(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハーフミラーの前記ミラー面の、可視域の特定の部分波長域の光に対する反射率が他の波長の光に対する反射率の5倍以上高い請求項1から5いずれか1項に記載の自筆支援装置。
前記画像表示面と前記ミラー面との光学距離、および前記筆記面と前記ミラー面との光学距離を一致させるための位置調整用マークを備えた請求項1から7いずれか1項に記載の自筆支援装置。
前記支持部材が、前記画像担持体を、該画像担持体の前記画像表示面を前記ハーフミラーに直接対向させて支持するものである請求項1から8いずれか1項に記載の自筆支援装置。
前記支持部材が透明支持板を備えており、該透明支持板の一面に、前記画像表示面が面するように前記画像担持体が載置される請求項1から8いずれか1項に記載の自筆支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プロジェクタで文字を投影した場合、実際に記入する記入者の手の影により投影文字が見えにくくなり、支援機能が低減してしまうという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、記入者の影による支援機能の低下を生じることなく、自筆の支援を可能とする自筆支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自筆支援装置は、平面状の筆記面を有する筆記媒体の筆記面の上方に、筆記面に表示させる像の鏡像画像を表示する平面状の画像表示面が位置するように画像表示面を有する画像担持体を支持する支持部材と、
筆記面と画像表示面との間に配置される、上方からの光の少なくとも一部を反射し、一部を透過させるハーフミラーとを備え、
画像表示面と筆記面とが、ハーフミラーの平面状のミラー面を挟んで等しい光学距離で配置される自筆支援装置である。
【0006】
ここで、画像表示面と筆記面とが、ミラー面を挟んで等しい光学距離であるとは、ミラー面の任意の点から、この任意の点を通ってミラー面と垂直に交わる垂線の画像表示面との交点までの光学距離と、同一垂線の筆記面との交点までの光学距離とが等しいことを意味する。
画像表示面と筆記面とがミラー面を挟んで等しい光学距離で配置されていれば、筆記面、ミラー面および画像表示面は、互いに平行に配置されていてもよいし、筆記面および画像表示面が、ミラー面に対して対称に傾きを持って配置されていてもよい。
【0007】
筆記面に表示させる像の鏡像画像とは、筆記面に表示させる像を鏡に映した際に鏡面に観察される鏡像を描画した画像である。
【0008】
筆記媒体は、任意の机等の上に載置されればよいが、本発明の自筆支援装置が、筆記媒体を支持する支持台を備えていてもよい。
【0009】
ハーフミラーは、上方からの光の少なくとも一部を反射し、一部を透過させるものであればよく、その反射率は可視域の光に対して1%以上、99%以下の範囲で、使用者がハーフミラーを見て、画像表示面に表示される鏡像画像の鏡像を視認でき、かつハーフミラーを通して、下方の筆記面を視認できる反射率および透過率を有するものであればよい。これらの条件を満たせば、ミラー面における反射率は必ずしも面全域に亘って均一でなくてもよい。
なお、ハーフミラーのミラー面における、可視域の光に対する反射率は、4%以上85%以下であることが好ましい。
なお、ここで、可視域とは380〜780nmの波長範囲である。
【0010】
また、ハーフミラーのミラー面は、可視域の全域に対して上記の反射率を有するものである必要はなく、可視域の特定の部分波長域の光に対して上記の反射率を有するものであってもよい。その場合、ハーフミラーの、可視域における特定の波長域を除く波長域の光に対する反射率は、特定の波長域の光に対する反射率よりも十分小さいものとする。十分小さいとは、ミラー面における特定の波長域の光の反射による像を視認する際に、それ以外の波長域の光の反射による像が視認できない程度である。具体的には、可視域の特定の部分波長域の光に対する反射率が他の波長の光に対する反射率の5倍以上高くなっていればよい。
【0011】
ハーフミラーの、ミラー面と対向する面は反射防止面であることが好ましい。
ここで、反射防止面とは、ミラー面の反射率よりも十分小さい反射率を有するものであることを意味するものとし、反射率を抑制するために誘電体多層膜や微細凹凸構造層などの反射防止構造が付与された面に限るものではない。反射防止面の反射率が十分小さいとは、ミラー面における反射による像を視認する際に、ミラー面に対向する面での反射による像により二重映りしない程度の反射率であることを意味する。
【0012】
