特許第6402058号(P6402058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6402058基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402058
(24)【登録日】2018年9月14日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20181001BHJP
   H01L 21/318 20060101ALI20181001BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20181001BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   H01L21/318 B
   C23C16/455
   H01L21/02 Z
【請求項の数】8
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-59688(P2015-59688)
(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公開番号】特開2016-181545(P2016-181545A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】栗林 幸永
【審査官】 高橋 宣博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−197507(JP,A)
【文献】 特開2012−023073(JP,A)
【文献】 特開2015−018869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0137801(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
H01L 21/02
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内に原料ガスを含むガスを供給する複数のガス供給管と、前記原料ガスを前記ガス供給管に供給するガス配管と、を少なくとも有するガス供給系と、
前記ガス配管に設けられ、前記原料ガスの流量を制御する流量制御器と、を少なくとも有するガス供給制御系と、
前記流量制御器をそれぞれ制御して、前記ガス供給管から前記処理室に供給される前記原料ガスの流量を制御すると共に、前記処理室内に供給される少なくとも前記原料ガスを含むガスの流量を前記ガス供給管毎に調整しつつ、前記複数のガス供給管のうち、前記処理室内に配置される基板の中心に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速を、前記処理室内に配置される基板の外周部に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速より大きくなるよう制御する制御部と、
を備えた基板処理装置。
【請求項2】
前記ガス供給系は、原料ガスの他、前記原料ガスを輸送するキャリアガスとして、原料ガスを希釈する希釈ガスとして、及び前記処理室をパージするパージガスとして、不活性ガスを供給するように構成される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記ガス供給系は、不活性ガスを前記ガス供給管に導入する不活性ガス配管と、を更に含むように構成される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記複数のガス供給管がそれぞれ隣接して設けられるように構成される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記複数のガス供給管がそれぞれ離間して設けられるように構成される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数のガス供給管から供給されるガスの流量をそれぞれ異ならせるように構成される請求項1記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板を処理室内に搬入する工程と、
前記処理室内に原料ガスを供給する複数のガス供給管から前記原料ガスを供給する工程と、を少なくとも有し、
前記原料ガスを供給する工程では、前記ガス供給管から前記処理室に供給される前記原料ガスの流量を制御すると共に、前記ガス供給管のそれぞれから供給される前記原料ガスを含むガスの流量を調整しつつ、前記複数のガス供給管のうち、前記処理室内に配置される基板の中心に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速を、前記処理室内に配置される基板の外周部に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速より大きくする
半導体装置の製造方法。
【請求項8】
基板を基板処理装置の処理室内に搬入する手順と、
前記処理室内に原料ガスを供給する複数のガス供給管から前記原料ガスを供給する手順と、を有し、
前記原料ガスを供給する手順では、前記ガス供給管から前記処理室に供給される前記原料ガスの流量を制御する手順と、前記ガス供給管のそれぞれから供給される前記原料ガスを含むガスの流量を調整しつつ、前記複数のガス供給管のうち、前記処理室内に配置される基板の中心に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速を、前記処理室内に配置される基板の外周部に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速より大きくする手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板処理室に原料供給ノズルを有する半導体デバイス製造装置の構造では、トレンチ等を有するパターンウェハを処理する際に比表面積増加によるガス消費量の増加や、発生する副生成物による不均一な成膜(ローディング効果)が発生する。
【0003】
また、近年の高集積半導体デバイス製造技術によると、これまで許容されてきた数Åの処理基板面内の膜厚差が製品歩留まりやデバイス性能に大きな影響を与える為、処理基板上の膜厚均一性を改善する技術が求められている。
【0004】
このような背景から、特許文献1は、インナチューブ2内に供給量の多い処理ガスaを導入する処理ガス導入ノズル22aと供給量の少ない処理ガスbを導入する処理ガス導入ノズル22bを設け、処理ガス導入ノズル22aの水平方向の角度を基板を複数搭載したボートの回転動作と同期させて、処理ガス導入ノズル22bの水平方向の角度を、基板の中心付近に向けて固定する構成を開示する。しかしながら、依然として処理基板面内の膜厚均一性が悪くなるといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−029441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板の面内膜厚均一性を向上させる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、処理室内に原料ガスを含むガスを供給する複数のガス供給管と、前記原料ガスを前記ガス供給管に供給するガス配管と、を少なくとも有するガス供給系と、前記ガス配管に設けられ、前記原料ガスの流量を制御する流量制御器と、を少なくとも有するガス供給制御系と、前記流量制御器をそれぞれ制御して、前記ガス供給管から前記処理室に供給される前記原料ガスの流量を制御すると共に、前記処理室内に供給される少なくとも前記原料ガスを含むガスの流量を前記ガス供給管毎に調整しつつ、前記複数のガス供給管のうち、前記処理室内に配置される基板の中心に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速を、前記処理室内に配置される基板の外周部に向けて前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流量及び流速より大きくなるよう制御する制御部と、を備えた構成が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板の面内膜厚均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の斜透視図である。
図2】本発明の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
図3図2のA−A線断面図であって、本発明の実施形態におけるガス供給例を示す図である。
図4図1に示す基板処理装置で好適に用いられるコントローラの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施形態におけるガス供給例を示す図である。
図6】本発明の第3の実施形態におけるガス供給例を示す図である。
図7】本発明の第4の実施形態におけるガス供給例を示す図である。
図8】本発明の他の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に即して説明する。
