【文献】
Chem. Mater.,2000年,12,3288-3295
【文献】
Angew. Chem. Int. Ed.,2003年,42,1812-1815
【文献】
Jpn. J. Appl. Phys.,2000年,39,L90-L93
【文献】
Proceedings of SPIE,2003年,Vol. 5213 (Liquid Crystals VII),267-277
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
<アルコキシシラン化合物>
前記式[1]で表される本発明のアルコキシシラン化合物(アルコキシシラン化合物[1])は、下記の[反応式1]に示すように、環構造を有するカルボン酸[2]を塩素化剤で塩素化反応させることにより、対応する酸クロリド[3]に誘導した後、アミノ基を含有するアルコキシシラン化合物[4]と、塩基存在下でアミド化反応させることにより製造することができる。
【0021】
【化5】
(式中、Y
1、Cy
1、Cy
2、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、a、m及びnは、前記と同じ意味を表す。)
【0022】
<塩素化反応>
以下、[反応式1]の塩素化反応における反応条件、後処理操作の詳細について説明する。
塩素化剤としては、塩化チオニル、オギザリルクロリド、ホスゲン、塩素、オキシ塩化リン、五塩化リンなどが挙げられ、好ましくは、塩化チオニル、オギザリルクロリド、又はホスゲンであり、より好ましくは、塩化チオニルである。塩素化剤の量は、カルボン酸[2]に対して通常、1〜100倍モル、好ましくは1〜30倍モル、より好ましくは2〜15倍モルである。
【0023】
上記塩素化反応は、無溶媒でも行うことができるが、必要に応じて溶媒を使用することができる。溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はトルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、及び、これらの混合物が挙げられ、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、又はトルエンであり、より好ましくは、トルエンである。
【0024】
また、上記塩素化反応は、触媒なしでも進行するが、触媒を添加することにより進行を速くすることができる。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、キノリン、N、N−ジメチルアニリン又はN、N−ジメチルホルムアミドなどの有機塩基類、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド又はカリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド類が挙げられ、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン、又はN、N−ジメチルホルムアミドであり、より好ましくは、N、N−ジメチルホルムアミドである。触媒の量は、カルボン酸[2]に対して通常、0〜10倍モル、好ましくは0.001〜1倍モル、より好ましくは0.005〜0.1倍モルである。
【0025】
反応温度は、特に限定されないが、通常、−90〜200℃、好ましくは−30〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。
反応時間は、通常、0.05〜100時間、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは0.5〜5時間である。
【0026】
上記のようにして得られた酸クロリド[3]は、反応液中に残存する塩素化剤及び溶媒を減圧留去することにより単離することができる。単離された酸クロリド[3]は十分に良好な純度であるが、液体の場合は蒸留を行う事で、固体の場合は溶媒を用いた洗浄あるいは再結晶を行う事で、さらに高純度化することもできる。
【0027】
洗浄に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はトルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、及び、これらの混合物が挙げられ、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、又はトルエンであり、より好ましくは、ヘプタンである。
【0028】
再結晶に用いる溶媒としては、酸クロリド[3]が加熱時に溶解し冷却時に析出すれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はトルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、及び、これらの混合物が挙げられ、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、又はトルエンであり、より好ましくは、ヘプタンである。
【0029】
<アミド化反応>
以下、[反応式1]のアミド化反応における反応条件、後処理操作の詳細について説明する。
アルコキシシラン化合物[4]としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミンなどが挙げられ、好ましくは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランであり、より好ましくは、3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0030】
アルコキシシラン化合物[4]の量は、酸クロリド[3]に対して通常、0.8〜2.0倍モル、好ましくは1〜1.2倍モル、より好ましくは1〜1.05倍モルである。
塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、キノリン又はコリジンなどの有機塩基類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム又は燐酸カリウムなどの無機塩類が挙げられ、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウムであり、より好ましくは、トリエチルアミンである。
【0031】
上記アミド化反応に用いる溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に限定はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はトルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、及び、これらの混合物が挙げられ、好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、又はトルエンであり、より好ましくは、トルエンである。
【0032】
また、上記アミド化反応は、触媒なしでも進行するが、触媒を添加することにより進行を速くすることができる。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、キノリン、N、N−ジメチルアニリン又はN、N−ジメチルホルムアミドなどの有機塩基類、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド又はカリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド類が挙げられ、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン、又はN、N−ジメチルホルムアミドであり、より好ましくは、N、N−ジメチルホルムアミドである。触媒の量は、カルボン酸[2]に対して通常、0〜10倍モル、好ましくは0.001〜1倍モル、より好ましくは0.005〜0.1倍モルである。
【0033】
反応温度は、特に限定されないが、通常、−90〜200℃、好ましくは−30〜100℃、より好ましくは50〜80℃である。
反応時間は、通常、0.05〜100時間、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは0.5〜5時間である。
【0034】
上記のようにして得られたアルコキシシラン化合物[1]は、反応液中に残存する有機塩あるいは無機塩をろ過で除き、ろ液を溶媒で希釈し、これを純水で洗浄した後、有機相を抜き出し、溶媒を減圧留去することにより単離することができる。
【0035】
ろ液の希釈に用いる溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はトルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、及び、これらの混合物が挙げられ、好ましくは、トルエン、1,2−ジクロロエタン又は酢酸エチルであり、より好ましくは、酢酸エチルである。
【0036】
純水で洗浄した後の有機相は、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウムなどを用いて脱水処理してもよい。
【0037】
単離されたアルコキシシラン化合物[1]は十分に良好な純度であるが、固体の場合は溶媒を用いた洗浄あるいは再結晶を行う事で、さらに高純度化することもできる。
【0038】
洗浄に用いる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はトルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、及び、これらの混合物が挙げられ、好ましくは、ヘプタン、トルエン又はジイソプロピルエーテルであり、より好ましくは、ジイソプロピルエーテルである。
