(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402012
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】内視鏡の撮像光学系及び撮像ユニット並びに内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20181001BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20181001BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20181001BHJP
G03B 17/08 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
A61B1/00 731
G02B23/24 B
G02B7/02 D
G02B7/02 Z
G03B17/08
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-245927(P2014-245927)
(22)【出願日】2014年12月4日
(65)【公開番号】特開2016-106764(P2016-106764A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】矢代 孝
【審査官】
▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−027733(JP,A)
【文献】
特開平10−099260(JP,A)
【文献】
特開2005−157279(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/136015(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 − 1/32
G02B 23/24 −23/26
G02B 7/02
G03B 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の撮像光学系であって、
最も被写体側に配置される対物光学部材を含む複数の光学部材からなる第1光学部材群と、
前記第1光学部材群を保持する第1鏡筒と、
前記第1光学部材群の像側に配置される第2光学部材群と、
前記第2光学部材群を保持する第2鏡筒と、
を備え、
前記第1光学部材群を構成する複数の前記光学部材は光軸方向に互いに当接しており、
前記第1鏡筒及び前記第2鏡筒は前記光軸方向に互いに嵌合し、前記第1鏡筒及び前記第2鏡筒が互いに嵌合するのに伴い、前記第1光学部材群の最も像側に配置された光学部材が前記第2鏡筒に当接し、前記第1鏡筒に嵌合する前記第2鏡筒の嵌合部と、前記第1光学部材群の最も像側に配置された前記光学部材と当接する前記第2鏡筒の当接部とは、前記第2鏡筒において一体に設けられており、
前記第1光学部材群の最も像側に配置された前記光学部材が前記第2鏡筒に当接した状態で、前記光軸方向に前記第1鏡筒の像側端の像側及び前記第2鏡筒の被写体側端の被写体側には空間が置かれており、前記第1鏡筒と前記第2鏡筒とは分離可能に接着されている内視鏡の撮像光学系。
【請求項2】
請求項1記載の内視鏡の撮像光学系であって、
前記第1鏡筒の像側端部及び前記第2鏡筒の被写体側端部のうち前記第1鏡筒及び前記第2鏡筒が互いに嵌合した際に嵌合外側に位置する一方の鏡筒の端部と、他方の鏡筒の外周面とが互いに接着されている内視鏡の撮像光学系。
【請求項3】
請求項2記載の内視鏡の撮像光学系であって、
前記他方の鏡筒の外周面に、前記一方の鏡筒の端部と前記光軸方向に隙間を置いて対向するフランジ部が設けられており、
前記一方の鏡筒の端部と前記フランジ部との間に接着剤が充填されている内視鏡の撮像光学系。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項記載の内視鏡の撮像光学系であって、
前記第1光学部材群の前記対物光学部材と該対物光学部材に隣設された光学部材とは、両光学部材の間を気密として互いに接合されている内視鏡の撮像光学系。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項記載の内視鏡の撮像光学系と、
前記撮像光学系の前記第2鏡筒の被写体側端部に設けられた撮像素子と、
