特許第6397992号(P6397992)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6397992-微粒子計測装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6397992
(24)【登録日】2018年9月7日
(45)【発行日】2018年9月26日
(54)【発明の名称】微粒子計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20180913BHJP
【FI】
   G01N15/14 A
   G01N15/14 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-509547(P2017-509547)
(86)(22)【出願日】2016年3月17日
(86)【国際出願番号】JP2016058473
(87)【国際公開番号】WO2016158443
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2017年9月13日
(31)【優先権主張番号】特願2015-65965(P2015-65965)
(32)【優先日】2015年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】田村 明威
(72)【発明者】
【氏名】藤原 馨
【審査官】 磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−018046(JP,A)
【文献】 特開平04−198738(JP,A)
【文献】 特開昭60−243565(JP,A)
【文献】 米国特許第5530540(US,A)
【文献】 国際公開第2013/091118(WO,A1)
【文献】 特開昭59−018439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00 − 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の流れを形成するように開口から液体を放出するノズルと、
前記液体の流れが形成される領域内で伝搬するように光を出射する光出射部と、
前記領域の長手方向に沿った一部領域からの光を受けるよう、該領域の外側に設けられた光検出器と、
前記領域の外周に、前記液体が流される方向に沿った気体の流れを形成する気流形成部と、
を備え
前記光出射部は前記ノズル内から前記開口を介して光を出射し、
前記開口と前記光検出器との間には、光を遮蔽する遮蔽部が設けられており、
前記気流形成部が前記遮蔽部を構成する、
微粒子計測装置。
【請求項2】
前記気流形成部は、前記気体の流れの速度を調整するための調整機能を有している、請求項1に記載の微粒子計測装置。
【請求項3】
光学的に透明な管状部材であり、前記気体の流れが形成される領域を介して前記一部領域を囲むように設けられた、該管状部材を更に備える、請求項1又は2に記載の微粒子計測装置。
【請求項4】
前記液体を回収するための回収口を有する回収部と、
前記一部領域に対して前記回収口の側、且つ前記領域の外周に、前記液体が流される方向に沿った気体の流れを形成する別の気流形成部と、
を更に備える、請求項1又は2に記載の微粒子計測装置。
【請求項5】
前記光出射部は、前記開口における前記光のビーム幅を該開口よりも狭くする集光光学要素を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の微粒子計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、微粒子計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体中の微粒子の数を計測するために微粒子計測装置が用いられている。微粒子計測装置の一種として、特許文献1及び非特許文献1には、石英などの透明なセルの中に液体を流入させ、セルに光を当てたときに生ずる散乱光を観測して粒子の検出を行う装置が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、蛍光染色されたバクテリアを含有する試料水を励起光で照射し、当該バクテリアからの蛍光を受光することによってバクテリア数を計数するカウンタが記載されている。このカウンタでは、ノズルから吐出された試料水によってジェット流が形成される。そして、励起光光源からの光でジェット流が照射され、水流内からの蛍光が光検出器によって受光される。この光検出器から出力される信号に基いて、バクテリア数が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−11433号公報
