(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、および消泡剤の少なくとも1つをさらに含有する、請求項8から12のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この明細書における用語の使い方は次のとおりである。液晶性化合物は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物、および液晶相を有しないが、上限温度、下限温度、粘度、誘電率異方性のような組成物の特性を調節する目的で添加する化合物の総称である。これらの化合物は、1,4−シクロヘキシレンや1,4−フェニレンのような六員環を有し、その分子構造は棒状(rod like)である。このような液晶性化合物を混合することによって液晶組成物が調製される。液晶性化合物の割合(含有量)は、この液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。この組成物に、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、消泡剤のような添加物が必要に応じて添加される。添加物の割合(添加量)は、液晶性化合物の割合と同様に、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)で表される。重量百万分率(ppm)が用いられることもある。
【0013】
液晶表示素子は、液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。液晶性化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と略すことがある。透明点は、液晶性化合物における液晶相−等方相の転移温度である。液晶相の下限温度は、液晶性化合物における固体−液晶相(スメクチック相、ネマチック相など)の転移温度である。ネマチック相の上限温度は、液晶組成物におけるネマチック相−等方相の転移温度であり、上限温度と略すことがある。ネマチック相の下限温度を下限温度と略すことがある。
【0014】
式(1)で表される化合物を化合物(1)と略すことがある。「化合物(1)」は、式(1)で表される1つの化合物、2つの化合物の混合物、または3つ以上の化合物の混合物を意味する。このルールは式(2)などで表される化合物にも適用される。式(1)において、aが2のとき、2つのQが存在する。この化合物において、2つのQが表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、aが2より大きいときの任意の2つのQにも適用される。このルールはZ、R
bなどの記号にも適用される。式(1−2)において2つのQが存在する。この化合物において、2つのQが表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、2つより多いQが存在する式(1−3)などにも適用される。このルールはZ、R
bなどの記号にも適用される。
【0015】
式(2)から(15)において、六角形で囲んだB
1、C
1などの記号はそれぞれ環B
1、環C
1などに対応する。末端基R
11の記号を複数の化合物に用いた。これらの化合物において、任意の2つのR
11が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。例えば、化合物(2)のR
11がエチルであり、化合物(3)のR
11がエチルであるケースがある。化合物(2)のR
11がエチルであり、化合物(3)のR
11がプロピルであるケースもある。このルールは、他の末端基、環、結合基などの記号にも適用される。式(8)において、iが2のとき、2つの環D
1が存在する。この化合物において、2つの環D
1が表す2つの基は、同一であってもよいし、または異なってもよい。このルールは、iが2より大きいときの任意の2つの環D
1にも適用される。このルールは、他の環、結合基などの記号にも適用される。
【0016】
「少なくとも1つの‘A’は、‘B’で置き換えられてもよい」の表現は、‘A’の数が1つのとき、‘A’の位置は任意であり、‘A’の数が2つ以上のときも、それらの位置は制限なく自由に選択できることを意味する。「少なくとも1つのAが、B、C、またはDで置き換えられてもよい」という表現は、少なくとも1つのAがBで置き換えられた場合、少なくとも1つのAがCで置き換えられた場合、および少なくとも1つのAがDで置き換えられた場合、さらに複数のAがB、C、Dの少なくとも2つで置き換えられた場合を含むことを意味する。例えば、少なくとも1つの−CH
2−(または、−CH
2CH
2−)が−O−(または、−CH=CH−)で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルが含まれる。なお、連続する2つの−CH
2−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。アルキルなどにおいて、メチル部分(−CH
2−H)の−CH
2−が−O−で置き換えられて−O−Hになることも好ましくない。
【0017】
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、下記の2つの二価基を意味する。化学式において、フッ素は左向き(L)であってもよいし、右向き(R)であってもよい。このルールは、テトラヒドロピラン−2,5−ジイルのような、環から水素を2つ除くことによって誘導された非対称な二価基にも適用される。
【0019】
項1. 式(1)で表される化合物。
式(1)において、
aは1、2、3、または4であり、bは4からaを引いた数(4−a)であり;
Mは、有機基であり;
Zは、単結合、−O−、−COO−、または−OCO−であり;
Qは、式(Q−1)、(Q−2)、または(Q−3)で表される一価基であり、ここでR
aは、水素、−O・、−OH、または−R
1であり;
R
bは、水素、フッ素、または−R
2であり;
R
1およびR
2は独立して、炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアリールアルキル、または炭素数1から20のアリールであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−NR
3−で置き換えられてもよく、末端に位置する−CH
3は−NHR
3または−NR
4R
5で置き換えられてもよく、ここでR
3、R
4、およびR
5は独立して、炭素数1から10のアルキルである。
【0020】
項2. 式(1−1)から(1−4)のいずれかで表される、項1に記載の化合物。
式(1−1)から(1−4)において、
Mは、炭素数1から20の脂肪族炭化水素基または炭素数1から20の芳香族炭化水素基であり、これらの基において、少なくとも1つの−CH
2−は−O−または−S−で置き換えられてもよく、1つまたは2つの−CH=CH−は−CH=N−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素または塩素で置き換えられてもよく;
Zは、単結合、−O−、−COO−、または−OCO−であり;
Qは、式(Q−1)、(Q−2)、または(Q−3)で表される一価基であり、ここでR
aは、水素、−O・、−OH、または−R
1であり;
R
bは、水素、フッ素、または−R
2であり;
R
1およびR
2は独立して、炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアリールアルキル、または炭素数1から20のアリールであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−、−CO−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく、末端に位置する−CH
3は−NHR
3または−NR
4R
5で置き換えられてもよく、ここでR
3、R
4、およびR
5は独立して、炭素数1から10のアルキルである。
【0021】
項3. 式(1−1a)から(1−4a)のいずれかで表される、項1または2に記載の化合物。
式(1−1a)から(1−4a)において、
は、炭素数1から15のアルカン、少なくとも1つの−CH
2−が−O−で置き換えられた炭素数1から15のアルカン、シクロヘキサン、ビシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ベンゼン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ピリジン、またはピリミジンから水素を除くことによって誘導された二価基、三価基、または四価基であり;
Zは、単結合、−O−、−COO−、または−OCO−であり;
Qは、式(Q−1)、(Q−2)、または(Q−3)で表される一価基であり、ここでR
aは、水素、−O・、−OH、または−R
1であり;
R
bは、水素、フッ素、または−R
2であり;
R
1およびR
2は独立して、炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアリールアルキル、または炭素数1から20のアリールであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、末端に位置する−CH
3は−NHR
3または−NR
4R
5で置き換えられてもよく、ここでR
3、R
4、およびR
5は独立して、炭素数1から10のアルキルである。
【0022】
項4. 項3に記載の式(1−1a)から(1−4a)において、
が、それぞれ式(M−1)から(M−7)で表される二価基、式(M−8)から(M−23)で表される三価基、式(M−24)から(M−42)で表される四価基のいずれかである、項3に記載の化合物。
上記式において、cは、0から16の整数である。
【0023】
項5. 式(1a)から(1s)のいずれかで表される、項1、2、または3に記載の化合物。
上記式において、
dは、1から14の整数であり;
eは、0から13の整数であり;
Qは、式(Q−1)、(Q−2)、または(Q−3)で表される一価基であり、ここでR
aは、水素、−O・、−OH、または−R
1であり;
R
bは、水素または−R
2であり;
R
1およびR
2は独立して、炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアリールアルキル、または炭素数1から20のアリールであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく;R
4およびR
5は独立して炭素数1から10のアルキルである。
【0024】
項6. 項5に記載の式(1a)から(1s)において、式(Q−1)から(Q−3)中のR
aが、水素、−O・、−OH、炭素数1から10のアルキル、または炭素数1から10のアルコキシである、項5に記載の化合物。
【0025】
項7. 式(1a−1)、(1f)、(1h)、および(1n)のいずれかで表される、項1、2、3、または5に記載の化合物。
式(1a−1)、(1f−1)、(1h)、および(1n)において、
fは、1から12の整数であり;
Qは、式(Q−1)、(Q−2)、または(Q−3)のいずれかで表される一価基であり、ここでR