を備える内視鏡の撮像ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の撮像ユニットを備える内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の撮像光学系及び撮像ユニット並びに内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の撮像ユニットは、レンズ等の光学部材が複数組み合わされてなる撮像光学系と、撮像素子とを備え、撮像光学系及び撮像素子は、撮像性能を保証するため、典型的には分離不能に一体に構成されている。
【0003】
撮像光学系を構成する複数の光学部材のうち最も被写体側に配置されて外部に露出する光学部材は、使用に伴って汚損し、また破損する可能性がある。外部に露出する光学部材に汚損や破損が生じた場合に、撮像光学系及び撮像素子が分離不能に一体に構成されている撮像ユニットでは撮像素子を含む撮像ユニット全体の交換となり、修理費用が嵩む。
【0004】
これに対し、被写体側の一部の光学部材のみが交換可能に構成された内視鏡の撮像ユニットも知られている。
【0005】
特許文献1に記載された内視鏡の撮像ユニットは、撮像光学系を構成する複数の光学部材のうち外部に露出する観察窓及び観察窓に隣設された光学部材を含む被写体側の第1の光学部材群を保持する第1の光学枠部材と、撮像光学系を構成する複数の光学部材のうち第1の光学部材群を除く第2の光学部材群及び撮像素子を保持する第2の光学枠部材とを備え、第1の光学枠部材は、第2の光学枠部材に嵌合され、第2の光学枠部材に着脱自在に構成されている。観察窓に汚損や破損が生じた場合には、第1の光学枠部材が第2の光学枠部材から取り外され、第1の光学枠部材及び第1の光学部材群が一纏めに交換される。
【0006】
特許文献2に記載された内視鏡の撮像ユニットは、撮像光学系を構成する複数の光学部材のうち外部に露出する第1のレンズ及び第1のレンズに隣設された第2のレンズを含む被写体側の第1の光学部材群を保持するレンズ枠と、撮像光学系を構成する複数の光学部材のうち第1の光学部材群を除く第2の光学部材群及び撮像素子を保持する撮像素子枠とを備えるが、レンズ枠は撮像素子枠に接着固定されている。特許文献2に記載された撮像ユニットでは、外部に露出する第1のレンズに汚損や破損が生じた場合に、汚損ないし破損した第1のレンズは割られてレンズ枠から除去され、新たな第1のレンズに交換される。第2のレンズもまたレンズ枠から除去可能に構成されており、第1のレンズと併せて交換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−99260号公報
【特許文献2】特開平11−352414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された内視鏡の撮像ユニットでは、第1の光学部材群は観察窓及び観察窓に隣設された光学部材を含み、観察窓及び光学部材は光軸方向に互いに離間して第1の光学枠部材にそれぞれ組み付けられている。そのため、観察窓、光学部材、第2の光学部材群の位置関係に第1の光学枠部材の寸法公差が影響し、第1の光学枠部材及び第1の光学部材群の交換に伴って撮像光学系の焦点調整が必要となる。
【0009】
特許文献2に記載された内視鏡の撮像ユニットでは、第1のレンズ及び第2のレンズが個別にレンズ枠に組み付けられるため、やはり第1のレンズ及び第2のレンズの交換に伴って撮像光学系の焦点調整が必要となる。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、被写体側に配置される一部の光学部材群を交換可能であり、光学部材群の交換に伴う焦点調節の手間を軽減することができる内視鏡の撮像光学系及び撮像ユニット並びに内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の内視鏡の撮像光学系は、最も被写体側に配置される対物光学部材を含む複数の光学部材からなる第1光学部材群と、上記第1光学部材群を保持する第1鏡筒と、上記第1光学部材群の像側に配置される第2光学部材群と、上記第2光学部材群を保持する第2鏡筒と、を備え、上記第1光学部材群を構成する複数の上記光学部材は光軸方向に互いに当接しており、上記第1鏡筒及び上記第2鏡筒は上記光軸方向に互いに嵌合し、上記第1鏡筒及び上記第2鏡筒が互いに嵌合するのに伴い、上記第1光学部材群の最も像側に配置された光学部材が上記第2鏡筒に当接し、
