(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ジヒドロキシナフタレンが、1,6−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンである請求項4〜6の何れか1項記載の(メタ)アクリロイル基含有樹脂の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂は、ポリアリーレンエーテル構造(X)を有し、前記ポリアリーレンエーテル構造(X)中の芳香核の少なくとも一つがナフタレン骨格を有するものであり、かつ、前記ポリアリーレンエーテル構造(X)中の芳香核の少なくとも一つが、その芳香核上に下記構造式(1−1)又は(1−2)
【0018】
【化2】
(式中R
1は水素原子またはメチル基を表す。)
で表される構造部位(Y)を有することを特徴とする。
【0019】
本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂において、前記ポリアリーレンエーテル構造(X)はその芳香核の少なくとも一つがナフタレン骨格を有するものであり、芳香核の一部がフェニル骨格を有するものであっても良い。このようなポリアリーレンエーテル構造(X)を有する樹脂は、芳香環濃度が非常に高く、また、燃焼時のチャー形成が容易であることから、硬化物における耐熱性や硬度、難燃性に優れる特徴を有する。
【0020】
中でも、硬化物における難燃性及び耐熱性に一層優れることから、ポリアリーレンエーテル構造(X)中の芳香核の50モル%以上がナフタレン骨格を有するものであることが好ましく、ポリアリーレンエーテル構造(X)がポリナフチレンエーテル構造であることが好ましい。
【0021】
本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂中、前記構造(1−1)又は(1−2)で表される(メタ)アクリロイル基含有構造部位(Y)は、前記ポリアリーレンエーテル構造(X)中の芳香核の何れに結合していても良い。中でも、感度と現像性に優れ、硬化物における難燃性や耐熱性に優れる(メタ)アクリロイル基含有樹脂となることから、前記ポリアリーレンエーテル構造(X)の両末端に位置する芳香核上に前記構造部位(Y)を有していることが好ましい。
【0022】
したがって、本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂は、下記構造式(2)
【0023】
【化3】
[式中Arは芳香核を表し、Yは下記構造式(1−1)又は(1−2)
【0024】
【化4】
(式中R
1は水素原子またはメチル基を表す。)
で表される構造部位(Y)であり、R
2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、下記構造式(3)
【0025】
【化5】
{式中Arは芳香核を表し、Yは前記構造式(1−1)又は(1−2)で表される構造部位(Y)であり、R
3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、mは1又は2である。}
で表される構造部位の何れかであり、mは1又は2、nは1〜4の整数である。]
で表される分子構造を有するものが好ましく、下記構造式(4)
【0026】
【化6】
[式中Yは下記構造式(1−1)又は(1−2)
【0027】
【化7】
(式中R
1は水素原子またはメチル基を表す。)
で表される構造部位(Y)であり、R
4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、下記構造式(5)
【0028】
【化8】
{式中Yは前記構造式(1−1)又は(1−2)で表される構造部位(Y)であり、R
5はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、mは1又は2である。}
で表される構造部位の何れかであり、mは1又は2、nは1〜4の整数である。]
で表される分子構造を有するものがより好ましい。
【0029】
前記構造式(2)中のR
2はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、下記構造式(3)
【0030】
【化9】
{式中Arは芳香核を表し、Yは前記構造式(1−1)又は(1−2)で表される構造部位(Y)であり、R
3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、mは1又は2である。}
で表される構造部位の何れかである。
【0031】
アルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、トリルメチル基、トリルエチル基、トリルプロピル基、キシリルメチル基、キシリルエチル基、キシリルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等のアラルキル基等が挙げられる。
【0032】
前記構造式(2)中のR
2は、硬化物における難燃性や耐熱性、硬度に優れることから、水素原子、アラルキル基、又は前記構造式(3)で表される構造部位であることが好ましい。
【0033】
前記構造式(3)中のR
3は水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基であり、アルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例としては前記R
2の具体例として例示したものが挙げられる。中でも、硬化物における難燃性に優れることからR
3は水素原子であることが好ましい。
【0034】
前記構造式(4)中のR
4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、下記構造式(5)
【0035】
【化10】
{式中Yは前記構造式(1−1)又は(1−2)で表される構造部位(Y)であり、R
5はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基を表し、mは1又は2である。}
で表される構造部位の何れかであり、アルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例としては前記R
2の具体例として例示したものが挙げられる。中でも、硬化物における難燃性や耐熱性、硬度に優れることから、水素原子、アラルキル基、又は前記構造式(5)で表される構造部位であることが好ましい。
【0036】
前記構造式(5)中のR
