特許第6402904号(P6402904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6402904電子輸送材料およびこれを用いた有機電界発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6402904
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】電子輸送材料およびこれを用いた有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/10 20060101AFI20181001BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   C07D401/10CSP
   H05B33/14 A
   H05B33/22 B
【請求項の数】6
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2014-159543(P2014-159543)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-51966(P2015-51966A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2017年4月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-164002(P2013-164002)
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】311002067
【氏名又は名称】JNC株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】馬場 大輔
(72)【発明者】
【氏名】菊池 貴夫
【審査官】 西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−015993(JP,A)
【文献】 特開2012−140414(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/081541(WO,A1)
【文献】 特開2003−282270(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102977129(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102276525(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101407493(CN,A)
【文献】 特開2007−137829(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/152466(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/068204(WO,A1)
【文献】 特開2011−136989(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01808912(EP,A1)
【文献】 国際公開第2007/023840(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/113743(WO,A1)
【文献】 特開2008−120696(JP,A)
【文献】 特開2012−219098(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/086552(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/005214(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/104235(WO,A1)
【文献】 特許第6094490(JP,B2)
【文献】 特許第6183363(JP,B2)
【文献】 中国特許出願公開第101445422(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102372665(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101898996(CN,A)
【文献】 特開2009−173642(JP,A)
【文献】 特開2012−067077(JP,A)
【文献】 特開2012−094823(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/060374(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物
【化1】
式(1)中、
Arは下記式(Ar−5−1)および(Ar−9)で表される基の群から選ばれる1つであり;
は炭素数1〜4のアルキルであり;
mはであり、個のピリジルフェニル基は同一でもよく、異なっていてもよく
式中の各々の環およびアルキルの少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよく、
【化2】
は独立して、メチルまたはフェニルであり、2つのRは互いに連結して環を形成してもよい。
【請求項2】
下記式(1−191)または(1−513)で表される、請求項1に記載の化合物。
【化3】
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物を含有する電子輸送材料。
【請求項4】
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層と、前記陰極と該発光層との間に配置され、請求項に記載の電子輸送材料を含有する電子輸送層および/または電子注入層とを有する有機電界発光素子。
【請求項5】
前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、さらに、キノリノール系金属錯体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体およびボラン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項またはに記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリジル基を有する新規な電子輸送材料、この電子輸送材料を用いた有機電界発光素子(以下、有機EL素子または単に素子と略記することがある。)等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代のフルカラーフラットパネルディスプレイとして有機EL素子が注目され、活発な研究がなされている。有機EL素子の実用化を促進するには、素子の消費電力の低減(低電圧化・外部量子収率向上)、長寿命化が不可欠な要素であり、これらを達成するために新しい電子輸送材料の開発がなされてきた。特に、青色素子の低消費電力化、長寿命化が課題となっており、種々の電子輸送材料が検討されている。特許文献1〜4および非特許文献1に記載されているように、ピリジン誘導体やビピリジン誘導体を電子輸送材料として使用することで有機EL素子を低電圧で駆動させることができることが知られている。その一部は実用化されているが、有機EL素子がより多くのディスプレイに採用されるためには不十分な特性である。また、ベンズイミダゾールやベンズチアゾール誘導体を電子輸送材料として有機EL素子に用いる検討もなされている(特許文献5〜7を参照。)。ピリジン誘導体やビピリジン誘導体と同様、その一部が実用化されているが、特性としては十分ではなく、更なる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−123983公報
【特許文献2】特開2002−158093公報
【特許文献3】特開2009−173642公報
【特許文献4】国際公開2007/086552
【特許文献5】米国特許公開2003/215667明細書
【特許文献6】国際公開2003/060956
【特許文献7】国際公開2008/117976
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Proceedings of the 10th International Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence (2000)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。本発明は、駆動電圧低下、高効率化、長寿命化等、有機EL素子に求められている特性の改善をバランスよく達成することができる電子輸送材料を提供することを課題とする。さらに本発明は、この電子輸送材料を用いた有機EL素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、ピリジン環がアルキルで置換されたピリジルフェニルによって2箇所以上が置換された芳香族炭化水素または芳香族複素環を有機EL素子の電子輸送層に用いることにより、駆動電圧低下、高効率化、長寿命化等の特性の改善をバランスよく達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0007】
上記の課題は以下に示す各項によって解決される。
[1] 下記式(1)で表される化合物:
【化1】
式(1)中、
Arは炭素数6〜50の芳香族炭化水素に由来するm価の基または炭素数2〜50の芳香族複素環に由来するm価の基であり、これらの基の少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく;