<基板処理装置の構成>
本発明を実施するための形態において、半導体装置(IC)の製造工程の1工程としての基板処理工程を実施する基板処理装置の構成例について、図1を用いて説明する。なお、以下の説明では、基板処理装置として成膜処理を行う縦型の基板処理装置に適用した場合について述べるが、酸化、拡散処理などを行う縦型の基板処理装置に適用することもできる。
【0011】
図1は、本発明が適用される基板処理装置の斜透視図である。図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る基板処理装置101は、筐体111を備え、シリコン等からなる基板であるウエハ200を筐体111内外へ搬送するために、ウエハキャリア(基板収容器)としてカセット110が使用される。
【0012】
筐体111の正面前方側にはカセットステージ(基板収容器受渡し台)114が設置されている。カセット110は、筐体111外の工程内搬送装置(図示せず)によって、カセットステージ114上に搬入、載置され、また、カセットステージ114上から筐体111外へ搬出されるように構成されている。
【0013】
筐体111内の前後方向における略中央部には、カセット棚(基板収容器載置棚)105が設置されている。カセット棚105は、複数段、複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105の一部として、移載棚123が設けられ、移載棚123には、後述するウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される。
【0014】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、カセット110を保持したまま水平動作が可能なカセット水平搬送機構(基板収容器水平搬送機構)118bとで構成されている。カセットエレベータ118aとカセット水平搬送機構118bとの連係動作により、カセット搬送装置118は、カセットステージ114、カセット棚105、移載棚123の間で、カセット110を搬送することができる。
【0015】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転乃至直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとを備えている。また、ウエハ移載装置125aは、ウエハ200を水平姿勢で保持するツイーザ(基板移載用保持具)125cを備えている。これらウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連係動作により、ウエハ200を移載棚123上のカセット110内からピックアップして、後述するボート(基板保持具)217へ装填(チャージング)したり、ウエハ200をボート217から脱装(ディスチャージング)して、移載棚123上のカセット110内へ収納したりすることができる。
【0016】
筐体111の後側上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉可能なように構成されている。処理炉202の構成については後述する。
【0017】
処理炉202の下方には、ボート217を昇降させて処理炉202内外へ搬送する機構としてのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115には、昇降台としてのアーム128が設置されている。アーム128上には、シールキャップ219が水平姿勢で設置されている。シールキャップ219は、ボート217を垂直に支持するとともに、ボートエレベータ115によりボート217が上昇したときに、処理炉202の下端部を気密に閉塞する蓋体として機能するものである。
【0018】
ボート217は、複数本のウエハ保持部材212を備えており、複数枚(例えば、50枚〜150枚程度)のウエハ200を水平姿勢で、かつ、その中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて、多段に積層して保持するように構成されている。ボート217の詳細な構成については後述する。
【0019】
<基板処理装置の動作概要>
次に、本発明に係る基板処理装置101の動作概要について、図1を用いて説明する。
なお、基板処理装置101は、後述するコントローラ280により制御されるものである。まず、カセット110が、図示しない工程内搬送装置によって、カセットステージ114上に載置される。
【0020】
カセットステージ114上のカセット110は、カセット搬送装置118によって、カセット棚105の指定された位置へ自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、再びカセット搬送装置118によって、前記カセット棚105の保管位置から移載棚123に搬送される。あるいは、カセットステージ114上のカセット110は、カセット搬送装置118によって、直接、移載棚123に搬送される。
【0021】
カセット110が移載棚123に搬送されると、ウエハ200は、ウエハ移載装置125aのツイーザ125cによって、カセット110のウエハ出し入れ口からピックアップされ、ウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連係動作により、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aは、カセット110側に戻り、次のウエハ200をカセット110からピックアップしてボート217に装填する。
【0022】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ147が開放動作され、処理炉202の下端部の開口が開放される。続いて、ボート217を載置したシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理対象のウエハ200群を保持したボート217が、処理炉202内へ搬入(ボートローディング)される。ボートローディング後は、シールキャップ219により処理炉202の下端部開口が閉じられ、処理炉202にてウエハ200に任意の処理が実施される。かかる処理については後述する。
【0023】
処理後は、ウエハ200およびカセット110は、上述の手順とは逆の手順で、筐体111の外部へ払い出される。すなわち、ボート217を載置したシールキャップ219がボートエレベータ115によって下降され、ボート217上のウエハ200がウエハ移載機構125によってピックアップされて、移載棚123上のカセット110へ受け渡される。移載棚123上のカセット110は、カセット搬送装置118によって、カセット棚105に一時的に保管された後、カセットステージ114に搬送されるか、あるいは、カセット搬送装置118によって、直接、カセットステージ114に搬送される。カセットステージ114上のカセット110は、工程内搬送装置により、筐体111の外部へ払い出される。
【0024】
<処理炉の構成>
次に、本実施形態に係る処理炉202の構成について、図2図4を用いて説明する。
【0025】
(反応管)
処理炉202は、その内側に、縦形の反応管203を備えている。反応管203は、上端が閉塞され下端が開口された略円筒形状をしており、開口された下端が下方を向くように、かつ、筒方向の中心線が垂直になるように縦向きに配置され、筐体111によって固定的に支持されている。反応管203は、本例では、石英(SiO2)や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性の高い材料によって、略円筒形状に一体成形されている。
反応管203内には、基板保持具としてのボート217によって水平姿勢で多段に積層され、複数枚のウエハ200を収容して処理する処理室201が形成される。反応管203の内径は、ウエハ200群を保持するボート217の最大外径よりも大きくなるように設定されている。
反応管203の下端部は、その水平断面が略円形リング形状である炉口部209によって気密に封止されている。反応管203は、その保守点検作業や清掃作業のために、炉口部209に着脱自在に取り付けられている。炉口部209が筐体111に支持されることにより、反応管203は、筐体111に垂直に据え付けられた状態になっている。
【0026】
(排気ライン)
炉口部209の側壁の一部には、処理室201内の雰囲気を排気する排気ラインとしての排気管231が接続されている。炉口部209と排気管231との接続部には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口205が形成されている。排気管231には、上流から順に、圧力センサ245、圧力調整バルブとしてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243、真空排気装置としての真空ポンプ246が設けられている。真空ポンプ246は、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気しうるように構成されている。APCバルブ243、圧力センサ245及び真空ポンプ246は、コントローラ280に電気的に接続され、圧力制御系が構成される。