【0039】
再結晶に用いる溶媒としては、アルコキシシラン化合物[1]が加熱時に溶解し冷却時に析出すれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン又はトルエンなどの炭化水素類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン又はクロロベンゼンなどのハロゲン系炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサンなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、アセトン又はメチルエチルケトンなどのケトン類、アセトニトリル又はプロピオニトリル等のニトリル類、及び、これらの混合物が挙げられ、好ましくは、ヘプタン、トルエン又はジイソプロピルエーテルであり、より好ましくは、ジイソプロピルエーテルである。
【0040】
<環構造を有するカルボン酸>
環構造を有するカルボン酸[2]の例としては、以下のような化合物が挙げられる。
【化6】
(式中、Z
5は前記と同じ意味を表す。R
5及びR
6は、それぞれ独立に、H又はCH
3を表す。)
【0041】
上記[2−7]〜[2−11]のような炭素−炭素二重結合を含有するカルボン酸は、例えば、下記の[反応式2]に示すように、芳香族ハライド(もしくはトリフラート)と(メタ)アクリル酸とをヘック(Heck)反応させることにより得ることができる。
【化7】
(式中、X
2はCl、Br、I又はOTf(トリフラート)、R
5はH又はCH
3、Z
5は前記と同じものを表わす。)
【0042】
また、上記[2−12]〜[2−16]のような炭素−炭素三重結合を含有するカルボン酸は、例えば下記の[反応式3]に示すように、芳香族ハライド(もしくはトリフラート)とプロピオール酸とを薗頭反応させることにより製造することができる。
【化8】
(式中、X
2及びZ
5は、前記と同じものを表す。)
【0043】
また、上記[2−17]〜[2−24]のような環構造との間にエーテル結合を含有するカルボン酸は、例えば下記の[反応式4]に示すように、炭酸カリウムなどの塩基存在下、カルボン酸基を含有する環構造の化合物を、α位に脱離基を持つエステルに求核置換反応させた後、酸又は塩基を用いて加水分解反応させることにより製造することができる。
【化9】
(式中、X
3はCl、Br、I、OMs(メシラート)又はOTs、R
4はH又はCH
3、R
5はCH
3、C
2H
5、iso−プロピル基、iso−ブチル基又はtert−ブチル基、Z
5は前記と同じものを表す。)。
【0044】
また、上記[2−25]〜[2−28]のような環構造との間にエステル結合を含有するカルボン酸は、例えば下記の[反応式5]に示すように、炭酸カリウムなどの塩基存在下、カルボン酸基を含有する環構造の化合物を、α位に脱離基を持つtert−ブチルエステルに求核置換反応させた後、ギ酸又はトリフルオロ酢酸等の酸を用いてtert−ブチルエステル部分のみを加水分解反応させることにより製造することができる。
【化10】
(式中、X
3はCl、Br、I、OMs又はOTs、Z
5は前記と同じものを表す。)
【0045】
また、上記[2−29]〜[2−35]のような環構造との間にエステル結合を含有するカルボン酸は、例えば下記の[反応式6]に示すように、水酸基を含有する環構造の化合物とコハク酸無水物とを反応させることにより製造することができる。
【化11】
(式中、Z
5は前記と同じものを表す。)
【0046】
また、上記[2−36]〜[2−42]のような環構造との間にエステル結合を含有するカルボン酸は、例えば下記の[反応式7]に示すように、水酸基を含有する環構造の化合物とグルタル酸無水物とを反応させることにより製造することができる。
【化12】
(式中、Z
5は前記と同じものを表す。)
【0047】
<ポリシロキサン>
本発明のポリシロキサンは、上記式[1]で表わされるアルコキシシラン化合物を重縮合して得られるポリシロキサンである。
本発明のポリシロキサンは、上記式[1]で表わされるアルコキシシラン化合物に加えて、さらに、他のアルコキシシランを構成成分として含有してもよい。当該他のアルコキシシランとしては、下記式(1)で表わされるアルコキシシラン、下記式(3)で表わされるアルコキシシラン、下記式(4)で表わされるアルコキシシラン、下記式(5)で表わされるアルコキシシラン、下記式(6)で表わされるアルコキシシラン、及び下記式(7)で表わされるアルコキシシランが挙げられる。
【0048】
R
101Si(OR
102)
3 (1)
(R
101は下記式(2)の構造を表し、R
102は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【化13】
(式(2)中、Y
1は単結合、−(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−である。Y
2は単結合、二重結合を含有する炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、又は、−(CR
117R
118)
c−(cは1〜15の整数である。R
117、及びR
118はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)である。Y
3は単結合、−(CH
2)
d−(dは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−である。Y
4は単結合、ベンゼン環、シクロへキシル環、及び、複素環からなる群より選ばれる2価の環状基、又は、ステロイド骨格を有する炭素数17〜51の2価の有機基であり、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていても良い。Y
5はベンゼン環、シクロへキシル環及び複素環からなる群より選ばれる2価の環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。n1は0〜4の整数である。Y
6は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基を表す。)
【0049】
【化14】
(式(3)中、R
21、R
22、及びR
23は、それぞれ独立に、−OCH
3、−OC
2H
5、−OCH(CH
3)
2、−OC(CH
3)
3、−CH
3、−Ph、−Cl、−OCOCH
3、−OH、−H、又は、それらの組合せからなる置換基を表す。R
24は水素原子、又はメチル基を表す。Y
21は単結合、又は、二重結合を含有していても良い炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基を表す。Y
22は単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−、−N(CH
3)−、−NPh−、−NHCO−、−N(CH
3)CO−、−NPhCO−、−NHSO
2−、−N(CH
3)SO
2−、−NPhSO
2−、−S−、−SO
2−、−NHCONH、−N(CH
3)CONH−、−NPhCONH−、−NHCOO−、及び−OCONH−から選ばれる結合基を表す。Y
23は単結合、又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基を表す。Y
24は単結合、又は炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基を表す。Y
25は単結合、−O−、又は−NZ
2−を表し、Z
2は水素原子、炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、芳香族環基、又は脂肪族環基を表す。Cyは下記から選ばれ任意の置換位置で結合形成される2価の環状基を表し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子から選ばれる基で置換されていても良い。)
【0050】
【化15】
(Z
1は芳香族環基、又は脂肪族環基を含有していても良い炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基を表す。)
【0051】
R
103Si(OR
104)
3 (4)
(R
103は、任意の水素原子が、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基又はスチリル基で置換された炭素数1〜30のアルキル基であり、R
104は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【0052】
Si(OR
15)
4 (5)
(R
15は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
【0053】
(R
13)
n2Si(OR
14)
4−n (6)
(式(6)中、R
13は、水素原子、又は、任意の水素原子がヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、又はウレイド基で置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、R
14は炭素数1〜5のアルキル基であり、n2は0〜3の整数を表す。)
【0054】
R
16Si(OR
17)
3 (7)
(R
16は、炭素数1〜5のアルキル基であり、R
17は、炭素数1〜5のアルキル基である。)
【0055】
式(2)中、Y
1は単結合、−(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−である。なかでも、単結合、−(CH
2)
