(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の基板上に第一の接続端子が形成された第一の回路部材と、第二の基板上に第二の接続端子が形成された第二の回路部材とを、前記第一の接続端子と前記第二の接続端子とが、電気的に接続されるように接着するための回路接続材料であって、
前記第一の回路部材及び前記第二の回路部材の少なくとも一方がICチップであり、
(a)熱可塑性樹脂と、(b)ラジカル重合性化合物と、(c)ラジカル重合開始剤と、(d)無機フィラーと、(g)導電性粒子とを含有し、前記(d)無機フィラーの形状が鱗片状である、回路接続材料。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレート等の他の類似の表現についても同様である。
【0029】
また、本明細書において、重量平均分子量(Mw)とは、下記に示す条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC−8020
検出器:東ソー株式会社製 RI−8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GL−A−160−S+GL−A150
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:30kgf/cm
2
流量:1.00mL/min
【0030】
また、本明細書において、ガラス転移温度(Tg)とは、下記に示す条件に従って、示差走査熱量測定(DSC)により測定した値をいう。
(測定条件)
装置:パーキンエルマー社製 DSC7
試料重量:0.01g
測定雰囲気:窒素雰囲気下(流量:50ml/min)
温度範囲:−80〜200℃
昇温速度:10℃/min
判定方法:得られた吸熱曲線の変極点前後の直線を延長し、2本の延長線間の2分の1となる直線と吸熱曲線が交差する温度をガラス転移温度とする。
【0031】
また、本明細書において、平均平面幅とは、下記に示す条件に従って、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した値をいう。
装置:株式会社日立ハイテクノロジー製 S−4500
観察倍率:1500倍
測定方法:平面方向に配向した粒子を200個無作為に抽出し、粒子の長径部分を測定し、その平均値を算出したものを平均平面幅とする。
【0032】
本実施形態に係る回路接続材料は、(a)熱可塑性樹脂と、(b)ラジカル重合性化合物と、(c)ラジカル重合開始剤と、(d)無機フィラーとを含有し、(d)無機フィラーの形状が鱗片状であると規定されるものである。
【0033】
(熱可塑性樹脂)
(a)熱可塑性樹脂は、加熱により粘度の高い液状状態になって外力により自由に変形し、冷却し外力を取り除くとその形状を保ったままで硬くなり、この過程を繰り返し行える性質を持つ樹脂(高分子)をいう。また、(a)熱可塑性樹脂は、上記の性質を有する反応性官能基を有する樹脂(高分子)であってもよい。
【0034】
また、本実施形態に係る回路接続材料では、熱可塑性樹脂の一成分として、特定の重量平均分子量を持つアクリル樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂の一成分として、重量平均分子量が1000〜5000のアクリル樹脂を含むことにより、本実施形態に係る回路接続材料はより高い流動性と接続信頼性を兼備できる。
【0035】
なお、上記アクリル樹脂の重量平均分子量は、流動性と接続信頼性の両立の観点から、1000〜5000が好ましいが、回路接続材料のフィルム形成性を高めることも考慮すると、1200〜4000がより好ましく、1500〜3000が更に好ましい。
【0036】
また、上記アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、回路接続材料の流動性を充分に向上させる観点から、70℃未満が好ましく、30℃未満がより好ましく、0℃未満が更に好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)の下限は特に限定されないが、例えば、−80℃以上とすることができる。
【0037】
更に、上記アクリル樹脂は、側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基等の極性又は反応性の官能基を持たない「無官能タイプ」であることが好ましい。「無官能タイプ」のアクリル樹脂を含むことによって、他成分との相互作用が抑制され、その結果として回路接続材料の流動性を更に向上させることができる。
【0038】
回路接続材料における上記アクリル樹脂の含有量は、流動性と接続信頼性の両立の観点から、熱可塑性樹脂及びラジカル重合性化合物の全質量を基準として、1質量%以上15質量%以下が好ましく、2質量%以上12質量%以下がより好ましく、4質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
【0039】
なお、本実施形態に係るアクリル樹脂は、上記特性を有する市販品を用いることができるほか、ラジカル重合等の公知の合成方法を用いて得られる合成品を使用してもよい。
【0040】
本実施形態に係るアクリル樹脂は、例えば、架橋性を有するアクリル系モノマー及びオリゴマー、その他のアクリル系モノマー、並びにアクリル系モノマーと共重合可能なモノマーのいずれか1種類以上と、ラジカル重合開始剤と、を用いたラジカル重合によって得ることができる。
【0041】
架橋性を有するアクリル系モノマー及びオリゴマーとしては、例えば、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ−3−メタクリロキシプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリル酸エステル誘導体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(メタクリロエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート等の2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンジ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、いずれも好適に用いることができるが、側鎖にヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基等の極性又は反応性の官能基を持たないことが好ましい。
【0042】
その他のアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチルメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリルイソシアヌレート及びその誘導体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、いずれも好適に用いることができるが、側鎖及び末端にヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基等の極性又は反応性の官能基を持たないことが好ましい。
