【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、偏光紫外線分離素子に関する。本明細書で用語「偏光紫外線分離素子」は、上記素子に入射される光のうち偏光された状態の紫外線を抽出することができるように構成されたすべての種類の素子を意味することができる。上記で、偏光は、直線偏光、円編光または楕円偏光でありえ、1つの例示では、直線偏光でありえる。本明細書で、用語「紫外線」は、例えば、約250nm〜約350nm、約270nm〜約330nm、約290nm〜約310nmの波長領域の電磁気波を意味することができる。
【0008】
例示的な分離素子は、基材層と上記基材層上に形成された凸部とを含むことができる。上記凸部は、チタン金属複合酸化物を含んで形成されることができる。上記凸部は、ストライプ形状を有することができ、少なくとも2個以上の基材層上に形成されていてもよい。ストライプ形状に形成された凸部は、実質的に互いに平行に基材層上に配置されていてもよい。基材層上でストライプ形状に形成された凸部の数は、特に制限されず、例えば、分離しようとする紫外線の強さなどを考慮して選択されることができる。通常、上記凸部は、基材層上に5〜20Line/μm程度に存在することができる。
【0009】
上記分離素子は、広い波長領域の光、例えば広い波長領域の紫外線に対して優れた分離効率を示すことができる。分離素子の分離効率は、偏光消滅比によって規定されることができる。本明細書で用語「偏光消滅比」は、上記分離素子を透過する光のうち上記ストライプ形状の凸部と垂直する偏光の強さと上記凸部と水平である偏光の強さの比率を意味することができる。すなわち、上記分離素子は、上記凸部と直交するベクトルを有する光(いわゆるP偏光)を透過させ、上記凸部と水平であるベクトルを有する光(いわゆるS偏光)を反射させて、分離特性を示すことができ、このようなP及びS偏光の比率を通じて効率が規定されることができる。
【0010】
例えば、上記分離素子は、下記数式1によって計算されるRが2以上、15以上、20以上、25以上、30以上、35以上、40以上または45以上でありえる。上記数式1で計算されるRの上限は、特に制限されない。すなわち上記Rが大きいほど優れた効率を示すことを意味する。実用性を考慮して上記Rは、例えば、2,000以下、1,500以下、1,000以下、900以下、800以下、700以下、600以下、500以下、400以下、300以下、200以下または150以下でありえる。
【0011】
[数式1]
R=Tc/Tp
【0012】
数式1で、Tcは、上記ストライプ形状の凸部と直交する方向に偏光された250nm〜350nmの波長の光の上記偏光紫外線分離素子に対する透過度であり、Tpは、上記凸部と平行な方向に偏光された250nm〜350nmの波長の光の上記偏光紫外線分離素子に対する透過度である。上記数式1に適用される光の波長は、他の例示で約270nm〜約330nm、約290nm〜約310nm程度であってもよい。
【0013】
上記分離素子は、また、優れた透過率を示すことができ、上記で用語「透過率」は、上記分離素子に照射される光、例えば、紫外線のうち上記分離素子を透過した上記凸部と直交するベクトルを有する光(いわゆるP偏光)の強さを意味することができる。
【0014】
例えば、上記分離素子は、下記数式2によって計算されるPが0.2〜0.5でありえる。
【0015】
[数式2]
P=Tc/T
【0016】
数式2で、Tは、上記偏光紫外線分離素子に照射される250nm〜350nmの波長の光の強さであり、Tcは、上記照射された光のうち上記偏光紫外線分離素子を透過した上記ストライプ形状の凸部と直交する方向に偏光された250nm〜350nmの波長の光の強さである。上記数式2に適用される光の波長は、他の例示で、約270nm〜約330nm、約290nm〜約310nm程度であってもよい。
【0017】
図1は、例示的な偏光紫外線分離素子の断面を模式的に示す図であり、
図2は、例示的な偏光紫外線分離素子の上面を模式的に示す図である。
図1及び
図2のように、上記偏光紫外線分離素子は、基材層1及び上記基材層上に形成された凹凸2を含むことができる。