aは、水素または炭素数1から15のアルキルである。
【0026】
項8. 式(1a−1−1)から(1a−1−6)、式(1f−1−1)から(1f−1−6)、および式(1n−1−1)から(1n−1−3)のいずれかで表される、項1、2、3、5、または7に記載の化合物。
式(1a−1−1)から(1a−1−6)において、gは、1から10の整数を示す。
【0027】
項9. 項1から8のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物を含有する液晶組成物。
【0028】
項10. 式(2)から(4)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項9に記載の液晶組成物。
式(2)から(4)において、
R
11およびR
12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環B
1、B
2、B
3、およびB
4は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
11、Z
12、およびZ
13は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、または−COO−である。
【0029】
項11. 式(5)から(7)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項9または10に記載の液晶組成物。
式(5)から(7)において、
R
13は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
11は、フッ素、塩素、−OCF
3、−OCHF
2、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
2CHF
2、または−OCF
2CHFCF
3であり;
環C
1、C
2、およびC
3は独立して、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
14、Z
15、およびZ
16は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、または−(CH
2)
4−であり;
L
11およびL
12は独立して、水素またはフッ素である。
【0030】
項12. 式(8)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項9または10に記載の液晶組成物。
式(8)において、
R
14は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
X
12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nであり;
環D
1は、1,4−シクロヘキシレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、またはピリミジン−2,5−ジイルであり;
Z
17は、単結合、−CH
2CH
2−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−OCF
2−、または−CH
2O−であり;
L
13およびL
14は独立して、水素またはフッ素であり;
iは、1、2、3、または4である。
【0031】
項13. 式(9)から(15)で表される化合物の群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項9または10に記載の液晶組成物。
式(9)から(15)において、
R
15およびR
16は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
R
17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;
環E
1、E
2、E
3、およびE
4は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレン,テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
環E
5およびE
6は独立して、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン,テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、またはデカヒドロナフタレン−2,6−ジイルであり;
Z
18、Z
19、Z
20、およびZ
21は独立して、単結合、−CH
2CH
2−、−COO−、−CH
2O−、−OCF
2−、または−OCF
2CH
2CH
2−であり;
L
15およびL
16は独立して、フッ素または塩素であり;
S
11は、水素またはメチルであり;
Xは、−CHF−または−CF
2−であり;
j、k、m、n、p、q、r、およびsは独立して、0または1であり、k、m、n、およびpの和は、1または2であり、q、r、およびsの和は、0、1、2、または3であり、tは、1、2、または3である。
【0032】
項14. 重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、および消泡剤の少なくとも1つをさらに含有する、項9から13のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【0033】
項15. 項9から14のいずれか1項に記載の液晶組成物を少なくとも1つ含有する液晶表示素子。
【0034】
本発明は、次の項も含む。(a)重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、化合物(1)とは異なる光安定剤、熱安定剤、消泡剤のような添加物の少なくとも2つをさらに含有する上記の液晶組成物。(b)上記の液晶組成物に重合性化合物を添加して調製した重合性組成物。(c)この重合性組成物を重合させることによって調製した液晶複合体。(d)この液晶複合体を含有する高分子支持配向(PSA)型の液晶表示素子。(e)化合物(1)の光安定剤としての使用。(f)化合物(1)の熱安定剤としての使用。(g)化合物(1)とは異なる光安定剤と化合物(1)とを組み合わせた使用。(h)上記の液晶組成物に光学活性化合物を添加することによって光学活性な組成物としての使用。
【0035】
化合物(1)の態様、化合物(1)の合成、液晶組成物、および液晶表示素子について順に説明する。
【0036】
1.化合物(1)の態様
本発明の化合物(1)は、イソプロピルピペリジン環を有するので、ヒンダードアミン系光安定剤として有用である。この化合物は、2位と6位に2つのイソプロピル基(または、1つのイソプロピルと複数のメチル基)で置換されたピペリジン環を有することを特徴とする。これらの基の間に位置するアミノ基(NH)は、立体的な障害を受けるので、反応性が制御されることになる。従って、化合物(1)は、液晶性化合物の光反応によって生成した分解生成物をトラップするのに適している。この化合物は、液晶組成物に添加することができる。この化合物は、液晶組成物への高い溶解度を有するからである。液晶組成物は、液晶性化合物の混合物である。化合物(1)は、この液晶性化合物がバックライトや太陽からの光によって分解するのを防止する効果がある。化合物(1)は、熱安定剤としての効果も有するようである。
【0037】
液晶表示素子を長時間使用すると、液晶性化合物は、光で分解して分解生成物を生成する傾向がある。この生成物は不純物であるから素子にとっては好ましくない。この不純物は、コントラスト比の低下、表示むらの発生、画像の焼き付きのような現象を引き起こすからである。この現象は、目視で容易に識別できるうえ、その程度がわずかであっても非常に目立つ。したがって、従来の光安定剤より、1%でも不純物の生成量の少ない光安定剤が好ましい。化合物(1)は、そのような光安定剤である。
【0038】
化合物(1)の好ましい例について説明をする。化合物(1)における有機基M、結合基Z、一価基Q、およびR
bの好ましい例は、化合物(1)の下位式にも適用される。化合物(1)において、これらの基の種類を適切に組み合わせることによって、特性を任意に調整することが可能である。化合物の特性に大きな差異がないので、化合物(1)は、
2H(重水素)、
13Cなどの同位体を天然存在比の量より多く含んでもよい。
【0039】
式(1)において、aは1、2、3、または4であり、bは4からaを引いた数(4−a)である。この化合物の下位式は、項2に記載した式(1−1)から(1−4)である。
式(1−1)においては、3つのR
b基がMに結合している。ここで任意の2つのR
bが表す2つの基は、同一であってもよく、または異なっていてもよい。このルールは他の式におけるR
a、R
b、Z、Q、環B
1などの記号にも適用される。
【0040】
液晶組成物への高い溶解度という観点からは、化合物(1−1)が好ましい。合成の容易さという観点からは、化合物(1−1)および(1−2)が好ましい。低い揮発性の観点からは、化合物(1−1)、(1−2)、および(1−3)が好ましい。単位重量当たりの効果という観点からは、化合物(1−3)および(1−4)が好ましく、化合物(1−4)はさらに好ましい。特性のバランスという観点からは、化合物(1−2)および(1−3)が好ましい。
【0041】
式(1)において、Mは、有機基である。好ましい有機基は、炭素数1から20の脂肪族炭化水素基または炭素数1から20の芳香族炭化水素基であり、これらの基において、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−または−S−で置き換えられてもよく、1つまたは2つの−CH=CH−は、−CH=N−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素は、フッ素または塩素で置き換えられてもよい。好ましいMは、アルカン(炭素数1から15)、少なくとも1つの−CH
2−が−O−で置き換えられたアルカン(炭素数1から15)、シクロヘキサン、ビシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ベンゼン、少なくとも1つの水素がフッ素で置き換えられたベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ピリジン、またはピリミジンから水素を4つ除くことによって誘導された四価基である。さらに好ましいMは、項4に記載された基(M−1)から(M−42)である。二価基(M−1)において、cが0のとき、この基は単結合を意味する。
【0042】
式(1)において、Zは、単結合、−O−、−COO−、または−OCO−である。好ましいZは、単結合、−O−、−COO−、または−OCO−である。さらに好ましいZは、−O−、−COO−、または−OCO−である。最も好ましいZは、−COO−または−OCO−である。
【0043】
式(1)において、Qは、式(Q−1)、(Q−2)、または(Q−3)で表される一価基である。Qは、このような2,6−位に置換基を有する4−ピペリジル基である。合成の容易さの観点からは、式(Q−1)が好ましい。効果の観点からは、式(Q−2)および式(Q−3)が好ましい。