5は水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基であり、アルキル基、アリール基、アラルキル基の具体例としては前記R
2の具体例として例示したものが挙げられる。中でも、硬化物における難燃性や電気信頼性に優れることからR
5は水素原子であることが好ましい。
【0037】
前記構造式(4)中のナフタレン骨格上の酸素原子の結合位置は、例えば、1,2−位、1,4−位、1,5−位、1,6−位、1,7−位、2,3−位、2,6−位、2,7位など、芳香核上の何れの炭素原子に結合していても良い。中でも、硬化物における難燃性及び耐熱性に優れることから、1,6−位又は2,7−位であることが好ましく、2,7−位であることが特に好ましい。
【0038】
また、前記構造式(5)で表される構造部位において、ナフタレン骨格上のYで表される置換基と、前記構造式(4)中のナフタレン骨格への結合手との結合位置は、例えば、1,2−位、1,4−位、1,5−位、1,6−位、1,7−位、2,3−位、2,6−位、2,7位など、ナフタレン環上の何れの炭素原子に結合していても良い。中でも、硬化物における難燃性及び耐熱性に優れることから、1,6−位又は2,7−位であることが好ましく、2,7−位であることが特に好ましい。
【0039】
前記構造式(2)及び前記構造式(4)中のnは1〜4の整数である。中でも、粘度が低く、硬化物における難燃性と耐湿耐半田性との両方に優れることから、nが1又は2である樹脂成分を含有していることが好ましい。
【0040】
また、前記構造式(2)又は前記構造式(4)で表される(メタ)アクリロイル基含有樹脂中の全ての芳香核、即ち、ポリアリーレンエーテル構造(X)を構成する芳香核、及び前記構造式(2)又は(4)中のR
2、R
3、R
4、R
5で表される芳香核の合計は、感度や現像性に優れ、かつ、硬化物における難燃性や耐熱性、硬度の何れにも優れることから、4〜12の範囲であることが好ましい。
【0041】
本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂において、前記構造式(1−1)又は(1−2)で表される(メタ)アクリロイル基含有構造部位の含有量、即ち(メタ)アクリロイル基当量は、硬化性に優れ、かつ、硬化物における難燃性や耐熱性、硬度、電気信頼性の何れにも優れることから、200〜1000g/当量の範囲であることが好ましい。
【0042】
本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂は、例えば、以下の方法により製造することが出来る。
【0043】
方法1:芳香族ジヒドロキシ化合物とアラルキル化剤とを酸触媒条件下で反応させて得られるポリアリーレンエーテル中間体(α)とエピハロヒドリンとを反応させてエポキシ樹脂中間体(β)を得、これを更に(メタ)アクリル酸誘導体と反応させる方法。
【0044】
方法2:芳香族ジヒドロキシ化合物をアルカリ触媒条件下で反応させて得られるポリアリーレンエーテル中間体(γ)とエピハロヒドリンとを反応させてエポキシ樹脂中間体(ε)を得、これを更に(メタ)アクリル酸誘導体と反応させる方法。
【0045】
前記方法1について説明する。前記方法1で用いる芳香族ジヒドロキシ化合物は、例えば、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン;1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、硬化物における難燃性及び耐熱性に優れることからジヒドロキシナフタレンが好ましく、1,6−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンがより好ましく、2,7−ジヒドロキシナフタレンが特に好ましい。
【0046】
前記方法1で用いるアラルキル化剤は、例えば、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、ベンジルアイオダイト、o−メチルベンジルクロライド、m−メチルベンジルクロライド、p−メチルベンジルクロライド、p−エチルベンジルクロライド、p−イソプロピルベンジルクロライド、p−tert−ブチルベンジルクロライド、p−フェニルベンジルクロライド、5−クロロメチルアセナフチレン、2−ナフチルメチルクロライド、1−クロロメチル−2−ナフタレン及びこれらの核置換異性体、α−メチルベンジルクロライド、並びにα,α−ジメチルベンジルクロライド等のハライド化合物;ベンジルメチルエーテル、o−メチルベンジルメチルエーテル、m−メチルベンジルメチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル、p−エチルベンジルメチルエーテル及びこれらの核置換異性体、ベンジルエチルエーテル、ベンジルプロピルエーテル、ベンジルイソブチルエーテル、ベンジルn−ブチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル及びその核置換異性体等のエーテル化合物;ベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、m−メチルベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、p−エチルベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、ptert−ブチルベンジルアルコール、p−フェニルベンジルアルコール、α−ナフチルメタノール及びこれらの核置換異性体、α−メチルベンジルアルコール、及びα,α−ジメチルベンジルアルコール等のアルコール化合物;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等のスチレン化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。これらの中でも、硬化物における難燃性及び耐熱性に優れる(メタ)アクリロイル基含有樹脂が得られることから、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、及びベンジルアルコールが好ましい。
【0047】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物とアラルキル化剤との反応割合は、硬化物における難燃性と耐熱性とに優れる(メタ)アクリロイル基含有樹脂が得られることから、両者のモル比[ジヒドロキシ化合物/アラルキル化剤]が1.0/0.1〜1.0/1.0となる割合であることが好ましい。
【0048】