b−(bは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−が、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましい。さらに、単結合、−(CH
2)
b−(bは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−又は−COO−がより好ましい。
【0056】
式(2)中、Y
2は単結合、二重結合を含有する炭素数3〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、又は、−(CR
117R
118)
c−(cは1〜15の整数であり、R
117、及びR
118はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表す。)である。なかでも、液晶表示素子の応答速度をより顕著に改善させる観点から、−(CH
2)
c−(cは1〜10の整数である)が好ましい。
【0057】
式(2)中、Y
3は単結合、−(CH
2)
d−(dは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−である。なかでも、単結合、−(CH
2)
d−(dは1〜15の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−が、側鎖構造の合成を容易にする観点から好ましい。さらに、単結合、−(CH
2)
d−(dは1〜10の整数である)、−O−、−CH
2O−、−COO−又は−OCO−がより好ましい。
【0058】
式(2)中、Y
4は単結合、又はベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子により置換されていてもよい。さらに、Y
4は、ステロイド骨格を有する炭素数12〜25の2価の有機基でもよい。なかでも、ベンゼン環、シクロへキサン環又はステロイド骨格を有する炭素数12〜25の有機基が好ましい。
【0059】
式(2)中、Y
5はベンゼン環、シクロへキサン環及び複素環よりなる群から選ばれる2価の環状基であって、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜3のフッ素含有アルコキシル基又はフッ素原子で置換されていてもよい。
式(2)中、n1は0〜4の整数である。好ましくは、0〜2の整数である。
【0060】
式(2)中、Y
6は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜18のフッ素含有アルコキシル基である。なかでも、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のフッ素含有アルキル基、炭素数1〜18のアルコキシル基又は炭素数1〜10のフッ素含有アルコキシル基であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシル基である。さらに好ましくは、炭素数1〜9のアルキル基又は炭素数1〜9のアルコキシル基である。
【0061】
式(1)で表されるアルコキシシランのR
102は、炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基である。より好ましくは、R
2がメチル基又はエチル基である。
【0062】
以下に式(1)で表されるアルコキシシランの具体例として式[1−1]〜[1−31]を挙げるが、これに限定されるものではない。なお、下記式[1−1]〜[1−31]におけるR
2は、式(1)におけるR
102と同じである。
【0068】
【化21】
(式[1−19]〜式[1−21]中、R
105は−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−又は−CH
2OCO−を示し、R
106は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0069】
【化22】
(式[1−22]〜式[1−24]中、R
107は単結合、−COO−、−OCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−(CH
2)
nO−(nは1〜5の整数)、−OCH
2−又は−CH
2−を示し、R
108は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基である。)
【0070】
【化23】
(式[1−25]及び式[1−26]中、R
109は−COO−、−OCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−又は−O−を示し、R
110はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基又は水酸基である。)
【0071】
【化24】
(式[1−27]及び式[1−28]中、R
111は炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4−シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0072】
【化25】
(式[1−29]及び式[1−30]中、R
112は、炭素数3〜12のアルキル基であり、1,4−シクロヘキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス異性体である。)
【0073】
【化26】
(式[1−31]中、B
4はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜20のアルキル基であり、B
3は1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基であり、B
2は酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手がB
3と結合する。)であり、B
1は酸素原子又は−COO−*(但し、「*」を付した結合手が(CH
2)a
2)と結合する。)である。また、a
1は0又は1の整数であり、a
2は2〜10の整数であり、a
3は0又は1の整数である。)
【0074】
式(1)で表されるアルコキシシランは、シロキサンポリマー(ポリシロキサン)とした際の溶媒への溶解性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、プレチルト角特性、電圧保持率、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類又は2種類以上を混合して使用することもできる。また、炭素数10〜18の長鎖アルキル基を含有するアルコキシシランとの併用も可能である。
【0075】
このような式(1)で表されるアルコキシシランは、例えば、特開昭61−286393号公報に記載されるような公知の方法で製造することが可能である。
【0076】
式(3)で表されるアルコキシシランのR
21、R
22、及びR
23は、それぞれ独立に、−OCH
3、−OC
2H
5、−OCH(CH
3)
2、−OC(CH
3)
3、−CH
3、−Ph(すなわち−C
6H
5)、−Cl、−OCOCH
3、−OH、−H、又はそれらの組合せからなる置換基である。好ましくは、R
21、R
22、及びR
23は、それぞれ独立に、−OCH
3又は−OC
2H
5である。
【0077】
R
24は、水素原子、又はメチル基である。
【0078】
式(3)で表されるアルコキシシランのY
21は、単結合、又は、二重結合を含有していても良い炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基である。好ましくは、Y
21は、単結合、又は炭素数3〜5の直鎖状炭化水素基である。
【0079】
式(3)で表されるアルコキシシランのY
22は、単結合、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−、−N(CH
3)−、−NPh−、−NHCO−、−N(CH
3)CO−、−NPhCO−、−NHSO
2−、−N(CH
3)SO
2−、−NPhSO
2−、−S−、−SO
2−、−NHCONH、−N(CH
3)CONH−、−NPhCONH−、−NHCOO−、及び、−OCONH−から選ばれる結合基である。好ましくは、Y
22は、単結合である。
【0080】
Y
23は単結合、又は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基であり、好ましくは、単結合である。
【0081】
Y
24は単結合、又は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基であり、好ましくは、単結合又は炭素数1〜3の直鎖状の炭化水素基である。
【0082】
Y
25は単結合、−O−、又は、−NZ
2−である。ここで、Z
2は水素原子、炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基、芳香族環基、又は、脂肪族環基である。好ましくは、単結合、−O−、又は−NH−である。
【0083】
式(3)で表されるアルコキシシランのCyは、下記から選ばれ任意の置換位置で結合形成される2価の環状基を表し、これらの環状基上の任意の水素原子は、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子、及び、塩素原子から選ばれるもので置換されていても良い。好ましくは、Cyは、ベンゼン環、ビフェニル環である。なお、「任意の置換位置で結合形成される2価の環状基」とは、下記の環状基の2本の結合手の位置が任意でよいということを意味する。
【0084】
【化27】
(Z