【0044】
式(Q−1)、(Q−2)、または(Q−3)において、R
aは、水素、−O・、−OH、または−R
1である。好ましいR
aは、水素、−O・、−OH、−R
1である。さらに好ましいR
aは、水素、−O・、−R
1である。最も好ましいR
aは、水素、−R
1である。
【0045】
式(1)において、R
bは、水素、フッ素、または−R
2である。R
1およびR
2は、炭素数1から20のアルキル、炭素数1から20のアリールアルキル、または炭素数1から20のアリールであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−NHR
3−で置き換えられてもよく、末端に位置する−CH
3は、−NHR
3または−NR
4R
5で置き換えられてもよく、ここでR
3、R
4、およびR
5は炭素数1から10のアルキルである。アルキルは、直鎖状、分岐状、または環状であってよい。好ましいアルキルは直鎖状である。
【0046】
好ましいR
bは、水素または−R
2である。最も好ましいR
bは、水素である。
【0047】
好ましいR
1およびR
2は、炭素数1から15のアルキルであり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−NHR
3−で置き換えられてもよく、末端に位置する−CH
3は、−NHR
3または−NR
4R
5で置き換えられてもよい。さらに好ましいR
1およびR
2は、アルキル、アルコキシアルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノである。特に好ましいR
1およびR
2は、アルキル、アルコキシアルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、またはアルコキシである。最も好ましいR
1およびR
2は、アルキルである。
【0048】
好ましいR
1およびR
2は、炭素数1から15のアリールアルキルでもあり、このアルキルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、または−NHR
3−で置き換えられてもよい。さらに好ましいR
1およびR
2は、ベンジル、スチリル、シンナミル、3−フェニルプロピル、クミル、トリチルでもある。最も好ましいR
1およびR
2は、ベンジルでもある。
【0049】
好ましいR
1およびR
2は、炭素数1から15のアリールでもある。さらに好ましいR
1およびR
2は、フェニル、トリル、キシリル、クメニル、メシチル、1−ナフチル、または2−ナフチルでもある。最も好ましいR
1およびR
2は、フェニルでもある
【0050】
上記の好ましい例を参照しながら、有機基M、結合基Z、一価基Q、およびR
bの組み合わせを適切に選択することによって、目的とする特性を有する化合物(1)を得ることができる。化合物(1)の好ましい例は、項5に記載した化合物である。より具体的な例は項6から8に記載した。
【0051】
2.化合物(1)の合成
化合物(1)の合成法について説明する。化合物(1)は、有機合成化学の方法を適切に組み合わせることにより合成できる。出発物質に目的の有機基M、結合基Z、一価基Q、および一価基R
bを導入する方法は、フーベン−ヴァイル(Houben-Wyle, Methoden der Organische Chemie, Georg-Thieme Verlag, Stuttgart)、オーガニック・シンセシズ(Organic Syntheses, John Wily & Sons, Inc.)、オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions, John Wily & Sons Inc.)、コンプリヘンシブ・オーガニック・シンセシス(Comprehensive Organic Synthesis, Pergamon Press)、新実験化学講座(丸善)などの成書に記載されている。
【0052】
2−1.一価基Qの合成
2,6−ジイソプロピルピペリジンの構造単位は、次のように合成する。イソブチルアルデヒド(21)にベンジルアミン塩酸塩、アセトンジカルボン酸を反応させ。ピペリジノン体(22)を得る。次いで水素化ホウ素ナトリウムで還元してピペリジノール体(23)を得る。これをパラジウム炭素存在下で接触水素還元しピペリジノール体(24)を得る。この化合物は、有機合成化学の手法によって化合物(1)に変換する。
【0053】
6−イソプロピル−2,2−ジメチルピペリジンの単位構造は次のように合成する。メシチルオキシド(25)をLDA(リチウムジイソプロピルアミド)で処理した後、イソブチルアルデヒドと反応させてエノン体(26)を得る。このエノン体(26)をトリエチルアミン存在下、メタンスルホニルクロリドと反応させてジエノン体(27)を得る。次いでアンモニア水溶液と反応させることでピペリジノン体(28)を得る。これを水素化ホウ素ナトリウムで還元してピペリジノール体(29)を得る。この化合物は、有機合成化学の手法によって化合物(1)に変換する。
【0054】
2−2.合成例
化合物(1)を合成する方法の例として化合物(1A)、(1B)、(1C)、(1D)、(1E)、(1F)、(1G)、および(1H)の合成法を示す。各化合物におけるR
aの記号の意味は、項1に記載した記号の意味と同一である。
【0055】
(1)化合物(1A)
1,4−ジブロモペンタン(31)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させる。この中間体に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下でブロモ体(32)を反応させることによって化合物(1A)を合成する。
【0056】
(2)化合物(1B)
1,4−ジブロモベンゼン(33)にn−ブチルリチウムを、次いで塩化亜鉛を反応させる。この中間体に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒の存在下でブロモ体(34)を反応させることによって化合物(1B)を合成する。
【0057】
(3)化合物(1C)
1,4−シクロヘキサンジオール(35)を水素化ナトリウムの存在下で、ブロモ体(34)と反応させることによって化合物(1C)を合成する。
【0058】
(4)化合物(1D)
4,4’−ビフェノール(36)を炭酸カリウムの存在下で、ブロモ体(32)と反応させることによって化合物(1D)を合成する。
【0059】
(5)化合物(1E)
コハク酸ジメチル(37)、ピペリジノール体(38)、およびカリウムt−ブトキシドを反応させることによって化合物(1E)を合成する。
【0060】
(6)化合物(1F)
1,6−ヘキサンジオール(39)と、カルボン酸(40)とをDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させることによって化合物(1F)を合成する。
【0061】
(7)化合物(1G)
テレフタル酸ジメチル(41)と、ピペリジノール体(42)とをカリウムt−ブトキシドの存在下で反応させることによって化合物(1G)を合成する。
【0062】
(8)化合物(1H)
2,6−ナフタレンジオール(43)と、カルボン酸(44)とをDCC(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド)とDMAP(4−ジメチルアミノピリジン)の存在下で脱水させることによって化合物(1H)を合成する。
【0063】
3.液晶組成物
本発明の液晶組成物は、化合物(1)を成分Aとして含む。化合物(1)は、液晶組成物が光や熱によって分解されるのを防止するのに適している。この組成物は、化合物(1)を成分Aとして含み、下に示す成分B、C、D、およびEから選択された液晶化合物をさらに含むことが好ましい。成分Bは、化合物(2)から(4)である。成分Cは化合物(5)から(7)である。成分Dは、化合物(8)である。成分Eは、化合物(9)から(15)である。この組成物は、化合物(2)から(15)とは異なる、その他の液晶性化合物を含んでもよい。この組成物を調製するときには、正または負の誘電率異方性、誘電率異方性の大きさなどを考慮して成分B、C、D、およびEを選択することが好ましい。成分を適切に選択した組成物は、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性(すなわち、大きな光学異方性または小さな光学異方性)、正または負に大きな誘電率異方性、および適切な弾性定数(すなわち、大きな弾性定数または小さな弾性定数)を有する。
【0064】
化合物(1)の好ましい割合は、紫外線に対して高い安定性を維持するために、液晶組成物の重量に基づいて約0.01重量%以上であり、液晶組成物へ溶解させるために約5重量%以下である。さらに好ましい割合は約0.05重量%から約2重量%の範囲である。最も好ましい割合は、約0.05重量%から約1重量%の範囲である。
【0065】
成分Bは、2つの末端基がアルキルなどである化合物である。成分Bの好ましい例として、化合物(2−1)から(2−11)、化合物(3−1)から(3−19)、および化合物(4−1)から(4−7)を挙げることができる。成分Bの化合物において、R
11およびR
12は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルまたはアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0067】
成分Bは、誘電率異方性の絶対値が小さいので、中性に近い化合物である。化合物(2)は、主として粘度の減少または光学異方性の調整に効果がある。化合物(3)および(4)は、上限温度を高くすることによってネマチック相の温度範囲を広げる効果、または光学異方性の調整に効果がある。
【0068】
成分Bの含有量を増加させるにつれて、組成物の誘電率異方性が小さくなるが粘度は小さくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は多い方が好ましい。IPS、VAなどのモード用の組成物を調製する場合には、成分Bの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
【0069】
成分Cは、右末端にハロゲンまたはフッ素含有基を有する化合物である。成分Cの好ましい例として、化合物(5−1)から(5−16)、化合物(6−1)から(6−113)、化合物(7−1)から(7−57)を挙げることができる。成分Cの化合物において、R
13は、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;X
11は、フッ素、塩素、−OCF
3、−OCHF
2、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
2CHF
2、または−OCF
2CHFCF
3である。
【0076】