前記方法1で用いる酸触媒は、例えば、リン酸、硫酸、塩酸などの無機酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸等の有機酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第2錫、塩化第2鉄、ジエチル硫酸などのフリーデルクラフツ触媒が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0049】
これら酸触媒の使用量は、無機酸や有機酸の場合には芳香族ジヒドロキシ化合物原料100質量部に対し0.01〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、フリーデルクラフツ触媒の場合は芳香族ジヒドロキシ化合物原料1モルに対し、0.2〜3.0モルの範囲で用いることが好ましい。
【0050】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物とアラルキル化剤との反応は、必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。ここで用いる有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶媒、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の弘ん号溶媒としても良い。
【0051】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物とアラルキル化剤との反応は、例えば100〜180℃の温度条件下で行うことが出来、反応終了後は、アルカリ金属水酸化物等のアルカリ化合物を用いて反応系中を中和した後、反応にて生成した水及び有機溶媒を減圧乾燥させてポリアリーレンエーテル中間体(α)を得ることが出来る。
【0052】
方法1の第1工程で得られるポリアリーレンエーテル中間体(α)は、感度や現像性に優れ、かつ、硬化物における難燃性や耐熱性、硬度の何れにも優れる(メタ)アクリロイル基含有樹脂が得られることから、その水酸基当量が100〜300g/当量の範囲であることが好ましい。
【0053】
ついで、方法1の第二工程では、前記ポリアリーレンエーテル中間体(α)とエピハロヒドリンとを塩基触媒の存在下で反応させて、エポキシ樹脂中間体(β)を得る。
【0054】
第二工程で用いるエピハロヒドリンは、例えば、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。なお、工業生産を行う際には、エポキシ樹脂中間体(β)生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが好ましい。
【0055】
前記ポリアリーレンエーテル中間体(α)とエピハロヒドリンとの反応割合は、効率的に反応が進むことから、前記ポリアリーレンエーテル中間体(α)中のフェノール性水酸基1モルに対しエピハロヒドリンが2〜10モルの範囲となる割合であることが好ましい。
【0056】
前記塩基性触媒は、例えば、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。中でも、触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらは固形の状態で使用しても良いし、10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよい。
【0057】
前記塩基性触媒の添加量は、効率的に反応が進むことから、前記ポリアリーレンエーテル中間体(α)中のフェノール性水酸基1モルに対し、塩基性触媒が0.9〜2.0モルの範囲となる割合で用いることが好ましい。また、触媒の添加においては、一括添加でも良いし、分割して添加しても良い。
【0058】
前記ポリアリーレンエーテル中間体(α)とエピハロヒドリンとの反応は、通常20〜120℃の温度範囲で0.5〜10時間程度の条件で行われる。前記塩基性触媒として水溶液を使用する場合は、触媒の水溶液を反応系中に連続的に添加すると共に、反応混合物中から水及びエピハロヒドリンを連続的に留出させ、留出混合物を分液して再生したエピハロヒドリンを再度反応混合物中に連続的に戻す方法を用いても良い。
【0059】
また、前記ポリアリーレンエーテル中間体(α)とエピハロヒドリンとの反応は、有機溶媒中で行うことにより、反応速度を高めることができる。ここで用いる有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜2種以上を併用してもよい。
【0060】
第二工程の反応終了後は、反応生成物を水洗した後、加熱減圧条件下で未反応のエピハロヒドリンや有機溶媒を留去して、エポキシ樹脂中間体(β)を得る。更に、エポキシ樹脂中間体(β)中の加水分解性ハロゲン量を低減するため、得られたエポキシ樹脂中間体(β)を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて追反応を行ってもよい。この際、反応速度を高めるために、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相間移動触媒を存在させてもよい。相間移動触媒を使用する場合には、エポキシ樹脂中間体(β)100質量部に対し相間移動触媒が0.1〜3.0質量部となる割合であることが好ましい。追反応終了後は、生成した塩を濾過や水洗などの方法にて除去し、加熱減圧条件下でトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより、より純度の高いエポキシ樹脂中間体(β)を得ることができる。
【0061】
方法1の第三工程では、前記エポキシ樹脂中間体(β)と(メタ)アクリル酸誘導体とを、トリフェニルホスフィン等のエステル化触媒の存在下で反応させて、目的の(メタ)アクリロイル基含有樹脂を得る。
【0062】
ここで用いる(メタ)アクリル酸誘導体は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0063】
前記エポキシ樹脂中間体(β)と(メタ)アクリル酸誘導体との反応割合は、反応が効率的に進むことから、前記エポキシ樹脂中間体(β)が含有するエポキシ基のモル数(p)と、前記(メタ)アクリル酸誘導体のモル数(q)との比[(p)/(q)]が、1/1〜1.1/1の範囲となる割合であることが好ましい。また、両者を反応させる際の反応温度は、100〜120℃の温度範囲であることが好ましい。
【0064】
