【実施例】
【0031】
本発明を具体的な実施例、比較例及び試験例により詳述するが、これらに限定されるものではない。
(使用材料)
以下の材料を用いて、下記実施例及び比較例を実施した。
・普通ポルトランドセメントクリンカ:(住友大阪セメント株式会社製)
・二水石膏(天然)
・粗骨材(G):砕石(兵庫県西島産:密度2.56、粗粒率2.72)
・細骨材(S):川砂(滋賀県野洲川産:密度2.63、粗粒率6.62)
・水(W):上水道(大阪市水道局)
・混和剤(AD):ポゾリスNo.70(BASFジャパン株式会社製:AE減水剤)
・トリエチレングリコールモノエチルエーテル:ブレーキフルードオイル由来
・トリエチレングリコールブチルエーテル:ブレーキフルードオイル由来
・ジエチレングリコール(粉剤助剤):試薬(関東化学)
・トリエタノールアミン(粉剤助剤):試薬(関東化学)
・マイティAE−02(花王株式会社製:AE剤 アニオン系界面活性剤)
・マスターエア(BASFジャパン株式会社製:AE剤 アルキルエーテル系陰イオン界面活性剤)
・直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:試薬、和光純薬工業株式会社製:陰イオン界面活性剤)
【0032】
(1)空気連行性
(実施例1〜2、比較例1〜5)
普通ポルトランドセメントクリンカをジョークラッシャー及びブラウンミルで粉砕した普通ポルトランドセメントと、天然二水石膏とを、SO
3の含有量が2.0質量%となるように混合した。
該混合物に、それぞれトリエチレングリコールモノエチルエーテル(実施例1)、トリエチレングリコールブチルエーテル(実施例2)、ジエチレングリコール(比較例1)、トリエタノールアミン(比較例2)、アニオン系界面活性剤のマイティAE−02(比較例3)、アルキルエーテル系陰イオン界面活性剤のマスターエア(比較例4)の各化合物を、前記混合物100質量部に対して0.03質量部となるように添加した。
なお、比較例5は、前記混合物に何も添加しないこと以外は、実施例1と同様に粉砕した。
得られた混合物をボールミルで粉砕して粉末度3300cm
2/gの各普通ポルトランドセメントを調製した(試製普通ポルトランドセメント)。
調製した各試製普通ポルトランドセメント(C)を用いて、下記表1に示す配合割合で、細骨材、粗骨材、混和剤及び水を配合して、実施例1〜2及び比較例1〜5の各コンクリートを調製した。
【0033】
(実施例3〜4)
普通ポルトランドセメントクリンカをジョークラッシャー及びブラウンミルで粉砕した普通ポルトランドセメントと、天然二水石膏とを、SO
3の含有量が2.0質量%となるように混合した。得られた混合物をボールミルで粉砕して粉末度3300cm
2/gの普通ポルトランドセメントを調製した。
調製した普通ポルトランドセメント(C)に、下記表1に示す配合割合で、細骨材、粗骨材、混和剤及び、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを予め添加した水(実施例3)又はトリエチレングリコールブチルエーテルを予め添加した水(実施例4)を配合して、実施例3〜4の各コンクリートを調製した。
但し、水に予め添加するトリエチレングリコールブチルエーテル又はトリエチレングリコールブチルエーテルは、普通ポルトランドセメント100質量部に対して0.03質量部となるように、予め水に添加して用いた。
【0034】
(比較例6)
普通ポルトランドセメントクリンカをジョークラッシャー及びブラウンミルで粉砕した普通ポルトランドセメントと、天然二水石膏とを、SO
3の含有量が2.0質量%となるように混合した。得られた混合物をボールミルで粉砕して粉末度3300cm
2/gの普通ポルトランドセメントを調製した。
調製した普通ポルトランドセメント(C)に、下記表1に示す配合割合で、細骨材、粗骨材、混和剤、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及び水を配合して、比較例6のコンクリートを調製した。
【0035】
【表1】
【0036】
(試験例1)強度試験
実施例1〜4及び比較例1〜6の各コンクリートについて、JIS R 5201「セメントの物理試験方法」に規定された試験方法に基づき、凝結の始発時間及び終結時間、並びに材齢7日及び28日における圧縮強度を測定した。
その結果を、下記表2に示す。
【0037】
(試験例2)空気連行性試験
実施例1〜4及び比較例1〜6の各コンクリートについて、JIS A 1129−2「モルタル及びコンクリートの長さ試験方法 第2部コンタクトゲージ」に基づき、空気量を測定した。また、スランプ値も測定した。
その結果を、下記表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2より、本発明の実施例1及び実施例2では、通常使用されている空気連行剤である界面活性剤を添加した比較例3及び比較例4よりも良好な空気連行効果を確認することができた。一方、比較例1及び比較例2では、空気連行性は認められず、無添加の比較例5と同等の空気連行作用を示した。
【0040】
(2)粉砕助剤効果
(実施例5〜6、比較例7〜11)
普通ポルトランドセメントクリンカをジョークラッシャー及びブラウンミルで粉砕した普通ポルトランドセメントと、天然二水石膏とを、SO
3の含有量が2.0質量%となるように混合した。
該混合物に、それぞれトリエチレングリコールモノエチルエーテル(実施例5)、トリエチレングリコールブチルエーテル(実施例6)、ジエチレングリコール(比較例7)、トリエタノールアミン(比較例8)、アニオン系界面活性剤のマイティAE−02(比較例9)、アルキルエーテル系陰イオン界面活性剤のマスターエア(比較例10)の各化合物を、前記混合物100質量部に対して0.03質量部となるように添加した。
なお、比較例11、前記混合物に何も添加しないこと以外は、実施例5同様に粉砕した。
【0041】
(試験例3)粉砕効率試験
得られた各混合物をボールミルで粉砕して、粉砕時間と粉末度との関係求め、その結果を下記表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
表3より、本発明の実施例5及び実施例6は、通常使用されている粉剤助剤を添加した比較例7及び比較例8と同等以上の粉剤助剤効果を確認することができた。一方、比較例9及び比較例10は、顕著な粉剤助剤効果は認められず、無添加の比較例11と同等の粉砕効率を示した。