特許第6401283号(P6401283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6401283EUV光源内でターゲット材料の液滴を制御するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6401283
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】EUV光源内でターゲット材料の液滴を制御するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05G 2/00 20060101AFI20181001BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H05G2/00 K
   G03F7/20 503
   G03F7/20 521
【請求項の数】17
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-545748(P2016-545748)
(86)(22)【出願日】2014年9月9日
(65)【公表番号】特表2016-538703(P2016-538703A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】US2014054841
(87)【国際公開番号】WO2015047725
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2017年9月4日
(31)【優先権主張番号】14/137,030
(32)【優先日】2013年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/037,817
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/174,280
(32)【優先日】2014年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】セネケリミャン,バハン
(72)【発明者】
【氏名】ウェーレンス,マルティン
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−523666(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/050212(WO,A1)
【文献】 特開2006−128157(JP,A)
【文献】 特開2011−003887(JP,A)
【文献】 特開2007−109451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 2/00
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を推定速度で放出する液滴発生器を有する極端紫外線レーザ生成プラズマ(EUV LPP)光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するためのシステムであって、
直交偏光を有し、前記液滴発生器と前記照射部位の間にそれぞれ位置する、第1のレーザカーテン及び第2のレーザカーテンを生成する1つのラインレーザを備える液滴照明モジュールと、
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを検出する第1のセンサを備える液滴検出モジュールと、
前記第1のセンサによって検出された前記フラッシュ、前記第1のカーテンから前記照射部位までの既知の距離、及び前記液滴の前記推定速度に基づいて、前記液滴が前記照射部位に到達する時に前記液滴を照射するように、前記ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、前記ソースレーザに前記決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成する第1のコントローラと、
前記液滴が前記第2のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを検出する第2のセンサと、
前記第2のセンサによって検出された前記フラッシュに基づいて、前記液滴が前記照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、前記後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給する第2のコントローラと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記システムは、
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時の前記第1のレーザカーテンからのフラッシュを検出する第3のセンサと、
前記第3のセンサによって検出された前記フラッシュに基づいて、前記液滴が前記照射部位に至る前記所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器の向きの調整であって、後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給する第3のコントローラと、
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記液滴照明モジュールは、前記ラインレーザと前記液滴の所望の軌道との間にビューポートをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記液滴照明モジュールは、前記ビューポートを保護するためのポート保護アパーチャをさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ポート保護アパーチャは、複数の分離した金属素子を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記液滴照明モジュールは、前記ラインレーザからのビームを互いに直交する偏光を有する2つのビームに分割する偏光ビームスプリッタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
液滴を推定速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、
互いに直交する偏光を有し、前記液滴発生器と前記照射部位の間に位置する、第1のレーザカーテン及び第2のレーザカーテンを1つのレーザ源から生成することと、
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第1のセンサによって検出することと、
前記第1のセンサによって検出された前記フラッシュから、前記液滴が前記照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、前記後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、
前記液滴が前記第2のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第2のセンサによって検出することと、
前記第2のセンサによって検出された前記フラッシュ、前記第のカーテンから前記照射部位までの既知の距離、及び前記液滴の前記推定速度に基づいて、前記液滴が前記照射部位に到達する時に前記液滴を照射するように、前記ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、前記ソースレーザに前記決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、
を備える、方法。
【請求項8】
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第3のセンサによって検出することと、
前記第3のセンサによって検出された前記フラッシュから、前記液滴が前記照射部位に至る前記所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器が後続の液滴を放出する方向調整であって、前記後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、
をさらに備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
液滴を既知の速度で放出する液滴発生器を有する極端紫外線レーザ生成プラズマ(EUV LPP)光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するためのシステムであって、
前記液滴発生器と前記照射部位の間に第1のレーザカーテンを生成する第1のラインレーザを備える液滴照明モジュールと、
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを検出する第1のセンサを備える液滴検出モジュールと、
前記第1のセンサによって検出された前記フラッシュ、前記第1のカーテンから前記照射部位までの既知の距離、及び前記液滴の前記既知の速度に基づいて、前記液滴が前記照射部位に到達する時に前記液滴を照射するように、前記ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、前記ソースレーザに前記決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成する第1のコントローラと、
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時の前記フラッシュを検出する第2のセンサと、
前記第2のセンサによって検出された前記フラッシュに基づいて、前記液滴が前記照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、前記後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給する第2のコントローラと、
を備え、
前記液滴照明モジュールは、前記液滴発生器と前記照射部位の間に第2のレーザカーテンを生成する第2のラインレーザをさらに備え、
前記システムは、
前記液滴が前記第2のレーザカーテンを通過する時の前記第2のレーザカーテンからのフラッシュを検出する第3のセンサと、
前記第3のセンサによって検出された前記フラッシュに基づいて、前記液滴が前記照射部位に至る前記所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器の向きの調整であって、後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給する第3のコントローラと、
をさらに備える、
システム。
【請求項10】
前記液滴照明モジュールは、前記第1のラインレーザと前記液滴の所望の軌道との間にビューポートをさらに備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
液滴を既知の速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、
前記液滴発生器と前記照射部位の間に位置する第1のレーザカーテンを生成することと、
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第1のセンサによって検出することと、
前記第1のセンサによって検出された前記フラッシュから、前記液滴が前記照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、前記後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、
前記液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時の前記フラッシュを第2のセンサによって検出することと、