【0027】
(基板保持具)
炉口部209には、炉口部209の下端開口を閉塞するシールキャップ219が、垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は反応管203の外径と同等以上の外径を有する円盤形状に形成されており、反応管203の外部に垂直に設備されたボートエレベータ115によって、前記円盤形状を水平姿勢に保った状態で垂直方向に昇降されるように構成されている。
シールキャップ219上には、ウエハ200を保持する基板保持具としてのボート217が垂直に支持されるようになっている。ボート217は、上下で一対の端板210、211と、両端板210、211間に渡って垂直に設けられた複数本、本例では4本のウエハ保持部材212とを備えている。端板210、211及びウエハ保持部材212は、例えば、石英(SiO2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性の高い材料から構成される。
各ウエハ保持部材212には、水平方向に刻まれた多数条の保持溝が、長手方向にわたって等間隔に設けられている。ウエハ200の周縁が、複数本のウエハ保持部材212における同一の段の保持溝内に、それぞれ挿入されることにより、複数枚のウエハ200は、水平姿勢、かつ互いにウエハの中心を揃えた状態で多段に積層されて保持されるように構成されている。
【0028】
また、ボート217とシールキャップ219との間には、例えば、石英(SiO2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料からなる円盤形状をした複数枚の断熱板218が、水平姿勢で多段に積層されて保持されるように構成されている。断熱板218によって、後述するヒータ207からの熱が、炉口部209側に伝わるのを抑止する。
【0029】
シールキャップ219の下側(処理室201と反対側)には、ボート217を回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267のボート回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。ボート回転軸255を回転させることにより、処理室201内にてウエハ200を回転させることが可能となる。シールキャップ219は、上述のボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これにより、ボート217を処理室201内外に搬送することが可能となっている。
ボート回転機構267及びボートエレベータ115は、コントローラ280に電気的に接続され、駆動制御系が構成される。
【0030】
(ヒータ)
反応管203の外部には、反応管203内を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱する加熱機構としてのヒータ207が、反応管203を包囲するように設けられている。ヒータ207は、基板処理装置101の筐体111に支持されることにより垂直に据え付けられた状態になっており、例えば、カーボンヒータ等の抵抗加熱ヒータにより構成されている。
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ207と温度センサ263は、コントローラ280に電気的に接続され、温度制御系が構成される。
【0031】
(ガス供給系)
処理室201内には、ガス供給管としてのノズル410(第1ガス供給管),ノズル420(第2ガス供給管),ノズル430(パージガス供給管)が炉口部209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420には,原料ガスを供給するためのガス配管310,320が、それぞれ接続されている。また、ノズル430には、例えば、パージガスとして、不活性ガスを供給するためのガス配管330が接続されている。このように、反応管203には3本のノズル410,420,430と、3本のガス配管310,320,330とが設けられている。
【0032】
ノズル410,420,430の側面にはガスを供給する(噴出させる)ガス供給孔410a,420a,430aがそれぞれ設けられている。ガス供給孔410a,430aは反応管203の中心を向くように開口している。ガス供給孔420aは反応管203の外周部を向くように開口している。このガス供給孔410a,420a,430aは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。
【0033】
ガス配管310,320,330には上流側から順に流量を制御する流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322,332および開閉弁であるバルブ314,324,334がそれぞれ設けられている。ガス配管310,320,330の先端部にはそれぞれノズル410,420,430が連結接続されている。ノズル410,420,430は、L字型のロングノズルとして構成されており、その水平部は炉口部209の側壁を貫通するように設けられている。ノズル410,420,430の垂直部は、反応管203の内壁とウエハ200との間に形成される円環状の空間に、反応管203の内壁に沿って上方(ウエハ200の積載方向上方)に向かって立ち上がるように(つまりウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように)設けられている。すなわち、ノズル410,420,430は、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。
【0034】
このように、本実施形態におけるガス供給の方法は、反応管203の内壁と、積載された複数枚のウエハ200の端部とで定義される円環状の縦長の空間内、すなわち、円筒状の空間内に配置したノズル410,420,430を経由してガスを搬送し、ノズル410,420,430にそれぞれ開口されたガス供給孔410a,420a,430aからウエハ200の近傍で初めて反応管203内にガスを噴出させており、反応管203内におけるガスの主たる流れをウエハ200の表面と平行な方向、すなわち水平方向としている。このような構成とすることで、各ウエハ200に均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚を均一にできる効果がある。なお、各ウエハ200の表面上を流れたガス、すなわち、反応後に残留するガス(残ガス)は、排気口、すなわち、後述する排気管231の方向に向かって流れるが、この残ガスの流れの方向は、排気口の位置によって適宜特定され、垂直方向に限ったものではない。
【0035】
また、ガス配管310,320には、例えば、キャリアガスとしての、不活性ガスを供給するための不活性ガス配管510,520がそれぞれ接続されている。不活性ガス配管510,520には上流側から順にMFC512,522およびバルブ514,524がそれぞれ設けられている。
【0036】
上記構成における一例として、ガス配管310からは、処理ガスとして、原料ガスが、MFC312、バルブ314及びノズル410を介して処理室内201内に供給される。また、ガス配管320からは、処理ガスとして、ガス配管310から供給される原料ガスと同一の原料ガスが、MFC322、バルブ324及びノズル420を介して処理室201内に供給される。原料ガスとしては、ジクロロシラン(SiH2Cl2,略称DCS)ガス、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6,略称HCDS)ガス等のSi含有ガスが用いられる。尚、本実施形態において、ガス配管310,320から供給される原料ガスは、同一の原料として説明するが、同一の原料に限定されず、同種の原料であればよいのは言うまでもない。
【0037】
ガス配管330からは、例えば、パージガスとしての、不活性ガスが、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201内に供給される。不活性ガスとしては、窒素(N2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne),アルゴン(Ar),クリプトン(Kr),キセノン(Xe)ガス等を用いることができる。
【0038】
不活性ガス配管510,520からは、キャリアガスとしての不活性ガスが、それぞれMFC512,522、バルブ514,524、ノズル410,420を介して処理室201内に供給される。不活性ガスとしては、N2、He、Ne,Ar,Kr,Xeガス等を用いることができる。
【0039】
ガス配管310,320,330,510,520から上述のような処理ガスを流す場合、主に、ガス配管310,320,330,510,520、MFC312,322,332,512,522、バルブ314,324,334,514,524により処理ガス供給系が構成される。ノズル410,420,430を処理ガス供給系に含めて考えてもよい。処理ガス供給系を、単にガス供給系と称することもできる。また、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246による炉内の圧力調整により、ノズル410,420,430から供給される処理ガスを含むガスの流速が制御されるので圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246を処理ガス供給系(ガス供給系)に含めて考えてもよい。