【0018】
凹凸2を形成する凸部2aは、
図2のように、ストライプ形状をもって互いに平行に配列されていてもよい。この場合、上記凸部2aの間には、上記凸部2aによって凹部2bが形成され、上記凸部2aのピッチ、幅及び高さは、紫外線に対する分離性能、例えば、上記偏光消滅比と透過率を満足するように調節されることができる。本明細書で用語「ピッチP」は、上記凸部2aの幅Wと凹部2bの幅を加えた距離を意味し(
図2を参照)、用語「高さ」は、上記凸部の高さHを意味する(
図1)。凸部の高さが凸部別に差異がある場合には、上記高さは、最も高い凸部の高さであるか、あるいは凸部の高さの平均値でありえる。
【0019】
偏光紫外線分離素子において、凸部は、チタン金属複合酸化物を含むことができ、このような複合酸化物には、例えば、金属がドーピングされた酸化チタンなどが含まれることができる。上記複合酸化物は、例えば、350nmの波長領域での透過度が10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.2%未満、または0.1%未満で形成されることができ、その下限は、特に限定されず、0.01%、または0.001%でありえる。1つの例示で、上記透過度は、上記分離素子100nm厚さを、通常的に使用する透過度測定機器で測定した値でありえる。複合酸化物が上記透過度を示すように構成されれば、通常的なチタン酸化物が使用されるか、またはアルミニウムなどが使用された場合に比べて広い紫外線波長範囲で分離効率が確保されることができる。
【0020】
上記複合酸化物に含まれる金属の種類や量は、上記複合酸化物が上記範囲の透過度を示すように選択されることができ、このような方式で選択されれば、その種類や量は、特に制限されない。例えば、上記チタン金属複合酸化物は、チタンを含み、また、Ni、Cr、Cu、Fe、B、V、Nb、Sb、Sn、Si及びAlから選択された1つ以上の第2金属を含むことができる。他の例示で、上記第2金属は、NiまたはCrでありえる。
【0021】
また、上記複合酸化物での上記第2金属の比率は、やはり前述した透過度を考慮して選択されることができ、例えば、1〜20mol%、2〜18mol%、または3〜15mol%でありえる。
【0022】
他の例示で上記複合酸化物は、下記化学式1で表示されることができる。
【0023】
[化学式1]
Ti
xM
yO
2
【0024】
化学式1で、Mは、Ni、Cr、Cu、Fe、B、V、Nb、Sb、Sn、Si及びAlよりなる群から選択される1種以上または1種の金属であり、yは、0.01〜0.2であり、xとyの和(x+y)は、1でありえる。他の例示で、上記Mは、NiまたはCrでありえる。また、他の例示で、上記yは、0.05〜0.15、または0.07〜1.13程度でありえる。
【0025】
上記凸部、すなわちストライプ形状で互いに実質的に平行に配置された凸部のピッチPは、例えば、50nm〜200nm、100nm〜180nm、110nm〜150nm、120nm〜150nm、130nm〜150nmまたは140nm〜150nm程度でありえる。上記ピッチPが200nmを超過する場合、適切な分離効率が確保されないことがある。
【0026】
1つの例示で、上記凸部によって形成される凹部には、誘電物質(dielectric material)が存在することができる。例示的な上記誘電物質の250nm〜350nm波長の光に対する屈折率は、1〜5の物質でありえる。上記誘電物質は、前述した範囲の屈折率を有する場合、特に制限されるものではなく、例えば、シリコンオキシド、マグネシウムフロライド、シリコンナイトライドまたは空気などが例示されることができる。1つの例示で、上記誘電物質が空気の場合には、上記凸部の凹部は、実質的に空いている状態(empty space)でありえる。
【0027】
1つの例示で、上記紫外線偏光紫外線分離素子は、下記数式3によって計算されるaが0.74〜10であり、bが0.5〜10でありえる。
【0028】
[数式3]
(a+bi)
2=n
12×(1−W/P)+n
22×W/P
【0029】
数式3で、iは、虚数単位であり、n
