特許第6398720号(P6398720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6398720ポリエーテル共重合体、架橋性ポリエーテル共重合体組成物及び電解質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6398720
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】ポリエーテル共重合体、架橋性ポリエーテル共重合体組成物及び電解質
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/333 20060101AFI20180920BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20180920BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20180920BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20180920BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20180920BHJP
【FI】
   C08G65/333
   H01B1/06 A
   H01M8/02
   H01M8/10
   H01M10/0565
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-538578(P2014-538578)
(86)(22)【出願日】2013年9月26日
(86)【国際出願番号】JP2013076012
(87)【国際公開番号】WO2014050944
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月8日
(31)【優先権主張番号】特願2012-216737(P2012-216737)
(32)【優先日】2012年9月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】早野 重孝
(72)【発明者】
【氏名】似鳥 広幸
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−011999(JP,A)
【文献】 特表2008−530331(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/081152(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/057299(WO,A1)
【文献】 特開2001−146556(JP,A)
【文献】 特開2012−033367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00−67/04
H01B 1/06
H01M 8/02、8/10、10/0565
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックと疎水性ポリエーテルセグメントブロックとを有してなり、分子量分布が1.0〜2.0であるポリエーテル共重合体。
【請求項2】
カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックが、一般式(1)で表わされるオキシラン単量体単位を有するものである請求項1に記載のポリエーテル共重合体。
【化1】
(一般式(1)において、Aは、カチオン性の窒素原子を有するオニウムカチオン構造を有する基であり、Xは、アニオンである。)
【請求項3】
カチオン性の窒素原子を有するオニウムカチオン構造を有する基が、周期表第15族又は第16族の原子を含有するオニウム塩構造を有する基である請求項2に記載のポリエーテル共重合体。
【請求項4】
更に、架橋性基を有するオキシラン単量体単位を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリエーテル共重合体。
【請求項5】
架橋性基を有するオキシラン単量体単位が疎水性ポリエーテルセグメントブロックに含まれるものである請求項4に記載のポリエーテル共重合体。
【請求項6】
架橋性基を有するオキシラン単量体単位が、アリルグリシジルエーテル単量体単位、グリシジルアクリレート単量体単位及びグリシジルメタクリレート単量体単位から選ばれるものである請求項4又は5に記載のポリエーテル共重合体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のポリエーテル共重合体と該ポリエーテル共重合体中のオキシラン単量体単位に含まれる架橋性基のための架橋剤とを含有してなる架橋性ポリエーテル共重合体組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の架橋性ポリエーテル共重合体組成物を架橋してなる電解質。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリエーテル共重合体と多孔性支持体とからなる複合体。
【請求項10】
電解質膜である請求項9に記載の複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエーテル共重合体並びにこれを含有してなる架橋性ポリエーテル共重合体組成物及び複合体、並びに前記架橋性ポリエーテル共重合体組成物を架橋してなる電解質に関し、更に詳しくは、カチオン性基を含んでなるポリエーテルセグメントブロックと疎水性ポリエーテルセグメントブロックとを有する、加工性に優れたポリエーテル共重合体並びにこれを含有してなる架橋性ポリエーテル共重合体組成物及び複合体、並びに前記架橋性ポリエーテル共重合体組成物を架橋して得られる耐水形状保持性及びイオン伝導性に優れる電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池、燃料電池、色素増感太陽電池、アクチュエーター等の電気化学デバイスにおいて、電極間のイオン伝導性を付与するために、電解質塩を溶媒に溶解してなる液状電解質が用いられてきた。しかし、溶媒を用いた液状電解質には、溶媒の揮発による液量の経時的な減少や液漏れのおそれがあることから、これに代わる電解質の開発が検討されている。
【0003】
溶媒を用いた液状電解質に代わる電解質として、不揮発性のイオン性液体の利用が検討されている。例えば、特許文献1には、オリゴエーテル基を置換基として有するイミダゾリウム化合物やピリジニウム化合物を含有する電解質組成物が提案されている。このようなイオン性液体を電解質として用いることにより、溶媒を用いた液状電解質で見られる溶媒の揮発による液量の経時的な減少や液漏れの問題は改善される。しかし、液体を電解質として用いることには変わりがないので、電気化学デバイスの製造時における取り扱いの煩雑さや使用時の液漏れの問題が完全に解決されるものではないという問題があった。
【0004】
そこで、イオン伝導性に優れるポリマー材料の電解質としての利用(いわゆる、ポリマー電解質)が検討されている。例えば、特許文献2には、ポリアルキレンオキシド主鎖、イオン性側鎖及びイオン性側鎖の対イオンからなり、イオン性側鎖又は対イオンが液晶性を示すポリエーテル化合物を電解質組成物として用いることが提案されている。また、特許文献3には、主鎖又は側鎖にカチオン構造を有し、そのカチオン構造の対アニオンとしてハロゲン化物イオンやポリハロゲン化物イオンを有する高分子化合物を用いた、固体状の電解質組成物が提案されている。
これらの電解質組成物は、電解質の通常の使用環境下において殆ど流動性を示さない固体状であることから、電気化学デバイス使用時の液漏れの問題は解決される。
【0005】
しかしながら、特許文献2や特許文献3に記載されている電解質組成物は、固体状であることから、電気化学デバイスへ電解質として適用する際の自由度に劣り、例えば、他の部材に塗布したり含浸させたりすることが容易ではないという問題があった。一方、これらの電解質組成物は、ランダムな構造を持っているため、有機溶媒や水等の媒体に侵されやすいという問題もあった。
そのため、他の部材に塗布したり含浸させたりできる程度に加工性に優れ、有機溶媒や水等に対する耐性をも有し、かつ加工後には、液漏れや膨潤、溶出等が防止された形状保持性に優れる電解質を与えることができる材料が渇望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−256828号公報
【特許文献2】特開2002−246066号公報
【特許文献3】国際公開第2004/112184号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、イオン伝導性に優れ、耐水性に優れ、更には、加工性に優れ、加工後には耐水形状保持性に優れる電解質を与えることができる材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、カチオン性基を含んでなるポリエーテルセグメントブロックと疎水性ポリエーテルセグメントブロックとを有してなるポリエーテル共重合体に更に架橋性基を導入して得られるポリエーテル共重合体に、架橋剤を配合してなる組成物が、他の部材に塗布したり含浸させたりすることができる程度に加工性に優れ、加工後に架橋させることにより、前記ポリエーテル共重合体の優れたイオン伝導性を維持したまま、形状保持性が改良された電解質となることを見出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
かくして、本発明によれば、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックと疎水性ポリエーテルセグメントブロックとを有してなるポリエーテル共重合体が提供される。
【0010】
本発明のポリエーテル共重合体において、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックが、一般式(1)で表わされるオキシラン単量体単位を有するものであることが好ましい。
【化1】