成分Cは、誘電率異方性が正であり、熱、光などに対する安定性が非常に優れているので、IPS、FFS、OCBなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。成分Cの含有量は、液晶組成物の重量に基づいて1重量%〜99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%〜97重量%の範囲、さらに好ましくは40重量%〜95重量%の範囲である。成分Cを誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分Cの含有量は液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Cを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
【0077】
成分Dは、右末端基が−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである化合物(8)である。成分Dの好ましい例として、化合物(8−1)から(8−64)を挙げることができる。成分Dの化合物において、R
14は炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;X
12は−C≡Nまたは−C≡C−C≡Nである。
【0080】
成分Dは、誘電率異方性が正であり、その値が大きいので、TNモード等に用いる組成物を調製する場合に主成分として用いられる。この成分Dを添加することにより、組成物の誘電率異方性を大きくすることができる。成分Dは、液晶相の温度範囲を広げる、粘度を調整する、または光学異方性を調整する、という効果がある。成分Dは、素子の電圧−透過率曲線の調整にも有用である。
【0081】
TNモード等に用いる組成物を調製する場合には、成分Dの含有量は、液晶組成物の全重量に基づいて1重量%〜99重量%の範囲が適しており、好ましくは10重量%〜97重量%の範囲、さらに好ましくは40重量%〜95重量%の範囲である。成分Dを誘電率異方性が負である組成物に添加する場合、成分Dの含有量は液晶組成物の全重量に基づいて30重量%以下が好ましい。成分Dを添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
【0082】
成分Eは、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレンの様に、ラテラル位が2つのハロゲンで置換されたフェニレンを有する。これらの化合物の好ましい例として、化合物(9−1)から(9−8)、化合物(10−1)から(10−17)、化合物(11−1)、化合物(12−1)から(12−3)、化合物(13−1)から(13−11)、化合物(14−1)から(14−3)、および化合物(15−1)から(15−3)を挙げることができる。これらの化合物において、R
15およびR
16は独立して、炭素数1から10のアルキルまたは炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよく;R
17は、水素、フッ素、炭素数1から10のアルキル、または炭素数2から10のアルケニルであり、このアルキルおよびアルケニルにおいて、少なくとも1つの−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、少なくとも1つの水素はフッ素で置き換えられてもよい。
【0085】
成分Eは、誘電率異方性が負に大きい。これらの化合物は、IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合に用いられる。これらの化合物の含有量を増加させるにつれて組成物の誘電率異方性が負に大きくなるが、粘度が大きくなる。そこで、素子のしきい値電圧の要求値を満たす限り、含有量は少ないほうが好ましい。誘電率異方性が−5程度であることを考慮すると、充分な電圧駆動をさせるには、含有量が40重量%以上であることが好ましい。
【0086】
これらの化合物のうち、化合物(9)は二環化合物であるので、主として、粘度の減少、光学異方性の調整、または誘電率異方性の増加に効果がある。化合物(10)および(11)は三環化合物であるので、上限温度を高くする、光学異方性を大きくする、または誘電率異方性を大きくするという効果がある。化合物(12)から(15)は、誘電率異方性を大きくするという効果がある。
【0087】
IPS、VA、PSAなどのモード用の組成物を調製する場合には、化合物(9)から(15)の含有量は、液晶組成物の重量に基づいて、好ましくは40重量%以上であり、さらに好ましくは50重量%〜95重量%の範囲である。化合物(9)から(15)を誘電率異方性が正である組成物に添加する場合は、これらの化合物の含有量が液晶組成物の重量に基づいて30重量%以下が好ましい。これらの化合物を添加することにより、組成物の弾性定数を調整し、素子の電圧−透過率曲線を調整することが可能となる。
【0088】
以上に述べた成分B、C、D、およびEを適切に組み合わせることによって、高い上限温度、低い下限温度、小さな粘度、適切な光学異方性、大きな誘電率異方性、適切な弾性定数、大きな比抵抗などの特性の少なくとも1つを充足する液晶組成物を調製することができる。必要に応じて、成分B、C、D、およびEとは異なる液晶性化合物を添加してもよい。
【0089】
このような成分の混合物に化合物(1)を添加することによって、光に対して安定な液晶組成物を調製することができる。液晶組成物の調製は、必要な成分を室温よりも高い温度で溶解させるなどの方法により行われる。用途に応じて、この組成物に添加物を添加してよい。添加物の例は、重合性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、光学活性化合物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他の光安定剤、熱安定剤、消泡剤などである。このような添加物は当業者によく知られており、文献に記載されている。
【0090】
重合性化合物は、液晶組成物中に重合体を生成させる目的で添加される。電極間に電圧を印加した状態で紫外線を照射して、重合性化合物を重合させることによって、液晶組成物の中に重合体を生成させる。この方法によって、適切なプレチルトが得られるので、応答時間が短縮され、画像の焼き付きが改善された液晶表示素子が得られる。重合性化合物の好ましい例は、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物、ビニルオキシ化合物、プロペニルエーテル、エポキシ化合物(オキシラン、オキセタン)、およびビニルケトンである。さらに好ましい例は、少なくとも1つのアクリロイルオキシを有する化合物および少なくとも1つのメタクリロイルオキシを有する化合物である。さらに好ましい例には、アクリロイルオキシとメタクリロイルオキシの両方を有する化合物も含まれる。
【0091】
さらに好ましい例は、化合物(RM−1)から(RM−12)である。化合物(RM−1)から(RM−12)において、R
25、R
26、およびR
27は独立して、水素またはメチルであり;u、x、およびyは独立して、0または1であり;vおよびwは独立して、1から10の整数であり;L
21、L
22、L
23、L
24、L
25、およびL
26は独立して、水素またはフッ素である。
【0093】
重合性化合物は、重合開始剤を添加することによって、速やかに重合させることができる。反応温度を最適化することによって、残存する重合性化合物の量を減少させることができる。光ラジカル重合開始剤の例は、BASF社のダロキュアシリーズからTPO、1173、および4265であり、イルガキュアシリーズから184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959である。
【0094】
光ラジカル重合開始剤の追加例は、4−メトキシフェニル−2,4−ビス(トリクロロメチル)トリアジン、2−(4−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール、9−フェニルアクリジン、9,10−ベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン混合物、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール混合物、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,4−ジエチルキサントン/p−ジメチルアミノ安息香酸メチル混合物、ベンゾフェノン/メチルトリエタノールアミン混合物である。
【0095】
液晶組成物に光ラジカル重合開始剤を添加したあと、電場を印加した状態で紫外線を照射することによって重合を行うことができる。しかし、未反応の重合開始剤または重合開始剤の分解生成物は、素子に画像の焼き付きなどの表示不良を引き起こすかもしれない。これを防ぐために重合開始剤を添加しないまま光重合を行ってもよい。照射する光の好ましい波長は150nm〜500nmの範囲である。さらに好ましい波長は250nm〜450nmの範囲であり、最も好ましい波長は300nm〜400nmの範囲である。
【0096】
重合性化合物を保管するとき、重合を防止するために重合禁止剤を添加してもよい。重合性化合物は、通常は重合禁止剤を除去しないまま組成物に添加される。重合禁止剤の例は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノンのようなヒドロキノン誘導体、4-tert-ブチルカテコール、4-メトキシフェノ−ル、フェノチアジンなどである。
【0097】
光学活性化合物は、液晶分子にらせん構造を誘起して必要なねじれ角を与えることによって逆ねじれを防ぐ、という効果を有する。光学活性化合物を添加することによって、らせんピッチを調整することができる。らせんピッチの温度依存性を調整する目的で2つ以上の光学活性化合物を添加してもよい。光学活性化合物の好ましい例として、下記の化合物(Op−1)から(Op−18)を挙げることができる。化合物(Op−18)において、環Jは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、R
28は炭素数1から10のアルキルである。
【0099】
酸化防止剤は、大きな電圧保持率を維持するために有効である。酸化防止剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−1)および(AO−2);IRGANOX 415、IRGANOX 565、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 3114、およびIRGANOX 1098(商品名:BASF社)を挙げることができる。紫外線吸収剤は、上限温度の低下を防ぐために有効である。紫外線吸収剤の好ましい例は、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、トリアゾール誘導体などである。具体例として下記の化合物(AO−3)および(AO−4);TINUVIN 329、TINUVIN P、TINUVIN 326、TINUVIN 234、TINUVIN 213、TINUVIN 400、TINUVIN 328、およびTINUVIN 99−2(商品名:BASF社);および1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を挙げることができる。
【0100】
