(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光素子、前記透光性部材および前記蛍光体層から選択された少なくとも一つの部材の、少なくとも側面を覆うように設けられた反射材料と、前記発光素子の光取出面とは反対側に設けた実装基板とを備える請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
前記透光性部材の前記素子接合面とは反対側の光取出面に蛍光体層を形成した後、前記各工程を行う請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため部分的に誇張して示すことがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一の構成、部材もしくは同質の構成、部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、各構成において、層と膜との違いは表現のみであり、厚み形成範囲等によって異なるものではない。
【0016】
<発光装置の構成>
図1に示すように、発光装置1は、LED等の半導体発光素子である発光素子2と、この発光素子2を設けた基板3の光取出面3Aに設けた透光性部材10と、を備え、透光性部材10の素子接合面10Bに反射層11を備えている。
【0017】
発光素子2は、一例として、n側電極(n側パッド電極4n)とp側電極(p側全面電極層6a及びp側パッド電極6p)が半導体積層構造体8の一面側に設けられたフリップチップ実装(フェイスダウン実装)のLEDチップの構成として説明する。この発光素子2は、液相成長法、HDVPE法やMOCVD法により基板3上にZnS、SiC、GaN、GaP、InN、AlN、ZnSe、GaAsP、GaAlAs、InGaN、GaAlN、AlInGaP、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが好適に用いられる。発光素子2は、透光性のサファイア基板である基板3に積層して形成した半導体積層構造体8を備えている。
【0018】
半導体積層構造体8は、例えば、基板3上に形成されたn型半導体層4と、このn型半導体層4上に形成されるp型半導体層6と、n型半導体層4とp型半導体層6の間に形成される活性層5と、p型半導体層6上に形成されたp側全面電極層6aと、を備えている。そして、半導体積層構造体8は、p型半導体層6が積層されていないn型半導体層4上には、n側パッド電極4nが形成されると共に、p側全面電極層6a上に突出させてp側パッド電極6pとが形成されている。さらに、半導体積層構造体8には、n側パッド電極4nの接続端面側、及び、p側パッド電極6pの接続端面側を露出させるように保護膜9が設けられている。
【0019】
この発光素子2は、基板3の一側の面を光取出面3Aとして構成され、半導体層の材料やその混晶度の選択により、発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層の材料としては、例えばIn
XAl
YGa
1−X−YN(0≦X≦1、0≦Y≦1、X+Y≦1)等が利用できる。
【0020】
そして、発光素子2は、基板3の光取出面3Aを透光性部材10の中央(略中心)に接合している。なお、発光素子2を透光性部材10に接合する場合には、一例として、透光性部材10の素子接合面10Bにおける接合位置10b(
図3参照)の表面を、高速電子ビームにより活性化し、接触・加圧などにより直接接合させることができる。
【0021】
透光性部材10は、発光素子2上で層状(膜状)あるいは板状に形成されており、例えば、SiO
2、SiON、TiO
2、Al
2O
3のうちの少なくとも一つを用いて形成した無機誘電体材料又は有機無機ハイブリッド材料からなるのが好ましい。前記した材料を用いた無機誘電体材料は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、スパッタリング、蒸着、ALD(Atomic Layer Deposition)などによって形成することができる。また、有機無機ハイブリッド材料に用いる有機成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ポリイミドなどが挙げられる。前記した材料を用いた有機無機ハイブリッド材料は、ゾル・ゲル法、その場(in situ)重合法、固相反応法などによって形成することができる。