1は芳香族環基、又は、脂肪族環基を含有していても良い炭素数1〜18の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基を表す。)
【0085】
式(4)で表されるアルコキシシランのR
103は、任意の水素原子が、アクリル基、アクリロキシ基、メタクリル基、メタクリロキシ基又はスチリル基で置換されたアルキル基である。置換されている水素原子は1つ以上であり、好ましくは1つである。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、より好ましくは1〜20である。更に好ましくは1〜10である。
【0086】
R
104は、炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3であり、特に好ましくは炭素数1〜2である。
【0087】
式(4)で表されるアルコキシシランの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではでない。例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシエチルトリメトキシシラン、アクリロキシエチルトリエトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリエトキシシラン、又は3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシランである。
【0088】
式(6)で表されるアルコキシシランのR
13は、水素原子、又は任意の水素原子がヘテロ原子、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、又はウレイド基で置換されていてもよい、炭素数1〜10の炭化水素基であり、好ましくは、アミノ基、グリシド基、ウレイド基である。R
14は炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキル基であり、n2は0〜3、好ましくは0〜2の整数を表す。)
【0089】
式(6)で表されるアルコキシシランのR
13は水素原子又は炭素数が1〜10の有機基である。炭素数が1〜10の有機基であるR
13の例としては、炭素数が1〜10の、脂肪族炭化水素、脂肪族環、芳香族環及びヘテロ環のような環構造が挙げられ、これらは不飽和結合や、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子等を含んでいてもよく、また、直鎖状でも分岐状でもよい。炭素数が1〜6であることが好ましい。加えて、この炭化水素基の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アミノ基、グリシドキシ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基などで置換されていてもよい。
【0090】
このような式(6)で表されるアルコキシシランの具体例を挙げるが、これに限定されるものではない。例えば、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、2−アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリエトキシシラン、ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3―アミノプロピルジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン及びγ−ウレイドプロピルトリプロポキシシラン等が挙げられる。
【0091】
式(6)で表されるアルコキシシランにおいて、n2が0であるアルコキシシランは、テトラアルコキシシランである。テトラアルコキシシランは、式(1)、(3)又は(4)で表されるアルコキシシランと重縮合反応をし易い。
【0092】
このような式(6)のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランが好ましく、特に、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが好ましい。
【0093】
式(5)で表されるアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン又はテトラブトキシシランが好ましく、特に、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシランが好ましい。
【0094】
式(7)で表されるアルコキシシランのR
16は、炭素数1〜5のアルキル基である。アルキル基の炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは1〜3である。
【0095】
R
17は、炭素数1〜5のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜3であり、特に好ましくは炭素数1〜2である。
【0096】
式(7)で表されるアルコキシシランの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではでない。例えば、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルトリメトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、又はn−プロピルトリエトキシシランである。
【0097】
本発明の液晶配向剤が含有するポリシロキサンは、高価なポリイミド系と比較して安価なため、本発明の液晶配向剤は安価に製造することができ、汎用性が高い。
【0098】
本発明のポリシロキサンの分子量は、重量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、5,000〜300,000がより好ましく、10,000〜100,000がさらに好ましい。また、数平均分子量では、1,000〜250,000が好ましく、2,500〜150,000がより好ましく、5,000〜50,000がさらに好ましい。
【0099】
上記式[1]で表わされるアルコキシシラン化合物の割合は、ポリシロキサンを得るために用いられる全アルコキシシラン成分中(100モル%)において、良好な液晶配向性を得るためは、1モル%以上が好ましく、1.5モル%以上がより好ましく、2モル%以上がさらに好ましい。また、形成される液晶配向膜の充分な硬化特性を得るためには、30モル%以下が好ましく、25モル%以下がより好ましい。
【0100】
<ポリシロキサンの製造方法>
本発明のポリシロキサンを得る方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。ポリシロキサンを得るためにアルコキシシランを重縮合する方法として、例えば、アルコキシシランをアルコール又はグリコールなどの溶媒中で、加水分解・縮合する方法が挙げられる。その際、加水分解・縮合反応は、部分加水分解及び完全加水分解のいずれであってもよい。完全加水分解の場合は、理論上、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5倍モルの水を加えればよいが、通常は0.5倍モルより過剰量の水を加えるのが好ましい。
【0101】
本発明においては、上記反応に用いる水の量は、所望により適宜選択することができるが、通常、アルコキシシラン中の全アルコキシ基の0.5〜2.5倍モルであるのが好ましく、0.5〜2倍モルがより好ましい。
【0102】
また、通常、加水分解・縮合反応を促進する目的で、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、蟻酸、蓚酸、マレイン酸、フマル酸などの酸、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、トリエチルアミンなどのアルカリ、塩酸、硫酸、硝酸などの金属塩などが触媒として用いられる。加えて、アルコキシシランが溶解した溶液を加熱することで、更に、加水分解・縮合反応を促進させることも一般的である。その際、加熱温度及び加熱時間は所望により適宜選択できる。例えば、50℃で24時間加熱・撹拌する、還流下で1時間加熱・撹拌するなどの方法が挙げられる。
【0103】
また、別法として、例えば、アルコキシシラン、溶媒及び蓚酸の混合物を加熱して重縮合する方法が挙げられる。具体的には、あらかじめアルコールに蓚酸を加えて蓚酸のアルコール溶液とした後、該溶液を加熱した状態で、アルコキシシランを混合する方法である。その際、用いる蓚酸の量は、アルコキシシランが有する全アルコキシ基の1モルに対して0.2〜2モルとすることが好ましく、0.5〜2モルがより好ましい。この方法における加熱は、液温50〜180℃で行うことができる。好ましくは、液の蒸発、揮散などが起こらないように、還流下で数十分〜十数時間加熱する方法である。
【0104】
本発明においては、ポリシロキサンを得る際に、アルコキシシランを複数種用いることができるが、その場合は、アルコキシシランをあらかじめ混合した混合物として混合してもよいし、複数種のアルコキシシランを順次混合してもよい。すなわち、アルコキシシラン成分を反応させる順序には限定はなく、例えば、アルコキシシラン成分を一度に反応させてもよく、また、一部のアルコキシシランを反応させた後に、他のアルコキシシランを添加して反応させてもよい。
【0105】
アルコキシシランを重縮合する際に用いられる溶媒(以下、重合溶媒ともいう)は、アルコキシシランを溶解するものであれば特に限定されない。また、アルコキシシランが溶解しない場合でも、アルコキシシランの重縮合反応の進行とともに溶解するものであればよい。一般的には、アルコキシシランの重縮合反応によりアルコールが生成するため、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類、又はアルコール類と相溶性の良好な有機溶媒が用いられる。
