特許第6402675号(P6402675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6402675塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402675
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブル
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20181001BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20181001BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20181001BHJP
   C08K 5/07 20060101ALI20181001BHJP
   C08L 23/30 20060101ALI20181001BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20181001BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20181001BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20181001BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   C08L27/06
   C08K5/098
   C08K5/3492
   C08K5/07
   C08L23/30
   C08K3/22
   H01B3/44 B
   H01B7/02 Z
   H01B7/18 H
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-77825(P2015-77825)
(22)【出願日】2015年4月6日
(65)【公開番号】特開2016-196605(P2016-196605A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2017年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】菊池 龍太郎
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−059238(JP,A)
【文献】 特開2006−045563(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01621576(EP,A1)
【文献】 特開2008−143955(JP,A)
【文献】 特開2009−057538(JP,A)
【文献】 特開2012−021122(JP,A)
【文献】 特開2000−067653(JP,A)
【文献】 特開昭59−075937(JP,A)
【文献】 特開2014−040035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
H01B 3/16 − 3/56
H01B 7/00 − 7/02
H01B 7/38 − 7/40
H01B 7/17 − 7/288
DB名 CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂(A)ステアリン酸亜鉛、(B)イソシアヌレート化合物、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックス、(E)酸化チタン、及び(F)フタロシアニンブルー含有する塩化ビニル樹脂組成物であって、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記(A)〜(F)成分の合計含量が1〜6質量部である塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項2】
前記(F)フタロシアニンブルーの含量が前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以下であり、前記(F)フタロシアニンブルーに対する前記(E)酸化チタンの含有質量比(E/F)が50以上である請求項1に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(A)ステアリン酸亜鉛の含有割合が20〜60質量%である請求項1又は2に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(B)イソシアヌレート化合物の含有割合が1〜10質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項5】
前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有割合が0.1〜5質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックスの含有割合が0.1〜5質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項7】
導体と、前記導体の外周に被覆された、請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の塩化ビニル樹脂組成物からなるシースを備えたケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子機器類の内部配線等に使用される絶縁電線やケーブルの被覆材の主原料として塩化ビニル樹脂(PVC)が用いられてきている。