(一般式(1)において、Aはカチオン性の窒素原子を有するオニウムカチオン構造を有する基であり、Xはアニオンである。)
【0011】
本発明のポリエーテル共重合体において、カチオン性の窒素原子を有するオニウムカチオン構造を有する基が、周期表第15族又は第16族の原子を含有するオニウム塩構造を有する基であることが好ましい。
【0012】
本発明のポリエーテル共重合体は、更に、架橋性基を有するオキシラン単量体単位を有することが好ましい。
【0013】
本発明のポリエーテル共重合体において、上記架橋性基を有するオキシラン単量体単位は、疎水性ポリエーテルセグメントブロックに含まれることが好ましい。
【0014】
本発明のポリエーテル共重合体において、架橋性基を有するオキシラン単量体単位が、アリルグリシジルエーテル単量体単位、グリシジルアクリレート単量体単位及びグリシジルメタクリレート単量体単位から選ばれるものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明によれば、上記本発明のポリエーテル共重合体とこのポリエーテル共重合体中の架橋性基のための架橋剤とを含有してなる架橋性ポリエーテル共重合体組成物が提供される。
【0016】
た、本発明によれば、上記本発明のポリエーテル共重合体と多孔性支持体とからなる複合体が提供される。
前記複合体は、電解質膜であることができる。
【0017】
更に本発明によれば、上記本発明の架橋性ポリエーテル共重合体組成物を架橋してなる電解質が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、イオン伝導性及び耐水性に優れ、更には、加工性に優れたポリエーテル共重合体を得ることができ、この共重合体から、耐水形状保持性に優れる電解質を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のポリエーテル共重合体は、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックと疎水性ポリエーテルセグメントブロックとを有してなる。即ち、本発明のポリエーテル共重合体は、オキシラン構造を含有する化合物を開環重合することにより得られるポリエーテル構造を有する繰り返し単位で構成され、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックと疎水性ポリエーテルセグメントブロックとを有してなる。
【0020】
カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックは、オキシラン単量体のオキシラン環の開環によって誘導される繰り返し単位(以下、「オキシラン単量体単位」ということがある。)であってカチオン性基を含有してなるポリエーテル構造繰り返し単位(以下、単に「カチオン性基含有繰り返し単位」ということがある。)を有する。
カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックは、カチオン性基含有繰り返し単位のみから構成されていてもよく、カチオン性基含有繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。
本発明のポリエーテル共重合体において、ポリエーテル共重合体を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、カチオン性基含有繰り返し単位が占める割合は、特に限定されないが、通常、1〜95モル%であり、5〜70モル%であることが好ましい。この割合が小さすぎると、得られるポリエーテル共重合体がイオン伝導性に劣るものとなるおそれがある。
カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックにおけるカチオン性基含有繰り返し単位が占める割合は、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%である。この割合が小さすぎると、得られるポリエーテル共重合体がイオン伝導性に劣るものとなるおそれがある。
【0021】
カチオン性基含有繰り返し単位は、オキシラン単量体のオキシラン環の開環によって誘導される繰り返し単位であってカチオン性基を含有するものであれば特に限定されないが、下記の一般式(1)で表わすことができる。
【化2】
一般式(1)において、A+は、カチオン性基であり、X-は、対アニオンである。
【0022】
上記カチオン性基は、カチオン性を有する基であれば特に限定されないが、周期表第15族又は第16族の原子を含有するオニウム塩構造を有するものであることが好ましく、中でもカチオン性の窒素原子を有するオニウムカチオン塩となった構造を有する基であることが好ましい。
カチオン性の窒素原子を有するオニウムカチオン塩となった構造を有する基の具体例としては、アンモニウム基、メチルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、シクロヘキシルアンモニウム基、アニリニウム基、ベンジルアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ノニルフェニルアンモニウム基、ピペリジニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、n−ブチルジメチルアンモニウム基、n−オクチルジメチルアンモニウム基、n−ステアリルジメチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリビニルアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、N,N’−ジメチルエタノールアンモニウム基、トリ(2−エトキシエチル)アンモニウム基、1−メチルピロリジニウム基、アジリジニウム基、1−メチルアジリジニウム基、1−アゾニア−4−アザビシクロ[2.2.2]オクタン基等のアンモニウム基;イミダゾリウム基、1−メチルイミダゾリウム基、1−エチルイミダゾリウム基、ベンズイミダゾリウム基、ピロリウム基、1−メチルピロリウム基、オキサゾリウム基、ベンズオキサゾリウム基、ベンズイソオキサゾリウム基、ピラゾリウム基、イソオキサゾリウム基、ピリジニウム基、2,6−ジメチルピリジニウム基、ピラジウム基、ピリミジニウム基、ピリダジウム基、トリアジニウム基、N,N’−ジメチルアニリニウム基、キノリニウム基、イソキノリニウム基、インドリウム基、キノキサリウム基、イソインドリウム基、チアゾリウム基、アクリジニウム等の窒素原子含有芳香族複素環中の窒素原子がオニウム塩となった構造を有する基を挙げることができる
【0023】
カチオン性基の対アニオンは、特に限定されず、例えば、Cl-、Br-、I-等のハロゲン化物イオン;OH-;SCN-;BF4-;PF6-;ClO4-;(FSO22-、(CF3SO22-、(CF3CF2SO22-等のスルホンイミドアニオン;CH3SO3-、CF3SO3-、等のスルフォネートイオン;CF3COO-、PhCOO-、CH3COO-、C37COO-等のカルボキシレートイオン;等を挙げることができる。
対アニオンは、単一種からなっていてもよく、複数種の混合物であってもよい。
【0024】
カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックに含まれていてもよいカチオン性基含有繰り返し単位以外の繰り返し単位としては、プロピレンオキシド単量体単位、1,2−ブチレンオキシド単量体単位、1,2−ヘキセンオキシド単量体単位等のアルキレンオキシド単量体単位;シクロヘキセンオキシド単量体単位等の脂肪族環構造を含有するオキシラン単量体単位;スチレンオキシド単量体単位等の芳香族オキシラン単量体単位;エピフルオロヒドリン単量体単位、トリフルオロメチルオキシラン単量体単位、エピクロロヒドリン単量体単位等の含ハロゲンオキシラン単量体単位;フェニルグリシジルエーテル単量体単位、メトキシエトキシエチルグリシジルエーテル単量体単位、ビニルグリシジルエーテル単量体単位等のグリシジルエーテル単量体単位;グリシジルメタクリレート単量体単位、グリシジルアクリレート単量体単位等のグリシジルエステル単量体単位;等が挙げられる。
【0025】
本発明のポリエーテル共重合体を構成する疎水性ポリエーテルセグメントブロックは、オキシラン単量体のオキシラン環の開環によって誘導される繰り返し単位(「オキシラン単量体単位」)であって非イオン性であるオキシラン単量体単位を有し、全セグメントとして疎水性を有するものである。
疎水性ポリエーテルセグメントブロックにおいて、非イオン性のオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されないが、好ましくは80〜100モル%であり、より好ましくは90〜100モル%である。この割合が少なすぎると、耐水形状保持性を損なうおそれがある。
本発明において、「疎水性ポリエーテルセグメント」とは、当該ポリエーテルセグメントのみからなる試料を、60℃で水中に静置して、24時間経過後、試料が溶解し形状がなくなることなく、水を吸収し膨潤しても形状を保持しており、当該試料を取り出し水分を留去した時に試料の重量損失のないポリエーテルセグメントを、意味するものとする。
非イオン性オキシラン単量体単位の具体例としては、エチレンオキシド単量体単位、プロピレンオキシド単量体単位、1,2−ブチレンオキシド単量体単位、1,2−ヘキセンオキシド単量体単位等のアルキレンオキシド単量体単位;シクロヘキセンオキシド単量体単位等の脂肪族環構造を含有するオキシラン単量体単位;フェニルグリシジルエーテル単量体単位、スチレンオキシド単量体単位等の芳香族オキシラン単量体単位;エピフルオロヒドリン単量体単位、トリフルオロメチルオキシラン単量体単位、エピクロロヒドリン単量体単位等の含ハロゲンオキシラン単量体単位;等が挙げられる。
疎水性ポリエーテルセグメントは、炭素数3以上のアルキレンオキシド単量体単位、シクロアルキレンオキシド単量体単位又は芳香族オキシラン単量体単位及び所望により併用される架橋基を有するオキシラン単量体単位を主体とするポリエーテルセグメントであることが好ましい。
本発明において、疎水性ポリエーテルセグメントブロックは、カチオン性基含有繰り返し単位を有していてもよい。