【0040】
ガス配管310,320から上述のような原料ガスを流す場合、主に、ガス配管310,320、MFC312,322、バルブ314,324により原料ガス供給系が構成される。また、不活性ガス配管510,520、MFC512,522、バルブ514,524を含めてもよく、ノズル410,420を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0041】
また、ガス配管330、MFC332、バルブ334により不活性ガス供給系が構成される。ノズル430を不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。この不活性ガスは、パージガスとしも作用することから不活性ガス供給系をパージガス供給系と称することもできる。
【0042】
MFC312,322,332,512,522、バルブ314,324,334,514,524は、コントローラ280に電気的に接続され、処理ガス供給制御系(ガス供給制御系)が構成される。また、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246を処理ガス供給制御系(ガス供給制御系)に含めて考えてもよい。
【0043】
(制御系)
図4に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)280a,RAM(Random Access Memory)280b,記憶装置280c,I/Oポート280dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM280b,記憶装置280c,I/Oポート280dは、内部バス280eを介して、CPU280aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ280には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置282が接続されている。
【0044】
記憶装置280cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置280c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM280bは、CPU280aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0045】
I/Oポート280dは、上述のMFC312,322,332,512,522、バルブ314,324,334,514,524、APCバルブ243、圧力センサ245、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
【0046】
CPU280aは、記憶装置280cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置282からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。CPU280aは、読み出したプロセスレシピに従って、MFC312,322,332,512,522による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,514,524の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作およびAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
【0047】
コントローラ280は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)283に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置280cや外部記憶装置283は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置280c単体のみを含む場合、外部記憶装置283単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置283を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0048】
<半導体デバイスの製造方法>
次に、上述の基板処理装置の処理炉202を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する方法の例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0049】
ここで、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0050】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(または膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(または膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0051】
また、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0052】
<本発明の第1の実施形態>
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0053】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように圧力センサ245、APCバルブ243および真空ポンプ246によって圧力調整される。また、処理室201内が所望の温度となるように温度センサ263及びヒータ207によって加熱・温度調整される。
【0054】
(成膜処理)
真空ポンプ246を作動させたまま、ノズル410,420から同一の原料ガスを流す。
ここで、図3において、矢印の長さはガス供給孔410a,420aから供給される原料ガスの流速を示し、矢印の太さはガス供給孔410a,420aから供給される原料ガスの流量を示している。矢印が長いほど原料ガスの流速が大きく、矢印の太さが太いほど原料ガスの流量が大きいことを示している。
【0055】
まず、バルブ314を開き、ガス配管310内に原料ガスを流す。ガス配管310内を流れた原料ガスはMFC312により流量調整され、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201内のウエハ200の中心に向けて供給され、排気管231から排気される。このとき同時にバルブ514を開き、不活性ガス配管510内に不活性ガスを流す。不活性ガス配管510内を流れた不活性ガスはMFC512により流量調整され、原料ガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0056】
このとき同時にバルブ324を開き、ガス配管320内に原料ガス流す。ガス配管320内を流れた原料ガスはMFC322により流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから、ガス供給孔410aから供給される原料ガスと比較して小流量の原料ガスが処理室201内のウエハ200の外周部に向けて供給され、排気管231から排気される。このとき同時にバルブ524を開き、不活性ガス配管520内に不活性ガスを流す。不活性ガス供給管520内を流れた不活性ガスはMFC522により流量調整され、原料ガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。
【0057】
ここで、炉内は、圧力センサ245、APCバルブ243および真空ポンプ246によって圧力調整され、ガス供給孔410aから供給される原料ガスの流速とガス供給孔420aから供給される原料ガスの流速は、MFC312、MFC322によって流量が制御され大流量では流速が速く、小流量なら流速が遅いという具合に制御される。また原料ガスの流量を変えずに流速を制御したい場合には、同時にバルブ514を開き、不活性ガス配管510内に不活性ガスを流す。不活性ガス配管510内を流れた不活性ガスはMFC512により流量調整され、原料ガスと一緒に処理室201内へ供給する。この場合、原料ガスと不活性ガスの合計流量で流速を制御する。同様にバルブ524を開き、不活性ガス配管520内に不活性ガスを流す。不活性ガス配管520内を流れた不活性ガスはMFC522により流量調整され、原料ガスと一緒に処理室201内へ供給してもよい。これらはどちらか一方を実施しても、同時に実施してもよい。
【0058】