【0003】
塩化ビニル樹脂は、成形加工時に170℃以上に加熱され、分子構造から塩素が離脱するので、引張伸びは低下し、高温環境下での耐電圧特性も著しく低下するという問題点を有する。これを防ぐために、従来は長期耐熱効果がある鉛及び鉛化合物系安定剤が使用されていたが、これらはEUのRoHS指令で禁止物質に指定される環境負荷物質である。そのため、その代替として、現在は殆どの絶縁電線で非鉛系安定剤が使用されている。
【0004】
非鉛系安定剤は、鉛及び鉛化合物系安定剤ほどの効果が得られないが、用途に合わせて、バリウム亜鉛系、水酸化カルシウム系、カルシウム亜鉛系、ハイドロタルサイト系、オクチル酸金属等の非鉛系安定剤が適宜使用されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0005】
また、国内の通信用のLANケーブル等には、空色を呈した鉛を含有しない塩化ビニル樹脂組成物が外被用材料として用いられている。空色とするためには、微量の青顔料と白顔料(酸化チタン)などで調色する方法が適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3018367号公報
【特許文献2】特開平7−292194号公報
【特許文献3】特開平8−92446号公報
【特許文献4】特開2003−40614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
青色顔料にはフタロシアニンブルーや群青(ウルトラマリンブルー)などがあるが、各々以下の課題を抱えている。
フタロシアニンブルーは、高価な有機顔料であるため、低添加での色相調整が望まれる。しかし、塩化ビニル樹脂100質量部に対して添加量が0.1質量部以下で調色したものを日光や蛍光灯直下に晒すと部分的に空色発色度が低下(白色化)する現象が発生し、付設景観を損ねる問題があった。
群青は、日光や蛍光灯直下にさらしても、発色度の低下は軽微であるものの、酸にさらすと硫化水素を発生し、発色度が低下する問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、空色を呈するためにフタロシアニンブルーを使用した塩化ビニル樹脂組成物において、日光や蛍光灯直下で使用しても空色発色度の低下(白色化)を抑制できる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]塩化ビニル樹脂(A)ステアリン酸亜鉛、(B)イソシアヌレート化合物、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックス、(E)酸化チタン、及び(F)フタロシアニンブルー含有する塩化ビニル樹脂組成物であって、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記(A)〜(F)成分の合計含量が1〜6質量部である塩化ビニル樹脂組成物。
[2]前記(F)フタロシアニンブルーの含量が前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以下であり、前記(F)フタロシアニンブルーに対する前記(E)酸化チタンの含有質量比(E/F)が50以上である前記[1]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[3]前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(A)ステアリン酸亜鉛の含有割合が20〜60質量%である[1]又は[2]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[4]前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(B)イソシアヌレート化合物の含有割合が1〜10質量%である[1]〜[3]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[5]前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有割合が0.1〜5質量%である[1]〜[4]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[6]前記(A)〜(F)成分の合計含量に対する前記(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックスの含有割合が0.1〜5質量%である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[7]導体と、前記導体の外周に被覆された、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
[8][1]〜[6]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物からなるシースを備えたケーブル。
【0010】
[1]塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーに(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)高密度酸化ポリエチレンワックス、(E)酸化チタン、及び(F)フタロシアニンブルーが含有されており、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記(A)〜(F)の合計含量が1〜6質量部である塩化ビニル樹脂組成物。