立体障害のあるアミンのような光安定剤は、大きな電圧保持率を維持するために好ましい。光安定剤の好ましい例として、下記の化合物(AO−5)および(AO−6);TINUVIN 144、TINUVIN 765、およびTINUVIN 770DF(商品名:BASF社)を挙げることができる。さらに好ましい光安定剤は化合物(1)である。熱安定剤も大きな電圧保持率を維持するために有効であり、好ましい例としてIRGAFOS 168(商品名:BASF社)を挙げることができる。消泡剤は、泡立ちを防ぐために有効である。消泡剤の好ましい例は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどである。
【0102】
化合物(AO−1)において、R
29は炭素数1からから20のアルキル、炭素数1から20のアルコキシ、−COOR
32、または−CH
2CH
2COOR
32であり、ここでR
32は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−2)および(AO−5)において、R
30は炭素数1から20のアルキルである。化合物(AO−5)において、R
31は水素、メチル、またはO
・(酸素ラジカル)であり、環Kおよび環Lは1,4−シクロへキシレンまたは1,4−フェニレンであり、xは0、1、または2である。
【0103】
4.液晶表示素子
液晶組成物は、PC、TN、STN、OCB、PSAなどの動作モードを有し、アクティブマトリックス(AM方式)で駆動する液晶表示素子に使用できる。この組成物は、PC、TN、STN、OCB、VA、IPSなどの動作モードを有し、パッシブマトリクス(PM)方式で駆動する液晶表示素子にも使用することができる。これらのAM方式およびPM方式の素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。
【0104】
この組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作製したNCAP(nematic curvilinear aligned phase)素子、液晶中に三次元網目状高分子を形成して作製したポリマー分散型液晶表示素子(PDLCD)、ポリマーネットワーク液晶表示素子(PNLCD)にも使用できる。重合性化合物の添加量が液晶組成物の重量に基づいて約10重量%以下であるとき、PSAモードの液晶表示素子が作製される。好ましい割合は約0.1重量%から約2重量%の範囲である。さらに好ましい割合は、約0.2重量%から約1.0重量%の範囲である。PSAモードの素子は、アクティブマトリックス、パッシブマトリクスのような駆動方式で駆動させることができる。このような素子は、反射型、透過型、半透過型のいずれのタイプにも適用ができる。重合性化合物の添加量を増やすことによって、高分子分散(polymer dispersed)モードの素子も作製することができる。
【実施例】
【0105】
実施例(使用例を含む)により本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、使用例1の組成物と使用例2の組成物との混合物を含む。本発明は、使用例の組成物の少なくとも2つを混合することによって調製した組成物をも含む。本発明はこれらの実施例によっては制限されない。
【0106】
1.化合物(1)の実施例
化合物(1)は、実施例に示す手順により合成した。特に記載のないかぎり、反応は窒素雰囲気下で行った。化合物(1)は、実施例1などに示した手順により合成した。合成した化合物は、NMR分析などの方法により同定した。化合物の特性は、下記に記載した方法により測定した。
【0107】
NMR分析
測定には、ブルカーバイオスピン社製のDRX−500を用いた。
1H−NMRの測定では、試料をCDCl
3などの重水素化溶媒に溶解させ、室温で、500MHz、積算回数16回の条件で測定した。テトラメチルシランを内部標準として用いた。
19F−NMRの測定では、CFCl
3を内部標準として用い、積算回数24回で行った。核磁気共鳴スペクトルの説明において、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、quinはクインテット、sexはセクステット、mはマルチプレット、brはブロードであることを意味する。
【0108】
GC分析
測定には、島津製作所製のGC−2010型ガスクロマトグラフを用いた。カラムは、Agilent Technologies Inc.製のキャピラリカラムDB−1(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)を用いた。キャリアーガスとしてはヘリウムを用い、流量は1ml/分に調整した。試料気化室の温度を300℃、検出器(FID)部分の温度を300℃に設定した。試料はアセトンに溶解して、1重量%の溶液となるように調製し、得られた溶液1μlを試料気化室に注入した。記録計には島津製作所製のGCSolutionシステムなどを用いた。
【0109】
HPLC分析
測定には、島津製作所製のProminence(LC−20AD;SPD−20A)を用いた。カラムはワイエムシー製のYMC−Pack ODS−A(長さ150mm、内径4.6mm、粒子径5μm)を用いた。溶出液はアセトニトリルと水を適宜混合して用いた。検出器としてはUV検出器、RI検出器、CORONA検出器などを適宜用いた。UV検出器を用いた場合、検出波長は254nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.1重量%の溶液となるように調製し、この溶液1μLを試料室に導入した。記録計としては島津製作所製のC−R7Aplusを用いた。
【0110】
紫外可視分光分析
測定には、島津製作所製のPharmaSpec UV−1700用いた。検出波長は190nmから700nmとした。試料はアセトニトリルに溶解して、0.01mmol/Lの溶液となるように調製し、石英セル(光路長1cm)に入れて測定した。
【0111】
測定試料
相構造および転移温度(透明点、融点、重合開始温度など)を測定するときには、化合物そのものを試料として用いた。ネマチック相の上限温度、粘度、光学異方性、誘電率異方性などの特性を測定するときには、化合物と母液晶との混合物を試料として用いた。
【0112】
測定方法
特性の測定は下記の方法で行った。これらの多くは、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA;Japan Electronics and Information Technology Industries Association)で審議制定されるJEITA規格(JEITA・ED−2521B)に記載された方法、またはこれを修飾した方法であった。測定に用いたTN素子には、薄膜トランジスター(TFT)を取り付けなかった。
【0113】
(1) 相構造
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート(メトラー社FP−52型ホットステージ)に試料を置き、3℃/分の速度で加熱しながら相状態とその変化を偏光顕微鏡で観察し、相の種類を特定した。
【0114】
(2) 転移温度(℃)
測定には、パーキンエルマー社製の走査熱量計、Diamond DSCシステムまたはエスエスアイ・ナノテクノロジー社製の高感度示差走査熱量計、X−DSC7000を用いた。試料は、3℃/分の速度で昇降温し、試料の相変化に伴う吸熱ピークまたは発熱ピークの開始点を外挿により求め、転移温度を決定した。化合物の融点、重合開始温度もこの装置を使って測定した。化合物が固体からスメクチック相、ネマチック相などの液晶相に転移する温度を「液晶相の下限温度」と略すことがある。化合物が液晶相から液体に転移する温度を「透明点」と略すことがある。
【0115】
結晶はCと表した。結晶の種類の区別がつく場合は、それぞれをC
1、C
2のように表した。スメクチック相はS、ネマチック相はNと表した。スメクチック相の中で、スメクチックA相、スメクチックB相、スメクチックC相、またはスメクチックF相の区別がつく場合は、それぞれS
A、S
B、S
C、またはS
Fと表した。液体(アイソトロピック)はIと表した。転移温度は、例えば、「C 50.0 N 100.0 I」のように表記した。これは、結晶からネマチック相への転移温度が50.0℃であり、ネマチック相から液体への転移温度が100.0℃であることを示す。
【0116】
(3) ネマチック相の上限温度(T
NIまたはNI;℃)
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。試料が化合物(1)と母液晶との混合物であるときは、T
NIの記号で示した。試料が化合物(1)と成分B、C、Dのような化合物との混合物であるときは、NIの記号で示した。
【0117】
(4) ネマチック相の下限温度(T
C;℃)
ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶またはスメクチック相に変化したとき、T
Cを≦−20℃と記載した。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0118】
(5) 粘度(バルク粘度;η;20℃で測定;mPa・s)
測定には、東京計器株式会社製のE型回転粘度計を用いた。
【0119】
(6) 光学異方性(屈折率異方性;25℃で測定;Δn)
測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビングしたあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。光学異方性(Δn)の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。
【0120】
(7) 比抵抗(ρ;25℃で測定;Ωcm)
電極を備えた容器に試料1.0mLを注入した。この容器に直流電圧(10V)を印加し、10秒後の直流電流を測定した。比抵抗は次の式から算出した。(比抵抗)={(電圧)×(容器の電気容量)}/{(直流電流)×(真空の誘電率)}。
【0121】
(8) 電圧保持率(VHR−1;25℃で測定;%)
測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は5μmであった。この素子は試料を入れたあと紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積であった。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率で表した。
【0122】
(9) 電圧保持率(VHR−2;80℃で測定;%)
25℃の代わりに、80℃で測定した以外は、上記と同じ手順で電圧保持率を測定した。得られた結果をVHR−2の記号で示した。
【0123】
誘電率異方性が正の試料と負の試料とでは、特性の測定法が異なることがある。誘電率異方性が正であるときの測定法は、項(10a)から(14a)に記載した。誘電率異方性が負の場合は、項(10b)から(14b)に記載した。
【0124】
(10a)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