前記第2のセンサによって検出された前記フラッシュ、前記第1のカーテンから前記照射部位までの既知の距離、及び前記液滴の前記既知の速度に基づいて、前記液滴が前記照射部位に到達する時に前記液滴を照射するように、前記ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、前記ソースレーザに前記決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、
を備え、
前記液滴発生器と前記照射部位の間に位置する第2のレーザカーテンを生成することと、
前記液滴が前記第2のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第3のセンサによって検出することと、
前記第3のセンサによって検出された前記フラッシュから、前記液滴が前記照射部位に至る前記所望の軌道上にないことを判断し、前記液滴発生器が後続の液滴を放出する方向調整であって、前記後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、
をさらに備える、
方法。
【請求項12】
液滴を所定の速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するためのシステムであって、
前記液滴発生器と前記照射部位の間に第1のレーザカーテンを生成するための第1のラインレーザを備える液滴照明モジュールと、
液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時の前記第1のレーザカーテンからのフラッシュを検出するための第1のセンサを備える液滴検出モジュールと、
前記第1のレーザカーテンからの前記フラッシュ、前記第のカーテンから前記照射部位までの既知の距離、及び前記液滴の前記速度に基づいて、前記液滴が前記照射部位に到達する時に前記液滴を照射するように、前記ソースレーザがいつパルスを発射すべきかを決定し、前記ソースレーザにそのような時に発射するように指示するタイミング信号を生成するための第1のコントローラと、
を備え、
前記液滴照明モジュールは、前記液滴発生器と前記照射部位の間に第2のレーザカーテンを生成するための第2のラインレーザをさらに備え、
前記システムは、
前記液滴が前記第2のレーザカーテンを通過する時の前記第2のレーザカーテンからのフラッシュを検出するための第2のセンサと、
前記第2のレーザカーテンからの前記フラッシュから、前記液滴が前記照射部位に至る所望の軌道上にあるかどうかを判断し、前記液滴が前記所望の軌道上にあるように必要に応じて前記液滴発生器の位置を調整するための第2のコントローラと、
をさらに備える、
システム。
【請求項13】
前記液滴照明モジュールは、前記第1のラインレーザと前記液滴の前記所望の軌道との間にビューポートをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記液滴照明モジュールは、前記ビューポートを保護するためのポート保護アパーチャをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ポート保護アパーチャは、複数の分離した金属素子を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記液滴検出モジュールは、前記第1のレーザカーテンからの前記フラッシュの光を集光し、前記光を前記第1のセンサにフォーカスするための集光レンズをさらに備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
液滴を所定の速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、
前記液滴発生器と前記照射部位の間に、第1のレーザカーテンを生成することと、
液滴が前記第1のレーザカーテンを通過する時の前記第1のレーザカーテンからのフラッシュを検出することと、
前記第1のレーザカーテンからの前記フラッシュ、前記第1のカーテンから前記照射部位までの距離、及び前記液滴の前記速度に基づいて、前記液滴が前記照射部位に到達する時に前記液滴を照射するように、前記ソースレーザがいつパルスを発射すべきかを決定し、前記ソースレーザにそのような時に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、
を備え、
前記液滴発生器と前記照射部位の間に第2のレーザカーテンを生成することと、
前記液滴が前記第2のレーザカーテンを通過する時の前記第2のレーザカーテンからのフラッシュを検出することと、
前記第2のレーザカーテンからの前記フラッシュから、前記液滴が前記照射部位に至る所望の軌道上にあるかどうかを判断し、前記液滴が前記所望の軌道上にあるように必要に応じて前記液滴発生器の位置を調整することと、
をさらに備える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明は、概してレーザ生成プラズマ極端紫外光源に関する。より具体的には、本発明は、LPP EUV光源内でターゲット材料の液滴を照射するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[002] 半導体業界では、更に小型の集積回路寸法のプリントを可能とするリソグラフィ技術の開発が続いている。極端紫外(「EUV」)光(軟x線と称されることもある)は、一般に、10nmから120nmの間の波長を有する電磁放射として定義される。EUVリソグラフィは、現時点では一般に、10〜14nmの範囲内の波長のEUV光を含むと考えられ、シリコンウェーハ等の基板に極めて小さいフィーチャ、例えば32nm以下のフィーチャを生成するために用いられる。これらのシステムは、信頼性が極めて高くなければならず、費用対効果の大きいスループット及び適度なプロセス許容度を与えなければならない。
【0003】
[003] EUV光を生成するための方法は、必ずしも限定されるわけではないが、EUV範囲に1つ以上の放出線を有する1つ以上の元素、例えばキセノン、リチウム、スズ、インジウム、アンチモン、テルル、アルミニウム等を有する材料をプラズマ状態に変換することを含む。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれることが多いそのような方法の1つにおいて、必要なプラズマは、所望の線放出元素を有する材料の液滴、流れ、又はクラスタ等のターゲット材料に、照射部位でレーザパルスを照射することによって生成することができる。ターゲット材料は、純粋な形態、又は、例えば所望の温度において液体である合金等の合金の形態のスペクトル線放出元素を含むことができ、又は、液体等の別の材料と混合するかもしくは分散させることができる。
【0004】
[004] 液滴発生器は、ターゲット材料を加熱し、加熱したターゲット材料をレーザパルスと交差するように照射部位に至る軌道に沿って進む液滴として押し出す。理想的には、照射部位は反射コレクタの1つの焦点にある。レーザパルスが照射部位で液滴と衝突すると、液滴は気化し、反射コレクタによって、結果として生じるEUV光出力がコレクタの別の焦点で最大になる。
【0005】
[005] 従来のEUVシステムでは、COレーザ源等のレーザ光源は、光ビームを照射部位に誘導するために常時動作しているが、出力カプラがなく、光源はゲインを増大させるが、レーザを放出しない。ターゲット材料の液滴が照射部位に到達すると、液滴によって液滴と光源の間にキャビティが生じ、キャビティ内でレーザ放出が起こる。次に、レーザ放出は液滴を加熱し、プラズマ及びEUV光出力を生成する。このような「NoMO」システム(主発振器がないためにそう呼ばれる)では、システムは液滴が照射部位にあるときだけレーザを放出するため、液滴が照射部位に到達するタイミングを調整する必要がない。
【0006】
[006] しかし、このようなシステムでは、液滴が確実に照射部位に到達するように、液滴の軌道を追跡する必要がある。液滴発生器の産出物が不適切な経路上にある場合には、液滴が照射部位を通過しない可能性があり、その結果レーザ放出が全く行われず、EUVエネルギの生成効率が低下してしまう。さらに、先行する液滴から生成されたプラズマが、後続液滴の軌道を妨げ、照射部位から液滴を押し出す可能性がある。
【0007】
[007] 従来技術のNoMoシステムには、このような液滴の追跡を、低出力レーザをレンズに通して「カーテン」、すなわち、液滴が照射部位へ向かう途中で通過するレーザ光の薄い平面を生成することによって実現するものがある。液滴がこの平面を通過する時、液滴からこの平面のレーザ光が反射することによってフラッシュが生成される。フラッシュの場所を検出して、液滴の軌道を確認し、フィードバック信号をステアリング機構に送信して、液滴を照射部位に搬送する軌道上に保持するため必要に応じて液滴発生器の産出方向を修正することができる。
【0008】
[008] 他の従来技術のNoMoシステムには、液滴発生器と照射部位との間に、一方が他方よりも照射部位に近い2つのカーテンを用いることによってこの点を改善するものがある。各カーテンは、典型的には別個のレーザによって生成される。例えば、液滴が第1のカーテンを通過した時に生成されるフラッシュを、「粗」ステアリング機構を制御するために使用し、第2のカーテンからのフラッシュを「微」ステアリング機構を制御するために使用して、液滴軌道の補正を1つのカーテンのみを用いる時よりもうまく制御することができる。
【0009】
[009] ごく最近では、NoMOシステムは、一般に、主発振器及び電力増幅器が、液滴が照射部位にあるか否かに関係なく要求に応じて発射可能なソースレーザを形成する「MOPA」システム、及び液滴が2つ以上の光パルスによって連続的に照射される「MOPA PP」(「プレパルスを有するMOPA」)システムに取って代わられている。MOPA PPシステムでは、「プレパルス」を最初に使用して液滴を加熱、気化又はイオン化して弱いプラズマを生成し、これに続いて、液滴材料のほとんど又はすべてを強力なプラズマに変換してEUV光放出を行う「メインパルス」を使用する。
【0010】
[0010] MOPA及びMOPA PPシステムの1つの利点は、NoMOシステムと対照的に、ソースレーザが常時動作している必要がないことである。しかし、そのようなシステムのソースレーザは常時動作しているわけではないため、液滴及びメインレーザパルスを同時に、プラズマ開始のために所望の照射部位へ送出するように適切な時間にレーザを発射することには、従来のシステムを超えたタイミング及び制御に関するさらなる課題がある。良好なプラズマを得るため、従って良好なEUV光を得るために、メインレーザパルスを液滴が通過する照射部位にフォーカスさせる必要があると共に、液滴がこの照射部位を通過する時にメインレーザパルスがこれと交差するようにレーザの発射タイミングを調整することも必要である。また、MOPA PPシステムでは、プレパルスは、非常に正確かつ照射部位とわずかに異なる場所で液滴を標的にしなければならない。
【0011】
[0011] 必要とされるのは、ソースレーザを発射して照射部位で液滴が照射されるように、液滴の軌道、及び液滴が照射部位に到達するタイミングの両方を制御する改善された方法である。
【発明の概要】
【0012】
[0012] 本明細書には、EUV光源内でターゲット材料の液滴の軌道及びタイミングを制御するための方法及び装置が開示されている。
【0013】
[0013] 一実施形態において、液滴を所定の速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するためのシステムであって、液滴発生器と照射部位の間に第1のレーザカーテンを生成するための第1のラインレーザを備える液滴照明モジュールと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時の第1のレーザカーテンからのフラッシュを検出するための第1のセンサを備える液滴検出モジュールと、第1のレーザカーテンからのフラッシュ、第2のカーテンから照射部位までの距離、及び液滴の速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがいつパルスを発射すべきかを決定し、ソースレーザにそのような時に発射するように指示するタイミング信号を生成するための第1のコントローラと、を備えるシステムが開示される。