【特許文献2】特開昭64−18046号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“液体中の粒子計測”[online]、平成19年10月、リオン株式会社[平成27年3月20日検索]、インターネット<URL:http://www.rion.co.jp/product/docs/07.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、微粒子計測装置では、より高精度で微粒子の計測を行うために、微粒子からの光に基づく信号と他の光に基づくノイズとの比、即ち、SN比を向上させることが求められる。SN比を向上させる一つの方法として、微粒子が計測される水流の区間(計測領域)を長くして信号を高めることが考えられる。しかしながら、特許文献1及び非特許文献1のように、液体をセルに流入させて観測する場合には、セル表面や、セルと液体との界面で散乱光が発生する。このような散乱光は迷光となるので、ノイズが増加するという問題がある。
【0007】
また、特許文献2のカウンタでは、セルを用いない方法が用いられている。しかしながら、ノズルから吐出されたジェット流は、ジェット流の長さが一定の長さ以上になると水流が不安定な乱流状態になる。このように水流が不安定となっている領域が計測領域に含められると、水流の表面等からノイズの原因となる光が発生し、SN比が低下する虞がある。それ故、水流が不安定な領域を計測領域として利用することができず、計測領域を長くすることが困難であった。かかる背景から、長い区間にわたって安定した液体の流れを形成可能な微粒子計測装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様においては、微粒子計測装置が提供される。この微粒子計測装置は、ノズル、光出射部、光検出及び気流形成部を備えている。ノズルは、液体の流れを形成するよう開口から液体を放出する。光出射部は、液体の流れが形成される領域内で伝搬するように光を出射する。光検出は、領域の長手方向に沿った一部領域からの光を受けるよう、該領域の外側に設けられている。気流形成部は、領域の外周に、液体が流される方向に沿った気体の流れを形成する。
【0009】
一態様に係る微粒子計測装置では、ノズルからの液体の流れ(液流)の周囲に液流の方向に沿った気体の流れ(気流)が気流形成部によって形成される。この気流によって、安定した略柱状の液流が長い区間にわたって形成される。この液流が形成される領域の一部領域からの光が光検出器によって受光されるので、当該一部領域を通過する微粒子からの光に基づくSN比の高い信号を得ることが可能となる。
【0010】
一実施形態では、気流形成部は、気流の速度を調整するための調整機能を有していてもよい。この実施形態によれば、気流の速度が、ノズルから放出される液流の速度に応じて調整される。したがって、より安定した略柱状の液流が形成される。
【0011】
一実施形態では、光出射部はノズル内から開口を介して光を出射し、開口と光検出器との間には、光を遮蔽する遮蔽部が設けられていてもよい。この実施形態によれば、開口からの迷光が光検出器に到達することが防止される。したがって、ノイズが低減される。
【0012】
一実施形態では、気流形成部が遮蔽部を構成してもよい。この実施形態によれば、遮光用の別途の部品が不要となる。
【0013】
一実施形態では、光出射部は、開口における光のビーム幅を該開口よりも狭くする集光光学要素を有してもよい。この実施形態によれば、光出射部からの光が開口の周縁で反射又は散乱することにより生じるノイズ光が抑制される。また、集光光学要素によって集光された光は液流中で広がるので、液流中の広い範囲に光が伝搬する。
【0014】
一実施形態では、液体を回収するための回収口を有する回収部と、一部領域に対して回収口の側、且つ領域の外周に、液体が流される方向に沿った気体の流れを形成する別の気流形成部と、を更に備えてもよい。この実施形態によれば、一部領域よりも回収口側の液流を安定させることができる。したがって、一部領域よりも回収口側から発生するノイズ光を低減できる。
【0015】
一実施形態では、光学的に透明な管状部材であり、気体の流れが形成される領域を介して一部領域を囲むように設けられた、管状部材を更に備えてもよい。この実施形態によれば、光検出器が観察を行う上記一部領域の周囲における気流が安定する。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、水流を安定させ、水流中の微粒子の計測を高精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る微粒子計測装置を概略的に示す断面図である。