このとき、同時にバルブ334を開き、ガス配管330内に不活性ガスを流し、ガス配管330内を流れた不活性ガスはMFC332により流量調整され、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0059】
すなわち、ノズル410からは大流量の原料ガスを含むガスが速い流速でウエハ200の中心に向けて供給されてウエハ200の中心の成膜に寄与される。また、ノズル420からは小流量の原料ガスを含むガスが遅い流速でウエハ200の外周部に向けて供給されてウエハ200の外周部の成膜に寄与される。ここで、原料ガスを含むガスは、原料ガス、原料ガスと不活性ガスの混合ガスである。
このように、ウエハ200の中心部、及びウエハ200の外周部への原料ガスの供給を複数のノズルで分担して行うことでウエハ200の表面に均一なガス供給が実現される。
【0060】
なお、各ノズルから供給される原料ガスの流量及び各ノズルから供給される原料ガスを含むガスの流速を異なるようにする例について説明したが、これに限らず、各ノズルから供給される不活性ガスの流量及び流速を異なるようにしてもよい。具体的には、MFC512,522をそれぞれ制御して、2つのノズル410,420から供給される不活性ガスの流量及び流速を制御してもよい。不活性ガスの流量及び流速を異なるように制御しても、原料ガスの濃度調整や原料ガスの流速を調整できる。尚、同一の原料ガス(同じ組成式を有するガス)に限定されず、同じ種類の原料ガスであればよい。
【0061】
ウエハ200の表面に、例えば、シリコン(Si)含有膜が形成された後、バルブ314,324を閉じて原料ガスの供給を停止する。このとき、排気管231のAPCバルブ243は開いたままとし、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、残留した原料ガスを処理室201内から排除する。
【0062】
そして、N2ガス等の不活性ガスがノズル410,420,430から処理室201内に供給されつつ排気されることで処理室201内が不活性ガスでパージされる(ガスパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0063】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、炉口部209の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で炉口部209の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、処理済ウエハ200はボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0064】
以下、第2の実施形態乃至第4の実施形態について、上述の実施形態と同様の部分については詳細な説明は省略し、上述の実施形態と異なる部分について説明する。
【0065】
<本発明の第2の実施形態>
本実施形態では、図5に示すように、大流量の原料ガスを供給するノズル410と,小流量の原料ガスを供給するノズル420とを離間して設ける。
大流量の原料ガスを速い流速でウエハ200の中心に向けて供給するノズル410と、小流量の原料ガスを遅い流速でウエハ200の外周部に向けて供給するノズル420とを離間して設けることにより、ノズル420から供給された原料ガスがノズル410から供給された大流量の原料ガスの流れに巻き込まれにくくなり、ウエハ200外周への原料供給を効率的に行うことができる。
また、ノズル410,420それぞれ不活性ガス配管が接続され、それぞれの不活性ガス配管にMFCとバルブが設けられている。それぞれの不活性ガス配管に設けられたMFCを制御して、ノズル410,420から供給される不活性ガスの流量を制御して、原料ガスの濃度や原料ガスの流速が調整されるように構成されている。これにより、ウエハ200に均一に成膜に寄与する原料ガスが供給されるので、ウエハ200面内の膜厚均一性を向上させることができる。
【0066】
<本発明の第3の実施形態>
本実施形態では、図6に示すように、同一の原料ガスを供給するノズルを5つ設ける。これら5つのノズルからは、それぞれ流量の異なる原料ガスを供給する。
具体的には、上述の実施形態のノズル410,420,430に加えて処理室201内にノズル440,450,460を設ける。ノズル440,450,460には、ノズル410,420と同一の原料ガスを処理室201内に供給するガス配管340,350,360がそれぞれ接続される。ガス配管340,350,360には、それぞれ上流側から不図示のMFC、バルブが設けられている。すなわち、MFCの制御により、ノズル410,420,440,450,460から供給される原料ガスを含むガスの流量がそれぞれ制御される。また、炉内は、圧力センサ245、APCバルブ243および真空ポンプ246によって圧力調整され、ノズル410,420,440,450,460から供給される原料ガスの流速が制御される。
本実施形態では、ノズル410から大流量で速い流速で原料ガスを供給するようにし、ノズル410から離れるにつれて小流量で遅い流速で原料ガスを供給するようにしているが、これに限らず、用途に合わせて任意に変更してもよい。また、ノズルは隣接せずに処理室201内の任意の位置に設置してもよい。尚、ノズルの本数及びノズルの構成についても用途に合わせて任意に変更してもよい。
また、ノズル410,420,440,450,460には、それぞれ不活性ガス配管が接続され、それぞれの不活性ガス配管にMFCとバルブが設けられている。それぞれの不活性ガス配管に設けられたMFCを制御して、5つのノズル410,420,440,450,460から供給される不活性ガスの流量を制御して、原料ガスの濃度や原料ガスの流速が調整されるように構成されている。これにより、ウエハ200に均一に成膜に寄与する原料ガスが供給されるので、ウエハ200面内の膜厚均一性を向上させることができる。
【0067】
<本発明の第4の実施形態>
本実施形態では、図7に示すように、内径の異なる複数のノズルを用いて原料ガスを供給する。
具体的には、内径の小さいノズル470と内径の大きいノズル480とを用いる。ノズル470,480には、それぞれ同一の原料ガスを供給するガス配管370,380が接続される。ガス配管370,380には、それぞれ上流側から不図示のMFC、バルブが設けられている。また、ノズル470,480には、それぞれ不活性ガス配管が接続され、それぞれの不活性ガス配管にMFCとバルブが設けられている。
本実施形態では、内径の異なる2つのノズルを用いることにより、原料ガスの流量及び各ノズル470,480から供給される原料ガスを含むガスの流速を異なるようにする。また、炉内は、圧力センサ245、APCバルブ243および真空ポンプ246によって圧力調整される。
ノズル470からは、小流量の原料ガスが速い流速でウエハ200の中心に向けて供給される。ノズル480からは、大流量の原料ガスが遅い流速でウエハ200の外周部に向けて供給される。
それぞれの不活性ガス配管に設けられたMFCとバルブを制御して、ノズル470,480から供給される不活性ガスの流量を制御して、原料ガスの濃度や原料ガスの流速が調整されるように構成されている。これにより、ウエハ200に均一に成膜に寄与する原料ガスが供給されるので、ウエハ200面内の膜厚均一性を向上させることができる。
【0068】
なお、上述した実施形態では、内径の異なる2本のノズルを用いて原料ガスを供給する構成について説明したが、これに限らず、複数本のノズルを用いればよく、上述した第2の実施形態同様にノズル470,480を離間して設けてもよい。
【0069】
各実施形態のように、同一の原料を供給するノズルを複数本設け、各々のノズルから供給されるガスの流量及び流速を異なるようにすることにより、基板の面内膜厚均一性を向上させることができる。また、基板の中心部、外周部への原料ガスの供給を複数のノズルで分けることで基板面内への効率的なガス供給が実現される。
【0070】
すなわち、ウエハ面内に対して特定の位置への原料供給、あるいはパージを行い、原料供給の最適化及び副生成物などの成膜を阻害する要因となるものを効果的に取り除くことにより、処理室内に複数枚設置された処理基板の堆積膜の均一性を向上させ、高集積半導体デバイスの性能及び歩留まりを向上させることができる。
【0071】
<本発明の他の実施形態>
第1の実施形態と異なる構成は、不活性ガス配管330、MFC332、バルブ334に関する構成が異なるだけである。図8に示すように、図2とのガス供給系における構成の違いは、不活性ガス配管330、MFC332、バルブ334の不活性ガス供給系に替えて、ノズル430に反応ガス配管390、MFC392、バルブ394の反応ガス供給系を接続し、この反応ガス配管390に接続される不活性ガス配管530、MFC532、バルブ534を追加したところにある。
【0072】
以下、この構成の違いにおける半導体デバイスの製造方法に関して説明するが、他の実施形態について、上述の各実施形態と同様の部分については詳細な説明は省略し、上述の各実施形態と異なる部分について説明する。
【0073】