画像表示面とミラー面との光学距離、および筆記面とミラー面との光学距離を一致させるための位置調整用マークを備えていることが好ましい。
【0013】
支持部材は、画像担持体を、その画像担持体の画像表示面をハーフミラーに直接対向させて支持するものであってもよいし、透明支持板を備え、その透明支持板の一面に、画像表示面が面するように画像担持体が載置されるものであってもよい。
ここで、画像担持体の画像表示面をハーフミラーに直接対向させるとは、画像表示面とハーフミラーとの間に他の支持板などの部材を介していないことを意味する。
【0014】
画像表示面に照明光を照射して、画像表示面の鏡像画像をミラー面に映す光源を備えていてもよい。
【0015】
画像担持体は、画像表示面を有するものであれば特に制限はなく、例えば、一面に鏡像画像が描かれたシートであってもよいし、鏡像画像を表示するフラットパネルディスプレイであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の自筆支援装置は、平面状の筆記面を有する筆記媒体の筆記面の上方に、筆記面に表示させる像の鏡像画像を表示する平面状の画像表示面が位置するように画像表示面を有する画像担持体を支持する支持部材と、筆記面と画像表示面との間に配置される、上方からの光の少なくとも一部を反射し、一部を透過させるハーフミラーとを備え、画像表示面と筆記面とが、ハーフミラーの平面状のミラー面を挟んで等しい光学距離で配置できるように構成されており、ハーフミラーの上方から筆記面をみる使用者は、筆記面に鏡像画像の虚像を視認することができ、使用者がその像をなぞる際にも筆記具を持つ手により陰ることなく表示することができる。本発明の自筆支援装置は、非常に簡易な構成であるため、低コストで提供することができ汎用性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の自筆支援装置の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、本実施形態の自筆支援装置1における筆記面、ミラー面および画像表示面の位置関係を示す側面図である。
図1、
図2に示すように、本実施形態の自筆支援装置1は、平面状の筆記面12を有する筆記媒体10の筆記面12の上方に、筆記面12に表示させる像の鏡像画像を表示する平面状の画像表示面32が位置するように画像表示面32を有する画像担持体30を支持する支持部材40と、筆記面12と画像表示面32との間に配置される、上方からの光の少なくとも一部を反射し、一部を透過させるハーフミラー20とを備え、画像表示面32と筆記面12とが、ハーフミラー20の平面状のミラー面22を挟んで等しい光学距離で配置される。
【0019】
本実施形態においては、自筆支援装置1は、筆記媒体10が載置される支持台5とその支持台5上にハーフミラー20および画像担持体30の支持部材40を位置させるための支持軸(支持棒)2を備えている。ハーフミラー20と支持部材40は支持軸2に沿って上下に移動できるように構成されていることが好ましい。
【0020】
画像担持体30の支持部材40は、画像担持体30を載置するための支持板41を備えている。支持板41は画像担持体30の画像表示面32に表示される画像をミラー面22に写すことができる透明度を有するものであり、ガラスやアクリル等の可視光に透明な透明基板であることが好ましい。ガラスやアクリル板の表面の反射率は4%程度であり、画像表示面の明るさが板を介することにより低減されてしまうため、支持板41の両面42、44(
図2参照)は反射防止処理が施されていることが好ましい。支持板41の両面42、44の可視光(380〜780nm)に対する反射率は、例えば1%未満であることが好ましい。
【0021】
本実施形態において、ハーフミラー20のミラー面22は、画像担持体30側の面であり、筆記面12、ミラー面22および画像表示面32は互いに平行に、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
1と、ミラー面22と筆記面12との光学距離h
2とが等しくなるように位置される。すなわち、ミラー面22の任意の点Oから、この任意の点Oを通ってミラー面22と垂直に交わる垂線の画像表示面32との交点Aまでの光学距離h
1と、同一垂線の筆記面12との交点Bまでの光学距離h
2とが等しい。
【0022】
本例において、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
1は、支持板41の厚みd
1と屈折率n
1との積n
1・d
1と、支持板41の下面44とミラー面22との距離L
1との和すなわち、h
1=n
1・d
1+L
1で表される。また、ミラー面22と筆記面12との光学距離h
