(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6400008
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月3日
(54)【発明の名称】粘着剤層を含む積層体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20180920BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20180920BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20180920BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20180920BHJP
【FI】
B32B27/00 D
B32B27/00 M
C09J4/02
C09J11/06
C09J7/20
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-527361(P2015-527361)
(86)(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公表番号】特表2015-530942(P2015-530942A)
(43)【公表日】2015年10月29日
(86)【国際出願番号】KR2013006766
(87)【国際公開番号】WO2014027769
(87)【国際公開日】20140220
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0088676
(32)【優先日】2012年8月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・チャンオ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ジャンスン
(72)【発明者】
【氏名】パク・スンチャン
(72)【発明者】
【氏名】チョ・ヨンスン
(72)【発明者】
【氏名】キム・キュンテ
(72)【発明者】
【氏名】パク・ユンキュン
(72)【発明者】
【氏名】チュン・プギ
(72)【発明者】
【氏名】キム・ウォンホ
【審査官】
相田 元
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/112447(WO,A1)
【文献】
特開2011−093977(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/018142(WO,A1)
【文献】
特開2008−216938(JP,A)
【文献】
特開2009−155503(JP,A)
【文献】
特開2014−021675(JP,A)
【文献】
米国特許第04454179(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0018186(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0003441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C09J 4/02
C09J 7/20
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に印刷部を形成するステップ;及び
前記印刷部を埋め込むように粘着剤組成物を塗布した後で硬化させ、印刷部及び粘着部を含む第1の粘着剤複合層を形成するステップ;を含む積層体の製造方法であって、
前記第1の粘着剤複合層の上部面が平面に形成されるように前記粘着剤組成物を前記基材及び前記印刷部上に塗布され、
粘着剤組成物を塗布した後、180nm〜400nm波長の光源照射によって0.1分〜10分間硬化させ、粘着力が付与された粘着部を形成する、
ことを特徴とする積層体の製造方法。
【請求項2】
前記基材、前記第1の粘着剤複合層及び離型フィルム層が順次積層されるように前記積層体の最外層面に離型フィルム層を積層するステップをさらに含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
前記印刷部が形成されていない前記基材の他の一面上に粘着剤組成物を塗布して硬化させ、第2の粘着剤層を形成するステップ;及び
前記印刷部が形成されていない基板の他の一面側に前記第2の粘着剤層を媒介にして第2の離型フィルムを積層するステップ;をさらに含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学透明粘着剤層を含む積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近来、PDA、移動通信端末機または車両用ナビゲーションなどの電子機器が大きな市場を形成している。このような電子機器においては、入力操作部にタッチスクリーンまたはタッチパネルスイッチが設置される場合、軽量化及び破れ防止などのために、透明導電性プラスチックフィルムが使用されている。その例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材とし、その一面にインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)などの導電層を形成した透明導電性フィルムがあり、前記透明導電性フィルムは、粘着剤層によって伝導性ガラス、補強材またはデコフィルムなどに積層される。このとき、透明導電性フィルムが積層される伝導性ガラス、補強材またはデコフィルム上に印刷部が形成されている場合、前記印刷部上に粘着剤層及び透明導電性フィルムを積層すると、印刷部の高さだけの段差が発生するようになり、このような段差部位に光の屈曲現象が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一態様は、段差による光の屈曲現象を解消した粘着剤層を含む積層体を提供する。