具体的には、基板としてのウエハ200に対して、原料ガスと反応ガスとを交互に供給することで、ウエハ200上に膜を形成する例について説明する。本実施形態では、原料ガスとしてヘキサクロロジシラン(Si2Cl6、略称:HCDS)ガスを用い、反応ガスとしてアンモニア(NH3)ガスを用い、ウエハ200上にシリコン窒化膜(Si34膜、以下、SiN膜ともいう)を形成する例について説明する。
【0074】
ここで、本実施形態における成膜処理では、処理室201内のウエハ200に対してHCDSガスを供給する工程と、処理室201内からHCDSガス(残留ガス)を除去する工程と、処理室201内のウエハ200に対してNH3ガスを供給する工程と、処理室201内からNH3ガス(残留ガス)を除去する工程と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ200上にSiN膜を形成する。
【0075】
本明細書では、この成膜シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。なお、以下の変形例や他の実施形態の説明においても、同様の表記を用いることとする。
【0076】
(HCDS→NH3)×n ⇒ SiN
【0077】
なお、以下の説明において、上述の各実施形態と同様、基板処理装置101を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。まず、成膜処理までの準備工程については、上述の各実施形態と同様である。
【0078】
(成膜処理)
処理室201内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の2つのステップ、すなわち、ステップ1〜2を順次実行する。
【0079】
[ステップ1]
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対し、HCDSガスを供給する。
【0080】
バルブ314、324を開き、処理室201内へHCDSガスを流す。具体的には、HCDSガスは、MFC312、322により流量調整され、ノズル410、420を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してHCDSガスが供給されることとなる。このとき、同時にバルブ514、524を開き、処理室201内へN2ガスを流す。N2ガスは、MFC512,522により流量調整され、HCDSガスと一緒に処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。ウエハ200に対してHCDSガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、第1の層として、例えば1原子層未満から数原子層の厚さのシリコン(Si)含有層が形成される。
【0081】
第1の層が形成された後、バルブ314、324を閉じ、HCDSガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後のHCDSガスを処理室201内から排出する。このとき、バルブ514、524を開いたままとして、N2ガスの処理室201内への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留するガスを処理室201内から排出する効果を高めることができる。
【0082】
このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排出しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップ2において悪影響が生じることはない。処理室201内へ供給するN2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量のN2ガスを供給することで、ステップ2において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。N2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0083】
[ステップ2]
ステップ1が終了した後、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1の層に対してNH3ガスを供給する。NH3ガスは熱で活性化されてウエハ200に対して供給されることとなる。
【0084】
このステップでは、バルブ394の開閉制御を、ステップ1におけるバルブ314,324の開閉制御と同様の手順で行う。NH3ガスは、MFC392により流量調整され、ノズル430を介して処理室201内へ供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してNH3ガスが供給されることとなる。ウエハ200に対して供給されたNH3ガスは、ステップ1でウエハ200上に形成された第1の層、すなわちSi含有層の少なくとも一部と反応する。これにより第1の層は、ノンプラズマで熱的に窒化され、SiおよびNを含む第2の層、すなわち、シリコン窒化層(SiN層)へと変化させられる(改質される)。なお、このとき、プラズマ励起させたNH3ガスをウエハ200に対して供給し、第1の層をプラズマ窒化することで、第1の層を第2の層(SiN層)へ変化させるようにしてもよい。
【0085】
第2の層が形成された後、バルブ394を閉じ、NH3ガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後のNH3ガスや反応副生成物を処理室201内から排出する。このとき、処理室201内に残留するガス等を完全に排出しなくてもよい点は、ステップ1と同様である。
【0086】
(所定回数実施)
上述した2つのステップを非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ200上に、所定組成および所定膜厚のSiN膜を形成することができる。なお、上述のサイクルは複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、上述のサイクルを1回行う際に形成される第2の層(SiN層)の厚さを所定の膜厚よりも小さくし、第2の層(SiN層)を積層することで形成されるSiN膜の膜厚が所定の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
【0087】
成膜処理が終了した後、例えば、第1の実施形態と同様にパージおよび大気圧復帰が行われ、その後、ボートアンロード及びウエハディスチャージ処理が行われる。
【0088】
上述した他の実施形態においても、同一の原料を供給するノズルを複数本設け、各々のノズルから供給されるガスの流量及び流速を異なるようにすることにより、基板の面内膜厚均一性を向上させることができる。
【0089】
上述のように、本発明によれば、以下に示す(a)〜(e)の効果のうち少なくとも1つまたは複数の効果を奏する。
【0090】
(a)本発明の実施形態によれば、ガス供給系は、処理室内に処理ガスを含むガスを供給するノズルと、ノズルに接続され、処理ガスを供給するためのガス配管と、ノズルに接続され、不活性ガスを供給するための不活性ガス配管とで構成されるので、ノズルから供給されるガスの流速を前記処理ガスと前記不活性ガスのそれぞれの流量で制御することができる。これにより、複数のノズルから処理室内に処理ガスを供給される処理ガスの流量及び流速を制御することができる。
【0091】
(b)本発明の実施形態によれば、処理室内に処理ガスを供給するノズルのうち、少なくとも一つのノズルから供給される処理ガスの流速を他のノズルから供給される処理ガスの流速よりも高くすることができる。これを利用して、例えば、基板の中心部、基板の外周部へのそれぞれの原料ガスの供給を複数のノズルで分けることで、基板面内への効率的なガス供給が実現される。従い、基板の表面に均一に処理ガスを供給することができる。
【0092】
(c)本発明の実施形態によれば、複数のノズルから処理室内に供給される処理ガスの流速をそれぞれ異ならせることができる。これを利用して、基板の表面に均一に処理ガスを供給することができる。
【0093】
(d)本発明の実施形態によれば、複数のノズルから処理室内に供給される同一の処理ガスの流量及び/又は流速を異ならせることができるので、ノズルの位置、ノズルの本数、ノズルから供給する処理ガスの流量、ノズルから供給される処理ガスを含むガスの流速を制御することができ、成膜に寄与する処理ガスの基板表面上の流れを均一に調整することができる。
【0094】
(e)本発明の実施形態によれば、複数のノズルから処理室内に供給される同種の処理ガスの流量、及び/又は、ノズルから供給される処理ガスの流速を制御することができ、また、ノズルの位置、ノズルの本数、ノズルの種類を変更して、成膜に寄与する処理ガスの流れを基板表面に均一に供給することができる。
【0095】
上述の各実施形態は、適宜組み合わせて用いることができる。さらに、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0096】