2は、ハーフミラー20の厚みd
2と屈折率n
2との積n
2・d
2と、ハーフミラー20の下面24と筆記面12との距離L
2との和、すなわち、h
2=n
2・d
2+L
2で表される。
【0023】
上記の光学距離h
1とh
2が等しくなるようにハーフミラー20の位置および画像担持体30の位置が調整されることにより、
図2に示すように、使用者がハーフミラー20の上方から筆記面12を見たときに、画像担持体30の画像表示面32に表示された鏡像画像がミラー面22で反射されて視認される鏡像が筆記面12に一致して見える。このとき、筆記面12上に鏡像画像の鏡像が直接投影されているかのように見えるが、実際には、使用者は、ミラー面22で反射された鏡像画像の鏡像を見ているのであり、画像担持体30から筆記面12に像が直接投影されているわけではない。すなわち、使用者は画像表示面32に表示されている鏡像画像の虚像を筆記面12に視認している。
なお、以下において、使用者がハーフミラー20の上方から筆記面12を見る際の目の位置を観察部と称する。
【0024】
図3は、左図が画像担持体30の画像表示面32に表示された鏡像画像Aであり、右図が筆記面に重なって視認される鏡像画像Aの鏡像であり、表示すべき像Bである。ここで例示されている像Bは、はがきの表書きの住所、宛先等を記載すべき領域のマス目を示している。この表示されたマス目内に文字を書くことにより、整った文字列とすることができる。
【0025】
ハーフミラー20は、ミラー面22とミラー面22に対向する面24を備えており、ミラー面22と対向する面24が互いに平行に配置された部材である。ハーフミラー20は、上方からの光の少なくとも一部を反射し、一部を透過させるものであればよく、
図2に示すように、観察部から筆記面12を視認することができ、また、その筆記面12に、ハーフミラー20により反射された画像表示面32に表示される鏡像画像Aの鏡像(そもそも表示すべき像)Bを重ねて視認できる反射率および透過率を有するものであればよい。ハーフミラーの反射率は1%以上99%以下の範囲で自筆支援装置における光学系の構成により適宜定めればよいが、4%以上85%以下の範囲とすることがより好ましい。
【0026】
ハーフミラーのミラー面は、可視域の全域に対して上記反射率を示すものであることが好ましいが、可視域の特定の部分波長域に対して、例えば、画像表示面の表示色が予め定まっている場合には、その表示色の波長域の光に対して上記反射率を示すものであればよい。例えば、画像表示面において青色光で画像表示される場合、ミラー面は青色波長のみを反射するものであってもよい。
【0027】
ハーフミラー20のミラー面22と対向する面24は、反射防止面とされていることが好ましい。反射防止面の反射率は、観察部から視認されるミラー面に対向する面24での反射による像が、ミラー面22での反射による像に二重映りしない程度の反射率であればよく、例えばミラー面22の反射率の0.1倍未満とする。
【0028】
反射防止面は、可視域の光に対する反射率が1%未満とすることが好ましく、0.5%以下とすることがより好ましい。このような反射率1%未満となる反射防止面は、誘電多層膜の形成、あるいは微細凹凸構造層の形成などの公知の反射防止処理により得ることができる。
【0029】
なお、ミラー面22における反射率、およびミラー面に対向する面24における反射率は必ずしも面全域に亘って均一でなくてもよい。
【0030】
さらに、本自筆支援装置1には、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
1、および筆記面12とミラー面22との光学距離h
2を一致させるために位置調整マークが設けられている。本実施形態の位置調整マーク45〜48および15〜18が画像表示面32を含む面上および筆記面12を含む面上の互いに対応する位置に設けられている。互いに対応する位置とは、画像表示面32を含む面と筆記面12を含む面とをそのまま上下方向に移動させて直接重ねたときに互いに一致する位置をいう。本実施形態において画像表示面32側の位置調整マークは、画像表示面32が密着される支持部材40の支持板41の上面42に設けられている。支持板41の上面42は画像表示面32と同一面と看做せる。観察部から視認される画像表示面側の位置調整マーク45〜48と筆記面側の位置調整マーク15〜18がそれぞれ重なったとき、画像表示面32と筆記面12およびハーフミラー20のミラー面22との関係h
1=h
2が満たされていることを意味するので、これを利用して画像表示面32とハーフミラー20の位置を調整すればよい。
【0031】