図2図1の微粒子計測装置における検出器を説明する図である。
図3】第2実施形態に係る微粒子計測装置を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
【0019】
(第1実施形態)
【0020】
図1は微粒子計測装置を概略的に示す断面図である。図1に示される微粒子計測装置1は、任意の液体に含まれる微粒子を計測する装置であり、例えば半導体の洗浄に使用される超純水に含まれる微粒子数を暗視野照明で計測する装置である。この微粒子計測装置1は、ノズル10、光出射部20、光検出器30及び気流形成部40を備えている。
【0021】
ノズル10は、略柱状の液体の流れ(液流)を形成するよう液体を放出する。一例では、ノズル10は鉛直下方に向かう液流を形成する。以下、ノズル10が液体として水Wを放出する例について説明するが、ノズル10によって放出される液体は任意の液体であることができる。一実施形態では、ノズル10は、その一端において貯留部13に接続されている。貯留部13は、供給される水Wを貯留するように構成されている。例えば、貯留部13は、水Wが貯留される内部空間を提供する有底円筒形状を有し得る。ノズル10は、貯留部13の内部空間と連通するように、貯留部13の底面中央に接続している。このノズル10は、その下端側に設けられた開口端11aに近付くにつれて縮径する筒形状を有している。ノズル10の開口端11aは、開口11を画成している。このノズル10は、水Wが表面及び内部に乱れのない略柱状の水流WFを形成するように、開口11から水Wを放出する。なお、略柱状とは、厳密な柱体の形状を意味するものではなく、下方につれて径が小さくなるような略柱体の形状を含むものである。一実施形態では、水Wは、貯留部13に貯留された自重による圧力によってノズル10から放出され自由落下する。この場合、貯留部13に貯留された水Wの量は、図示しない水量調節器によって一定となるように調節されても良い。これにより、水Wの放出の圧力が常に一定となる。なお、貯留部13内の気体(例えば大気又は不活性ガス)の圧力を調整することによって、水Wの放出の圧力を調整してもよい。
【0022】
ノズル10の下方には、回収部15が配置されている。回収部15は開口11から放出された水Wを回収するためのものである。回収部15には、回収口15aが形成されている。この回収口15aは、回収部15の上部、且つノズル10の開口11の下方に形成されている。ノズル10から放出された水Wは、回収口15aを介して回収部15に回収される。この回収部15には、回収された水Wを排出するための排水口15bが設けられている。
【0023】
光出射部20は、開口11よりもノズル10の内側に配置されており、水流WFが形成される略柱状の領域内で光ファイバと同じ原理で伝搬するように光LBを出射する。すなわち、通常、液体の屈折率は空気の屈折率よりも大きいので、液体中を伝搬する光には、気液界面で全反射する臨界角が存在する。そのため、光LBの水流WFへの入射角度によって、光LBは気液界面で全反射を繰り返しながら伝搬する。一実施形態では、光出射部20は、光源21及び集光レンズ(集光光学要素)23を備える。光源21は、例えばレーザ光源であり、開口11に向けて光LBを出射するように配置されている。集光レンズ23は、光源21と開口11との間に配置される。集光レンズ23は、光源21から出射された光LBを集光し、開口11内における光LBのビーム幅を当該開口11の幅よりも狭くする。これにより、光源21から出射された光LBは、開口端11aに当たることなく、開口11の内側を通過する。
【0024】
光源21及び集光レンズ23は、筐体25内に収容されている。筐体25は、少なくとも光LBの出射側に底面が形成された筒状体である。底面は、光源21から出射された光が透過する出射口26であり、例えば石英ガラスのような光学的に透明な材料によって形成されている。筐体25は、ノズル10の貯留部13に水が貯留された状態において、出射口26が水Wに浸漬するように配置されている。したがって、光出射部20から出射される光は、出射口26から直接水中に伝搬されるため、散乱光の発生を減少させることができる。
【0025】
光検出器30は、水流WFが形成される略柱状の領域の長手方向に沿った一部領域(計測領域R)からの光を検出するものであり、この略柱状の領域の外側に配置される。また、光検出器30は、水流WFの方向に交差する方向からの光を受けるように、計測領域Rに向けられている。光検出器30には、例えばCCDやCMOS等の受光素子が用いられ得る。光検出器30は、処理部33に接続されている。処理部33は、光検出器30によって検出された信号を解析する。例えば、光検出器30は、検出された光量に応じた信号レベルを有する信号を処理部33に出力する。そして、処理部33は、水Wに含まれる微粒子の個数(微粒子数)として、光検出器30から入力された信号中で所定の閾値以上の信号レベルを有するパルスの個数をカウントする。