疎水性ポリエーテルセグメントブロックにおけるカチオン性基含有繰り返し単位が占める割合は、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。この割合が大きすぎると、得られるポリエーテル共重合体が水中に溶出したり、耐水形状保持性に劣ったりするおそれがある。
【0026】
本発明のポリエーテル共重合体は、架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体単位を含有していてもよい。
架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体単位は、オキシラン単量体のオキシラン環の開環によって誘導される繰り返し単位(「オキシラン単量体単位」)であって架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体単位である。
本発明のポリエーテル共重合体において、架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体単位は、疎水性ポリエーテルセグメントブロックに含まれるのが好ましい。
このオキシラン単量体単位に含まれ得る架橋性基は、架橋剤や熱等の作用によって分子内又は分子間の架橋構造を形成できる基であれば特に限定されず、例えば、ビニル基やアリル基等のエチレン性炭素−炭素不飽和結合含有基である
架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体単位の具体例としては、グリシジルメタクリレート単量体単位、グリシジルアクリレート単量体単位、ビニルグリシジルエーテル単量体単位、アリルグリシジルエーテル単量体単位等のエチレン性不飽和グリシジルエーテル単量体単位;ブタジエンモノエポキシド単量体単位、クロロプレンモノエポキシド単量体単位等のジエン又はポリエンのモノエポキシド単量体単位;1,2−エポキシ−5−ヘキセン単量体単位等のアルケニルエポキシド単量体単位;等が挙げられる。
これらの中でもポリエーテル共重合体の合成を容易にする観点からは、エチレン性不飽和グリシジルエーテル単量体単位が好ましく用いられ、その中でもグリシジルメタクリレート単量体単位、グリシジルアクリレート単量体単位、アリルグリシジルエーテル単量体単位が特に好ましく用いられる。
本発明のポリエーテル共重合体における架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体単位が全単量体単位に占める割合は、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜10モル%である。この割合が上記範囲にあれば、架橋剤を併用して、ポリエーテル共重合体を架橋することにより、イオン伝導性を損なうことなく、耐水形状保持性を大幅に向上した電解質を提供できる。
架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体単位を疎水性ポリエーテルセグメントブロックに導入する場合、架橋性基を有するオキシラン単量体単位が疎水性ポリエーテルセグメントブロックにおいて占める割合は、特に限定されないが、通常、1〜20モル%であり、5〜10モル%であることが好ましい。この割合が小さすぎると、得られるポリエーテル共重合体が架橋困難なものとなるおそれがあり、大きすぎると、得られるポリエーテル共重合体がイオン伝導性に劣るものとなるおそれがある。
【0027】
本発明のポリエーテル共重合体において、ポリエーテル共重合体を構成するオキシラン単量体単位全体に対して、非イオン性のオキシラン単量体単位が占める割合は、特に限定されないが、通常、1〜99モル%であり、5〜95モル%であることがより好ましく、20〜90モル%であることが特に好ましい。この割合が小さすぎると、得られるポリエーテル共重合体が疎水性に劣るものとなるおそれがある。
【0028】
本発明のポリエーテル共重合体における疎水性ポリエーテルセグメントは、カチオン性基を含んでなるポリエーテルセグメントと比較して相対的に非極性であり、且つ、水に対して溶解性を示さないポリエーテルセグメントである。
他方、本発明のポリエーテル共重合体におけるカチオン性基を含んでなるポリエーテルセグメントは、カチオン性基が存在するために高極性である。
このため、本発明のポリエーテル共重合体は、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントの疎水性ポリエーテルセグメントとの相溶性が低いので、疎水性ポリエーテルセグメントによる優れた耐水性と、カチオン性基を含んでなるポリエーテルセグメントによる優れたイオン伝導性とを、示す。
【0029】
本発明のポリエーテル共重合体の末端基は特に限定されず、任意の一価の基とすることができる。末端基となる基の具体例としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、水酸基、下記の一般式(2)で表わされる基等を挙げることができる。
これらの中でも、本発明のポリエーテル共重合体のカチオン性基を含んでなるポリエーテルセグメントの末端基が一般式(2)で表わされる基であることが好ましい。
−A+- (2)
+は、カチオン性の窒素原子を有するオニウムカチオン構造を有する基であり、X-はアニオンである。このように表わされる一般式(2)のA+で表わされるカチオン性の窒素原子を含有するオニウムカチオン構造を有する基の具体例としては、前述の一般式(1)で表わされるオニウムカチオンを挙げることができ、末端基として複数種の一般式(2)で表わされるA+末端単位が含まれていてもよい。また、X-は、オニウム構造の対アニオンを意味するものであり、具体例としては、前述の一般式(1)で表わされるカチオン性基の対アニオンとして挙げたものを示すことができる。ポリエーテル共重合体の一般式(1)で表わされる繰り返し単位全体において、X-で表わされるアニオンの全てが同一種のアニオンであってもよいし、異種のアニオンが混在していてもよい。
【0030】
本発明のポリエーテル共重合体の数平均分子量は、特に制限されるものではないが、好ましくは500〜1,000,000、より好ましくは1,000〜500,000、特に好ましくは1,000〜100,000である。数平均分子量が小さすぎると、強度が不十分となるおそれがあり、大きすぎると、ポリエーテル共重合体がイオン伝導性に劣るものとなるおそれがある。
本発明のポリエーテル共重合体の分子量分布、即ち、数平均分子量に対する重量平均分子量の比も、特に限定されるものではないが、1.0〜4.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。
【0031】
また、本発明のポリエーテル共重合体において、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックの分子量と疎水性ポリエーテルセグメントブロックの分子量との比は、特に限定されるものではないが、(カチオン性基を有するポリエーテルセグメントブロックの数平均分子量):(疎水性ポリエーテルセグメントブロックの数平均分子量)の値が、2:1〜1:10の範囲内であることが好ましく、1:1〜1:5の範囲内であることがより好ましい。上記の値が大きすぎると、ポリエーテル共重合体が耐水形状保持性に劣るものとなり、小さすぎると、ポリエーテル共重合体がイオン伝導性に劣るものとなる。
【0032】
本発明のポリエーテル共重合体の合成方法は、特に限定されず、目的のポリエーテル共重合体を得られるものである限りにおいて、任意の合成方法を採用できる。より容易に目的のポリエーテル共重合体を得る観点からは、エピクロロヒドリン単量体単位(エピクロロヒドリンのオキシラン環の開環によって誘導される繰り返し単位)を含有するポリエーテルセグメントとエピクロロヒドリン単量体単位を含まない疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体に、含窒素化合物を反応させることにより、エピクロロヒドリン単量体単位をオニウムクロライド構造含有オキシラン単量体単位に変換することによって、エピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントを、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントに、変換して、目的のポリエーテル共重合体を得る方法が好適である。
【0033】
エピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントとエピクロロヒドリン単量体単位を含まない疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体の合成は、目的とする分子量が得られるものである限りにおいて、公知の重合法に従って、エピクロロヒドリン単量体とその他のオキシラン単量体とを多段階重合すればよい。
また、エピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントとエピクロロヒドリン単量体単位を含まない疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体に、含窒素化合物を反応させて、ポリエピクロロヒドリン単量体単位の少なくとも一部をオニウムクロライド構造含有オキシラン単量体単位に置換するためには、公知のオニウム化反応を応用すればよい。
【0034】
本発明のポリエーテル共重合体を得るために、特に好適な方法としては、以下に述べる工程(1)〜(3)からなるポリエーテル共重合体の製造方法を挙げることができる。
(1)少なくともその一部としてエピクロロヒドリン単量体を含有するオキシラン単量体(単一の単量体であっても複数の単量体の組成物であってもよい。)を、周期表第15族又は第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩とトリ(直鎖アルキル)アルミニウムとを含んでなる触媒の存在下で開環重合して、エピクロロヒドリン単量体単位を有するポリエーテルセグメントを得る第一工程、