は炭素数1〜4のアルキルであり;
mは2〜4の整数であり、2〜4個のピリジルフェニル基は同一でもよく、異なっていてもよく;そして、
式中の各々の環およびアルキルの少なくとも1つの水素は重水素で置き換えられていてもよい。
【0008】
[2] 式(1)におけるArが下記式(Ar−1)〜(Ar−21)で表される基の群から選ばれる1つである、前記[1]項に記載の化合物:
【化2】
式(Ar−1)〜(Ar−21)中、Zは独立して、−O−、−S−、下記式(2)または(3)で表される2価の基であり、それぞれの基の少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく、
【化3】
式(2)中、Rはフェニル、ナフチル、ビフェニリル、またはテルフェニリルであり、式(3)中、Rは独立して、メチルまたはフェニルであり、2つのRは互いに連結して環を形成してもよい。
【0009】
[3] 式(1)におけるArが下記式(Ar−1)〜(Ar−11)および(Ar−19)で表される基の群から選ばれる1つである、前記[1]項に記載の化合物:
【化4】
式(Ar−1)〜(Ar−11)および(Ar−19)中、Zは独立して、−O−、−S−、下記式(2)または(3)で表される2価の基であり、それぞれの基の少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよく、
【化5】
式(2)中、Rはフェニル、ナフチル、ビフェニリル、またはテルフェニリルであり、式(3)中、Rは独立して、メチルまたはフェニルであり、2つのRは互いに連結して環を形成してもよい。
【0010】
[4] 式(1)におけるArが下記式(Ar−1)、(Ar−4)、(Ar−5−1)、(Ar−7−1)、(Ar−7−2)、(Ar−9)、および(Ar−19)で表される基の群から選ばれる1つである、前記[1]項に記載の化合物:
【化6】
式(Ar−1)、(Ar−4)、(Ar−5−1)、(Ar−7−1)、(Ar−7−2)、(Ar−9)、および(Ar−19)中、それぞれの基の少なくとも1つの水素はフェニルで置き換えられていてもよく、Rは独立して、メチルまたはフェニルであり、2つのRは互いに連結して環を形成してもよく、Rはフェニル、ナフチル、ビフェニリル、またはテルフェニリルである。
【0011】
[5] 式(1)におけるArが下記式(Ar−5−1)、(Ar−9)および(Ar−19)で表される基の群から選ばれる1つである、前記[1]項に記載の化合物:
【化7】
式(Ar−5−1)中、Rは独立して、メチルまたはフェニルであり、2つのRは互いに連結して環を形成してもよい。
【0012】
[6] 下記式(1−7)または(1−30)で表される、前記[1]項に記載の化合物。
【化8】
【0013】
[7] 下記式(1−191)、(1−453)、(1−458)、(1−493)、(1−501)、または(1−513)で表される、前記[1]項に記載の化合物。
【化9】

【化10】
【0014】
[8] 前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の化合物を含有する電子輸送材料。
【0015】
[9] 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置される発光層と、前記陰極と該発光層との間に配置され、前記[8]項に記載の電子輸送材料を含有する電子輸送層および/または電子注入層とを有する有機電界発光素子。
【0016】
[10] 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、さらに、キノリノール系金属錯体、ビピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体およびボラン誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、前記[9]項に記載の有機電界発光素子。
【0017】
[11] 電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つが、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、前記[9]項または[10]項に記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0018】
本発明の化合物は薄膜状態で電圧を印加しても安定であり、また、電荷の輸送能力が高いという特徴を持つ。本発明の化合物は有機EL素子における電荷輸送材料として適している。本発明の化合物を有機EL素子の電子輸送層に用いることで、駆動電圧低下、高効率化、長寿命化等の特性の改善をバランスよく達成することができる。本発明の有機EL素子を用いることにより、フルカラー表示等の高性能のディスプレイ装置を作成できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書においては、例えば「式(1−1)で表される化合物」のことを「化合物(1−1)」と称することがある。「式(1−2)で表される化合物」のことを「化合物(1−2)」と称することがある。その他の式記号、式番号についても同様に扱われる。
【0020】
<化合物の説明>
本願の第1の発明は下記の式(1)で表される、ピリジン環がアルキルで置換されたピリジルフェニルを有する化合物である。
【化11】
式(1)中、Arは炭素数6〜40の芳香族炭化水素に由来するm価の基または炭素数2〜40の芳香族複素環に由来するm価の基であり、これらの基の少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよい。
【0021】
式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキルである。mは2〜4の整数であるが、mが2の場合が好ましい。2〜4個のピリジルフェニル基は同一でもよく、異なっていてもよい。更には、式中の各々の環およびアルキルの少なくとも1つの水素は、重水素で置き換えられていてもよい。
【0022】
ピリジン環の置換基である炭素数1〜4のアルキルは直鎖および分枝鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜4の直鎖アルキルまたは炭素数3または4の分枝鎖アルキルである。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルなどがあげられ、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。
【0023】
式(1)中、好ましいArは具体的に下記式(Ar−1)〜(Ar−21)で表される基の群から選ばれる1つであり、中でも式(Ar−1)〜(Ar−11)および(Ar−19)で表される基の群から選ばれる1つがより好ましい。
【化12】
式(Ar−1)〜(Ar−21)中、Zは独立して、−O−、−S−、下記式(2)または(3)で表される2価の基である。
【化13】
式(2)中、Rはフェニル、ナフチル、ビフェニリル、またはテルフェニリルである。式(3)中、Rは独立して、メチルまたはフェニルである。2つのRは互いに連結して環を形成してもよい。具体的には、2つのフェニルのオルト位が単結合で連結し、スピロ環を形成する構造をあげることができる。
【0024】
式(Ar−5)で表される基については、具体的には下記式(Ar−5−1)で表される基であることがさらに好ましい。式(Ar−7)で表される基については、具体的には式(Ar−7−1)または(Ar−7−2)で表される基であることがさらに好ましい。
【化14】
式(Ar−5−1)、(Ar−7−1)および(Ar−7−2)中、それぞれの基の少なくとも1つの水素はフェニルで置き換えられていてもよく、Rは独立して、メチルまたはフェニルであり、2つのRは互いに連結して環を形成してもよく、Rはフェニル、ナフチル、ビフェニリル、またはテルフェニリルである。
【0025】
式(1)中のArは、式(Ar−1)、(Ar−4)、(Ar−5−1)、(Ar−7−1)、(Ar−7−2)、(Ar−9)、および(Ar−19)で表される基の群から選ばれる1つがさらに好ましく、式(Ar−5−1)、(Ar−9)および(Ar−19)で表される基の群から選ばれる1つが特に好ましい。
【0026】
式(Ar−1)〜(Ar−21)で表される基の少なくとも1つの水素は炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜6のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールで置き換えられていてもよい。
【0027】
式(Ar−1)〜(Ar−21)で表される基の少なくとも1つの水素が置き換えられてもよい炭素数1〜6のアルキルは、炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分枝鎖アルキルである。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分枝鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、または2−エチルブチルなどがあげられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。
【0028】
式(Ar−1)〜(Ar−21)で表される基の少なくとも1つの水素が置き換えられてもよい炭素数3〜6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはメチルシクロペンチルなどがあげられる。
【0029】