【0022】
なお、透光性部材10は前記したものを用いるのが好ましいがこれらに限定されるものではない。例えば、使用するLEDの波長に対して透明であり、接合する光学部材である蛍光体層20とほぼ同じ屈折率を有するものであればどのようなものも用いることができる。また、透光性部材10は、当該層を形成した後に研磨などを行って平坦化することかができる厚みを備えることが好ましい。
【0023】
透光性部材10は、発光素子2からの光の取出効率を向上させるためのものである。この透光性部材10は、発光素子2の基板3に接合する部位の屈折率と同じ又は高い(同等以上の)屈折率を有すると共に、平面視で発光素子2の光取出面3Aよりも大きな面積に形成されている。この透光性部材10は、例えば、発光素子2の光取出面3Aよりも1.1〜5倍の大きさ範囲の面積で形成され、発光素子2を中央(中心)になるように位置合わせした状態で形成されている。なお、透光性部材10は、一例として、50〜200μmの厚みで形成され、大きさは、矩形(長方形、正方形)の長辺あるいは一辺が2〜5mmで形成されている。
【0024】
また、透光性部材10の屈折率は、具体的には、1.4〜2.0程度とするとよい。透光性部材10の屈折率がこの範囲にあれば、界面のいずれかで生じる光の全反射等をより確実に低減することができる。また、透光性部材10の屈折率は、光の透過率を勘案し、層形成時の材料の選択や形成条件等によって任意に調整することができる。
【0025】
一例として、SiO(具体的には、例えばSiO
2)の屈折率は1.41であり、SiN(具体的には、例えばSi
3N
4)の屈折率は2.0であり、SiON(一般的にSiO
xN
yとも呼称されている。)の屈折率はその中間である。従って、例えばCVDなどで透光性部材10を形成する場合、SiとOとNの含有比率を適宜設定することにより、その屈折率を半導体積層構造体8と同程度としたり、後記する蛍光体層(光学部材)20と同程度としたりすることができる。
【0026】
透光性部材10の屈折率は、これと接する基板3と同程度とするか、後記する蛍光体層20と同程度とすることで、屈折率境界を減らすことができる。そのため、基板3と透光性部材10の界面や、透光性部材10と大気との界面で生じる光の全反射等を低減することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。ここで、同程度とは、例えば、用いる基板3の屈折率の絶対値でプラスマイナス0.3の範囲内、好ましくはプラスマイナス0.1の範囲内、より好ましくはプラスマイナス0.05の範囲内にあることをいう。
【0027】
そして、この透光性部材10は、発光素子2の光取出面3Aを接合した素子接合面10Bに反射層11が設けられている。
反射層11は、透光性部材10の光取出面10Aから戻ってきた光を反射して出力するためのものである。反射層11は、透光性部材10の素子接合面10Bに形成され、発光素子2に近接(隣接)してその周囲となる位置に設けられている。なお、反射層11は、発光素子2の側面に当接(隣接)するように設けることや(基板3あるいは保護膜9に当接)、あるいは、
図1に示すように、当接しない状態であっても発光素子2の光取出面3Aの周囲に設ける構成であれば構わない。つまり、反射層11は、後記する製造方法により形成されたときに、製造上の許容範囲において隙間を空けた状態で発光素子2の光取出面3Aの周囲に形成されることになる。
【0028】
この反射層11は、例えば、誘電体多層膜から構成されている。誘電体多層膜は、例えば、SiO
2/Nb
2O
5からなる多層膜である。なお、反射層11では、誘電体多層膜を設けて、さらに、高い反射性を備える金属膜を設ける構成とすることがより好ましい。また、金属膜の一例としては、Ag、Al、Rhなどが挙げられる。さらに、反射層11は、金属膜を設けた場合には、その金属膜に保護層(SiO
2)を設ける構成とすることが望ましい。したがって、反射層11は、一例として、透光性部材10の素子接合面10BからSiO
2/Nb
2O
5/SiO
2/Nb
2O
5/・・・SiO
2/Nb
2O
5/Ag/SiO
2のような、SiO
2/Nb
2O
5の層を2層以上の複数層(10層、20層、30層、40層、45層、50層)有する構成を備えている。この反射層11は、一具体例として、誘電体層を41層だけ積層し、その誘電体層の次に金属膜であるAg層を積層し、さらに、Ag層に保護膜であるSiO