[2]前記(F)フタロシアニンブルーの含量が前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以下であり、前記(F)フタロシアニンブルーに対する前記(E)酸化チタンの含有質量比(E/F)が50以上である前記[1]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[3]前記(A)脂肪酸金属塩は、脂肪酸亜鉛塩、脂肪酸カルシウム塩、脂肪酸マグネシウム塩、及び脂肪酸アルミニウム塩から選ばれる1つ以上である前記[1]又は前記[2]に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[4]前記(A)脂肪酸金属塩は、(A1)脂肪酸亜鉛塩及び(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩であり、前記(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩に対する前記(A1)脂肪酸亜鉛塩の含有質量比(A1/A2)が4〜9である前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[5]前記(A)〜(F)の合計含量に対する前記(A)脂肪酸金属塩の含有割合が20〜60質量%である前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[6]前記(A)〜(F)の合計含量に対する前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体の含有割合が1〜10質量%である前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[7]前記(A)〜(F)の合計含量に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有割合が0.1〜5質量%である前記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[8]前記(A)〜(F)の合計含量に対する前記(D)高密度酸化ポリエチレンワックスの含有割合が0.1〜5質量%である前記[1]〜[7]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物。
[9]導体と、前記導体の外周に被覆された、前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層とを備えた絶縁電線。
[10]前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の塩化ビニル樹脂組成物からなるシースを備えたケーブル。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空色を呈するためにフタロシアニンブルーを使用した塩化ビニル樹脂組成物において、日光や蛍光灯直下で使用しても空色発色度の低下(白色化)を抑制できる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す横断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係るケーブルの一例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<解決手段の検討>
鉛を含有しない塩化ビニル樹脂組成物の熱劣化や光劣化に対する安定剤としては、カルシウム/亜鉛系安定剤が用いられる。カルシウム/亜鉛系安定剤は、下表1の通り、各種の役割からなる材料の混合物である。
【0014】
【表1】
【0015】
表1に示されるジベンゾイルメタン(DBM)は、ステアリン酸亜鉛と反応し、ケト・エノール互変異性体を形成し、アリル塩の置換に働き、PVCの安定化に働くことが知られている。DBMの通常の反応は、次式(I)、(II)の通りである。
【0016】
【化1】
【0017】
【化2】
【0018】
また、表1に示されるベンゾトリアゾール(BTA)(無色)は、次式(III)の通り、銅と配位結合してCu−BTA(無色)となって活性化を抑制することで、ポリマのレドックス反応を抑える材料として知られている。
【0019】
【化3】
【0020】
DBM−Zn互変異性体、低濃度のフタロシアニンブルー、及びBTAが共存する系における白色化現象はこれまでに解明されてないため、下記の表2の通り、要素実験を実施した。屋外暴露試験は、使用時における耐紫外線性を模擬し、プレス耐熱試験は、成形加工時の変色を模擬したものである。No.1〜4の比較実験結果から、退色には、主としてDBMが関わり、BTAも影響していることがわかった。また、屋外暴露による退色とプレス耐熱性とはトレードオフの関係にあることがわかった。
【0021】
<屋外暴露試験>
シート形状にした塩化ビニル樹脂組成物を用いて、加熱プレス機にて0.5mmtとしたシート片を各試験例につき2枚ずつ作製した。その内の1枚は、基準として屋内の暗室に保管した。残りの1枚は、日中、日陰とならない屋外にて21日間、日光曝露させた。退色の変化は、コニカミノルタ社の色差計CR−300を用い、基準との色差で退色の有無・程度を判断した。
【0022】
<プレス耐熱試験>
シート形状にした塩化ビニル樹脂組成物を用いて、加熱プレス機によるプレス耐熱性にて、成形加工時の変色度合を検証した。プレス温度は、実際の押出作業を実施する時の温度180℃を適用し、プレス時間は1時間とした。評価は、プレス前後の色相を目視で確認し、変色の有無を判断した。
【0023】
【表2】
【0024】