(2)非イオン性オキシラン単量体(単一の単量体であっても複数の単量体の組成物であってもよく、必要に応じて、架橋性基を有する非イオン性のオキシラン単量体を含んでいてもよい。)を、第一工程後に引き続いて、逐次添加して引き続き多段階開環重合して、エピクロロヒドリン単量体単位を有するポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体を得る第二工程、及び
(3)第二工程で得られたポリエーテル共重合体を、含窒素化合物と反応させて、エピクロロヒドリン単量体単位を、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位に変換し、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含んでなるポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体を得る第三工程。
【0035】
上記第一工程で用いられる単量体は、その少なくとも一部としてエピクロロヒドリン単量体を含んでいることが必須である。エピクロロヒドリン単量体と必要に応じて併用される単量体としては、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,2−ヘキセンオキシド等のアルキレンオキシド単量体;シクロヘキセンオキシド等の脂肪族環構造を含有するオキシラン単量体;スチレンオキシド等の芳香族オキシラン単量体;エピフルオロヒドリン、トリフルオロメチルオキシラン等の含ハロゲンオキシラン単量体;フェニルグリシジルエーテル、メトキシエトキシエチルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル単量体;グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等のグリシジルエステル単量体;等を挙げることができる。
なお、上記第二工程では、少量のエピクロロヒドリン単量体を含むオキシラン単量体混合物を用いることができる。
【0036】
触媒の第一の成分として用いられる周期表第15族又は第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩としては、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、スチボニウム塩、オキソニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩が例示される。
これらの中でも、アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩が好適に使用され、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩が特に好適に使用され、アンモニウム塩が最も好適に使用される。アンモニウム塩のなかでは、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド又はテトラノルマルブチルアンモニウムボロハイドライドが特に好適である。
【0037】
周期表第15族又は第16属の原子を含有する化合物のオニウム塩の使用量は、目的とするポリエーテル共重合体の分子量等に応じて適宜決定すればよく、特に限定されないが、本発明のポリエーテル共重合体の製造方法において特に好適な量としては、用いる全単量体に対して、0.0005〜10モル%である。
【0038】
触媒の第二の成分として用いられるトリ(直鎖アルキル)アルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム及びトリノルマルオクチルアルミニウムを挙げることができる。その中でも、トリメチルアルミニウム及びトリエチルアルミニウムが最も好適に用いられる。
【0039】
周期表第15族又は第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩とトリ(直鎖アルキル)アルミニウムとの割合は、特に限定されないが、オニウム塩:トリアルキルアルミニウムのモル比が、1:1〜1:100の範囲であることが好ましく、1.0:1.1〜1.0:50.0の範囲であることがより好ましく、1.0:1.2〜1.0:10.0の範囲であることが特に好ましい。
【0040】
周期表第15族又は第16族の原子を含有する化合物のオニウム塩及びトリ(直鎖アルキル)アルミニウムは、通常、これらを混合して用いる。両者を混合する方法は特に限定されないが、それぞれを溶媒に溶解又は懸濁して、得られた溶液又は懸濁液を混合することが好ましい。用いる溶媒は特に限定されないが、不活性の溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−へキサン等の鎖状飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテル等のエーテル;又はこれらの混合溶媒;等が好適に用いられる。両成分を混合する際の温度や時間は、特に限定されないが、−30〜+50℃の条件下で10秒間〜30分間混合することが好ましい。
【0041】
上記二成分を含んでなる触媒の存在下で、エピクロロヒドリン単量体を開環重合させるにあたり、触媒と単量体とを混合する方法も特に限定されず、例えば触媒を含む溶媒に単量体組成物を添加してもよいし、単量体組成物を含む溶媒に触媒を添加してもよい。
重合様式も特に限定されないが、重合を良好に制御する観点からは、溶液重合法により重合を行なうことが好ましい。このとき、溶媒としては、不活性の溶媒が好適に用いられ、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−へキサン等の鎖状飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテル等のエーテル;又はこれらの混合溶媒;等が用いられる。これらの溶媒の中でも、重合反応速度が速くなることから、非極性の溶媒が特に好適に用いられる。溶媒の使用量は特に限定されないが、単量体組成物の濃度が1〜50重量%となるように用いることが好ましく、3〜40重量%になるように用いることが特に好ましい。
【0042】
重合条件は、特に限定されず、用いる単量体や触媒の種類、目的とする分子量等に応じて決定すればよい。重合時の圧力は、通常、1〜500atmであり、好ましくは1〜100atmであり、特に好ましくは1〜50atmである。重合時の温度は、通常、−70〜+200℃であり、好ましくは−40〜+150℃であり、特に好ましくは−20〜+100℃である。重合時間は、通常、10秒間〜100時間であり、好ましくは20秒間〜80時間であり、特に好ましくは30秒間〜50時間である。
【0043】
上記のポリエーテル共重合体の製造方法では、重合反応がリビング性を伴って進行するので、重合の制御が容易となり、その結果、所望の重合度でポリエーテル共重合体を製造することが容易となる。
【0044】
本発明のポリエーテル共重合体の製造方法における第二工程は、第一の工程後に引き続いて、非イオン性のオキシラン単量体単位を形成するオキシラン単量体を、逐次添加して引き続き多段階開環重合して疎水性ポリエーテルセグメントを生成させ、第一の工程で得たエピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントに、疎水性ポリエーテルセグメントを結合させて、エピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体を得る工程である。
用いられる単量体は、必要に応じて、エチレンオキシドプロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,2−ヘキセンオキシド等のアルキルを有するアルキレンオキシド単量体;シクロヘキセンオキシド等の脂肪族環構造を含有するオキシラン単量体;スチレンオキシド等の芳香族オキシラン単量体;エピフルオロヒドリン、トリフルオロメチルオキシラン等の含フッ素オキシラン単量体;等の共重合可能な単量体を含ませてもよい。
単量体の添加方法には、特に制限は無く、必要に応じて、有機溶媒やトリ(直鎖アルキル)アルミニウム等を同時に追加添加してもよい。
【0045】
本発明のポリエーテル共重合体の製造方法における第三工程においては、第二工程で得られる、エピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを連結してなるポリエーテル共重合体に、含窒素化合物を反応(4級化反応)させる。これにより、エピクロロヒドリン単量体単位のクロロ基をオニウムクロライド構造含有基に変換して、カチオン性基であるオニウムクロライド構造含有基を有するオキシラン単量体単位を含んでなるポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体を得る。
【0046】
4級化反応に用いられる含窒素化合物は、特に限定されないが、その具体例としては、アンモニア、メチルアミン、ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、エタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ノニルフェニルアミン、ピペリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルジメチルアミン、n−オクチルジメチルアミン、n−ステアリルジメチルアミン、トリブチルアミン、1−メチルピロリジン、アジリジン、1−メチルアジリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の脂肪族アミン化合物;トリビニルアミン、N,N'−ジメチルアニリン等の不飽和結合を有するアミン化合物;トリエタノールアミン、N,N'−ジメチルエタノールアミン、トリ(2−エトキシエチル)アミン等の窒素原子以外のヘテロ原子を含有する脂肪族アミン化合物;イミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、ピロール、1−メチルピロール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソオキサゾール等の五員複素環式化合物;ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、2,6−ジメチルピリジン等の六員複素環式化合物;キノリン、イソキノリン、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、プリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、アクリジン等の縮合複素環式化合物;等を挙げることができる。