2層を積層して備えている。
【0029】
以上のように構成した発光装置1では、発光素子2から光が発光されると、
図2に示すような光路を経て透光性部材10の光取出面10Aから外部に出力されることになる。
図2に示すように、発光装置1の発光素子2から光が照射されると、光の多くは二点鎖線の矢印H1で示すように、透光性部材10を透過してその光取出面10Aから出力(照射)される。また、発光素子2からの光の中には、透光性部材10の光取出面10Aと大気との界面で反射されて戻ってくる光(矢印H3)がある。
【0030】
矢印H3に示すように、発光素子2の光取出面3Aを外れた位置に光が戻ってくる場合がある。発光装置1では、発光素子2の光取出面よりも広い範囲となる透光性部材10の素子接合面10Bに反射層11が設けられているので、戻って来た矢印H3で示す光を、その反射層11で反射し透光性部材10の光取出面10Aから出力することが可能となる。なお、
図2では、説明上、矢印の始点を発光素子2の光取出面3Aの端からとして模式的に示しているが、その矢印の始点の位置は任意である。そして、発光装置1では、反射層11がAg層のような金属膜を有することで、より高い反射効率が実現できるので、光取出し効率をさらに向上させることが可能となる。
【0031】
<発光装置の製造方法>
つぎに発光装置の第1製造方法から第3製造方法について、
図3から
図5を参照して説明する。なお、以下の説明では、個片化する前の透光性部材10を透光材料100とし、また、個片化する前の反射層11を誘電体多層膜111として説明する。
はじめに、
図3(a)、(b)に示すように、第1製造方法では、透光性部材10となるシート状の透光材料100を形成し(S1)、その透光材料100に反射層11となる誘電体多層膜111を全面に設ける(反射層形成工程:S2)。なお、誘電体多層膜111は、蒸着、スパッタ、CVDなどの任意の方法で設けることができる。
【0032】
つぎに、
図3(c)に示すように、第1製造方法では、誘電体多層膜111上にマスクMを、後の工程で発光素子2を設ける位置を空けて、例えばパターニングにより設ける(S3)。そして、
図3(d)、(e)に示すように、第1製造方法では、マスクMがない部分の誘電体多層膜111の部分がエッチングにより除去される(S4)。なお、エッチングする際に、同時に、後の工程で使用するためのアライメントマーク(アライメントパターン)Apを、誘電体多層膜111の一部で形成できるようにマスクMを設ける(透光材料100上で発光素子2の接合に邪魔にならない位置)。その後、マスクMが除去されることで透光材料100の素子接合面10Bに発光素子2の接合位置10bが形成される(接合位置形成工程:S5)。それと同時に誘電体多層膜111の一部を利用してアライメントマークApが形成される。
【0033】
つぎに、
図3(f)に示すように、透光材料100の接合位置10bに対応するように、予め支持基板KB上に接着層adを介して間隔を空けて設けた発光素子2を準備しておき、その支持基板KBのアライメントマーク(図示せず)を誘電体多層膜111で形成したアライメントマークApと整合させて位置を合わせる。そして、支持基板KB上の発光素子2を接合位置10bに対面させる。さらに、接合位置10bに高速電子ビームを照射することで活性化させて、発光素子2の光取出面3Aを透光材料100の接合位置10bに接触・加圧等により直接接合させる(S6)。その後、支持基板KBの接着層adから発光素子2を離脱させ発光素子2を支持基板KBから分離して(
図3(g)参照)、発光素子2と透光材料100とを接合する(発光素子接合工程:S7)。
【0034】
つぎに、
図3(h)に示すように、発光素子2を接合した透光材料100を、発光素子2の光取出面3Aよりも大きくなるように既存の例えば、ダイシング等の方法により個片化する(個片化工程:S8)。そして、個片化することで、透光性部材10の素子接合面10Bに発光素子2の光取出面3Aが接合され、発光素子2の周囲の素子接合面10Bに反射層11が形成された発光装置1が形成されることになる。
【0035】
このように製造された発光装置は、すでに説明したように、反射層11により透光性部材10の光取出面10Aから戻ってきた光を反射して再び光取出面10Aから外部に送り出すことができる。
【0036】
つぎに、発光装置1の第2製造方法について