式(Ar−1)〜(Ar−21)で表される基の少なくとも1つの水素が置き換えられてもよい炭素数6〜12のアリールの具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチルなどがあげられる。
【0030】
好ましい「炭素数6〜12のアリール」は、フェニル、ビフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくはフェニルである。
【0031】
式(1)で表される化合物中、ピリジン環がアルキルで置換されたピリジルフェニルは、具体的には以下にあげる基が例示できる:
4−(6−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(5−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(4−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(3−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(2−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(6−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(4−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(3−メチルピリジン−4−イル)フェニル、4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル、3−(6−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(5−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(4−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(3−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(2−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(6−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(4−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(3−メチルピリジン−4−イル)フェニル、3−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル、2−(6−メチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(5−メチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(4−メチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(3−メチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(2−メチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(6−メチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(4−メチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(3−メチルピリジン−4−イル)フェニル、2−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル、4−(6−エチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(5−エチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(4−エチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(3−エチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(2−エチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(6−エチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(5−エチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(4−エチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(3−エチルピリジン−4−イル)フェニル、4−(2−エチルピリジン−4−イル)フェニル、3−(6−エチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(5−エチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(4−エチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(3−エチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(2−エチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(6−エチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(5−エチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(4−エチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(3−エチルピリジン−4−イル)フェニル、3−(2−エチルピリジン−4−イル)フェニル、2−(6−エチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(5−エチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(4−エチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(3−エチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(2−エチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(6−エチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(5−エチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(4−エチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(3−エチルピリジン−4−イル)フェニル、2−(2−エチルピリジン−4−イル)フェニル、4−(6−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(5−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(4−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(3−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(2−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(6−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(5−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(4−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(3−t−ブチルピリジン−4−イル)フェニル、4−(2−t−ブチルピリジン−4−イル)フェニル、3−(6−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(5−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(4−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(3−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(2−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(6−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(5−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(4−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(3−t−ブチルピリジン−4−イル)フェニル、3−(2−t−ブチルピリジン−4−イル)フェニル、2−(6−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(5−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(4−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(3−t−ブチルピリジン−2−イル)フェニル、2−(2−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(6−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(5−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(4−t−ブチルピリジン−3−イル)フェニル、2−(3−t−ブチルピリジン−4−イル)フェニル、および2−(2−t−ブチルピリジン−4−イル)フェニル。
