特許第6397766号(P6397766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397766
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】流体を配送するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/00 20060101AFI20180913BHJP
   B67D 7/02 20100101ALI20180913BHJP
   F04F 1/02 20060101ALI20180913BHJP
   F04B 23/04 20060101ALI20180913BHJP
【FI】
   B65D90/00 H
   B67D7/02 Z
   F04F1/02
   F04B23/04
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-558860(P2014-558860)
(86)(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公表番号】特表2015-510477(P2015-510477A)
(43)【公表日】2015年4月9日
(86)【国際出願番号】US2013027301
(87)【国際公開番号】WO2013126685
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/602,898
(32)【優先日】2012年2月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョーダン・ホッジズ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ディー・チズム
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル・ダブリュー・マクフェロン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・ディー・ウェア
(72)【発明者】
【氏名】グレン・エム・トム
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−138849(JP,A)
【文献】 特開2000−352375(JP,A)
【文献】 特開平05−294396(JP,A)
【文献】 特表2002−533275(JP,A)
【文献】 特開平04−102600(JP,A)
【文献】 特表2001−508517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/00
B67D 7/02
F04B 23/04
F04F 1/02
F17D 1/00− 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空および圧力での流体循環に適応した流体供給システムであって、
少なくともひとつのバルクキャニスターと、
使用場所まで流体を配送するための処理キャニスターと、
少なくともひとつのバルクキャニスターから処理キャニスターに流体を供給する移送容器とを備えており、
移送容器が少なくともひとつのバルクキャニスターの容積及び処理キャニスターの容積よりも小さい容積を有し、移送容器が、(i)少なくともひとつのバルクキャニスターから移送容器内に流体を引き込むためと、そのバルクキャニスター内の真空状態を選択的に維持するために配置された真空源と、(ii)移送容器から処理キャニスターに流体を圧送するために配置された第一の加圧ガス源とに接続され、移送容器が真空状態と加圧状態との間で切り替えられるように適応したシステム。
【請求項2】
力を用いて流体を使用場所まで移送するための第二の加圧ガス源に処理キャニスターを接続した、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
なくともひとつのバルクキャニスター内の流体の圧力を感知して圧力を示すトランスデューサー出力を生成するようにした少なくともひとつの圧力トランスデューサーと、トランスデューサーからの出力を受信しこれに応じて流体の圧力の変化率を求めるようにしたプロセッサとを備え、少なくともひとつのバルクキャニスターの流体が空になり始めたとき、そのバルクキャニスター内の流体が空になり始める時点と相関して圧力の変化率が増加したことを示すプロセッサ出力をプロセッサが出すようにした、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
送容器の流体保持容積を、少なくともひとつのバルクキャニスター処理キャニスターのいずれかの流体保持容積未満とした、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
流体を使用のために配送する方法であって、
少なくともひとつのバルクキャニスターから移送容器内に真空によって流体を引き込む過程と、
移送容器を加圧して流体を強制的に処理キャニスターへ配給する過程と、
処理キャニスターにガスを供給して使用場所まで流体の移送を達成する過程であって、処理キャニスターに供給されるガスの圧力が移送容器に供給されるガスよりも低い、過程と、
移送容器を真空状態と加圧状態との間で切り替える過程とを含む方法。
【請求項6】
なくともひとつのバルクキャニスターと処理キャニスターとの間の流体流路に配置された弁を閉じる過程と、
真空による流体の引き込みを中止する過程と、
使用場所への流体の一定の供給をもたらすための処理キャニスター内に十分な圧力を維持する過程と、
少なくともひとつのバルクキャニスター内の負圧を維持することによってそのバルクキャニスター内の流体に混入するガスの量を減少させる過程と、
少なくともひとつのバルクキャニスターの流体が空になりかけているとき、そのバルクキャニスター内の流体が空になりかける時点と相関して圧力の変化率が増加したことを示す信号を、そのバルクキャニスター内の圧力トランスデューサーから受けて感知する過程
のうちのいずれかひとつ以上を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
送容器の流体保持容積を少なくともひとつのバルクキャニスターと処理キャニスターのいずれかの流体保持容積よりも小さくした、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくともひとつのバルクキャニスター内の流体の圧力を感知しこれに応答して圧力を示すトランスデューサー出力を生成する過程と、
トランスデューサー出力から流体の圧力の変化率を決定する過程と、
少なくともひとつのバルクキャニスター内の流体の圧力の変化率からそのバルクキャニスター内の流体が空になりかけている時点を決定する過程とを含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の外部参照
この出願は、「流体配送システムと方法」と題する2012年2月24日出願の米国仮出願第61/602898の優先権を主張するとともに、ここでその全文を本願に援用する。
【0002】
分野
本発明は、流体を配送するシステムと方法に関するものである。以下に説明する本発明の各種態様は、流体中に混入する気体を最小限に抑え、多様な流体容器からの流体移送に対応し、既知の流体配送システムに伴うコストと廃棄物を最小限に抑えるシステムと方法に関するものである。本発明で注目するのは主に半導体用途のための流体配送システムと方法であるが、本願で開示するシステムと方法は幅広い分野に適用することができる。
【背景技術】
【0003】
背景技術
流体保存・配給容器は、工業、商業、個人など多種多様な目的で使用されるが、半導体製造、生物医学、製薬プロセスなど、高純度流体の供給を必要とする他の多くの分野が、これらに限定はしない。各種の液体、気体、固体液体スラリーをこれらの容器、例えば、圧力定格ステンレス鋼貯蔵シリンダーから供給することができる。
【0004】
圧力定格のステンレス鋼容器には、半導体業界で利用される特定の高純度流体の保存や配給を伴う用途などにおいて多くの欠点があることが知られている。ステンレス鋼はさまざまな流体に対して反応性がある。また、ステンレス鋼製の容器は簡単には処分することができない。さらに、ステンレス鋼製の容器をリサイクルすることは一般的に可能ではなく、使用済みの容器は元の製造業者(OEM)ないし供給者に返却するしかない。