上記第1鏡筒に嵌合する蒸気第2鏡筒の嵌合部と、上記第1光学部材群の最も像側に配置された上記光学部材と当接する上記第2鏡筒の当接部とは、上記第2鏡筒において一体に設けられており、上記第1光学部材群の最も像側に配置された上記光学部材が上記第2鏡筒に当接した状態で、上記光軸方向に上記第1鏡筒の像側端の像側及び上記第2鏡筒の被写体側端の被写体側には空間が置かれており、上記第1鏡筒と上記第2鏡筒とは分離可能に接着されている。
【0012】
また、本発明の一態様の内視鏡の撮像ユニットは、上記撮像光学系と、上記撮像光学系の上記第2鏡筒の被写体側端部に設けられた撮像素子と、を備える。
【0013】
また、本発明の一態様の内視鏡は、上記撮像ユニットを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被写体側に配置される一部の光学部材群を交換可能であり、光学部材群の交換に伴う焦点調節の手間を軽減することができる内視鏡の撮像光学系及び撮像ユニット並びに内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態を説明するための、内視鏡の一例の構成を示す図である。
【
図2】
図1の内視鏡の撮像ユニットの構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態を説明するための、内視鏡の撮像ユニットの他の例の構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態を説明するための、内視鏡の撮像ユニットの他の例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡の一例の構成を示す。
【0017】
内視鏡1は、挿入部2と、挿入部2に連なる操作部3と、操作部3から延びるユニバーサルコード4とを備える。
【0018】
挿入部2の先端部には、被写体を照明する照明光を出射する照明光学系や、照明された被写体を撮像する撮像ユニット5が設けられている。
【0019】
ユニバーサルコード4の末端にはコネクタが設けられ、内視鏡1は、ユニバーサルコード4の末端のコネクタを介して、照明光を生成する光源装置や、撮像ユニット5によって取得された画像信号を処理するプロセッサ装置と接続される。
【0020】
図2は、撮像ユニット5の構成を示す。
【0021】
撮像ユニット5は、レンズ等の光学部材が複数組み合わされてなる撮像光学系6と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementaly Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子7とを備える。
【0022】
撮像光学系6は、被写体側に配置される一部の光学部材を含む第1光学部材群10と、第1光学部材群10を保持する第1鏡筒11と、第1光学部材群10の像側に配置される第2光学部材群12と、第2光学部材群12を保持する第2鏡筒13とを有する。
【0023】
第1光学部材群10は、撮像光学系6を構成する複数の光学部材のうち最も被写体側に配置されて外部に露出する対物光学部材20と、対物光学部材20の像側に隣設された光学部材21とを含む複数の光学部材で構成されている。なお、第1光学部材群10は、対物光学部材20及び光学部材21に加え、光学部材21の像側に配置される他の光学部材を含んで構成されていてもよい。
【0024】
対物光学部材20と光学部材21とは撮像光学系6の光軸方向に互いに当接した状態で第1鏡筒11に固定されている。
【0025】
対物光学部材20の像側の表面、即ち光学部材21側の表面には、典型的には、図示の例のように凹曲面状の光学面20aと、光学面20aの周囲を囲み撮像光学系6の光軸Aに略直交する平坦面20bが設けられる。光学部材21は、被写体側の表面を対物光学部材20の平坦面20bに当接させて配置されている。なお、図示の例では、光学部材21の被写体側の表面は光軸Aに略直交する平坦面とされているが、例えば凸曲面などであってもよい。
【0026】
そして、光学部材21は接着剤等の適宜な接合材22を用いて対物光学部材20の平坦面20bに接合されており、対物光学部材20が第1鏡筒11に嵌合保持されており、それにより対物光学部材20及び光学部材21は互いに当接した状態で第1鏡筒11に固定されている。
【0027】
対物光学部材20と光学部材21との間には、凹曲面状の光学面20aによって空間Sがおかれている。好ましくは、対物光学部材20と光学部材21とは空間Sを気密として互いに接合される。対物光学部材20は、例えば外部に露出する被写体側の表面に付着した汚れを除去するための送水などによって冷却されるが、空間Sを気密とすることにより、空間Sへの湿気の浸入を抑制し、結露の発生を抑制することができる。