【0043】
アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類などが挙げられ、いずれも好適に用いることができるが、側鎖及び末端にヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基等の極性又は反応性の官能基を持たないことが好ましい。
【0044】
(アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂)
本実施形態に係る回路接続材料は、アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂も好適に用いることができる。アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ブチラール樹脂(例えば、ポリビニルブチラール樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、酢酸ビニルを構造単位として有する共重合体(酢酸ビニル共重合体、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体)等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。熱可塑性樹脂中にはシロキサン結合又はフッ素置換基が含まれていてもよい。これらは、混合する樹脂同士が完全に相溶する状態又はミクロ相分離を生じて白濁する状態であることが好ましい。
【0045】
また、上記アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、回路接続材料の流動性と接続信頼性の両立の観点から、−30℃以上190℃以下が好ましく、−25℃以上170℃以下がより好ましく、−20℃以上150℃以下が更に好ましい。
【0046】
また、回路接続材料をフィルム状に成形して利用する場合、熱可塑性樹脂のMwが大きいほど、良好なフィルム形成性が容易に得られ、また、フィルム状の回路接続材料としての流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。
【0047】
本実施形態に係るアクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂のMwは、5000以上が好ましく、7000以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。熱可塑性樹脂のMwが5000以上であると、良好なフィルム形成性が得られ易くなる。
また、本実施形態に係るアクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂のMwは、150000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、80000以下が更に好ましい。熱可塑性樹脂のMwが150000以下であると、他の成分との良好な相溶性が得られ易くなる。
【0048】
回路接続材料における、本実施形態に係るアクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂の配合量は、熱可塑性樹脂及びラジカル重合性化合物の全質量を基準として、5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が5質量%以上であると、回路接続材料をフィルム状に成形して利用する場合に、良好なフィルム形成性が得られ易くなる。また、アクリル樹脂以外の熱可塑性樹脂の配合量は、回路接続材料における導電性粒子を以外の成分の全質量を基準として、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が80質量%以下であると、良好な流動性が得られ易くなる。
【0049】
(ラジカル重合性化合物)
(b)ラジカル重合性化合物は、ラジカルにより重合する官能基を有する物質である。ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、スチレン誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、ラジカル重合性化合物は、モノマー又はオリゴマーのいずれの状態でも使用することができ、モノマーとオリゴマーとを混合して使用してもよい。
【0050】
(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートトリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性ジアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0051】
マレイミド化合物は、例えば、マレイミド基を少なくとも1個有する化合物である。マレイミド化合物としては、例えば、フェニルマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、N,N’−4、4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−4,4−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用してもよい。
【0052】
スチレン誘導体は、スチレンのα−位又は芳香族環における水素原子が置換基で置換された化合物である。
【0053】
また、上記ラジカル重合性化合物の配合量は、熱可塑性樹脂及びラジカル重合性化合物の全質量を基準として、10〜95質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜60質量%が更に好ましい。上記配合量に設定することにより、硬化後の耐熱性が充分で、良好なフィルム形成性を有する回路接続材料が得られ易い傾向がある。
【0054】
(ラジカル重合開始剤)
(c)ラジカル重合開始剤としては、例えば、加熱により分解して遊離ラジカルを発生する過酸化化合物、アゾ系化合物等が挙げられる。これらは目的とする接続温度、接続時間、保存安定性等により適宜選定されるが、反応性と保存安定性の点から、10時間半減期温度が40℃以上、かつ1分半減期温度が180℃以下の有機過酸化物又はアゾ系化合物が好ましく、10時間半減期温度が60℃以上、かつ1分半減期温度が170℃以下の有機過酸化物又はアゾ系化合物がより好ましい。
【0055】