【0047】
エピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体と、含窒素化合物との混合方法は、特に限定されない。例えば、上記のポリエーテル共重合体を含む溶液に含窒素化合物を添加し混合する方法、含窒素化合物を含む溶液に上記のポリエーテル共重合体を添加し混合する方法、含窒素化合物と上記のポリエーテル共重合体の両方を溶液として調製しておき、両溶液を混合する方法等が挙げられる。
【0048】
溶媒としては、不活性の溶媒が好適に用いられ、非極性であっても極性であってもよい。非極性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−へキサン等の鎖状飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式飽和炭化水素;等が挙げられる。極性溶媒としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジエチルエーテル等のエーテル;酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル;アセトン、2−ブタノン、アセトフェノン等のケトン;アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;エタノール、メタノール、水等のプロトン性極性溶媒;等が挙げられる。溶媒としては、これらの混合溶媒も好適に用いられる。溶媒の使用量は、特に限定されないが、エピクロロヒドリン単位を有するオキシラン単量体単位含有ポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを連結してなるポリエーテル共重合体の濃度が1〜50重量%となるように用いることが好ましく、3〜40重量%になるように用いることがより好ましい。
【0049】
含窒素化合物の使用量は、特に限定されず、目的とするポリエーテル共重合体のオニウムクロライド構造含有オキシラン単量体単位の含有割合等に応じて決定すればよい。具体的には、含窒素化合物の使用量は、原料となるポリエーテル共重体中のエピクロロヒドリン単量体単位1モルに対し、通常、0.01〜100モル、好ましくは0.02〜50モル、より好ましくは0.03〜10モル、更に好ましくは0.05〜2モルの範囲である。
【0050】
エピクロロヒドリン単量体単位を含有するポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体と含窒素化合物とを反応させる際の圧力は、特に限定されないが、通常、1〜500atmであり、好ましくは1〜100atmであり、特に好ましくは1〜50atmである。反応時の温度も特に限定されず、通常、0〜200℃、好ましくは20〜170℃、より好ましくは40〜150℃である。反応時間は、通常、1分〜1,000時間であり、好ましくは3分〜800時間であり、より好ましくは5分〜500時間であり、更に好ましくは30分〜200時間である。
【0051】
以上のようにして本発明のカチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含んでなるポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体が得られる。
【0052】
このカチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含んでなるポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体をアニオン交換反応に供して、オニウムクロライド構造の塩化物アニオンを他のアニオンに交換してもよい。アニオン交換反応を行なうことにより、得られるポリエーテル共重合体のイオン伝導性を改良することができる。
アニオン交換反応は、常法に従って行なえばよいが、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含んでなるポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体に、目的とする本発明のポリエーテル共重合体が有する一般式(1)で表わされる繰り返し単位に含まれる対アニオン(X-)と金属カチオンとの塩を接触させて、反応させる方法が好適である。
【0053】
用いられる塩の具体例としては、用いられる塩の具体例としては、臭化カリウム(KBr)、ヨウ化カリウム(KI)、水酸化カリウム(KOH)、チオシアン酸リチウム(LiSCN)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Li(CFSON)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(Li(FSON)、リチウムテトラフルオロボレート(LiBF、リチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)、リチウムパークロレート(LiClO)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(Li(CFCFSON)、リチウムメチルスルホネート(LiCHSO)、リチウムトリフルオロメチルスルホネート(LiCFSO)、リチウムトリフルオロアセテート(CFCOOLi)、リチウムベンゾエート(PhCOOLi)、リチウムアセテート(CHCOOLi)、リチウムブチレート(CCOOLi)等を挙げることができる。
【0054】
アニオン交換反応の条件は、特に限定されず、カチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含んでなるポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体及び塩のみを混合してもよいし、有機溶媒等のその他の化合物が存在する条件下で行なってもよい。また、塩の使用量は、特に限定されないが、用いるカチオン性基を有するオキシラン単量体単位を含んでなるポリエーテルセグメントと疎水性ポリエーテルセグメントとを含有してなるポリエーテル共重合体が含有するオニウムクロライド構造1モルに対し、通常、0.01〜100モル、好ましくは0.02〜50モル、より好ましくは0.03〜10モルの範囲である。
【0055】
アニオン交換反応時の圧力は、通常、1〜500atmであり、好ましくは1〜100atmであり、特に好ましくは1〜50atmである。反応時の温度は、通常、−30〜+200℃、好ましくは−15〜+180℃、より好ましくは0〜+150℃である。反応時間は、通常、1分〜1,000時間であり、好ましくは3分〜100時間であり、より好ましくは5分〜10時間であり、更に好ましくは、5分〜3時間である。
アニオン交換反応が完了した後に、例えば減圧乾燥等の常法に従い、目的とするポリエーテル共重合体を回収すればよい。
【0056】
本発明のポリエーテル共重合体は、多孔性支持体と複合化して、複合体として用いることができる。
ここで用いる本発明のポリエーテル共重合体は、後述する架橋剤と併用して架橋構造を導入しなくても多孔性支持体によって形状が保持されるので、架橋性基を有しないポリエーテル共重合体であってもよい。
本発明の複合体は、本発明のポリエーテル共重合体と多孔性支持体とからなり、好ましくは、多孔性支持体の空隙部分に本発明のポリエーテル共重合体が充填された構造となっている。
ここで用いる多孔性支持体は、連続気泡構造、繊維同士が絡み合って空隙を形成した構造(いわゆる、不織布状)又は、繊維を織ることにより、繊維間に空隙を形成した構造(いわゆる、織布状)を有するものであることが好ましい。
多孔性支持体を構成する材料は、特に限定されないが、ガラス、セラミックス等の無機物や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の高分子材料が挙げられる。
多孔性支持体の空隙率は、好ましくは20〜90%、より好ましくは30〜70%である。
膜状の複合体として使用する場合には、多孔性支持体の膜厚は、好ましくは1μm〜1mm、より好ましくは10μm〜500μmである。膜厚が薄すぎると、膜強度が低下する傾向にあり、逆に厚すぎると、空隙部分にポリエーテル共重合体を充填するのが困難となる傾向がある。
空隙部分の平均孔径は、特に限定されないが、小さすぎると、空隙部分にポリエーテル共重合体を充填するのが困難となる傾向があるので、最終用途に合わせて適宜調整するのが好ましい。
本発明のポリエーテル共重合体と多孔性支持体とを複合化させる方法としては、特に限定されないが、多孔性支持体に本発明のポリエーテル共重合体を塗布したり、含浸したりする方法が採用できる。
本発明のポリエーテル共重合体の数平均分子量が高い場合には、有機溶媒に溶解した溶液の状態で用いることもできる。このとき用いる有機溶媒としては、本発明のポリエーテル共重合体を溶解させることができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
有機溶媒を用いた場合には、加熱乾燥や減圧乾燥等により、有機溶媒を除去することが好ましい。但し、多孔性支持体の空隙部分に本発明のポリエーテル共重合体が適切に充填された構造を形成するために、有機溶媒の種類、乾燥温度、乾燥速度等を適宜調整することが好ましい。
本発明の複合体は、電解質膜として用いることができ、特にイオン伝導性電解質膜として用いることができる。更に具体的には、例えば、アニオン型燃料電池の水酸化物イオン伝導膜、プロトン型燃料電池のプロトン伝導膜、リチウムイオン二次電池のLiイオン伝導膜、食塩電解槽におけるアニオン交換膜等に用いられるが、中でもアニオン型燃料電池の水酸化物イオン伝導膜に特に好適に用いられる。