【0004】
本発明の他の態様は、前記積層体を製造する方法を提供する。
【0005】
本発明の更に他の態様は、前記積層体を適用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様において、印刷部を粘着部に埋め込んで形成された第1の粘着剤複合層を含む積層体を提供する。
【0007】
前記第1の粘着剤複合層の一面は、前記粘着部のみを露出させる平面であってもよい。
【0008】
前記第1の粘着剤複合層の一面には、前記印刷部及び前記粘着部が共に露出してもよい。
【0009】
前記第1の粘着剤複合層の前記粘着部の露出表面は、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、ハロホルミル基、カーボネートエステル基、カルボキシレート基、カルボキシル基、エステル基、ヒドロペルオキシ基、ペルオキシ基、エーテル基、ヘミケタール基、アセタール基、オルトエステル基、オルトカーボネートエステル基、カルボン酸基、アミド基、アミン基、イミン基、アジド基、アゾ化合物基、シアネート基、ニトレート基、ニトリル基、ニトロ化合物基、ニトロソ化合物基、チオール基、スルホン酸基及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つの官能基が存在し、粘着力が付与されたものであってもよい。
【0010】
一面上に前記印刷部を形成した基材を含んでもよい。
【0011】
前記基材は、ハードコーティング層またはウィンドウガラスであってもよい。
【0012】
前記ハードコーティング層は、アクリル系、シリカ系、ウレタン系、イミド系及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つを含んでもよい。
【0013】
前記基材の他の一面、前記粘着部のみを露出させる前記粘着剤層の一面、またはこれら全ての上部に離型フィルム層が積層されてもよい。
【0014】
前記基材の他の一面上には、第2の粘着剤層及び離型フィルム層が順次積層されてもよい。
【0015】
前記離型フィルム層は、ポリエチレンテレフタレート、離型シリコンが塗布されたシリコン層及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つを含んでもよい。
【0016】
前記印刷部の厚さが約5μm〜約75μmであってもよい。
【0017】
前記第1の粘着剤複合層の厚さが約10μm〜約200μmであってもよい。
【0018】
前記粘着部は、2―エチルヘキシルアクリレート(2―EHA、ethyl hexyl acrylate)、イソボニルアクリレート(IBOA、isobonyl acrylate)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA、hydroxy ethyl acrylate)、ヒドロキシブチルアクリレート(HBA、hydroxyl butyl acrylate)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA、hydroxyl propyl acrylate)、ヘキシルメタクリレート(HMA、Hexyl methacrylate)、光開始剤、硬化剤、添加剤及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つを含んでもよい。
【0019】
前記印刷部は、ブラックインク、ホワイトインク、ピンクインク及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つを含んでもよい。
【0020】
本発明の他の態様において、基材上に印刷部を形成するステップ;及び前記印刷部を埋め込むように粘着剤組成物を塗布した後で硬化させ、印刷部及び粘着部を含む第1の粘着剤複合層を形成するステップ;を含む積層体の製造方法を提供する。
【0021】
前記積層体の製造方法において、前記第1の粘着剤複合層の上部面が平面に形成されるように前記粘着剤組成物を前記基材及び前記印刷部上に塗布してもよい。
【0022】
前記粘着剤組成物を塗布した後、約180nm〜約400nm波長の光源照射によって前記粘着剤組成物を約0.1分〜約10分間硬化させることによって、粘着力が付与された前記粘着部を形成してもよい。
【0023】
前記積層体の製造方法は、前記基材、前記第1の粘着剤複合層及び離型フィルム層が順次積層されるように前記積層体の最外層面に離型フィルム層を積層するステップをさらに含んでもよい。
【0024】