接続時間を10秒以下とした場合、ラジカル重合開始剤の配合量は、充分な反応率を得るために、熱可塑性樹脂及びラジカル重合性化合物の全質量を100質量部としたとき、0.1〜30質量部とすることが好ましく、0.5〜20質量部とすることがより好ましい。ラジカル重合開始剤の配合量が0.1質量部以上にすることにより充分な反応率を維持しつつ、良好な接着強度及び低い接続抵抗を有する回路接続材料が得られやすい。一方、ラジカル重合開始剤の配合量が30質量部以下にすることにより、回路接続材料の流動性の低下、接続抵抗の上昇、及び保存安定性の低下を抑制しやすい。
【0056】
ラジカル重合開始剤の具体例としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイド等が挙げられる。また、回路部材の接続端子の腐食を抑えるために、ラジカル重合開始剤中に含有される塩素イオン及び有機酸は5000ppm以下であることが好ましい。これらの中でもパーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド又はシリルパーオキサイドであることが好ましく、高反応性が得られるパーオキシエステル又はパーオキシケタールであることがより好ましい。これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0057】
ジアシルパーオキサイドとしては、例えば、イソブチリルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルへキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
【0058】
パーオキシジカーボネートとしては、例えば、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルへキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
【0059】
パーオキシエステルとしては、例えば、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−へキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロへキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−へキシルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロへキサン、t−へキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルへキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)へキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルモノカーボネート、t−へキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0060】
パーオキシケタールとしては、例えば、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−へキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロへキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0061】
ジアルキルパーオキサイドとしては、例えば、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)へキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0062】
ハイドロパーオキサイドとしては、例えば、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0063】
シリルパーオキサイドとしては、例えば、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
【0064】
これらの加熱により遊離ラジカルを発生するラジカル重合開始剤は、更に分解促進剤、抑制剤等を混合して用いてもよい。また、これらのラジカル重合開始剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
【0065】
(無機フィラー)
本実施形態に係る回路接続材料は、(d)無機フィラーを含有し、該無機フィラーの形状は鱗片状で規定される。鱗片状とは鱗の様な扁平状もしくは薄片の不定形状をいい、平面方向を有し、且つ該平面方向に直交する方向に厚みを有する形状のものを包含する。また、鱗片状においては、厳密に魚の鱗の形状に限定されるものではなく、狭義の鱗片状のみならず、板状、円形、楕円形、多角形に類する形である粒子を含む。
上記鱗片状の無機フィラーを用いることによって、接続端子間の接続抵抗が低くなる理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、第一の回路部材と第二の回路部材の間に、本実施形態に係る回路接続材料を介在させて、第一の回路部材及び第二の回路部材のどちらか一方向、又は両方向から圧力を印加する際、無機フィラーの平面方向に選択的に圧力が印加され、印加する圧力が低圧であっても、第一の接続端子と第二の接続端子間に介在する回路接続材料の樹脂排除が促進されるためであると考えている。
また、接続信頼性が向上する理由としては、回路接続材料の硬化物の弾性率が向上するためであると考えている。回路接続材料の硬化物の弾性率が向上することによって、例えば、85℃、85RH%耐湿試験後でも低い接続抵抗を維持できる。
【0066】
本実施形態に係る回路接続材料の被着体は、第一の回路部材及び第二の回路部材の少なくとも一方が半導体素子、液晶表示素子等のICチップである。ICチップを回路部材に実装する場合においては、ICチップの回路端子部分に局所的に圧力が印加されるため、低圧での接続が可能な本実施形態に係る回路接続材料が特に有用となる。
【0067】
なお、無機フィラーの平均平面幅は、0.5〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましく、1〜10μmがさらに好ましい。また、無機フィラーの平均厚みは0.001〜1μmが好ましく、0.002〜0.8μmがより好ましく、0.005〜0.5μmがさらに好ましい。平均平面幅が0.5μm以上の場合、回路接続の際にICチップの接続端子と回路部材の接続端子間の樹脂排除が促進されて好ましい。また、平均平面幅が20μm以下の場合、回路接続材料に対する無機フィラーの分散性が良好となるため好ましい。
【0068】
無機フィラーは、上記に記載した鱗片状の粒子形状を有するものであれば特に組成は限定されないが、アルミナ及び窒化ホウ素の少なくとも一つを含むことが好ましい。これらを用いることによって、回路接続材料への無機フィラーの分散性を向上させることができ、接続時の回路部材の接続端子とICチップの接続端子間の樹脂排除を促進することができる。
【0069】