【0057】
本発明のポリエーテル共重合体は、架橋性基を有する場合には、分子内及び/又は分子間で架橋を起こすことができる。
また、本発明のポリエーテル共重合体に架橋剤を配合して架橋性ポリエーテル共重合体組成物とすることができる。
いずれの場合も、架橋により、ポリエーテル共重合体組成物の耐水形状保持性を大幅に改良することができる。
架橋方法は、ポリエーテル共重合体が有する架橋性基の種類等に応じて選択すればよく、特に限定されないが、ポリエーテル共重合体が有する架橋性基を架橋することができる架橋剤をポリエーテル共重合体に配合して架橋性ポリエーテル共重合体組成物とした上で、架橋剤の作用により架橋反応を行なう方法が好適である。
【0058】
本発明の架橋性ポリエーテル共重合体組成物に用いる架橋剤は、ポリエーテル共重合体が有する架橋性基の種類等に応じて適宜選択すればよい。用い得る架橋剤の例としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等の硫黄;一塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピン−2−オン)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物等の含硫黄化合物;ジクミルペルオキシド、ジターシャリブチルペルオキシド等の有機過酸化物;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム等のキノンジオキシム;トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、4,4’−メチレンビス−o−クロロアニリン等の有機多価アミン化合物;s−トリアジン−2,4,6−トリチオール等のトリアジン系化合物;メチロール基を持つアルキルフェノール樹脂;2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアルキルフェノン型光重合開始剤;等の各種紫外線架橋剤等が挙げられる。
ポリエーテル共重合体が有する架橋性基が、エチレン性炭素−炭素不飽和結合含有基である場合には、上記の架橋剤の中でも、硫黄、含硫黄化合物、有機過酸化物及び紫外線架橋剤から選択される架橋剤を用いることが好ましく、有機過酸化物を用いることが特に好ましい。これらの架橋剤は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋剤の配合割合は、特に限定されないが、ポリエーテル共重合体100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜7重量部がより好ましく、0.3〜5重量部が更に好ましい。架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋速度が遅くなり、架橋物の生産性が低下したり、架橋物の物理的強度が不足したりする恐れがある。一方、架橋剤の配合量が多すぎると、得られる架橋物が電解質としての性能に劣るものとなる恐れがある。
【0059】
架橋剤として、硫黄又は含硫黄化合物を用いる場合には、架橋促進助剤及び架橋促進剤を併用することが好ましい。架橋促進助剤は、特に限定されないが、例えば、亜鉛華、ステアリン酸等が挙げられる。架橋促進剤は、特に限定されないが、例えば、グアニジン系;アルデヒド−アミン系;アルデヒド−アンモニア系;チアゾール系;スルフェンアミド系;チオ尿素系;チウラム系;ジチオカルバミン酸塩系;等の各架橋促進剤を用いることができる。架橋助剤及び架橋促進剤は、それぞれ1種を単独で使用してもよく2種以上併用してもよい。
【0060】
架橋促進助剤及び架橋促進剤の使用量は、特に限定されないが、ポリエーテル共重合体100重量部に対して、0.01〜15重量部が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
【0061】
本発明の架橋性ポリエーテル共重合体組成物には、更に他の成分を配合することができる。そのような成分の例としては、LiPF6、LiTFSI、KI等の金属塩、水、メタノール、エチレンカーボネート等の低分子化合物、イオン液体、カーボン材料や無機材料等のフィラーを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明の架橋性ポリエーテル共重合体組成物は、他の部材に塗布したり含浸させたりできる程度に加工性に優れている。
本発明の架橋性ポリエーテル共重合体組成物を架橋させて架橋物とすることにより、イオン伝導性に優れ、更には、耐水形状保持性にも優れる電解質を得ることができる。即ち、本発明の電解質は、本発明の架橋性ポリエーテル共重合体組成物を架橋してなる。
架橋性ポリエーテル共重合体組成物を架橋する方法は、用いる架橋剤の種類等に応じて選択すればよく、特に限定されないが、例えば、加熱による架橋や紫外線照射による架橋を挙げることができる。加熱により架橋する場合の温度は、特に限定されないが、130〜200℃が好ましく、140〜200℃がより好ましい。架橋時間も特に限定されず、例えば1分間〜5時間の範囲で選択される。加熱方法としては、プレス加熱、オーブン加熱、蒸気加熱、熱風加熱、マイクロ波加熱等の方法を適宜選択すればよい。紫外線照射による架橋を行なう場合は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、水銀−キセノンランプ等の光源を用いて、常法に従って、架橋性ポリエーテル共重合体組成物に紫外線を照射すればよい。
【0063】
以上のようにして得られる本発明の電解質は、イオン伝導性に優れ、更には、耐水形状保持性にも優れるものである。従って、本発明の電解質は、例えば、二次電池、燃料電池、色素増感太陽電池、アクチュエーター等の、電気化学デバイス等の用途において好適に用いることができる。
【実施例】
【0064】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。
【0065】
各種の測定は、以下の方法に従って行なった。
〔数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)〕
ジメチルホルムアミドを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ−(GPC)により、ポリスチレン換算値として測定した。なお、測定器としてはHLC−8320(東ソー社製)を用い、カラムはTSKgelα−M(東ソー社製)二本を直列に連結して用い、検出器は示差屈折計RI−8320(東ソー社製)を用いた。
【0066】
〔重合体の単量体単位組成比(モル比)〕
1H−NMR及び元素分析により求めた。
【0067】
〔耐水形状保持性〕
試料を、60℃で水中に静置して、24時間経過後に試料が溶解されているか否かを判定する。試料が溶解し形状がなくなることなく、膨潤しても形状を保持しているものが耐水形状保持性に優れると判定し、24時間経過後の試料を取り出し、水分を留去した時の、試料の重量損失のないときに、試料が溶解されていないと判断する。
【0068】
〔体積固有抵抗値〕
試料からコイン型セルを作製し、このコイン型セルについて、測定装置として、インピーダンスアナライザ1260型とポテンショスタット1287型(ともにソーラトロン社製)とを組み合わせて用いて、25℃の試験雰囲気下で、体積固有抵抗値を測定した。なお、測定電圧振幅は100mV、測定周波数範囲は1MHz〜0.1Hzとし、主電極としてSUS304製電極を用いた。体積固有抵抗値が低いものほどイオン伝導性に優れる。
【0069】
〔製造例1〕
(エピクロロヒドリンとプロピレンオキシドとのポリエーテル共重合体の製造)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.080g及びトルエン30mLを添加し、これを0℃に冷却した。更にトリエチルアルミニウム0.0356gをノルマルヘキサン1mLに溶解したものを添加して、15分間反応した。
かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン2.5gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行なった。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、溶液の一部を抜き取り、溶液中の重合体について分子量の測定をしたところ、数平均分子量(Mn)は10,200、重量平均分子量(Mw)は11,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。
反応液に、更にトリエチルアルミニウム0.021gをノルマルヘキサン1mLに溶解したものを添加して、15分間反応した。次いで、プロピレンオキシド5.0gを添加し、二段目の重合反応を行なった。重合反応開始後、更に溶液の粘度が徐々に上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止し、50℃で12時間減圧乾燥した。
得られた重合体(「共重合体(OR1)」という。)の収量は7.5gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は30,800、分子量分布(Mw/Mn)は1.19であった。また、重合体の単量体単位組成比(モル比)は、エピクロロヒドリン単量体単位:プロピレンオキシド単量体単位=24:76であり、ポリ(エピクロロヒドリン−block−プロピレンオキシド)の合成を確認した。
【0070】
〔実施例1〕
(共重合体(OR1)中のエピクロロヒドリン単位のノルマルブチルジメチルアミンによる4級化)
製造例1で得られた共重合体(OR1)5.0g、ノルマルブチルジメチルアミン10.9g及びアセトニトリル10.0gを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で96時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。得られた反応物を50℃で120時間減圧乾燥したところ、橙色の固体10.2gが得られた。
