(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
平面視において、前記封止樹脂は、円形であり、前記発光素子は前記封止樹脂の中心部に設けられており、前記間隙は、前記封止樹脂の直径に対応する位置に設けられ、前記離型剤は、前記発光素子の直下の位置から前記間隙内に設けられるとともに、前記封止樹脂の外側まで延長して設けられている請求項2に記載の発光装置。
平面視において、前記封止樹脂は円形であり、前記発光素子は前記封止樹脂の中心部に設けられ、前記間隙は、前記封止樹脂の直径に対応する位置で前記封止樹脂の外側まで延長して設けられ、
前記離型剤配置工程において、前記離型剤は前記封止樹脂の外側まで延長されるように前記間隙内に配置される請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態の一例となる発光装置およびその製造方法について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、本発明を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係等が誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、以下の説明では、同一の名称および符号については原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略することとする。
【0015】
<第1実施形態>
[発光装置の構成]
第1実施形態に係る発光装置1の構成について、
図1A、
図1Bおよび
図2を参照しながら説明する。発光装置1は、例えば表示装置や照明装置の光源として利用できるものである。発光装置1は、
図1Aに示すように、基板10と、配線部20と、異方性導電部材30と、離型剤41を設けた離型剤配置領域40と、発光素子50と、封止樹脂60と、を備えている。
【0016】
基板10は、発光装置1を構成する各部材を設置するためのものである。基板10は、
図1Aに示すように、樹脂層からなる基体11と、接着層12を介して、基体11の一方の面に形成される配線部20とを備えている。なお、前記した「基体11の一方の面」とは、基体11における発光素子50側の面のことを意味している。
基体11の素材としては、特に限定されず、絶縁性のセラミックスや樹脂等を用いることができる。
【0017】
また、基体11として、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、不飽和ポリエステル、ガラスエポキシ等の絶縁性の樹脂フィルム等の可撓性または柔軟性を有する樹脂材料を用いる場合には、発光素子の実装には、半田等に比べて低温で接合可能な、異方性導電部材を用いることが好ましい。しかし、異方性導電部材30の圧着時に、基体11が上下方向にたわみ、圧着終了後に元に戻ることで、異方性導電部材40と基体10または配線部20との間に空洞40が発生しやすくなる。そのため、異方性導電部材30を用いた場合に発生する空洞40の悪影響を低減することができる本発明は、可撓性または柔軟性を有する樹脂材料を基体に用いる発光装置1に特に好ましく適用することができる。
接着層12は、配線部20を基体11の一方の面に接着するためのものであり、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂等で構成されている。なお、基板10の厚さは特に限定されず、目的および用途に応じて任意の厚さで形成することができる。
【0018】
配線部20は、外部の電源と発光素子50とを電気的に接続するものである。
本実施形態の配線部20は、
図1Aおよび
図2に示すように、発光素子50の正負一対の電極51に対応して一対で構成され、基板10の接着層12上に所定の間隙Gだけ離間して形成されている。この間隙Gは、後記する封止樹脂60の直径に対応する位置に設けられている。配線部20は、
図1Aに示すように断面視すると、所定の厚さの膜状に形成されている。また、配線部20は、
図2に示すように平面視すると、円形状の領域と、当該円形状の領域から基板10の左右の端部にそれぞれ伸びる線状の領域とから構成され、間隙Gが前記円形状の領域を2つに分割している。そして、配線部20の円形状の領域は、後記する封止樹脂60が被覆される円形状の領域と同等あるいはそれよりも広い面積を有しており、周縁が封止樹脂60の外に露出している。
【0019】
配線部20の間隙G内では、
図2に示すように、基板10の最上面である接着層12が露出し、当該接着層12上に離型剤配置領域40が形成されている。この離型剤配置領域40の詳細については後記する。配線部20の素材としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル、スズおよびそれらの合金、またはそれらの積層等を用いることができる。配線部の20の最表面は、金またはスズであると好ましい。これにより、後述する異方性導電部材30中の導電粒子32との接合を良好に行うことができる。また、配線部20の厚さは特に限定されず、目的および用途に応じて任意の厚さで形成することができる。配線部20が厚く、基体11と配線部20の上面の高さの差が大きいほど、異方性導電部材30とその他の部材との界面等に空洞が発生しやすい。そのため、配線部20の厚みは、10〜100μm、20〜80μmあるいは30〜50μm程度であることが好ましい。