窒化ホウ素の種類としては、無定形窒化ホウ素(a−BN)、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、立方晶窒化ホウ素(c−BN)等が挙げられるが、高い潤滑性、耐熱性の観点から、六方晶窒化ホウ素(h−BN)を用いることが好ましい。
【0070】
本実施形態に係る回路接続材料が、後述の(g)導電性粒子を含む場合、無機フィラーは、該導電性粒子と複合化(又は一体化)されていない状態で存在することが好ましい。
【0071】
無機フィラーの配合量は、回路接続材料の全質量に対して、1〜20質量%が好ましく、1.2〜15質量%がより好ましく、1.5〜10質量%が特に好ましい。1〜20質量%の場合、接続時の回路部材の接続端子とICチップの接続端子間の樹脂排除が促進されるとともに、本実施形態に係る回路接続材料の硬化物の弾性率が向上するため、安定した接続信頼性を維持できる。
【0072】
本実施形態に係る回路接続材料は、(e)アルミニウム錯体を更に含有していてもよい。
【0073】
アルミニウム錯体は、アルミニウムに有機基からなる配位子が結合した分子である。配位子は配位部位を1か所にのみ持つ単座配位子であっても、配位部位を2か所以上に持つ多座配位子であってもよい。アルミニウムと配位子との結合は、水素結合又は配位結合のいずれであってもよい。有機基としては、例えば、炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される基が挙げられ、それらは硫黄原子、窒素原子等を更に含んでいてもよい。
【0074】
アルミニウム錯体は、下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
【化1】
[一般式(2)中、L
1、L
2及びL
3は、それぞれ独立に、アルコキシ陰イオン、β−ジケトンの共役陰イオン又はβ−ケトエステルの共役陰イオンを示す。L
1、L
2及びL
3は、同一であってもよく、異なっていてもよい。]
【0075】
一般式(2)で表されるアルミニウム錯体の具体例としては、例えば、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(オレイルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムアルキルアセトアセテート等が挙げられる。
これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0076】
回路接続材料におけるアルミニウム錯体の配合量は、特に制限されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂及びラジカル重合性化合物の全質量を100質量部としたとき、0.1〜20質量部とすることができる。また、硬化物性の観点から、0.5〜15質量部とすることが好ましく、1〜10質量部とすることがより好ましい。
【0077】
本実施形態に係る回路接続材料は、(f)シランカップリング剤を更に含有してもよい。
【0078】
シランカップリング剤は、その分子中にアルコキシシリル基(Si−OR)を有する化合物である。シランカップリング剤としては特に制限されないが、例えば、分子内に、少なくとも1つアルコキシシリル基(Si−OR)を有する、下記一般式(6)〜(8)で表される化合物を使用することができる。
【0079】
X−R
21−Si(OR
22)
3 (6)
X−R
21−SiR
23(OR
22)
2 (7)
X−R
21−Si(R
23)
2−OR
22 (8)
[式(6)〜(8)中、R
21は、炭素数1〜6のアルキレン基を示し、R
22及びR
23は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、Xはウレイド基、3、4−エポキシシクロヘキシル基、グリシジルオキシ基、イソシアネート基、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基又はメルカプト基を示す。]
【0080】
なお、式(6)〜(8)中のXとして、(メタ)アクリロキシ基等のラジカル重合性二重結合を有する基を含むことが好ましい。これにより、接着力が更に向上する。
【0081】
シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0082】
回路接続材料におけるシランカップリング剤の含有量は、特に制限されるものではないが、例えば、熱可塑性樹脂及びラジカル重合性化合物の全質量を100質量部としたとき、0.1〜30質量部とすることができる。また、接着力の観点から、1〜20質量部とすることが好ましく、2〜10質量部とすることがより好ましい。
【0083】
本実施形態に係る回路接続材料は、(g)導電性粒子を更に含んでもよい。
【0084】
導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子、カーボンなどの導電性物質が挙げられる。充分な保存安定性を得るためには、表層がAu、Ag等の貴金属類であることが好ましく、Auであることがより好ましい。また、Ni、Cu等の遷移金属類の表面をAu、Ag等の貴金属類で被覆層を形成してもよい。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等の表面に上記導電性物質で被覆層を形成したものも使用することができ、この場合においても被覆層は貴金属類で形成したものが好ましい。
【0085】
導電性粒子として、非導電性のプラスチック等を導電性物質で被覆したもの又は熱溶融金属粒子を用いると、加熱及び加圧によりこれらの導電性粒子は変形するため、接続時に電極との接触面積が増加し、回路部材における電極の厚みばらつきを吸収する傾向があるので好ましい。
【0086】
貴金属類の被覆層の厚みは、良好な抵抗を得る観点から、10nm以上とすることが好ましい。ただし、Ni、Cu等の遷移金属類の上に貴金属類の層を設ける場合は、貴金属類層の欠損等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し、保存安定性の低下を引き起こす傾向があるため、これを防止する観点から、被覆層の厚みは30nm以上とすることが好ましい。なお、被覆層の厚みの上限は特に制限されないが、得られる効果が飽和してくるため、1μm以下とすることが好ましい。
【0087】
導電性粒子の平均粒径は、SEM観察によって求めることができる。導電性粒子の平均粒径は、分散性及び導電性が良好となる観点から1〜18μmであることが好ましい。導電性粒子の配合量は、回路接続材料における導電性粒子以外の成分100体積部に対して0.1〜60体積部とすることが好ましく、この範囲内で用途に応じて適宜調節することが好ましい。なお、導電性粒子が過剰に存在することによる隣接回路の短絡等を防止する観点から、配合量は0.1〜30体積部とすることがより好ましい。
【0088】
(安定化剤)