【0005】
図2Aは、半導体業界で使用されるキャニスターの従来の供給サイクルの順番を示すフローチャートである。この処理工程の順番に含まれるのは、キャニスターへの流体の充填、キャニスターの梱包、取引先へのキャニスターの発送、取引先によるキャニスターの使用、供給者(例えばATMI社を示す)へのキャニスターの発送、供給者の工場へのキャニスターの到着、容器からの残った化学物質の除去、キャニスターの洗浄、弁アセンブリの組み立てと取り付け、キャニスターの補充と梱包である。
【0006】
このように流体を使い切った容器を供給者に返却する過程が伴うサイクルでは、結果的に、図2Bのチャートにも現れているとおり、改修、清掃、部品交換に費用がかかる。その中でも図2Aの処理サイクルにかかる費用は、原価構成によって分解すると、図2Bに示す立体的な柱の上から下に向かって順に、取引先からの輸送費、取引先への発送費、梱包費、充填費、弁の組み立て費、清掃費、残った化学物質の除去費、キャニスターの減価償却費となる。ひとつの圧力定格ステンレス鋼製のキャニスターが図2Aに示す供給サイクルを完全に一周するのにかかる費用は約700ドルと推定され、このループのうちキャニスターを除いた部分の推定費用は約325ドルである。
【0007】
半導体業界における流体供給業にステンレス鋼を使用することにはこのようにさまざまな費用がかかり欠点があるにもかかわらず、半導体製造業で用いるものとして通常圧力定格ステンレス鋼容器が選択されるのは、圧力定格と清浄度仕様があるためである。
【0008】
半導体製造目的の流体配送システムは相当数のものが圧力差を利用してバルクキャニスターの浸漬管から処理キャニスターまで流体を移送するものであって、処理キャニスターは一般的に流体を連続供給するために一定の圧力に保たれている。こうした設計に伴う問題として、処理キャニスターへの液体の配送を達成するにはバルクキャニスター内の圧力が処理キャニスター内の圧力よりも高くなければならないという要件がある。このため、こういったシステムでは一般的にバルクキャニスターを圧力定格ステンレス鋼容器とする必要があるが、これを生産するには費用がかかる(例えば2000ドル〜5000ドル程度の製造費がかかる)うえにサービスと輸送にも費用がかかり、さらにステンレス鋼材料の構造物は半導体製造作業で一般に使用されるさまざまな流体に対して反応性がある。
【0009】
半導体製造事業における流体配送では一般的に処理キャニスター内の圧力は30psi(206.84kPa)などの標準的な圧力値が使用されるが、特定の目的では供給容器と半導体処理設備との間の距離や半導体処理設備での流体圧力要件に応じてこれより高い圧力とすることもある。バルクキャニスターは、加圧されている処理キャニスターまで流体を確実に効率良く移動させるため、通常は処理キャニスターより少なくとも5psi(34.5kPa)だけ圧力を高くする必要がある。ひとつの中央バルク配送システムから化学物質を供給する工場全域分配システムの場合、この圧力は大きくなる。
【0010】
しかし、バルクキャニスター(および処理システム内の他のキャニスター)の中の高圧ガスは、時間が経つと配給される流体に溶解してしまう(つまり気体の混入が起きる)。こういったことが起きるため、今度は、流体配送システムの下流に脱気装置を設けて、混入した気体を除去する必要が生じる。しかし、脱気装置は必ずしも100%効果があるものではない。また、キャニスターから流体の大半が配給されていくと、残っている流体に含まれる混入気体の濃度は高くなる傾向にあり、通常この残った流体は最終的に廃棄されてしまう。こうして廃棄される量は、もともと容器に充填されていた流体の量の10%程度以上になることもある。大抵の半導体用流体が非常に高価であることを考えれば、流体が無駄になるのは問題である。
【0011】
図3に示す従来の流体配送システム300は、バルクキャニスター301と処理キャニスター302を流体が行き来できるように相互接続し、それぞれに付属の加圧ラインと配給ラインを配置し、流体が両者を接続するラインを通って矢印305で示す方向にバルクキャニスター301から処理キャニスター302まで流れるようにしている。この従来のシステムでは、バルクキャニスター301は処理キャニスター302の圧力よりも大きい圧力値まで加圧される。処理キャニスター302は、使用場所(例えば図3に示していない半導体製造設備)まで流体を供給するために配置されている。バルクキャニスターと処理キャニスターのそれぞれに流入する各回路には、加圧ガスラインと真空ラインが含まれる。この加圧ガスラインは例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスの加圧ガス源に接続することもできる。
【0012】
図3に例示したタイプのキャニスターでは、キャニスター内に残っている流体の測定を、容器内にフロートセンサを設けることで対応していることが多い。しかしフロートセンサは高価であり、失敗の歴史がある。
【0013】
結局、本技術分野では、流体配送システムと方法の改善を追求し続けている。具体的な目的としては、流体配送システムを簡素化すること、バルク容器のコストを低減すること、ガスの混入による流体の損失を防止ないし低減することなどがある。
【発明の概要】
【0014】
概要
本発明は、流体配送システムと方法に関するものである。
【0015】
本発明は、ひとつの態様として、真空と圧力による流体循環に適応した流体供給システムに関連しており、このシステムは、流体を使用場所まで配送するための処理キャニスターと、少なくともひとつのバルクキャニスターから流体を処理キャニスターに供給するための移送容器とを備えており、この移送容器が、(i)少なくともひとつのバルクキャニスターから流体を移送容器内に引き込み、そのバルクキャニスター内の真空状態を選択的に維持できるように配置された真空源と、(ii)移送容器から処理キャニスターに流体を圧送するために配置された第一の加圧ガス源とに接続される。
【0016】
別の態様として、本発明は流体を使用のために配送する方法にも関連しており、この方法は、少なくともひとつのバルクキャニスターから移送容器まで真空によって流体を引き込む過程と、移送容器を加圧して流体を強制的に処理キャニスターへ配給する過程と、移送容器に供給されるガスよりも圧力の低いガスを処理キャニスターに供給して使用場所への流体の移送を実現する過程とを含む。
【0017】
別の態様として、本発明は流体を圧送配給するのに適応した流体供給システムにも関連しており、このシステムは、少なくともひとつのトート容器から下流の工程まで流体を供給するための貯留容器を備え、この貯留容器が、(i)少なくともひとつのトート容器から貯留容器に未満3psigの圧力で流体を圧送するために配置された第一の加圧ガス源と、(ii)貯留容器から下流の工程まで流体を圧送するために配置された第二の加圧ガス源とに接続される。
【0018】
さらに別の態様として、本発明は流体を使用のために配送する方法にも関連しており、この方法は、第一の圧力源からトート容器にガスを第一圧力で送り込むことによって少なくともひとつのトート容器から貯留容器に流体を移送する過程と、第二の圧力源から貯留容器にガスを第二圧力で送り込むことによって貯留容器から下流の工程まで流体を移送する過程とを含み、トート容器に送られるガスは貯留容器に送られる気体よりも低い圧力とする。
【0019】
流体を使用のために移送する方法であって、少なくともひとつのトート容器から流体を貯留容器内まで移送する過程と、貯留容器から下流の工程まで流体を移送する過程とを含む。
【0020】
本発明の他の態様、特徴、実施例は、以下の説明と添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は本発明のひとつの実施例による流体移送システムの斜視図である。
図2A図2Aは従来の流体供給キャニスターの処理と展開のライフサイクルに伴うステップを示すフローチャートである。
図2B図2B図2Aの従来の流体供給キャニスターの使用を維持するための費用の構成要素を特定した図である。
図3図3は半導体用流体供給事業で使用される従来の流体移送システムの概略的な斜視図である。