前記積層体の製造方法は、前記印刷部が形成されていない前記基材の他の一面上に粘着剤組成物を塗布して硬化させ、第2の粘着剤層を形成するステップ;及び前記印刷部が形成されていない基板の他の一面側に前記第2の粘着剤層を媒介にして第2の離型フィルムを積層するステップ;をさらに含んでもよい。
【0025】
本発明の更に他の態様において、前記積層体に対して前記離型フィルム層を剥離し、前記第1の粘着剤複合層または前記第2の粘着剤層を露出させた後、前記積層体を粘着対象物質に付着させる前記積層体の貼付方法を提供する。
【発明の効果】
【0026】
前記積層体は、段差による光の屈曲現象を解消し、その厚さを減少させることができ、単純化された工程によって製造が可能であり、積層不良の発生による問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一具現例に係る積層体の概略的な断面図である。
【
図2】本発明の他の具現例に係る積層体の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図面を参考にして、本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、多様な形態に具現してもよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0029】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素については同一の参照符号を付することにする。
【0030】
図面で多くの層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜上、一部の層及び領域の厚さを誇張して図示した。
【0031】
以下で、基材の“上部(または下部)”または基材の“上(または下)”に任意の構成が形成されることは、任意の構成が前記基材の上面(または下面)に接して形成されることを意味するだけでなく、前記基材と基材上に(または下に)形成された任意の構成との間に他の構成を含まないことに限定しない。
【0032】
図1は、本発明の一具現例に係る第1の粘着剤複合層140を含む積層体100の断面図である。
【0033】
前記第1の粘着剤複合層140は、印刷部120、及び前記印刷部120を埋め込む粘着部130を含む構造である。一具現例において、前記印刷部120を基材110上に形成した後、前記印刷部120を埋め込むように粘着剤組成物を塗布して硬化させ、前記第1の粘着剤複合層140を形成してもよい。
【0034】
前記のように形成された前記第1の粘着剤複合層140の粘着剤層の一面は、前記印刷部及び前記粘着部が共に露出した面であって、前記第1の粘着剤複合層140の粘着剤層の他の一面は前記粘着部のみを露出させる面である。前記粘着部のみが露出した一面は平面に形成されてもよい。前記第1の粘着剤複合層140は、例えば、モバイル機器、タブレットPCなどの表示装置のウィンドウガラスに透明導電性フィルムを積層するためにそれらの間に介在する粘着剤層として使用されてもよく、前記第1の粘着剤複合層140の平面に形成された一面は、透明導電性フィルムと接して積層されてもよく、このとき、印刷部120による段差を発生させないという利点がある。
【0035】
前記第1の粘着剤複合層140を表示装置のスクリーンまたはパネルなどに適用するとき、前記粘着剤組成物は、前記粘着部130が光学的に透明な粘着剤層(OCA、optically clear adhesive layer)として形成されるように公知の組成を使用してもよい。具体的に、前記粘着剤組成物は、2―エチルヘキシルアクリレート(2―EHA、ethyl hexyl acrylate)、イソボニルアクリレート(IBOA、isobonyl acrylate)、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA、hydroxy ethyl acrylate)、ヒドロキシブチルアクリレート(HBA、hydroxyl butyl acrylate)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA、hydroxyl propyl acrylate)、ヘキシルメタクリレート(HMA、Hexyl methacrylate)またはこれらの組み合わせから選ばれたモノマー、光開始剤、硬化剤、その他添加剤などを含む組成物であってもよい。前記粘着剤組成物を、例えば、UVなどの光の照射によって光硬化または熱硬化させることによって前記粘着部130を形成してもよい。熱硬化方式によって前記粘着部130を形成する場合、溶剤による前記印刷部120の損失が発生し得る一方、光硬化方式によって前記粘着部130を形成する場合、このような印刷部120の損失を最小化し得るだけでなく、前記第1の粘着剤複合層140の厚さをより容易に調節することができる。
【0036】
前記第1の粘着剤複合層140の厚さは、例えば、約10μm〜約200μmであってもよい。前記厚さの範囲内で、前記第1の粘着剤複合層140は約5μm〜約75μmの厚さに形成され得る前記印刷部120を十分に覆うことができる。このとき、前記第1の粘着剤複合層140の厚さは、前記印刷部120を埋め込める程度の厚さでなければならないので、前記第1の粘着剤複合層140の厚さは、前記印刷部120の厚さより大きい。
【0037】