1は、上記誘電物質の250nm〜350nmの紫外線領域の波長のうちいずれか1つの長さの波長、例えば、300nm波長の光に対する屈折率であり、n
2は、上記凸部2aの250nm〜350nmの紫外線領域の波長のうちいずれか1つの長さの波長、例えば、300nmの波長の光に対する屈折率であり、Wは、上記凸部2aの幅であり、Pは、上記凸部2aのピッチである。
【0030】
ピッチPが上記数式3を満足するように形成される場合、120nm以上のピッチ範囲でも、短波長領域、例えば250nm〜350nmの光波場領域で0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.9以上の高い偏光度を有する偏光紫外線分離素子を得ることができる。上記偏光度値の上限は、特に制限されるものではないが、製造工程の経済性を考慮して0.98以下、0.95以下、0.93以下の値を有することができる。すなわち、上記偏光度が0.98を超過する場合、偏光紫外線分離素子の凸部の縦横比(Aspect ratio、凸部の幅/高さ)を高めなければならないし、この場合、偏光紫外線分離素子の製造が困難になり、製造工程が複雑になりえる。本明細書で用語「偏光度」は、照射される光の強度に対する偏光の強度を意味し、下記数式4のように計算される。
【0031】
[数式4]
偏光度D=(Tc−Tp)/(Tc+Tp)
【0032】
数式4で、Tcは、上記凸部2aと直交する方向に偏光された250nm〜350nmの波長の光の上記偏光紫外線分離素子に対する透過度であり、Tpは、上記凸部2aと平行な方向に偏光された250nm〜350nmの波長の光の上記偏光紫外線分離素子に対する透過度である。上記で平行というのは、実質的な平行を意味し、垂直というのは、実質的な垂直を意味する。
【0033】
また、1つの例示で、上記紫外線偏光紫外線分離素子は、下記数式5によって計算されるcが1.3〜10であり、dが0.013〜0.1でありえる。
【0034】
[数式5]
(c+di)
2=n
12×n
22/((1−W/P)×n
22+W×n
12/P)
【0035】
数式5で、iは、虚数単位であり、n
1は、上記誘電物質の250nm〜350nmの紫外線領域の波長のうちいずれか1つの長さの波長、例えば、300nm波長の光に対する屈折率であり、n
2は、上記凸部2aの250nm〜350nmの紫外線領域の波長のうちいずれか1つの長さの波長、例えば、300nm波長の光に対する屈折率であり、Wは、上記凸部2aの幅であり、Pは、上記凸部2aのピッチである。
【0036】
ピッチPと幅Wが上記数式3及び/または5を満足する場合、優れた偏光分離特性を有するための適切な透過率を有することができる。
【0037】
凸部2aの高さHは、特に制限されるものではないが、例えば、20nm〜300nm、50nm〜200nm、100nm〜150nm、150nm〜250nmまたは200nm〜280nmでありえる。凸部2aの高さHが300nmを超過する場合、吸収される光量が増加し、必要な絶対光量が低くなりえる。したがって、上記凸部2aの高さHが前述した範囲内で形成される場合、吸収される光量が多くないため、適合な偏光紫外線分離素子の製造が可能であり、上記偏光紫外線分離素子が優れた紫外線透過率を維持しながらも、円滑な偏光分離性能を実現することができる。また、同一のピッチPで凸部2aの高さHが厚くなるによって縦横比が増加するようになり、パターン製造容易性が低下することを防止することができる。
【0038】
凸部2aの幅Wは、特に制限されるものではないが、例えば、10nm〜160nmでありえ、特に凸部2aのピッチが50nm〜150nmの場合、例えば、10nm〜120nm、30nm〜100nm、50nm〜80nmでありえる。
【0039】
凸部2aの曲線因子(fill−factor)は、0.2〜0.8でありえ、例えば、0.3〜0.6、0.4〜0.7、0.5〜0.75または0.45でありえる。上記凸部の曲線因子が上記数値範囲を満足する場合、円滑な偏光分離性能を実現することができ、吸収される光量が多くないため、偏光紫外線分離素子の偏光特性が低下することを防止することができる。本明細書で使用される用語「凸部の曲線因子(fill−factor)」は、凸部のピッチPに対する上記凸部の幅Wの比率W/Pを意味する。