【0106】
このような重合溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール,ジアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホトリアミド、m−クレゾール等が挙げられる。
本発明においては、上記の重合溶媒を複数種混合して用いてもよい。
【0107】
上記の方法で得られたポリシロキサンの重合溶液(以下、重合溶液ともいう。)は、原料として仕込んだ全アルコキシシランのケイ素原子をSiO
2に換算した濃度(以下、SiO
2換算濃度と称す。)で、好ましくは20質量%以下、さらには5〜15質量%とすることがより好ましい。この濃度範囲において任意の濃度を選択することにより、ゲルの生成を抑え、均質な溶液を得ることができる。
【0108】
<ポリシロキサンの溶液>
本発明においては、上記の方法で得られたポリシロキサンの重合溶液をそのまま重合体成分として用いても良く、必要に応じて、上記の方法で得られた溶液を、濃縮したり、溶媒を加えて希釈したり、又は他の溶媒に置換して、重合体成分として用いても良い。
その際、用いる溶媒(以下、添加溶媒ともいう)は、重合溶媒と同じでもよいし、別の溶媒でもよい。この添加溶媒は、ポリシロキサンが均一に溶解している限りにおいて特に限定されず、一種でも複数種でも任意に選択して用いることができる。
【0109】
かかる添加溶媒の具体例としては、上記の重合溶媒の例として挙げた溶媒のほかに、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶媒は、液晶配向剤の粘度の調整、更には、スピンコート、フレキソ印刷、インクジェット等で液晶配向剤を基板上に塗布する際の塗布性を向上できる。
【0110】
<その他の成分>
本発明においては、本発明の効果を損なわない限りにおいて、ポリシロキサン以外のその他の成分、例えば、無機微粒子、メタロキサンオリゴマー、メタロキサンポリマー、レベリング剤、更には、界面活性剤等の成分が含まれていてもよい。
無機微粒子としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、又はフッ化マグネシウム微粒子等の微粒子が好ましく、特にコロイド溶液の状態であるものが好ましい。このコロイド溶液は、無機微粒子を分散媒に分散したものでもよいし、市販品のコロイド溶液であってもよい。無機微粒子としては、その平均粒子径が0.001〜0.2μmであることが好ましく、更に好ましくは0.001〜0.1μmである。無機微粒子の平均粒子径が0.2μmを超える場合には、調製される塗布液を用いて形成される硬化被膜の透明性が低下する場合がある。
【0111】
無機微粒子の分散媒としては、水若しくは有機溶剤を挙げることができる。コロイド溶液としては、被膜形成用塗布液の安定性の観点から、pH又はpKaが1〜10に調整されていることが好ましい。より好ましくは2〜7である。
コロイド溶液の分散媒に用いる有機溶剤としては、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類;を挙げることができる。これらの中で、アルコール類又はケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で又は2種以上を混合して分散媒として使用することができる。
【0112】
メタロキサンオリゴマー、又はメタロキサンポリマーとしては、ケイ素、チタン、アルミニウム、タンタル、アンチモン、ビスマス、錫、インジウム、亜鉛等の単独又は複合酸化物前駆体が用いられる。メタロキサンオリゴマー、又はメタロキサンポリマーとしては、市販品であっても、金属アルコキシド、硝酸塩、塩酸塩、カルボン酸塩等のモノマーから、加水分解等の常法により得られたものであってもよい。
【0113】
市販品のメタロキサンオリゴマー、又はメタロキサンポリマーの具体例としては、コルコート社製の、メチルシリケート51、メチルシリケート53A、エチルシリケート40、エチルシリケート48、EMS−485、SS−101等のシロキサンオリゴマー又はシロキサンポリマー、関東化学社製のチタニウム−n−ブトキシドテトラマー等のチタノキサンオリゴマーが挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して使用してもよい。
また、レベリング剤及び界面活性剤等は、公知のものを用いることができ、特に市販品は入手が容易なので好ましい。
また、ポリシロキサンに、上記したその他の成分を混合する方法は、ポリシロキサンと同時であっても、後であってもよく、特に限定されない。
【0114】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上述したポリシロキサン及び必要に応じてその他の成分を含有する溶液である。その際、溶媒としては、上述したポリシロキサンの重合溶媒及び添加溶媒からなる群から選ばれる溶媒が用いられる。液晶配向剤におけるポリシロキサンの含有量は、SiO
2換算濃度が好ましくは0.5〜15質量%、より好ましくは1〜6質量%である。このようなSiO
2換算濃度の範囲であれば、一回の塗布で所望の膜厚を得やすく、充分な溶液のポットライフが得られ易い。
【0115】
本発明の液晶配向剤を調製する方法は特に限定されない。本発明に用いるポリシロキサン、必要に応じて加えられるその他の成分が均一に混合した状態であればよい。通常、ポリシロキサンは、溶媒中で重縮合されるので、ポリシロキサンの溶液をそのまま用いるか、ポリシロキサンの溶液に必要に応じてその他の成分を添加することが簡便である。更に、ポリシロキサンの重合溶液をそのまま用いる方法が最も簡便である。
また、液晶配向剤中におけるポリシロキサンの含有量を調整する際には、上述したポリシロキサンの重合溶媒及び添加溶媒からなる群から選ばれる溶媒を用いることができる。
【0116】
本発明の液晶配向剤が含有する有機溶媒の含有量は、塗布により均一な薄膜を形成するという観点から、液晶配向剤中、90〜99質量%が好ましく、92〜97質量%がより好ましい。これらの含有量は、目的とする液晶配向膜の膜厚によって適宜変更することができる。
【0117】
また、有機溶媒中には、塗膜の均一性を向上させる目的で、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノへキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、ジアセトンアルコール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒を含有することが好ましい。
【0118】
<液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、上述した液晶配向剤を用いて得られる。該液晶配向剤を、基板に塗布した後、乾燥・焼成を行うことで得られる硬化膜を、そのまま液晶配向膜として用いるか、ラビング処理や光照射などで配向処理をしてから液晶配向膜として用いることができる。
【0119】
この際、用いる基板としては透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板;アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板;などを用いることができる。さらに、液晶駆動のためのITOやIZO(Indium Zinc Oxide)電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極は金属アルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
【0120】
具体例を挙げると、ガラス板、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリウレタン、ポリサルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、トリメチルペンテン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、(メタ)アクリロニトリル、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロースなどのプラスチック板などに透明電極が形成された基板を挙げることができる。
【0121】
液晶配向剤の塗布方法は特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどで行う方法が一般的である。生産性の面から工業的には転写印刷法が広く用いられており、本発明でも好適に用いられる。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
【0122】
液晶配向剤を塗布した後の乾燥の工程は、必ずしも必要とされないが、塗布後から焼成までの時間が基板ごとに一定していない場合、又は塗布後ただちに焼成されない場合には、乾燥工程を含める方が好ましい。この乾燥は、基板の搬送等により塗膜形状が変形しない程度に溶媒が除去されていればよく、その乾燥手段については特に限定されない。例えば、温度40℃〜150℃、好ましくは60℃〜100℃のホットプレート上で、0.5〜30分、好ましくは1〜5分乾燥させる方法が挙げられる。
【0123】
液晶配向剤を塗布した後の焼成は、焼成温度は、100℃〜350℃の任意の温度で行うことができるが、好ましくは140℃〜300℃であり、より好ましくは150℃〜230℃、更に好ましくは160℃〜220℃である。焼成時間は5〜240分の任意の時間で焼成を行うことができ、好ましくは10〜90分であり、より好ましくは20〜80分である。加熱は、通常公知の方法、例えば、ホットプレート、熱風循環オーブン、IRオーブン、ベルト炉などを用いることができる。