図4A図4Aは本発明のひとつの実施例に係る流体供給キャニスターのために、ライフサイクル処理と展開ステップのフローチャートである。
図4B図4Bは、図4Aの流体供給キャニスターの使用を維持するための費用の構成要素を特定した図である。
図5図5は本発明の別の実施例による流体移送システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本発明は、バルクキャニスターと処理キャニスターとの間に圧力緩衝器として機能する移送容器を組み込んだ、流体移送のシステムと方法に関連している。実施例によっては、バルクキャニスターから移送容器に真空を用いて移すことで、高圧定格ステンレス鋼容器の必要をなくすこともできる。その後、移送容器に移された内容物は加圧により処理キャニスターまで移動させることもできる。別の実施例として、バルクキャニスター内の材料を比較的低い圧力で中間移送容器(「貯留容器」とも呼ぶ)に移すこともできる。次に、貯留容器から材料を比較的高い圧力で下流の工程(設備、例えば処理キャニスター)まで移送することもできる。
【0023】
ひとつの実施例として、液体移送システムでは中間容器(さまざまに呼ばれるがここでは「移送容器」と呼ぶ)を使用してバルクキャニスター(「バルク貯蔵容器」または「トート容器(tote)」と呼ぶ)から処理キャニスターに流体を移し、真空と圧力による循環を利用してそれぞれの流体の流れを実現する。実施例によっては、移送容器に真空を接続すればバルク貯蔵容器を加圧する必要なくバルクキャニスター(その他、任意の適当な所望の材料、形状、大きさの流体源容器)から流体が引き込まれるため、バルクキャニスターを圧力定格ステンレス鋼製のキャニスターとする必要がなくなる。これにより今度はバルクキャニスターを低コストで圧力定格でない容器とし、使用場所までの流体の配送に悪影響を及ぼすことなく加圧処理キャニスターまで流体を配送できるようになる。このように非圧力定格の容器ないしキャニスターから液体を供給できると、流体および/または輸送に関する要件に基づいて特定の容器を選択することができるようになり、ステンレス鋼が最適な選択肢ではないような用途では明確にコスト的に有利な効果が得られる。さまざまな実施例で代わりの容器として用いることができるものには、剛性、半剛性、折り畳み式、折り重ね式などの自立できる容器や、プラスチック容器や、ガラス瓶や、折り畳み式のライナーや、オーバーパック内にライナーを配置した例えば「内袋付き箱」や「内袋付きボトル」のような容器などがある。本願で使用する「キャニスター」「容器」という用語は、概して、流体を保持することのできる任意の容器、パッケージや蓋をすることのできる入れ物を指す。したがって、実施例によっては、「キャニスター」または「容器」はライナーとオーバーパックのいずれかあるいは両方を設けることができる。
【0024】
本願に記載するバルクキャニスター、移送容器、処理キャニスターなどの容器のいずれかのために、本発明の実施例と共に用いることのできるさまざまなタイプのライナーおよび/またはオーバーパックのさらなる例は、以下の文献に非常に詳しく記載されている。「ライナー式出荷・配給システム」と題する2012年12月20日出願のPCT国際出願第PCT/US2012/070866号、「実質剛体の折り畳みライナー、ガラス瓶に代わる容器および/またはライナー、強化した柔軟なライナー」と題する2011年10月10日出願のPCT国際出願第PCT/US2011/55558号、「ブロー成形した入れ子状のライナーとオーバーパックおよびこれを製造する方法」と題する2011年10月10日出願のPCT国際出願第PCT/US2011/55560号、「ライナー式ディスペンサー」と題する2011年3月29日出願の米国仮出願第61/468832号、「ライナー式配給システム」と題する2011年8月19日出願の米国仮出願第61/525540号、「流体を貯蔵・配給するシステムおよびプロセス」と題する2006年6月5日出願の米国特許出願第一1/915996号、「脱ガスユニットを用いた材料貯蔵・配給のためのシステムと方法」と題する2010年10月7日出願のPCT国際出願第PCT/US2010/51786号、PCT国際出願第PCT/US2010/41629号、米国特許第7335721号、米国特許出願第一1/912629号、米国特許出願第一2/302287号、PCT国際出願第PCT/US2008/85264号。ここで、これらの各文献の全文を本願に参照援用する。
【0025】
実施例によっては、本発明に従って使用される容器のひとつ以上には、概して、筒状の本体部と、取り付け部品を含む頂部と、底部とを備え、材料を保持するための囲われた内部を形成するライナーを設けてもよく、これらの例が、2011年12月9日出願の「圧送配給システム用の概して円筒状のライナーと、これを製造する方法」と題するPCT国際出願第PCT/US2011/064141号(全文を本願に援用する)に詳しく説明されている。
【0026】
さらに、本発明の特定の実施と併せて使用することのできるライナーおよび/またはオーバーパックとして、折り畳み形状を決める折り目や折りパターンが施された実質剛体の折り畳み式容器あるいは柔軟な容器がある。実施例によっては、そのような容器はブロー成形した折り目を有する実質剛体の折り畳み式容器とすることもでき、貯蔵・配給システムに適応したものであっても、約1リットル以下から約200リットル以上まで事実上いかなる大きさであってもよい。実質剛体の折り畳み式容器は、例えば外側容器なしで使用される自立式の容器であってもよく、ポンプや加圧流体、あるいはこれらを併用するなど、いかなる適当な手段で配給してもよい。実施例として、容器壁は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(ブチレン2,6−ナフタレート)(PBN)、ポリエチレン(PE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)の少なくともひとつを用いて製造することができる。一部の実施例として、容器の対向する2つの側壁には、容器を折り畳む際にこの対向する側壁が内側に折り込まれるようにするための折り目をあらかじめ設けておくこともできる。この一般的なタイプの容器の例については、「折り目パターンを設けた実質剛体の折り畳み式の容器」と題する2012年8月22日出願のPCT国際出願第PCT/US2012/051843号と、「実質剛体の折り重ね式の容器」と題する2012年11月26日出願の米国仮出願第61/729766号(両方とも本願により全文を本願に援用する)でさらに詳細な説明がされている。
【0027】
ライナーやオーバーパックを備える本発明のキャニスターと容器には、実施例として、上記のいずれかの出願に記載されている実施例、特徴、拡張機能を設けることもできるが、これらに限定はしない。このようなライナーには、柔軟なもの、剛性のあるもの、折り畳み式のもの、平面的なもの、立体的なもの、溶接されたもの、成型されたもの、マチ付きのもの、マチ無しのもの、あるいはこれらを組み合わせたライナー、あるいは折り目を備えたライナー、あるいはくびれを抑制ないし排除する手段を施したライナー、そして例えばATMI社がNOWPak(登録商標)の商標で販売しているライナーがある。さらに、本願に記載の実施例に開示されている配給システムのさまざまな特徴は、別の実施例に関して記載されるひとつ以上の他の特徴と併用することができる。
【0028】