図4を参照して説明する。
図4(a)、(b)に示すように、この第2製造方法では、透光性部材10となるシート状の透光材料100を形成し(S11)、後の工程で発光素子2を接合する透光材料100の位置にマスクMを設ける(S12)。なお、後記する工程で必要となるアライメントマーク(アライメントパターン)Apを形成できるように、透光材料100上で発光素子2の接合に邪魔にならない位置にマスクMの一部をアライメントマークAp用として使用する。そして、
図4(c)に示すように、マスクMを設けた透光材料100の一側の全面に反射層11となる誘電体多層膜111を設ける(反射層形成工程:S13)。
図4(d)、(e)に示すように、リフトオフによりマスクMを除去することで(S14)、発光素子2の接合位置10bを形成する(接合位置形成工程:S15)。リフトオフを行うことで、アライメントマークApも同時に誘電体多層膜の一部により形成されることになる。
【0037】
つぎに、
図4(f)に示すように、透光材料100の接合位置10bに対応するように、予め支持基板KB上に接着層adを介して間隔を空けて設けた発光素子2を準備しておき、その支持基板KBのアライメントマーク(図示せず)を誘電体多層膜111で形成したアライメントマークと整合させて位置を合わせる。そして、支持基板KB上の発光素子2を接合位置10bに対面させる。さらに、接合位置10bに高速電子ビームを照射することで活性化させて、発光素子2の光取出面3Aを透光材料100の接合位置10bに接触・加圧等により直接接合させる(S16)。その後、支持基板KBの接着層adから発光素子2を離脱させ発光素子2を支持基板KBから分離して(
図4(g)参照)、発光素子2と透光材料100とを接合する(発光素子接合工程:S17)。
【0038】
また、
図4(h)に示すように、発光素子2を接合した透光材料100を、発光素子2の光取出面3Aよりも大きくなるように既存のダイシング等の方法により個片化する(個片化工程:S18)。そして、個片化することで、透光性部材10の素子接合面10Bに発光素子2の光取出面3Aが接合され、発光素子2の周囲の素子接合面10Bに反射層11が形成された発光装置1が形成されることになる。
【0039】
つぎに、第3製造方法につて、
図5を参照して説明する。
始めに、
図5(a)、(b)に示すように、この製造方法では、透光性部材10となるシート状の透光材料100を形成し(S21)、その透光材料100の接合位置10bに、予め支持基板KBに接着層adでマスク(レジスト)Mを介して仮止めされた発光素子2を対面させる。そして、支持基板KBのアライメントマーク(図示せず)と、透光材料100のアライメントマーク(図示せず)とを位置合わせすることで、発光素子2の接合位置を整合させる。さらに、発光素子2を接合する接合位置10bに、高速電子ビームで活性化させ発光素子2の光取出面3Aを接合位置10bに接触・加圧等を行い直接接合する(S22)。その後、
図5(c)に示すように、支持基板KBの接着層adからマスクM及び発光素子2を分離することで、マスクM及び発光素子2を透光材料100に接合する(発光素子接合工程:S23)。
【0040】
また、
図5(d)に示すように、透光材料100及びマスクM上に誘電体多層膜111を設ける(反射層形成工程:24)。そして、
図5(e)、(f)に示すように、リフトオフにより発光素子2上のマスクM及びマスクM上の誘電体多層膜111の部分を除去し(除去工程:S25)、発光素子2を透光材料100に設ける(S26)。最後に
図5(g)に示すように、発光素子2を接合した透光材料100を、発光素子2の光取出面3Aよりも大きくなるように既存のダイシング等の方法により個片化する(個片化工程:S27)。そして、個片化することで、透光性部材10の素子接合面10Bに発光素子2の光取出面3Aが接合され、発光素子2の周囲の素子接合面10Bに反射層11が形成された発光装置1が形成されることになる。
【0041】
このように製造された発光装置1は、すでに説明したように、透光性部材10の光取出面10Aから戻ってきた光を反射層11で反射させて再び光取出面10Aから外部に送り出すことができる。
なお、発光装置1は、透光性部材10の光取出面10Aから外部に光を取り出す構成として説明したが、透光性部材10の素子接合面とは反対側の光取出面10Aに蛍光体層20を設けた発光装置1Aとしても構わない。以下、