【0124】
液晶配向膜中のポリシロキサンは、焼成工程において、重縮合が進行する。しかし、本発明においては、本発明の効果を損なわない限り、完全に重縮合させる必要はない。但し、液晶セルの製造行程で必要とされる、シール剤硬化などの熱処理温度より、10℃以上高い温度で焼成することが好ましい。
この硬化膜の厚みは、必要に応じて選択することができるが、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上の場合、液晶表示素子の信頼性が得られ易いので好適である。また、硬化膜の厚みが好ましくは300nm以下、より好ましくは150nm以下の場合は、液晶表示素子の消費電力が極端に大きくならないので好適である。
【0125】
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、対向するように配置された2枚の基板と、基板間に設けられた液晶層と、基板と液晶層との間に設けられ、本発明の液晶配向剤により形成された上記液晶配向膜とを有する液晶セルを具備する液晶表示素子である。具体的には、本発明の液晶配向剤を2枚の基板上に塗布して焼成することにより液晶配向膜を形成し、この液晶配向膜が対向するように2枚の基板を配置し、この2枚の基板の間に液晶で構成された液晶層を挟持し、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射することで作製される液晶セルを具備する液晶表示素子である。
【0126】
この液晶層を2枚の基板の間に挟持させる方法としては、公知の方法を挙げることができる。例えば、液晶配向膜が形成された1対の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜上にビーズ等のスペーサーを散布し、液晶配向膜が形成された側の面が内側になるようにして、もう一方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法が挙げられる。また、液晶配向膜が形成された1対の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜上にビーズ等のスペーサーを散布した後に液晶を滴下し、その後液晶配向膜が形成された側の面が内側になるようにして、もう一方の基板を貼り合わせて封止を行う方法でも液晶セルを作製することができる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
液晶を注入する方法は特に制限されず、作製した液晶セル内を減圧にした後、液晶を注入する真空法、液晶を滴下した後に封止を行う滴下法などを挙げることができる。
【0127】
液晶が導入された液晶セルの、両側基板の電極間に電圧を印加した状態で紫外線を照射することにより、液晶配向膜中のアクリル基やメタクリル基などの架橋性基がその場で重合し架橋されることで、液晶ディスプレイの応答速度が速くなる。
液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加しながら紫外線を照射することにより液晶セルを作製する工程は、例えば基板上に設置されている電極間に電圧をかけることで、液晶配向膜及び液晶層に電圧を印加し、この電圧を保持したまま紫外線を照射する方法が挙げられる。ここで、電極間にかける電圧としては、例えば5〜80Vp−p、好ましくは5〜60Vp−pである。紫外線の照射量は、例えば1〜60J、好ましくは40J以下であり、紫外線照射量が少ないほうが、液晶表示素子を構成する部材の破壊により生じる信頼性低下を抑制でき、かつ紫外線照射時間を減らせることで製造効率が上がるので好適である。
【0128】
本発明の液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されないが、通常は、基板上に液晶を駆動するための透明電極が形成された基板である。具体例としては、上記<液晶配向膜>で記載した基板と同様のものを挙げることができる。従来の電極パターンや突起パターンが設けられた基板を用いてもよいが、本発明の液晶表示素子においては、液晶配向膜を形成する液晶配向剤として、上記本発明の液晶配向剤を用いているため、片側基板に1〜10μmのライン/スリット電極パターンを形成し、対向基板にはスリットパターンや突起パターンを形成していない構造においても動作可能であり、この構造の液晶表示素子によって、製造時のプロセスを簡略化でき、高い透過率を得ることができる。
【0129】
また、TFT型の素子のような高機能素子においては、液晶駆動のための電極と基板の間にトランジスタの如き素子が形成されたものが用いられる。
透過型の液晶表示素子の場合は、上記の如き基板を用いることが一般的であるが、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な基板も用いることが可能である。その際、基板に形成された電極には、光を反射するアルミニウムの如き材料を用いることもできる。
【0130】
本発明の液晶表示素子の液晶層を構成する液晶材料は特に限定されず、従来の垂直配向方式で使用される液晶材料、例えばメルク社製のMLC−6608、MLC−6609などのネガ型の液晶や、MLC−2041などを用いることができる。
【実施例】
【0131】
以下、実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
以下に、合成例1〜3で合成した化合物の同定に用いた、
1H−NMR分析の条件を示した。
装置:Varian NMR System 400 NB (400 MHz)
測定溶媒:CDCl
3
基準物質:テトラメチルシラン(TMS)(δ0.0 ppm for
1H)
【0132】
<合成例1>
【化28】
【0133】
化合物[1]の合成
マグネチックスターラーを備えた300ml四口フラスコに、4-(トランス-4-ヘプチルシクロヘキシル)安息香酸を30.00g(0.0992mol)、塩化チオニルを120g(1.0087mol)、及びN、N−ジメチルホルムアミドを0.07g(0.0010mol)仕込み、内温50℃にて2時間攪拌した。その後、減圧下、反応液から塩化チオニルを留去し、化合物[1]を31.80g(0.0991mol)得た(収率:100%、性状:黄色オイル)。
1H-NMR(400MHz) in CDCl
3: 0.89ppm(t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.98-1.12ppm(m, 2H), 1.18-1.39ppm(m, 13H), 1.40-1.53ppm(m, 2H), 1.83-1.93ppm(m, 4H), 2.51-2.62ppm(m, 1H), 7.32ppm(d, J = 8.2 Hz, 2H), 8.03ppm(d, J = 8.2 Hz, 2H)
【0134】
化合物[2]の合成
マグネチックスターラーを備えた1L四口フラスコに、化合物[1]を31.80g(0.0991mol)、及びトルエンを190.8g仕込み、氷浴下(内温5℃)で攪拌しながら、18.12g(0.1011mol)の3−アミノプロピルトリメトキシシランと11.03g(0.1090mol)のトリエチルアミンとを127.2gのトルエンに溶解させた溶液を、30分掛けて滴下した後、室温にて更に17時間攪拌した。その後、反応液中に析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ過し、ろ液を192gの酢酸エチルで希釈した。次に、このろ液を200gの純水で3回洗浄した後、有機相に硫酸ナトリウムを5g加え脱水処理した。続いて、これをろ過した後、減圧下、ろ液から溶媒を完全に留去し、化合物[2]を44.49g(0.0959mol)得た(収率:97%、性状:白色結晶)。
1H-NMR(400MHz) in CDCl
3: 0.70-0.75ppm(m, 2H), 0.89ppm(t, J = 7.0 Hz, 3H), 0.99-1.10ppm(m, 2H), 1.18-1.39ppm(m, 13H), 1.40-1.52ppm(m, 2H), 1.74ppm(m, 2H), 1.84-1.92ppm(m, 4H), 2.45-2.55ppm(m, 1H), 3.45ppm(q, J = 6.9 Hz, 2H), 3.57ppm(s, 9H), 6.39-6.44ppm(m, 1H), 7.25ppm(d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.68ppm(d, J = 8.2 Hz, 2H)
【0135】
<合成例2>
【化29】
【0136】
化合物[3]の合成
マグネチックスターラーを備えた500ml四口フラスコに、4-ヘプチル安息香酸を40.00g(0.1816mol)、塩化チオニルを160g(1.3449mol)、及びN、N−ジメチルホルムアミドを0.13g(0.0018mol)を仕込み、内温50℃にて2時間攪拌した。その後、減圧下、反応液から塩化チオニルを留去し、化合物[3]を43.23g(0.1811mol)を得た(収率:100%、性状:橙色オイル)。
1H-NMR(400MHz) in CDCl
3: 0.88ppm(t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.21-1.39ppm(m, 8H), 1.57-1.69ppm(m, 2H), 2.69ppm(t, J = 7.8 Hz, 2H), 7.30ppm(d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.01ppm(d, J = 8.5 Hz, 2H)
【0137】
化合物[4]の合成