【0014】
[0014] 別の実施形態は、液滴を所定の速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、液滴発生器と照射部位の間に、第1のレーザカーテンを生成することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時の第1のレーザカーテンからのフラッシュを検出することと、第1のレーザカーテンからのフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの距離、及び液滴の速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがいつパルスを発射すべきかを決定し、ソースレーザにそのような時に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、を備える方法を開示する。
【0015】
[0015] さらに別の実施形態は、ターゲット材料の液滴を連続的に生成するための液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射し、液滴を照射してプラズマを生成するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、液滴発生器と照射部位の間に、第1のレーザカーテンを生成することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時の第1のレーザカーテンからのフラッシュを検出することと、第1のレーザカーテンからのフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの距離、及び液滴の速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがいつパルスを発射すべきかを決定し、ソースレーザにそのような時に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、を備える方法を計算装置に実行させるための命令が具現化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を開示する。
【0016】
[0016] 一実施形態において、液滴を既知の速度で放出する液滴発生器を有する極端紫外レーザ生成プラズマ(EUV LPP)光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するためのシステムであって、液滴発生器と照射部位の間に第1のレーザカーテンを生成するように構成された第1のラインレーザを備える液滴照明モジュールと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを検出するように構成された第1のセンサを備える液滴検出モジュールと、第1のセンサによって検出されたフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの既知の距離、及び液滴の既知の速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、ソースレーザに決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成するように構成された第1のコントローラと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを検出するように構成された第2のセンサと、第2のセンサによって検出されたフラッシュに基づいて、液滴が照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断するように構成され、液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、後続の液滴を所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給する第2のコントローラと、を備えるシステムが開示される。
【0017】
[0017] 別の実施形態は、液滴を既知の速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、液滴発生器と照射部位の間に位置する第1のレーザカーテンを生成することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第1のセンサによって検出することと、第1のセンサによって検出されたフラッシュから、液滴が照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、後続の液滴を前記所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第2のセンサによって検出することと、第2のセンサによって検出されたフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの既知の距離、及び液滴の既知の速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、ソースレーザに決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、を備える方法を開示する。
【0018】
[0018] さらに別の実施形態は、液滴を既知の速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、液滴発生器と照射部位の間に位置する第1のレーザカーテンを生成することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第1のセンサによって検出することと、第1のセンサによって検出されたフラッシュから、液滴が照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、後続の液滴を所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第2のセンサによって検出することと、第2のセンサによって検出されたフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの既知の距離、及び液滴の既知の速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、ソースレーザに決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、を備える方法を計算装置に実行させるための命令が具現化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を開示する。
【0019】
[0019] 一実施形態において、液滴を推定速度で放出する液滴発生器を有する極端紫外レーザ生成プラズマ(EUV LPP)光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するためのシステムであって、直交偏光を有し、液滴発生器と照射部位の間にそれぞれ位置する、第1のレーザカーテン及び第2のレーザカーテンを生成するように構成された1つのラインレーザを備える液滴照明モジュールと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを検出するように構成された第1のセンサを備える液滴検出モジュールと、第1のセンサによって検出されたフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの既知の距離、及び液滴の推定速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、ソースレーザに決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成するように構成された第1のコントローラと、液滴が第2のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを検出するように構成された第2のセンサと、第2のセンサによって検出されたフラッシュに基づいて、液滴が照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断するように構成され、液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、後続の液滴を所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給する第2のコントローラと、を備えるシステムが開示される。
【0020】
[0020] 別の実施形態は、液滴を推定速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、互いに直交する偏光を有し、液滴発生器と照射部位の間に位置する、第1のレーザカーテン及び第2のレーザカーテンを1つのレーザ源から生成することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第1のセンサによって検出することと、第1のセンサによって検出されたフラッシュから、液滴が照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、後続の液滴を所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、液滴が第2のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第2のセンサによって検出することと、第2のセンサによって検出されたフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの既知の距離、及び液滴の推定速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、ソースレーザに決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、を備える方法を開示する。
【0021】
[0021] さらに別の実施形態は、液滴を推定速度で放出する液滴発生器を有するEUV LPP光源内で、照射部位にパルスを発射するソースレーザの発射タイミングを調整するための方法であって、互いに直交する偏光を有し、液滴発生器と照射部位の間に位置する、第1のレーザカーテン及び第2のレーザカーテンを1つのレーザ源から生成することと、液滴が第1のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第1のセンサによって検出することと、第1のセンサによって検出されたフラッシュから、液滴が照射部位に至る所望の軌道上にないことを判断し、液滴発生器が後続の液滴を放出する方向の調整であって、後続の液滴を所望の軌道上に配置する調整を示す信号を供給することと、液滴が第2のレーザカーテンを通過する時のフラッシュを第2のセンサによって検出することと、第2のセンサによって検出されたフラッシュ、第1のカーテンから照射部位までの既知の距離、及び液滴の推定速度に基づいて、液滴が照射部位に到達する時に液滴を照射するように、ソースレーザがパルスを発射すべき時間を決定し、ソースレーザに決定された時間に発射するように指示するタイミング信号を生成することと、を備える方法を計算装置に実行させるための命令が具現化された非一時的コンピュータ可読記憶媒体を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】[0022] LPP EUVシステムの典型的な従来技術の実施形態の構成要素の一部を示す図である。
