挙動や値を取った所定時刻を基準とすれば、対応する第2濃度の時刻の特定が確実になるからである。
さらに、O
2濃度(特定成分濃度)として、所定区間毎の平均濃度や移動平均濃度を用いるようにしてもよい。
その他、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【符号の説明】
【0039】
100・・・排ガス分析システム
EG・・・内燃機関
1・・・サンプル管
2・・・分析装置
31・・・特定成分濃度取得回路
33・・・排ガス流量取得回路
34・・・到達時間算出回路
35・・・所定成分排出量算出回路
41・・・第1排ガスセンサ(第1O
2センサ)
42・・・第2排ガスセンサ(第2O
2センサ)
5・・・排気管