また、エポキシ樹脂中間体(β)と(メタ)アクリル酸誘導体との反応は、必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。ここで用いる有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜2種以上を併用してもよい。
【0065】
前記方法1にて得られる(メタ)アクリロイル基含有樹脂は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物として2,7−ジヒドロキシナフタレンを、アラルキル化剤としてベンジルアルコールを用いた場合、具体的には下記構造式(6−1)〜(6−18)の何れかで表されるものなどが挙げられる。なお、式中のBnはベンジル基を、Yは前記構造部位(Y)を表す。
【0069】
また、前記方法1において、芳香族ジヒドロキシ化合物として1,6−ジヒドロキシナフタレンを、アラルキル化剤としてベンジルアルコールを用いた場合、得られる(メタ)アクリロイル基含有樹脂は、具体的には下記構造式(7−1)〜(7−20)の何れかで表されるものなどが挙げられる。なお、式中のBnはベンジル基を、Yは前記構造部位(Y)を表す。
【0073】
次に前記方法2について説明する。前記方法2で用いる芳香族ジヒドロキシ化合物は前記方法1についての説明にて記載したものと同様である。
【0074】
前記方法1で用いるアルカリ触媒は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。中でも、反応性により優れることからアルカリ金属水酸化物が好ましい。
【0075】
これらアルカリ触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物原料1モルに対し、0.1〜3.0モルの範囲で用いることが好ましい。
【0076】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物の縮重合反応は、必要に応じて有機溶媒中で行っても良い。ここで用いる有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル溶媒、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0077】
前記芳香族ジヒドロキシ化合物の重縮合反応は、例えば150〜210℃の温度条件下で行うことが出来、反応終了後は水層と有機層とを分離した後、有機層から有機溶媒を減圧乾燥させるなどして、ポリアリーレンエーテル中間体(γ)を得ることが出来る。
【0078】
方法2の第一工程で得られるポリアリーレンエーテル中間体(γ)は、感度や現像性に優れ、かつ、硬化物における難燃性や耐熱性、硬度の何れにも優れる(メタ)アクリロイル基含有樹脂が得られることから、その水酸基当量が100〜300g/当量の範囲であることが好ましい。
【0079】
前記第一工程に続く、前記ポリアリーレンエーテル中間体(γ)とエピハロヒドリンとを反応させてエポキシ樹脂中間体(ε)を得る第二工程、得られたエポキシ樹脂中間体(ε)と(メタ)アクリル酸誘導体と反応させて目的の(メタ)アクリロイル基含有樹脂を得る第三工程は、前記方法1同様の方法で行うことが出来る。
【0080】
前記方法2にて得られる(メタ)アクリロイル基含有樹脂は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物として2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いた場合、具体的には下記構造式(8−1)〜(8−11)の何れかで表されるものなどが挙げられる。なお、式中のBnはベンジル基を、Yは前記構造部位(Y)を表す。
【0083】
また、前記方法2において、芳香族ジヒドロキシ化合物として1,6−ジヒドロキシナフタレンを用いた場合、得られる(メタ)アクリロイル基含有樹脂は、具体的には下記構造式(9−1)〜(9−8)の何れかで表されるものなどが挙げられる。なお、式中のBnはベンジル基を、Yは前記構造部位(Y)を表す。
【0086】
本発明の硬化性樹脂材料は、本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂を必須の成分とするものである。本発明では、所望に応じて前記(メタ)アクリロイル基含有樹脂以外のその他のラジカル重合性化合物を併用しても良い。
【0087】
前記その他のラジカル重合性化合物は、例えば、各種のエポキシ(メタ)アクリレートや、その他の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。なお、ここでのその他のラジカル重合性化合物は、分子構造中に酸基を持たず、アルカリ現像性を有しない点で、後述するアルカリ現像性樹脂と区別される。
【0088】
前記エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、各種のポリグリシジルエーテル化合物に(メタ)アクリル酸又はそのハライドを付加反応させて得られるものが挙げられる。前記各種のポリグリシジルエーテルは、例えば、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、1,4−ベンゼンジメタノール、3,3’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ビフェニル−3,3’−ジメタノール、ビフェニル−4,4’−ジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1,4−ナフタレンジオール、1,5−ナフタレンジオール、1,6−ナフタレンジオール、2,6−ナフタレンジオール、2,7−ナフタレンジオール、ナフタレン−2,6−ジメタノール、4,4’,4’’−メチリジントリスフェノール等の芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル;
【0089】
前記芳香族ポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル化合物との開環重合によって得られるポリエーテル変性芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル;
【0090】
前記芳香族ポリオールと、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物との重縮合によって得られるラクトン変性芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル:
【0091】
マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸等の脂肪族ジカルボン酸と、前記芳香族ポリオールとを反応させて得られる芳香環含有ポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル;
【0092】
フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸及びその無水物と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族ポリオール等の脂肪族ポリオールとを反応させて得られる芳香環含有ポリエステルポリオールのポリグリシジルエーテル;
【0093】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂;レゾルシン・クレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ジフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルジフェニルジグリシジルエーテル、オキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン等の不飽和脂環式化合物とフェノール類との重付加反応物のポリグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0094】
前記その他の(メタ)アクリレート化合物は、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、4−ノニルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルベンジル(メタ)アクリレート、フェニルフェノキシエチルアクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物;
【0095】
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ヒドロピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス[(メタ)アクリロイルメチル]ビフェニル等のジ(メタ)アクリレート化合物;
【0096】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性したジペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0097】
本発明の硬化性樹脂材料における前記(メタ)アクリロイル基含有樹脂と、その他のラジカル重合性化合物との配合割合は、例えば、本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂を単体で用いるか、又は、本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂100質量部中に対し、その他のラジカル重合性化合物が10〜200質量部となる範囲で用いることが好ましい。
【0098】
本発明の硬化性樹脂材料は、更に重合開始剤を加えて、活性エネルギー線を照射するか、熱を加えて硬化させることにより硬化物とすることができる。
【0099】
本発明の硬化性樹脂材料に活性エネルギー線を照射してラジカル重合により硬化させる場合には、重合開始剤として、分子内開裂型光重合開始剤又は水素引き抜き型光重合開始剤を用いる。
【0100】
前記分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;1,1’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド等のアゾ化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
【0101】
前記水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
【0102】
上記の光重合開始剤の中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノンが好ましく、特に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。また、これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0103】
前記光重合開始剤の使用量は、本発明の硬化性樹脂材料100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。なお、活性エネルギー線として、後述する電子線を用いる場合には、光重合開始剤は不要である。
【0104】
本発明の硬化性樹脂材料の硬化に用いる活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。これらの活性エネルギー線を発生させるエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線灯(ブラックライト)、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマレーザー、紫外線LED、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
【0105】
また、本発明の硬化性樹脂材料を熱ラジカル重合により硬化させる場合には、熱ラジカル重合開始剤を用いる。前記熱ラジカル重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート等の有機過酸化物;1,1’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド等のアゾ化合物等が挙げられる。これらの熱ラジカル重合開始剤の中でも、ベンゾイルパーオキサイド、1,1’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。また、これらの熱ラジカル重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0106】
前記熱ラジカル重合開始剤の使用量は、本発明の硬化性樹脂材料100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
【0107】
本発明の硬化性樹脂材料は、用途等に応じて有機溶剤を含有していても良い。前記有機溶媒は、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上の混合溶媒として用いても良い。
【0108】