図2】[0023] LPP EUVシステムの別の従来技術の実施形態の構成要素の一部を示す簡略図である。
図3】[0024] LPP EUVシステムの別の従来技術の実施形態の構成要素の一部を示す別の簡略図である。
図4A】[0025] 一実施形態による、液滴照明モジュール及び液滴検出モジュールを含むLPP EUVシステムの構成要素の一部を示す簡略図である。
図4B】[0026] 一実施形態による、液滴照明モジュール及び液滴検出モジュールを含む別のLPP EUVシステムの構成要素の一部を示す簡略図である。
図5A】[0027] 一実施形態による、LPP EUVシステムにおいてソースレーザのパルスのタイミングを調整する方法のフローチャートである。
図5B】[0028] 別の実施形態による、LPP EUVシステムにおいてソースレーザのパルスのタイミングを調整する別の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0029] 本出願は、レーザ生成プラズマ(LPP)極端紫外(EUV)光システム内で液滴の軌道及びタイミングを制御するための改良された方法及び装置を説明する。
【0024】
[0030] 一実施形態において、液滴照明モジュールは、ターゲット材料の液滴を検出するための2つのレーザカーテンを生成する。第1のカーテンは、従来技術と同様に、液滴のステアリングを可能にするために、照射部位に至る所望の軌道に対する液滴の位置を検出するために使用される。第2のカーテンは、パルスが各液滴と同時に照射部位に到達するように、ソースレーザがいつパルスを生成すべきかを決定するために使用される。液滴検出モジュールは、液滴の第2のカーテンの通過を検出し、ソースレーザが照射部位で各液滴と衝突するパルスをいつ発射すべきかを決定する。
【0025】
[0031] 一実施形態において、液滴照明モジュールは、ターゲット材料の液滴を検出するための2つのレーザカーテンを生成する。両カーテンは、液滴のステアリングを可能にするために、照射部位に至る所望の軌道に対する液滴の位置を検出するために使用される。両カーテンが動作している場合、従来技術のNoMoシステムと同様、一方を「粗」ステアリングに使用でき、もう一方を「微」ステアリングに使用できる。しかし、ある実施形態では、カーテンのどちらか一方を独立にステアリングに使用できるため、カーテンの一方が何らかの理由で機能しない場合でも、液滴のステアリングを継続して行うことができる。
【0026】
[0032] 1つのカーテンはまた、パルスが各液滴と同時に照射部位に到達するように、ソースレーザがいつパルスを生成すべきかを決定するために使用される。液滴検出モジュールは、液滴の1つのカーテンの通過を検出し、ソースレーザが照射部位で各液滴と衝突するパルスをいつ発射すべきかを決定する。
【0027】
[0033] 2つのカーテンは、1つのレーザによって生成される。これを実現するために、レーザビームは、互いに直交偏光した2つの直線偏光成分に分割される。そのような成分の一方は、第1のカーテンの生成に使用され、もう一方の成分は、もう一方のカーテンの生成に使用される。各カーテンに関連付けられたセンサは、センサが所望のカーテンのみからの光を検出できるようにし、かつプラズマからの光を抑制するフィルタを含む。
【0028】
[0034] MOPA PPソースレーザの場合、プレパルスとメインパルスの間の時間間隔が、MOPAソースレーザの連続パルス間の時間間隔よりもはるかに短いため、プレパルスとメインパルスの組合せは、以後1つのパルスと見なされる。さらに、プレパルスの直後にメインパルスが続くので、適切な時に、両方が液滴に衝突する。一実施形態において、メインパルスは照射部位で液滴に衝突し、プレパルスは液滴軌道における照射部位の少し前の場所で衝突する。この方法において、どのようにして液滴にプレパルスとメインパルスの両方を適切に照射するかは、当業者には知られている。
【0029】
[0035] 図1は、従来技術で知られている典型的なLPP EUVシステム100の構成要素の一部の断面を示す。COレーザ等のソースレーザ101が、ビームデリバリシステム103及びフォーカス光学系104を通過するレーザビーム(すなわち、一連のパルス)102を生成する。フォーカス光学系104は、例えば、1つ以上のレンズ又はミラーから構成されていてもよく、プラズマチャンバ110内の照射部位105に公称焦点を有する。液滴発生器106は、レーザビーム102が衝突した時にEUV光を放出するプラズマを生成する適切なターゲット材料の液滴107を生成する。ある実施形態では、フォーカス光学系104上に全て収束するビームを有する複数のソースレーザ101があってもよい。
【0030】
[0036] 照射部位105は、好ましくはコレクタ108の焦点に位置する。コレクタ108は、反射内面を有し、プラズマからのEUV光をEUV焦点109、すなわち、コレクタ108の第2の焦点にフォーカスする。例えば、コレクタ108の形状は、楕円の一部を含んでいてもよい。EUV焦点109は、典型的には、EUV光に露光されることになっているウェーハのポッドを含むスキャナ(図示せず)内にあり、現在照射中のウェーハを含むポッドの一部は、EUV焦点109に位置する。
【0031】
[0037] 参考のために、3つの直交軸を使用して図1に示すプラズマチャンバ110内の空間を表現する。液滴発生器106から照射部位105までの垂直軸はx軸で定義され、液滴107は、その軌跡が直線でないこともあるが、x方向に液滴発生器106から照射部位105へ概ね下方に進む。レーザビーム102のフォーカス光学系104から照射部位105への1つの水平方向における経路は、z軸で定義され、y軸は、x軸及びz軸に直交する水平方向と定義される。
【0032】
[0038] 上記のように、ある従来技術の実施形態では、閉ループフィードバック制御システムを使用して、液滴107が照射部位105に到達するようにその軌跡を監視してもよい。このようなフィードバックシステムはまた、典型的には、例えば、レーザからのビームを球面レンズと円柱レンズの組合せを通過させることによって、液滴発生器106と照射部位105との間に平面カーテンを生成するレーザ(例えば、ソースレーザ101と異なるラインレーザ又はファイバレーザ)を備える。当業者は、平面カーテンがどのように生成されるのか、また、このようなカーテンは平面として説明されているが、小さくとも有限厚を有することが分かるだろう。
【0033】
[0039] 図2は、図1に示すような従来技術のLPP EUVシステムの構成要素の一部を示す簡略図であり、上記のようにレーザ(図示せず)によって生成できる平面カーテン202が追加されている。カーテン202は、主にy−z平面、すなわち、y軸とz軸とにより規定される平面に延び(しかし、ここでもまたx方向の厚さもある)、液滴発生器106と照射部位105との間に位置する。
【0034】
[0040] 液滴107がカーテン202を通過する時に、液滴107からのカーテン202のレーザ光の反射によって、センサ(一部の従来技術の実施形態では、狭視野、すなわちNFカメラと呼ばれる。図示せず)によって検出できるフラッシュが生成され、y軸及び/又はz軸に沿った液滴の位置が検出できる。液滴107が、図では液滴発生器106から照射部位105までの直線として示される照射部位105に至る軌道上にある場合、処理は不要である。
【0035】
[0041] しかし、液滴107が、所望の軌道からy方向或いはz方向のいずれかに変位している場合、論理回路は、照射部位105に到達するために液滴が進むべき方向を決定し、1つ以上のアクチュエータに適切な信号を送信して、軌道のずれを補正するために液滴発生器106の排出口を異なる方向へ再調整して、後続の液滴が照射部位105に到達するようにする。このような液滴軌道のフィードバックは、液滴ごとに行うことができ、機器の機械的調整機能の範囲内で軌道の補正を実行できる。このようなフィードバック及び補正の方法は、当業者には知られている。
【0036】
[0042] 上記のように、2つのカーテンを備えることが望ましい場合もある。従来技術では、これらのカーテンは別々のレーザによって生成されることが知られている。図3は、図1に示すような従来技術のLPP EUVシステムの構成要素の一部を再び示す別の簡略図であるが、ここでは、2つの平面カーテン、すなわち、第1のカーテン302及び第2のカーテン304の両方を液滴発生器106と照射部位105の間に備える。カーテン302及び304は、それぞれ図2のカーテン202と同様に機能し、各カーテンを通過する時に液滴107から反射されるレーザ光のフラッシュを生成する。典型的には、2つのセンサは、各カーテンからのフラッシュを検出し、フィードバック信号を供給するために使用される。
【0037】
[0043] 上記のように、2つのカーテン302及び304は、典型的には照射部位105から異なる距離のところにある。例えば、一実施形態において、カーテン302は、照射部位105から15mmのところにあって、カーテン304は、照射部位105からわずか10mmのところにあってもよい。別の実施形態として、例えば、カーテン302は、カーテン304よりも照射部位105から離れていてもよい。この場合も、両カーテンは液滴発生器106と照射部位105の間にある。2つのカーテンを用いることによって、液滴107の軌道判定をより上手く行うことができ、したがって、適切な軌道補正をより上手く制御することができる。ある実施形態では、カーテン302は、照射部位105からより離れていることから、例えば、ステッパモータによる「粗」ステアリングを制御するために使用されてもよく、カーテン304は、例えば、圧電変換器(「PZT」)アクチュエータによる「微」ステアリングを制御するために使用されてもよい。
【0038】
[0044] 当技術分野で知られているように、レーザカーテンは有限厚を有しているが、カーテンの厚さをできるだけ薄くすることが好ましい。なぜなら、カーテンが薄ければ薄いほど、単位厚さ当たりの光強度が高く(特定のレーザ光源を所与とする)、したがって、液滴107からの反射が良好で液滴の位置をより正確に測定できるからである。このため、通常約100ミクロン(当技術分野で知られている、測定されたFWHM、すなわち「半値全幅」)のカーテンが使用され、カーテンをこれよりも薄くすることは一般的に現実的ではない。液滴は、一般的に直径が約30ミクロン程度とかなり小さいため、液滴全体がカーテンの厚さ内に容易に収まる。液滴から反射されるレーザ光の「フラッシュ」は、まず液滴がカーテンに衝突する時に増加し、液滴がカーテンの厚さ内に完全に含まれる時に最大値に到達し、そして液滴がカーテンから出る時に減少する関数(理論上はガウス)である。
【0039】
[0045] また当技術分野で知られているように、カーテンがプラズマチャンバ110全体に広がる必要はなく、むしろ所望の軌道からのずれが生じ得る領域で液滴107を検出する程度に広がってさえいれば十分である。2つのカーテンを使用する場合、一方のカーテンは、例えば、y方向におそらく10mmを超える幅で、他方のカーテンは、z方向に30mm程度の幅であれば、液滴はその方向における位置に関係なく検出できる。
【0040】
[0046] ここでもまた、当業者は、このようなシステムをどのように使用して、液滴107が確実に照射部位105に到達するようにその軌道を補正するかが分かるだろう。上記のように、NoMOシステムの場合、必要なのはこれだけである。なぜなら、ここでもまた、液滴107自体がキャビティの一部を形成し、常時動作しているCoレーザ源等の光源と連動して、ターゲット材料にレーザ放出し、これを気化するからである。
【0041】