【0028】
光学部材21が接合材22を用いて対物光学部材20に接合されている図示の例では、光学部材21の全周に亘って接合材22を設けることにより、空間Sを気密として対物光学部材20と光学部材21とを互いに接合することができる。
【0029】
第2光学部材群12は、一つ以上の光学部材を含み、撮像光学系6の設計に応じて適宜構成される。図示の例では、第2鏡筒13内に収容される光学部材23と、第2鏡筒13の像側の端部に設けられたプリズム24とで構成されており、撮像素子7はプリズム24を介して第2鏡筒13に保持されている。プリズム24は入射した光を略90度屈曲させて撮像素子7に入射させる。なお、プリズム24を省略し、第2鏡筒13の像側の端部で光軸Aに略直交させて撮像素子7を配置してもよい。
【0030】
第1鏡筒11の像側端部には嵌合部30が設けられ、第2鏡筒13の被写体側端部には第1鏡筒11の嵌合部30が撮像光学系6の光軸方向に嵌合される嵌合部31が設けられている。第1鏡筒11の嵌合部30と第2鏡筒13の嵌合部31とが互いに嵌合した際に、第1鏡筒11の嵌合部30が嵌合内側に、第2鏡筒13の嵌合部31が嵌合外側に配置されるように構成されている。
【0031】
第2鏡筒13は、第1鏡筒11に保持された第1光学部材群10の像側の最後尾の光学部材21と当接する当接部32を有する。当接部32は、嵌合部31の内側で光軸Aの周囲に設けられており、第1鏡筒11の嵌合部30と第2鏡筒13の嵌合部31との嵌合に伴って光学部材21と当接する。
【0032】
第1光学部材群10の光学部材21が第2鏡筒13の当接部32に当接した状態で、撮像光学系6の光軸方向に第1鏡筒11の嵌合部30の像側及び第2鏡筒13の嵌合部31の被写体側には空間が置かれている。したがって、光学部材21と当接部32との当接により、第1光学部材群10は、第2鏡筒13に保持された第2光学部材群12に対して光軸方向に位置決めされる。
【0033】
そして、第2光学部材群12に対して第1光学部材群10が位置決めされた状態で、第1鏡筒11と第2鏡筒13とが互いに接着されている。第1鏡筒11と第2鏡筒13との接着には、例えば溶剤や熱や光といった外部刺激によって解体可能な接着剤が用いられ、第1鏡筒11は第2鏡筒13から分離可能とされている。
【0034】
第1鏡筒11と第2鏡筒13とを接着する接着剤ADの解体除去を容易とする観点から、第1鏡筒11の嵌合部30が第2鏡筒13の嵌合部31に内嵌する図示の例において、好ましくは、嵌合外側の嵌合部31の被写体側端部と第1鏡筒11の外周面とが互いに接着される。嵌合外側の嵌合部31の被写体側端部と第1鏡筒11の外周面とに跨って塗布された接着剤ADは接着後も外部に露出し、例えば嵌合部31の内周面と嵌合部30の外周面との間に塗布されている場合に比較して容易に除去可能である。
【0035】
さらに、第1鏡筒11と第2鏡筒13との接着強度を高める観点から、第1鏡筒11の外周面に、第2鏡筒13の嵌合部31の被写体側端と撮像光学系6の光軸方向に隙間を置いて対向するフランジ部33を設け、嵌合部31の被写体側端とフランジ部33との間に接着剤ADを充填することが好ましい。
【0036】
対物光学部材20に汚損や破損が生じた場合には、接着剤ADが解体除去されて第1鏡筒11が第2鏡筒13から取り外され、第1光学部材群10及び第1鏡筒11が一纏めに交換される。新たな第1鏡筒11に保持された第1光学部材群10の像側の最後尾の光学部材21が第2鏡筒13の当接部32に当接し、第1光学部材群10は、第2鏡筒13に保持された第2光学部材群12に対して撮像光学系6の光軸方向に位置決めされる。そして、第2光学部材群12に対して第1光学部材群10が位置決めされた状態で、第1鏡筒11と第2鏡筒13とが互いに接着される。
【0037】
第1光学部材群10を構成する対物光学部材20及び光学部材21は撮像光学系6の光軸方向に互いに当接した状態で第1鏡筒11に固定されており、光学部材21が第2鏡筒13の当接部32に当接して第1光学部材群10が第2光学部材群12に対して光軸方向に位置決めされるので、第1鏡筒11の寸法公差に関わらず、第1光学部材群10を構成する対物光学部材20及び光学部材21と第2光学部材群12との光軸方向の位置関係が再現される。それにより、第1光学部材群10及び第1鏡筒11の交換に伴う焦点調整を不要とすることができる。
【0038】