【0032】
これらの中で好ましい基は、4−(6−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(5−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(4−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(3−メチルピリジン−2−イル)フェニル、4−(2−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(6−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(4−メチルピリジン−3−イル)フェニル、4−(3−メチルピリジン−4−イル)フェニル、4−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニル、3−(6−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(5−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(4−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(3−メチルピリジン−2−イル)フェニル、3−(2−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(6−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(4−メチルピリジン−3−イル)フェニル、3−(3−メチルピリジン−4−イル)フェニル、および3−(2−メチルピリジン−4−イル)フェニルである。
【0033】
<化合物の具体例>
本発明の化合物の具体例は以下に列記する式によって示されるが、本発明はこれらの具体的な構造の開示によって限定されることはない。
【0034】
<式(1)で表される化合物の具体例>
式(1)で表される化合物の具体例は下記の式(1−1)〜(1−287)、(1−301)〜(1−350)、(1−361)〜(1−470)、および(1−481)〜(1−514)で示される。
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
【化25】
【0046】
【化26】
【0047】
【化27】
【0048】
【化28】
【0049】
【化29】
【0050】
【化30】
【0051】
【化31】
【0052】
【化32】
【0053】
【化33】
【0054】
【化34】
【0055】
【化35】
【0056】
【化36】
【0057】
【化37】
【0058】
【化38】
【0059】
【化39】
【0060】
【化40】
【0061】
【化41】
【0062】
【化42】
【0063】
【化43】
【0064】
【化44】
【0065】
【化45】
【0066】
【化46】
【0067】
【化47】
【0068】
【化48】
【0069】
<化合物の合成法>
次に、本発明の化合物の製造方法について説明する。本発明の化合物は、基本的には、公知の化合物を用いて、公知の合成法、例えば鈴木カップリング反応や根岸カップリング反応(例えば、「Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions - Second, Completely Revised and Enlarged Edition」などに記載)を利用して合成することができる。また、両反応を組み合わせても合成することができる。本発明の化合物を、鈴木カップリング反応または根岸カップリング反応で合成するスキームを以下に例示する。
【0070】
本発明の化合物を製造する場合には、(1)アルキル置換ピリジル(末端基)とフェニル(中間基)とを結合させた基を合成し、これをArに結合する方法、(2)Arの所望の位置にフェニル基を結合させ、このフェニル基にピリジル基を結合する方法があげられる。また、これらの方法におけるフェニル基とピリジル基との結合やArとフェニル基との結合には、基本的には、ハロゲン官能基またはトリフルオロメタンスルホナート官能基と、塩化亜鉛錯体またはボロン酸(ボロン酸エステル)とのカップリング反応を用いることができる。
【0071】
まずは、(1)アルキル置換ピリジル(末端基)とフェニル(中間基)とを結合させた基を合成し、これをArに結合する方法について説明する。なお、(2)Arの所望の位置にフェニル基を結合させ、このフェニル基にピリジル基を結合する方法については、(1)の方法で説明する種々のカップリング反応を参考にして、まずArの所望の位置にフェニル基を結合させ、このフェニル基にピリジル基を結合すればよい。
【0072】
以下に、m=2である式(1)で表される化合物を例に合成方法を説明する。
【0073】
<式(1)で表される化合物の合成方法(その1)>
<アルキル置換ピリジンとフェニルの連結>
まず下記反応式(1)でアルキル置換ピリジンの塩化亜鉛錯体を合成し、次に下記反応式(2)でアルキル置換ピリジンの塩化亜鉛錯体と1,4−ジブロモベンゼンまたは1,3−ジブロモベンゼンとを反応させることにより、Arに連結させる前駆体である「ブロモフェニルピリジン化合物」を合成することができる。なお、反応式(1)中の「ZnCl・TMEDA」は塩化亜鉛のテトラメチルエチレンジアミン錯体である。ここでは原料として3−ブロモ−5−メチルピリジンを用いた合成法を例示したが、原料として様々なブロモアルキルピリジンを用いて「ブロモフェニルピリジン化合物」を合成できる。ブロモピリジンの代わりにヨードピリジンまたはクロロピリジンを用いてもよい。また、ここでは原料として1,4−ジブロモベンゼンまたは1,3−ジブロモベンゼンを用いたが、1−ブロモ−4−ヨードベンゼンまたは1−ブロモ−3−ヨードベンゼンを用いることによっても合成できる。また、1,4−ジブロモベンゼンまたは1,3−ジブロモベンゼンに、ピリジンの塩化亜鉛錯体を反応させる代わりに、ピリジンのボロン酸やピリジンのボロン酸エステルを反応させるカップリング反応によっても、「ブロモフェニルピリジン化合物」を得ることができる。
【0074】
【化49】
【0075】
上記反応式(1)において、Rは直鎖または分岐のアルキル基を表すが、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または炭素数3〜4の分岐アルキル基である。
【0076】
<Arのジボロン酸(またはボロン酸エステル)の合成>
まず、下記反応式(3)に示すように、Arを適当な臭素化剤を用いて臭素化することにより、Arのジブロモ体が得られる。適当な臭素化剤としては臭素、またはN−臭化コハク酸イミド(NBS)などが挙げられる。
【0077】
【化50】
【0078】
次に、下記反応式(4)に示すように、Arのジブロモ体を、有機リチウム試薬を用いてリチオ化するか、マグネシウムや有機マグネシウム試薬を用いてグリニャール試薬とし、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチルまたはホウ酸トリイソプロピルなどと反応させることにより、Arのジボロン酸エステルを合成することができる。さらに、このArのジボロン酸エステルを下記反応式(5)で加水分解することにより、Arのジボロン酸を合成することができる。
【0079】
【化51】
【0080】
上記反応式(4)において、Rは直鎖または分岐のアルキル基を表すが、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または炭素数3〜4の分岐アルキル基である。
【0081】
また、下記反応式(6)に示すように、Arのジブロモ体とビス(ピナコラート)ジボロンまたは4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランとを、パラジウム触媒と塩基を用いてカップリング反応させることにより、同様のArのジボロン酸エステルを合成することができる。
【0082】
【化52】
【0083】
なお、上記反応式(4)において、Arのジブロモ体のような臭化物の代わりに、塩化物またはヨウ化物を用いても、同様に合成することができる。また、反応式(6)においては、臭化物の代わりに、塩化物、ヨウ化物またはトリフラートを用いて、同様に合成することができる。
【0084】
<鈴木カップリング反応による本発明に係る化合物の合成>
最後に、下記反応式(7)に示すように、上述するようにして合成した、Arのジボロン酸またはArのジボロン酸エステル類に、2倍モルの「ブロモフェニルピリジン化合物」をパラジウム触媒と塩基の存在下で反応させることにより、本発明に係る化合物を合成することができる。
【0085】
【化53】
【0086】
また、下記反応式(8)に示すように、2倍モルのピリジルベンゼンのボロン酸またはボロン酸エステル類に、Arのジブロモ体をパラジウム触媒と塩基の存在下で反応させることにより、本発明に係る化合物を合成することができる。なお、ピリジルベンゼンのボロン酸またはボロン酸エステル類は、前記の「ブロモフェニルピリジン化合物」から上記反応式(4)〜(6)に準じた方法で合成することができる。