【0026】
図2は、光検出器30を説明するための模式図であり、図1のXY平面における光検出器30、水流WF及びミラー35の配置を示している。光検出器30は、光LBが入射する受光部31を有している。一実施形態では、この受光部31の前方には、当該受光部31と対向するように、ミラー35が配置されている。なお、水流WFが形成される略柱状の領域は、受光部31とミラー35との間にある。ミラー35は、Z軸方向に延びる楕円柱の表面に沿う曲面形状の反射面を提供している。このミラー35の一つの焦点は、XY平面における水流WFの略中心にあり、別の焦点は光検出器30の受光部31に合わされている。この実施形態では、水流WF内の微粒子Pからの散乱光Sは、ミラー35側に進行し、当該ミラー35によって受光部31に向けて反射される。したがって、受光部31によって受光される光量が増加する。このように、ミラー35の形状、受光部31の口径などは、水流WF内の微粒子Pからの散乱光Sが受光部31に入射するように設定されている。
【0027】
再び図1を参照する。気流形成部40は、計測領域Rにおいて略柱状の水流WFを安定させるための気流AF1を形成する。一実施形態では、気流形成部40は、気体案内部41及び送風機49を有している。送風機49は、気体案内部41に接続されており、当該気体案内部41に気体、例えば空気を供給する。気体案内部41は、送風機49から供給される気体を案内して、当該気体をその放出口から放出し、略柱状の水流WFが形成される略柱状の領域の周囲に気流AF1を形成する。一実施形態では、気体案内部41は、筒体41a及び筒体41bを有している。筒体41a及び筒体41bの各々は、その下方側の端部に近付くにつれて縮径する筒形状を有している。これら筒体41a及び筒体41bは、水流WFが形成される略柱状の領域を中心として同軸状に配置されている。このように配置される筒体41aと筒体41bとの間の間隙は、気体の流路として機能する。また、筒体41a及び筒体41bの下端は、気体案内部41における気体の放出口を構成しており、ノズル10よりも下方であって、計測領域Rよりも上方に配置されている。外側に配置された筒体41bの下端の内径は、内側に配置された筒体41aの下端の内径よりも小さく形成されている。これにより、気流AF1を水流WFに効率よく吹きかけることができる。
【0028】
この気体案内部41に送風機49から気体が供給されると、当該気体は筒体41aと筒体41bとの間の間隙を経て、気体案内部41の放出口から放出される。これにより、気流形成部40は、水流WFが形成される略柱状の領域の外周に沿って、水流WFに沿った下向きの気流AF1を形成する。一実施形態では、気流形成部40は、気流AF1の速度を調整するための調整機能を有している。例えば、気流形成部40は、送風機49の出力を調整することによって、気流AF1の速度を任意に調整することができる。
【0029】
また、一実施形態においては、気流形成部40の筒体41a及び筒体41b、即ち、気体案内部41は遮光性を有しており、遮蔽部を構成している。この遮蔽部は、開口11と光検出器30との間に介在しており、開口11で発生するノイズ光N1が光検出器30に到達しないように遮光している。
【0030】
また、一実施形態では、計測領域Rよりも回収口15a側に、別の気流形成部45が配置されている。気流形成部45は、計測領域Rよりも回収口15a側における略柱状の水流WFを安定させるための気流AF2を形成する。この気流形成部45は、気流形成部40と同様の構成を備えており、筒体48a及び筒体48bを有する気体案内部48と、当該気体案内部48に接続された送風機49と、を有している。この気流形成部45は、計測領域Rよりも下方において、水流WFが形成される略柱状の領域の外周に沿って、水流WFに沿った下向きの気流AF2を形成する。また、気体案内部48の筒体48a及び筒体48bは、遮蔽部を構成している。この遮蔽部は、回収口15aと光検出器30との間に介在しており、回収口15aで発生するノイズ光N2が光検出器30に到達しないように遮光している。
【0031】