【0020】
また、前記した間隙Gの幅は、例えば150μm〜300μmの範囲内とすることができる。配線部20および間隙Gの平面視における形状は、特に限定されないが、
図1に示すように、間隙Gが異方性導電部材30と対向する部分において屈曲部や幅広部を有さない、つまり直線状または曲線状の形状であることが好ましい。間隙Gが屈曲部や幅広部を有する場合、その周辺の異方性導電部材30とその他の部材との界面等に空洞が発生しやすくなる。しかし、間隙Gを直線状または曲線状の屈曲部を有さない形状にすることにより、異方性導電部材30とその他の部材との界面等の空洞の発生を抑えることができる。なお、間隙Gが屈曲部や幅広部を有する場合には、その部分に接する、ないし隣接するように、後述する離型剤を設けることが好ましい。
【0021】
異方性導電部材30は、発光素子50を基板10に接着して固定するとともに、発光素子50と配線部20とを導通させるためのものである。異方性導電部材30は、通常、
図1Aおよび
図1Bに示すように断面視すると、一対の配線部20上、離型剤配置領域40上および間隙G内に亘って配置されている。また、異方性導電部材30は、
図2に示すように平面視すると、一対の配線部20上、離型剤配置領域40上および間隙Gを包含するように円形状の領域に形成されている。そして、異方性導電部材30は、接合対象である発光素子50よりも広い面積に配置されている。
【0022】
異方性導電部材30は、発光素子50の接着と導通の2つの機能を兼ね備えるため、接着剤としての透光性樹脂31と、その中に混入された導通部材としての導電粒子32と、の複合物を少なくとも含有する。
透光性樹脂31の素材としては、耐光性および耐熱性に優れるものが好ましく、具体的にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂やその変性樹脂、ハイブリッド樹脂等を用いることができる。また、導電粒子32としては、少なくとも一部が磁性体であるものが好ましく、具体的には表面にニッケル(Ni)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ステンレス等の導電体を有する材料を用いることができる。導電粒子32の形状や大きさは特に限定されず、例えば
図1Aに示すように、球状や、針状または不定形のもの、1μm〜20μmの大きさのものを用いることができる。
【0023】
なお、導電粒子32は、樹脂から成るコアと、このコアを被覆する金属から成る導電層とにより構成されていてもよい。コアに柔軟性を有する樹脂を用いることにより、圧着による接合を容易に行うことができる。コアの材料は、例えばメタクリル樹脂を用いることができ、導電層は前記した金属を用いることができる。導電層は、無電解メッキ、電解メッキ、メカノフュージョン(メカノケミカル的反応)などにより、形成可能である。
また、導電粒子32は、異方性導電部材30中に略均一な濃度で存在しているが、図においては一部、例えば間隙G内等において図示を省略している。
異方性導電部材30中には、光反射率を高めるため、二酸化チタン、酸化亜鉛等の光反射材を含有させてもよい。
異方性導電部材30の配置領域は、
図2に示すような平面視において円形のものに限定されない。また、発光素子より広い面積に配置されることに限られず、接着、導通が十分に行うことができれば、略同等やそれ以下の面積であってもよい。
【0024】
離型剤配置領域40は、異方性導電部材30とその他の部材との界面等の気泡を外部に排出する。例えば、離型剤配置領域40は、
図2に示すように、離型剤41が線状に設けられ対面する部材と微細な空間を形成する領域である。離型剤41としては、例えばフッ素樹脂系離型剤、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、アクリル樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素誘導体系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤のいずれかを用いることができる。
【0025】
本実施形態の離型剤41は、
図1Bに示すように断面視すると、接着層12上に所定厚さの膜状に設けられている。離型剤41は、
図2に示すように平面視すると、異方性導電部材30の下面に対面する位置から封止樹脂60の端部の位置までの間隙G内に形成されている。すなわち離型剤41は、異方性導電部材30が塗布された範囲の間隙G内のある点(位置)を始点として、当該異方性導電部材30の外周方向に向かって、間隙Gに沿って直線状に、封止樹脂60の端部まで連続して設けられている。なお、離型剤41の塗布幅は、例えば50μm〜300μmの範囲内、より好ましくは100μm〜300μmの範囲内とすることができる。
【0026】
離型剤配置領域40は、より具体的には、発光素子50の直下の位置から封止樹脂60の端部の位置までの間隙G内に離型剤41を設けることで形成されている。すなわち離型剤41は、間隙G内となる発光素子50の中央に対応する位置を始点として、当該異方性導電部材30の外周方向に向かって直線状に、封止樹脂60の端部まで連続して設けられている。言い換えれば、離型剤41は、封止樹脂60の半径に相当する間隙G内に設けられている。
【0027】
離型剤41が設けられる範囲は、気泡を排出できる領域であればよく、例えば
図2の左側に示すように、異方性導電部材30の端部から封止樹脂60の端部までの範囲a、異方性導電部材30の中心から封止樹脂60の端までの範囲b、封止樹脂60の端から端までの範囲c等とすることができる。そして、
図1Aおよび
図1Bに示すように、離型剤41は、厚さ方向でみた場合、範囲aでは、封止樹脂60と間隙Gとの間に設けられ、範囲b,cでは、異方性導電部材30と間隙Gとの間および封止樹脂60と間隙Gとの間に設けられることができる。この場合には、離型剤41の下側には常に間隙Gが存在し、離型剤41の上側には、その形成位置によって異なる部材が存在することになる。
【0028】
また、離型剤41を設けたことにより、当該離型剤41の上方には、上方との部材との界面に微細な空隙が形成された離型剤配置領域40を有することになる。そして、この離型剤配置領域40の微細な空隙を通じて、異方性導電部材30内と外部とが通気される状態となっている。
【0029】
離型剤41を設けることで、発光装置1は、製造時に形成された空洞が存在してもその空洞内の気泡が熱により移動した場合、離型剤配置領域40により気泡を外部に排出することができる。従って、離型剤配置領域40を備える発光装置1は、発光素子50と封止樹脂60との界面等に従来の発光装置のように空気層が形成されることもない。
【0030】
本実施形態において、発光素子50は、
図1Aに示すように、発光面と反対側の面に正負一対の電極51を備え、当該電極51が異方性導電部材30を介してそれぞれ対応する配線部20に接合されている。発光素子50は、より具体的には
図2に示すように、異方性導電部材30を介して、一対の配線部20間の間隙Gをまたぐように当該一対の配線部20上にフリップチップ接合されている。また、発光素子50は、後記する封止樹脂60の中心部に設けられている。なお、前記した「発光面」とは、基板10上の配線部20に発光素子50を接合した際に、基板10と対向する側の面と反対側の面であり、発光装置1の光取り出し方向側の面である。
【0031】
発光素子50としては、例えば、n型半導体層とp型半導体層と発光層とからなる半導体層を有する発光ダイオードを用いることができ、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色(波長430nm〜490nmの光)、緑色(波長490nm〜570nmの光)の発光素子50としては、ZnSe、窒化物系半導体(In
XAl
YGa
1-X-YN,0≦X,0≦Y、X+Y≦1)、GaP等を用いることができる。また、赤色(波長620nm〜750nmの光)の発光素子50としては、GaAlAs,AlInGaP等を用いることができる。なお、蛍光物質を用いた発光装置1とする場合には、その蛍光物質を効率良く励起できる短波長の発光が可能な窒化物半導体(In
XAl
YGa
1-X-YN,0≦X,0≦Y,X+Y≦1)を用いることが好ましい。なお、発光素子50の成分組成や発光色、大きさ等は、目的および用途に応じて適宜選択することができる。
【0032】
発光素子50の電極は、
図1Aに示すような発光面と反対側の面に正負一対の電極を備えるものに限られず、発光面と基板10側の面に正負一対の電極を有するものであってもよい。
なお、発光素子がフリップチップで接合される場合には、発光面から十分に光を取り出すことができるように、半導体層の上方側に基板を設けないか、サファイア等の透光性基板を設けることが好ましい。
【0033】
封止樹脂60は、基板10に接合された発光素子50を、塵芥、水分、外力等から保護するとともに、任意に、発光素子50の光取り出し効率向上や波長変換等の光学特性を調整させるものである。本実施形態の封止樹脂60は、
図1Aに示すように断面視すると、基板10上の上面、異方性導電部材30および発光素子50を被覆しており、ドーム状(半球状)に形成されている。また、封止樹脂60は、
図2に示すように平面視すると、一対の配線部20の円形状の領域をほぼ含むように円形状に形成されている。また、前記した離型剤41は、
図1Aおよび
図2に示すように、この封止樹脂60の下方に対向して配置されている。
【0034】
封止樹脂60の材料としては、発光素子50からの光を透過可能な透光性を有するものが好ましく、具体的にはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂やそれらの変性タイプ、あるいはユリア樹脂等を用いることができる。また、封止樹脂60として、上記した有機材料の他に、酸化物等の無機材料を用いてもよい。またこれらに加え、所望に応じて配光や波長を変換するための蛍光体、着色剤、光拡散剤、フィラー等を含有させてもよい。
【0035】
以上の構成を備える、本実施形態の発光装置1によれば、異方性導電部材30の下方から封止樹脂60の外まで形成した離型剤配置領域40を通じて、駆動時に熱により発生することがある異方性導電部材30の界面に形成された空洞から移動する気泡を外部に排出することができる。つまり、発光装置1は、異方性導電部材30と他の部材の界面に沿って熱により気泡が膨張・移動するときに、部材間の界面となる位置に離型剤配置領域40が設けられていることで、その離型剤配置領域を介して気泡を外部に排出する。そのため、発光装置1では、気泡の移動にともなう不具合、例えば発光素子50と封止樹脂60との界面に空気層が形成される恐れを低減することができ、光出力の低下等の発生を低減することができる。
【0036】
[発光装置の製造方法]
以下、本発明の第1実施形態に係る発光装置1の製造方法について、
図3A〜
図3Eを参照しながら説明する。発光装置1の製造方法は、基板準備工程(
図3A)と、離型剤配置工程(
図3B)と、異方性導電部材配置工程(
図3C)と、発光素子接合工程(
図3D)と、封止樹脂形成工程(
図3E)と、を順番に行う。
【0037】
基板準備工程では、例えば、
図3Aに示すように、基体11上に少なくとも一対の配線部20を、接着層12を介して離間して形成した基板10を準備する。
【0038】
例えば、本実施形態においては、まず基体11上に接着層12を介して金属箔を形成した後、当該金属箔のほぼ全面を覆うようにレジスト層を印刷等によって形成し、乾燥させる。次に、レジスト層の上に開口部を備えたマスクを配置する。
【0039】
次に、露光装置を用いてマスクおよびマスクの開口部内のレジストに光(紫外光)を照射して露光した後、マスクを除去して現像する。これにより、光を照射した領域(またはマスクで覆われた領域)のレジスト層が除去され、開口部が形成されたレジスト層となる。なお、開口部内には金属箔が露出した状態となっている。次に、当該開口部が形成されたレジスト層をマスクとし、レジスト層の開口部内に露出された金属箔をエッチングすることで、レジスト開口部に対応する部分の金属箔が除去される。これにより基体11の上面(接着層12)が露出し、この露出部分が間隙Gおよび配線部20以外の部分となり、間隙Gを有する一対の配線部20(
図1A参照)を有する基板10となる。
【0040】
離型剤配置工程では、例えば、
図3Bに示すように平面視で異方性導電部材30の下面に対面する位置から封止樹脂60に対面して封止樹脂60の端部の位置までの間隙G内に、離型剤41(
図1B参照)を線状に塗布して設ける。離型剤配置工程では、より具体的には、発光素子50の直下に対応する位置から封止樹脂60の端部に対応する位置まで、すなわち封止樹脂60の半径に相当する間隙G内に離型剤41を塗布して設ける。ここで、離型剤配置工程では、例えばポッティング(滴下)法、圧縮成型法、印刷法、トランスファモールド法、ジェットディスペンス法、スプレー法等により離型剤41を塗布することができる。なお、封止樹脂60の端部までの位置は、ここでは、配線部20の外形部分と同等になることから、離型剤41は、一対の配線部20の中心から外形部分までの範囲で間隙G内に設けられる。また、異方性導電部材30および封止樹脂60は、ペースト状、液状等の柔らかな、もしくは流動性を有する状態で塗布されることが通常であることから端部位置が必ず一定とは限らない。そこで、離型剤41の設ける長さを、想定される範囲よりもある程度長めに塗布することで、確実に離型剤配置領域40を形成することが可能となる。さらに、離型剤41の一端部は、後記する発光素子50の直下に位置するようになる。ここで発光素子50の直下とは、発光素子50の中心である必要はなく、発光素子50に対向する位置であれば構わない。
【0041】
異方性導電部材配置工程では、例えば、
図3Cに示すように、一対の配線部20上の中央部分にペースト状の異方性導電部材30を塗布する。異方性導電部材配置工程では、より具体的には、平面視で一対の配線部20の中央となる位置で、離型剤41の一部および間隙Gの一部を含む円形の領域上に、ペースト状の異方性導電部材30を塗布する。ここで、異方性導電部材配置工程では、例えばポッティング(滴下)法、圧縮成型法、印刷法、トランスファモールド法、ジェットディスペンス法等によりペースト状の異方性導電部材30を塗布して設けることができる。
異方性導電部材配置工程は、必要量の異方性導電部材30を一度に一カ所に設けてもよいが、複数回で一カ所もしくは複数の位置に分けて設けてもよい。
【0042】
発光素子接合工程では、
図3Dに示すように、異方性導電部材30を介して、一対の配線部20間の間隙Gをまたぐように発光素子50を一対の配線部20上に接合する。発光素子接合工程では、より具体的には、硬化前の異方性導電部材30上に電極51を下に向けて発光素子50を配置し、発光素子50の上から加熱圧着を行う。これより、一対の配線部20に発光素子50が接合される。なお、この発光素子接合工程において、透光性樹脂31内の導電粒子32がつぶされた状態(
図1A参照)で異方性導電部材30が固まるため、圧着終了後に減圧状態となっても、当該導電粒子32を介して発光素子50が配線部20に接続された状態となっている。
なお、この加圧の際に、ペースト状の異方性導電部材30がつぶされることで、異方性導電部材30は、発光素子50より広い面積で設けられる。
【0043】