[0047] しかし、2つの別々のレーザを使用してカーテン302及び304を生成することはあまり効率的ではない。このような実施態様では、レーザは、典型的には異なる波長を有するため、各カーテン用のセンサを、所望のカーテンを通過する液滴からのフラッシュをより上手く検出し、他方のカーテンを通過する液滴を検出しないように各カーテンの波長により応答性が高くなるように選択されてもよい。また、照射部位105からのプラズマフラッシュは、すべての光の波長を含んでいるため、誤信号の可能性が増大する。最終的に、2つのレーザが必要であることによって、例えば、容器内により多くのビューポートが必要になる等、複雑性が増す。
【0042】
[0048] ある例では、カーテンを生成するために使用されるレーザは、優れた液滴検出を可能にする、それぞれ最大50ワットの出力を有してもいてもよい。実際、2つのカーテンを生成するためには、この出力で十分である。1つの単純なビームスプリッタは、このような場合、両カーテンが同じ波長及び偏光を有するため、上で述べた検出の問題を深刻化させるという理由で適切ではない。
【0043】
[0049] 一実施形態において、この問題は、1つのレーザからのレーザビームを偏光ビームスプリッタ(PBS)を用いて分割することによって解決され、その結果、互いに直交する(すなわち、90度オフセットされた)2つの直線偏光ビームが得られる。一方のビームは、第1のカーテン302を生成し、もう一方のビームは、もう一方のカーテン304を生成する。偏光フィルタをセンサに関連させて用いることにより、各センサが、適切なカーテンからのフラッシュを最大強度で受光する一方、もう一方のカーテンからのフラッシュ及び照射部位105におけるプラズマからのフラッシュが大幅に抑制又は除去されるようにする。
【0044】
[0050] このように、単一のレーザ、すなわち、単一の波長を用いて、高出力の2つのカーテンを生成し、検出速度及び信号忠実度を高める一方、いくつかの光学部品、すなわち、PBS及び偏光フィルタを追加することにより、ほんのわずかな費用でシステムの複雑さを軽減することができる。
【0045】
[0051] 上記に加えて、MOPAシステムでは、ソースレーザ101は、典型的には常時動作しているわけではなく、むしろ信号を受信した時にレーザパルスを発射する。したがって、個々の液滴107に個別に衝突するように、液滴107の軌道を補正するだけでなく、特定の液滴が照射部位105に到達する時間を測定し、ソースレーザ101に信号を送信して、レーザパルスが液滴107と同時に照射部位105に到達するような時間に発射させることも必要である。
【0046】
[0052] 特に、メインパルスの前にプレパルスを生成するMOPA PPシステムでは、液滴は、メインパルスによって気化される時に最大のEUVエネルギが得られるように、プレパルスによって非常に正確に狙われなければならない。収束レーザビーム、すなわち、一連のパルスは、ビームが最大強度に達する有限の「くびれ部分(waist)」、すなわち、幅を有する。例えば、典型的には、ソースレーザとして用いられるCOレーザは、x及びy方向に約10ミクロンの最大強度の使用可能範囲を有する。
【0047】
[0053] 液滴への衝突は、ソースレーザの最大強度で行われることが望ましく、したがって、プレパルスによる照射のための液滴の位置決め精度は、レーザが発射される時にx及びy方向にプラスマイナス約5ミクロン以内のところで達成されなければならないことを意味する。最大強度の領域は、z方向には約1mm程度広がっている可能性があるため、やや許容度がある。したがって、一般的にはプラスマイナス25ミクロン以内の精度で十分である。また、照射部位でもより許容度がある。当業者は、他の実施形態が本明細書に記載のものと異なる許容範囲を有し得ることが分かるだろう。
【0048】
[0054] 液滴の速度(及び形状)は、当技術分野で知られているように測定されてもよく、したがって、液滴は秒速50メートル以上で移動できることが知られている。(当業者は、液滴発生器の圧力及びノズルのサイズを調整することによって、速度を調整できることが分かるだろう。)したがって、位置要件はまた、タイミング要件となり、液滴は検出され、液滴が検出された場所から照射部位に移動するのにかかる時間内にレーザが発射されなければならない。
【0049】
[0055] 液滴検出の改良されたシステム及び方法の一実施形態は、液滴を照明及び検出するためのロバストな解決策を提供し、したがって、ソースレーザによる液滴の照射を正確なタイミングで行えるようにする。この結果は、出力調整可能な高品質の液滴照明レーザ、液滴からの反射の効率的な集光、及び液滴照明レーザをプラズマチャンバへと導入するアパーチャの保護を組み合わせることによって得られる。
【0050】
[0056] 図4Aは、一実施形態によるLPP EUVシステムの簡略図である。システム400は、図1のシステムに示すものと同様の素子を含み、追加的に液滴照明モジュール(DIM)402及び液滴検出モジュール(DDM)404を備える。上記のように、液滴発生器106は、照射部位105を通過することが意図された液滴107を生成し、液滴107は、照射部位105においてソースレーザ101からのパルスによって照射される。(分かりやすくするために、図4Aにはいくつかの素子が示されていない。)
【0051】
[0057] 図示された実施形態において、DIM402は、波長の異なる2つのレーザを含む。DIM402の第1のレーザ406は、例えば、2ワットの出力及び806nmの波長を有するラインレーザで、第1のレーザカーテン412を生成する。第2のレーザ408は、例えば、約5〜50ワットの調整可能な出力及び1070nmの波長を有する、より出力の大きいファイバレーザ源であり、第2のレーザカーテン414を生成する。ある実施形態では、第2のレーザ408はまた、例えば、1ミリワット及び635nmの波長を有する内蔵低出力ガイドレーザを有していてもよい。ある実施形態では、異なるタイプ、波長、及び出力のレーザを使用することができる。
【0052】
[0058] レーザカーテン412及び414はどちらも概して平面で、主としてy−z方向に広がっているが、ここでもまたx方向にある程度の厚みを有する。2つのカーテン412及び414は、どちらも液滴発生器106と照射部位105の間に位置し、概してx方向に垂直、かつx方向にわずかに離れている。ある実施形態では、カーテン412は、照射部位105から約10mmのところに位置するのに対し、カーテン414は、照射部位105から約5mmのところに位置してもよい。
【0053】
[0059] 2つのDIMレーザ406及び408からのビームは、DIMのビューポート410からプラズマチャンバに入る。ビューポートは、2つのDIMレーザ406及び408の2つの波長を透過し、ソースレーザ101からの散乱光の波長を反射するコーティングを有するペリクル、すなわち、ビューポートの保護カバーの機能を果たす薄板ガラス素子を有していてもよい。このコーティングにより、ソースレーザ101からの放射熱を受けてペリクルが過熱することを防ぐだけでなく、DIMレーザ406及び408からのビームの歪みを防ぐことができる。また、このペリクルコーティングによって、チャンバ内のターゲット材料デブリからビューポート410を保護することができる。
【0054】
[0060] DIMはまた、このペリクルコーティングの他に、ペリクル及びビューポートの寿命を延ばし、EUVシステムの休止時間を最小限にするために、ターゲット材料デブリからペリクル及びビューポートをさらに保護するポート保護アパーチャ416を含む。図示された実施形態において、ポート保護アパーチャ416は、ビューポートからの視野を各レーザカーテンが広がるx−y平面にかなり制限するスリットをそれぞれ有する、多重積層された金属素子を備える。
【0055】
[0061] 一実施形態において、ポート保護アパーチャ416の金属素子は、複数のステンレス鋼板(ステンレス鋼は、アルミニウムより熱による変形が少ない)であり、各板は隣の板から約1/2インチ以上離れ、厚さは約2mmである。図4Aには、そのような3つの板が示されている。各板は、x及びy方向にビューポート410全体に広がり、DIMレーザ406及び408がレーザカーテン412及び414を投影できるようにx及びy方向に十分広いスリットを有する。このことは、板のスリットを表すポート保護アパーチャ416の破線部分に見ることができる。複数の板があるため、ある実施形態では、ビューポートから最も遠い板は、1フィート近く離れていてもよい。
【0056】
[0062] 照射部位105は、レーザカーテン412及び414からx方向にオフセットされている、すなわち、液滴107の軌道のもっと先の方にあるため、照射部位105の方向から来るデブリは、DIMレーザ406及び408と同様に板に垂直ではなく、ポート保護アパーチャ416の板に対してある角度をなしてポート保護アパーチャ416に到達する。結果として、ポート保護アパーチャ416の第1の板のスリットを通り抜けるデブリは、残りのスリットを真っすぐに通過する線上を移動することはなく、したがって、そのようなデブリのほとんどは、ビューポート410への到達が妨げられる。
【0057】
[0063] 上記のように、液滴107がカーテン412又は414のいずれかを通過する時に、各カーテンにおける各液滴107からのレーザエネルギの反射によってフラッシュが生成され、センサによって検出することができる。異なる波長のレーザを使用することによって、各カーテンからのフラッシュを検出する各センサを各波長に対して最適化し、したがって、各センサに対応するカーテンのみからのフラッシュの検出を強化することができる。
【0058】
[0064] DIMレーザ406は、第1のレーザカーテン412を生成する。連続する液滴107がカーテン412を通過する時に生成されるフラッシュは、第1のセンサ428によって検出される。第1のセンサ428は、カメラであってもよく、y−z平面における液滴107の位置を検出し、その情報を従来技術及び上記のような液滴ステアリングに使用されるフィードバックとして液滴発生器106のアクチュエータに提供することができる。センサ428は、照射部位105からのプラズマ発光からセンサ428を保護するために、高いコントラスト比でDIMレーザ406の波長を透過し、他の波長を吸収するフィルタを使用してもよい。
【0059】
[0065] 同様に、DIMレーザ408は、液滴107が通過する時にフラッシュを生じさせる第2のレーザカーテン414を生成する。これらのフラッシュは、ここでもまた、カメラであってもよく、同様にy−z平面における液滴の位置についての情報を提供する第2のセンサ430によって検出される。センサ430は、同様にプラズマ発光から保護するために、DIMレーザ408の波長を透過し、他の波長を吸収するフィルタを使用してもよい。センサ430は、カーテン414からのフラッシュを使用して、従来技術のように液滴107の軌道を付加的に制御してもよい。ある実施形態では、カーテン412は、液滴ステアリング機構の「粗」調整を制御するために使用され、カーテン414は、液滴ステアリングの「微」調整を制御するために使用されてもよい。
【0060】
[0066] さらに、カーテン414はまた、レーザパルスが液滴107と同時に照射部位105に到達するようにソースレーザ101の発射のタイミングを調整するために使用され、液滴107を気化し、EUVプラズマを生成することができる。上記のように、カーテン414を生成するDIMレーザ408は、DIMレーザ406よりも高出力であることが好ましい。これによって、液滴107がカーテン414を通過する時の反射によって生成されるフラッシュを、カーテン412からのフラッシュよりも明るくすることができる。
【0061】
[0067] 液滴107がカーテン414を通過する時に生成されるフラッシュは、DDM404によっても検出される。しかし、DDM404は、センサ428及び430と異なり、ステアリングのためではなくタイミング調整のためだけに使用されるため、y−z平面における液滴の位置を検出する必要はない。適切に動作させるために、DDM404は、カーテン414を通過する液滴107からのフラッシュだけを記録すればよく、カーテン412からのフラッシュや照射部位105からのプラズマ光を無視しなければならない。したがって、DDM404は、このような各種のイベントを正確に区別できるように構成されなければならない。一実施形態において、DDM404は、集光レンズ418、空間フィルタ420、スリットアパーチャ422、センサ424、及びセンサ424からの信号をブーストする増幅盤(図示せず)を含む。必要であれば、DDM404は、上記DIM402で示したポート保護アパーチャ416と同様に構成され、集光レンズ418とセンサ424の間に位置するポート保護アパーチャ(図示せず)を備えていてもよい。