【0040】
例示的な偏光紫外線分離素子は、下記数式6によって計算されるaが0.74〜10であり、bが0.5〜10であり、下記数式7によって計算されるcが1.3〜10であり、dが0.013〜0.1でありえる。
【0041】
[数式6]
(a+bi)
2=n
12×(1−W/P)+n
22×W/P
【0042】
[数式7]
(c+di)
2=n
12×n
22/((1−W/P)×n
22+W×n
12/P)
【0043】
数式6及び7で、iは、虚数単位であり、n
1は、上記誘電物質の250nm〜350nmの紫外線領域の波長のうちいずれか1つの長さの波長、例えば、300nm波長の光に対する屈折率であり、n
2は、上記凸部2aの250nm〜350nmの紫外線領域の波長のうちいずれか1つの長さの波長、例えば、300nm波長の光に対する屈折率であり、Wは、上記凸部2aの幅であり、Pは、上記凸部2aのピッチである。数式6及び数式7によってa、b、c及びdが上記範囲を満足するように設計すれば、短波長領域でも優れた偏光度及び消光比を実現しえる。
【0044】
偏光紫外線分離素子に含まれる基材層の種類は、特に制限されず、例えば、石英、紫外線透過ガラス、PVA(Polyvinyl Alcohol)、ポリカーボネート(Poly Carbonate)、EVA(Ethylene Vinyl Acetate共重合体)などのような材料から形成されることができる。基材層1の紫外線透過率は、例えば70%以上、80%以上、90%以上でありえ、前述した範囲の透過率を有する場合、偏光紫外線分離素子の紫外線透過率が向上し、光配向速度に優れた光配向膜の製造が可能である。
【0045】
上記分離素子は、例えば、線格子を形成することができるものであって、公知された通常の方式で製造が可能である。例えば、上記分離素子は、基材層上に上記複合酸化物の層を形成し、上記層を選択的に除去することによって、パターン化して製造することができる。この場合、複合酸化物の層は、例えば通常的な共蒸着方式で形成するか、またはゾルゲル法、固相法、水熱法、スパッタリング法、または化学気相蒸着法などの公知の方式で形成することができる。他の方式として、公知されたパターン形状方式、例えば、マスクを用いた蒸着方式などを用いてはじめからパターン化された複合酸化物の層を基材層上に形成してもよい。
【0046】
例えば、上記偏光紫外線分離素子は、基材層上にチタン金属複合酸化物の層を形成し、上記層をパターニングして製造することができる。
【0047】
1つの例示で、上記複合酸化物の層は、表面に反射防止層が形成されている上記基材層上に形成されることができる。反射防止層は、上記金属複合酸化物の層に、例えば、レーザー干渉露光で格子を形成する過程でレーザーの内部反射または干渉反射などによる効率低下を防止し、さらに精密な格子が形成されることができるようにする役目をすることができる。反射防止層は、レーザーの内部反射を吸収することができる形態で形成される場合、その素材及び形成方式は制限されない。
【0048】
基材層上に形成された上記金属複合酸化物の層をパターニングする方法は、特に制限されず、例えば、通常的なフォトリソグラフィ(photolithography)方法を適用するか、またはさらに精密なピッチのパターンの形成のためにレーザー干渉リソグラフィー(Laser interference lithography)、電子ビームリソグラフィー(E−beam lithography)、ナノインプリントリソグラフィー(Nano imprint lithography、NIL)、液浸リソグラフィー(Immersion lithography)またはゾルゲル法(sol−gel)などの方法などを利用することができる。
【0049】
上記でナノインプリント方法は、金属層上にレジスト層を形成した後、上記レジスト層が形成された基材層に対して一定の温度と圧力条件で所望の線幅でパターニングされたスタンプをインプリントレジストフィルムに印刻した後、残留する金属層を、プラズマを利用して除去することによって、所定の線幅を有するパターンを形成する方式であり、このような方式は、特に精密なパターンの形成に適切である。