正の誘電率異方性:測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0度であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。この素子に16Vから19.5Vの範囲で0.5V毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度を測定した素子を用い、下に記載した方法で求めた。
【0125】
(10b)粘度(回転粘度;γ1;25℃で測定;mPa・s)
負の誘電率異方性:測定は、M. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に39ボルト〜50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM.Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、下記の誘電率異方性の項で測定した値を用いた。
【0126】
(11a)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
正の誘電率異方性:2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、そしてツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(10V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0127】
(11b)誘電率異方性(Δε;25℃で測定)
負の誘電率異方性:誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。誘電率(ε‖およびε⊥)は次のように測定した。
1)誘電率(ε‖)の測定:よく洗浄したガラス基板にオクタデシルトリエトキシシラン(0.16mL)のエタノール(20mL)溶液を塗布した。ガラス基板をスピンナーで回転させたあと、150℃で1時間加熱した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであるVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤で密閉した。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。
2)誘電率(ε⊥)の測定:よく洗浄したガラス基板にポリイミド溶液を塗布した。このガラス基板を焼成した後、得られた配向膜にラビング処理をした。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が9μmであり、ツイスト角が80度であるTN素子に試料を入れた。この素子にサイン波(0.5V、1kHz)を印加し、2秒後に液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。
【0128】
(12a)弾性定数(K;25℃で測定;pN)
正の誘電率異方性:測定には横河・ヒューレットパッカード株式会社製のHP4284A型LCRメータを用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである水平配向素子に試料を入れた。この素子に0ボルトから20ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。測定した静電容量(C)と印加電圧(V)の値を「液晶デバイスハンドブックク」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.99)からK
11およびK
33の値を得た。次に171頁にある式(3.18)に、先ほど求めたK
11およびK
33の値を用いてK
22を算出した。弾性定数Kは、このようにして求めたK
11、K
22およびK
33の平均値で表した。
【0129】
(12b)弾性定数(K
11およびK
33;25℃で測定;pN)
負の誘電率異方性:測定には株式会社東陽テクニカ製のEC−1型弾性定数測定器を用いた。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmである垂直配向素子に試料を入れた。この素子に20ボルトから0ボルト電荷を印加し、静電容量および印加電圧を測定した。静電容量(C)と印加電圧(V)の値を、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社)、75頁にある式(2.98)、式(2.101)を用いてフィッティングし、式(2.100)から弾性定数の値を得た。
【0130】
(13a)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
正の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が0.45/Δn(μm)であり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に印加する電圧(32Hz、矩形波)は0Vから10Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が90%になったときの電圧で表した。
【0131】
(13b)しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V)
負の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が4μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のVA素子に試料を入れ、この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子に印加する電圧(60Hz、矩形波)は0Vから20Vまで0.02Vずつ段階的に増加させた。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%である電圧−透過率曲線を作成した。しきい値電圧は透過率が10%になったときの電圧で表した。
【0132】
(14a)応答時間(τ;25℃で測定;ms)
正の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5.0μmであり、ツイスト角が80度であるノーマリーホワイトモード(normally white mode)のTN素子に試料を入れた。この素子に矩形波(60Hz、5V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。立ち上がり時間(τr:rise time;ミリ秒)は、透過率が90%から10%に変化するのに要した時間である。立ち下がり時間(τf:fall time;ミリ秒)は透過率10%から90%に変化するのに要した時間である。応答時間は、このようにして求めた立ち上がり時間と立ち下がり時間との和で表した。
【0133】
(14b)応答時間(τ;25℃で測定;ms)
負の誘電率異方性:測定には大塚電子株式会社製のLCD5100型輝度計を用いた。光源はハロゲンランプであった。ローパス・フィルター(Low-pass filter)は5kHzに設定した。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が3.2μmであり、ラビング方向がアンチパラレルであるノーマリーブラックモード(normally black mode)のPVA素子に試料を入れた。この素子を紫外線で硬化する接着剤を用いて密閉した。この素子にしきい値電圧を若干超える程度の電圧を1分間印加し、次に5.6Vの電圧を印加しながら23.5mW/cm
2の紫外線を8分間照射した。この素子に矩形波(60Hz、10V、0.5秒)を印加した。この際に、素子に垂直方向から光を照射し、素子を透過した光量を測定した。この光量が最大になったときが透過率100%であり、この光量が最小であったときが透過率0%であるとみなした。応答時間は透過率90%から10%に変化するのに要した時間(立ち下がり時間;fall time;ミリ秒)で表した。
【0134】
[実施例1]
化合物(No.37)の合成
【0135】
第一工程:
300ml三角フラスコにイソブチルアルデヒド(T−1)(24.50g,0.34mol)、水130gを入れ、4℃に冷却した。ベンジルアミン塩酸塩(31.60g,0.22mol)を加え、30分間攪拌した後、アセトンジカルボン酸(24.80g,0.17mol)、酢酸ナトリウム水溶液(酢酸ナトリウム(6.4g,0.078mol)、水50g)を加えた。反応混合物を室温までゆっくり昇温させ、室温で30時間攪拌した。析出した結晶をろ取し、ピペリジノン体(T−2)(12.25g,収率26.4%)を得た。
【0136】
第二工程:
1lビーカーにピペリジノン体(T−2)(20.49g,0.074mol)、メタノール375mlを入れ、20℃で水素化ホウ素ナトリウム(5.67g,0.150mol)をゆっくり添加した。反応混合物を1時間攪拌した後、溶媒を留去し、飽和塩化アンモニウム水溶液95mlを加えた。トルエン150mlで抽出し、有機層を飽和食塩水500mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をヘキサンから再結晶し、ピペリジノール体(T−3)(10.64g,収率52.0%)を得た。
【0137】
第三工程:
200ml三口フラスコにピペリジノール体(T−3)(3.30g,0.012mol)、無水コハク酸(0.60g,0.006mol)、トルエン100mlを入れ、1時間還流した。40℃まで冷却した後、p−トルエンスルホン酸一水和物(3.42g,0.018mol)を加え、再び45時間還流した。反応混合物を室温まで放冷し、10wt%炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分取した。有機層を飽和食塩水500mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣を、ヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、エステル体(T−4)(2.20g,収率29.2%)を得た。
【0138】
第四工程:
500ml四つ口フラスコにエステル体(T−4)(5.06g,0.008mol)、n−ブタノール200mlを入れ、減圧しアルゴンにて置換した。10%パラジウム/炭素(0.46g,9wt%)を加え、再度減圧にし、水素にて置換した。50℃で40時間攪拌した後、反応混合物をろ過し、ろ液の溶媒を留去した。残渣を、ヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー、さらにヘキサンからの再結晶で精製し、化合物(No.37)(1.93g,収率53.8%)を得た。
【0139】
1H−NMR(CDCl
3;δppm):4.97(tt,J=10.5,4.5Hz,2H)、2.64−2.56(m,6H)、2.48−2.44(m,2H)、2.05−1.95(m,4H)、1.93−1.87(m,2H)、1.65−1.53(m,6H)、1.25(ddd,J=11.8,10.5,10.5Hz,2H)、0.93−0.89(m,24H).