屋外暴露による退色とプレス耐熱性とのトレードオフの関係は、以下の化学反応式(IV)、(V)によるものと推定した。式(IV)では、DBM−Zn(無色)とフタロシアニンブルー(青色)が紫外線(太陽光)を当てることで反応し、DBM−Cu(薄緑色)とZnフタロシアニン(青緑色)となる(退色現象)。また、経時的な暴露により式(IV)の左方向の反応も起こる。さらに、式(V)では、DBM−Cu(薄緑色)とBTA(無色)が紫外線(太陽光)を当てることで反応し、Cu−BTA(無色)となる(退色促進)。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
上述の反応を起こさない方法として、以下の式(VI)〜(VIII)の反応の採用を考えた。
【0028】
【化6】
【0029】
【化7】
【0030】
【化8】
【0031】
すなわち、下記の方法を採用した。
(1)ステアリン酸亜鉛を通常より多めに添加し、SBM(ステアロイルベンゾイルメタン)によるアリル塩の安定化が効率的に働くように、ステアリン酸亜鉛及びSBMの添加量を調整した(式(VII))。
(2)塩化亜鉛をキレート形成により安定化させ、金属塩に起因する塩化ビニル樹脂の熱劣化を抑制するため、イソシアヌレート化合物を選定し、添加した(式(VIII))。
(3)ステアリン酸亜鉛を通常より多めに添加することによる外滑性過多現象は、0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックスの添加で調整した。
【0032】
つまり、退色の主要因となるDBMと同様にアリル塩安定剤として働くSBMをステアリン酸亜鉛イソシアヌレート化合物0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックスを用いた系で効率的に機能させることで、フタロシアニンブルーの紫外線退色を防げると考えた。
【0033】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0034】
〔塩化ビニル樹脂組成物〕
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂(A)ステアリン酸亜鉛、(B)イソシアヌレート化合物、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックス、(E)酸化チタン、及び(F)フタロシアニンブルー含有する塩化ビニル樹脂組成物であって、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記(A)〜(F)成分の合計含量が1〜6質量部である。
【0035】
(塩化ビニル樹脂)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、ベースポリマーとして塩化ビニル樹脂を含有している。
【0036】
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体(すなわちポリ塩化ビニル)のほか、塩化ビニルと他の共重合可能なモノマーとの共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。塩化ビニルと共重合可能なモノマーとしては、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0037】
塩化ビニル樹脂は、平均重合度1300〜2500のものを用いることが好ましい。平均重合度1500〜2000の間にコントロールされたものが耐熱性、耐寒性、成形性の面からより好ましい。重合度が低くなると成形性は向上するが耐熱性、耐寒性が低下する。逆に重合度が高くなると耐熱性、耐寒性は向上するが、成形性が悪くなる。
【0038】
塩化ビニル樹脂は、必要に応じて、重合度の異なるものを2種以上ブレンドして用いても良い。また、本発明の効果を奏する限りにおいて、必要に応じて、ベースポリマーに、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン等を添加しても良い。ベースポリマー中の塩化ビニル樹脂の含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0039】
((A)ステアリン酸亜鉛、(B)イソシアヌレート化合物、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックス、(E)酸化チタン、及び(F)フタロシアニンブルー)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂(A)ステアリン酸亜鉛、(B)イソシアヌレート化合物、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックス、(E)酸化チタン、及び(F)フタロシアニンブルー含有している。塩化ビニル樹脂100質量部に対する上記(A)〜(F)成分の合計含量は、1〜6質量部である。これらの合計含量を上記範囲内とすることで本願発明の効果を奏する。(A)〜(F)の合計含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、1.2〜5質量部であることが好ましく、1.5〜4.5質量部であることがより好ましく、2〜4質量部であることがさらに好ましい。
【0041】
A:ステアリン酸亜鉛
(A)ステアリン酸亜鉛の含有割合は、(A)〜(F)成分の合計含量に対して20〜60質量%であることが好ましく、30〜55質量%であることがより好ましい。(A)ステアリン酸亜鉛の含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して1〜2質量部であることが好ましく、1.2〜1.8質量部であることがより好ましい。
【0042】
脂肪酸金属塩の役割をカルシウム塩及び亜鉛塩を例に以下に説明する。
(C17H35COO)2Zn + 2HCL → ZnCL2 + C17H35COOH