本実施形態に係る回路接続材料には、硬化速度の制御及び貯蔵安定性を更に向上させるために、安定化剤を添加することできる。このような安定化剤としては、特に制限なく公知の化合物を使用することができるが、例えば、ベンゾキノン、ハイドロキノン等のキノン誘導体、4−メトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール等のフェノール誘導体、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等のアミノキシル誘導体、テトラメチルピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン誘導体などが挙げられる。安定化剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0089】
安定化剤の配合量は、回路接続材料における導電性粒子以外の成分の全質量を基準として、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.02質量%以上が更に好ましい。上記配合量が0.005質量%以上であると、硬化速度を制御し易くなると共に貯蔵安定性が向上し易い傾向がある。安定化剤の配合量は、回路接続材料における導電性粒子以外の成分の全質量を基準として、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。上記配合量が10質量%以下であると、他の成分と相溶し易い傾向がある。
【0090】
(その他の成分)
本実施形態に係る回路接続材料は、更に、軟化剤、老化防止剤、難燃化剤、色素、チキソトロピック剤、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート類等を含有していてもよい。
【0091】
(回路接続材料の一形態)
本実施形態に係る回路接続材料は、フィルム状に成形して使用することができる。
図1は、回路接続材料の一実施形態を示す模式断面図である。回路接続材料1は、第一の基板上に第一の接続端子が形成された第一の回路部材と、第二の基板上に第二の接続端子が形成された第二の回路部材とを、第一の接続端子と第二の接続端子とが、電気的に接続されるように接着するための回路接続材料である。
また、本実施形態に係る回路接続材料は、2層以上の層からなる多層構成(図示せず)としてもよい。例えば、2層フィルム型回路接続材料では、導電性粒子を含有する導電性接着剤層と、該導電性接着剤層の片面に形成された絶縁性の絶縁性接着剤層とを備え、導電性接着剤層及び絶縁性接着剤層のいずれにも熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、無機フィラー、アルミニウム錯体及びシランカップリング剤を含有する。なお、導電性接着剤層において、無機フィラーは、導電性粒子と複合化(又は一体化)されていない状態で存在することが好ましい。導電性接着剤層及び絶縁性接着剤層に含有される熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、無機フィラー、アルミニウム錯体及びシランカップリング剤は、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、本発明で規定される形状が鱗片状である無機フィラーは、少なくとも一方の層に含まれていればよい。
【0092】
本実施形態に係る回路接続材料が、多層構成のフィルム状である場合、例えば、各層を別々に作製した後、それぞれの層を貼り合せることにより多層フィルム型回路接続材料を作製することができる。例えば、導電性粒子を含有する導電性接着剤層と、該導電性接着剤層の片面に形成された絶縁性の絶縁性接着剤層との2層フィルム型回路接続材料である場合、導電性接着剤層の構成成分の組成物を、溶媒に溶解したものを支持体(PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等)上に塗工装置を用いて塗布し、組成物が硬化しない温度で所定時間熱風乾燥することにより、導電性接着剤層を作製することができる。同様にして、絶縁性接着剤層も作製することができる。次に、導電性接着剤層と、絶縁性接着剤層とを、例えば、ホットロールラミネータを用いて貼り合せることにより、2層フィルム型回路接続材料を作製することができる。また、導電性接着剤層の厚さは、例えば、1〜10μmとすることができ、絶縁性接着剤層の厚さは、例えば、5〜40μmとすることができ、2層フィルム型回路接続材料全体の厚さは、例えば、6〜50μmとすることができる。
【0093】
(回路部材の接続構造体)
図2は、回路部材の接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。
図2に示すように、本実施形態の回路部材の接続構造体は、相互に対向する基板21から構成される第一の回路部材20及び基板31から構成される第二の回路部材30を備えており、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間には、これらを接続する回路接続部材10が設けられている。
【0094】
基板21から構成される第一の回路部材20は、基板21(第一の基板)と、基板21の主面21a上に形成された接続端子(第一の接続端子)22とを備えている。なお、基板21の主面21a上には、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
【0095】
第一の回路部材20としては、例えば、電気的接続を必要とする電極が形成されているものであれば特に制限はない。具体的に接続端子は、液晶ディスプレイに用いられているITOで電極が形成されている基板から構成される回路部材等が挙げられる。この基板は、例えば、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、メタクリル樹脂、環状オレフィン樹脂等のプラスチックから形成される。また、本実施形態では、金、銅、アルミニウム等の金属又はITO(indium tinoxide)、窒化ケイ素(SiN
X)、二酸化ケイ素(SiO
2)等の無機材料からなる材質で表面の少なくとも一部が形成される、多種多様な表面状態を有する回路部材を用いることができる。
【0096】
一方、第二の回路部材30は、基板(第二の基板)31と、基板31の主面31a上に形成された接続端子(第二の接続端子)32とを備えている。また、基板31の主面31a上にも、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。第二の回路部材30は、半導体素子、液晶表示素子等のICチップである。
【0097】
回路接続部材10は、絶縁性物質11及び導電性粒子7を含有している。導電性粒子7は、対向する接続端子22と接続端子32との間のみならず、主面21aと主面31aとの間にも配置されている。回路部材の接続構造体においては、接続端子22及び接続端子32が、導電性粒子7を介して電気的に接続されている。
【0098】
この回路部材の接続構造体においては、上述したように、対向する接続端子22と接続端子32とが導電性粒子7を介して電気的に接続されている。このため、接続端子22及び接続端子32間の接続抵抗が充分に低減される。したがって、接続端子22及び接続端子32間の電流の流れを円滑にすることができ、回路の持つ機能を充分に発揮することができる。