本発明のさまざまな実施例は、半導体業界で使用するための材料を含むものとして記載しているが、本発明の実施例は、任意の適当な材料を保管あるいは配給するために使用できることが理解できるであろう。本発明の実施例を使用して保存・出荷・配給することのできる材料の種類は、一部の例として、これらに限定はしないが、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト、スラリー、洗剤、洗浄配合物、ドーパント、無機物、有機物、金属有機物(metalorganics)、TEOS、生物学用溶液、DNAおよびRNAの溶媒および試薬、医薬品、プリンタブルエレクトロニクス用の無機・有機材料、リチウムイオン等のバッテリタイプの電解質、ナノ材料(例えばフラーレン、無機ナノ粒子、ゾル−ゲル、その他セラミック)、放射性化学物質、などの超高純度液体や、農薬/肥料、塗料/グロス/溶剤/コーティング材料等、接着剤、電力洗浄液、自動車や航空などの産業で使用される潤滑剤、調味料・食用油・ソフトドリンクなどに限定はしない食品、生物医学または研究業で使用する試薬等の材料、軍などが使用する有害物質、ポリウレタン、農薬、工業薬品、化粧品用の化学物質、石油や潤滑剤、シール剤、健康・口腔衛生製品およびトイレタリー製品、これらの他、例えば圧送配給することのできる材料であれば何でも良い。本発明の実施例とともに使用することができる材料の粘度は、高粘度流体や低粘度流体など任意であってよい。当業者であれば開示した実施例の利点を認識できるであろうし、したがって、開示した実施例がさまざまな産業および各種製品の輸送・配給に適することも認識できるであろう。実施例として、この貯蔵・出荷・配給システムは、半導体・フラットパネルディスプレイ・LED・太陽電池パネルの製造に関連する産業、接着剤やポリアミドの塗布を伴う産業、フォトリソグラフィー技術を利用する産業など、重要な材料を移送する目的では特に有用になることがある。例として、本発明のこのような容器ないし入れ物を使用する場合としては、フォトレジスト、レジストバンプ、洗浄用溶剤、TARC/BARC(上面反射防止膜/下面反射防止膜)、低分子量ケトン、銅の化学物質などの、高純度の化学物質や材料を、マイクロエレクトロニクス製造、半導体製造、フラットパネルディスプレイ製造などの産業で使用するために輸送・配給することなどがあるが、これらに限定はしない。別の用途としては、酸、溶媒、塩基、スラリー、洗浄配合物、ドーパント、無機物、有機物、金属有機物、TEOS、生物学用の溶液、医薬品、放射性化学物質を輸送・配給することなどがあるが、これらに限定はしない。しかし、このような容器はさらに他の産業でも利用することができ、これらに限定はしないが、塗料、ソフトドリンク、調理油、農薬、健康・口腔衛生製品、トイレタリー製品のような他の製品を輸送・配給するために使用することもできる。当業者であればこういった容器やそれを使用・製造するプロセスの利点を認識でき、したがってこのライナーがさまざまな産業での使用に対して、そしてさまざまな製品を配給する方法に適することもまた理解できると思われる。
【0029】
本発明のコンテナ、容器、オーバーパック、ライナーはいずれも、材料の任意の適当な材料または材料の組み合わせから構成されてもよい、例えばなく、プラスチックを含む金属材料、またはひとつ以上のポリマー、これらに限定はしないナイロン、EVOH、ポリエステル、ポリオレフィン、または他の天然もしくは合成ポリマーである。さらなる実施例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(ブチレン2,6−ナフタレート)(PBN)、ポリエチレン(PE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、フルオロポリマーなどを用いて容器を製造することもでき、フルオロポリマーには例えばポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシ(PFA)などがあるがこれらに限定しない。容器は任意の適当な形状ないし形態とすることができ、ボトル、缶、ドラムなどがあるがこれらに限定しない。
【0030】
本発明の流体供給システムによれば、従来の移送システムの効率と費用効果に制約を加えていた厳しい互換性要件に束縛されることなく、輸送条件や化学的要件に基づいて流体をパッケージングできるようになる。また、前述のように、従来の流体供給キャニスターはライフサイクル管理プロセスを必要とするものであり、これには再調整や補充のため供給業者へ返却することが伴う。本発明のアプローチによれば、再利用や使い捨てが可能な材料で形成されたキャニスターを採用できるようにすることで、そういった容器を供給業者に返却する必要をなくすことができる。これによって今度は図2Aに示した従来のライフサイクル管理をやめて、このような使用・復帰・再調整・補充・配送というサイクルを図4Aに例示したタイプの一方通行のキャニスター供給方式に置き換えることができるようになる。例えば、図4Bの原価構成チャートに示したように、キャニスターライフサイクル管理プロセスにおけるそのような変化は、劇的なコスト削減を達成できるようになる。
【0031】
さまざまな実施例として、移送容器は大きさ(容積)がバルクキャニスターと処理キャニスターのいずれよりも小さいものとする。このように大きさに差をつけることで、処理キャニスターの補充が必要となるまで移送容器を真空状態のままとすることができる。これにより流体中の溶存ガスの発生が最小限になる。さまざまな実施例において、移送容器を標準圧力のキャニスターに接続することによって従来との互換性を維持することができる。さまざまな実施例として、本願に開示するシステムは任意の所望のキャニスターシステムに適合させることができ、流体を保持することのできる容器、パッケージ、受け具、入れ物であればいかなるものとも互換性を持たせることができる。
【0032】
本発明のシステムと方法によれば、さまざまな実施例で、空になった状態の検出に(「終点検出器」として)高コストで故障しやすい液面センサ(フロートセンサなど)を利用する必要がなくなる。ひとつの実施例として、時間に対する圧力変化のアルゴリズムを用いてキャニスターの空の状態を決定するアプローチによって、フロートセンサを不要とする。ひとつの実施例としては、圧力トランスデューサーを設けて、バルクキャニスター内の流体の圧力を感知し、それに応答してそのような圧力を示すトランスデューサー出力を生成する。プロセッサによってトランスデューサー出力を受信して流体の圧力の変化率を求め、バルクキャニスター内の流体が空になり始めた時点と相関のある変化率の増加があったことを示すプロセッサ出力を出すようにすることもできる。このように圧力トランスデューサーで監視するシステムや方法は、バルクキャニスター、移送容器、処理キャニスターなど、流体供給システムの任意のキャニスターないし容器に利用してもよいが、これらに限定はしない。
【0033】
別の実施例として、任意の適当な液面監視法を、本発明のキャニスターのいずれかと共に用いることができる。例えば、容器からの流体の配給を制御し、容器が空に近づいた時を判定する手段は、2007年2月6日に発行された「液体配給システム」と題する米国特許第7172096号、国際出願日2007年6月11日の「ガス除去を包み込む液体配給システム」と題するPCT出願第PCT/US2007/070911号(それぞれ全文を本願に参照援用する)、以前に全文を参照援用した国際特許出願第PCT/US2011/055558号に記載されている。この点に関して、実施例によっては、配給容器に液面を感知する任意の適当な機能ないしセンサを設けてもよい。このような液面感知機能ないしセンサは、配給容器に保存されている内容物の液面を特定、表示、決定することのできる、視覚的、電子的、超音波などの適当な仕組みを利用するものでもよい。
【0034】
さらなる実施例として、最初のキャニスターから移送容器へ、あるいは移送容器から下流のキャニスターや工程まで配送されていく材料を直接測定する手段には、流量測定技術を組み込んだり操作可能に結合したりできる。移送される材料を直接測定することにより、プロセスの再現性や再生産性を確保することのできるデータを最終的な利用者に提供することができる。ひとつの実施例として、この流量計は材料の流量のアナログまたはデジタル形式の読み取り値を出力できるものとする。この流量計や、システム内の別の構成要素は、正確な流量測定を出力するために、考慮している材料の特性(限定はしないが粘度や濃度など)や流れに関するその他のパラメータを取得することができるものとする。これに加えて、あるいはこれに代えて、配給容器に保存されそこから配給される特定の材料について動作し、その材料を正確に測定することのできる流量計を構成することもできる。ひとつの実施例として、出口圧力または流量をほぼ一定に維持するために、入口圧力を切り替えあるいは調節することができる。
【0035】
さまざまな実施例で、移送容器と終点監視方法とを組み合わせることで、容器の底に有意な残留分(このような残留流体は通常「ヒール」と呼ばれる)を残すことなく、システム内のほぼすべての流体の在庫を利用することができるようになる。こうすることで、移送容器システムは、従来の高圧流体供給システムの動作中に通常観察されるような、液体中に存在するかなりの量の混入ガスが発生するのを回避することができる。