前記有機溶剤の配合量は、用途等によってもことなるが、硬化性樹脂材料中の樹脂固形分が20〜80質量%となる割合で用いることが好ましい。
【0109】
本発明の硬化性樹脂材料をレジスト材料用途に用いる場合には、本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂と合わせて、アルカリ現像性樹脂や、エポキシ樹脂等を配合する。
【0110】
前記アルカリ現像性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステルと、多塩基酸無水物との反応物等が挙げられる。前記エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂;レゾルシン・クレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ジフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルジフェニルジグリシジルエーテル、オキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン等の不飽和脂環式化合物とフェノール類との重付加反応物のポリグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂中のエポキシ基を(メタ)アクリル酸で(メタ)アクリレート化したものが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0111】
一方、前記多塩基酸無水物は、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、ドデシル無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3,4−ジメチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、3−ブテニル−5,6−ジメチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレン−テトラヒドロ無水フタル酸、7−メチル−3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の脂肪族酸無水物;無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等の芳香物酸無水物が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0112】
前記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂;レゾルシン・クレゾール共縮合ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ジフェニルジグリシジルエーテル、テトラメチルジフェニルジグリシジルエーテル、オキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン等の不飽和脂環式化合物とフェノール類との重付加反応物のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
【0113】
前記アルカリ現像性樹脂の配合量は、本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂100質量部に対し30〜500質量部の範囲で用いることが好ましく、100〜300質量部の範囲で用いることが好ましい。また、前記エポキシ樹脂の配合量は、本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂100質量部に対し30〜500質量部の範囲で用いることが好ましく、100〜300質量部の範囲で用いることが好ましい。
【0114】
本発明の(メタ)アクリロイル基含有樹脂はそれ自体高い難燃性を有するが、とりわけ高い難燃性が求められる用途に用いる場合には、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤を配合してもよい。
【0115】
前記非ハロゲン系難燃剤は、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
【0116】
前記リン系難燃剤は、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
【0117】
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
【0118】
前記有機リン系化合物は、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,5―ジヒドロオキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド等の環状有機リン化合物及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
【0119】
これらリン系難燃剤の配合量は、例えば、硬化性樹脂材料100質量部中、赤リンを用いる場合には0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を用いる場合には0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、0.5〜6.0質量部の範囲で配合することがより好ましい。
【0120】
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
【0121】
前記窒素系難燃剤は、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
【0122】
前記トリアジン化合物は、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、前記アミノトリアジン変性フェノール樹脂、及び該アミノトリアジン変性フェノール樹脂を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
【0123】
前記シアヌル酸化合物は、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
【0124】
前記窒素系難燃剤の配合量は、例えば、硬化性樹脂材料100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、0.1〜5質量部の範囲で配合することがより好ましい。
【0125】