【0050】
本発明は、また、上記偏光紫外線分離素子を含む装置、例えば、光照射装置に関する。例示的な装置は、上記偏光紫外線分離素子及び被照射体が保持される装置を含むことができる。
【0051】
上記で、上記偏光紫外線分離素子は、偏光板として機能することができる。上記素子は、例えば、光源から照射された光から直線に偏光された光を生成するために使用されることができる。
【0052】
上記装置は、被照射体が保持される装置と偏光紫外線分離素子との間に光配向マスクをさらに含むことができる。
【0053】
上記でマスクは、例えば、装置に保持された被照射体の表面との距離が約50mm以下となるように設置されることができる。上記距離は、例えば、0mmを超過するか、0.001mm以上、0.01mm以上、0.1mm以上または1mm以上でありえる。また、上記距離は、40mm以下、30mm以下、20mm以下または10mm以下でありえる。被照射体の表面とマスクの距離は、前述した上限及び下限の多様な組合で設計されることができる。
【0054】
被照射体が保持される装置の種類は、特に制限されず、光が照射される間に、被照射体が安定的に維持され得るように設計されているすべての種類の装置が含まれることができる。
【0055】
また、上記装置は、マスクまたは上記偏光紫外線分離素子に光、例えば、紫外線を照射することができる光源をさらに含むことができる。光源としては、マスクまたは上記素子の方向に光を照射することができるものなら、目的によって特別な制限なしに使用することができる。例えば、光源としては、紫外線の照射が可能な光源であって、高圧水銀紫外線ランプ、メタルハライドランプまたはガリウム紫外線ランプなどが使用されることができる。
【0056】
光源は、1つまたは複数の光照射手段を含むことができる。複数の光照射手段が含まれる場合、照射手段の数や配置形態は、特に制限されない。光源が複数の光照射手段を含む場合に、光照射手段は、2個以上の列を形成しており、2個以上の列のうちいずれか1つの列に位置する光照射手段と上記いずれか1つの列に隣接する他の列に位置している光照射手段は、互いにずれて重畳されるように配置されることができる。
【0057】
光照射手段が互いにずれて重畳されているというのは、いずれか1つの列に存在する光照射手段といずれか1つの列に隣接する他の列に存在する光照射手段の中心を連結する線は、各列と垂直する方向と平行にならない方向(所定角度で傾いた方向)に形成され、光照射手段の照射面積は、各列に垂直する方向で一定部分が互いに重なって存在する場合を意味することができる。
【0058】
図3は、上記のような光照射手段の配置を例示的に説明している図である。
図3では、複数の光照射手段10が2個の列、すなわちA列とB列を形成しながら配置されている。
図3の光照射手段のうち101で表示される光照射手段を第1光照射手段とし、102で表示される光照射手段を第2光照射手段とすれば、第1及び第2光照射手段の中心を連結する線Pは、A列及びB列の方向と垂直する方向に形成されている線Cと平行にならないように形成されている。また、第1光照射手段の照射面積と第2光照射手段の照射面積は、A列及びB列の方向と垂直する方向にQの範囲だけ重畳されている。
【0059】
上記のような配置によれば、光源によって照射される光の光量を均一に維持することができる。上記でいずれか1つの光照射手段と他の光照射手段が重畳される程度、例えば、
図3でQの長さは、特に制限されない。例えば、重畳される程度は、光照射手段の直径、例えば、
図3のLの約1/3以上〜2/3以下でありえる。
【0060】
装置は、また、光源から照射される光の光量の調節のために、1つ以上の集光板をさらに含むことができる。集光板は、例えば、光源から照射された光が集光板に入射し、集光された後に、集光された光が偏光紫外線分離素子及びマスクに照射され得るように装置内に含まれることができる。集光板としては、光源から照射された光を集光することができるように形成されていたら、この分野で通常使用される構成を使用することができる。集光板としては、レンチキュラーレンズ層などが例示されることができる。