【0036】
ひとつの実施例としての流体供給システムは、真空と圧力による流体循環に適応したものであって、流体を使用場所(半導体処理設備内など)まで移送するための処理キャニスターと、この処理キャニスターに少なくともひとつのバルクキャニスターから流体を供給するための移送容器とを備えており、この移送容器が、(i)少なくともひとつのバルクキャニスターから移送容器内に流体を引き込みそのバルクキャニスター内の真空状態を選択的に維持するための真空源と、(ii)移送容器から処理キャニスターに流体を圧送するための第一の加圧ガス源とに接続される。
【0037】
本発明のシステムと方法は、動作中、真空状態を選択して維持することにより、供給されていく流体の中にガスが混入するのを防ぐ。さまざまな実施例で、移送容器は真空状態と加圧状態との間を行き来する。真空状態では、(1)バルクキャニスターから流体を引き込むため、あるいは(2)バルクキャニスター内に少なくとも最小限の真空状態を維持してガス混入の発生をできるだけ抑制するために、真空度を選択して調節する。ひとつの実施例としては、(移送容器とバルク容器とを接続する流体流路に設けられた弁を閉じるなどによって)真空状態を選択的に中止し、その時点あるいはそれ以降に移送容器に圧力を加えることで、処理キャニスターに容器から流体の移動を実現するようにもできる。本発明のさまざまな実施例では、移送容器を介してバルクキャニスターから流体を供給することにより処理容器を空でない状態に維持しておくことで、流体を利用するプロセスを継続的に実行できるようにすることもできる。
【0038】
ひとつの実施例として、流体を使用のために移送する方法には、バルクキャニスターから真空によって流体を移送容器に引き込む過程と、移送容器を加圧して強制的に流体を処理キャニスターへ配給する過程と、移送容器に供給されるガスよりも圧力が低いガスを処理キャニスターに供給することで使用場所への流体の移送を達成する過程とが含まれる。さらなる手順として次のいずれかを含めることもできる。(1)少なくともひとつのバルク容器とプロセス容器との間の弁を閉じる過程。(2)真空による流体の引き込みを中止する過程。(3)流体を一定供給するために処理キャニスター内の圧力を維持する過程。(4)少なくともひとつのバルクキャニスター内の負圧を維持することによりそのバルクキャニスターの流体中に混入する空気などのガスの量を減らす過程。(5)少なくともひとつのバルクキャニスター内の流体が空になり始める時点と相関して圧力の変化率が増加したことを示す信号を、そのバルクキャニスター内の圧力トランスデューサーから受けて感知する過程。
【0039】
移送容器は処理キャニスターよりも高い圧力で加圧する(一般的には使用場所まで流体を連続的に供給するため一定の圧力に維持される)ことで移送キャニスターから処理キャニスターに流体が移るようにする。移送容器からの流体の供給が完了した後は、必要に応じて処理キャニスターとの容器間接続をやめ、バルクキャニスターとの接続において真空状態を作り出すことで、(1)バルクキャニスターから流体を引き込むか、あるいは(2)バルクキャニスター内を少なくとも最小限の真空状態に維持してガスの混入をできる限り抑えることもできる。このように移送容器を真空状態から圧力(加圧)状態への切り替えを行うことは、本発明のひとつの実施例である。
【0040】
このように、本発明の流体供給システムと方法は多種多様に実装することができ、効率的な方法で流体の供給を実現することで、半導体製造などの流体を利用する用途に従来用いられていた流体供給システム・方法の欠点を克服することができる。
【0041】
ひとつの実装例では、流体供給システムは真空と圧力による流体循環に適応したものであって、使用場所まで流体を移送するための処理キャニスターと、少なくともひとつのバルクキャニスターから処理キャニスターに流体を供給するための移送容器とを備えており、移送容器が(i)少なくともひとつのバルクキャニスターから流体を移送容器内に引き込み、そのバルクキャニスター内の真空状態を選択的に維持するために配置された真空源と、(ii)移送容器から処理キャニスターに流体を圧送するために配置された第一の加圧ガス源とに接続される。
【0042】
このような流体供給システムのひとつの実施例として、処理キャニスターは使用場所まで流体を圧送するための第二の加圧ガス源に接続される。そのような流体供給システムのひとつの実施例として、第一の加圧ガス源は第二の加圧ガス源よりも高い圧力を生成するように構成されている。
【0043】
このシステムは、選択的に真空と釣り合いをとることのできるように配置された第三の加圧ガス源に少なくともひとつのバルクキャニスターが接続されるような構成とすることもできる。
【0044】
上記のシステムでは少なくともひとつのバルクキャニスターを任意の適当な構造材料で製作することができ、このようなバルクキャニスターは、ステンレス鋼容器、プラスチック容器、ガラス瓶、折り畳み式のライナーなど、任意の適当な種類または構造のキャニスターとすることができ、あるいは上記の他の適当なキャニスターまたは容器のいずれかとすることもできる。
【0045】
ひとつの実施例として、さらにシステムの構成には、少なくともひとつのバルクキャニスター内の流体の圧力を感知し、圧力を示すトランスデューサー出力を生成できるようにした圧力トランスデューサーを少なくともひとつ設けることもできる。トランスデューサー出力を受け取り、それに応答して流体の圧力の変化率を求めるプロセッサを設け、その少なくともひとつのバルクキャニスターが流体が空になり始めているとき、そのバルクキャニスター内の流体が空になり始める時点と相関して圧力の変化率が増加したことを示すプロセッサ出力を出せるよう構成する。
【0046】
別の実施例におけるシステムは、移送容器の流体保持容積が、少なくともひとつのバルクキャニスターと処理キャニスターのいずれかの流体保持容積よりも小さくなるように構成することができる。
【0047】
上述のシステムを展開する使用場所は、プロセス、処理、または他の利用機能を実行するために、例えば、供給される流体が利用される任意の適当な場所になる。ひとつの実施例として、使用場所は半導体製造場所とすることができ、この場所には、例えば供給された流体が、蒸着、イオン注入、エッチングなど、流体を使用する作業ないしプロセスで使用される半導体製造設備を備えることができる。
【0048】
前述のような特定の化学試薬と互換性がないというステンレス鋼容器の欠陥に関して言えば、本発明の流体供給システムは非ステンレス鋼容器を用いるように構成することでそういった従来の流体供給システムの欠陥をなくすこともできる。したがって、ひとつの実施例として、少なくともひとつのバルクキャニスター、移送容器と処理キャニスターの少なくともひとつは、非ステンレス鋼構造である。別の特定の実施例として、流体供給システムの少なくともひとつのバルクキャニスターは、非ステンレス鋼構造である。
【0049】
別の観点として、本発明は、流体を使用のために移送する方法であって、少なくともひとつのバルクキャニスターから移送容器内に真空によって流体を引き込む過程と、移送容器を加圧して強制的に処理キャニスターへの流体を配給する過程と移送容器に供給されるガスよりも圧力の低いガスを処理キャニスターに供給して使用場所への流体の配送を実現する過程とを含む。
【0050】
このような方法は、さらに以下のいずれかひとつ以上を含むことができる。
少なくともひとつのバルク容器と処理容器との間の流体流路に配置された弁を閉じる過程。
真空による流体の引き込みを中止する過程。
使用場所まで流体が一定に供給されるよう処理キャニスター内に十分な圧力を維持する過程。
少なくともひとつのバルクキャニスター内で負圧を維持することによって、そのバルクキャニスター内の流体に混入するガスの量を減少させる過程。
少なくともひとつのバルクキャニスターが空になり始めているとき、そのバルクキャニスター内の流体が空になり始める時点と相関して圧力変化率が増加したことを示す信号を、そのバルクキャニスター内の圧力トランスデューサーから受けて感知する過程。
【0051】