マグネチックスターラーを備えた500ml四口フラスコに、化合物[3]を15.00g(0.0628mol)、及びトルエンを90g仕込み、氷浴下(内温5℃)、攪拌しながら、11.49g(0.0641mol)の3−アミノプロピルトリメトキシシランと6.99g(0.0690mol)のトリエチルアミンとを60gのトルエンに溶解させた溶液を、30分掛けて滴下した後、室温にて1時間攪拌した。その後、反応液中に析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ過し、ろ液を90gの酢酸エチルで希釈した。次に、このろ液を90gの純水で3回洗浄した後、有機相に硫酸ナトリウムを2.3g加え脱水処理した。続いて、これをろ過した後、減圧下、ろ液から溶媒を完全に留去し、化合物[4]を22.32g(0.0585mol)得た(収率:93%、性状:淡黄色オイル)。
1H-NMR(400MHz) in CDCl
3: 0.69-0.78ppm(m, 2H), 0.89ppm(t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.20-1.37ppm(m, 8H), 1.54-1.66ppm(m, 2H), 1.69-1.80ppm(m, 2H), 2.64ppm(t, J = 7.7 Hz, 2H), 3.45ppm(q, J = 6.8 Hz, 2H), 3.58ppm(s, 9H), 6.38-6.48ppm(m, 1H), 7.22ppm(d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.68ppm(d, J = 8.3 Hz, 2H)
【0138】
<合成例3>
【化30】
【0139】
化合物[5]の合成
マグネチックスターラーを備えた500ml四口フラスコに、化合物[3]を15.00g(0.0628mol)、及びトルエンを90g仕込み、氷浴下(内温5℃)、攪拌しながら、16.37g(0.0641mol)のN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランと6.97g(0.0689mol)のトリエチルアミンとを60gのトルエンに溶解させた溶液を、30分掛けて滴下した後、室温にて1時間攪拌した。その後、反応液中に析出したトリエチルアミン塩酸塩をろ過し、ろ液を90gの酢酸エチルで希釈した。次に、このろ液を90gの純水で3回洗浄した後、有機相に硫酸ナトリウムを2.5g加え脱水処理した。続いて、これをろ過した後、減圧下、ろ液から溶媒を完全に留去し、化合物[5]を28.39g(0.0620mol)得た(収率:99%、性状:淡黄色オイル)。
1H-NMR(400MHz) in CDCl
3: 0.64-0.71ppm(m, 2H), 0.86ppm(t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.15-1.34ppm(m, 8H), 1.45-1.54ppm(m, 2H), 1.69-1.80ppm(m, 2H), 2.49ppm(t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.53ppm(s, 9H), 3.90ppm(t, J = 8.0 Hz, 2H), 6.93ppm(d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.02ppm(d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.10-7.28ppm(m, 5H)
【0140】
「ポリシロキサンの合成」
下記合成例4〜9において略称で記載された化合物名は以下のとおりである。
TEOS:テトラエトキシシラン
C18:オクタデシルトリエトキシシラン
ACPS:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
MPMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
M8MS:3−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
HG:2−メチル−2,4−ペンタンジオール(別名:ヘキシレングリコール)
BCS:2−ブトキシエタノール
UPS:3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン
XS−18:1−(トランス−4−n−ペンチルシクロヘキシル)−4−(3−トリメトキシシリルプロパノキシ)ベンゼン
XS−91:2−メトキシ−4−[3−トリエトキシシリル)プロピル]フェニルメタクリレート
【0141】
<合成例4>
温度計、及び還流管を備え付けた200mLの四口反応フラスコ中で、HGを9.9g、BCSを3.3g、TEOSを17.6g、及び合成例1で得られた化合物[2]を2.1g混合してアルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めHGを4.8g、BCSを1.6g、水を4.9g及び触媒として蓚酸0.2gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め準備しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.3g、0.1gのHG及び0.1gのBCSの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(A)を得た。
得られたポリシロキサン溶液(A)10.0g、及びBCS20.0gを混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤(K1)を得た。
【0142】
<合成例5>
温度計、及び還流管を備え付けた200mLの四口反応フラスコ中で、HGを9.9g、BCSを3.3g、TEOSを17.6g、及びXS−18を1.8g混合してアルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めHGを5.0g、BCSを1.7g、水を4.9g及び触媒として蓚酸0.2gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め準備しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.3g、0.1gのHG及び0.1gのBCSの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(B)を得た。
得られたポリシロキサン溶液(B)10.0g、及びBCS20.0gを混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤(L1)を得た。
【0143】
<合成例6>
温度計、及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGを7.7g、BCSを2.6g、TEOSを5.8g、MPMSを7.8g、XS−91を5.35g、合成例1で得られた化合物[2]を3.3g、及びVTMS1.3gを混合してアルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めHG3.8g、BCS1.3g、水4.9g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め準備しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.1g、0.1gのHG及び0.2gのBCSの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(C)を得た。
得られたポリシロキサン溶液(C)10.0g、及びBCS20.0gを混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤中間体(S1)を得た。
【0144】
温度計、及び還流管を備え付けた200mLの四口反応フラスコ中で、HGを8.6g、BCSを2.9g、TEOSを14.4g、XS−18を0.7g、及びXS−91を7.1g混合して、アルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めHG4.3g、BCS1.4g、水4.9g及び触媒として蓚酸0.3gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め準備しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.3g、HG0.1g及びBCS0.1gの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(D)を得た。
得られたポリシロキサン溶液(D)10.0g、及びBCS20.0gを混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤中間体(U1)を得た。
【0145】
その後、液晶配向剤中間体(S1)と液晶配向剤中間体(U1)を、質量比で3:7の比率で混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤[K2]を得た。
【0146】
<合成例7>
温度計、及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGを7.7g、BCSを2.6g、TEOSを5.8g、MPMSを7.8g、XS−91を5.4g、合成例1で得られた化合物[2]を3.3g、及びVTMS1.3gを混合してアルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めHG3.8g、BCS1.3g、水4.9g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め準備しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.3g、0.1gのHG及び0.1gのBCSの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(E)を得た。