【0087】
【化54】
【0088】
鈴木カップリング反応で用いられるパラジウム触媒の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:PdCl(PPh、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd(dba)・CHCl、またはビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)があげられる。
【0089】
また、反応を促進させるため、場合によりこれらのパラジウム化合物にホスフィン化合物を加えてもよい。そのホスフィン化合物の具体例としては、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、1−(N,N−ジメチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(N,N−ジブチルアミノメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1−(メトキシメチル)−2−(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、1,1’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−メトキシ−2’−(ジt−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、または2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニルがあげられる。
【0090】
反応で用いられる塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、酢酸ナトリウム、リン酸三カリウム、またはフッ化カリウムがあげられる。
【0091】
また、反応で用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、シクロペンチルメチルエーテルまたはイソプロピルアルコールがあげられる。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。また、上記溶媒の少なくとも1つに水を併用することもできる。
【0092】
<式(1)で表される化合物の合成方法(その2)>
<Arのジ亜鉛錯体の合成>
まず、下記反応式(9)に示すように、Arのジブロモ体を、有機リチウム試薬を用いてリチオ化するか、マグネシウムや有機マグネシウム試薬を用いてグリニャール試薬とし、塩化亜鉛や塩化亜鉛テトラメチルエチレンジアミン錯体(ZnCl・TMEDA)と反応させることにより、Arのジ亜鉛錯体を合成することができる。
【0093】
【化55】
【0094】
上記反応式(9)において、Rは直鎖または分岐のアルキル基を表すが、好ましくは炭素数1〜4の直鎖または炭素数3〜4の分岐アルキル基である。なお、Arのジブロモ体のような臭化物の代わりに、塩化物またはヨウ化物を用いても、同様に合成することができる。
【0095】
<根岸カップリング反応による本発明に係る化合物の合成>
最後に、下記反応式(10)に示すように、上述するようにして合成した、Arのジ亜鉛錯体に、2倍モルの「ブロモフェニルピリジン化合物」をパラジウム触媒の存在下で反応させることにより、本発明に係る化合物を合成することができる。
【0096】
【化56】
【0097】
また、下記反応式(11)に示すように、Arのジブロモ体に、「ブロモフェニルピリジン化合物」から上記反応式(9)に準じた方法で合成した、2倍モルのピリジルベンゼン亜鉛錯体をパラジウム触媒の存在下で反応させることにより、本発明に係る化合物を合成することができる。
【0098】
【化57】
【0099】
根岸カップリング反応で用いられるパラジウム触媒の具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0):Pd(PPh、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド:PdCl(PPh、酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0):Pd(dba)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体:Pd(dba)・CHCl、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0):Pd(dba)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、または(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)ジクロロパラジウム(II)があげられる。
【0100】
また、反応で用いられる溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルまたは1,4−ジオキサンがあげられる。これらの溶媒は適宜選択でき、単独で用いてもよく、混合溶媒として用いてもよい。
【0101】
ここまではm=2である化合物について、同一のピリジルフェニルをArに連結する合成方法を説明した。異なる2つのピリジルフェニルをArに連結させる場合は、例えば、前記のカップリング反応において、まず反応性の置換基を有するArと1倍モル相当の反応性の置換基を有するピリジルベンゼンとを反応させた後、この中間体に先とは異なる、反応性の置換基を有するピリジルベンゼンを反応させる(すなわち、2段階に分けて反応させる)ことで合成することができる。
【0102】
また、次の手順で合成する方法も好ましく挙げることができる。下記反応式(12)でArの1箇所を臭素化する。この際の臭素化剤の使用量はジブロモ体を得る場合のおよそ1/2である。得られたArのモノブロモ体に、下記反応式(13)で、等モルのピリジルベンゼン亜鉛錯体をパラジウム触媒の存在下で反応させて、モノ置換体を合成する。下記反応式(14)でこのモノ置換体をさらに臭素化する。次いで、得られた化合物に、下記反応式(15)で、反応式(13)とは異なるピリジルベンゼン亜鉛錯体をパラジウム触媒の存在下で反応させて、異なる2つのピリジルフェニルを有する式(1)で表される化合物を合成することができる。
【0103】
【化58】
【0104】
また、本発明の化合物には、少なくとも一部の水素原子が重水素で置換されているものも含まれるが、このような化合物は所望の箇所が重水素化された原料を用いることで、上記と同様に合成することができる。
【0105】
本発明の化合物を、有機EL素子における、電子注入層または電子輸送層に用いた場合、電界印加時において安定である。これらは、本発明の化合物が、電界発光型素子の電子注入材料、または電子輸送材料として優れていることを表す。ここで言う電子注入層とは陰極から有機層へ電子を受け取る層であり、電子輸送層とは注入された電子を発光層へ輸送するための層である。また、電子輸送層が電子注入層を兼ねることも可能である。それぞれの層に用いる材料を、電子注入材料および電子輸送材料という。
【0106】
<有機EL素子の説明>
本願の第2の発明は、電子注入層、または電子輸送層に、本発明の式(1)で表される化合物を含有する有機EL素子である。本発明の有機EL素子は、駆動電圧が低く、駆動時の耐久性が高い。
【0107】
本発明の有機EL素子の構造は各種の態様があるが、基本的には陽極と陰極との間に少なくとも正孔輸送層、発光層、電子輸送層を挟持した多層構造である。素子の具体的な構成の例は、(1)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(2)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、(3)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極、等である。
【0108】
本発明の化合物は、高い電子注入性および電子輸送性を持っているので、単体または他の材料と併用して電子注入層、または電子輸送層に使用できる。本発明の有機EL素子は、本発明の電子輸送材料に他の材料を用いた正孔注入層、正孔輸送層、発光層、などを組み合わせることで、青色、緑色、赤色や白色の発光を得ることもできる。
【0109】
本発明の有機EL素子に使用できる発光材料または発光性ドーパントは、高分子学会編、高分子機能材料シリーズ“光機能材料”、共同出版(1991)、P236に記載されているような昼光蛍光材料、蛍光増白剤、レーザー色素、有機シンチレータ、各種の蛍光分析試薬等の発光材料、城戸淳二監修、“有機EL材料とディスプレイ”シーエムシー社出版(2001)P155〜156に記載されているようなドーパント材料、P170〜172に記載されているような3重項材料の発光材料等である。
【0110】