この方法を実施する場合、少なくともひとつのバルクキャニスターは、ステンレス鋼容器、プラスチック容器、ガラス瓶、折り畳み式ライナーのいずれか、または本願に記載あるいは参照援用した任意の他のキャニスターを含む。
【0052】
この方法は、移送容器の流体保持容積は、少なくともひとつのバルクキャニスターのいずれかの流体保持容積よりも小さい、少なくともひとつのバルクキャニスター、移送容器と処理キャニスターの使用を伴ってもよい処理キャニスター。
【0053】
この方法は、供給するガスの使用場所を半導体製造設備等の半導体製造場所として実施することができる。
【0054】
この方法を実施する際に利用されるキャニスターと移送容器はいかなる適当な構造材料で構成することもできる。ひとつの実装例として、バルクキャニスター、移送容器、処理キャニスターの少なくともひとつを非ステンレス鋼構造とする。
【0055】
別の変形例における方法は、さらに、少なくともひとつのバルクキャニスター内の流体の圧力を感知しこれに応答して圧力を示すトランスデューサー出力を生成する過程と、トランスデューサー出力から流体の圧力の変化率を決定する過程と、少なくともひとつのバルクキャニスター内の流体の圧力の変化率からそのバルクキャニスター内の流体が空になり始めた時点を判定する過程とを含むことができる。
【0056】
本発明の利点と特徴を以下の例を参照しつつさらに説明していくが、この例は本発明の範囲を限定するものとしてではなく、本発明の具体的な用途としてのひとつの実施例の例示であると解釈すべきものである。
【0057】
図1に概略的に示すタイプのシステム100を本発明のひとつの実施例に従って使用することができる。このシステムには、流体(図示せず)の供給のためのバルクキャニスター101と、ガス源110と加圧ガス源111に接続した移送容器103と、処理キャニスター102とが組み込まれる。真空源110を(弁110Aを使って)始動させて、バルクキャニスター101から流体をライン104を通して矢印105で示す方向に移送容器103内に引き入れる。真空により所望の量の流体が移送容器103内に引き込まれると、移送容器103へバルクキャニスター101を結ぶライン104は、(図示しない適当な弁を使って)を閉じることができ、加圧ガス源110は(ガス弁110Aを使って)始動させて、移送容器103内の流体をライン106を通して弁(図示せず)の開度に基づいて処理キャニスター102に送り込む。必要に応じて処理キャニスター102を一定の圧力に維持することで、流体が常にライン106を流れ、弁(図示せず)が開いていれば、使用箇所(図示しないが例えば半導体設備)まで供給されるようにすることもできる。したがって、圧力源111から移送容器103内に加えられる圧力を、圧力源112から(ガス弁112Aを通して)処理キャニスター102内に加えられる圧力よりも大きくすることで、使用箇所へのさらなる移送に備えて移送容器103から処理キャニスター102に流体が移るようにすることもできる。また、必要に応じて処理キャニスター102を(弁113Aを使って)真空源113に接続することもできる。移送容器103の真空源111との釣り合いをとるため、あるいはバルクキャニスター101から流体を排出するのを助けるために、必要に応じてバルクキャニスター101に(弁114Aを使って)低圧源114を供給することもできる。さまざまな実施例として、移送容器103の大きさは処理キャニスター102とバルクキャニスター101よりも小さい。
【0058】
図1に開示した一般的なタイプのシステムによれば、所望の流体を十分に保持できるいかなるタイプのキャニスター、容器、入れ物をも利用できるようになり、使用者が使用地点で容器を廃棄あるいはリサイクルできるようにもなる。これにより、容器を再処理と充填のため流体の供給業者に返却する必要がなくなり、その代わりに、図4Aに例示したフローチャートからわかるように、キャニスターの一方向に供給できるようになる。こうした一方向の供給形態によれば、図4Bにも示したようにかなりのコストを削減することができる。
【0059】
以上で説明した実施例の一部によれば高価で問題のあった圧力定格ステンレス鋼キャニスターが不要となるが、さらに説明する他の実施例でもステンレス鋼キャニスターを使用する必要を避けることができるとともに、バルク容器から移送容器に材料を移すためのポンプシステムを不要とすることもできる。このような実施例によれば、一般に、比較的低い圧力を用いてバルクキャニスター(「トート容器」)から移送容器(「貯留容器」)に材料を移すことができる。比較的低い圧力を選択してガスの混入・飽和を抑制ないしできる限り小さくすることによって、材料中の気泡形成に影響をほとんど与えないか実質無視できる程度とすることができる。トート容器をこのように120kPa(3psig)以下などの比較的低い程度に加圧することでトート容器などの圧力定格のステンレス鋼キャニスターを使用する必要を回避することができ、本願で説明したものや本願に援用しているものなど実質任意のタイプの適当な容器をトート容器として使用することが可能となる。さらに、圧送配給を用いてトート容器から移送容器に材料を移すようにすればいかなるポンプシステムも不要となるため、定期的な洗浄を必要とする多くの複雑なポンプ部品を不要にできるとともに、システムのコストとメンテナンスも減る。
【0060】
具体的にいえば、図5は、バルクキャニスターないしトート容器502の内容物を中間容器ないし貯留容器540を介して下流の工程ないし設備まで配給するためのシステムと方法500の実施例を示しており、下流には図1の実施例で説明したようにさらに処理キャニスターを含むことができるが、これは図5には示していない。トート容器502には材料Mを充填することができる。実施例によってトート容器502には浸漬管506を用いてもよい。また、実施例によって、トート容器に溜まり部516を設けることで、当業者ならば理解できるであろうが、浸漬管506から配給できる材料Mの量を増やす、あるいは最大にすることもできる。別の実施例として、トート容器502は他にも本願に記載あるいは参照援用した特徴や複数の特徴の組み合わせのうち、有益であると考える任意のものを用いることもできる。また、トート容器502に加圧ガス源508を作動可能に接続し、ガスがトート容器502の内部に導入されて中の材料Mが圧送配給できるようにすることもできる。ガス源としては任意の適当なガスを用いることができるが、実施例として、例えば窒素を使用することができる。しかし、限定はしないが、ヘリウムやアルゴンなど、他の適当なガスを使用することもできる。図示した実施例では、配給を直接的な圧送配給によって行うこと、つまりガスを材料Mの収容空間に直接導入することで、トート容器502の内容物が強制的に浸漬管506(設けた場合)を通ってトート容器の外に出るようにしてもよい。しかし、トート容器は直接的な圧送配給ができるように構成するものに限定せず、別の実施例として、上記や本願に援用した参考文献に記載されているようなオーバーパック内にライナーを設けたライナー式のシステムとし、オーバーパックがライナーにとっての圧力容器として機能するよう、ライナーとオーバーパックの間にできた環状の空間に圧力を加えることにより、トート容器のライナー内から材料Mを間接的に圧送配給できるように構成してもよい。同様に、自立型のトート容器も、既存のシステムの圧力容器内に配置して同じような構成とし、圧力容器とトート容器との間の空間に圧力を加えることによって間接的圧力でトート容器からの配給を行うこともできる。しかし、圧力容器の内部に容易に配置できるようなキャニスターないし容器は大きさに限界があることが多いという認識がある。このため、比較的大きなバルク容器やトート容器は間接圧送配給用としては適当に構成できない場合がある。
【0061】
しかし、直接的な圧送配給に伴う主たる懸念事項は、液体材料中にガスが混入したり飽和したりすること、すなわち微小気泡が生成する可能性であり、この気泡がそれなりの量存在すると材料に害が加わったり材料が使用できなくなったりする。形成される可能性のある微小気泡は、ガス源からのガスを直接材料に当てていることによる外乱から形成される。明らかなことかもしれないが、液体に加える圧力が大きいほど発生する破壊は大きくなり、材料の中にかなりの量の微小気泡が生じるリスクも高くなる。バルク容器とトート容器が比較的大きい場合によくあることだが、材料に長時間圧力がかかるとこの懸念がさらに大きくなる。しかし、配給圧力が低い場合でもごく少数の微小気泡が形成する可能性があることがわかった。例えば、およそ120kPa(3psig)以下の値では、少量(例えば概して無視できる量)の微小気泡の形成があるかもしれない。この点に関しては、本発明の一部の実施例にしたがって、圧送配給を利用し、120kPa(3psig)前後あるいはそれより低い圧力でトート容器502から材料Mを移すこともできる。長時間であっても材料Mの達する飽和度は比較的低く、材料中に気泡が形成することの効果はほとんどの目的では概して軽微であるか、あるいは概して無害であると思われる。