図6を参照して発光装置1Aについて説明する。また、既に説明した構成は同じ符号を付して適宜省略する。
【0042】
図6に示すように、発光装置1Aは、発光素子2と、発光素子2の光取出面3Aに設けた透光性部材10と、透光性部材10の光取出面10Aに設けた蛍光体層20とを備え、透光性部材10の素子接合面10Bにおいて発光素子2の周囲となる位置に反射層11が設けられている。蛍光体層20は、透光性部材10の光取出面10Aから出射された光に所定の作用(例えば、光の波長を変換させたり、光を乱反射させたりする作用)を及ぼす機能を有する。この蛍光体層20は、平面視で透光性部材10と略同じ大きさで形成されている。そして、蛍光体層20は、透光性部材10の光取出面10A上に常温接合により直接接合されることが好ましい。蛍光体層20は、使用される発光素子2からの少なくとも一部の光を吸収する蛍光体と、必要に応じて、発光装置1Aからの光として得たい波長の光に対して透光性を有する部材との組み合わせであればどのようなものも用いることができる。
【0043】
蛍光体層20は、発光素子2の半導体積層構造体8から取り出した光の色と組み合わせて、所望の色調の光が得られる蛍光体が含まれる。蛍光体は一般的に用いられる酸化物、窒化物、酸窒化物等を用いることができる。そのような蛍光体として、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)をCe等で賦活したYAG系蛍光体や、Eu、Ce等のランタノイド系元素で賦活した窒化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体等が挙げられる。蛍光体層20は、蛍光体板として、これらの蛍光体と一体に焼結して形成されたガラス等の無機材料を適用することもできる。なお、蛍光体層20の屈折率は、透光性部材10の屈折率と同程度とするか、同一にするのが好ましい。なお、蛍光体層20は、一例として、厚みが50〜200μm、大きさは矩形(長方形及び正方形)の長辺あるいは一辺の長さが2〜5mmで形成されている。
【0044】
蛍光体層20を備える発光装置1Aは、破線の矢印で示すように、発光素子2から発光した光が透光性部材10内を通り、かつ、蛍光体層20を通って、蛍光体層20の光取出面20Aから出射される。このときに、発光装置1Aでは、透光性部材10と蛍光体層20との界面や、蛍光体層20の光取出面20A(大気との界面)から光が反射されて戻されるものがある。その戻された光は、反射層11により再び蛍光体層20の光取出面20Aに反射されて出力される。したがって、発光素子2の光取出面3Aを外れた位置に光が戻ってくる場合でも、反射層11が透光性部材10に設けられているために、再び反射して取出すことができる。したがって、発光装置1Aは、従来の構成と比較して光取出し効率を向上させることができる。
【0045】
蛍光体層20を備える発光装置1Aは、すでに説明した製造方法と同様な方法により製造することが可能である。具体的には、
図7(a)〜(c)に示すように、第1製造方法〜第3製造方法のはじめに準備される透光性部材10となる透光材料100の一側全面に、蛍光体層20となる光学材料200を設けた構成とする。そして、前記した第1製造方法の各工程S1〜S8、第2製造方法の各工程S11〜S18、第3製造方法の各工程S21〜S27を行うことで発光装置1Aを製造することができる。
【0046】
なお、発光装置1Bとして、
図8に示すように、蛍光体層20aが平面視で透光性部材10の幅よりも大きく形成される構成としても構わない。このように、蛍光体層20aが透光性部材10よりも大きく形成されることにより、透光性部材10の周縁側から出力される光を蛍光体層20内に取り込んで出力することができるので、より光取出効率を向上させることが可能となる。なお、蛍光体層20aは、一例として、透光性部材10に対して、一辺において50μm以上大きくなるよう構成されている。
【0047】
また、レンズ型発光装置1Cとして、
図9に示すように、発光素子2のn側パッド電極4nとp側パッド電極6pとをバンプ等の接合部材で実装基板30に接合すると共に、蛍光体層20側に封止部材としてレンズ40を設け、実装基板30及びレンズ40の間を反射材料50で充填する構成としても構わない。このレンズ型発光装置1Cでは、充填された反射材料50が、既に説明した反射層11の役割を果たすので、レンズ40からの光取出効率を向上させることが可能となる。レンズ40は、封止部材として、サファイア、GaN、ガラス、樹脂などで形成されたものであればよく、蛍光体を含んでいてもよい。レンズ40を用いることにより、光を屈折させて集束(又は拡散)させることができる。