【0140】
[実施例2]
化合物(No.38)の合成
【0141】
第一工程:
1l四つ口フラスコにTHF800mlを入れた後、アルゴンで系内を置換した。−15℃に冷却し、リチウムジイソプロピルアミド(2.00mol/l,100ml,0.20mol)を加えた。−65℃に冷却し、メシチルオキシド(T−5)(19.05g,0.20mol)を加え、1時間攪拌した。次いで、イソブチルアルデヒド(12.62g,0.17mol)のTHF溶液(80ml)を30分かけて滴下した。反応混合物を1時間攪拌した後、0℃まで昇温し、飽和塩化アンモニウム水溶液800mlを加え攪拌した。酢酸エチル100mlで3回抽出し、有機層を飽和食塩水800mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、エノン体(T−6)(30.7g)を得た。エノン体(T−6)は精製することなく次工程に使用した。
【0142】
第二工程:
1l四つ口フラスコに、エノン体(T−6)(30.7g,0.18mol)、トリエチルアミン(44.2g,0.43mol)、ジクロロメタン750mlを入れ、アルゴン置換し0℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(24.2g,0.21mol)を加え、20分かけて18℃まで昇温し、8時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム溶液500mlを加え攪拌し、ジクロロメタン100mlで3回抽出し、有機層を飽和食塩水1000mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を、ヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ジエノン体(T−7)(18.1g,収率70.6%(イソブチルアルデヒド基準))を得た。
【0143】
第三工程:
300mlの耐圧容器にジエノン体(T−7)(18.1g,0.12mol)、28%アンモニア水溶液(47.2g,0.78mol)を加え、室温で2日間攪拌した。有機層に10wt%希塩酸をpHが1になるまで加え、ジクロロメタン100mlで2回抽出し、未反応のジエノン体(T−7)を除去した。水層に炭酸カリウムをpHが8になるまで加え、ジクロロメタン150mlで3回抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を、ヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、ピペリジノン体(T−8)(5.63g,収率27.5%)を得た。
【0144】
第四工程:
300ml四つ口フラスコにピペリジノン体(T−8)(15.7g,0.093mol)、エタノール/水(体積比で1/1)の混合溶媒200mlを入れ10℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(1.78g,0.047mol)を加え、1時間攪拌した。反応混合物に塩化ナトリウム20gを加えた後、トルエン100mlで2回抽出した。有機層を飽和食塩水100mlで洗浄し、炭酸カリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をn−ヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィー、続いてヘキサンからの再結晶で精製し、ピペリジノール体(T−9)(3.00g,収率18.3%)を得た。
【0145】
第五工程:
窒素気流下、Dean−starkコンデンサーを装着した100ml三つ口フラスコにピペリジノール体(T−9)(3.00g,0.018mol)、コハク酸ジメチル(1.41g,0.0096mol)、キシレン15mlを入れた。12%カリウムt−ブトキシドのTHF溶液(2.75ml,0.0028mol)を加え、Dean−starkコンデンサーで生成するメタノールを留去しながら、11時間還流した。反応混合物を室温まで放冷し、トルエン20mlで抽出した。有機層を飽和食塩水20mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣を、ヘプタンを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(No.38)(0.84g,収率22.6%)を得た。
【0146】
1H−NMR(CDCl
3;δppm):5.18(br,2H)、2.73(ddd,J=11.4,6.6,1.6Hz,2H)、2.69−2.58(m,6H)、1.83−1.73(m,4H)、1.52(dq,J=13.6,6.8Hz,2H)、1.44(dd,J=14.7,3.4Hz,2H)、1.26−1.20(m,8H)、1.09(s,6H)、0.93(d,J=6.7,6H)、0.90(d,J=6.8,6H).
【0147】
[実施例3]
化合物(No.167)の合成
【0148】
窒素気流下、Dean−starkコンデンサーを装着した100ml三つ口フラスコにピペリジノール体(T−9)(2.00g,0.012mol)、テレフタル酸ジメチル(1.13g,0.0058mol)、キシレン10mlを入れた。カリウムt−ブトキシドのTHF溶液(12%;1.17ml,0.0012mol)を加え、Dean−starkコンデンサーで生成するメタノールを留去しながら、2時間還流した。反応混合物を室温まで放冷し、トルエン25mlで抽出した。有機層を水100mlで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をアセトンからの再結晶で精製し、化合物(No.167)(0.70g,収率27.6%)を得た
【0149】
1H−NMR(CDCl
3;δppm):8.13(s,4H)、5.47−5.45(m,2H)、2.85(ddd,J=11.5,6.5,2.1Hz,2H)、2.00−1.96(m,4H)、1.60−1.55(m,4H)、1.37(ddd,J=14.6,11.9,3.4Hz,2H)、1.33(s,6H)、1.14(s,6H)、0.97(br,2H)、0.95(d,J=6.7,6H)、0.92(d,J=6.7,6H).
【0150】
実施例1から3に記載した合成法に準じて、以下の化合物(No.1)から(No.376)などを合成できる。
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
2.液晶組成物の実施例
実施例(使用例を含む)における化合物は、下記の表2の定義に基づいて記号により表した。表2において、1,4−シクロヘキシレンに関する立体配置はトランスである。実施例において記号の後にあるかっこ内の番号は化合物の番号に対応する。(−)の記号はその他の液晶性化合物を意味する。液晶性化合物の含有量(百分率)は、液晶組成物の重量に基づいた重量百分率(重量%)である。最後に、液晶組成物の特性値をまとめた。特性は、先に記載した方法にしたがって測定し、測定値を(外挿することなく)そのまま記載した。
【0184】
【0185】
[実施例4]
比較実験
下記の母液晶Mを調製した。
3−HH−V (2−1) 29%
1−BB−3 (2−8) 10%
3−BB(2F,3F)−O2 (9−3) 13%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 20%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 14%
3−HHB−1 (3−1) 8%
2−BBB(2F)−5 (3−8) 6%
【0186】
母液晶Mの特性は、次のとおりであった。NI=74.5℃;Δn=0.106;Δε=−3.0.
【0187】
低温溶解度試験
母液晶Mに本発明の化合物(No.37)を1000ppmの割合で添加し、組成物(X−1)を得た。10mlのバイアル瓶に組成物(X−1)0.5mlとガラス製の毛細管を入れ、窒素気流下でキャップをした。キャップ部分をパラフィルムで密閉した後、−20℃のフリーザー中に保管した。次に、母液晶Mに本発明の化合物(No.38)を1000ppmの割合で添加し、組成物(X−2)を調製した。この組成物を同様の手順でバイアル瓶に密閉し、−20℃のフリーザー中に保管した。30日後に2つの組成物を観察したところ、スメクチック相の出現および結晶の析出は確認されず、ネマチック相を維持していた。
【0188】
【0189】
比較の化合物として、ADEKA製のLA−77を選んだ。LA−77は市販されているヒンダードアミン系光安定剤である。LA−77を母液晶Mに1000ppmの割合で添加して組成物(X−3)を調製した。組成物(X−3)を前述の手順と同様にして−20℃のフリーザー中に保管したところ、1日後にスメクチック相の出現が確認された。
【0190】
以上の結果は、本発明の化合物(No.37)および(No.38)を添加した液晶組成物は、低温下でもネマチック相を維持したことを示す。本発明の化合物は、液晶組成物への高い溶解度を有することから、極めて有用であると結論できる。
【0191】
[使用例1]
3−HB−O2 (2−5) 10%
5−HB−CL (5−2) 13%
3−HBB(F,F)−F (6−24) 10%
3−PyB(F)−F (5−15) 10%
5−PyB(F)−F (5−15) 10%
3−PyBB−F (6−80) 10%
4−PyBB−F (6−80) 10%
5−PyBB−F (6−80) 7%
5−HBB(F)B−2 (4−5) 10%
5−HBB(F)B−3 (4−5) 10%
上記の組成物に化合物(No.37)を0.1%の割合で添加した。
NI=96.5℃;Δn=0.186;Δε=7.9;η=39.4mPa・s.
【0192】
[使用例2]
2−HB−C (8−1) 5%
3−HB−C (8−1) 14%
3−HB−O2 (2−5) 10%
2−BTB−1 (2−1) 3%
3−HHB−F (6−1) 5%
3−HHB−1 (3−1) 8%
3−HHB−O1 (3−1) 5%
3−HHB−3 (3−1) 16%
3−HHEB−F (6−10) 4%
5−HHEB−F (6−10) 4%
2−HHB(F)−F (6−2) 7%
3−HHB(F)−F (6−2) 7%
5−HHB(F)−F (6−2) 7%
3−HHB(F,F)−F (6−3) 5%
上記の組成物に化合物(No.38)を0.05%の割合で添加した。
NI=104.5℃;Δn=0.102;Δε=4.9;η=19.3mPa・s.