【0062】
[0068] 集光レンズ418は、液滴107がカーテン414を通過する時に生成されるフラッシュからの光を集光し、センサ424にフォーカスするように配向され、一方、照射部位105からのプラズマ光は、カーテン414以外の方向からの光であるため、同様にはセンサ424にフォーカスされない。また、スリットアパーチャ422は、集光レンズ418によってフォーカスされたカーテン414からの光がセンサ424に通り抜けるが、照射部位105からのプラズマ光は少し大きくデフォーカスされるように配向されている。センサ424をさらに保護するために、必要であればスリットアパーチャ422とセンサ424の間にビューポート及びペリクルがあってもよい。
【0063】
[0069] センサ424は、例えば、シリコンダイオードであってもよく、レーザダイオード408の波長1070nm(又はレーザダイオード408用に選択可能なその他の波長)の光を検出し、レーザダイオード406の波長の光又は照射部位105で生成されるプラズマ光を検出しないように最適化されていることが好ましい。この構成及び集光レンズ418及びスリットアパーチャ422の配向性をDIMレーザ408のより大きな出力と組み合わせることによって、液滴107がカーテン414を通過する時に生成される各フラッシュのDDM404による正確かつ確実な検出を確実にする一方、液滴107がカーテン412を通過する時に生成されるフラッシュ及び照射部位105で生成されるプラズマ光が無視される。
【0064】
[0070] このようなフラッシュがセンサ424によって受光される時、タイミングモジュール426(例えば、論理回路)は、受光されたフラッシュを生成した液滴107が照射部位105に到達するまでにかかる時間を、カーテン414から照射部位105までの距離、及び、これもまた既知の液滴の速度に基づいて計算する。次に、タイミングモジュール426は、液滴107を気化してEUVプラズマを生成できるように、レーザパルスが現在の液滴107と同時に照射部位105に到達するように計算された時間に発射するように、ソースレーザ101に指示するタイミング信号をソースレーザ101に送信する。
【0065】
[0071] 典型的なNoMO LLP EUVシステムでは、液滴発生器は、液滴107を毎秒40,000の速度(40KHz)で生成することができ、MOPA PPシステムは、50,000KHz以上の速度を使用することができる。したがって、40,000KHzの速度では、25マイクロ秒毎に液滴が生成される。したがって、センサ424は、1つの液滴を認識でき、次に、この時間周期内に次の液滴を認識する準備をしなければならず、同様にタイミングモジュール426は、液滴タイミングを計算し、タイミング信号を生成及び送信することができ、同じ時間周期で次の液滴が認識されるのを待機していなければならない。
【0066】
[0072] さらに、液滴が秒速50mで飛行し、カーテン414が照射部位105から5mmのところにある場合、液滴はカーテン414を通過後10ミリ秒で照射部位105に到達する。したがって、液滴は、DDM404によって検知され、タイミング信号はタイミングモジュール426によって生成され、この信号はソースレーザ101に送信され、パルスは10ミリ秒後に照射部位105に移動するのに間に合うように、ソースレーザ101によって発射されなければならない。ある実施形態では、液滴はより速い速度で飛行してもよい。当業者は、このことがどのようにしてかかる時間周期内に、かつパルスが液滴に衝突する十分な精度でなされ得るのかが分かるだろう。
【0067】
[0073] ここでもまた、カーテンを通過する液滴107の信号は、カーテンビームの形状断面によって特定されるガウス曲線である。このガウス曲線の高さ及び幅は、それぞれ液滴のサイズ及び速度の関数である。しかし、100ミクロン以上のカーテン厚さは、30〜35ミクロンの液滴サイズよりもかなり大きく、液滴の実際の形状は無関係に示され得る。さらに、液滴がカーテンを通過する際の反射が積分され、その結果、頻繁に発生する液滴の表面変化は平均する。
【0068】
[0074] 当業者はまた、図4Aは、x−z平面におけるシステムの断面として示されているが、実際には、プラズマチャンバ110は、大抵の場合円形又は円筒形であるから、ある実施形態では、構成要素は本明細書に記載の機能的関係を維持しつつ、チャンバの周囲を回転してもよい。
【0069】
[0075] 図4Bは、一実施形態による別のLPP EUVシステムの簡略図である。システム450は、図1のシステムと同様の素子を含み、追加的に液滴照明モジュール(DIM)452及び液滴検出モジュール(DDM)454を備える。上記のように、液滴発生器106は、照射部位105を通過することが意図された液滴107を生成し、液滴107は、照射部位105においてソースレーザ101からのパルスによって照射される。(分かりやすくするために、図4Bにはいくつかの素子が示されていない。)
【0070】
[0076] 図示された実施形態において、DIM452は、例えば、50ワットの出力及び1070nmの波長を有する、ファイバレーザ等の1つのレーザ源456を含む。ある実施形態では、レーザ456はまた、例えば、1ミリワット及び635nmの波長を有する内蔵低出力ガイドレーザを有していてもよい。ある実施形態では、異なるタイプ、波長、及び出力のレーザを使用することができる。
【0071】
[0077] レーザ源456からのビームは、偏光ビームスプリッタ(PBS)458によって2つの直交偏光ビームに分割されて、各ビームは約25ワットの出力を有し、互いに直交する偏光を有する。図4Bに異なる破線で示されるように、ビームの一方は、第1のレーザカーテン462を生成し、他方のビームは第2のレーザカーテン464を生成する。ミラー486等の光学部品を使用して、ビームを各レーザカーテンを生成する光学系(図示せず)に誘導してもよい。当業者は、例えば、反射設計における回折格子、シートポラライザ、及び旋光性結晶等の、1つのビームを2つの直交偏光ビームに分割する他の手段が存在すること、また、これらのそれぞれが、所望の用途において異なる利点と欠点とを有することが分かるだろう。
【0072】
[0078] レーザカーテン462及び464はどちらも概して平面で、主としてy−z方向に広がっているが、ここでもまたx方向にある程度の厚みを有する。2つのカーテン462及び464は、どちらも液滴発生器106と照射部位105の間に位置し、概してx方向に垂直、かつx方向にわずかに離れている。ある実施形態では、カーテン462は、照射部位105から約10mmのところに位置するのに対し、カーテン464は、照射部位105から約5mmのところに位置してもよい。
【0073】
[0079] DIMレーザ456からのビームは、DIMのビューポート460からプラズマチャンバに入る。ビューポートは、DIMレーザ456の波長を透過し、ソースレーザ101からの散乱光の波長の大部分を反射するコーティングを有するペリクル、すなわち、ビューポートの保護カバーの機能を果たす薄板ガラス素子を有していてもよい。このコーティングにより、ソースレーザ101からの放射熱を受けてペリクルが過熱することを防ぐだけでなく、DIMレーザ456からのビームの歪みを防ぐことができる。また、このペリクルコーティングによって、チャンバ内のターゲット材料デブリからビューポート460を保護することができる。
【0074】
[0080] DIMはまた、このペリクルコーティングの他に、ペリクル及びビューポートの寿命を延ばし、EUVシステムの休止時間を最小限にするために、ターゲット材料デブリからペリクル及びビューポートをさらに保護するポート保護アパーチャ466を含む。図示された実施形態において、ポート保護アパーチャ466は、ビューポートからの視野を各レーザカーテンが広がるx−y平面にかなり制限するスリットをそれぞれ有する、多重積層された金属素子を備える。
【0075】
[0081] 一実施形態において、ポート保護アパーチャ466の金属素子は、複数のステンレス鋼板(ステンレス鋼はアルミニウムより熱による変形が少ない)であり、各板は隣の板から約1/2インチ以上離れ、厚さは約2mmである。図4Bには、そのような3つの板が示されている。各板は、x及びy方向にビューポート460全体に広がり、DIMレーザ456がレーザカーテン462及び464を投影できるように、x及びy方向に十分広いスリットを有する。このことは、板のスリットを表すポート保護アパーチャ466の破線部分に見ることができる。複数の板があるため、ある実施形態では、ビューポートから最も遠い板は、1フィート近く離れていてもよい。
【0076】
[0082] 照射部位105は、レーザカーテン462及び464からx方向にオフセットされている、すなわち、液滴107の軌道のもっと先の方にあるため、照射部位105の方向から来るデブリは、DIMレーザ456からのビームと同様に板に垂直ではなく、ポート保護アパーチャ466の板に対してある角度をなしてポート保護アパーチャ466に到達する。結果として、ポート保護アパーチャ466の第1の板のスリットを通り抜けるデブリは、残りのスリットを真っすぐに通過する線上を移動することはなく、したがって、そのようなデブリのほとんどは、ビューポート460への到達が妨げられる。
【0077】
[0083] 上記のように、液滴107がカーテン462又は464のいずれかを通過する時に、各カーテンにおける各液滴107からのレーザエネルギの反射によってフラッシュが生成され、センサによって検出することができる。異なる偏光のビームを使用することによって、各カーテンからのフラッシュを検出する各センサを各偏光に対して最適化し、したがって、各センサに対応するカーテンのみからのフラッシュの検出を強化することができる。
【0078】
[0084] 第1のレーザカーテン462は、上記のDIMレーザ456からの直交偏光ビームの一方から生成される。連続する液滴107がカーテン462を通過する時に生成されるフラッシュは、第1のセンサ478によって検出される。第1のセンサ478は、カメラであってもよく、y−z平面における液滴107の位置を検出し、その情報を従来技術及び上記のような液滴ステアリングに使用されるフィードバックとして液滴発生器106のアクチュエータに提供することができる。センサ478は、高いコントラスト比でDIMレーザ456の第1のビームの波長及び偏光を透過し、他の波長及び偏光を吸収するフィルタ482を使用してもよく、レーザカーテン462からのフラッシュを正確に検出可能でありながら、照射部位105からのプラズマ発光からセンサ478を保護する。
【0079】
[0085] 同様に、DIMレーザ456からの直交偏光ビームの他方から生成される第2のレーザカーテン464もまた、液滴107が通過する時にフラッシュを生じさせる。このようなフラッシュは、ここでもまた、カメラであってもよく、同様にy−z平面における液滴の位置についての情報を提供する第2のセンサ480によって検出される。センサ480は、同様にプラズマ発光から保護するために、DIMレーザ456の第2のビームの波長及び偏光を透過し、他の波長及び偏光を吸収するフィルタ484を使用してもよい。センサ480は、カーテン464からのフラッシュを使用して、従来技術のように液滴107の軌道を付加的に制御してもよい。ある実施形態では、カーテン462は、液滴ステアリング機構の「粗」調整を制御するために使用され、カーテン464は、液滴ステアリングの「微」調整を制御するために使用されてもよい。
【0080】