前記粘着部130は、粘着力を有する粘着剤層に形成されたものであるので、前記粘着部130の表面には、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルデヒド基、ハロホルミル基、カーボネートエステル基、カルボキシレート基、カルボキシル基、エステル基、ヒドロペルオキシ基、ペルオキシ基、エーテル基、ヘミケタール基、アセタール基、オルトエステル基、オルトカーボネートエステル基、カルボン酸基、アミド基、アミン基、イミン基、アジド基、アゾ化合物基、シアネート基、ニトレート基、ニトリル基、ニトロ化合物基、ニトロソ化合物基、チオール基、スルホン酸基またはこれらの組み合わせの官能基が存在してもよい。すなわち、前記第1の粘着剤複合層140の前記粘着部130の露出表面は、官能基を有する粘着力が付与されたものであってもよい。
【0038】
このように、前記第1の粘着剤複合層140の前記粘着部130の露出表面が粘着力を有するので、追加的な粘着剤層を必要とせず、前記粘着部130を通じて粘着対象物質(図示せず)に積層体を直接粘着させてもよい。
【0039】
前記印刷部120は、ブラックインク、ホワイトインク、ピンクインクなどの多様な色の物質で形成されてもよく、公知の物質を使用して公知の方法によって形成されてもよい。例えば、印刷部120を形成するために、印刷部形成用組成物をシルクスクリーンコーティングなどの方法で前記基材110上に形成してもよい。
【0040】
前記印刷部120の厚さは、約5μm〜約75μmであってもよい。
【0041】
前記基材110は、前記印刷部120を形成しようとする対象物質になってもよく、例えば、ハードコーティング層またはウィンドウガラス層になってもよい。前記ハードコーティング層は、例えば、アクリル系、シリカ系、ウレタン系、イミド系またはこれらの組み合わせからなる物質を含んでもよく、これに限定されることはない。前記ウィンドウガラス層は、例えば、モバイル機器、タブレットPCなどの表示装置のスクリーンまたはパネルなどにカバーガラスとして適用された層であってもよく、例えば、コーニング社、旭社、NEG社の強化ガラスなどを含んでもよい。
【0042】
前記積層体100は、前記第1の粘着剤複合層140の前記粘着部130のみを露出させる一面上に離型フィルム層150が積層された構造であってもよい。前記離型フィルム層150は、前記積層体100を粘着対象物質(図示せず)に適用するときに剥離し、前記粘着部130を粘着対象物質に付着させてもよい。
【0043】
前記粘着対象物質は、例えば、モバイル機器、タブレットPCなどの表示装置のスクリーンまたはパネルなどに適用する場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを基材とし、その一面にインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide、ITO)などの導電層を形成した透明導電性フィルムであってもよい。したがって、前記粘着対象物質は、ハードコーティング処理されているか、あるいはハードコーティング処理されていないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたはインジウムスズ酸化物導電層であってもよい。
【0044】
前記離型フィルム層は、ポリエチレンテレフタレート、離型シリコンが塗布されたシリコン層またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0045】
図2は、本発明の他の具現例に係る第1の粘着剤複合層240を含む積層体200の断面図である。
【0046】
前記積層体200は、上述したように、基材210上に形成された印刷部220及び粘着部230を含む第1の粘着剤複合層240を含み、前記第1の粘着剤複合層240の上部に離型フィルム層250を形成している。
【0047】
前記積層体200が適用されるとき、前記基材210の外面側に粘着力を付与する必要があり得る。この場合、前記基材210の前記印刷部220が形成されていない他の一面上に粘着剤組成物を塗布して硬化させることによって第2の粘着剤層260を形成し、順次的に離型フィルム層250をさらに形成する。前記離型フィルム層250は、前記積層体200を粘着対象物質(図示せず)に適用するときに剥離し、前記第2の粘着剤層260を媒介にして粘着対象物質に付着させてもよい。前記粘着対象物質は、例えば、モバイル機器、タブレットPCなどの表示装置のスクリーンまたはパネルなどに適用する場合、表示モジュールになってもよい。
【0048】
前記第2の粘着剤層260は、例えば、前記粘着部230を形成する粘着剤組成物を使用して形成されてもよく、光学的に透明な粘着剤層(OCA)として公知の方法によって形成されてもよい。
【0049】
本発明の更に他の態様においては、前記積層体100、200に対して前記離型フィルム層150、250を剥離し、前記第1の粘着剤複合層140、240または前記第2の粘着剤層260を露出させた後、前記積層体100、200を粘着対象物質に付着させる
ことを含む前記積層体の貼付け
方法を提供する。
【0050】