(C17H35COO)2Ca + ZnCL2 → (C17H35COO)2Zn +CaCL2
【0043】
熱や光により、塩化ビニル樹脂から発生する塩化水素を金属石鹸が捕捉し、金属塩が生成する。脂肪酸亜鉛と脂肪酸カルシウムを比較すると、脂肪酸亜鉛の方がその捕捉力が高いため、塩化亜鉛がまず生成する。塩化亜鉛が塩化ビニル樹脂混和物中に存在すると、短波長の色調となり、着色は改善される。しかし、塩化亜鉛は、塩化ビニル樹脂の脱塩化水素を促進することや脂肪酸亜鉛の大量添加は混和物の系が外部滑性過多となるため適量添加が必要となる。一方、脂肪酸カルシウムは、塩化水素を捕捉する以外に、上式の通り、塩化亜鉛との交換反応も進むので脱塩化水素抑制にも働く。
【0047】
B:イソシアヌレート化合物
(B)イソシアヌレート化合物の含有割合は、(A)〜(F)成分の合計含量に対して1〜10質量%であることが好ましく、2〜8質量%であることがより好ましい。(B)イソシアヌレート化合物の含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜1質量部であることが好ましく、0.15〜0.5質量部であることがより好ましい。
【0048】
上記イソシアヌレート化合物(例えばイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル))の役割は、金属塩のキレート化による塩化ビニル樹脂からの脱塩化水素を抑制するためのものである。
【0049】
金属塩化物は、ポリエンとπ錯体を生成し、着色することが知られているが、本系材料が無色のキレート化合物を作るため、着色低減にも効果が発現する。但し、本系材料は、塩化ビニル樹脂との相溶性に劣るため、適量化が必要となる。
【0050】
C:ステアロイルベンゾイルメタン
(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有割合は、(A)〜(F)成分の合計含量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜2.5質量%であることがより好ましい。(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.02〜0.1質量部であることがより好ましい。
【0051】
ステアロイルベンゾイルメタンの役割を以下に説明する。
一般に塩化ビニル樹脂のアリル塩安定化剤としては、ジベンゾイルメタン(DBM)が用いられてきた。脂肪酸塩や金属化合物下で、前述の式(I)、(II)の通り働く。すなわち、アリル塩を安定化することで、結果として着色抑制剤として働く。
【0052】
DBMの欠点としては、光増感性があることは知られているが、他にアリル塩を安定化するために1/2モルの金属塩を必要とすることと、反応が2段階であることである。1段階でより早期にアリル塩を安定化させる材料として、本発明においてはステアロイルベンゾイルメタンを用いた。反応式は、前述の式(VII)の通りであり、金属塩存在下で、アリル塩を1段階で安定化させる。
【0053】
D:高密度酸化ポリエチレンワックス
ポリオレフィンワックスには、ポリエチレンホモポリマータイプ、酸化ポリエチレンタイプ、高密度酸化ポリエチレンタイプ、ポリプロピレンタイプ、エチレン・アクリル酸共重合タイプ、エチレン・酢酸ビニル共重合タイプ、酸化エチレン・酢酸ビニル共重合タイプ、低分子量アイオノマータイプ、エチレン−無水マレイン酸共重合タイプ、プロピレン−無水マレイン酸共重合タイプなど、さまざまなワックスが存在する。これらの中でも、以下の点に着眼し、高密度酸化ポリエチレンワックスを選定した。
(1)塩化ビニル樹脂、及び(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体や(C)ステアロイルベンゾイルメタンとの相溶性を考慮し、極性基を保有するワックスであること。
(2)国際規格ASTM−D3954ベースの滴点が本発明の塩化ビニル樹脂組成物の混練温度(130〜150℃)付近にあるワックスであること。
(3)本発明の塩化ビニル樹脂組成物の混練温度付近での粘度が高く、内部滑剤として働くワックスであること。
【0054】
本発明の実施形態における高密度酸化ポリエチレンワックスは、密度が0.95〜1.1g/cm3である。また、酸価が1〜45KOHmg/g、軟化点が100〜150℃であることが好ましい。密度は0.96〜1.0g/cm3であることがより好ましく、酸価は7〜41KOHmg/gであることがより好ましい。
【0055】
また、本発明の実施形態における高密度酸化ポリエチレンワックスは、150℃における粘度が2500〜85000cpsの範囲内のものであることが好ましく、150℃における粘度が8500〜85000cpsの範囲内のものであることがより好ましい。
【0056】
(D)高密度酸化ポリエチレンワックスの含有割合は、(A)〜(F)成分の合計含量に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜2.5質量%であることがより好ましい。(D)高密度酸化ポリエチレンワックスの含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部含有することがより好ましく、0.03〜0.1質量部含有することが混練効率向上の観点からさらに好ましい。
【0057】
また、本発明の効果を奏する限りにおいて、必要に応じて、高密度酸化ポリエチレンワックス以外のポリオレフィンワックスをさらに添加しても良い。
【0058】
E:酸化チタン