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
【0126】
前記シリコーン系難燃剤は、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0127】
前記シリコーン系難燃剤の配合量は、例えば、硬化性樹脂材料100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
【0128】
前記無機系難燃剤は、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
【0129】
前記金属水酸化物は、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
【0130】
前記金属酸化物は、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
【0131】
前記金属炭酸塩化合物は、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
【0132】
前記金属粉は、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
【0133】
前記ホウ素化合物は、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
【0134】
前記低融点ガラスは、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO
2−MgO−H
2O、PbO−B
2O
3系、ZnO−P
2O
5−MgO系、P
2O
5−B
2O
3−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V
2O
5−TeO
2系、Al
2O
3−H
2O系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
【0135】
前記無機系難燃剤の配合量は、例えば、硬化性樹脂材料100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、0.5〜15質量部の範囲で配合することがより好ましい。
【0136】
前記有機金属塩系難燃剤は、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
【0137】
前記有機金属塩系難燃剤の配合量は、例えば、硬化性樹脂材料100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
【0138】
本発明の硬化性樹脂材料は、必要に応じて無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材は、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。前記無機充填材の配合量を特に大きくする場合は溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。その充填率は難燃性を考慮して、高い方が好ましく、硬化性樹脂材料の全質量に対して20質量%以上が特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
【0139】
本発明の硬化性樹脂材料は、この他、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
【0140】
本発明の硬化性樹脂材料は、上記した各成分を均一に混合することにより得られ、加熱により容易に硬化物とすることができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
【0141】
本発明の硬化性樹脂材料をレジストインキ用樹脂組成物として用いる場合には、例えば、スクリーン印刷、カーテンコート法、ロールコート法、スピンコート法、ディップコート法等によりプリント基板上に10〜150μm(液膜厚)の厚さに塗布した後、60〜90℃で15〜90分予備乾燥し有機溶剤等の揮発分を揮発させ(塗布と予備乾燥工程を複数回繰り返して積層させる場合もある)、その乾燥塗膜に所望のマスクパターンのネガフィルムを密着させ、その上から紫外線を照射し露光を行い(或いはレーザー光などを用いて直接パターンを露光しても良く、この場合はマスクパターンは必要としない。)、その後希アルカリ水溶液を現像液として現像することにより非露光領域の塗膜は除去され、露光部分の塗膜は光硬化しているので除去されず残留することにより、パターンを形成させることが出来る。この際の希アルカリ水溶液としては、0.5〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液や水酸化ナトリウム水溶液が一般的であるが、他のアルカリ溶液も使用可能である。次いで、130〜160℃で20〜90分熱風乾燥機等で熱硬化させることにより、耐熱性や難燃性、硬度、電気特性等の諸物性に優れたレジストパターンを得ることが出来る。
【0142】
本発明の硬化性樹脂材料は、プリント配線板等の回路基板のソルダーレジストインキ用樹脂組成物、層間絶縁層、液晶カラーフィルタのオーバーコート、液晶用スペーサー、カラーフィルタ用顔料レジスト、ブラックマトリクス等のレジスト材料の他、硬質プリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料等の回路基板用絶縁材料、半導体封止材料、導電ペースト、ビルドアップ用接着フィルム、樹脂注型材料、接着剤等の各種電子材料用途に用いることができる。
【実施例】
【0143】
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。尚、軟化点測定、融点測定、GPC測定、
13C−NMR、MSスペクトル、IRは以下の条件にて測定した。
【0144】
軟化点測定法:JIS K7234に準拠した。
【0145】
融点測定法:ASTM D4287に準拠した。
【0146】
GPC:以下の条件により測定した。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL−L」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
検出器: RI(示差屈折径)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
測定条件: カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 : 前記「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