【0099】
図3は、回路部材の接続構造体の他の実施形態を示す模式断面図である。
図3に示す回路部材の接続構造体は、回路接続部材10が導電性粒子7を含有していないこと以外は、上述した実施形態に係る回路部材の接続構造体と同じである。
図3に示す回路部材の接続構造体では、接続端子22と接続端子32とが導電性粒子を介することなく、電気的に接続される。
【0100】
回路接続部材10は後述するように、上記回路接続材料の硬化物により構成されていることから、基板21から構成される第一の回路部材20及び基板31から構成される第二の回路部材30に対する回路接続部材10の接着強度が充分に高いものである。また、例えば、85℃、85RH%の高温高湿環境下においても安定した接着強度が得られる。また、回路部材の接続構造体では接着強度が充分に高い状態が長期間にわたって持続される。したがって、接続端子22及び接続端子32間の距離の経時的変化が充分に防止され、接続端子22及び接続端子32間の電気特性の長期信頼性を充分に高めることが可能となる。
【0101】
また、回路接続部材10は、上述の多層フィルム構成の回路接続材料の硬化物により構成されていてもよい。例えば、導電性粒子を含む導電性接着剤層と、該導電性接着剤層の片面に形成された絶縁性の絶縁性接着剤層とを少なくとも有し、導電性接着剤層及び絶縁性接着剤層のいずれにも熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、アルミニウム錯体、シランカップリング剤と、を少なくとも含む回路接続材料の硬化物により構成されていてもよい。この場合、第一の接続端子22及び第二の接続端子32のうちの少なくとも一方の接続端子の高さが3.0μm以下であり、回路接続材料1における導電性接着剤層が、高さが3.0μm以下である接続端子側に配置されていることが好ましい。
【0102】
(回路部材の接続構造体の製造方法)
次に、上述した回路部材の接続構造体の製造方法について説明する。
図4及び
図5は、回路部材の接続構造体の製造する一連の工程図である。
【0103】
先ず、上述した第一の回路部材20と、回路接続材料40を用意する(
図4(a)及び
図5(a)参照)。回路接続材料40は、導電性粒子以外の成分5と、導電性粒子7とを含有する場合と、導電性粒子以外の成分5のみを含有する場合がある。
【0104】
回路接続材料40の厚さは、10〜50μmであることが好ましい。回路接続材料40の厚さが10μm以上であると、接続端子22及び接続端子32間に回路接続材料が充分充填され好ましい。他方、50μm以下であると、接続端子22及び接続端子32間の回路接続材料の排除と充填を両立でき、導通と接続信頼性が確保できるため好ましい。
【0105】
次に、回路接続材料40を第一の回路部材20の接続端子22が形成されている面上に載せる。なお、回路接続材料40が支持体(図示せず)上に付着している場合には、回路接続材料40側を第一の回路部材20に向けるようにして、第一の回路部材20上に載せる。このとき、回路接続材料40はフィルム状であるため、取り扱いが容易であり、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間に回路接続材料40を容易に介在させることができ、第一の回路部材20と第二の回路部材30との接続作業を容易に行うことができる。
【0106】
そして、回路接続材料40を、
図4(a)及び
図5(a)の矢印A及びB方向に加圧し、回路接続材料40を第一の回路部材20に仮接続する(
図4(b)及び
図5(b)参照)。このとき、加熱しながら加圧してもよい。ただし、加熱温度は回路接続材料40中のラジカル重合開始剤がラジカルを発生する温度よりも低い温度とする。
【0107】
続いて、
図4(c)及び
図5(c)に示すように、第二の回路部材30を、第二の接続端子32を第一の回路部材20に向けるようにして(すなわち、第一の接続端子22と第二の接続端子32とが対向配置される状態にして)回路接続材料40上に載せる。なお、回路接続材料40が支持体(図示せず)上に付着している場合には、支持体を剥離してから第二の回路部材30を回路接続材料40上に載せる。
【0108】
そして、回路接続材料40を加熱しながら、
図4(c)及び
図5(c)の矢印A及びB方向に第一の回路部材20及び第二の回路部材30を介して加圧する。このときの加熱温度は、ラジカル重合開始剤がラジカルを発生可能な温度とする。これにより、ラジカル重合開始剤においてラジカルが発生し、ラジカル重合性化合物の重合が開始される。こうして、回路接続材料40が硬化処理され、本接続が行われ、
図2及び3に示すような回路部材の接続構造体が得られる。
【0109】
加熱温度は、例えば、90〜200℃とし、加圧圧力は、例えば、5〜80MPaとし、接続時間は、例えば、1秒〜10分とする。これらの条件は、回路接続材料、回路部材によって適宜選択され、必要に応じて、後硬化を行ってもよい。例えば、本実施形態のように、ラジカル重合性化合物及びラジカル重合開始剤を用いている場合、加熱温度を100〜160℃とし、加圧圧力を10〜30MPaとし、接続時間を10秒以内とし、低温低圧速硬化させることもできる。
【0110】
上記回路部材の接続構造体を製造によれば、得られる回路部材の接続構造体において、接続端子22及び接続端子32間の接続抵抗を充分に低減することができる。
【0111】
また、回路接続材料40の加熱により、接続端子22と接続端子32との間の距離を充分に小さくした状態で導電性粒子以外の成分5が硬化して絶縁性物質11となり、第一の回路部材20と第二の回路部材30とが回路接続部材10を介して強固に接続される。すなわち、得られる回路部材の接続構造体においては、回路接続部材10は、上記回路接続材料の硬化物により構成されていることから、第一の回路部材20又は第二の回路部材30に対する回路接続部材10の接着強度が充分に高くなり、特に高温高湿条件下において充分に接着強度が高くなる。また、回路部材の接続構造体では接着強度が充分に高い状態が長期間にわたって持続される。したがって、得られる回路部材の接続構造体は、接続端子22及び接続端子32間の距離の経時的変化が充分に防止され、接続端子22及び接続端子32間の電気特性の長期信頼性に優れる。
【0112】
なお、上記実施形態では、回路接続材料40に、少なくとも加熱によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤を含むものが用いられているが、このラジカル重合開始剤に代えて、光照射のみでラジカルを発生するラジカル重合開始剤を用いてもよい。この場合、回路接続材料40の硬化処理に際して、加熱に代えて光照射を行えばよい。この他にも、必要に応じて、超音波、電磁波等によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤を用いてもよい。また、硬化性成分としてエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を用いてもよい。