得られたポリシロキサン溶液(E)10.0g、及びBCS20.0gを混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤中間体(S2)を得た。
【0147】
その後、液晶配向剤中間体(S2)と液晶配向剤中間体(U1)を、質量比で3:7の比率で混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤[K3]を得た。
【0148】
<合成例8>
温度計、及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGを8.2g、BCSを2.7g、TEOSを5.8g、MPMSを7.8g、XS−91を5.4g、合成例1で得られた化合物[2]を2.5g、及びVTMS1.3gを混合してアルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めHG4.1g、BCS1.4g、水4.8g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め準備しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.3g、0.1gのHG及び0.1gのBCSの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(F)を得た。
得られたポリシロキサン溶液(F)10.0g、及びBCS20.0gを混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤中間体(S3)を得た。
【0149】
その後、液晶配向剤中間体(S3)と液晶配向剤中間体(U1)を、質量比で3:7の比率で混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤[K4]を得た。
【0150】
<合成例9>
温度計、及び還流管を備え付けた200mLの四つ口反応フラスコ中で、HGを9.9g、BCSを2.5g、TEOSを5.1g、MPMSを7.8g、XS−91を5.4g、XS−18を4.4g、及びVTMS1.3gを混合してアルコキシシランモノマーの溶液を調製した。この溶液に、予めHG3.8g、BCS1.3g、水4.9g及び触媒として蓚酸0.8gを混合した溶液を、室温下で30分かけて滴下し、さらに室温で30分間撹拌した。その後オイルバスを用いて加熱して30分間還流させた後、予め準備しておいたUPS含有量92質量%のメタノール溶液0.3g、0.1gのHG及び0.2gのBCSの混合液を加えた。更に30分間還流させてから放冷して、SiO
2換算濃度が12質量%のポリシロキサン溶液(G)を得た。
得られたポリシロキサン溶液(G)10.0g、及びBCS20.0gを混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤中間体(S4)を得た。
【0151】
その後、液晶配向剤中間体(S4)と液晶配向剤中間体(U1)を、質量比で3:7の比率で混合し、SiO
2換算濃度が4質量%の液晶配向剤[L2]を得た。
【0152】
・液晶セルの評価
<実施例1>
合成例4で得られた液晶配向剤[K1]を、電極パターンが形成されていないITO面にスピンコートした。80℃のホットプレートで2分間乾燥した後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。このようにして得られた2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に4μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷した。他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。液晶MLC−6608(メルク社製商品名)を、空セルに減圧注入法によって、前記液晶を注入した液晶セル1を作製した。この液晶セル1の垂直配向性を後述する方法により評価した。
【0153】
上記の液晶セル1を100℃の循環式オーブンで30分のアニールを行った。取り出した液晶セルを、偏光板をクロスニコルにした状態で、顕微鏡観察を行い、液晶の配向乱れであるドメインの状態を観察した。この時、ドメインが観測されない場合は、垂直配向性が良好であると評価し、ドメインが多く観察される場合は、垂直配向性が良好でないと評価した(結果を表1に記載)。
【0154】
<比較例1>
液晶配向剤[K1]を合成例5で得られた液晶配向剤[L1]に変更した以外は、実施例1と同様にして液晶セルを作製し、アニール後のドメインの状態を観察した(結果を表1に記載)。
【0155】
<実施例2>
合成例6で得られた液晶配向剤[K2]を、画素サイズが100×300μmで、ライン/スペースがそれぞれ5μmのITO電極パターンが形成されているITO電極基板のITO面にスピンコートした。80℃のホットプレートで2分間乾燥した後、200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。また、実施例2で得られた液晶配向剤[K2]を、電極パターンが形成されていないITO面にスピンコートし、80℃のホットプレートで2分間乾燥した後、上記基板同様に200℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。
【0156】
これらの2枚の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜面上に4μmのビーズスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷した。他方の基板の液晶配向膜面を内側にし、張り合わせた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。液晶MLC−6608(メルク社製商品名)を、空セルに減圧注入法によって、前記液晶を注入した液晶セル2を作製した。この液晶セル2の応答速度を、後述する方法により測定した。
【0157】
(応答速度の測定)
バックライト、クロスニコルの状態にした一組の偏光版、光量検出器の順で構成される測定装置において、一組の偏光版の間に上記で作製した液晶セルを配置した。このときライン/スペースが形成されているITO電極のパターンがクロスニコルに対して45°の角度になるようにした。そして、上記の液晶セルに電圧±4V、周波数1kHzの矩形波を印加し、光量検出器によって観測される輝度が飽和するまでの変化をオシロスコープにて取り込み、電圧を印加していない時の輝度を0%、±4Vの電圧を印加し、飽和した輝度の値を100%として、輝度が10%から90%まで変化するのにかかる時間を応答速度とした。
【0158】
次に、この液晶セル2に20VのDC電圧を印加した状態で、この液晶セルの外側から紫外線を5J照射した。その後、再び応答速度を測定した(結果を表2に記載)。
【0159】
一方で、液晶セル2(すなわち、20VのDC電圧を印加した状態で液晶セルの外側から紫外線を5J照射していない液晶セル)を、100℃の循環式オーブンで30分のアニールを行った。取り出した液晶セルを、偏光板をクロスニコルにした状態で、顕微鏡観察を行い、液晶の配向乱れであるドメインの状態を観察した。この時、ドメインが観測されない場合は、垂直配向性が良好であると評価し、ドメインが多く観察される場合は、垂直配向性が良好でないと評価した(結果を表2に記載)。
【0160】
<実施例3>
液晶配向剤[K2]を合成例7で得られた液晶配向剤[K3]に変更した以外は、実施例2と同様にして液晶セルを作製し、アニール後のドメインの状態を観察した。また、応答速度を測定した(結果を表2に記載)。
【0161】
<実施例4>
液晶配向剤[K2]を合成例8で得られた液晶配向剤[K4]に変更した以外は、実施例2と同様にして液晶セルを作製し、アニール後のドメインの状態を観察した。また、応答速度を測定した(結果を表2に記載)。
【0162】
<比較例2>
液晶配向剤[K2]を合成例9で得られた液晶配向剤[L2]に変更した以外は、実施例2と同様にして液晶セルを作製し、アニール後のドメインの状態を観察した。また、応答速度を測定した(結果を表2に記載)。
【0163】
【表1】
アニール後のドメイン観察結果
△:ドメインが多数観察される、
○:ドメインが1〜3個程度観察される(良好)、
◎:ドメインが全く観察されない(非常に良好)。
【0164】
表1からわかるように、実施例1及び比較例1の液晶セルはともに、アニール後に液晶の配向乱れであるドメインが全く観察されなかった。
【0165】
【表2】
応答速度の判定;◎:非常に速い(非常に良好)、○:速い(良好)、×:遅い(悪い)。
アニール後のドメイン観察結果
△:ドメインが多数観察される、
○:ドメインが1〜3個程度観察される(良好)、
◎:ドメインが全く観察されない(非常に良好)。
【0166】
表2からわかるように、実施例3、及び4の液晶セルは、紫外線照射後の応答速度が30ms程度と速く、特に実施例3においては、アニール後のドメインの状態も良好であった。これは、垂直配向性と応答速度の性能に関して、比較例2の液晶セルと同等であることを意味する。
【0167】
以上に示した通り、本発明のアルコキシシラン化合物を構成成分とする液晶配向剤を用いて作製した液晶セルは、XS-18のような従来用いられてきた類似化合物の場合と比較して、垂直配向性が同等であることが確認された。また、紫外線照射後の応答速度も同等であることが確認された。