この固体について、1H‐NMR測定及び元素分析を行なったところ、共重合体(OR1)中の全てのエピクロロヒドリン単量体単位におけるクロロ基がノルマルブチルジメチルアンモニウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基がノルマルブチルジメチルアンモニウムブロミド基に、それぞれ、置換されたポリエーテル共重合体、ポリ(3−(クロロノルマルブチルジメチルアンモニウム)−1,2−エポキシプロパン−block−プロピレンオキシド)(「共重合体(A1)」という。)であると同定された。なお、このポリエーテル共重合体において、クロロノルマルブチルジメチルアンモニウム基の対アニオンは、塩化物イオンである。
ポリエーテル共重合体(A1)の繰り返し単位組成を表1に示した。
【0071】
〔実施例2〕
(共重合体(A1)の水酸化カリウムによるアニオン交換)
実施例1で得られたポリエーテル共重合体(A1)2.5g、水酸化カリウム2.0g、イオン交換水20mL及びエタノール20mLを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で1時間減圧乾燥したところ、薄紫色のオイル状物質が得られた。得られたオイル状物質をアセトン/THF混合溶媒に溶解させ、溶け残った結晶性不溶分を分離した後、50℃で1時間減圧乾燥したところ、薄紫色のオイル状物質が得られた。得られたオイル状物質を、再度アセトン/THF混合溶媒に溶解させ、溶け残った結晶性不溶分を分離した後、50℃で12時間減圧乾燥したところ、薄紫色のオイル状物質2.2gが得られた。得られたオイル状物質についてフーリエ変換赤外スペクトル測定及び元素分析を行なったところ、出発原料であるポリエーテル共重合体(A1)の、繰り返し単位中のノルマルブチルジメチルアンモニウムクロリド基の塩化物イオンの全て及び重合開始末端のノルマルブチルジメチルアンモニウムブロミド基の臭化物イオンの全てが水酸化物イオンに交換された、対アニオンとして水酸化物イオンを有するポリ(3−(ヒドロキシノルマルブチルジメチルアンモニウム)−1,2−エポキシプロパン−block−プロピレンオキシド)であると同定された。この共重合体を共重合体(A2)という。
ポリエーテル共重合体(A2)の繰り返し単位組成を表1に示した。
【0072】
〔実施例3〕
(共重合体(A1)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
実施例1で得られたポリエーテル共重合体(A1)2.5g、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド4.1g、イオン交換水20mL及びエタノール20mLを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ごく薄い紫色の粘性液状物質3.6gが得られた。得られた粘性液状物質についてH−NMRスペクトル測定及び元素分析を行なったところ、出発原料であるポリエーテル共重合体(A1)の、繰り返し単位中のノルマルブチルジメチルアンモニウムクロリド基の塩化物イオンの全て及び重合開始末端のノルマルブチルジメチルアンモニウムブロミド基の臭化物イオンの全てがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドアニオンを有する、ポリ(3−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドノルマルブチルジメチルアンモニウム−1,2−エポキシプロパン−block−プロピレンオキシド)であると同定された。この共重合体を共重合体(A3)という。
ポリエーテル共重合体(A3)の繰り返し単位組成を表1に示した。
【0073】
〔製造例2〕
(エピクロロヒドリンとプロピレンオキシド/グリシジルメタクリレートとのポリエーテル共重合体の製造)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.080g及びトルエン30mLを添加し、これを0℃に冷却した。更にトリエチルアルミニウム0.0356gをノルマルヘキサン1mLに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン2.5gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行なった。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、溶液の一部を抜き取り、溶液中の重合体について分子量の測定をしたところ、数平均分子量(Mn)は10,200、重量平均分子量(Mw)は11,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。反応液に、更にトリエチルアルミニウム0.021gをノルマルヘキサン1mLに溶解したものを添加して、15分間反応した。次いで、プロピレンオキシド2.0gとグリシジルメタクリレート0.5gとを添加し、二段目の重合反応を行なった。重合反応開始後、更に溶液の粘度が徐々に上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止し、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の収量は5.0gであった。また、得られた重合体の数平均分子量(Mn)は21,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.25であった。また、H−NMRにより求めた、重合体の単量体単位組成比(モル比)は、エピクロロヒドリン単量体単位:プロピレンオキシド単量体単位:グリシジルメタクリレート単量体単位=42:53:5(モル:モル:モル)であり、ポリ(エピクロロヒドリン−block−(プロピレンオキシド−ran−グリシジルメタクリレート))の合成を確認した。この共重合体を共重合体(OR2)という。
【0074】
〔実施例4〕
(共重合体(OR2)中のエピクロロヒドリン単位のノルマルブチルジメチルアミンによる4級化)
製造例2で得られた共重合体(OR2)5.0g、ノルマルブチルジメチルアミン10.9g及びアセトニトリル10.0gを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で96時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。得られた反応物を50℃で120時間減圧乾燥したところ、橙色の固体7.7gが得られた。この固体について、1H‐NMR測定及び元素分析を行なったところ、出発原料である共重合体(OR2)中の全てのエピクロロヒドリン単量体単位におけるクロロ基がノルマルブチルジメチルアンモニウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基がノルマルブチルジメチルアンモニウムブロミド基に、それぞれ、置換された、ポリ(3−(クロロノルマルブチルジメチルアンモニウム)−1,2−エポキシプロパン−block−(プロピレンオキシド−ran−グリシジルメタクリレート))であると同定された。この共重合体を共重合体(B1)という。
ポリエーテル共重合体(B1)の繰り返し単位組成を表2に示した。
【0075】
〔実施例5〕
(ポリエーテル共重合体(B1)の水酸化カリウムによるアニオン交換)
実施例4で得られたポリエーテル共重合体(B1)2.5g、水酸化カリウム2.0g、イオン交換水20mL及びエタノール20mLを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で1時間減圧乾燥したところ、薄紫色のオイル状物質が得られた。得られたオイル状物質をアセトン/THF混合溶媒に溶解させ、溶け残った結晶性不溶分を分離した後、50℃で1時間減圧乾燥したところ、薄紫色のオイル状物質が得られた。得られたオイル状物質を、再度アセトン/THF混合溶媒に溶解させ、溶け残った結晶性不溶分を分離した後、50℃で12時間減圧乾燥したところ、薄紫色のオイル状物質2.1gが得られた。得られたオイル状物質についてフーリエ変換赤外スペクトル測定及び元素分析を行なったところ、出発原料であるポリエーテル共重合体(B1)の、繰り返し単位中のノルマルブチルジメチルアンモニウムクロリド基の塩化物イオンの全て及び重合開始末端のノルマルブチルジメチルアンモニウムブロミド基の臭化物イオンの全てが水酸化物イオンに交換された、対アニオンとして水酸化物イオンを有するポリ(3−(ヒドロキシノルマルブチルジメチルアンモニウム)−1,2−エポキシプロパン−block−(プロピレンオキシド−ran−グリシジルメタクリレート))であると同定された。この共重合体を共重合体(B2)という。
ポリエーテル共重合体(B2)の繰り返し単位組成を表2に示した。
【0076】
〔実施例6〕
(共重合体(B1)のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドによるアニオン交換)
実施例4で得られたポリエーテル共重合体(B1)2.5g、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド4.1g、イオン交換水20mL及びエタノール20mLを攪拌機付きガラス反応器に添加した。室温で30分間反応させた後、50℃で12時間減圧乾燥し、得られた固液混合物を水で洗浄して無機塩を除去した後、トルエンで液相を抽出した。得られたトルエン溶液を50℃で12時間減圧乾燥したところ、ごく薄い紫色の粘性液状物質3.87gが得られた。得られた粘性液状物質についてH−NMRスペクトル測定及び元素分析を行なったところ、出発原料であるポリエーテル共重合体(B1)の、繰り返し単位中のノルマルブチルジメチルアンモニウムクロリド基の塩化物イオンの全て及び重合開始末端のノルマルブチルジメチルアンモニウムブロミド基の臭化物イオンの全てがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンに交換された、対アニオンとしてビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを有する、ポリ(3−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドノルマルブチルジメチルアンモニウム−1,2−エポキシプロパン−block−(プロピレンオキシド−ran−グリシジルメタクリレート))であると同定された。この共重合体を共重合体(B3)という。