封止樹脂形成工程では、例えば、
図3Eに示すように、基板10、異方性導電部材30および発光素子50を封止樹脂60で被覆する。本実施形態の封止樹脂形成工程では、より具体的には、平面視で一対の配線部20の円形状の領域をほぼ含むようにドーム状に封止樹脂60を形成する。ここで、封止樹脂形成工程では、例えばポッティング(滴下)法、圧縮成型法、印刷法、トランスファモールド法、ジェットディスペンス法、スプレー法等により封止樹脂60を形成することができる。なお、離型剤41は、封止樹脂60の下面に対面あるいは対向する位置において設けられる。そして、離型剤41は、異方性導電部材30との間、ならびに、封止樹脂60の間に離型剤配置領域40を形成することになる。封止樹脂60の形状は、異方性導電部材30および発光素子50を封止しており、離型剤配置領域40が封止樹脂60の外側にまで配置されている限り、特に限定されない。
【0044】
以上のような各工程を行う発光装置1の製造方法によれば、異方性導電部材30から封止樹脂60の外まで配線部20の間隙G内に離型剤41を設けて離型剤配置領域40を形成している。そのため、異方性導電部材30を用いる場合に異方性導電部材30との部材間の界面に形成されることがある空洞が仮に存在し、駆動時に熱によりその空洞から膨張・移動する気泡があっても、異方性導電部材30に対面する部材間の界面に沿って形成される離型剤配置領域40がより確実に外部に気泡を排出することができる。したがって、従来の装置と比較して発光装置1の各構成に孔や溝等の機械加工する必要がない。そして、発光装置1の製造方法では、製造した発光装置1の発光素子50と封止樹脂60との界面に空気層が形成されず、発光装置1の光出力の低下等の不具合を防止することができる。
なお、前記した製造方法において、封止樹脂形成工程は、発光装置の構成により省略される場合がある。封止樹脂成形工程が省略される場合には、離型剤41は、異方性導電部材30の端部まで、間隙G内または配線部20上等に設けられることになる。
【0045】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る発光装置1Aの構成について、
図4を参照しながら説明する。発光装置1Aは、前記した発光装置1とは離型剤41Aが塗布される離型剤配置領域40Aが異なる。すなわち、発光装置1Aの2カ所に設けられた離型剤41Aは、
図4に示すように、それぞれ発光素子50の外形に沿って設けた第1離型剤(第1離型剤部)41aと、この第1離型剤部41aに連続して封止樹脂60の端部の位置まで設けた第2離型剤(第2離型剤部)41bとして設けられている。そして、発光装置1Aでは、離型剤41Aが発光素子50の中心に対して点対称となる位置に設けられている。なお、離型剤41Aは、ここで示すように、配線部20上および間隙G内の両方に亘って線状に塗布されている。
【0046】
本実施形態の第1離型剤部41aは、すでに形成されている空洞から膨張・移動する気泡を集めて第2離型剤配置領域40bへと導く第1離型剤配置領域40aを形成している。第1離型剤部41aは、より具体的には
図4に示すように、発光素子50の1辺に沿って、当該1辺の位置における異方性導電部材30の下側の領域に線状に設けられている。そして、第1離型剤部41aは、一対の配線部20の一方の上側、間隙G内および一対の配線部20の他方の上側に亘って設けられている。第1離型剤部41aは、異方性導電部材30との間に線状に設けることで、その設けた第1離型剤部41aに沿って気泡が通過できる経路である第1離型剤配置領域40aを形成する。
【0047】
第2離型剤部41bは、第1離型剤配置領域40aによって集められた気泡を外部に排出する第2離型剤配置領域40bを形成している。第2離型剤部41bは、より具体的には
図4に示すように、一対の配線部20の一方(他方)の上側に、異方性導電部材30の端部から封止樹脂60の端部まで線状に設けられている。第2離型剤部41bは、封止樹脂60との間に気泡が通過できる経路である第2離型剤配置領域40bを形成している。
【0048】
本実施形態の発光装置1Aを製造する場合、離型剤配置領域40Aは以下の工程を経ることで形成することができる。前記した発光装置1の製造方法における離型剤配置工程において、離型剤41Aは、少なくとも発光素子50が設置される部分に沿って第1離型剤部41aが設けられ、連続して封止樹脂60の端部に対応する部分まで第2離型剤部41bが設けられる。(第1、第2離型剤配置工程)。そして、異方性導電部材配置工程と封止樹脂形成工程とが行われ、第1離型剤部41aと異方性導電部材30との間に第1離型剤配置領域40aが形成されるとともに、第2離型剤部41bと封止樹脂60との間に第2離型剤配置領域40bが形成される。
【0049】
以上のような構成を備える発光装置1Aは、前記した発光装置1と比較して、離型剤41Aを塗布する領域が広いので、異方性導電部材30との界面の位置にある空洞から熱により気泡が移動した場合に、異方性導電部材30に対面する界面に形成した離型剤配置領域40Aにより、その気泡を外部により確実に排出することができる。
【0050】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る発光装置1Bの構成について、
図5を参照しながら説明する。発光装置1Bは、前記した発光装置1とは離型剤41が塗布される領域が異なる。すなわち、発光装置1Bの離型剤41Bが、
図5に示すように、異方性導電部材30の端部の位置から封止樹脂60の端部の位置までの配線部20上に線状に設けられている。そして、離型剤41Bと異方性導電部材30の間に気泡が通過できる離型剤配置領域40Bを形成する。したがって、異方性導電部材30と離型剤41Bとの界面等に空洞が存在した場合、動作時に熱により空洞内の気泡が移動するときに、気泡が通りやすい離型剤配置領域40Bから封止樹脂60の外部に排気することができる。このように、離型剤41Bは、配線部20上および間隙G内の少なくとも一方に塗布されていればよく、配線部20上のみに塗布されていても効果を奏する。
【0051】
発光装置1Bを製造する場合、離型剤配置領域40Bは、前記した発光装置1の製造方法における離型剤配置工程において、異方性導電部材30が配置される外周部分に対応する位置から封止樹脂60の端部に対応する位置まで、一対の配線部20のいずれか一方の配線部20上に離型剤41Bを塗布することで形成することができる。なお、離型剤41Bの設ける長さを、想定される範囲よりもある程度長めに塗布することで、確実に離型剤配置領域40Bを形成することが可能となる。
【0052】
以上のような構成を備える発光装置1Bは、前記した発光装置1と比較して、より簡単な構成で異方性導電部材30と離型剤41Bとの界面等の空洞から熱により移動する気泡を外部に排出することができる。つまり、異方性導電部材30の界面となる位置に空洞があり気泡が移動する場合に界面に沿って移動する。そのため、その異方性導電部材30の界面に連続する離型剤配置領域40Bが形成されていることで、気泡が界面に沿って移動して通過し易い離型剤配置領域40Bから外部に排気されることになる。
なお、
図5に示す発光装置1Bの離型剤配置領域40Bは、発光素子50の斜め下の方向に向かって設けられているが、異方性導電部材30の端部の位置から封止樹脂60の端部の位置までの配線部20上であれば、離型剤配置領域40Bはどこに設けても構わない。また、離型剤配置領域40Bは、一対の配線部20の一方の上側のみに設けられているが、一対の配線部20の一方および他方の上側にそれぞれ設けても構わない。このように離型剤配置領域40Bを2カ所に設けることで、異方性導電部材30と離型剤41Bとの界面等の空洞の排出効果がより向上する。
【0053】
<第4実施形態>
[発光装置の構成]
第4実施形態に係る発光装置1Cの構成について、
図6を参照しながら説明する。発光装置1Cは、
図6に示すように、前記した発光装置1の構成(
図1A参照)に加え、反射材料層(反射部材)70を備えている。なお、図示は省略したが、発光装置1Cにおいて離型剤41が塗布される領域は、反射材料層70を介して、
図2、
図4および
図5で示された離型剤配置領域40,40A,40Bのいずれでも構わない。
【0054】
反射材料層70は、発光素子50からの光を反射するためのものである。この反射材料層70は、
図6に示すように、発光素子50を接合する接合領域J以外の配線部20上および基板10上に設けられている。なお、反射材料層70の詳細については後記する製造方法の説明において行う。
【0055】
反射材料層70の反射材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン、ウレタン樹脂、オキセタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル、ポリカーボネイト、ポリイミド、ポリフタルアミド等にTiO
2,ZrO
2,Al
2O
3,SiO
2等の反射材を含有させたものを用いることができる。また、反射材料層70の厚さは特に限定されず、目的および用途に応じて任意の厚さで形成することができる。発光装置1Cは、このような反射材料層70を備えることで、発光素子50から出射された光を反射することができ、光出力を向上させることができる。
【0056】
[発光装置の製造方法]
以下、第4実施形態に係る発光装置1Cの製造方法について、
図7A〜
図7Fを参照しながら説明する。発光装置1Cの製造方法は、基板準備工程(
図7A)と、反射材料層形成工程(
図7B)と、離型剤配置工程(
図7C)と、異方性導電部材配置工程(
図7D)と、発光素子接合工程(
図7E)と、封止樹脂形成工程(
図7F)と、を行う。なお、発光装置1Cの製造方法は、反射材料層形成工程以外は前記した発光装置1の製造方法(
図3参照)と同様であるため、以下では反射材料層形成工程を主に説明する。
【0057】
反射材料層形成工程は、
図7Bに示すように、基板10を準備する基板準備工程に含まれ、光を反射する反射材料層70を、発光素子50を接合する接合領域J以外の配線部20上および基板10上に設ける。すなわち、基板10上に配線部20を形成(
図7A参照)した後、反射材料層形成工程では予め定めた発光素子50の接合領域Jをマスクしながら反射材料を塗布し、
図7Bに示すような反射材料層70を設ける。ここで、反射材料層形成工程では、接合領域Jにマスクをして、例えば、印刷法、塗布、スプレー法等により反射材料を設けることができる。