発光材料または発光性ドーパントとして使用できる化合物は、多環芳香族化合物、ヘテロ芳香族化合物、有機金属錯体、色素、高分子系発光材料、スチリル誘導体、芳香族アミン誘導体、クマリン誘導体、ボラン誘導体、オキサジン誘導体、スピロ環を有する化合物、オキサジアゾール誘導体、フルオレン誘導体等である。多環芳香族化合物の例は、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、ペリレン誘導体、コロネン誘導体、ルブレン誘導体等である。ヘテロ芳香族化合物の例は、ジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を有するオキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ピリジン誘導体、ピラン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体、トリフェニルアミノ基を有するチオフェン誘導体、キナクリドン誘導体等である。有機金属錯体の例は、亜鉛、アルミニウム、ベリリウム、ユーロピウム、テルビウム、ジスプロシウム、イリジウム、白金、オスミウム、金、等と、キノリノール誘導体、ベンゾキサゾ−ル誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピロール誘導体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体等との錯体である。色素の例は、キサンテン誘導体、ポリメチン誘導体、ポルフィリン誘導体、クマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、オキソベンズアントラセン誘導体、カルボスチリル誘導体、ペリレン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体等の色素が挙げられる。高分子系発光材料の例は、ポリパラフェニルビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾ−ル誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体等である。スチリル誘導体の例は、アミン含有スチリル誘導体、スチリルアリーレン誘導体等である。
【0111】
本発明の有機EL素子に使用される他の電子輸送材料は、光導電材料において電子伝達化合物として使用できる化合物、有機EL素子の電子輸送層および電子注入層に使用できる化合物の中から任意に選択して用いることができる。
【0112】
このような電子輸送材料の具体例は、キノリノール系金属錯体、2,2’−ビピリジル誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パ−フルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体等である。
【0113】
本発明の有機EL素子に使用される正孔注入材料および正孔輸送材料については、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物や、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾ−ル誘導体、トリアリールアミン誘導体、フタロシアニン誘導体等である。
【0114】
本発明の有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、スピンコート法またはキャスト法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。なお、発光材料を薄膜化する方法は、均質な膜が得やすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から蒸着法を採用するのが好ましい。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、本発明の発光材料の種類により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度50〜400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚5nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
【0115】
本発明の有機EL素子は、前記のいずれの構造であっても、基板に支持されていることが好ましい。基板は機械的強度、熱安定性および透明性を有するものであればよく、ガラス、透明プラスチックフィルム等を用いることができる。陽極物質は4eVより大きな仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を用いることができる。その具体例は、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(以下、ITOと略記する)、SnO、ZnO等である。
【0116】
陰極物質は4eVより小さな仕事関数の金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物を使用できる。その具体例は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金等である。合金の具体例は、アルミニウム/弗化リチウム、アルミニウム/リチウム、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム等である。有機EL素子の発光を効率よく取り出すために、電極の少なくとも一方は光透過率を10%以上にすることが望ましい。電極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下にすることが好ましい。なお、膜厚は電極材料の性質にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10〜400nmの範囲に設定される。このような電極は、上述の電極物質を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で薄膜を形成させることにより作製することができる。
【0117】
次に、本発明の発光材料を用いて有機EL素子を作成する方法の一例として、前述の陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/本発明の電子輸送材料/陰極からなる有機EL素子の作成法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上に発光層の薄膜を形成させる。この発光層の上に本発明の電子輸送材料を真空蒸着し、薄膜を形成させ、電子輸送層とする。さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法により形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
【0118】
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、交流電圧を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【実施例】
【0119】
以下に、本発明を実施例に基づいて更に詳しく説明する。まず、実施例で用いた化合物の合成例について、以下に説明する。
【0120】
[合成例1]化合物(1−7)の合成
<5,5’−(7,7−ジフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジイル)ビス(3−メチルピリジン)の合成>
5,9−ジブロモ−7,7−ジフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレン(2.0g)、3−メチル−5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン(2.4g)、Pd(PPh(0.2g)、リン酸三カリウム(4.0g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(14mL)、t−ブチルアルコール(2mL)および水(2mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、析出した固体を吸引濾過にて採取した。この固体をシリカゲルカラム(展開液:トルエン)で精製した後、昇華精製して、目的化合物(1.7g)を得た。
【0121】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=8.90(d,1H), 8.72(d,2H), 8.46(dd,2H), 8.07(d,1H), 7.73−7.78(m,4H), 7.65−7.71(m,6H), 7.63(d,2H), 7.55−7.58(m,3H), 7.52(dd,1H), 7.32−7.34(m,4H), 7.19−7.26(m,6H), 2.40(s,6H).
【0122】
[合成例2]化合物(1−30)の合成
<4,4’−ビス(4−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル)−1,1’−ビナフタレン>
[1,1’−ビナフタレン]−4,4’−ジイル ビス(トリフルオロメタンスルホネート)(3.0g)、3−メチル−5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン(2.4g)、Pd(PPh(0.2g)、リン酸三カリウム(4.0g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(14mL)、t−ブチルアルコール(2mL)および水(2mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で6時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、析出した固体を吸引濾過にて採取した。この固体をシリカゲルカラム(展開液:トルエン:酢酸エチル=4:1)で精製した後、昇華精製して、目的化合物(2.0g)を得た。
【0123】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=8.80(d,2H), 8.48(d,2H), 8.08(d,2H), 7.81(s,2H), 7.77(d,4H), 7.72(d,4H), 7.60(m,6H), 7.46(dd,2H), 7.35(dd,2H), 2.46(s,6H).