【0061】
図4は、光照射装置の1つの例を示す図である。
図4の装置は、順に配置された光源10、集光板20、偏光板30、マスク40及び被照射体50を保持する装置60を含んでいる。
図4の装置では、光源10に照射された光がまず集光板20に入射して集光され、さらに偏光板30に入射する。偏光板30に入射した光は、直線に偏光された光として生成され、さらにマスク40に入射し、開口部によってガイドされ、被照射体50の表面に照射されることができる。
【0062】
本発明は、光の照射方法に関する。例示的な上記方法は、前述した光照射装置を使用して行うことができる。例えば、上記方法は、上記被照射体が保持されることができる装置に被照射体を保持し、上記偏光紫外線分離素子及びマスクを通して上記被照射体に光を照射することを含むことができる。
【0063】
1つの例示で、上記被照射体は、光配向膜でありえる。このような場合、上記光照射方法は、整列された光配向膜を製造する方法でありえる。例えば、光配向膜が装置に固定された状態で偏光紫外線分離素子及びマスクを通して直線偏光された光などを照射し、光配向膜に含まれている光感応性物質を所定方向に整列させて配向性が発現された光配向膜を製造することができる。
【0064】
上記方法に適用されることができる光配向膜の種類は、特に制限されない。当該分野では、光感応性残基を含む化合物として光配向膜の形成に使用することができる多様な種類の光配向性化合物が公知されていて、このような公知の物質は、いずれも光配向膜の形成に使用されることができる。光配向性化合物としては、例えば、トランス−シス光異性化(trans−cis photoisomerization)によって整列される化合物、鎖切断(chain scission)または光酸化(photo−oxidation)などのような光分解(photo−destruction)によって整列される化合物;[2+2]添加環化([2+2]cycloaddition)、[4+4]添加環化または光二量化(photodimerization)などのような光架橋または光重合によって整列される化合物;光フリース再配列(photo−Fries rearrangement)によって整列される化合物または開環/閉環(ring opening/closure)反応によって整列される化合物などを使用することができる。トランス−シス光異性化によって整列される化合物としては、例えば、スルホ化ジアゾ染料(sulfonated diazo dye)またはアゾ高分子(azo polymer)などのアゾ化合物やスチルベン化合物(stilbenes)などが例示されることができ、光分解によって整列される化合物としては、シクロブタンテトラカルボキシル酸二無水物(cyclobutane−1、2、3、4−tetracarboxylic dianhydride)、芳香族ポリシランまたはポリエステル、ポリスチレンまたはポリイミドなどが例示されることができる。また、光架橋または光重合によって整列される化合物としては、シンナメート(cinnamate)化合物、クマリン(coumarin)化合物、シンナムアミド(cinnamamide)化合物、テトラヒドロフタルイミド(tetrahydrophthalimide)化合物、マレイミド(maleimide)化合物、ベンゾフェノン化合物またはジフェニルアセチレン(diphenylacetylene)化合物や光感応性残基としてチァルコニル(chalconyl)残基を有する化合物(以下、チァルコン化合物)またはアントラセニル(anthracenyl)残基を有する化合物(以下、アントラセニル化合物)などが例示されることができ、光フリース再配列によって整列される化合物としては、ベンゾエート(benzoate)化合物、ベンゾアミド(benzoamide)化合物、メタアクリルアミドアリール(メタ)アクリレート(methacrylamidoaryl methacrylate)化合物などの芳香族化合物が例示されることができ、開環/閉環反応によって整列する化合物としては、スピロピラン化合物などのように[4+2]π−電子システム([4+2]π−electronic system)の開環/閉環反応によって整列する化合物などが例示されることができるが、これに制限されるものではない。このような光配向性化合物を使用した公知の方式を通じて上記光配向膜を形成することができる。例えば、光配向膜は、上記化合物を使用して適切な支持基材上に形成されることができ、このような光配向膜は、被照射体を保持することができる装置、例えば、ロールによって移送されながら上記方法に適用されることができる。