【0058】
そして、このように反射材料層形成工程で反射材料層70を設けてマスクを除去した後、
図7Cに示すように、離型剤配置工程において、反射材料層70上と接合領域Jの間隙G上とに亘って離型剤41(
図6参照)を線状に塗布して設ける。ここで、発光装置1Cについても、前記した発光装置1と同様に間隙Gに沿って離型剤41を線状に形成するが、離型剤41の下側が間隙G上および反射材料層70上になる。すなわち、発光装置1Cでは、間隙G上における反射材料層70が設けられた領域では、反射材料層70と異方性導電部材30または封止樹脂60との間に、離型剤配置領域40が形成され、間隙G上における反射材料層70が設けられていない領域(接合領域J)では、間隙G上(間隙G内)と異方性導電部材30の間に離型剤配置領域40が形成される。
【0059】
そして、異方性導電部材配置工程(
図7D)と、発光素子接合工程(
図7E)と、封止樹脂形成工程(
図7F)とを経て、発光装置1Cを製造する。このような工程を行う発光装置1Cの製造方法によれば、異方性導電部材30内に気泡による空洞が仮に存在しても駆動時に熱によりその空洞内の気泡が移動した場合に異方性導電部材30との界面に沿って移動する。したがって、異方性導電部材30の界面に沿った位置に形成された離型剤配置領域40を介して気泡を除去することができ、発光素子50の接合領域J以外に反射材料層70を形成することで、光出力が向上した発光装置1Cを提供することができる。
【0060】
以上、実施形態に係る発光装置およびその製造方法について、具体的な構成を例示して説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0061】
例えば前記した発光装置1〜1Cは、
図1Aおよび
図6に示すように、基体11の一方の面に接着層12を介して配線部20が接着され、基板10および配線部20の構成が合計3層で構成されていたが、これに加えて、基体11の他方の面に別の接着層等を介して金属層を設け、合計5層で構成しても構わない。なお、前記した「基体11の他方の面」とは、基体11における発光素子50側が搭載される側の面と反対の面のことを意味している。
【0062】
この場合、最下層に設けられる金属層は基体の一部として基板10の機械的強度および放熱性を向上させるためのものであり、例えばアルミニウムおよびその合金等を用いることができる。また、基体11と金属層とを接着する接着層は、前記した接着層12と同様に、例えばウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0063】
さらに、発光装置1,1Aは、
図2に示すように、離型剤41により離型剤配置領域40が封止樹脂60の半径の長さの位置までに亘る間隙G内に設けられていたが、離型剤配置領域40の形成範囲はこれに限定されない。
【0064】
例えば、離型剤配置領域40は、封止樹脂60の直径の長さの位置までに亘る間隙G内に離型剤41を設けても構わない。なお、離型剤41は、封止樹脂60の一方の端部を越える位置から他方の端部を越える位置までの間隙G内に設けられていてもよい。また、封止樹脂60の直径を越えるように離型剤41を設ける場合、発光装置が反射材料層70(
図6参照)を備えるときには、間隙Gの位置となる反射材料層70上と接合領域J上とに亘って設ければよい。
【0065】
このように、封止樹脂60の直径の長さを越えて離型剤41を設けることで、気泡による空洞が発生しやすい界面となる発光素子50の下方で異方性導電部材30の下側を縦断するように離型剤配置領域40を形成できる。そのため、発光装置では、異方性導電部材30で空洞から移動する気泡と離型剤配置領域40との接触する面積が増えるとともに、封止樹脂60の一方の端部の位置と他方の端部の位置とに気泡の排出口が2箇所形成されることになるため、気泡がより外部に排出されやすくなる。
【0066】
また、離型剤配置領域40は、異方性導電部材30の端部の位置から封止樹脂60の端部の位置までの間隙G内に設けられていてもよい。この場合、発光装置を製造する際の離型剤配置工程は、異方性導電部材配置工程の後に行われても構わない。離型剤配置領域40は、
図2に示す発光装置1よりも短い範囲であっても、少なくとも異方性導電部材30の端部から封止樹脂60の端部までの範囲に離型剤配置領域40が形成されていれば、異方性導電部材30の界面に形成されやすい空洞から移動する気泡に逃げ道を与え外部に排出することが容易となる。
【0067】
また、発光装置1は、
図2に示すように、離型剤41が発光素子50の直下の位置から封止樹脂60の端部の位置までの間隙G内に設けられているが、例えば離型剤41が発光素子50の直下の位置から間隙G内に設けられるとともに、封止樹脂60の外側まで延長して設けられていても構わない。そして、発光装置1Bは、
図5に示すように、離型剤41Bにより形成された離型剤配置領域40Bが異方性導電部材30の端部の位置から封止樹脂60の端部の位置までの配線部20上に設けられていたが、例えば離型剤41Bが平面視で異方性導電部材30の下面に対向する位置から封止樹脂60の端部に亘って配線部20上に設けられていても構わない。
【0068】
さらに、発光装置1〜1Cは、