画像表示面側の位置調整マークは、本実施形態のように支持部材40の支持板41の、画像担持体30の画像表示面32と同一面となる上面42に設けられる態様に限るものではなく、画像担持体30の画像表示面32自体に鏡像画像と共に表示させてもよい。
また、筆記面12側の位置調整マーク15〜18は、筆記媒体10が載置される支持台5上に設けられていてもよい。
あるいは、位置調整マーク45〜48および15〜18が設けられた専用シートを用意し、専用シートを画像表示面32および筆記面12に取り付けて調整するようにしてもよい。
【0032】
なお、位置調整マーク45〜48および15〜18が設けられていなくても、観察部から、鏡像画像の鏡像が筆記面12に一致するように観察しながら位置調整を行うこともできる。
【0033】
画像担持体30は、一面に鏡像画像を表示するものであれば、特に制限はないが、例えば、一面に鏡像画像が描かれたシートであってもよいし、鏡像画像を表示するフラットパネルディスプレイであってもよい。フラットパネルディスプレイは、別体のコンピュータに無線もしくは有線で接続されたものであってもよいし、タブレット型コンピュータあるいはスマートフォンであってもよい。
【0034】
筆記面12に表示させる画像としては、本実施形態においては、手紙やはがきの宛名面(表面)あるいは文面(裏面)のレイアウトやマス目、達筆のナビゲート、お絵かきのフレーム、書類作成ガイドなどが挙げられ、画像担持体30は、これらの表示させるべき像を鏡に映した際に鏡面に観察される鏡像を描画した画像である鏡像画像を表示する。
【0035】
本発明の自筆支援装置は、筆記面にレイアウトやマス目を表示することにより、行やマス目のない紙面に整った文字列で記入することができ、手本となる字を表示させることにより、その文字をなぞりバランスのとれた文字を書くために使用することができるほか、お絵かきフレームを表示させ、イラストを書いたり、塗り絵したりするために使用することもできる。
また、本発明の自筆支援装置は、表示された文字や絵をなぞるためのみならず、役所や銀行などにおいて、記入すべき箇所を示す矢印を書類面上に書類作成ガイドとして表示させることにより、書面作成を支援するために用いることもできる。
【0036】
上記実施形態においては、ハーフミラー20を、上面がミラー面22となるように用いたが、ミラー面22を下面となるように用いてもよい。
図4に、下面をミラー面22とした設計変更例の自筆支援装置の側面図を示す。
図1に示す自筆支援装置1と異なるのはハーフミラー20の上下面が逆になって、すなわち、ハーフミラー20のミラー面22が筆記面12側となっている点である。そして、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
21と、ミラー面22と筆記面12との光学距離h
22とが等しくなるように位置される。
【0037】
本例において、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
21は、支持板41の厚みd
1と屈折率n
1との積n
1・d
1と、支持板41の下面44とハーフミラー20のミラー面22と対向する面24との距離L
1と、ハーフミラー20の厚みd
2と屈折率n
2との積n
2・d
2との和、すなわちh
21=n
1・d
1+L
1+n
2・d
2で表される。そして、ミラー面22と筆記面12との光学距離h
22は両者の距離L
2、すなわち、h
22=L
2で表される。
【0038】
上記の光学距離h
21とh
22が等しくなるようにハーフミラー20の位置および画像担持体30の位置が調整されることにより、観察部から画像担持体30の画像表示面32に表示された鏡像画像がミラー面22で反射されて視認される鏡像が筆記面12に一致して見える。
【0039】
図5は、本発明の第2の実施形態の自筆支援装置51の概略構成を示す側面図である。
第2の実施形態の自筆支援装置51は、第1の実施形態の自筆支援装置1においてさらに、画像表示面32に照明光を照射して、画像表示面32の鏡像画像をミラー面22に映す光源50を備えている。画像担持体30が発光表示するものでなく、表面に像が描かれた紙等の担持体である場合に特に、画像表示面32に照明光を照射することにより、画像をミラー面22に明るく映すことができる。本例では、シート状の画像担持体30に対し、画像表示面32の裏面側から照明光を照射するように構成されているが、画像表示面32の表面(図中下面)側から照明光を照射するように構成されていてもよい。
【0040】
さらに、本自筆支援装置51は、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
1と、筆記面12とミラー面22との光学距離h