【0113】
また、導電性粒子7の代わりに、他の導電材料を用いてもよい。他の導電材料としては、粒子状又は短繊維状のカーボン、AuめっきNi線等の金属線条などが挙げられる。
【実施例】
【0114】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0115】
(無機フィラーの準備)
無機フィラーとして、鱗片状窒化ホウ素粒子(商品名:デンカボロンナイトライドHGP、電気化学工業株式会社製)、鱗片状アルミナ粒子(商品名:セラフ02025、キンセイマテック株式会社製)、球状シリカ粒子(商品名:アエロジルR805、日本アエロジル社製)を準備した。
【0116】
(合成例1:アクリル樹脂AR−1の合成)
攪拌機、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに、イソプロピルアルコール(以降、IPA)1kgを仕込み、70℃に加熱した。別途、ノナンジオールジアクリレート(シグマ・アルドリッチ社製)335g、n−ブチルアクリレート(シグマ・アルドリッチ社製)210g、アゾビスイソブチロニトリル(以降、AIBN、シグマ・アルドリッチ社製)4g、IPA400gからなる混合溶液を調製し、上記滴下ロートから5時間かけてフラスコ内に連続滴下して重合を行った。滴下終了後更にAIBN4gを添加して、80℃で4時間熟成した。
重合終了後、減圧下で反応液から未反応単量体、溶剤等の揮発成分を除去し、液状のAR−1を得た。AR−1の重量平均分子量は1600、ガラス転移温度は−70℃であった。
【0117】
(合成例2:アクリル樹脂AR−2の合成)
攪拌機、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに、イソプロピルアルコール(以降、IPA)1kgを仕込み、70℃に加熱した。別途、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(シグマ・アルドリッチ社製)420g、n−ブチルアクリレート(シグマ・アルドリッチ社製)210g、AIBN4g、IPA400gからなる混合溶液を調製し、上記滴下ロートから5時間かけてフラスコ内に連続滴下して重合を行った。滴下終了後更にAIBN4gを添加して、80℃で4時間熟成した。
重合終了後、減圧下で反応液から未反応単量体、溶剤等の揮発成分を除去し、液状のAR−2を得た。AR−2の重量平均分子量は1700、ガラス転移温度は−51℃であった。
【0118】
(合成例3:アクリル樹脂AR−3の合成)
攪拌機、温度計、冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに、イソプロピルアルコール(以降、IPA)1kgを仕込み、70℃に加熱した。別途、n−ブチルアクリレート(シグマ・アルドリッチ社製)800g、AIBN4g、IPA400gからなる混合溶液を調製し、上記滴下ロートから5時間かけてフラスコ内に連続滴下して重合を行った。滴下終了後更にAIBN4gを添加して、80℃で4時間熟成した。
重合終了後、減圧下で反応液から未反応単量体、溶剤等の揮発成分を除去し、液状のAR−3を得た。AR−3の重量平均分子量は1800、ガラス転移温度は−70℃であった。
【0119】
(合成例4:ウレタンアクリレートUA−1の合成)
撹拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を備えた還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、数平均分子量2000のポリカプロラクトンジオール(脂肪族ポリエステルジオール、商品名:プラクセル220EB、ダイセル化学工業株式会社製)2000質量部(1.00モル)、ジブチルスズジラウレート(シグマ・アルドリッチ社製)5.53質量部を投入した。充分に窒素ガスを導入した後、70〜75℃に加熱し、イソフォロンジイソシアネート(脂肪族イソシアネート、シグマ・アルドリッチ社製)688質量部(3.10モル)を3時間かけて均一に滴下し、反応させた。滴下終了後約10時間反応を継続した。これに2−ヒドロキシエチルアクリレート(シグマ・アルドリッチ社製)238質量部(2.05モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマ・アルドリッチ社製)0.53質量部を投入し、更に10時間反応させ、IR測定によりイソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、ウレタンアクリレート(UA−1)を得た。得られたウレタンアクリレートの重量平均分子量は10000であった。得られたUA−1は固形分40質量%となるようにメチルエチルケトンに溶解した。
【0120】
(合成例5:ポリエステルウレタン樹脂PEU−1の合成)
ジガルボン酸としてテレフタル酸(シグマ・アルドリッチ社製)、ジオールとしてプロピレングリコール(シグマ・アルドリッチ社製)及びネオペンチルグリコール(シグマ・アルドリッチ社製)、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(シグマ・アルドリッチ社製)を用いた。
(手順1:ポリエステルポリオールの合成)
まず、テレフタル酸/プロピレングリコール/ネオペンチルグリコールを質量比で59/21/3になるように混合し、撹拌機、温度計、コンデンサー、真空発生装置及び窒素ガス導入管が備え付けられたヒーター付きステンレス製オートクレーブに投入した。更に、触媒として三酸化アンチモンを上記テレフタル酸100molに対して0.003molの比率で、界面活性剤として水酸化コリンを上記テレフタル酸100molに対して4molの比率でそれぞれ投入した。次いで、0.35MPaの窒素圧下で2.5時間かけて250℃まで昇温し、250℃で1時間撹拌した。その後、大気圧(0.1MPa)まで4.0×10
−3MPa/分の条件で減圧し、そのまま250℃で3時間撹拌した。25℃まで冷却した後、白色沈殿を取り出し、水洗後、真空乾燥することによってポリエステルポリオールを得た。
(手順2:ポリエステルウレタンPEU−1の合成)
手順1で得られたポリエステルポリオールを充分に乾燥した後、トルエンに溶解し、撹拌機、滴下漏斗、還流冷却器及び窒素ガス導入管を取り付けた四つ口フラスコに投入した。触媒としてジブチルスズラウレートをポリエステルポリオール100質量部に対して0.02質量部の比率で投入した。一方、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、テレフタル酸59質量部に対して17質量部になるように準備し、トルエンに溶解し、上記の滴下漏斗に投入した。反応系内を乾燥窒素で置換してから加熱を開始し、還流し始めたら滴下漏斗内の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート溶液の半分を一度に加え、激しく撹拌した。残り半分の溶液は3時間かけて滴下し、滴下後さらに1時間撹拌した。25℃まで冷却することによって得られた沈殿を、ジメチルホルムアミドに溶解し、ジメチルホルムアミドと等量のメタノールを加えて、冷蔵庫(5℃)内に一晩放置した。放置後、得られた沈殿を取り出し、真空乾燥することによって、PEU−1を得た。得られたポリエステルウレタン樹脂の重量平均分子量は45000、ガラス転移温度は106℃であった。得られたポリエステルウレタン樹脂をメチルエチルケトンとトルエンの1:1溶媒に固形分32質量%となるように溶解した。