【0062】
トート容器502の内容物Mへの圧力を緩和するためには、必要に応じてトート容器502にベント518を操作可能に結合することもできる。移送ライン504はトート容器502の内容物Mを上述のような圧送配給で貯留容器540に移すことができるようにするものである。貯留容器540にトート容器502から材料Mの流れを制御するには、トート容器弁510を設け、トート容器弁が第一の位置にあるときは材料Mが概して自由に流れることができ、第二の位置にあるときはトート容器から材料Mが貯留容器へ流れなくなるようにすることもできる。トート容器弁510は単純なオン/オフ機能ではなく、あるいはオン/オフ機能だけでなく、例えば材料の流量を制御するなど他にも複数の中間状態をとることも可能であることが理解できるであろう。
【0063】
図5にもあるように、貯留容器540は概してトート容器502よりも小さくてもよいし、場合によってはトート容器よりも相当小さくてもよい。貯留容器540はトート容器502と同じ種類の容器でも異なる種類でもよく、異なる材料からなるものでもよい。例えば、実施例によっては、トート容器502を自立できる少なくとも半剛性の容器とし、貯留容器540を恒久的に固定された剛性の容器、すなわち配給プロセス用の据え付け備品とすることもできる。前述のとおり、このトート容器や貯留容器を含めて、本発明の容器のいずれも本願に記載または参照援用した任意の方法で構成することができる。図1について説明した移送容器と同様に、貯留容器540は圧力をかけて貯留容器内の材料TMを下流にある最終的な利用者のプロセスないし設備580まで配給してもよいが、上述のようにひとつ以上の処理キャニスターが必要ないこともある。
【0064】
この点について、圧送配給によって貯留容器内の材料TMを最終的な利用者のプロセスないし設備580まで移送するには、貯留容器540に加圧ガス源568を動作可能に接続することもできる。実施例として、図5に示すような、トート容器にガスを送り込むガス源は貯留容器にガスを送り込むガス供給源と分離させてもよい。しかし、別の実施例として、同じガス源を用いて貯留容器にガスを送り込みつつトート容器にもガスを送り込むこともできる。また、貯留容器540の内容物TMにかかる過剰な圧力を軽減するため、貯留容器540に通気孔578を作動可能に結合してもよい。システムには、トート容器弁510と同様に、貯留容器540から設備580までの材料TMの流れを制御することができる設備弁590を含めることもでき、設備弁が第一の位置にあるときは材料TMが概して自由に流れることができ、第二の位置にあるときは貯留容器から材料TMが設備まで流れないようにするようにしてもよい。設備弁590は、単純なオン/オフ機能に加えて、例えば材料の流量を制御するなど、他にも複数の中間状態をとることも可能であることが理解できるであろう。
【0065】
貯留容器540からの配給は、通常、トート容器502から貯留容器に材料Mを移す場合よりも比較的高い圧力で行うことができ、通常は120kPa(3psig)を超える圧力で、実施例によっては約206.84kPa(30psiの)以上とすることもできる。しかし、上述のとおり、圧送配給に伴う主たる懸念事項は、液体材料中にガスが混入したり飽和したりすること、すなわち微小気泡が生成する可能性であり、この気泡がそれなりの量存在すると材料に害が加わったり材料が使用できなくなったりする。また、液体に加える圧力が大きいほど発生する破壊は大きくなり、材料の中にかなりの量の微小気泡が生じるリスクも高くなるという認識もある。しかし、材料に比較的短時間あるいは最小限の時間、比較的高い圧力がかかる場合はこの懸念が小さくなる。上述のように、貯留容器540は一般にトート容器502より小さくてもよいし、場合によってはトート容器よりかなり小さくてもよい。この点、トート容器502が空になるまでにかかる時間が長時間であるのとは対照的に、貯留容器は比較的短い時間(あくまで例として通常約15〜30分以内)で空になるかサイクルを一巡する。貯留容器540から材料TMを最終的な利用者のプロセスないし設備580まで配給するのに、比較的高い圧力を使用することもできるが、材料TMに大きな圧力がかかっている時間は通常限られているため、原料TM中にガスが飽和しマイクロバブルが形成する効果は減るかあるいは最小限になる。
【0066】
使用時には、バルクキャニスターないしトート容器502は、移送ライン504と加圧ガス供給源508とに動作可能に接続することができる。任意の時点で、貯留容器540を充填するプロセスを開始するには、トート容器弁510を開放するとともに、ガス源508をオンにするか通気口518を閉じるかあるいはその両方を行い、トート容器502内の材料Mが加圧されて移送ライン504から貯留容器に移るようにすることができる。一般的に、実施例として、例えば概して120kPa(3psig)前後あるいはそれ以下の比較的低い圧力を用いて、トート容器502から中間の貯留容器540に材料Mを移すことができる。図5に示すとおり、当業者であれば理解できるはずであるが、適当に行えば、実施例として、加える圧力は、材料の上面からトート容器502の上部および移送ライン504の最高点まで、第一リフト高さ570分だけ材料Mを引き上げるのに必要最小限でありさえすればよい。トート容器502が縦方向で貯留容器540よりも高い位置に配置されるような実施例もあるが、その場合、初期のリフト高さ570に達してしまえば後は重力とサイフォンの効果を利用することもできる。この点について、貯留容器540に材料Mの移送を開始し維持するために必要となる圧力は比較的小さくてもよい。約1.0psig以下の低い圧力がよい場合もあるが、約1.0psigから約3psigまでのどこかの圧力が良い場合もある。しかし、別の実施例として、トート容器502は、貯留容器540に対し完全に縦方向に高い位置に配置する必要はなく、その代わりに、トート容器と貯留容器の物理的配置は、互いに対しほぼ水平にしたり、トート容器が貯留容器よりも縦方向に見て下方、あるいはここに記載したものの中間的な任意の位置など、任意の適当な方法で配置することができる。しかし、配置によってはトート容器502から材料Mを貯留容器540に移すのに必要となる圧力の大きさに影響が及び、場合によっては必要な圧力の大きさが大幅に増加することもあると認識される。
【0067】
実施例によっては、ガス混入の可能性をさらに減らすため、トート容器502から貯留容器540への材料Mの移送が比較的速く進むような構成とすることもできる。しかし、トート容器502から貯留容器540への材料の移送を任意の適当な時間あるいは所望の時間にわたって行うことができることは理解できるであろう。
【0068】
実施例によっては、貯留容器540の入り口など、移送ライン504に沿った適当な位置に気泡センサ544を設け、一定の時間に移される材料M中の気泡の量を検出するために用いることもでき、これは例えばトート容器が空に近づいているかどうかを表示させるために利用することができる。しかし、トート容器502が空に近い時を判定するには、本願に記載および援用した空状態検出に用いるさまざまな方法と手段のほかにも、任意の仕組みを利用することができる。さらに別の実施例として、トート容器502が空になった、あるいは空に近いという判定は、貯留容器540を充填するのに必要な時間に基づいて行ってもよい。例えば、トート容器が空に近いとトート容器502から材料Mを移すのに余分な労力が必要となることなどに起因して、貯留容器を充填にするのにかかる時間は時が経つにつれ増加することがある。ある所定時間に達したときにトート容器502が空に近いと判定することもできる。
【0069】