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、白色着色剤として酸化チタンを含有している。(E)酸化チタンの含有割合は、(A)〜(F)成分の合計含量に対して25〜80質量%であることが好ましく、30〜75質量%であることがより好ましい。(E)酸化チタンの含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.5〜6質量部であることが好ましく、0.8〜4.5質量部含有することがより好ましい。
【0059】
F:フタロシアニンブルー
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、青色着色剤としてフタロシアニンブルーを含有している。(F)フタロシアニンブルーの含有割合は、(A)〜(F)成分の合計含量に対して0.1〜3質量%であることが好ましく、0.2〜2質量%であることがより好ましい。(F)フタロシアニンブルーの含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.005〜0.2質量部であることが好ましく、0.01〜0.1質量部含有することがより好ましい。
【0060】
(F)フタロシアニンブルーに対する(E)酸化チタンの含有質量比(E/F)が50以上であることが好ましい。上限は特に限定されないが、130以下であることが好ましい。
【0061】
(可塑剤)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物には、可塑剤として、従来公知の可塑剤を添加することができる。特に限定はされないが、例えば、フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、リン酸エステル、アジピン酸系ポリエステルなどが挙げられる。特性を補うために、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、塩素化パラフィン、ヘキサンジカルボン酸エステル、エポキシ化大豆油などを適量用いても良い。また、これらをブレンドして用いても良い。
【0062】
(安定剤)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物には、安定剤として、従来公知の安定剤を添加することができる。特に限定はされないが、安定剤は、鉛を含有しない非鉛系安定剤を用いることが、法規制上好ましい。非鉛系安定剤としては、ハイドロタルサイト系安定剤や、カルシウム−亜鉛系の複合安定剤を挙げることができる。前述の脂肪酸金属塩としてステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等を添加した場合、これらを安定剤として機能させることもできる。
【0063】
(その他の添加剤)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物には、上記添加剤に加え、必要に応じて、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、充填剤、加工性改良剤、その他の改質剤などを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0064】
難燃剤として、例えば、三酸化アンチモン、金属水和物が挙げられる。金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カルシウムアルミネート水和物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、ハードクレー等が使用される。
【0065】
充填剤として、焼成クレー、水和クレー、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、フェライト系磁性粉、タルク等が挙げられる。
【0066】
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、成形後に架橋を施しても良い。架橋の方法は、従来公知の方法を使用でき、特に限定はされないが、化学架橋、シラン架橋、放射線架橋等の方法を用いることができる。架橋度は、ゲル分率で40〜65%であることが好ましく、49〜60%であることがより好ましい。
【0067】
架橋助剤として、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を使用することができ、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、例えば2〜20質量部添加することができる。2質量部未満では、架橋が不十分になる場合があり、20質量部を超えると成形時に架橋してしまう場合がある。
【0068】
(用途)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、空色に着色された軟質塩化ビニル樹脂組成物全般に適用可能であり、電線被覆材としては、絶縁体及びシースのどちらにも使用できる。代表例としては、通信用LANケーブル外被材などが挙げられる。
【0069】
〔絶縁電線〕
本発明の実施形態に係る絶縁電線は、導体と、導体の外周に被覆された、本発明の実施形態に係る上記塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層とを備えたことを特徴とする。
【0070】
図1は、本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す横断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る絶縁電線10は、導体1と、導体1の外周に被覆された絶縁層2とを備える。被覆される導体1としては、例えば外径0.15〜7mmφ程度の導体を使用することができる。錫メッキ軟銅線を撚り合わせた導体などを好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。導体1は、図1のように1本である場合に限られず、複数本であってもよい。
【0071】
絶縁層2は、本発明の実施の形態に係る上記の塩化ビニル樹脂組成物から構成されている。押出被覆等の成形手段により絶縁層として被覆した後、電子線照射等の方法により塩化ビニル樹脂を架橋することにより絶縁電線を得ることができる。なお、押出被覆は、架橋前の塩化ビニル系樹脂組成物をロール、バンバリー、押出機などで混練し、得られたペレットコンパウンドと導体とをクロスヘッドダイを付設した従来公知の電線用押出機で電線被覆押出成形することなどにより行うことができる。
【0072】
本実施の形態においては、絶縁体を、単層で構成してもよく、また、多層構造とすることもできる。さらに、必要に応じて、セパレータ、編組等を施してもよい。
【0073】
〔ケーブル〕
本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る上記塩化ビニル樹脂組成物を被覆材料(シースないし絶縁層及びシース)として使用したことを特徴とする。
【0074】
図2は、本発明の実施の形態に係るケーブルの一例を示す横断面図である。
図2に示すように、本実施の形態に係るケーブル20は、導体1に絶縁層2を被覆した絶縁電線3本を紙等の介在4と共に撚り合わせた三芯撚り線と、三芯撚り線の外周に施された押え巻きテープ5と、その外周に押出被覆されたシース3とを備える。絶縁電線は単芯でもよく、三芯以外の多芯撚り線であってもよい。
【0075】
シース3は、本発明の実施の形態に係る上記の塩化ビニル樹脂組成物から構成されている。絶縁体2も上記の塩化ビニル樹脂組成物から構成されていてもよい。押出被覆等の成形手段により絶縁層やシース層として被覆した後、電子線照射等の方法により塩化ビニル樹脂を架橋することによりケーブルを得ることができる。
【0076】
本実施の形態においては、シースを、単層で構成してもよく、また、多層構造とすることもできる。さらに、必要に応じて、セパレータ、編組等を施してもよい。
【0077】
〔本発明の実施形態の効果〕
(1)本発明の実施形態によれば、空色を呈するためにフタロシアニンブルーを使用した塩化ビニル樹脂組成物において、日光や蛍光灯直下で使用しても空色発色度の低下(白色化)を抑制できる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
【0078】
(2)本発明の実施形態によれば、(F)フタロシアニンブルーの添加量が塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以下であっても、紫外線で原色の青色が維持できずに退色することなく、色相の維持が可能となるため、日光や蛍光灯直下で使用しても空色発色度の低下(白色化)を抑制できる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
(3)本発明の実施形態によれば、ステアリン酸亜鉛を他の脂肪酸金属塩(例えばマグネシウム塩)よりも多く添加することにより、熱負荷で原色の青色が維持できずに赤茶系に変色することなく、色相の維持が可能となるため、空色発色度の低下を抑制できる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
【実施例】
【0079】
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
(1)塩化ビニル樹脂組成物の作製
表3に示す各材料を記載された割合で配合し、140℃に加熱したオープンロールミキサーで混練混合した後、シート形状で取り出し、更に加熱プレス機にて180℃で5分間成形し、所定の肉厚の各実施例及び比較例の塩化ビニル樹脂組成物を得た。用いた材料は、表4に示す通りである。安定剤は、表5の組成・割合としたものを用いた。
【0081】
(2)退色性の評価
上記(1)で作製した塩化ビニル樹脂組成物を用いて、加熱プレス機にて0.5mmtとしたシート片を各例につき3枚ずつ作製した。その内の1枚は、基準として屋内の暗室に保管した。残りの2枚は、日中、日陰とならない屋外にて各々、2週間、1ヶ月間、日光曝露させた。退色の変化は、コニカミノルタ社の色差計CR−300を用い、基準との色差がΔEで3以内のものを合格とした。表3に評価結果を示す。
【0082】
(3)変色度の評価
上記(1)で作製した塩化ビニル樹脂組成物を用いて、加熱プレス機によるプレス耐熱性にて、成形加工時の変色度合を検証した。プレス温度は、実際の押出作業を実施する時の温度180℃を適用し、プレス時間は1時間とした。1時間とした背景は、通常のPVC絶縁電線を6時間連続で作業させた後の色相変化と一致するためである。評価は、プレス前後の色相を目視で判断し、差が無いものを合格とした。表3に評価結果を示す。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
本発明の規定する範囲内である実施例1〜3においては、退色性の評価、変色度の評価とも良好な結果が得られた。
【0087】
一方、(B)イソシアヌレート化合物、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)0.95〜1.1g/cm3である高密度酸化ポリエチレンワックスが添加されていない比較例1〜2においては、退色現象が確認された。
【0088】
なお、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず種々に変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0089】
10:絶縁電線、20:ケーブル
1:導体、2:絶縁層
3:シース、4:介在、5:押さえ巻きテープ
図1
図2