【0121】
(YP−70:フェノキシ樹脂の準備)
熱可塑性樹脂として、固形分40質量%となるようにメチルエチルケトンに溶解したフェノキシ樹脂(新日鐵化学株式会社製、商品名:YP−70)を準備した。
(M313:ウレタンアクリレートの準備)
ラジカル重合性化合物として、固形分80質量%となるようにメチルエチルケトンに溶解した多官能ウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製、M313)を準備した。
(INI:ジラウロイルパーオキサイドの準備)
ラジカル重合開始剤として、固形分20質量%となるようにトルエンに溶解したジラウロイルパーオキサイド(和光純薬工業株式会社製、記号:INI)を準備した。
(AC−1:アルミニウム錯体の準備)
アルミニウム錯体として、固形分80質量%となるようにメチルエチルケトンに溶解したビス(エチルアセトアセテート)(2、4−ペンタンジオナト)アルミニウム(和光純薬工業株式会社製、記号:AC−1)を準備した。
(SC−1:シランカップリング剤の準備)
シランカップリング剤として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(和光純薬工業株式会社製、記号:SC−1)を準備した。
(CP−1:導電性粒子の準備)
ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けた平均粒径3μm、比重2.5の導電性粒子(記号:CP−1)を作製して準備した。
【0122】
[実施例1〜10、比較例1〜4]
(回路接続材料の作製)
表1に示した配合比で各成分を配合し、厚み40μmのPET樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚みが20μmである、実施例1〜10及び比較例1〜4の回路接続材料を得た。
【0123】
【表1】
表1中、導電性粒子を除き、各数値は固形分換算した質量部を表す。導電性粒子の数値は、導電性粒子以外の各成分の合計100体積部に対する体積部を表す。
【0124】
(接続抵抗の評価)
実施例1〜10及び比較例1〜4の回路接続材料を、(A)ポリイミド(PI)基板(外形38mm×28mm、厚さ0.125mm、表面にITO配線パターン(パターン幅50μm、ピッチ50μm)を有するもの)、又は(B)ポリエチレンテレフタレート(PET)基板(外形38mm×28mm、厚さ0.125mm、表面に金(Au)配線パターン(パターン幅50μm、ピッチ50μm)を有するもの)に、2mm×20mmの大きさでPET樹脂フィルムから転写した。ICチップ(外形1.7mm×17.2mm、厚さ0.55mm、バンプの大きさ50μm×50μm、バンプのピッチ50μm、バンプの高さ15μm)を140℃、5秒の条件で、30MPa(バンプ面積換算)の荷重をかけて加熱加圧して実装した。得られた接続構造体の隣接回路間の抵抗値(14端子測定した中の平均値)は、マルチメータを用いて測定した。なお、上記抵抗値は、接続直後(表2中、「試験前」と表示)と、高温高湿試験(85℃、85%RH)を48時間行った後(表2中、「試験後」と表示)に測定した。
【0125】
【表2】
【0126】
接続直後(高温高湿試験前)において、実施例1〜10の回路接続材料を用いたときの抵抗値は、比較例1〜4に比べて、充分に低く良好であった。また、高温高湿試験後において、上記抵抗値は、比較例1及び2に比べて充分に低く、実施例1〜10の回路接続材料を用いた回路部材の接続構造体は良好な接続信頼性を示した。
【0127】
[実施例11〜16、比較例5〜8]
(回路接続材料の作製:2層フィルム型回路接続材料)
(導電性接着剤層の作製)
表3に示す配合比で、熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、アルミニウム錯体、シランカップリング剤、及び導電性粒子を配合し、厚み40μmのPET樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって厚みが6μmである導電性接着剤層を作製した。
(絶縁性接着剤層の作製)
表4に示す配合比で、熱可塑性樹脂、ラジカル重合性化合物、ラジカル重合開始剤、アルミニウム錯体、及びシランカップリング剤を配合し、厚み40μmのPET樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、5分の熱風乾燥によって接着剤層の厚みが14μmである絶縁性接着剤層を作製した。
(2層構成フィルム型回路接続材料の作製)
上記導電性接着剤層と上記絶縁性接着剤層とを、ホットロールラミネータを用いて貼り合わせ、実施例11〜16及び比較例5〜8の2層フィルム型回路接続材料を得た。
【0128】
【表3】
【0129】
【表4】
表3、4中、導電性粒子を除き、各数値は固形分換算した質量部を表す。導電性粒子の数値は、導電性粒子以外の各成分の合計100体積部に対する体積部を表す。
【0130】
(接続抵抗の評価)
実施例11〜16及び比較例5〜8の2層フィルム型回路接続材料を、(A)ポリイミド(PI)基板(外形38mm×28mm、厚さ0.125mm、表面にITO配線パターン(パターン幅50μm、ピッチ50μm)を有するもの)、又は(B)ポリエチレンテレフタレート(PET)基板(外形38mm×28mm、厚さ0.125mm、表面に金(Au)配線パターン(パターン幅50μm、ピッチ50μm)を有するもの)に、2mm×20mmの大きさで、導電性接着剤層がそれぞれの基板に接するように配置し、PET樹脂フィルムから転写した。ICチップ(外形1.7mm×17.2mm、厚さ0.55mm、バンプの大きさ50μm×50μm、バンプのピッチ50μm、バンプの高さ15μm)を140℃、5秒の条件で、30MPa(バンプ面積換算)の荷重をかけて加熱加圧して実装した。得られた接続構造体の隣接回路間の抵抗値(14端子測定した中の平均値)は、マルチメータを用いて測定した。なお、上記抵抗値は、接続直後(表5中、「試験前」と表示)と、高温高湿試験(85℃、85%RH)を48時間行った後(表5中、「試験後」と表示)に測定した。
【0131】
【表5】
【0132】
接続直後(高温高湿試験前)において、実施例11〜16の回路接続材料を用いたときの抵抗値は、比較例5〜8に比べて、充分に低く良好であった。また、高温高湿試験後において、上記抵抗値は、比較例5〜8に比べて充分に低く、実施例11〜16の回路接続材料を用いた回路接続部材の接続構造体は良好な接続信頼性を示した。