【0124】
[合成例3]化合物(1−191)の合成
<2,7−ビス(4−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル)トリフェニレン>
3−メチル−5−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン(3.0g)、ビス(ジt−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(0.089g)、炭酸カリウム(2.3g)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.27g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(20mL)および水(2mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で5時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、さらにトルエンを加えて分液抽出を行った。有機層を分離後、乾燥、濃縮し、粗体をNHシリカゲルカラム(展開液:トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製したのち、昇華精製して目的物化合物(0.47g)を得た。
【0125】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=8.9(s,2H), 8.8(m,6H), 8.5(s,2H), 8.0(m,4H), 7.8(m,4H), 7,7(m,2H)、 7.7〜7.6(m,4H), 2.5(s,6H).
【0126】
[合成例4]化合物(1−453)の合成
<1,3,5−トリス(4−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル)ベンゼン>
3−メチル−5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン(6.4g)、1,3,5−トリブロモベンゼン(1.9g)、Pd(PPh(0.4g)、リン酸三カリウム(7.6g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(20mL)、t−ブチルアルコール(5mL)および水(1mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で8時間攪拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、析出した固体を吸引濾過にて採取した。この固体をクロロベンゼンで再結晶を行って精製した後、昇華精製して、目的化合物(1.4g)を得た。
【0127】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=8.7(d,3H), 8.5(d,3H), 7.9(s,3H), 7.8(m,6H), 7.8〜7.7(m,9H), 2.4(s,9H).
【0128】
[合成例5]化合物(1−458)の合成
<1,3,5−トリス(3−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル)ベンゼン>
1,3,5−トリス(3−ブロモフェニル)ベンゼン(2.5g)、3−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(3.3g)、ビス(ジターシャリーブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(0.097g)、炭酸カリウム(3.8g)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.59g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(20mL)および水(2mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、さらにトルエンを加えて分液抽出を行った。有機層を分離後、乾燥、濃縮し、粗体をNHシリカゲルカラム(展開液:トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製したのち、昇華精製して目的物化合物(1.0g)を得た。
【0129】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=8.7(d,3H), 8.5(d,3H), 7.9(m,6H), 7.8〜7.7(m,6H), 7.6(m,6H), 2,4(s,9H).
【0130】
[合成例6]化合物(1−493)の合成
<1,4−ビス(4−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル)−2,3−ジフェニルナフタレン>
1,4−ビス(4−ブロモフェニル)−2,3−ジフェニルナフタレン(2.9g)、3−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(2.6g)、ビス(ジt−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(0.10g)、炭酸カリウム(2.7g)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.32g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(20mL)および水(2mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で4時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、さらにトルエンを加えて分液抽出を行った。有機層を分離後、乾燥、濃縮し、粗体をNHシリカゲルカラム(展開液トルエン:酢酸エチル=19:1)で精製したのち、昇華精製して目的物化合物(2.0g)を得た。
【0131】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=8.7(d,2H), 8.4(d,2H), 7.7(m,4H), 7.5(dd,4H), 7.4(dd,2H), 7.3(dd,4H), 6.9〜6.8(m,10H), 2.4(s,6H).
【0132】
[合成例7]化合物(1−501)の合成
<5,9−ビス(3−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル−7H−ベンゾ[c]カルバゾール>
7−フェニル−7H−ベンゾ[c]カルバゾール−5,9−ジイル ビス(トリフルオロメタンスルホネート)(2.5g)、3−メチル−5−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン(3.0g)、ビス(ジt−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(0.90g)、炭酸カリウム(2.3g)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.27g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(20mL)および水(2mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、さらにトルエンを加えて分液抽出を行った。有機層を分離後、乾燥、濃縮し、粗体をNHシリカゲルカラム(展開液トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製したのち、昇華精製して目的物化合物(0.61g)を得た。
【0133】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=9.0(d,1H), 8.8(d,1H), 8.7(t,2H), 8.4(dd,2H), 8.0(d,1H), 7.9(s,1H), 7.8〜7.7(m,7H), 7,7〜7.4(m,12H), 2,4(s,3H), 2.4(s,3H).
【0134】
[合成例8]化合物(1−513)の合成
<2,7−ビス(3−(5−メチルピリジン−3−イル)フェニル)−9,9’−スピロビ[フルオレン]>
2,7−ジブロモ−9,9’−スピロビ[フルオレン](2.0g)、3−メチル−5−(3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)ピリジン(3.0g)、ビス(ジt−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(0.90g)、炭酸カリウム(2.3g)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.27g)、1,2,4−トリメチルベンゼン(20mL)および水(2mL)をフラスコに入れ、窒素雰囲気下、還流温度で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し水を加え、さらにトルエンを加えて分液抽出を行った。有機層を分離後、乾燥、濃縮し、粗体をNHシリカゲルカラム(展開液トルエン:酢酸エチル=9:1)で精製したのち、昇華精製して目的物化合物(0.28g)を得た。
【0135】
NMR測定により化合物の構造を確認した。
H−NMR(CDCl):δ=8.6(d,2H), 8.4(d,2H), 8.0(d,2H), 7.9(d,2H), 7.7(dd,2H), 7.6(m,2H), 7.6(m,2H), 7.5〜7.4(m,8H), 7.1(td,2H), 7.0(d,2H), 6.8(d,2H), 2.4(s,6H).