前記積層体100、200は、印刷部と粘着部の一体化によって一つの層に形成され、このとき、前記第1の粘着剤複合層の上部面は、印刷部によって段差を発生させずに平面に形成されるので、段差を有する印刷層が形成された後、粘着剤層を積層する場合に問題となる光の屈曲現象を解消することができ、例えば、モバイル機器、タブレットPCなどの表示装置のスクリーンまたはパネルなどに適用するとき、エッジ(edge)での光の屈曲現象を発生させなくなり、表示領域(view area)を拡大させることによって視認性を改善することができる。
【0051】
また、前記積層体100、200は、印刷部と粘着部の一体化によって一つの層に形成されるので、別途の粘着剤層を印刷層の上部に積層する場合に比べて厚さを減少させることができる。工程の側面では、粘着剤層の積層時に要求される別途のラミネーション工程が省略され、工程を単純化させ得ると共に、積層不良の発生による問題を解消することができる。
【0052】
本発明の更に他の態様において、基材上に印刷部を形成するステップ;及び前記印刷部を埋め込むように粘着剤組成物を塗布した後で硬化させ、印刷部及び粘着部を含む第1の粘着剤複合層を形成するステップ;を含む積層体の製造方法を提供する。
【0053】
前記製造方法により、上述した積層体を製造することができる。
【0054】
前記粘着剤組成物の塗布時、前記第1の粘着剤複合層の上部面が平面に形成されるように前記粘着剤組成物を前記基材及び前記印刷部上に塗布する。
【0055】
前記粘着剤組成物に関する詳細な説明は、上述した通りである。
【0056】
前記粘着剤組成物をUVなどの光硬化によって硬化させることによって、粘着部を形成してもよい。前記硬化工程は、粘着力を有する粘着剤層を形成する公知の方法によって行われてもよく、特別に制限されることはない。例えば、前記粘着剤組成物を低い強度の光源を使用して長時間硬化させることによって、粘着力が付与された前記粘着部を形成してもよい。具体的に、前記粘着剤組成物は、約180nm〜約400nm波長の光源照射によって約0.1分〜約10分間硬化させてもよい。
【0057】
前記積層体の最外層の少なくとも一つの面に離型フィルム層を積層してもよい。
【0058】
一態様において、前記積層体の製造方法は、前記基材、前記第1の粘着剤複合層及び離型フィルム層が順次積層されるように前記積層体の最外層面に離型フィルム層を積層するステップをさらに含んでもよい。
【0059】
他の態様において、前記積層体の製造方法は、前記基板の印刷部が形成されていない他の一面側に離型フィルム層を積層するために、まず、前記印刷部が形成されていない前記基材の他の一面上に上述したような粘着剤組成物を塗布して硬化させ、第2の粘着剤層を形成するステップ、及び前記印刷部が形成されていない基板の他の一面側に前記第2の粘着剤層を媒介にして前記離型フィルムを積層するステップをさらに含んでもよい。
【0060】
前記粘着剤組成物をUVなどの光硬化によって硬化させることによって、第2の粘着剤層を形成してもよい。前記硬化工程は、粘着力を有する粘着剤層を形成する公知の方法によって行われてもよく、特別に制限されることはない。例えば、前記粘着剤組成物を低い強度の光源を使用して長時間硬化させることによって、粘着力が付与された前記粘着部を形成してもよい。具体的に、前記粘着剤組成物は、約180nm〜約400nm波長の光源照射によって約0.1分ないし約10分間硬化させてもよい。
【0061】
以下、本発明の実施例及び比較例を記載する。下記の実施例は、本発明の一実施例に過ぎなく、本発明が下記の実施例に限定されることはない。
【0064】
2―EHA(Ethyl Hexyl acylate)、IBOA(ISOBONYL ACRYLATE)、HEA(Hydroxy Ethyl Acrylate)、光開始剤、硬化剤及びその他添加剤を含む粘着剤組成物を印刷されたPETフィルムの上に塗布し、35μm厚の印刷部を十分に覆いながら上部面が平面になるように100μm厚の粘着部を形成した後、粘着剤組成物をUV類型の硬化オーブンに通過させ、第1の粘着剤複合層が形成された積層体を製造した。
【0066】
PETフィルムの上に35μm厚の印刷部を形成して準備した。別途に、2―EHA(Ethyl Hexyl acylate)、IBOA(ISOBONYL ACRYLATE)、HEA(Hydroxy Ethyl Acrylate)、光開始剤、硬化剤及びその他添加剤を含む粘着剤組成物のUV硬化によって形成された100μm厚の粘着剤層のシートを製造した。前記印刷部が形成されたPETフィルム上に前記粘着剤層のシートを積層し、積層体を製造した。
【0068】
実施例1及び比較例1で製作された積層体に対して、下記の方法でエッジ(Edge)での光の歪曲度を測定した。
【0069】
測定は、写真撮影を通じて進められ、エッジ部で光が下側に折れる現象の発生有無によって光の歪曲(Uneveness)の程度を判断した。
【0070】
図3は、実施例1で製作された積層体に対する写真であって、斜線方向の光が下側に折れる現象が発生しないことを確認できるので、光の歪曲現象が現れないことを確認することができる。その一方、
図4は、比較例1で製作された積層体に対する写真であって、斜線方向の光がエッジ部で屈曲面に沿って下側に折れる現象が発生しているので、光の歪曲現象が現れたことを確認することができる。
【符号の説明】
【0071】
100、200:積層体、110、210:基材、120、220:印刷部、130、230:粘着部、140、240:第1の粘着剤複合層、150、250:離型フィルム層、260:第2の粘着剤層