【0048】
なお、以上説明した各発光装置1,1A,1B,1Cの構成において、以下に示すような態様であっても構わない。
透光性部材10と接合される発光素子2の基板3をサファイア基板として説明したが、透光性部材10と接合される基板3をGaN(半導体積層構造体8と同等)として構成した場合には、透光性部材10は、GaNと同等以上の屈折率とする等、透光性部材10と接合される部材に対応させる。
【0049】
また、発光素子2と透光性部材10(透光材料100)との直接接合としては、例えば、表面活性化接合、原子拡散接合、水酸基接合などが挙げられ、これらのうちの一つを選択して用いることができる。そして、表面活性化接合とは、接合対象である部材の表面層に付着した酸化物や水分、有機物などといった不純物を表面層の一部ごと除去し、表面の原子の結合手同士を常温で直接結合する方法である(参考文献:国際公開第2011/126000号公報)。また、原子拡散接合とは、互いの部材の接合面に超高真空中で微細結晶膜を形成し、それらの薄膜を真空中で重ね合わせて接合する方法である。さらに、水酸基接合とは、接合対象である部材の接合面に親水化処理を施すことにより水酸基(OH基)を形成し、接合面を接触させることにより互いの水酸基同士を水素結合させて接合する方法である。
【0050】
さらに、反射層11は、誘電体多層膜、金属膜、保護層として説明したが、誘電体多層膜のみ、金属膜のみ、誘電体多層膜と保護層、金属膜と保護層であることや、白色樹脂層、塗装層等、散乱反射をすることができる材料であっても構わない。
また、発光装置1A,1Bでは、光学部材として、蛍光体層20を具体例として説明したが、蛍光体層20に限定されることなく、例えば、蛍光体板やサファイア基板、GaN基板及びレンズなどが挙げることができ、そのいずれかを設ける構成としても構わない。
【0051】
また、例えば、光学部材として、サファイア基板を用いる場合は、サファイアを平板状部材として使用し、GaN基板を用いる場合は、GaNを平板状部材として使用することとしてもよい。これらの基板を透光性部材10上に接合することで、発光装置1A,1Bの光伝播層としての厚さを増加させることができる。従って、発光装置1A,1Bは、当該発光装置内での光多重反射の反射回数を低減することができ、光閉じ込めや光吸収を抑制することができる。光学部材は、その屈折率を、透光性部材10の屈折率と同程度とするか、同一にするのが好ましい。
そして、支持基板KBの接着層adの材料は、例えば、光硬化性樹脂を使用してもよく、また、既存の接着剤であれば限定されるものではない。
【0052】
さらに、発光装置1Cの構成において、以下に示すような態様であっても構わない。
図9に示す発光装置1Cにおいて、レンズ40を備えない構成や、レンズ40の有無にかかわらず反射材料50が透光性部材10の側面だけでなく、蛍光体層20の側面も覆う構成であってもよい。また、発光装置1A,1Bの構成において、接合した発光素子2の側面から光が漏れる虞がある場合には、
図10(a)、(b)に示すように、発光装置1A、1Bにおける発光素子2の側面を反射材料50で覆う構成とすることにより、光の漏れを防ぐこともできる。
【0053】
そして、反射材料50に含まれる樹脂や白色散乱材(チタニアなど)が発光素子2からの光を吸収する場合には、
図9に示すように反射材料50のみで覆うよりも、反射層11及び反射材料50の両方で覆うことが好ましい。すなわち、
図9に示す発光装置1Cにおいても、
図10(a)から(d)に示されるように、反射材料50が、透光性部材10に設けられた反射層11を覆うことが好ましい。これにより、発光装置としての光取り出し効率を上げることができる。なお、反射層11と反射材料50の両者を有する場合には、反射材料50としての光を反射させる効果は、反射層11のほうでは小さく、発光素子2の側面のほうで大きい。
【0054】
さらに、
図10(c)に示すように、
図1で既に説明した発光装置1に、
図9で既に説明した実装基板30及び反射材料50を備える装置1Dとして構成しても構わない。また、
図10(d)に示すように、
図1で既に説明した発光装置1に、
図9で既に説明した実装基板30、反射材料50、レンズ40を設ける構成の装置1Eとしても構わない。