微粒子計測装置1では、ノズル10の開口11から放出された水Wは、略柱状の水流WFとなって落下する。この水流WFは、その周囲の気流により長い区間において、乱流が抑制された安定した柱形状を維持する。また、微粒子計測装置1では、光出射部20は、水流WF内に光LBを出射する。出射された光LBは、水流WFと空気との界面で全反射しながら水流WF内を下方に向かって伝搬する。水流WF内に微粒子Pが存在する場合には、水流WF内を伝搬する光LBが微粒子Pに照射される。これにより、微粒子Pからの散乱光Sが発生する。散乱光Sは、臨界角より小さな角度で界面に入射すると、水流WFの界面を透過する。計測領域Rにおいて水流WFの界面を透過した散乱光Sは、光検出器30によって検出される。そして、処理部33では、光検出器30からの信号(散乱光Sの強度)に基づいて微粒子数が計測される。計測領域Rを通過した水流WFは、気流形成部45からの気流AF2によって安定した略柱状を保持したまま、回収口15aに流入する。
【0032】
この微粒子計測装置1によれば、上述したように、安定した略柱状の水流WFが長い区間にわたって形成される。したがって、計測領域Rを長くすることができ、当該計測領域Rを通過する微粒子からの光に基づくSN比の高い信号を得ることが可能となる。
【0033】
また、気流形成部40は、気流の速度を調整するための調整機能を有している。これにより、気流の速度が、ノズル10から放出される水流WFの速度に応じて調整される。したがって、より安定した略柱状の水流WFが形成される。
【0034】
また、水流WFの界面に対して臨界角よりも小さな角度を有するノイズ光N1が開口11から放出されても、当該ノイズ光N1が遮蔽部、即ち、気体案内部41によって遮光されるようになっている。したがって、ノイズが低減される。また、気体案内部41が遮蔽部を構成しているので、遮光用の別途の部品が不要となる。
【0035】
また、光出射部20は、開口11における光LBのビーム幅を当該開口11よりも狭くする集光レンズ23を有している。これにより、光出射部20からの光LBが開口端11aで反射又は散乱することにより生じるノイズ光N1が抑制される。また、集光レンズ23によって集光された光は水流WF中で広がるので、水流WF中の広い範囲に光LBが伝搬する。
【0036】
また、微粒子計測装置1は、水流WFを回収するための回収口15aを有する回収部15と、計測領域Rに対して回収口15aの側、且つ水流WFの外周に、気流AFを形成する気流形成部45と、を備えている。これにより、計測領域Rよりも回収口15a側の水流WFを安定させることができる。したがって、計測領域Rよりも回収口15a側から発生するノイズ光N2を低減できる。
【0037】
(第2実施形態)
【0038】
次に図3を参照して第2実施形態に係る微粒子計測装置について説明する。図3に示される微粒子計測装置101は、気流形成部140及び回収部115の構成において第1実施形態の微粒子計測装置1と相違する。以下、主として第1の実施形態と相違する点について説明し、同一の要素や部材については同一の符号を付して詳しい説明は省略する。
【0039】
微粒子計測装置101は、ノズル10、貯留部13、光出射部20、光検出器30、処理部33及び気流形成部140を備えている。気流形成部140は、気体案内部144及び送風機49を有している。送風機49は、気体案内部144に接続されている。
【0040】
気体案内部144は、上部筒体141、中間筒体143及び下部筒体145を含んでいる。上部筒体141は、上部141a、第1中間部141b、第2中間部141c、及び下部141dを含んでいる。上部141aは、円筒形状を有している。第1中間部141bは、上部141aの下端から内側に向かって延在する環状板形状を有している。第2中間部141cは、第1中間部141bの内縁に連続しており、当該第2中間部141cの下端に近付くにつれて縮径する筒形状を有している。これら上部141a、第1中間部141b、及び第2中間部141cは、貯留部13及びノズル10を囲むように延在しており、貯留部13及びノズル10との間に気体の流路を形成している。また、下部141dは、円筒形状を有し、第2中間部141cの下端に連続しており、ノズル10の開口11よりも下方の位置まで延在している。また、下部141dは、水流WFが形成される略柱状の領域との間に気体の流路となる空間を置いて該領域を囲んでいる。かかる上部筒体141に送風機49から気体が供給されると、当該気体が貯留部13及びノズル10と上部筒体141との間の空間を下方に向かって流れる。また、上部筒体141は、遮光性を有しており、開口11と光検出器30との間に介在して、遮蔽部を構成している。この遮蔽部は、開口11で発生するノイズ光N1が光検出器30に到達しないように遮光している。
【0041】