わかっていることであろうが、材料Mはトート容器502から貯留容器540に流れる。実施例によっては、貯留容器がほぼ満杯なときと貯留容器を補充する必要があるときの片方あるいは両方を判定するためのセンサを貯留容器540に設けてもよい。例えば、ひとつの実施例として、高液面センサ544を使用し、トート容器から充填される材料TMがある高さ(通常はセンサのある位置)に達した時点を検出することによって、貯留容器がほぼ満杯になったことや満杯状態として定めた量に達したことを表示するようにもできる。貯留容器に材料TMが指定量だけ充填されたときにトート容器弁510を閉じることで貯留容器に材料Mがそれ以上移らないようにすることもできる。
【0070】
貯留容器からその下流にある最終的な利用者のプロセスないし設備580まで材料TMを移送ないし配給する、その後の貯留容器540への充填、ガス貯留容器ベント578がある場合はそれを閉じたりガス源568を作動させたりしたうえで設備弁590を開くことによって、材料TMが最終的な利用者のプロセスないし設備580まで移送されるようになる。貯留容器540から最終の配給源580まで材料TMを移送する間は、ガス源568を使って貯留容器540を比較的高い圧力まで加圧することもできる。圧力は任意の適当な大きさとすることもできるが、通常は120kPa(3psig)より高くし、実施例によっては約206.84kPa(30psi)以上としてもよい。材料TMを直接圧送配給する間に貯留容器540の材料TMが空になるのにかかる時間、すなわち材料TMに比較的高い圧力をかける時間は、マイクロバブルが形成されるおそれを低減ないし最小限に抑えるべく比較的短くすることもできる。この時間は、通常、選択した貯留容器540の大きさや、加える圧力の大きさや、下流にある最終的な利用者のプロセスないし設備580の仕様に依存するであろう。例えば、任意の適当な時間とすることもできるが、実施例によっては貯留容器540内の材料TMに比較的高い圧力をかける時間を約15〜30分の範囲としてもよい。
【0071】
上述のとおり、実施例として、貯留容器が実質満杯なときと貯留容器を補充する必要があるときのいずれかあるいは両方を判定するため、貯留容器540にセンサを設けることもできる。例えば、ひとつの実施例として、低液面センサ542を用いてトート容器から配給される材料TMが特定の低さ(通常はセンサのある位置)に達した時点を検出することにより、貯留容器を補充する準備が整ったことを知らせることもできる。トート容器502から貯留容器540に補充するには、まず設備弁590を閉じ、次にガス源568をオフにすることによって開始できる。これに続いて上述の充填プロセスを再度実行することもできる。このサイクルは、システムが作動している間、必要なだけ繰り返すことができる。
【0072】
本発明の任意の実施例には、任意の機能や改良点や特性、あるいはこれらの任意の組み合わせを用いてもよく、このようなものには、限定しないが、例えばくびれを防止または軽減するための特徴や、容器のひとつ以上の表面に施される表面の特徴や、バリア層やコーティング層やスプレー層などの多層構造や、容器の外部を覆うことのできるスリーブや、ラベルや、圧力または圧力補助ポンプ配給時に容器が折り畳まれるのを抑制するのを何らかの方法で助けることができる特徴や、持ち運び用のハンドルなどがあり、これらは以下の文献にさらに詳しく説明されている。PCT出願第PCT/US2011/055558号、「ライナー式圧送配給システムにおけるライナーのくびれ防止」と題する国際出願日2008年1月30日のPCT出願第PCT/US2008/052506号、「ブロー成形した入れ子状のライナーとオーバーパックおよびこれを製造する方法」と題する2011年10月10日出願のPCT出願第PCT/US2011/055560号、「液体配給システム」と題する2007年2月6日に発行された米国特許第7172096号、「ガス除去のための液体配給システム」と題する国際出願日2007年6月11日のPCT出願第PCT/US2007/070911号、「配給液体のための折り畳み式の袋と方法」と題する2002年3月25日出願の米国特許第6607097号、「配給液体のための折り畳み式の袋と方法」と題する2003年6月26日出願の米国特許第6851579号、「フィルムに起伏を形成するための方法」と題する2002年1月8日出願の米国特許第6984278号、「真空包装に使用するためのエアチャンネル付きフイルムを作製する方法」と題する2002年6月26日出願された米国特許第7022058号、「圧送配給システムで使用するための概して円筒状のライナーとその製造方法」と題する2011年12月9日出願のPCT国際出願第PCT/US2011/064141号、「ライナー式出荷・配給システム」と題する2012年9月21日出願の米国仮出願第61/703996号、「ライナー式ディスペンサー」と題する2011年3月29日出願の米国仮出願第61/468832号とこれに関連する2011年11月22日出願のPCT国際出願第PCT/US2011/061764号、「ライナー式配給システム」と題する2011年8月19日出願の米国仮出願第61/525540号とこれに関連する2011年11月22日出願のPCT国際出願第PCT/US2011/061771号、「流体貯蔵・供給システムとプロセス」と題する2011年5月31日出願の米国特許出願第一3/149844号、「流体貯蔵・供給システムとプロセス」と題する2006年6月5日出願の米国特許出願第一1/915996号、「脱ガスアセンブリを備えた材料保管・配給システムと方法」と題する2010年10月7日出願のPCT国際出願第PCT/US2010/051786号、PCT国際出願第PCT/US2010/041629号、米国特許第7335721号、米国特許出願第一1/912629号、米国特許出願第一2/302287号、PCT国際出願第PCT/US2008/085264号、2011年2月15日出願の米国特許出願第一2/745605号、「ライナー式出荷・配給システム」と題する2012年2月29日出願の米国仮出願第61/605011号、「ライナー式出荷・配給容器用のクロージャ/コネクタ」と題する2011年11月18日出願の米国仮出願第61/561493号(これらの文献はそれぞれ全文を本願に参照援用する)。本発明の容器には、上に挙げた応用例のいずれかに開示されたいかなる実施例や特徴や改良点を含めることもできる。同様に、本願に記載の実施例に開示された配給システムのさまざまな特徴は、別の実施例に関して説明したひとつ以上の他の特徴と組み合わせて使用することもできる。
【0073】
さらに、本発明で容器から材料を配給するのにポンプを使用するのは費用と保守点検が伴うという理由から理想的でないかもしれないが、それでも実施例によっては従来のように何らかの用途でポンプを利用することもできる。しかし、このようなポンプと組み合わせて使用することもできるダイヤフラムやベローズポンプなどの追加機能はこのような従来のポンプの実施例に含めてもよい、ガスの循環から貯留容器内の材料を取り出してもよい。あるいは、このようなシステムで従来使用されているポンプの代わりにさまざまな形態のポンプ、例えばピストンポンプ、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、カムポンプを使用して、ガスの循環から貯留容器内の材料を取り出してもよい。
【0074】
本明細書では本発明について特定の態様、特徴、実施例を参照しながら説明したが、本発明の有用性はその通り限定されるものではなく、他にも多数の変形例、修正例、代替的な実施例を包含する広がりのあるものであることが理解できるであろう、本願の記載に基づいて本発明の分野の当業者に示唆されるであろう。これに対応して、以下で特許を請求する本発明は要旨および範囲内にそのような変形例、修正例、代替的な実施例をすべて含むものとして広義に解釈することを意図している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【特許文献1】米国特許第7335721号
【特許文献2】米国特許第7172096号
【特許文献3】米国特許第6607097号
【特許文献4】米国特許第6851579号
【特許文献5】米国特許第6984278号
【特許文献6】米国特許第7022058号
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5