例えば、上述の実施形態では、原料ガスとしてHCDSガスを用いる例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、原料ガスとしては、HCDSガスの他、モノクロロシラン(SiH3Cl、略称:MCS)ガス、ジクロロシラン(SiH2Cl2、略称:DCS)ガス、トリクロロシラン(SiHCl3、略称:TCS)ガス、テトラクロロシランすなわちシリコンテトラクロライド(SiCl4、略称:STC)ガス、オクタクロロトリシラン(Si3Cl8、略称:OCTS)ガス等の無機系ハロシラン原料ガスや、トリスジメチルアミノシラン(Si[N(CH323H、略称:3DMAS)ガス、テトラキスジメチルアミノシラン(Si[N(CH324、略称:4DMAS)ガス、ビスジエチルアミノシラン(Si[N(C25222、略称:BDEAS)ガス、ビスターシャリブチルアミノシラン(SiH2[NH(C49)]2、略称:BTBAS)ガス等のハロゲン基非含有のアミノ系(アミン系)シラン原料ガスを用いることができる。また、原料ガスとしては、モノシラン(SiH4、略称:MS)ガス、ジシラン(Si26、略称:DS)ガス、トリシラン(Si38、略称:TS)ガス等のハロゲン基非含有の無機系シラン原料ガスを用いることができる。
【0097】
また、例えば、上述の実施形態では、反応ガスとしてNH3ガスを用いる例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、反応ガスとしては、NH3ガスの他、ジアゼン(N22)ガス、ヒドラジン(N24)ガス、N38ガス等の窒化水素系ガスや、これらの化合物を含むガス等を用いることができる。また、反応ガスとしては、トリエチルアミン((C253N、略称:TEA)ガス、ジエチルアミン((C252NH、略称:DEA)ガス、モノエチルアミン(C25NH2、略称:MEA)ガス等のエチルアミン系ガスや、トリメチルアミン((CH33N、略称:TMA)ガス、ジメチルアミン((CH32NH、略称:DMA)ガス、モノメチルアミン(CH3NH2、略称:MMA)ガス等のメチルアミン系ガス等を用いることができる。また、反応ガスとしては、トリメチルヒドラジン((CH322(CH3)H、略称:TMH)ガス等の有機ヒドラジン系ガス等を用いることができる。
【0098】
また、例えば、上述の実施形態では、原料ガスとしてHCDSガスを用い、反応ガスとしてNH3ガスのような窒素(N)含有ガス(窒化ガス)を用い、SiN膜を形成する例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、これらの他、もしくは、これらに加え、酸素(O2)ガス等の酸素(O)含有ガス(酸化ガス)、プロピレン(C36)ガス等の炭素(C)含有ガス、三塩化硼素(BCl3)ガス等の硼素(B)含有ガス等を用い、例えば、以下に示す成膜シーケンスにより、SiO膜、SiON膜、SiOCN膜、SiOC膜、SiCN膜、SiBN膜、SiBCN膜等を形成することができる。なお、各ガスを流す順番は適宜変更することができる。これらの成膜を行う場合においても、上述の実施形態と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0099】
(3DMAS→O3)×n ⇒ SiO
(HCDS→NH3→O2)×n ⇒ SiON
(HCDS→C36→O2→NH3)×n ⇒ SiOCN
(HCDS→TEA→O2)×n ⇒ SiOC
(HCDS→C36→NH3)×n ⇒ SiCN
(HCDS→BCl3→NH3)×n ⇒ SiBN
(HCDS→C36→BCl3→NH3)×n ⇒ SiBCN
【0100】
また、例えば、上述の実施形態では、SiN膜等のシリコン系絶縁膜を形成する例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、本発明は、ウエハ200上に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の金属元素を含む膜、すなわち、金属系膜を形成する場合においても、好適に適用可能である。
【0101】
例えば、本発明は、ウエハ200上に、TiN膜、TiO膜、TiON膜、TiOCN膜、TiOC膜、TiCN膜、TiBN膜、TiBCN膜、ZrN膜、ZrO膜、ZrON膜、ZrOCN膜、ZrOC膜、ZrCN膜、ZrBN膜、ZrBCN膜、HfN膜、HfO膜、HfON膜、HfOCN膜、HfOC膜、HfCN膜、HfBN膜、HfBCN膜、TaN膜、TaO膜、TaON膜、TaOCN膜、TaOC膜、TaCN膜、TaBN膜、TaBCN膜、NbN膜、NbO膜、NbON膜、NbOCN膜、NbOC膜、NbCN膜、NbBN膜、NbBCN膜、AlN膜、AlO膜、AlON膜、AlOCN膜、AlOC膜、AlCN膜、AlBN膜、AlBCN膜、MoN膜、MoO膜、MoON膜、MoOCN膜、MoOC膜、MoCN膜、MoBN膜、MoBCN膜、WN膜、WO膜、WON膜、WOCN膜、WOC膜、WCN膜、WBN膜、WBCN膜等を形成する場合にも、好適に適用可能である。またこれらの他、これらのいずれかに他の元素をドープ(添加)した膜、例えば、TiAlN膜、TaAlN膜、TiAlC膜、TaAlC膜、TiSiN、TiSiC膜等を形成する場合にも、好適に適用可能である。
【0102】
金属系膜を形成する場合、原料ガスとして、例えば、チタニウムテトラクロライド(TiCl4)ガス、チタニウムテトラフルオライド(TiF4)ガス、ジルコニウムテトラクロライド(ZrCl4)ガス、ジルコニウムテトラフルオライド(ZrF4)ガス、ハフニウムテトラクロライド(HfCl4)ガス、ハフニウムテトラフルオライド(HfF4)ガス、タンタルペンタクロライド(TaCl5)ガス、タンタルペンタフルオライド(TaF5)ガス、ニオビウムペンタクロライド(NbCl5)ガス、ニオビウムペンタフルオライド(NbF5)ガス、アルミニウムトリクロライド(AlCl3)ガス、アルミニウムトリフルオライド(AlF3)ガス、モリブデンペンタクロライド(MoCl5)ガス、モリブデンペンタフルオライド(MoF5)ガス、タングステンヘキサクロライド(WCl6)ガス、タングステンヘキサフルオライド(WF6)ガス等の金属元素およびハロゲン元素を含む無機金属原料ガスを用いることができる。また、原料ガスとして、例えば、トリメチルアルミニウム(Al(CH33、略称:TMA)ガス等の金属元素および炭素を含む有機金属原料ガスを用いることもできる。反応ガスとしては、上述の実施形態と同様なガスを用いることができる。
【0103】
例えば、以下に示す成膜シーケンスにより、ウエハ200上に、TiN膜、TiO膜、TiON膜、TiCN膜、TiAlC膜、TiAlN、TiSiN膜等を形成することができる。
【0104】
(TiCl4→NH3)×n ⇒ TiN
(TiCl4→O2)×n ⇒ TiO
(TiCl4→NH3→O2)×n ⇒ TiON
(TiCl4→C36→NH3)×n ⇒ TiCN
(TiCl4→TMA)×n ⇒ TiAlC
(TiCl4→TMA→NH3)×n ⇒ TiAlN
(TiCl4→HCDS→NH3)×n ⇒ TiSiN
【0105】
なお、各ガスを流す順番は適宜変更することができる。これらの成膜を行う場合においても、上述の実施形態と同様な処理条件にて成膜を行うことができ、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0106】
すなわち、本発明は、半導体元素や金属元素等の所定元素を含む膜を形成する場合に好適に適用することができる。
【0107】
また、上述の実施形態では、ウエハ200上に膜を堆積させる例について説明した。しかしながら、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、ウエハ200やウエハ200上に形成された膜等に対して、酸化処理、拡散処理、アニール処理、エッチング処理等の処理を行う場合にも、好適に適用可能である。
【0108】
また、上述の実施形態や変形例は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理条件は、例えば上述の実施形態や変形例と同様な処理条件とすることができる。
【0109】
また、上述の実施形態では、不活性ガスとして、N2ガスを用いる例について説明しているが、これに限らず、Arガス、Heガス、Neガス、Krガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。質量数の違いにより、例えばN2に比べて質量数の大きなArを用いることでより直進性を持ったガス流れを実現でき、ウエハ面内で異なるパージ効果を得ることができる。また、不活性ガスは、1種のみではなく複数種を組み合わせてもよい。複数種を組み合わせて用いることでその効果の幅を広げることができる。
【0110】
また、上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置であって、1つの反応管内に処理ガスを供給するノズルが立設される例について説明したが、これに限らず、2つの反応管(外側の反応管をアウタチューブ、内側の反応管をインナチューブと称する)を有し、インナチューブ内にノズルが立設する場合にも適用可能である。各ノズルから処理室内に供給される処理ガス(原料ガス)についても、同じ種類のガス(例えば、シラン系ガス(ノズル410は、SiH4ガス、ノズル420は、Si26ガス等)、また、ハロシラン系ガス(ノズル410は、HCDSガス、ノズル420は、SiH2Cl2ガス等))で有ればよく、用途に応じて適宜任意に変更してもよい。