中間筒体143は、上部筒体141の下端に連続して下方に延在する円筒状の管状部材である。中間筒体143は、例えば石英ガラスのような光学的に透明な材料によって形成されている。中間筒体143は、水流WFが形成される略柱状の領域との間に気体の流路となる空間を空けて該領域を囲んでいる。この中間筒体143を有する気流形成部140によって形成された気流AFは、水流WFの界面と中間筒体143の内周面との間を通過する。水流WFが形成される領域のうち、中間筒体143によって囲まれた領域が計測領域Rとなっている。そのため、光検出器30は、計測領域Rからの散乱光Sを観察できるように、中間筒体143に向けられて配置される。
【0042】
下部筒体145は、中間筒体143の下端に連続して下方に延在する円筒状の管状部材である。下部筒体145は、水流WFが形成される略柱状の領域との間に気体の流路となる空間を空けて該領域を囲んでいる。下部筒体145の下端側は、回収部115の内側まで入り込んでいる。この回収部115の上部には、下部筒体145よりも大きな径の回収口115aが形成されている。また、回収部115の下部には、水を排出するための排水口115bが形成されている。そして、この回収口115aの内周との間に所定の間隙をもって下部筒体145の下端側が挿入されている。気流形成部140によって形成された気流AFは、水流WFの界面と下部筒体145の内周面との間を通過した後に、下部筒体145と回収口115aとの間隙から外部に排出される。また、下部筒体145は、遮光性を有しており、遮蔽部146を構成している。遮蔽部146は、回収口115aと光検出器30との間に位置しており、回収口115aで発生するノイズ光N2が光検出器30に到達しないように遮光している。
【0043】
一実施形態では、気体案内部144が中間筒体143を有しており、当該中間筒体143は、光学的に透明な管状部材であり、気体の流れが形成される領域を介して計測領域Rを囲むように設けられている。これによって、計測領域Rの周囲における気流AFが安定する。さらに、この中間筒体143は、上部筒体141及び下部筒体145と連続して気体案内部144を構成している。即ち、気体案内部144は、ノズル10の開口11から回収部115までの全範囲において連続して形成されている。このように、上部筒体141、中間筒体143及び下部筒体145によって水流WFを長距離にわたって囲む気流AFが形成されるので、より水流WFが安定する。
【0044】
以上、種々の実施形態について説明したが、これら実施形態に限定されることなく変形態様を構成することが可能である。例えば、上述の実施形態では、光源21としてレーザ光源が採用されていたが、これに限定されず、LEDなどの他の光源を光源21として利用することが可能である。
【0045】
また、上述の実施形態では、光LBが微粒子Pに照射された際の散乱光Sを検出する構成が採用されているが、これに限定されるものではない。例えば、微粒子計測装置は、蛍光標識が付された微粒子(例えばバクテリアやウイルスなど)を含む流体に対して、光出射部から励起光を出射し、光検出器によって蛍光を検出するものであってもよい。
【0046】
また、光検出器30を一つのみ備える例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、水流WFにおける計測領域Rを長くした場合などには、光検出器を複数備えてもよい。複数の光検出器を備えることによって、散乱光Sの検出感度やSN比を向上させることができる。
【0047】
また、貯留部13内において、出射口26が水Wに浸漬するように配置されている例を示したが、出射口は水面から離れていてもよい。
【0048】
また、送風機49が接続された気流形成部45から気流AF2が発生する例を示したが、送風機49に代えて吸引器も用いてもよい。
【0049】
また、各実施形態において、相互の構成を適宜組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態におけるミラー35を、第2実施形態において使用してもよい。また、第1実施形態における気体案内部41から気流を発生させる構成に加えて、第2実施形態における気体案内部144のように、貯留部13及びノズル10と筒体41aとの間からも気流が発生するように送風機を備えてもよい。筒体41aとノズル10との間から気流が漏れることがなく、効率的に下向きの気流を発生させることができる。また、第1実施形態における気体案内部41から筒体41bを除き、貯留部13及びノズル10と筒体41aとの間のみから気流が発生するように送風機を備えてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1,101…微粒子計測装置、10…ノズル、11…開口、20…光出射部、15,115…回収部、15a,115a…回収口、30…光検出器、40,45,140…気流形成部、41,48,144…気体案内部。
図1
図2
図3