図2、
図4および
図5に示すように、一枚の基板10に対して一つの発光素子50が配置されるとともに、配線部20が円形状の領域と、当該円形状の領域から基板10の左右の端部にそれぞれ伸びる線状の領域とから構成されていたが、基板10および配線部20の構成はこれに限定されない。
【0069】
例えば、
図8A〜
図8Cに示すように、一枚の長尺状の基板10A上に、一対の配線部20Aが複数形成され、それぞれの配線部20Aに発光素子50が接合された構成でも構わない。この場合、発光装置1Dの基板10Aは、可撓性を有し、屈曲および変形が可能なフレキシブル基板であり、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリイミド(PI)で構成されている。
図8Aに示すように、この基板10A上には配線部20Aが設けられている。
【0070】
発光装置1Dの配線部20Aは、反射率を高めるために、例えばアルミニウムで構成されており、発光素子50が接合される一対の配線部20Aのうちの一方または他方が、隣接する発光素子50が接合される一対の配線部20Aの他方または一方を兼ねるように構成されている。すなわち、発光装置1Dは、
図8Aに示すように、中央の発光素子50bを接合する一方の配線部20Abが、図上において左側に隣接する発光素子50aが接合される他方の配線部20Abとなるように構成されている。また同様に、発光装置1Dは、中央の発光素子50bを接合する他方の配線部20Acが、図上において右側に隣接する発光素子50cが接合される一方の配線部20Acとなるように構成されている。なお、
図8Aにおける符号20Ab,20Acおよび符号50a,50b,50cは、配線部20Aおよび発光素子50の位置を区別するために便宜的に使用したものであり、構成はそれぞれ同一である。
【0071】
このような構成を備える発光装置1Dであっても、前記した発光装置1〜1Cと同様に、異方性導電部材30から封止樹脂60の外まで離型剤配置領域40〜40Cを形成することで、異方性導電部材30とその他の部材との界面等に仮に空洞があり、その空洞の気泡が熱により膨張・移動したときに、部材間の界面に沿って移動する気泡を外部に排出することができる。なお、発光装置1Dは、
図8A〜
図8Cに示すように、基板10A上に配線部20のみが設けられているが、前記した発光装置1C(
図6参照)のように、さらに反射材料層70を設けた構成であっても構わない。この場合、発光装置1Dの配線部20Aは、例えば銅で構成される。
【0072】
なお、
図5に示す発光装置1Bでは、異方性導電部材30の端部から封止樹脂60の端部まで設けた離型剤41Bによる離型剤配置領域40Bを2か所、3か所、4か所等、複数等間隔に設ける構成としても構わない。なお、複数の離型剤41Bを設ける場合には、異方性導電部材30の外周に沿った所定長さの離型剤(
図2の第1離型剤部と同様の働き)部分を設けることでより気泡の排出能力が向上する。また、
図4に示す発光装置1Aでは、発光素子50の上側と下側にそれぞれ2つずつ、一対で離型剤配置領域40Aが設けられているが、どちらか一方でも構わない。
【0073】
さらに、
図4の発光装置1Aの製造方法における離型剤配置工程において、第1離型剤部41aと第2離型剤部41bとを別々のタイミングで設けても構わない。すなわち、離型剤配置工程において、発光素子50が設置される部分に沿って第1離型剤部41aを形成する(第1離型剤配置工程)。そして、異方性導電部材配置工程と封止樹脂形成工程との間に、第1離型剤部41aに連続して封止樹脂60の端部に対応する位置まで第2離型剤部41b設ける(第2離型剤配置工程)こととしても構わない。なお、離型剤41,41A〜41Cは、封止樹脂60の端部を越える位置まで延長して設けてもよく、設けられる幅や、形状(直線状)は特に限定されない。つまり、離型剤41,41A〜41Cは、異方性導電部材30のような粘性部材を介して発光素子50を設ける場合に、その粘性部材に発生する空洞から熱により部材間の界面を移動する気泡を排出することができる状態であれば、設けられる幅や形状や長さは限定されるものではない。
【0074】
また、前記した異方性導電部材30は、前記したように、透光性を有する熱硬化性樹脂または光反射材を主成分とすることにより、より好ましくは熱硬化性樹脂を主成分とすることにより、当該異方性導電部材による光の吸収を最大限に防止することができる。また、このような透光性の熱硬化性樹脂中に、光反射材が半田よりも多く、かつ均一に分散しているために、半田による光の吸収を最小限に止めるのみならず、配線間の基体11への光照射を最小限に止めることができ、基板10の劣化を回避することができる。さらに、発光素子50から出射した光が直接異方性導電部材30に当たり反射される以外の光、つまり、周辺部材からの反射・散乱光が当該異方性導電部材30に再度入射した場合でも、効率よく光を反射させることができる。
【0075】
異方性導電部材30は、例えば、熱硬化性樹脂が25〜85重量部、半田が5〜30重量部及び光反射材が10〜70重量部含有されていることが好ましく、熱硬化性樹脂が35〜85重量部、半田が5〜30重量部及び光反射材が10〜40重量部含有されることがより好ましい。