[0086] 当業者は、レーザ456からのビームを2つの直交偏光ビームに分割し、別々のビームからレーザカーテン462及び464を生成することによって、画像処理におけるクロストークを制限するという利点が得られ、なおかつ、各レーザカーテンの照射部位に対する位置を最適化できることが分かるだろう。また、レーザ456に1070nmの波長を有するYAGレーザを使用することにより十分な出力のビームを容易に得る一方で、異なる波長を選択してもよいことが分かるだろう。しかし、市販のシリコンベースのセンサは、他の波長よりも1070nmでの感度が低いが、このようなセンサの最も効率的な波長において十分な出力を有するファイバレーザを見つけることは、より困難であると考えられている。当業者は、他のより適切な波長があるかどうかを判断できるだろう。
【0081】
[0087] 液滴の軌道を監視する他に、カーテン464はまた、レーザパルスが液滴107と同時に照射部位105に到達するようにソースレーザ101の発射のタイミングを調整するために使用され、液滴107を気化し、EUVプラズマを発生させてもよい。
【0082】
[0088] 液滴107がカーテン464を通過する時に生成されるフラッシュは、DDM454によっても検出される。しかし、DDM454は、センサ478及び480と異なり、ステアリングのためではなくタイミング調整のためだけに使用されているため、y−z平面における液滴の位置を検出する必要はない。適切に動作させるために、DDM454は、カーテン464を通過する液滴107からのフラッシュだけを記録すればよく、カーテン462からのフラッシュや照射部位105からのプラズマ光を無視しなければならない。したがって、DDM454は、このような各種のイベントを正確に区別できるように構成されなければならない。一実施形態において、DDM454は、集光レンズ468、空間フィルタ470、スリットアパーチャ472、センサ474、及びセンサ474からの信号をブーストする増幅盤(図示せず)を含む。必要であれば、DDM454は、上記DIM452で示したポート保護アパーチャ466と同様に構成され、集光レンズ468とセンサ474の間に位置するポート保護アパーチャ(図示せず)を備えていてもよい。
【0083】
[0089] 集光レンズ468は、液滴107がカーテン464を通過する時に生成されるフラッシュからの光を集光し、センサ474にフォーカスするように配向され、一方、照射部位105からのプラズマ光は、カーテン464以外の方向からの光であるため、同じ様にはセンサ474にフォーカスされない。また、スリットアパーチャ472は、集光レンズ468によってフォーカスされたカーテン464からの光がセンサ474に通り抜けるが、照射部位105からのプラズマ光は少し大きくデフォーカスされるように配向されている。センサ474をさらに保護するために、必要であればスリットアパーチャ472とセンサ474の間にビューポート及びペリクルがあってもよい。
【0084】
[0090] センサ474は、例えば、シリコンダイオードであってもよく、DIMレーザ456からの第1のビームの波長、例えば1070nm(又はDIMレーザ456用に選択可能なその他の波長)、及び偏光の光を検出し、DIMレーザ456の他方のビームの偏光又は照射部位105で生成されるプラズマ光の他の波長の光を検出しないように最適化されていることが好ましい。この構成及び集光レンズ468及びスリットアパーチャ472の配向性によって、液滴107がカーテン464を通過する時に生成される各フラッシュのDDM454による正確かつ確実な検出を確実にする一方、液滴107がカーテン462を通過する時に生成されるフラッシュ及び照射部位105で生成されるプラズマ光が無視される。
【0085】
[0091] このようなフラッシュがセンサ474によって受光される時、タイミングモジュール476(例えば、論理回路)は、受光されたフラッシュを生成した液滴107が照射部位105に到達するまでにかかる時間を、カーテン464から照射部位105までの距離、及び、これもまた既知の液滴の速度に基づいて計算する。次に、タイミングモジュール476は、液滴107を気化してEUVプラズマを生成できるように、レーザパルスが現在の液滴107と同時に照射部位105に到達するように計算された時間に発射するように、ソースレーザ101に指示するタイミング信号をソースレーザ101に送信する。
【0086】
[0092] 典型的なNoMO LLP EUVシステムでは、液滴発生器は、液滴107を毎秒40,000の速度(40KHz)で生成することができ、MOPA PPシステムは、50,000KHz以上の速度を使用することができる。したがって、40,000KHzの速度では、25マイクロ秒毎に液滴が発生する。したがって、センサ474は、1つの液滴を認識でき、次に、この時間周期内に次の液滴を認識する準備をしなければならず、同様にタイミングモジュール476は、液滴タイミングを計算し、タイミング信号を生成及び送信することができ、同じ時間周期で次の液滴が認識されるのを待機していなければならない。
【0087】
[0093] さらに、液滴が秒速50mで飛行し、カーテン464が照射部位105から5mmのところにある場合、液滴はカーテン464を通過後10ミリ秒で照射部位105に到達する。したがって、液滴がDDM454によって検知され、タイミング信号がタイミングモジュール476によって生成され、この信号がソースレーザ101に送信され、パルスが10ミリ秒後に照射部位105に移動するのに間に合うように、パルスがソースレーザ101によって発射されなければならない。ある実施形態では、液滴はより速い速度で飛行してもよい。当業者は、このことがどのようにしてかかる時間周期内に、かつパルスが液滴に衝突する十分な精度でなされ得るのかが分かるだろう。
【0088】
[0094] ここでもまた、カーテンを通過する液滴107の信号は、カーテンビームの形状断面によって特定されるガウス曲線である。このガウス曲線の高さ及び幅は、それぞれ液滴のサイズ及び速度の関数である。しかし、100ミクロン以上のカーテン厚さは、30〜35ミクロンの液滴サイズよりもかなり大きく、液滴の実際の形状は無関係に示され得る。さらに、液滴がカーテンを通過する際の反射が積分され、その結果、頻繁に発生する液滴の表面変化は平均する。
【0089】
[0095] 当業者はまた、図4Bは、x−z平面におけるシステムの断面として示されているが、実際にはプラズマチャンバ110は、大抵の場合円形又は円筒形であるから、ある実施形態では、構成要素は、本明細書に記載の機能的関係を維持しつつ、チャンバの周囲を回転してもよい。
【0090】
[0096] 別の実施形態(図示せず)において、図4Bの液滴検出モジュール454と同様に構成されているが、レーザカーテン464ではなく、レーザカーテン462からの光を受光し、フラッシュを検出するように配向されている第2の液滴検出モジュールを使用してもよい。この場合、液滴検出モジュール454は、図4Bのフィルタ484のように、レーザ456からの第2のビームの偏光及び波長、すなわち、レーザカーテン464の偏光及び波長を透過するフィルタを有することが好ましい。同様に、第2の液滴検出モジュールは、図4Bのフィルタ482と同様に、レーザカーテン462の偏光及び波長を透過するフィルタを有することが好ましい。これによって、2つの液滴検出モジュールのそれぞれは、上記のようにセンサ478及び480とフィルタ482及び484が使用されている場合と同様に、適切なレーザカーテンからのフラッシュのみを検出できる。
【0091】
[0097] この2つの液滴検出モジュールを備えた構成によって、両レーザカーテン462及び464を液滴軌道の検出と液滴速度の測定の両方に使用することができる。これによって、液滴がレーザカーテン462とレーザカーテン464の間の距離を横断するのにかかる時間を測定することができ、液滴発生器106のパフォーマンスに関する情報の他に、液滴速度のより正確な測定がもたらされる。さらに、ここでは2つの液滴検出モジュールからの信号を受信するタイミングモジュール476が、液滴速度をより正確に計算し、多くの液滴の平均速度からの偏差を利用して、ソースレーザ101へのタイミング信号を更新することができる。
【0092】
[0098] また、液滴検出モジュール454は、レーザカーテン462及び464の両方からのフラッシュを検出するように配向可能である。このような実施形態において、センサ474等の追加のセンサは、液滴検出モジュール454に含まれ、PBS458等の別のPBSが、受光されたフラッシュをその偏光によって選別するのに使用されるため、レーザカーテン464からのフラッシュは図4Bのようにセンサ474によって受光され、レーザカーテン462からのフラッシュは追加のセンサによって受光される。
【0093】
[0099] 2つのセンサを使用して液滴速度を測定する際に生じる1つの問題は、レーザカーテンが離れすぎていると、第1の液滴107がレーザカーテン462を横切った後、レーザカーテン464に到達する前に、第2の液滴107(又は、カーテンが十分に離れている場合にはそれ以上)がレーザカーテン462を横切り、検出時間の順番が混在してしまう。このような場合には、1つの液滴にどの検出時間が関係しているかを識別することが非常に困難である。
【0094】
[00100] このため、一実施形態では、レーザカーテン462及び464は、任意の2つの連続的な液滴107間の予想距離よりも互いに近いところに配置されるため、各液滴は、レーザカーテンを横切る時に個別に検出することができる。2つの連続的な液滴間の予想距離は、液滴が生成される速度及び予想速度に基づいている。例えば、液滴が50kHzの速度で生成され、秒速70m(m/s)で移動する場合、レーザカーテン462及び464間の距離は、1.4mm(70m/s割る50,000)未満でなければならない。これによって、液滴107は、レーザカーテン462を横切る時に検出され、別の液滴がレーザカーテン462を横切るのが検出される前に、液滴107がレーザカーテン464を横切る時に再度検出することができ、検出時間の対応対が得られる。
【0095】
[00101] レーザ456の出力が十分に大きい場合(上記の50ワットレーザ等)、レーザカーテン462及び464は直交偏光を有するため、フィルタ482及び484を用いることによって、両カーテンからほぼ同時のフラッシュがあったとしても、センサ478及び480による各カーテンからのフラッシュの検出に影響を及ぼすことなく、カーテンをこの例では互いに1.4mm以内に十分に近くすることができる。(上記のように、実際、カーテンはガウス分布を有するため、検出フラッシュも同様である;第1の液滴107がレーザカーテン464に衝突した直後に、第2の液滴107がレーザカーテン462に衝突した場合、レーザカーテン462からのフラッシュの前端は、レーザカーテン464からのフラッシュの後端と重なる可能性がある。)
【0096】
[00102] 2つの液滴検出モジュール454(又は1つのモジュール内に2つのセンサ474)を備えた構成は、別の潜在的利点を有する。レーザ456及びPBS458は、システム内に取り付けられるため、これらの取り付けに使用されるハードウェアの機械公差に依存する。同様に、これによって、これらの取り付けによってレーザカーテン462及び464の位置を予め決定することができる公差が制限される。2つのセンサ474は、1つの液滴検出モジュール454に含まれていようと、2つのそのようなモジュールに含まれていようと、レーザカーテンの位置をより正確に決定するために使用することができる。
【0097】
[00103] この較正は、EUV生成の前に、2つのセンサ474から偏光フィルタを取り外し、液滴が液滴発生器から液滴軌道に沿って通過できるようにすることによって実現される。液滴が第1のレーザカーテン462に衝突すると、両センサ474は、(偏光フィルタが存在しないため)生成されたフラッシュを検出し、それぞれ検出信号を生成する。したがって、2つの「式」、すなわち、2つの信号と、2つの未知値、すなわち、カーテン距離及び液滴速度がある;当業者は、これによって高い精度でカーテン距離の解を求められることが分かるだろう。同様のプロセスによって、別のレーザカーテン464までの距離を測定することができる。いったんレーザカーテンまでの距離が測定されたら、偏光フィルタが元に戻され、EUV生成のためのシステムの動作が開始してもよい。