そして、焦点調整が不要であることから、対物光学部材20と光学部材21とを互いに接合しておき、対物光学部材20と光学部材21との間の空間Sの気密性を保証することができる。それにより、第1光学部材群10及び第1鏡筒11の交換によっても、結露の発生を抑制し、撮像性能を維持することができる。
【0039】
図3は、本発明の実施形態を説明するための、内視鏡の撮像ユニットの他の例の構成を示す。なお、上述した撮像ユニット5と共通する要素には共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0040】
図3に示す撮像ユニット105では、第1光学部材群110を構成する対物光学部材120と、対物光学部材120の像側に隣設された光学部材121とが、互いに当接した状態で接合され、一体に外径を加工されて芯取りされており、対物光学部材120及び光学部材121のいずれもが第1鏡筒11との嵌合によって第1鏡筒11に保持されている。
【0041】
本撮像ユニット105においても、上述した撮像ユニット5と同様に、第1光学部材群110を構成する対物光学部材120及び光学部材121は撮像光学系の光軸方向に互いに当接した状態で第1鏡筒11に固定されており、光学部材121が第2鏡筒13の当接部32に当接して第1光学部材群110が第2光学部材群12に対して光軸方向に位置決めされるので、第1光学部材群110及び第1鏡筒11の交換に伴う焦点調整を不要とすることができる。
【0042】
なお、上述した撮像ユニット5,105では、第1鏡筒11の嵌合部30と第2鏡筒13の嵌合部31とが互いに嵌合した際に、第1鏡筒11の嵌合部30が嵌合内側に、第2鏡筒13の嵌合部31が嵌合外側に配置されるように構成されているものとして説明したが、
図4に示すように、第1鏡筒11の嵌合部30が嵌合外側に、第2鏡筒13の嵌合部31が嵌合内側に配置されるように構成することもできる。その場合には、嵌合外側の嵌合部30の像側端部と第2鏡筒13の外周面とを互いに接着するようにし、また、第2鏡筒13の外周面に、第1鏡筒11の嵌合部30の像側端と撮像光学系6の光軸方向に隙間を置いて対向するフランジ部34を設け、嵌合部30の像側端とフランジ部34との間に接着剤ADを充填することが好ましい。
【0043】
以上説明したとおり、本明細書に開示された内視鏡の撮像光学系は、最も被写体側に配置される対物光学部材を含む複数の光学部材からなる第1光学部材群と、上記第1光学部材群を保持する第1鏡筒と、上記第1光学部材群の像側に配置される第2光学部材群と、上記第2光学部材群を保持する第2鏡筒と、を備え、上記第1光学部材群を構成する複数の上記光学部材は光軸方向に互いに当接しており、上記第1鏡筒及び上記第2鏡筒は上記光軸方向に互いに嵌合し、上記第1鏡筒及び上記第2鏡筒が互いに嵌合するのに伴い、上記第1光学部材群の最も像側に配置された光学部材が上記第2鏡筒に当接し、上記第1光学部材群の最も像側に配置された上記光学部材が上記第2鏡筒に当接した状態で、上記光軸方向に上記第1鏡筒の像側端の像側及び上記第2鏡筒の被写体側端の被写体側には空間が置かれており、上記第1鏡筒と上記第2鏡筒とは分離可能に接着されている。
【0044】
また、本明細書に開示された内視鏡の撮像光学系は、上記第1鏡筒の像側端部及び上記第2鏡筒の被写体側端部のうち上記第1鏡筒及び上記第2鏡筒が互いに嵌合した際に嵌合外側に位置する一方の鏡筒の端部と、他方の鏡筒の外周面とが互いに接着されている。
【0045】
また、本明細書に開示された内視鏡の撮像光学系は、上記他方の鏡筒の外周面に、上記一方の鏡筒の端部と上記光軸方向に隙間を置いて対向するフランジ部が設けられており、上記一方の鏡筒の端部と上記フランジ部との間に接着剤が充填されている。
【0046】
また、本明細書に開示された内視鏡の撮像光学系は、上記第1光学部材群の上記対物光学部材とこの光学部材に隣設された光学部材とは、両光学部材の間を気密として互いに接合されている。
【0047】
また、本明細書に開示された内視鏡の撮像ユニットは、上記内視鏡の撮像光学系と、上記撮像光学系の上記第2鏡筒の被写体側端部に設けられた撮像素子と、を備える。
【0048】
また、本明細書に開示された内視鏡は、上記内視鏡の撮像ユニットを備える。
【符号の説明】
【0049】
1 内視鏡
5 撮像ユニット
6 撮像光学系
7 撮像素子
10 第1光学部材群
11 第1鏡筒
12 第2光学部材群
13 第2鏡筒
20 対物光学部材
21 光学部材
23 光学部材
30 嵌合部
31 嵌合部
32 当接部
33 フランジ部