【0065】
上記方法で偏光紫外線分離素子及びマスクを通して光が照射される光配向膜は、1次配向処理された光配向膜でありえる。1次配向処理は、例えば、偏光紫外線分離素子を通じて一定方向に直線偏光された紫外線を、マスクを通して光を照射する前に、光配向膜、例えば、光配向膜の全面に照射することによって行うことができる。1次配向処理された光配向膜にマスクを通して光を照射し、且つ上記1次配向処理時とは異なる方向に偏光された光を照射するようになれば、開口部に対応する光配向膜の領域にのみ光が照射され、光配向性化合物が再整列され、これにより、光配向性化合物の整列方向がパターン化されている光配向膜を製造することができる。
【0066】
光配向膜の配向のために、例えば、直線偏光された紫外線を1回以上照射すると、配向層の配向は、最終的に照射される光の偏光方向によって決定される。したがって、光配向膜に偏光紫外線分離素子を通じて一定方向に直線偏光された紫外線を照射し、1次配向させた後に、マスクを通して所定部位にのみ1次配向処理時に使用したものとは異なる方向に直線偏光された光に露出させれば、光が照射される所定部位だけで配向層の方向が1次配向処理時の方向とは異なる方向に変更されることができる。これにより、第1配向方向を有する第1配向領域と第1配向方向とは異なる第2配向方向を有する第2配向領域を少なくとも含むパターンまたは配向方向が互いに異なる2種類以上の配向領域が光配向膜に形成されることができる。
【0067】
1つの例示で、1次配向時に照射される直線偏光された紫外線の偏光軸と1次配向後にマスクを通して行われる2次配向時に照射される直線偏光された紫外線の偏光軸とが成す角度は、垂直でありえる。上記で、垂直は、実質的な垂直を意味することができる。このような方式で1次及び2次配向時に照射される光の偏光軸を制御して製造された光配向膜は、例えば、立体映像を実現することができる光学フィルタに使用されることができる。
【0068】
例えば、上記のように形成された光配向膜上に液晶層を形成し、光学フィルタを製造することができる。液晶層を形成する方法は、特に制限されず、例えば、光配向膜上に光による架橋または重合が可能な液晶化合物を塗布及び配向した後に、液晶化合物の層に光を照射し、架橋または重合させて形成することができる。このような段階を進行することによって、液晶化合物の層は、光配向膜の配向によって配向及び固定され、配向方向が異なる2種類以上の領域を含む液晶フィルムが製造されることができる。
【0069】
光配向膜に塗布される液晶化合物の種類は、特に制限されず、光学フィルタの用途によって適切に選択されることができる。例えば、光学フィルタが立体映像の実現のためのフィルタである場合には、液晶化合物は、下部に存在する配向層の配向パターンによって配向することができ、光架橋または光重合によってλ/4の位相差特性を示す液晶高分子層を形成することができる液晶化合物でありえる。用語「λ/4の位相差特性」は、入射する光をその波長の1/4倍だけ位相遅延させることができる特性を意味することができる。このような液晶化合物を使用する場合、例えば、入射光を左円偏光された光及び右円偏光された光に分割することができる光学フィルタを製造することができる。
【0070】
液晶化合物を塗布し、また、配向処理、すなわち下部の配向層の配向パターンによって整列させる方式や、整列された液晶化合物を架橋または重合させる方式は、特に制限されない。例えば、配向は、液晶化合物の種類によって化合物が液晶性を示すことができる適切な温度で液晶層を維持する方式などに進行されることができる。また、架橋または重合は、液晶化合物の種類によって適切な架橋または重合が誘導されることができる水準の光を液晶層に照射して行うことができる。