【0098】
[00104] レーザカーテンの位置をより正確に知ることによって、平均速度を使用するよりはむしろ、(各液滴が各カーテンを横切る時の時間を使用して計算される)各液滴の速度の変化を考慮することが可能になり、また、タイミングモジュール476が、各液滴を照射するためにソースレーザ101がいつ発射すべきかをより正確に予測することが可能になる。
【0099】
[00105] 図5Aは、本明細書に記載されている一実施形態による、液滴発生器が、照射部位においてMOPA又はMOPA PPレーザ等のソースレーザによって照射される液滴を生成する、LPP EUVシステムにおいてレーザパルスのタイミングの調整に使用することができる方法のフローチャートである。ステップ501において、2つのレーザカーテンが、上記のように図4AのDIMレーザ406及び408等によって生成される。上記のように、両カーテンは、液滴発生器と、液滴を照射してEUVプラズマを生成することが望まれる照射部位との間に位置する。
【0100】
[00106] ステップ502において、例えば液滴発生器106によって液滴が連続的に生成され、照射部位に向かう軌道上に送られる。ステップ503において、液滴107等の液滴が、2つのレーザカーテンの第1のレーザカーテン、例えば図4Aのレーザカーテン412を通過し、液滴の位置が、第1のレーザカーテンの光が液滴から反射される時のフラッシュを検出する、DDM404のセンサ424等のセンサによって検出される。
【0101】
[00107] ステップ504において、第1のコントローラは、検出された液滴が照射部位に至る所望の軌道上にあるかどうかを判定する。液滴が所望の軌道上にない場合には、ステップ505において、液滴発生器に信号が送信され、液滴発生器が液滴を放出する方向を調整して、軌道を所望の軌道に補正する。
【0102】
[00108] 次に、ステップ506において、液滴は、図4Aのレーザカーテン414等の第2のカーテンによって検出される。なお、現在移動中の液滴を調整することはできないため、この方法は、たとえ液滴が正しい軌道上になくとも、ステップ503における第1のカーテンでの液滴の検出からステップ505における第2のカーテンでの液滴の検出まで続く。液滴発生器が液滴を放出する方向の調整は、後続の液滴の軌道にしか影響を及ぼさない。
【0103】
[00109] 液滴が第2のレーザカーテンを横切ったことが検出された時、ステップ507において、図4Aのタイミングモジュール426等の第2のコントローラが、液滴の速度、及び第2のカーテンから照射部位までの距離に基づいて、検出された液滴が照射部位に到達する時間を計算し、ステップ508において、レーザパルスが当該液滴と同時に照射部位に到達するような時間に発射するように、ソースレーザに指示するタイミング信号をソースレーザに送信する。ステップ509において、ソースレーザは、タイミング信号によって指定された時間にパルスを発射し、このパルスが照射部位で液滴を照射する。
【0104】
[00110] なお、このフローチャートは、1つの液滴の取り扱いを示す。実際には、液滴発生器は上記のように継続的に液滴を生成している。連続的な一連の液滴があるため、同様に、検出される連続的な一連のフラッシュ、及び生成される一連のタイミング信号があり、したがって、ソースレーザに一連のパルスを発射させ、照射部位で一連の液滴を照射してEUVプラズマを生成する。さらに、上記のようにほとんどの実施形態において、これらの機能は重複する、すなわち、液滴は25マイクロ秒ごと又はそれ以上の速さで第2のカーテンを通過するのに対し、各液滴が第2のカーテンから照射部位に移動するには約10マイクロ秒かかることが予想される。したがって、第2のコントローラは、各個別の液滴の検出を可能にし、各個別の液滴に対し適切なタイミング信号を与える待ち行列機能を備える必要がある。
【0105】
[00111] ある実施形態では、第1のコントローラ(図4Aに図示せず)及び第2のコントローラ(タイミングモジュール426等)は、論理回路又は論理プロセッサであってもよい。ある実施形態では、プロセッサ等の1つの制御手段は、両コントローラの機能を果たしてもよい。
【0106】
[00112] 図5Bは、本明細書に記載されている一実施形態による、液滴発生器が、照射部位においてMOPA又はMOPA PPレーザ等のソースレーザによって照射される液滴を生成する、LPP EUVシステムにおいてレーザパルスのタイミングの調整に使用することができる別の方法のフローチャートである。ステップ531において、2つのレーザカーテンが、上記のように、図4AのDIMレーザ406等によって生成される。上記のように、両カーテンは、液滴発生器と、液滴を照射してEUVプラズマを生成することが望まれる照射部位との間に位置する。
【0107】
[00113] ステップ532において、例えば液滴発生器106によって液滴が連続的に生成され、照射部位に向かう軌道上に送られる。ステップ533において、液滴107等の液滴は、2つのレーザカーテンの第1のレーザカーテン、例えば図4Aのレーザカーテン412を通過し、第1のレーザカーテンの光が液滴から反射される時のフラッシュを検出する、センサ428等のセンサによって検出される。
【0108】
[00114] ステップ534において、第1のコントローラは、センサから検出されたフラッシュに関するデータを受信し、そのデータからy−z平面における液滴の位置を、その位置から液滴が照射部位に至る所望の軌道上にあるかどうかを判定する。液滴が所望の軌道上にない場合には、ステップ535において、液滴がy−z平面において所望の軌道から逸れている方向を示す信号を液滴発生器に送信し、その結果、液滴発生器106のアクチュエータが、液滴発生器が後続の液滴を放出する方向を調整して、軌道を所望の軌道に補正することができる。
【0109】
[00115] 次に、ステップ536において、液滴は、図4Aのレーザカーテン414等の第2のカーテンによって検出される。なお、現在移動中の液滴を調整することはできないため、この方法は、たとえ液滴が正しい軌道上になくとも、ステップ533における第1のカーテンでの液滴の検出からステップ536における第2のカーテンでの液滴の検出まで続く。液滴発生器が液滴を放出する方向の調整は、後続の液滴の軌道にしか影響を及ぼさない。
【0110】
[00116] ここでもまた、センサ430等のセンサは、第2のカーテンを横切る時の液滴からのフラッシュを検出する。ステップ537において、第2のコントローラは、センサから検出されたフラッシュに関するデータを受信し、ここでもまた、そのデータからy−z平面における液滴の位置、及び、その位置から検出された液滴が照射部位に至る所望の軌道上にあるかどうかを判定する。液滴が所望の軌道上にない場合には、ここでもまた、ステップ538において、所望の軌道からのずれを示す信号を液滴発生器に送信し、その結果、液滴を放出する方向が調整されて、液滴軌道を補正することができる。上記のように、ある実施形態では、ステップ535において送信される信号は、液滴軌道の「粗」調整のためのものであって、ステップ538において送信される信号は、液滴軌道の「微」調整のためのものであってもよい。
【0111】
[00117] また、いったん液滴が第2のレーザカーテンを横切ったことが検出されると、ステップ539において、図4Aのタイミングモジュール426等の第3のコントローラは、液滴の速度、及び第2のカーテンから照射部位までの距離に基づいて、検出された液滴が照射部位に到達する時間を計算し、ステップ540において、レーザパルスが当該液滴と同時に照射部位に到達するような時間に発射するように、ソースレーザに指示するタイミング信号をソースレーザに送信する。ステップ541において、ソースレーザは、タイミング信号によって指定された時間にパルスを発射し、このパルスが照射部位で液滴を照射する。
【0112】
[00118] ステップ534において液滴が正しい軌道上になかったとしても、ステップ536において第2のレーザカーテンによる液滴の検出が行われるのと同様に、上記のように、既に放出された液滴の軌道を変えることはできないため、ステップ537において液滴が正しい軌道上にないと判定されたとしても、ステップ539〜541は実行される。ステップ535における液滴軌道の調整と同様に、ステップ538における液滴軌道の調整は、後で放出された液滴の軌道にしか影響を及ぼさない。
【0113】
[00119] なお、このフローチャートは、1つの液滴の取り扱いを示す。実際には、液滴発生器は、上記のように継続的に液滴を生成している。連続的な一連の液滴があるため、同様に、検出される連続的な一連のフラッシュ、及び生成される一連のタイミング信号があり、したがって、ソースレーザに一連のパルスを発射させ、照射部位で一連の液滴を照射してEUVプラズマを生成する。さらに、上記のようにほとんどの実施形態において、これらの機能は重複する、すなわち、液滴は25マイクロ秒ごと又はそれ以上の速さで第2のカーテンを通過するのに対し、各液滴が第2のカーテンから照射部位に移動するには約10マイクロ秒かかることが予想される。したがって、第2のコントローラは、各個別の液滴の検出を可能にし、各個別の液滴に対し適切なタイミング信号を与える待ち行列機能を備える必要がある。
【0114】
[00120] ある実施形態では、第1及び第2のコントローラ(図4Aに図示せず)及び第3のコントローラ(タイミングモジュール426等)は、論理回路又は論理プロセッサであってもよい。ある実施形態では、プロセッサ等の1つの制御手段が、第1及び第2のコントローラの機能を果たしてもよく、一方、他の実施形態において、1つの制御手段が、3つのコントローラのすべての機能を果たしてもよい。
【0115】
[00121] 開示する方法及び装置について、いくつかの実施形態を参照して上述した。本開示に照らし合わせて、他の実施形態も当業者には明らかであろう。記載した方法及び装置のいくつかの態様は、上述の実施形態に記載したもの以外の構成を用いて、又は上述したもの以外の要素と組み合わせても、容易に実施可能である。
【0116】
[00122] 例えば、本明細書に記載するものよりも恐らくは複雑な異なるアルゴリズム及び/又は論理回路を使用することができる。種々の構成、構成要素及びパラメータのいくつかの例を提供してきたが、当業者は、特定のLPP EUVシステムに適すると思われる他の可能性を見つけ出すことができるだろう。本明細書に記載したものと異なる波長を使用する異なるタイプのソースレーザ及びラインレーザ、並びに異なるセンサ、フォーカスレンズ及び他の光学系等を使用することができる。代替的に又は追加的に、1つのレーザを使用して直交偏光を有する2つのレーザカーテンを、本明細書に記載するように、従来の目的で使用される2つのカーテンを有する従来技術のシステムに提供することができる。最後に、ある実施形態において、構成要素の異なる配向、及び構成要素間の異なる距離を使用することができることは明白であろう。
【0117】
[00123] また、記載した方法及び装置は、プロセスとして、装置として、又はシステムとして等の多数の方法で実施可能であることは認められよう。本明細書に記載した方法は、そのような方法の実行をプロセッサに命令するためのプログラム命令によってある程度実施可能である。そのような命令は、ハードディスクドライブ、フロッピディスク、コンパクトディスク(CD)もしくはデジタルバーサタイルディスク(DVD)等の光ディスク、フラッシュメモリ等のコンピュータ可読記憶媒体上に記録される。ある実施形態では、プログラム命令を遠隔的に記憶し、光通信リンク又は電子通信リンクを介してネットワークで送信してもよい。本明細書に記載した方法のステップの順序は変えることができ、その場合も本開示の範囲内であり得ることに留意すべきである。
【0118】
[00124] 実施形態に対する上記及び他の変形は、添付の特許請求の範囲だけによって限定される本発明の開示によって網羅されるように意図している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B