2とを等しい関係に維持したまま、ハーフミラー20および画像表示面32を、筆記面12に対して移動させる移動機構52を備えている。移動機構52は、画像表示面32の移動がミラー面22の移動の2倍となるように移動させるためのギヤなどを備えた機構である。
【0041】
図6に、本発明の第3の実施形態の自筆支援装置60の概略構成を示す側面図である。
第1の実施形態の自筆支援装置1においては、筆記媒体10を支持する支持台5を備えた構成について説明したが、本実施形態の自筆支援装置60は、支持台5を備えていない。支持台5を備える代わりに、既存の机に設置するための万力固定部8を支持軸2の底部に備えており、既存の机の天板7を万力で挟み固定することにより、自筆支援装置60を設置して使用することができる。
【0042】
また、第1の実施形態の自筆支援装置1においては、支持部材40が画像担持体30を載置する支持板41を備えた構成について説明したが、支持部材40の構成は画像担持体30を支持できる形状であれば、特に限定されるものではなく、本実施形態においては、
図6に示すように、画像担持体30として、タブレット型コンピュータやスマートフォンなどのフラットパネルディスプレイをその画像表示面32が直接ハーフミラー20に対向するように保持する画像担持体ホルダー55を備えている。画像担持体ホルダー55は、
図6に示すように、少なくとも一辺に開口を有し、タブレット型コンピュータやスマートフォン等をその開口部からスライド挿入させて、その少なくとも対向する二端を下面から支えるものである。画像担持体ホルダーとしては、フラットパネルディスプレイの少なくとも対向する二端を下面から支える枠部材などであってもよい。
【0043】
本実施形態のように、画像表示面32とミラー面22との間に何も介さない場合にも、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
31と、ミラー面22と筆記面12との光学距離h
32とが等しくなるように位置される。
【0044】
本例において、画像表示面32とミラー面22との光学距離h
31は、画像表示面32とミラー面22との距離L
1、すなわちh
31=L
1であり、ミラー面22と筆記面12との光学距離h
32は、ハーフミラー20の厚みd
2と屈折率n
2との積n
2・d
2と、ミラー面22と対向する面24と筆記面12との距離L
2との和、すなわち、h
32=n
2・d
2+L
2で表される。
【0045】
上記の光学距離h
31とh
32が等しくなるようにハーフミラー20の位置および画像担持体30の位置が調整されることにより、観察部から画像担持体30の画像表示面32に表示された鏡像画像がミラー面22で反射されて視認される鏡像が筆記面12に一致して見える。
【0046】
画像表示面、ミラー面および筆記面の位置関係は、先の実施形態で示したような互いに平行な構成に限らない。
図7は、本発明の自筆支援装置における画像表示面、ミラー面および筆記面の配置の他の例を示す模式図である。
【0047】
図7においては、画像表示面32と筆記面12とがミラー面22に対して対称に傾きを持って配置されている。但し、画像表示面32と筆記面12との対応する位置同士のミラー面22に対する光学距離が等しくなるように配置されている。画像表示面32の所定位置と対応する筆記面12の位置とは、ミラー面22の任意の点O
1に垂直な1本の垂線K
1が画像表示面32と交わる点A
1に対して、その垂線K
1が筆記面12と交わる位置B
1である。ミラー面22の他の任意の点O
2に垂直な垂線K
2が画像表示面32と交わる点A
2に対応する筆記面12の位置は、その垂線K
2が筆記面12と交わる点B
2である。画像表示面32と筆記面12との対応する位置同士のミラー面22に対する光学距離が等しい関係にあるとき、A
1O
1の光学距離=B
1O
1の光学距離、A
2O
2の光学距離=B
2O
2の光学距離、である。
【0048】
図7に示す側面図において、画像表示面32、筆記面12およびミラー面22上の線を延長すると、3つ延長線は一点Pで交わる。3つの延長線はこの点Pを頂点とした二等辺三角形の等しい二辺61、62とその二辺61、62によりなされる角を等分する中線63を構成するものとなる。ここでは、画像表示面32とミラー面22との光学距離、および筆記面12とミラー面22との光学距離がその距離と等しいとしたときの、それら3つの面の関係を模式的に示している。支持部材の支持板やハーフミラーの厚みが十分に小さければ、支持板やハーフミラーの厚みの光学距離は無視できるが、厳密には支持部材の支持板やハーフミラーの厚み分の光学距離を考慮に入れる必要がある。
【0049】
本構成においても、観察部から画像担持体30の画像表示面32に表示された鏡像画像がミラー面22で反射されて視認される鏡像が筆記面12に一致して見える。