ポリエーテル共重合体(B3)の繰り返し単位組成を表2に示した。
【0077】
〔実施例7〕
実施例1で得られたポリエーテル共重合体(A1)100部及びジメチルホルムアミド1,000部を、気温25℃、湿度60%の雰囲気下で、自動乳鉢で10分間攪拌した。得られた溶液は、均質な薄紫色のオイル状のものとなった。この溶液を、膜厚25μmのポリプロピレン製多孔性膜(Celgard2400;ポリポア社製)に含浸させ、100℃のオーブン中で24時間真空乾燥して、溶媒であるジメチルホルムアミドを留去して複合体(A1)を得た。この複合体(A1)について、耐水形状保持性の試験を行なったところ、室温において、水中への溶出成分はなく、形状が保持された。また、この複合体(1)を気温25℃、湿度60%の雰囲気下で、コイン型セルに組み込んで成型し、体積固有抵抗値を測定したところ、103.50(Ω/cm)であった。用いた複合体(A1)の構成、複合体(A1)の耐水形状保持性及び体積固有抵抗値を、表1に示した。
【0078】
〔実施例8〕
実施例1で得られたポリエーテル共重合体(A1)に代えて、実施例2で得られたポリエーテル共重合体(A2)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、溶液の調製、複合体(A2)の調製、耐水形状保持性の試験及び体積固有抵抗値の測定を行なった。用いた複合体(A2)の構成、複合体(A2)の耐水形状保持性及び体積固有抵抗値を、表1に示した。
【0079】
〔実施例9〕
実施例1で得られたポリエーテル共重合体(A1)に代えて、実施例3で得られたポリエーテル共重合体(A3)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、溶液の調製、複合体(A3)の調製、耐水形状保持性の試験及び体積固有抵抗値の測定を行なった。用いた複合体(A3)の構成、複合体(A3)の耐水形状保持性及び体積固有抵抗値を、表1に示した。
【0080】
〔実施例10〕
実施例4で得られたポリエーテル共重合体(B1)100部及び架橋剤となるジクミルパーオキサイド(日油社製「パークミルD−40」)3部を、気温25℃、湿度60%の雰囲気下で、自動乳鉢で10分間攪拌した。得られた架橋性ポリエーテル共重合体組成物は、均質な薄紫色のオイル状のものとなった。この組成物を、直径12mm、厚み200ミクロンの薄い円柱状に加工し、40℃のオーブン中で1時間保持した後に、160℃のオーブン中で20分間保持して、架橋反応を行なったところ、ゴム状の架橋物となった。この架橋物(B1)について、耐水形状保持性の試験を行なったところ、水中で形状が保持された。また、この架橋物を気温25℃、湿度60%の雰囲気下でコイン型セルに組み込んで成型し、体積固有抵抗値を測定したところ、103.10(Ω/cm)であった。用いた架橋性ポリエーテル共重合体組成物の組成、耐水形状保持性の試験の結果及び体積固有抵抗値を、表2に示した。得られた架橋物は、電解質として充分な機能を有していた。
【0081】
〔実施例11〕
実施例4で得られたポリエーテル共重合体(B1)に代えて実施例5で得られたポリエーテル共重合体(B2)を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、組成物の調製、架橋反応及び架橋物(B2)の調製を行なった。用いた架橋性ポリエーテル共重合体組成物の組成、耐水形状保持性の試験の結果及び体積固有抵抗値を、表2に示した。得られた架橋物は、電解質として充分な機能を有していた。
【0082】
〔実施例12〕
実施例4で得られたポリエーテル共重合体(B1)に代えて実施例6で得られたポリエーテル共重合体(B3)を用いたこと以外は、実施例10と同様にして、組成物の調製、架橋反応及び架橋物(B3)の調製を行なった。用いた架橋性ポリエーテル共重合体組成物の組成、耐水形状保持性の試験の結果及び体積固有抵抗値を、表2に示した。得られた架橋物は、電解質として充分な機能を有していた。
【0083】
〔参考製造例1〕
(エピクロロヒドリン重合体の製造)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.080g及びトルエン30mLを添加し、これを0℃に冷却した。更にトリエチルアルミニウム0.0356gをノルマルヘキサン1mLに溶解したものを添加して、15分間反応した。かくして得られた混合物に、エピクロロヒドリン2.5gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行なった。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止し、50℃で12時間減圧乾燥した。得られた重合体の数平均分子量(Mn)は10,200、重量平均分子量(Mw)は11,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。HNMRにより、ポリ(エピクロロヒドリン)の合成を確認した。この重合体を重合体(ORC)という。
【0084】
〔比較例1〕
(重合体(ORC)中のエピクロロヒドリン単量体単位のノルマルブチルジメチルアミンによる4級化)
参考製造例1で得られたポリ(エピクロロヒドリン)(重合体(ORC))5.0g、ノルマルブチルジメチルアミン10.9g及びアセトニトリル10.0gを、アルゴンで置換した攪拌機付きガラス反応器に添加し、80℃に加熱した。80℃で96時間反応させた後、室温に冷却し反応を停止した。得られた反応物を50℃で120時間減圧乾燥したところ、橙色の固体10.4gが得られた。この固体について、1H−NMR測定及び元素分析を行なったところ、出発原料の重合体(ORC)中の全てのエピクロロヒドリン単量体単位におけるクロロ基がノルマルブチルジメチルアンモニウムクロリド基に、全ての重合開始末端のブロモメチル基のブロモ基がノルマルブチルジメチルアンモニウムブロミド基に、それぞれ、置換された、ポリ(3−(クロロノルマルブチルジメチルアンモニウム)−1,2−エポキシプロパン)であると同定された。この重合体を重合体(C1)という。
【0085】
〔比較例2〕
ポリエーテル共重合体(A1)に代えて比較例1で得られた重合体(C1)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、溶液の調製、複合体(C1)の調製、複合体(C1)の耐水形状保持性試験及び体積固有抵抗値の測定を行なった。用いた重合体(C1)の繰り返し単位組成、用いた複合体(C1)の構成、複合体(C1)の耐水形状保持性試験の結果及び体積固有抵抗値を、表1にまとめて示した。なお、複合体(C1)は、耐水形状保持性試験のために水中で保持したところ、全てが溶出してしまい、耐水形状保持性の無いものであった。また、耐水形状保持性試験後のサンプル片には、重合体(C1)は残っておらず、体積固有抵抗値は1016(Ω/cm)以上となり、絶縁体であった。
【0086】
〔参考製造例2〕
(プロピレンオキシド重合体の製造)
攪拌機付きガラス反応器に、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド0.080g及びトルエン30mLを添加し、これを0℃に冷却した。更にトリエチルアルミニウム0.0356gをノルマルヘキサン1mLに溶解したものを添加して、15分間反応した。
かくして得られた混合物に、プロピレンオキシド5.0gを添加し、20℃に昇温して重合反応を行なった。重合反応開始後、徐々に溶液の粘度が上昇した。30分間反応後、重合反応液に少量の水を注いで反応を停止し、50℃で12時間減圧乾燥した。
得られた重合体(C2)の収量は5.0gであった。また、得られた重合体(C2)の数平均分子量(Mn)は20,700、重量平均分子量(Mw)は23,300、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。H−NMRにより、ポリ(プロピレンオキシド)の合成を確認した。
【0087】
〔比較例3〕
ポリエーテル共重合体(A1)に代えて参考製造例2で得られた重合体(C2)を用いたこと以外は、実施例7と同様にして、溶液の調製、複合体(C2)の調製、複合体(C2)の耐水形状保持性試験及び体積固有抵抗値の測定を行なった。用いた重合体(C2)の繰り返し単位組成、複合体の構成、耐水形状保持性試験の結果及び体積固有抵抗値を、表2にまとめて示した。なお、複合体(C2)は、耐水形状保持性試験において、形状が保持された。しかしながら、体積固有抵抗値を測定したところ、体積固有抵抗値は1010(Ω/cm)以上となり、絶縁体であった。
【0088】
表1及び表2に示す結果から分かるように、本発明のポリエーテル共重合体は、耐水形状保持性が高くイオン伝導性にも優れる電解質を与えるものである(実施例7〜12)。また、架橋する前には、多孔質膜に含浸させたり(実施例7〜9)、架橋剤により架橋したり(実施例10〜12)することができる加工性にも優れるものである。一方、カチオン性基を有するポリエーテルセグメントを有していても疎水性ポリエーテルセグメントを有しないポリエーテル共重合体は、耐水形状保持性に劣るものであった(比較例2)。また、疎水性ポリエーテルセグメントを有していてもカチオン性基を有するポリエーテルセグメントを有しないポリエーテル共重合体は、イオン伝導性に劣るものであった(比較例3)。
【0089】
[表1]
*1:ノルマルブチルジメチルアンモニウム基
*2:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
【0090】
[表2]
*1:ノルマルブチルジメチルアンモニウム基
*2:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン