(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(C)チオール基含有化合物が、メルカプトベンゾオキサゾール、メルカプトベンゾチアゾール及びメルカプトベンゾイミダゾールから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
前記酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)及び(A2)が、各々前記エポキシ樹脂(a1)及び(a2)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)とを反応させて得られる樹脂(A1’)及び(A2’)に、飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させて得られる樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂、(B)光重合開始剤、(C)チオール基含有化合物、及び(E)光重合性化合物を含有し、該(A)成分は所定の構成単位を有するエポキシ樹脂から得られるものである。
本発明の感光性樹脂組成物は上記の構成を有することにより、底部の光硬化性を向上させることができるため、底部がえぐられるアンダーカットやレジスト上部の欠落が発生することがなく、紫外線照射の露光量を多くすることがないため、パターン輪郭の直線性が良く、解像性に優れる厚膜のパターンを形成できると考えられる。更に、本発明の感光性樹脂組成物は、上記特定の構成を有することにより、耐無電解めっき性及びはんだ耐熱性にも優れた永久マスクレジストを形成できる。
各成分について、以下説明する。
【0019】
<(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂>
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂は、下記一般式(IV)又は(V)で表される構成単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂(a1)から得られる少なくとも1種の酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)と、該エポキシ樹脂(a1)とは異なるエポキシ樹脂(a2)から得られる酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A2)とを含有する。
【0021】
[一般式(IV)中、R
13は水素原子又はメチル基を示し、Y
4及びY
5はそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示す。なお、複数のR
13は同一でも異なっていてもよい。但し、Y
4及びY
5の少なくとも一方はグリシジル基を示す。]
【0023】
[一般式(V)中、R
14は水素原子又はメチル基を示し、Y
6及びY
7はそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示す。なお、複数のR
14は同一でも異なっていてもよい。但し、Y
6及びY
7の少なくとも一方はグリシジル基を示す。]
【0024】
(エポキシ樹脂(a1))
エポキシ樹脂(a1)は、薄膜基板の反り性をより低減できるとともに、耐熱衝撃性をより向上できる観点、及び解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、前記一般式(IV)又は(V)で表される構成単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂であり、好ましくは一般式(IV)で表される構成単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂である。
【0025】
〔一般式(IV)で表される構成単位を有するエポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂(a1)としては、下記の一般式(IV)で表される構成単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。
【0027】
一般式(IV)中、R
13は水素原子又はメチル基を示し、解像性に優れるパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは水素原子である。なお、複数のR
13は同一でも異なっていてもよい。
Y
4及びY
5はそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示し、同様の観点から、好ましくはグリシジル基である。但し、Y
4及びY
5の少なくとも一方はグリシジル基を示す。
一般式(IV)で表される構成単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂中の一般式(IV)で表される構成単位の繰り返し単位数は、1以上の数であり、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜80、更に好ましくは15〜70である。繰り返し単位数が上記範囲内であると、優れたレジスト形状と解像性に優れたパターンとが得られ、また優れた耐熱性、密着性、及び電気絶縁性が得られる。
【0028】
〔一般式(V)で表される構成単位を有するエポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂(a1)としては、下記の一般式で(V)で表される構成単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。
【0030】
一般式(V)中、R
14は水素原子又はメチル基を示し、解像性に優れるパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは水素原子である。なお、複数のR
14は同一でも異なっていてもよい。
Y
6及びY
7はそれぞれ独立に水素原子又はグリシジル基を示し、同様の観点から、好ましくはグリシジル基である。但し、Y
6及びY
7の少なくとも一方はグリシジル基を示す。
一般式(V)で表される構成単位を有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂中の一般式(V)で表される構成単位の繰り返し単位数は1以上の数であり、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜80、更に好ましくは15〜70である。繰り返し単位数が上記範囲内であると、優れたレジスト形状と解像性に優れたパターンとが得られ、また優れた耐熱性、密着性、及び電気絶縁性が得られる。
【0031】
一般式(V)において、R
14が水素原子であり、Y
6及びY
7がグリシジル基のものは、EXA−7376シリーズ(DIC(株)製、商品名)として、また、R
14がメチル基であり、Y
6及びY
7がグリシジル基のものは、EPON SU8シリーズ(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名)として商業的に入手可能である。
【0032】
(エポキシ樹脂(a2))
エポキシ樹脂(a2)は、エポキシ樹脂(a1)とは異なるエポキシ樹脂であれば特に制限はないが、解像性に優れるパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、下記一般式(I)で表される構成単位を有するノボラック型エポキシ樹脂、下記一般式(II)で表される構成単位を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂、及び下記一般式(III)で表される構成単位を有するトリフェノールメタン型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、一般式(I)で表される構成単位を有するノボラック型エポキシ樹脂、及び一般式(II)で表される構成単位を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、一般式(II)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、一般式(II)で表されるビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
また、同様の観点から、前記酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)が、前記一般式(IV)で表される構成単位を含有するビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂から得られるものであり、かつ前記酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A2)が、前記一般式(II)で表される構成単位を含有するビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂であることが特に好ましい。
【0033】
〔一般式(I)で表される構成単位を有するエポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂(a2)としては、下記の一般式で(I)で表される構成単位を有するノボラック型エポキシ樹脂が好ましく挙げられ、このような構成単位を有するノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、下記一般式(I’)で表されるノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0035】
一般式(I)及び(I’)中、R
11は水素原子又はメチル基を示し、解像性に優れるパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは水素原子である。
Y
1は水素原子又はグリシジル基を示す。一般式(I’)中、水素原子であるY
1とグリシジル基であるY
1とのモル比は、同様の観点から、好ましくは0/100〜30/70、より好ましくは0/100〜10/90である。該モル比から分かるように、一般式(I’)中、少なくとも一つのY
1はグリシジル基を示す。
n
1は1以上の数を示し、好ましくは10〜200、より好ましくは30〜150、更に好ましくは30〜100である。n
1が上記範囲内であると、優れたレジスト形状と解像性に優れたパターンとが得られ、また、優れた耐熱性、密着性、及び電気絶縁性が得られる。
なお、複数のR
11は各々同一でも異なっていてもよく、n
1が2以上の場合、複数のY
1は同一でも異なっていてもよい。
【0036】
一般式(I’)で表されるノボラック型エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらのノボラック型エポキシ樹脂は、例えば、公知の方法でフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
【0037】
一般式(I’)で表されるフェノールノボラック型エポキシ樹脂又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、YDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704、YDCN−704L、YDPN−638、YDPN−602(以上、新日鐵化学(株)製、商品名)、DEN−431、DEN−439(以上、ダウケミカル(株)製、商品名)、EOCN−120、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027、BREN(以上、日本化薬(株)製、商品名)、EPN−1138、EPN−1235、EPN−1299(以上、BASFジャパン(株)製、商品名)、N−730、N−770、N−865、N−665、N−673、VH−4150、VH−4240(以上、DIC(株)製、商品名)等が商業的に入手可能である。
【0038】
〔一般式(II)で表される構成単位を有するエポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂(a2)として、下記一般式(II)で表される構成単位を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が好ましく挙げられ、このような構成単位を有するエポキシ樹脂としては、例えば、一般式(II’)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0040】
一般式(II)及び(II’)中、R
12は水素原子又はメチル基を示し、解像性に優れるパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは水素原子である。Y
2は水素原子又はグリシジル基を示す。
n
2は1以上の数を示し、好ましくは10〜100、より好ましくは10〜80、更に好ましくは15〜60である。n
2が上記範囲内であると、優れたレジスト形状と解像性に優れたパターンとが得られ、また優れた密着性、耐熱性、及び電気絶縁性が得られる。
なお、複数存在するR
12は同一でも異なっていてもよく、n
2が2以上の場合、複数のY
2は同一でも異なっていてもよい。
【0041】
また、一般式(II)で表され、Y
2がグリシジル基であるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂は、例えば、一般式(II)で示され、Y
2が水素原子であるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂の水酸基(−OY
2)とエピクロルヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
【0042】
水酸基とエピクロルヒドリンとの反応を促進するためには、反応温度50〜120℃でアルカリ金属水酸化物存在下、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶剤中で反応を行うことが好ましい。反応温度が上記範囲内であると、反応が遅くなりすぎることがなく、副反応を抑制することができる。
【0043】
一般式(II’)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、例えば、エピコート807、815、825、827、828、834、1001、1004、1007及び1009(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名)、DER−330、DER−301、DER−361(以上、ダウケミカル(株)製、商品名)、YD−8125、YDF−170、YDF−170、YDF−175S、YDF−2001、YDF−2004、YDF−8170(以上、新日鐵化学(株)製、商品名)等が商業的に入手可能である。
【0044】
〔一般式(III)で表される構成単位を有するエポキシ樹脂〕
エポキシ樹脂(a2)としては、下記の一般式(III)で表される構成単位を有するトリフェノールメタン型エポキシ樹脂が好ましく挙げられ、このような構成単位を有するトリフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、一般式(III’)で表されるトリフェノールメタン型エポキシ樹脂が好ましく挙げられる。
【0046】
式(III)及び(III’)中、Y
3は水素原子又はグリシジル基を示し、水素原子とグリシジル基とのモル比は、解像性に優れるパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは0/100〜30/70である。該モル比から分かるように、少なくとも一つのY
3はグリシジル基を示す。
n
3は1以上の数を示し、好ましくは10〜100、より好ましくは15〜80、更に好ましくは15〜70である。n
3が上記範囲内であると、優れたレジスト形状と解像性に優れたパターンとが得られ、また優れた耐熱性、密着性、及び電気絶縁性が得られる。
なお、複数のY
3は同一でも異なっていてもよい。
【0047】
一般式(III’)で表されるトリフェノールメタン型エポキシ樹脂としては、例えば、FAE−2500、EPPN−501H、EPPN−502H(以上、日本化薬(株)製、商品名)等が商業的に入手可能である。
【0048】
本発明に用いる前記酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)及び(A2)は、直線性が良く、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、各々前記エポキシ樹脂(a1)及び(a2)(以下、単に「エポキシ樹脂(a)」ともいう)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)とを反応させて得られる樹脂(A1’)及び(A2’)(以下、単に「樹脂(A’)」ともいう)に、飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させて得られる樹脂であることが好ましい。
【0049】
〔ビニル基含有モノカルボン酸(b)〕
上述のビニル基含有モノカルボン酸(b)としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸の二量体、メタクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、β−スチリルアクリル酸、桂皮酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸等のアクリル酸誘導体や、水酸基含有アクリレートと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物との反応生成物である半エステル化合物等が好ましく挙げられる。
【0050】
半エステル化合物は、水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル若しくはビニル基含有モノグリシジルエステルと二塩基酸無水物とを等モル比で反応させることで得られる。これらのビニル基含有モノカルボン酸(b)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
ビニル基含有モノカルボン酸(b)の一例である上記半エステル化合物の合成に用いられる水酸基含有アクリレート、ビニル基含有モノグリシジルエーテル、ビニル基含有モノグリシジルエステルとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
【0052】
上記半エステル化合物の合成に用いられる二塩基酸無水物としては、飽和基を含有するもの、不飽和基を含有するものを用いることができる。二塩基酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0053】
上述のエポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応において、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基1当量に対して、ビニル基含有モノカルボン酸(b)が0.6〜1.05当量となる比率で反応させることが好ましく、0.8〜1.0当量となる比率で反応させることがより好ましい。このような比率で反応させることで、光重合性が向上する、すなわち光感度が大きくなるので好ましい。
【0054】
エポキシ樹脂(a)及びビニル基含有モノカルボン酸(b)は、有機溶剤に溶かして反応させることができる。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等が好ましく挙げられる。
【0055】
さらに、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応を促進させるために触媒を用いることが好ましい。触媒としては、例えば、トリエチルアミン、ベンジルメチルアミン、メチルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン等を用いることができる。
触媒の使用量は、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜2質量部、更に好ましくは0.1〜1質量部である。上記の使用量とすると、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応が促進されるので好ましい。
【0056】
また、反応中の重合を防止する目的で、重合禁止剤を使用することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が挙げられる。
重合禁止剤の使用量は、エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との合計100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部、より好ましくは0.02〜0.8質量部、更に好ましくは0.04〜0.50質量部である。上記の使用量とすると、組成物の貯蔵安定性が向上するので好ましい。
【0057】
エポキシ樹脂(a)とビニル基含有モノカルボン酸(b)との反応温度は、生産性の観点から、好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜120℃、更に好ましくは90〜110℃である。
【0058】
また、必要に応じて、ビニル基含有モノカルボン酸(b)と、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等のフェノール系化合物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物とを併用することができる。
【0059】
このように、エポキシ樹脂(a)と、ビニル基含有モノカルボン酸(b)とを反応させて得られる樹脂(A’)は、エポキシ樹脂(a)のエポキシ基とビニル基含有モノカルボン酸(b)のカルボキシル基との付加反応により形成される水酸基を有しているものと推察される。
上記で得られた樹脂(A’)に、更に飽和若しくは不飽和基含有多塩基酸無水物(c)を反応させることにより、樹脂(A')の水酸基(エポキシ樹脂(a)中に元来存在する水酸基も含む)と多塩基酸無水物(c)の酸無水物基とが半エステル化されているものと推察される。
【0060】
〔多塩基酸無水物(c)〕
多塩基酸無水物(c)としては、飽和基を含有するもの、不飽和基を含有するものを用いることができる。多塩基酸無水物(c)の具体例としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水イタコン酸等が挙げられる。これらの中でも、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくはテトラヒドロ無水フタル酸である。
【0061】
樹脂(A')と多塩基酸無水物(c)との反応において、樹脂(A')中の水酸基1当量に対して、多塩基酸無水物(c)を0.1〜1.0当量反応させることで、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の酸価を調整することができる。
【0062】
(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の酸価は、好ましくは30〜150mgKOH/g、より好ましくは40〜120mgKOH/g、更に好ましくは50〜100mgKOH/gである。酸価が30mgKOH/g以上であると感光性樹脂組成物の希アルカリ溶液への溶解性に優れ、150mgKOH/g以下であると硬化膜の電気特性が向上する。
【0063】
樹脂(A')と多塩基酸無水物(c)との反応温度は、生産性の観点から、好ましくは50〜150℃、より好ましくは60〜120℃、更に好ましくは70〜100℃である。
【0064】
また、必要に応じて、エポキシ樹脂(a)として、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂を一部併用することもできる。さらに、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂として、スチレン−無水マレイン酸共重合体のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート変性物等のスチレン−マレイン酸系樹脂を一部併用することもできる。
【0065】
((A)成分の分子量)
(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜30,000、より好ましくは4,000〜25,000、更に好ましくは5,000〜18,000である。(A)成分の重量平均分子量が上記範囲内であると、優れたレジスト形状と解像性に優れたパターンとが得られ、また優れた耐熱性、密着性、及び電気絶縁性が得られる。ここで、重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定する、ポリエチレン換算の重量平均分子量である。より具体的には、例えば、下記のGPC測定装置及び測定条件で測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値を重量平均分子量とすることができる。また、検量線の作成は、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(「PStQuick MP−H」及び「PStQuick B」,東ソー(株)製)を用いる。
(GPC測定装置)
GPC装置:高速GPC装置「HCL−8320GPC」,検出器は示差屈折計又はUV,東ソー(株)製
カラム :カラムTSKgel SuperMultipore HZ−H(カラム長さ:15cm,カラム内径:4.6mm),東ソー(株)製
(測定条件)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
測定温度 :40℃
流量 :0.35ml/分
試料濃度 :10mg/THF5ml
注入量 :20μl
【0066】
((A)成分の含有量)
感光性樹脂組成物中の(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%、更に好ましくは30〜50質量%である。(A)成分の含有量が上記範囲内であると、耐熱性、電気特性及び耐薬品性により優れた塗膜を得ることができる。
【0067】
((A)成分中の(A1)成分及び(A2)成分の合計含有量)
本発明に用いる(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂中の、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)と(A2)との合計含有量は、耐無電解めっき性、はんだ耐熱性、及び解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、特に好ましくは100質量%である。
【0068】
(酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)と(A2)との質量比)
本発明に用いる(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂中の、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)と(A2)との質量比(A1/A2)は、耐無電解めっき性、はんだ耐熱性、及び解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、好ましくは30/70〜90/10、より好ましくは40/60〜80/20、更に好ましくは50/50〜70/30である。
【0069】
<(B)光重合開始剤>
本発明に用いられる(B)光重合開始剤としては、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤等、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。これらの中でも、耐無電解めっき性、はんだ耐熱性、及び解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、アシルホスフィンオキサイド基(=P(=O)−C(=O)−基)を有する光重合開始剤であれば特に制限はなく、例えば、(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネイト、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、(2,5−ジヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキサイド、(p−ヒドロキシフェニル)ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキサイド、及びトリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられ、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0070】
((B)成分の含有量)
感光性樹脂組成物中の(B)光重合開始剤の含有量は、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましく0.2〜15.0質量%、より好ましくは0.4〜5.0質量%、更に好ましくは0.6〜1.0質量%である。(B)光重合開始剤の含有量が、0.2質量%以上であると露光部が現像中に溶出しにくくなり、15.0質量%以下であると耐熱性の低下を抑制できる。
【0071】
<(C)チオール基含有化合物>
(C)チオール基含有化合物は、チオール基を含有する化合物であれば特に制限はない。(C)チオール基含有化合物は、水素供与体として有効に機能し、感光性樹脂組成物の感度及び経日安定性をより向上させる効果を有すると考えられる。
ここで、水素供与体は、上記の光重合開始剤の露光処理により発生するラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味するものである。本発明においては、上記のアシルホスフィンオキサイド系光重合性開始剤と、水素供与体として(C)チオール基含有化合物との組み合わせが、とりわけ、パターン輪郭の直線性が良くレジスト形状に優れ、解像性に優れたパターンを形成する点で効果的である。
【0072】
(C)チオール基含有化合物としては、例えば、メルカプトベンゾオキサゾール(MBO)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、エタンチオール、ベンゼンチオール、メルカプトフェノール、メルカプトトルエン、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトエチルアルコール、メルカプトキシレン、チオキシレノール、2−メルカプトキノリン、メルカプト酢酸、α−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオサリチル酸、メルカプトシクロヘキサン、α−メルカプトジフェニルメタン、C−メルカプトテトラゾール、メルカプトナフタリン、メルカプトナフトール、4−メルカプトビフェニル、メルカプトヒポキサンチン、メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミジン、メルカプトプリン、チオクマゾン、チオクモチアゾン、ブタン−2,3−ジチオール、チオシアヌル酸、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの(C)チオール基含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、水素供与体として有効に機能し、感光性樹脂組成物の感度及び経日安定性をより向上できる観点から、好ましくはメルカプトベンゾオキサゾール(MBO)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)及びメルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、より好ましくはメルカプトベンゾイミダゾール(MBI)である。
【0073】
((C)成分の含有量)
感光性樹脂組成物中の(C)チオール基含有化合物の含有量は、解像性に優れたパターンを形成できる感光性樹脂組成物を得る観点から、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.2〜1.5質量%、特に好ましくは0.6〜1.2質量%である。
(C)チオール基含有化合物の含有量が0.01質量%以上であると感光性樹脂組成物の溶液がゲル化し難くなる傾向があり、5質量%以下であると感度の低下を抑制することができる。
【0074】
また、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光重合開始助剤を単独あるいは2種以上を組合せて用いることができる。
【0075】
<(D)顔料>
(D)顔料は、配線パターンを隠蔽する等の際に所望の色に応じて好ましく用いられるものである。(D)顔料としては、所望の色を発色する着色剤を適宜選択して用いればよく、例えば、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオディン・グリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラック等の公知の着色剤が好ましく挙げられる。
【0076】
((D)成分の含有量)
感光性樹脂組成物中の(D)顔料の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。(D)顔料の含有量が上記範囲内であると、配線パターンを隠蔽する観点から好ましい。
【0077】
<(E)光重合性化合物>
(E)光重合性化合物は、光重合性を示す官能基、例えばビニル基、アリル基、プロパギル基、ブテニル基、エチニル基、フェニルエチニル基、マレイミド基、ナジイミド基、(メタ)アクリロイル基等のエチレンオキサイド性不飽和基を有する化合物であれば特に制限はなく、反応性の観点から、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
【0078】
本発明に用いられる(E)光重合性化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又はこれらのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の多価(メタ)アクリレート類、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのポリエトキシジ(メタ)アクリレート等のフェノール類のエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート類、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート類、及びメラミン(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。これらの(E)光重合性化合物は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
((E)成分の含有量)
感光性樹脂組成物中の光重合性化合物(E)の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量を基準として、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜20質量%、更に好ましくは5〜10質量%である。(E)光重合性化合物の含有量が2質量%以上であると、光感度が低いため露光部が現像中に溶出する傾向を抑制することができ、50質量%以下であると耐熱性の低下を抑制することができる。
【0080】
<(F)無機フィラ>
本発明の感光性樹脂組成物には、更に、密着性、塗膜硬度等の諸特性を更に向上させる目的で、(F)無機フィラを使用できる。
(F)無機フィラとしては、例えば、シリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、チタニア(TiO
2)、酸化タンタル(Ta
2O
5)、ジルコニア(ZrO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、チタン酸バリウム(BaO・TiO
2)、炭酸バリウム(BaCO
3)、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、チタン酸鉛(PbO・TiO
2)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)、酸化ガリウム(Ga
2O
3)、スピネル(MgO・Al
2O
3)、ムライト(3Al
2O
3・2SiO
2)、コーディエライト(2MgO・2Al
2O
3/5SiO
2)、タルク(3MgO・4SiO
2・H
2O)、チタン酸アルミニウム(TiO
2−Al
2O
3)、イットリア含有ジルコニア(Y
2O
3−ZrO
2)、ケイ酸バリウム(BaO・8SiO
2)、窒化ホウ素(BN)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、硫酸バリウム(BaSO
4)、硫酸カルシウム(CaSO
4)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸マグネシウム(MgO・TiO
2)、ハイドロタルサイト、雲母、焼成カオリン、カーボン(C)等を使用することができる。これらの無機フィラは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0081】
(F)無機フィラの最大粒子径は、好ましくは0.1〜20μm、より好ましくは0.1〜10μm、更に好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.1〜1μmである。最大粒子径が20μm以下であると、絶縁信頼性の低下を抑制することができる。ここで、(F)無機フィラの最大粒子径は、レーザー回折法(JIS Z8825−1(2001年)準拠)により測定されるものとした。
【0082】
(F)無機フィラの中でも、耐熱性を向上できる観点から、シリカ微粒子を使用することが好ましく、はんだ耐熱性、耐クラック性(耐熱衝撃性)、及び耐PCT試験後のアンダフィル材と硬化膜との接着強度を向上できる観点から、硫酸バリウム微粒子を使用することが好ましい。また、上記硫酸バリウム微粒子は、凝集防止効果を向上できる観点から、アルミナ及び/又は有機シラン系化合物で表面処理しているものであることが好ましい。
【0083】
アルミナ及び/又は有機シラン系化合物で表面処理している硫酸バリウム微粒子の表面におけるアルミニウムの元素組成は、好ましくは0.5〜10原子%、より好ましくは1〜5原子%、更に好ましくは1.5〜3.5原子%である。また、硫酸バリウム微粒子の表面におけるケイ素の元素組成は、好ましくは0.5〜10原子%、より好ましくは1〜5原子%、更に好ましくは1.5〜3.5原子%である。また、硫酸バリウム微粒子の表面における炭素の元素組成は、好ましくは10〜30原子%、より好ましくは15〜25原子%、更に好ましくは18〜23原子%である。これらの元素組成は、XPSを用いて測定することができる。
【0084】
アルミナ及び/又は有機シラン系化合物で表面処理している硫酸バリウム微粒子としては、例えば、NanoFine BFN40DC(日本ソルベイ(株)社製、商品名)として商業的に入手可能である。
【0085】
((F)成分の含有量)
感光性樹脂組成物中の(F)無機フィラの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは15〜70質量%、更に好ましくは20〜50質量%、特に好ましくは25〜40質量%である。(F)無機フィラの含有量が上記範囲内であると、感光性樹脂組成物の膜強度、耐熱性、絶縁信頼性、耐熱衝撃性、解像性等をより向上させることができる。
【0086】
また、(F)無機フィラとして硫酸バリウムを用いる場合の、感光性樹脂組成物中の硫酸バリウムの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%、更に好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜30質量%である。硫酸バリウム微粒子の含有量が上記範囲内である場合、はんだ耐熱性及び耐PCT試験後のアンダフィル材と硬化膜の接着強度をより向上させることができる。
【0087】
<(G)その他のエポキシ樹脂>
また、本発明の感光性樹脂組成物において、必要に応じ、(A)成分以外の(G)エポキシ樹脂を配合してもよい。(G)エポキシ樹脂としては、例えば、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂であるYSLV−80XY(新日鐵化学(株)製、商品名)、ノボラック型多官能エポキシ樹脂であるRE−306(日本化薬(株)製、商品名)等が挙げられる。
【0088】
<希釈剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて希釈剤を用いることができる。希釈剤としては、例えば、有機溶剤、光重合性モノマー等が使用できる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類、オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤が挙げられる。
【0089】
希釈剤の使用量は、感光性樹脂組成物中の固形分全量の含有量が、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜80質量%、更に好ましくは65〜75質量%となる量である。すなわち、希釈剤を用いる場合の感光性樹脂組成物中の希釈剤の含有量は、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%、更に好ましくは25〜35質量%である。希釈剤の使用量を上記範囲内とすることで、感光性樹脂組成物の塗布性が向上し、より高精細なパターンの形成が可能となる。
【0090】
<硬化剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤としては、それ自体が熱、紫外線等で硬化する化合物、あるいは本発明の組成物中の光硬化性樹脂成分である(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂のカルボキシ基、水酸基と熱、紫外線等で硬化する化合物が挙げられる。硬化剤を用いることで、最終硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等を向上させることができる。
【0091】
硬化剤としては、例えば、熱硬化性化合物として、エポキシ化合物、メラミン化合物、尿素化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂あるいは、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。メラミン化合物としては、例えば、トリアミノトリアジン、ヘキサメトキシメラミン、ヘキサブトキシ化メラミン等が挙げられる。尿素化合物としては、ジメチロール尿素等が挙げられる。
硬化剤は、硬化膜の耐熱性をより向上させる観点から、エポキシ化合物(エポキシ樹脂)、及び/又は、ブロック型イソシアネートを含むことが好ましく、エポキシ化合物とブロック型イソシアネートとを併用することがより好ましい。
【0092】
ブロック型イソシアネートとしては、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。このポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物、並びにこれらのアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体等が挙げられる。
【0093】
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル、及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
【0094】
硬化剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。硬化剤を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜30質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。硬化剤の含有量を、上記範囲内にすることにより、良好な現像性を維持しつつ、形成される硬化膜の耐熱性をより向上することができる。
【0095】
本発明の感光性樹脂組成物には、最終硬化膜の耐熱性、密着性、耐薬品性等の諸特性を更に向上させる目的でエポキシ樹脂硬化剤を併用することができる。
このようなエポキシ樹脂硬化剤の具体例としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体:アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類:ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類:これらの有機酸塩及び/又はエポキシアダクト:三フッ化ホウ素のアミン錯体:エチルジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−キシリル−S−トリアジン等のトリアジン誘導体類:トリメチルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N−ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ヘキサ(N−メチル)メラミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m−アミノフェノール等の三級アミン類:ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類:トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス−2−シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類:トリ−n−ブチル(2,5−ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスニウムクロライド等のホスホニウム塩類:ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類:前記の多塩基酸無水物:ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6−トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0096】
エポキシ樹脂硬化剤は、単独あるいは2種類以上を組み合わせて用いられ、感光性樹脂組成物中のエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全量を基準として、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0097】
<その他の添加剤>
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等の重合禁止剤、ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、ビニル樹脂系の消泡剤、シランカップリング剤等の公知慣用の各種添加剤を用いることができる。更に、臭素化エポキシ化合物、酸変性臭素化エポキシ化合物、アンチモン化合物、及びリン系化合物のホスフェート化合物、芳香族縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル等の難燃剤を用いることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、更にジシアンジアミド等の(I)シアナミド化合物、あるいは、メラミン等の(J)トリアジン化合物を用いてもよい。
【0098】
<(H)エラストマー>
本発明の感光性樹脂組成物は、(H)エラストマーを含有することができる。(H)エラストマーは、特に、本発明の感光性樹脂組成物を半導体パッケージ基板に用いる場合に好適に使用することができる。本発明の感光性樹脂組成物に(H)エラストマーを添加することにより、紫外線や熱により橋架け反応(硬化反応)が進行することで、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂の硬化収縮による樹脂内部の歪み(内部応力)に起因した、可とう性や接着性の低下を抑えることができる。
【0099】
(H)エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー及びシリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性及び強度に、後者が柔軟性及び強靭性に寄与している。
【0100】
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロックコポリマーが挙げられる。スチレン系エラストマーを構成する成分であるスチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業(株)製、「タフプレン」は登録商標、「タフテック」は登録商標)、エラストマーAR(アロン化成(株)製)、クレイトンG、カリフレックス(以上、シェルジャパン製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、日本合成ゴム(株)製)、デンカSTR(電気化学工業(株)製)、クインタック(日本ゼオン(株)製、「クインタック」は登録商標)、TPE−SBシリーズ(住友化学工業(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製、「ラバロン」は登録商標)、セプトン、ハイブラー(以上、(株)クラレ製、「ハイブラー」は登録商標、「セプトン」は登録商標)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製、「スミフレックス」は登録商標)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業(株)製、「レオストマー」は登録商標、「アクティマー」は登録商標)等が挙げられる。
【0101】
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられ、また、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
また、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBRが挙げられる。具体的には、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン−α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン−α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。更に、具体的には、ミラストマ(三井石油化学(株)製)、EXACT(エクソン化学製)、ENGAGE(ダウケミカル(株)製)、水添スチレン−ブタジエンラバー"DYNABON HSBR"(日本合成ゴム(株)製)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体"NBRシリーズ"(日本合成ゴム(株)製)、あるいは架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体の"XERシリーズ"(日本合成ゴム(株)製)等が商業的に入手可能である。
【0102】
ウレタンエラストマーは、低分子のグリコールとジイソシアネートからなるハードセグメントと高分子(長鎖)ジオールとジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位からなり、高分子(長鎖)ジオールとしてポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン−1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン−ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。
高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましい。エチレングリコールの他に、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができ、短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。ウレタンエラストマーの具体例として、PANDEX T−2185、T−2983N(DIC(株)製)、シラクトランE790等が商業的に入手可能である。
【0103】
ポリエステル系エラストマーとしては、ジカルボン酸又はその誘導体及びジオール化合物又はその誘導体を重縮合して得られるものが挙げられる。ジカルボン酸の具体例として、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で又は2種以上用いることができる。
【0104】
ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、又は、下記一般式(VI)で表される二価フェノールが挙げられる。
【0106】
一般式(VI)中、Yは炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数4〜8のシクロアルキレン基、−O−、−S−、−SO
2−からなる群から選択され、又は直接ベンゼン環同士が結合しており、R
1及びR
2は、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜12のアルキル基であり、l、mは0〜4の整数であり、pは0又は1である。アルキレン基、シクロアルキレン基は直鎖状でも枝分かれ状でもよく、またハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アミノ基、アミド基、アルコキシ基等により置換されたものであってもよい。
【0107】
一般式(VI)で表される二価フェノールとしては、その具体例として、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、レゾルシン等が挙げられる。これらの化合物は1種を単独で又は2種以上用いることができる。
また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることができる。ハードセグメントとソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いによりさまざまなグレードのものがある。具体的には、ハイトレル(デュポン−東レ(株)製、「ハイトレル」は登録商標)、ペルプレン(東洋紡績(株)製、「ペルプレン」は登録商標)、エスペル(日立化成(株)製、「エスペル」は登録商標)等が商業的に入手可能である。
【0108】
ポリアミド系エラストマーは、ハード相にポリアミドを、ソフト相にポリエーテルやポリエステルを用いたポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別され、ポリアミドとしては、ポリアミド−6、11、12等が用いられ、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が用いられる。具体的には、UBEポリアミドエラストマ(宇部興産(株)製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス(株)製、「ダイアミド」は登録商標)、PEBAX(東レ(株)製)、グリロンELY(エムスジャパン(株)製、「グリロン」は登録商標)、ノパミッド(三菱化学(株)製)、グリラックス(DIC(株)製)等が商業的に入手可能である。
【0109】
アクリル系エラストマーは、アクリル酸エステルを主成分とし、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等が用いられ、また、架橋点モノマーとして、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が用いられる。更に、アクリロニトリルやエチレンを共重合することもできる。具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0110】
シリコーン系エラストマーとしては、オルガノポリシロキサンを主成分としたもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものもある。具体的には、KEシリーズ(信越化学工業(株)製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン(株)製)等が商業的に入手可能である。
【0111】
また、上記の熱可塑性エラストマー以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂あるいはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を両末端カルボン酸変性型ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られる。これらのエラストマーの中で、せん断接着性の観点から、両末端カルボキシル基変性ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、水酸基を有するポリエステル系エラストマーであるエスペル(日立化成(株)製、エスペル1612、1620)が好ましい。
【0112】
(H)エラストマーの配合量は、(A)酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは4〜30質量部、更に好ましくは10〜25質量部、特に好ましくは15〜22質量部用いられる。2質量%以上であると、硬化膜の高温領域での弾性率が低くなる傾向があり、40質量%以下であると未露光部が現像液で溶出し易くなる傾向がある。
【0113】
本発明の感光性樹脂組成物は、配合成分をロールミル、ビーズミル等で均一に混練、混合することにより得ることができる。
【0114】
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは、キャリアフィルムと、本発明の感光性樹脂組成物を用いた感光層とを有する。
感光層の厚みは、好ましくは10〜50μm、より好ましくは15〜40μm、更に好ましくは20〜30μmである。
本発明のドライフィルムは、例えば、本発明の感光性樹脂組成物を、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、エチレン/シクロデセン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のキャリアフィルムに、リバースロールコーター、グラビアロールコーター、コンマコーター、カーテンコーター等の公知の方法で塗布及び乾燥して、キャリアフィルム上に本発明の感光樹脂組成物からなる感光層を形成して、必要に応じてカバーフィルムを貼り合わせて作製することができる。
塗膜の乾燥は、熱風乾燥や遠赤外線、近赤外線を用いた乾燥機等を用いることができ、乾燥温度としては、好ましくは60〜120℃、より好ましくは70〜110℃、更に好ましくは80〜100℃である。また、乾燥時間としては、好ましくは1〜60分、より好ましくは2〜30分、更に好ましくは5〜20分である。
【0115】
[プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、本発明の感光性樹脂組成物により形成される永久マスクレジストを具備する。
本発明のプリント配線板は、本発明の感光性樹脂組成物より形成される永久マスクレジストを具備するため、底部がえぐられるアンダーカットの発生やレジスト上部の欠落が発生することなく、パターン断面の中間部(中心部)及び最深部(底部)の線幅が表面部の線幅に対して大きくならないので、パターン輪郭の直線性が良くレジスト形状に優れ、解像性に優れたパターンを有する。また、この永久マスクレジストは、近年の電子機器の小型化や高性能化に伴う微細化した穴径の大きさと穴間の間隔ピッチの形成安定性に優れた、パターンを有するものとなる。
【0116】
[プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板の製造方法は、基板上に本発明の感光性樹脂組成物、又は本発明のドライフィルムを用いて感光層を設ける工程、該感光層にパターンを形成する工程、及び該感光層を硬化して永久マスクレジストを形成する工程を順に有する。
具体的には、以下のようにして製造することができる。
まず銅張り積層板等の金属張積層板、樹脂付き銅箔、金属スパッタ膜を備えるシリコンウエハー、アルミナ基板等のレジストを形成すべき基板上に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、静電塗装法等の方法で、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜150μm、更に好ましくは20〜100μm、特に好ましくは23〜50μmの膜厚で塗布し、次に塗膜を60〜110℃で乾燥させるか、又はカバーフィルムを剥がした本発明のドライフィルムを前記基板上に熱ラミネートすることにより、基板上に感光層を設ける。
次に、該感光層にネガフィルムを直接接触(あるいは透明なフィルムを介して非接触)させて、活性光を、好ましくは10〜2,000mJ/cm
2、より好ましくは100〜1,500mJ/cm
2、更に好ましくは300〜1,000mJ/cm
2照射し、その後、未露光部を希アルカリ水溶液で溶解除去(現像)してパターンを形成する。使用される活性光としては電子線、紫外線、X線等が挙げられ、好ましくは紫外線である。また、光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ等を使用することができる。
次に、該感光層の露光部分を後露光(紫外線露光)及び/又は後加熱によって十分硬化させて永久マスクレジストを形成する。
後露光の条件は、好ましくは100〜5,000mJ/cm
2、より好ましくは500〜2,000mJ/cm
2、更に好ましくは700〜1,500J/cm
2である。
後加熱の加熱温度は、好ましくは100〜200℃、より好ましくは120〜180℃、更に好ましくは135〜165℃である。
後加熱の加熱時間は、好ましくは5分〜12時間、より好ましくは10分〜6時間、更に好ましくは30分〜2時間である。
その後、エッチングにて、配線を形成し、プリント配線板が作製される。
【実施例】
【0117】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0118】
(合成例1)
ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂(a)(EXA−7376、DIC(株)製、一般式(IV)において、Y
4及びY
5がグリシジル基、R
13が水素原子である構成単位を含有するビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂)350質量部、アクリル酸(b)70質量部、メチルハイドロキノン0.5質量部、カルビトールアセテート120質量部を仕込み、90℃に加熱して攪拌することにより反応させ、混合物を完全に溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱して、溶液の酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。反応後の溶液に、テトラヒドロ無水フタル酸(THPAC)(c)98質量部とカルビトールアセテート85質量部とを加え、80℃に加熱して、6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分の濃度が73質量%である酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A1)成分としてのTHPAC変性ビスフェノールFノボラック型エポキシアクリレートを得た。
【0119】
(合成例2)
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えたフラスコに、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(一般式(II)において、Y
2が水素原子、R
12が水素原子である構成単位を含有するビスフェノールF型エポキシ樹脂)(a)(エポキシ当量:526)1,052質量部、アクリル酸(b)144質量部、メチルハイドロキノン1質量部、カルビトールアセテート850質量部及びソルベントナフサ100質量部を仕込み、70℃で加熱撹拌して、混合物を溶解した。次に、溶液を50℃まで冷却し、トリフェニルホスフィン2質量部、ソルベントナフサ75質量部仕込み、100℃に加熱し、固形分酸価が1mgKOH/g以下になるまで反応させた。次に、得られた溶液を50℃まで冷却し、テトラヒドロ無水フタル酸(THPAC)(c)745質量部、カルビトールアセテート75質量部及びソルベントナフサ75質量部を仕込み、80℃に加熱して、6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分酸価80mgKOH/g、固形分62質量%の酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A2)成分としてのTHPAC変性ビスフェノールF型エポキシアクリレートを得た。
【0120】
(合成例3)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(a)(東都化成(株)製、商品名「YDCN704」、一般式(I)において、Y
1がグリシジル基、R
11がメチル基である構成単位を含有するノボラック型エポキシ樹脂)220質量部、アクリル酸(b)72質量、ハイドロキノン1.0質量部、カルビトールアセテート180質量部を仕込み、90℃で加熱撹拌して反応混合物を溶解した。次に、得られた溶液を60℃に冷却し、そこに塩化ベンジルトリメチルアンモニウム1質量部を加え、100℃に加熱して、固形分酸価が1mgKOH/gになるまで反応させた。更に、テトラヒドロ無水フタル酸(c)152質量部とカルビトールアセテート100質量部とを加え、80℃に加熱して、6時間反応させた。その後、室温まで冷却し、固形分濃度が60質量%になるようにカルビトールアセテートで希釈して、酸変性ビニル基含有エポキシ樹脂(A2)成分としてのTHPAC変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレートを得た。
【0121】
(実施例1〜4、比較例1〜3及び比較例7〜8)
表1に示す配合組成に従って組成物を配合し、3本ロールミルで混練し感光性樹脂組成物を調製した。固形分濃度が70質量%になるようにカルビトールアセテートを加えて、感光性樹脂組成物を得た。
【0122】
【表1】
【0123】
なお、表1中の各材料の詳細は以下の通りである。
・イルガキュア819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド(BASFジャパン(株)製、商品名)
・イルガキュア907:2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]モルホリノ−1−プロパノン(BASFジャパン(株)製、商品名)
・DETX:DETX−S、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名)
・MBI:メルカプトベンゾイミダゾール
・フタロシアニン系顔料:山陽色素(株)製
・アロニックスM402:ジペンタエリストールヘキサアクリレート(東亜合成(株)製、商品名)
・ASA:硫酸バリウム微粒子(ソルベイ社製)
・FUSE−LEX:二酸化珪素((株)龍森製、商品名)
・YSLV−80XY:テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製、商品名)
・RE−306:ノボラック型多官能エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名)
・PB−3600:エポキシ化ポリブタジエン(ダイセル化学(株)製、商品名)
・SP1108:ポリエステル樹脂(日立化成(株)製、商品名)
・DICY 7:ジシアンジアミド
【0124】
次に、上記で得られた感光性樹脂組成物を用いて、下記に示す条件で各評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0125】
[試験片の作製]
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、厚さ0.6mmの銅張積層基板(MCL−E−67、日立化成(株)製)に、乾燥後の膜厚が35μmになるようにスクリーン印刷法で塗布した後、80℃で20分間熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させた。次に、所定のパターンを有するネガマスクを塗膜に密着させ、紫外線露光装置を用いて600mJ/cm
2の露光量で露光した。その後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、1.765×10
5Paの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解現像した。次に、紫外線露光装置を用いて1000mJ/cm
2の露光量で露光し、150℃で1時間加熱して、試験片を作製した。
【0126】
[レジスト形状]
上記試験片をエポキシ樹脂(エピコート828:ジャパンエポキシ(株)製にトリエチレンテトラミンを硬化剤として使用)で注型し十分硬化した後に、研磨機(リファインポリッシャー(リファインテック(株)製))で研磨してパターンの断面を削り出してレジスト形状を金属顕微鏡で観察した。以下の基準で、判断した。
A:レジスト形状はアンダーカット、レジスト上部の欠落が確認されず、またパターン輪郭の直線形が良かった(
図1参照)。
B:レジスト形状はアンダーカット、レジスト上部の欠落が確認される、またパターン輪郭の直線形が悪かった(
図2参照)。
【0127】
[耐無電解めっき性]
市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル5μm、金0.05μmの条件でめっきを行った。試験後、めっきの染み込みの有無やテープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を目視により下記の基準で判断した。
3:染み込み、剥がれが見られない。
2:めっき後に染み込みが見られるが、剥がれは見られない。
1:めっき後に剥がれがある。
【0128】
[はんだ耐熱性]
上記試験片に水溶性フラックスを塗布し、265℃のはんだ槽に10秒間浸漬した。これを1サイクルとして、6サイクル繰り返した後、塗膜外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
3:塗膜30cm×30cm内に、外観変化なし
2:塗膜30cm×30cm内に、塗膜のウキ又はフクレが1個〜5個あり
1:塗膜30cm×30cm内に、塗膜のウキ又はフクレが6個以上あり
【0129】
[耐クラック性]
上記試験片を、−65℃30分/(常温;25℃)/150℃30分を1サイクルとして、1000サイクル繰り返した後、塗膜外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
3:塗膜30cm×30cm内に、外観変化なし
2:塗膜30cm×30cm内に、塗膜のウキ又はフクレが1個〜5個あり
1:塗膜30cm×30cm内に、塗膜のウキ又はフクレが6個以上あり
【0130】
[密着性]
実施例及び比較例の感光性樹脂組成物を、銅表面をバフ研磨(深さ方向で5μm粗化)した厚さ0.6mmの銅張積層基板(MCL−E−67、日立化成(株)製)と化学研磨(メック(株)製研磨剤CZ8101を使用して深さ方向で0.5μm粗化)した厚さ0.6mmの銅張積層基板(MCL−E−67、日立化成(株)製)に、乾燥後の膜厚が35μmになるようにスクリーン印刷法で塗布した後、80℃で20分間熱風循環式乾燥機を用いて乾燥させた。次に、所定のパターンを有するネガマスクを塗膜に密着させ、紫外線露光装置を用いて600mJ/cm
2の露光量で露光した。その後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、1.765×10
5Paの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解現像した。次に、紫外線露光装置を用いて1000mJ/cm
2の露光量で露光し、150℃で1時間加熱して、試験片を作製した。
次にJIS C5012−1974年制定に準じて、試験片に1mmのごばん目を100個作製してセロハンテープにより剥離試験を行った。ごばん目の剥離状態を観察し、以下の基準で評価した。なお剥離は、印刷面に直角の方向にすばやくテープを引き剥がした。
3:90/100以上で剥離なし
2:50/100以上〜90/100未満で剥離なし
1:0/100以上〜50/100未満で剥離なし
【0131】
[耐溶剤性]
試験片をイソプロピルアルコールに室温(25℃、以下同様)で30分間浸漬し、外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
3:塗膜外観に異常がなく、剥離のないもの
2:ほんの僅か変化しているもの
1:塗膜外観に異常があるか、あるいは剥離するもの
【0132】
[耐酸性]
試験片を10質量%塩酸水溶液に室温で30分間浸漬し、外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
3:塗膜外観に異常がなく、剥離のないもの
2:ほんの僅か変化しているもの
1:塗膜外観に異常があるか、あるいは剥離するもの
【0133】
[耐アルカリ性]
試験片を5質量%水酸化ナトリウム水溶液に室温で30分間浸漬し、外観に異常がないかを確認後、セロハンテープにより剥離試験を行った。
3:塗膜外観に異常がなく、剥離のないもの
2:ほんの僅か変化しているもの
1:塗膜外観に異常があるか、あるいは剥離するもの
【0134】
【表2】
【0135】
(実施例5〜8、比較例4〜6及び比較例9〜10)
表1に示す配合割合で調製した実施例1〜4、比較例1〜3及び比較例7〜8の各感光性樹脂組成物をメチルエチルケトンにて希釈し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布して90℃で10分乾燥し、厚さ25μmの感光性樹脂組成物からなる感光層を形成した。さらにその上にカバーフィルムを貼り合わせてドライフィルムを作製した。
【0136】
[ドライフィルム評価]
上記で得られたドライフィルムからカバーフィルムを剥がし、ベタの銅箔基板に、該ドライフィルムを熱ラミネートし、次いで、前記実施例1の塗膜特性評価に用いた基板と同様の条件で露光した。次に、所定のパターンを有するネガマスクを塗膜に密着させ紫外線露光装置を用いて、600mJ/cm
2の露光量で露光した。露光後、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、1.765×10
5Paの圧力でスプレー現像し、未露光部を溶解現像した。次に、紫外線露光装置を用いて1000mJ/cm
2の露光量で露光し、150℃で1時間加熱し試験片を作製した。
得られた試験片を用いて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
【0137】
【表3】
【0138】
表2〜3に示される結果から、本発明の感光性樹脂組成物を用いた実施例1〜8は、底部硬化性を維持し、レジスト形状に優れていた。一方、比較例1〜10は、底部硬化性とレジスト形状の問題が解消されておらず、不十分な結果であった。