【0111】
これらの各種薄膜の形成に用いられるプロセスレシピ(処理手順や処理条件等が記載されたプログラム)は、基板処理の内容(形成する薄膜の膜種、組成比、膜質、膜厚、処理手順、処理条件等)に応じて、それぞれ個別に用意する(複数用意する)ことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理の内容に応じて、複数のプロセスレシピの中から、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。具体的には、基板処理の内容に応じて個別に用意された複数のプロセスレシピを、電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体(外部記憶装置283)を介して、基板処理装置が備える記憶装置280c内に予め格納(インストール)しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、基板処理装置が備えるCPU280aが、記憶装置280c内に格納された複数のプロセスレシピの中から、基板処理の内容に応じて、適正なプロセスレシピを適宜選択することが好ましい。このように構成することで、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の薄膜を汎用的に、かつ、再現性よく形成できるようになる。また、オペレータの操作負担(処理手順や処理条件等の入力負担等)を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
【0112】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のプロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【0113】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0114】
[付記1]
本発明の一態様によれば、処理室内に原料ガスを含むガスを供給する複数のガス供給管と、前記原料ガスを含むガスを前記ガス供給管に供給するガス配管と、を少なくとも有するガス供給系と、前記ガス配管に設けられ、前記原料ガスの流量を制御する流量制御器と、を少なくとも有するガス供給制御系と、前記流量制御器をそれぞれ制御して、前記ガス供給管から前記処理室に供給される前記原料ガスの流量を制御すると共に、前記処理室内に供給される少なくとも前記原料ガスを含むガスの流量を前記ガス供給管毎に調整し、前記複数のガス供給管のうち少なくとも一つのガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速を他のガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速より大きくなるよう制御する制御部と、を備えた基板処理装置が提供される。
【0115】
[付記2]
付記1に記載の基板処理装置であって、更に、好ましくは、前記ガス供給系(原料供給システム)は、前記ガス供給管(原料供給ノズル)の各々に原料ガスの流量を調整するように構成される。
【0116】
[付記3]
付記1又は付記2に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記ガス供給系(原料供給システム)は、前記ガス供給管(原料供給ノズル)と、原料ガスの他、キャリアガスとして、原料ガスを希釈する希釈ガスとして、及び処理室をパージするパージガスとして、不活性ガスを供給するように構成される。
【0117】
[付記4]
付記1又は付記2に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記ガス供給系(原料供給システム)は、前記ガス供給管(原料供給ノズル)と、原料ガスを含むガスを前記ガス供給管に供給するガス配管と、不活性ガスを前記ガス供給管に導入する不活性ガス配管と、を含むように構成される。
【0118】
[付記5]
付記1に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記複数のガス供給管(原料供給ノズル)がそれぞれ隣接して設けられるように構成される。
【0119】
[付記6]
付記1に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記複数のガス供給管(原料供給ノズル)がそれぞれ離間して設けられるように構成される。
【0120】
[付記7]
付記1に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記複数のガス供給管(原料供給ノズル)が、2本以上設けられるように構成される。
【0121】
[付記8]
付記7に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記複数のガス供給管(原料供給ノズル)から供給されるガスの流量をそれぞれ異ならせるように構成される。
【0122】
[付記9]
付記1に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記ガス供給系(原料供給システム)は、パージの際に前記複数のガス供給管(原料供給ノズル)の各々から不活性ガスを導入し、前記原料ガスを供給するときと同様にガスの流量を変化させるように構成される。
【0123】
[付記10]
付記9に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記不活性ガスは、N2,He,Ne,Ar,Kr,Xeからなる群より選択される少なくとも一つを含む、または、組合せで用いられる。
【0124】
[付記11]
付記1に記載の基板処理装置であって、好ましくは、前記ガス供給制御系は、少なくとも前記複数のガス供給管(原料供給ノズル)のうち、一つのガス供給管(原料供給ノズル)から供給される前記原料ガスの流量を他のガス供給管(原料供給ノズル)から供給される前記原料ガスの流量より小さく、且つ、前記原料ガスを含むガスを大流量にするように構成される。
【0125】
[付記12]
本発明の他の態様によれば、基板を処理室内に搬入する工程と、前記処理室内に原料ガスを供給する複数のガス供給管から前記原料ガスを供給する工程と、を少なくとも有し、前記原料ガスを供給する工程では、前記ガス供給管から前記処理室に供給される前記原料ガスの流量を制御すると共に、前記ガス供給管のそれぞれから供給される前記原料ガスを含むガスの流量を調整し、少なくとも前記複数のガス供給管のうち一つのガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速を他のガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速より大きくする半導体装置の製造方法が提供される。
【0126】
[付記13]
本発明の更に他の態様によれば、処理室内に原料ガスを供給するための複数の孔を設けたガス供給管であって、一つのガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速を他のガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速より大きくするよう構成されるガス供給管が提供される。
【0127】
[付記14]
本発明の更に他の態様によれば、基板を処理室内に搬入する手順と、前記処理室内に原料ガスを供給する複数のガス供給管から前記原料ガスを供給する手順と、を有し、前記原料ガスを供給する手順では、前記ガス供給管から前記処理室に供給される前記原料ガスの流量を制御する手順と、前記ガス供給管のそれぞれから供給される前記原料ガスを含むガスの流量を調整し、少なくとも前記複数のガス供給管のうち一つのガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速を他のガス供給管から供給される前記原料ガスを含むガスの流速より大きくするようにする手順をコンピュータに実行させるプログラム、または、該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、例えば、半導体装置の製造方法、半導体ウエハやガラス基板等の基板を処理する基板処理装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0129】
101・・・基板処理装置
200・・・ウエハ
201・・・処理室
202・・・処理炉
203・・・反応管
207・・・ヒータ
231・・・排気管
243・・・APCバルブ
245・・・圧力センサ
246・・・真空ポンプ
280・・・コントローラ
310,320,330,390・・・ガス配管
510,520,530・・・・不活性ガス配管
312,322,332,392,512,522,532・・・マスフローコントローラ(MFC)
410,420,430・・・ノズル(ガス供給管)
410a,420a,430a・・・ガス供給孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8