【0136】
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の誘導体化合物を合成することができる。
【0137】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために、本発明の化合物を用いた有機EL素子の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0138】
実施例1〜8および比較例1〜5に係る素子を作製し、それぞれ、定電流駆動試験における駆動開始電圧(V)、初期値の80%以上の輝度を保持する時間(hr)の測定を行った。以下、実施例について詳細に説明する。
【0139】
作製した実施例1〜8および比較例1〜5に係る素子における、各層の材料構成を下記表1に示す。
【表1】
【0140】
表1において、「HI−1」はN,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、「IL」は1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル、「HT−1」はN−([1,1’−ビフェニル]−4−イル)−9,9−ジメチル−N−(4−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミンであり、「BH」は9−フェニル−10−(4−フェニルナフタレン−1−イル)アントラセン、「BD」は7,7−ジメチル−N,N−ジフェニル−N,N−ビス(4−(トリメチルシリル)フェニル)−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジアミンである。陰極に用いた「Liq」と共に以下に化学構造を示す。
【0141】
【化59】
【0142】
下記に比較例に用いた「A」:6,6”−(7,7−ジフェニル−7H−ベンゾ[c]フルオレン−5,9−ジイル)ジ−2,3’−ビピリジン、「B」:2,7−ジ([2,4’−ビピリジン]−6−イル)トリフェニレン、「C」:3,3’−(5’−(3−(ピリジン−3−イル)フェニル)−[1,1’:3’,1”−テルフェニル]−3,3”−ジイル)ジピリジン、「D」:2,7−ジ([2,4’−ビピリジン]−6−イル)−9,9’−スピロビ[フルオレン]、「E」:5,5’−((2−フェニルアントラセン−9,10−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(3−メチルピリジン)の化学構造を示す。
【化60】
【0143】
[実施例1]
<化合物(1−7)を電子輸送材料に用いた素子>
スパッタリングにより180nmの厚さに製膜したITOを150nmまで研磨した、26mm×28mm×0.7mmのガラス基板((株)オプトサイエンス製)を透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置((株)昭和真空製)の基板ホルダーに固定し、HI−1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ILを入れたモリブデン製蒸着用ボート、HT−1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、BHを入れたモリブデン製蒸着用ボート、BDを入れたモリブデン製蒸着用ボート、本願発明の化合物(1−7)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、Liqを入れたモリブデン製蒸着用ボート、マグネシウムを入れたタングステン製蒸着用ボート、銀を入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0144】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を5×10−4Paまで減圧し、まず、HI−1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚40nmになるように蒸着し、さらにILが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚5nmになるように蒸着することで2層からなる正孔注入層を形成し、次いで、HT−1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚25nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BHが入った蒸着用ボートとBDの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BHとBDの重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、化合物(1−7)の入った蒸着用ボートとLiqの入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成した。化合物(1−7)とLiqの重量比がおよそ1対1になるように蒸着速度を調節した。各層の蒸着速度は0.01〜1nm/秒であった。
【0145】
その後、Liqが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着した。次いで、マグネシウムの入ったボートと銀の入ったボートを同時に加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成した。このとき、マグネシウムと銀の原子数比が10対1となるように蒸着速度を調節し、蒸着速度が0.1nm〜10nm/秒になるように蒸着して陰極を形成し有機電界発光素子を得た。
【0146】
ITO電極を陽極、Mg/Ag電極を陰極として、1000cd/m発光時の特性を測定すると、駆動電圧は3.47V、外部量子効率は6.77%であった。また、1500cd/mの輝度が得られる電流密度で定電流駆動試験を実施した結果、初期輝度の80%(1200cd/m)以上の輝度を保持する時間は76時間であった。
【0147】
[比較例1]
化合物(1−7)を化合物Aに替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は3.43V、外部量子効率は5.61%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は50時間であった。
【0148】
[実施例2]
<化合物(1−30)を電子輸送材料に用いた素子>
化合物(1−7)を化合物(1−30)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は4.59V、外部量子効率は5.45%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は69時間であった。
【0149】
[実施例3]
<化合物(1−191)を電子輸送材料に用いた素子>
化合物(1−7)を化合物(1−191)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は3.77V、外部量子効率は7.87%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は138時間であった。
【0150】
[比較例2]
化合物(1−7)を化合物Bに替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は3.55V、外部量子効率は7.45%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は116時間であった。
【0151】
[実施例4]
<化合物(1−453)を電子輸送材料に用いた素子>
化合物(1−7)を化合物(1−453)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は5.85V、外部量子効率は6.25%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は205時間であった。
【0152】
[実施例5]
<化合物(1−458)を電子輸送材料に用いた素子>
化合物(1−7)を化合物(1−458)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は4.95V、外部量子効率は6.05%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は120時間であった。
【0153】
[比較例3]
化合物(1−7)を化合物Cに替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は5.17V、外部量子効率は5.70%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は63時間であった。
【0154】
[実施例6]
<化合物(1−493)を電子輸送材料に用いた素子>
化合物(1−7)を化合物(1−493)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は4.86V、外部量子効率は6.10%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は155時間であった。
【0155】
[実施例7]
<化合物(1−501)を電子輸送材料に用いた素子>
化合物(1−7)を化合物(1−501)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は4.90V、外部量子効率は5.97%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は198時間であった。
【0156】
[実施例8]
<化合物(1−513)を電子輸送材料に用いた素子>
化合物(1−7)を化合物(1−513)に替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は3.98V、外部量子効率は6.45%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は160時間であった。
【0157】
[比較例4]
化合物(1−7)を化合物Dに替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は3.75V、外部量子効率は5.89%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は155時間であった。
【0158】
[比較例5]
化合物(1−7)を化合物Eに替えた以外は実施例1と同様にして有機EL素子を得た。また、同様の試験を実施したところ、駆動電圧は3.92V、外部量子効率は5.20%であり、初期輝度の80%以上の輝度を保持する時間は130時間であった。
【産業上の利用可能性】
【0159】
本発明の好ましい態様によれば、低駆動電圧、高効率、長い寿命等、有機EL素子に求められる特性をバランスよく達成した有機EL素子を提供することができ、フルカラー表示等の高性能のディスプレイ装置を提供できる。