【0193】
[使用例3]
3−HHB(F,F)−F (6−3) 9%
3−H2HB(F,F)−F (6−15) 8%
4−H2HB(F,F)−F (6−15) 8%
5−H2HB(F,F)−F (6−15) 10%
3−HBB(F,F)−F (6−24) 21%
5−HBB(F,F)−F (6−24) 20%
3−H2BB(F,F)−F (6−27) 10%
5−HHBB(F,F)−F (7−6) 3%
5−HHEBB−F (7−17) 2%
3−HH2BB(F,F)−F (7−15) 3%
1O1−HBBH−4 (4−1) 3%
1O1−HBBH−5 (4−1) 3%
上記の組成物に化合物(No.167)を0.1%の割合で添加した。
NI=94.8℃;Δn=0.114;Δε=9.0;η=34.3mPa・s.
【0194】
[使用例4]
5−HB−CL (5−2) 11%
3−HH−4 (2−1) 8%
3−HHB−1 (3−1) 5%
3−HHB(F,F)−F (6−3) 8%
3−HBB(F,F)−F (6−24) 17%
5−HBB(F,F)−F (6−24) 15%
3−HHEB(F,F)−F (6−12) 10%
4−HHEB(F,F)−F (6−12) 3%
5−HHEB(F,F)−F (6−12) 3%
2−HBEB(F,F)−F (6−39) 3%
3−HBEB(F,F)−F (6−39) 5%
5−HBEB(F,F)−F (6−39) 3%
3−HHBB(F,F)−F (7−6) 6%
3−HB−O2 (2−5) 3%
上記の組成物に化合物(No.64)を0.12%の割合で添加した。
NI=79.4℃;Δn=0.102;Δε=8.4;η=21.0mPa・s.
【0195】
[使用例5]
5−HB−CL (5−2) 3%
7−HB(F)−F (5−3) 7%
3−HH−4 (2−1) 10%
3−HH−EMe (2−2) 20%
3−HHEB−F (6−10) 8%
5−HHEB−F (6−10) 8%
3−HHEB(F,F)−F (6−12) 10%
4−HHEB(F,F)−F (6−12) 6%
4−HGB(F,F)−F (6−103) 6%
5−HGB(F,F)−F (6−103) 6%
2−H2GB(F,F)−F (6−106) 4%
3−H2GB(F,F)−F (6−106) 6%
5−GHB(F,F)−F (6−109) 6%
上記の組成物に化合物(No.65)を0.1%の割合で添加した。
NI=79.5℃;Δn=0.064;Δε=5.8;η=20.0mPa・s.
【0196】
[使用例6]
3−HB−O1 (2−5) 15%
3−HH−4 (2−1) 5%
3−HH−V (2−1) 4%
3−HB(2F,3F)−O2 (9−1) 11%
5−HB(2F,3F)−O2 (9−1) 11%
2−HHB(2F,3F)−1 (10−1) 10%
3−HHB(2F,3F)−1 (10−1) 12%
3−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 13%
5−HHB(2F,3F)−O2 (10−1) 13%
3−HHB−1 (3−1) 6%
上記の組成物に化合物(No.184)を0.12%の割合で添加した。
NI=86.8℃;Δn=0.088;Δε=−3.2;η=33.9mPa・s.
【0197】
[使用例7]
3−HH−4 (2−1) 8%
3−HH−V (2−1) 8%
3−H2B(2F,3F)−O2 (9−4) 18%
5−H2B(2F,3F)−O2 (9−4) 18%
2−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 2%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 3%
4−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 2%
5−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 2%
3−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 9%
5−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 9%
V−HHB−1 (3−1) 6%
3−HHB−3 (3−1) 6%
3−HHEBH−3 (4−6) 3%
3−HHEBH−4 (4−6) 3%
3−HHEBH−5 (4−6) 3%
上記の組成物に化合物(No.185)を0.1%の割合で添加した。
NI=93.2℃;Δn=0.096;Δε=−3.6;η=25.8mPa・s.
【0198】
[使用例8]
2−HH−5 (2−1) 3%
3−HH−4 (2−1) 14%
3−HH−5 (2−1) 4%
3−HB−O2 (2−5) 12%
3−H2B(2F,3F)−O2 (9−4) 15%
5−H2B(2F,3F)−O2 (9−4) 15%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 5%
2−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 3%
3−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 8%
5−HBB(2F,3F)−O2 (10−7) 8%
3−HHB−1 (3−1) 5%
3−HHB−3 (3−1) 3%
3−HHB−O1 (3−1) 5%
上記の組成物に化合物(No.330)を0.1%の割合で添加した。
NI=77.3℃;Δn=0.092;Δε=−3.9;η=18.9mPa・s.
【0199】
[使用例9]
2−HH−3 (2−1) 11%
3−HH−4 (2−1) 9%
1−BB−3 (2−8) 9%
3−HH−V (2−1) 10%
3−HB−O2 (2−5) 2%
3−BB(2F,3F)−O2 (9−3) 9%
5−BB(2F,3F)−O2 (9−3) 6%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 13%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 21%
3−HHB−1 (3−1) 5%
3−HHB−O1 (3−1) 3%
2−BBB(2F)−5 (3−8) 2%
上記の組成物に化合物(No.37)を0.05%の割合で添加した。
NI=75.4℃;Δn=0.099;Δε=−3.1;η=14.4mPa・s.
【0200】
[使用例10]
2−HH−3 (2−1) 16%
7−HB−1 (2−5) 10%
5−HB−O2 (2−5) 8%
3−HB(2F,3F)−O2 (9−1) 17%
5−HB(2F,3F)−O2 (9−1) 16%
3−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 3%
4−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 3%
5−HHB(2F,3CL)−O2 (10−12) 2%
3−HH1OCro−5 (13−6) 5%
3−HHB−1 (3−1) 5%
5−HBB(F)B−2 (4−5) 8%
5−HBB(F)B−3 (4−5) 7%
上記の組成物に化合物(No.38)を0.1%の割合で添加した。
NI=71.7℃;Δn=0.097;Δε=−2.5;η=20.9mPa・s.
【0201】
[使用例11]
2−HH−3 (2−1) 8%
3−HH−4 (2−1) 10%
1−BB−3 (2−8) 10%
3−HH−V (2−1) 15%
3−BB(2F,3F)−O2 (9−3) 13%
2−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 16%
3−HH1OB(2F,3F)−O2 (10−5) 14%
3−HHB−1 (3−1) 8%
2−BBB(2F)−5 (3−8) 6%
上記の組成物に化合物(No.167)を0.12%の割合で添加した。
NI=72.7℃;Δn=0.102;Δε=−2.7;η=13.7mPa・s.
【0202】
[使用例12]
1V2−BEB(F,F)−C (8−15) 6%
3−HB−C (8−1) 18%
2−BTB−1 (2−10) 10%
5−HH−VFF (2−1) 30%
3−HHB−1 (3−1) 4%
VFF−HHB−1 (3−1) 10%
VFF2−HHB−1 (3−1) 11%
3−H2BTB−2 (3−17) 5%
3−H2BTB−3 (3−17) 3%
3−H2BTB−4 (3−17) 3%
上記の組成物に化合物(No.64)を0.1%の割合で添加した。
NI=80.7℃;Δn=0.128;Δε=6.5;η=11.6mPa・s.
【0203】
[使用例13]
5−HB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−41) 5%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 7%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 3%
3−HH−V (2−1) 36%
3−HH−V1 (2−1) 7%
3−HHEH−5 (3−13) 3%
3−HHB−1 (3−1) 6%
V−HHB−1 (3−1) 5%
V2−BB(F)B−1 (3−6) 5%
1V2−BB―F (5−1) 3%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−97) 11%
3−HHBB(F,F)−F (7−6) 6%
上記の組成物に化合物(No.65)を0.1%の割合で添加した。
NI=88.4℃;Δn=0.110;Δε=6.8;η=15.7mPa・s.
【0204】
[使用例14]
3−GB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−57) 5%
3−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 3%
4−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 7%
5−BB(F)B(F,F)XB(F,F)−F (7−47) 3%
3−HH−V (2−1) 41%
3−HH−V1 (2−1) 10%
3−HHEH−5 (3−13) 3%
V−HHB−1 (3−1) 6%
V2−BB(F)B−1 (3−6) 5%
1V2−BB―F (5−1) 3%
3−BB(F,F)XB(F,F)−F (6−97) 6%
3−GB(F,F)XB(F,F)−F (6−113) 5%
3−HHBB(F,F)−F (7−6) 3%
上記の組成物に化合物(No.184)を0.1%の割合で添加した。
NI=78.8℃;Δn=0.101;Δε=7.3;η=11.6mPa・s.