【0147】
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
試料 : 樹脂固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)。
【0148】
13C−NMR:日本電子株式会社製「JNM−ECA500」により測定した。
磁場強度:500MHz
パルス幅:3.25μsec
積算回数:8000回
溶媒:DMSO−d6
試料濃度:30質量%
【0149】
FD−MS:日本電子株式会社製「JMS−T100GC AccuTOF」を用いて測定した。
測定範囲:m/z=4.00〜2000.00
変化率:51.2mA/min
最終電流値:45mA
カソード電圧:−10kV
記録間隔:0.07sec
【0150】
IR:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「Nicolet iS10」を用い、KBr法で測定した。
【0151】
製造例1 ポリアリーレンエーテル中間体(α)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)、ベンジルアルコール25g(0.25モル)、キシレン160g、パラトルエンスルホン酸・1水和物2gを仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。次いで140℃まで昇温し、生成する水を系外に留去し、同時に留去されたキシレンを系中に戻しながら4時間攪拌した。更に150℃まで昇温し、生成する水とキシレンとを系外に留去しながら3時間攪拌した。反応終了後、20%水酸化ナトリウム水溶液2gを添加して中和した後、水およびキシレンを減圧下除去して褐色固体のポリアリーレンエーテル中間体(α)178g得た。得られたポリアリーレンエーテル中間体(α)の水酸基当量は178g/当量、軟化点は130℃であった。ポリアリーレンエーテル中間体(α)のGPCチャートを
図1に、MALDI−MSスペクトルを
図2に、ポリアリーレンエーテル中間体(1)のトリメチルシリル化体のMALDI−MSスペクトルを
図3に示す。
【0152】
前記
図2及び
図3の分子量ピークから、以下a〜fの各化合物の存在を確認した。
a.2,7−ジヒドロキシナフタレン(Mw:160)にベンジル基(分子量Mw:90)が1個付加したピーク(M
+=250)、及びベンジル基(分子量Mw:90)が2個付加したピーク(M
+=340)が見られたことから、2,7−ジヒドロキシナフタレン1モルにベンジル基が1モル結合した化合物、及び2,7−ジヒドロキシナフタレン1モルにベンジル基が2モル結合した化合物の存在を確認した。
【0153】
b.2,7−ジヒドロキシナフタレン2量体のピーク(M
+=302)、及びこれにトリメチルシリル基(分子量Mw:72)が2個付加したピーク(M
+=446)が見られたことから、2,7−ジヒドロキシナフタレンの2量体エーテル化合物の存在を確認した。
【0154】
c.2,7−ジヒドロキシナフタレン3量体のピーク(M
+=444)、これにトリメチルシリル基(分子量Mw:72)が2個付加したピーク(M
+=588)、及びトリメチルシリル基が3個付加したピーク(M
+=660)が見られたことから、2,7−ジヒドロキシナフタレン3量体エーテル化合物、及び2,7−ジヒドロキシナフタレン2量体エーテル化合物1モルに2,7−ジヒドロキシナフタレンが1モル核脱水して生成した構造の3量体化合物の存在を確認した。
【0155】
d.2,7−ジヒドロキシナフタレン4量体のピーク(M
+=586)、これにトリメチルシリル基(分子量Mw:72)が2個付加したピーク(M
+=730)、及びトリメチルシリル基が3個付加したピーク(M
+=802)が見られたことから、2,7−ジヒドロキシナフタレン4量体エーテル化合物、及び2,7−ジヒドロキシナフタレン3量体エーテル化合物1モルに2,7−ジヒドロキシナフタレンが1モル核脱水して生成した構造の4量体化合物の存在を確認した。
【0156】
e .2,7−ジヒドロキシナフタレン5量体のピーク(M
+=729)、これにトリメチルシリル基(分子量Mw:72)が2個付加したピーク(M
+=873)、トリメチルシリル基が3個付加したピーク(M
+=944)、及びトリメチルシリル基が4個付加したピーク(M
+=1016)が見られたことから、2,7−ジヒドロキシナフタレン5量体エーテル化合物、2,7−ジヒドロキシナフタレン4量体エーテル化合物1モルに2,7−ジヒドロキシナフタレンが1モル核脱水して生成した構造の5量体化合物、2,7−ジヒドロキシナフタレン3量体エーテル化合物1モルに2,7−ジヒドロキシナフタレンが2モル核脱水して生成した構造の5量体化合物の存在を確認した。
【0157】
f .b〜eで確認された化合物のそれぞれにベンジル基(分子量Mw:90)が1個付加したピーク、及びベンジル基(分子量Mw:90)が2個付加したピークが見られたことから、b〜eで確認された化合物のそれぞれ1モルにベンジル基が1モル結合した化合物、及び2モル結合した化合物での存在を確認した。
【0158】
製造例2 ポリアリーレンエーテル中間体(γ)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)を仕込み、窒素を吹き込みつつ攪拌しながら200℃に加熱して溶融させた。溶融後、48%水酸化カリウム水溶液23g(0.2モル)を添加し、分留管を用いて48%水酸化カリウム水溶液由来の水および生成する水を抜き出した後、更に5時間反応させた。反応終了後、反応系中にメチルイソブチルケトン1000gを加えて内容物を溶解させ、分液ロートに移した。洗浄水が中性を示すまで水洗した後、有機層から溶媒を加熱減圧下に除去し、褐色固体のポリアリーレンエーテル中間体(γ)150gを得た。得られたポリアリーレンエーテル中間体(γ)の水酸基当量は120g/当量、融点は179℃であった。ポリアリーレンエーテル中間体(γ)のGPCチャートを
図4に、FT−IRチャートを
図5に、MALDI−MSスペクトルを
図6に、ポリアリーレンエーテル中間体(γ)のトリメチルシリル化体のMALDI−MSスペクトルを
図7に示す。
【0159】
図4のGPCチャートより、ポリアリーレンエーテル中間体(γ)中の2,7−ジヒドロキシナフタレンの残存率はGPCによる面積比で64%であることを確認した。
図5のFT−IRチャートより、芳香族エーテル由来の吸収(1250cm
−1)が確認され、ポリナフチレンエーテル構造の生成を確認した。
前記
図6及び
図7の分子量ピークから、以下a〜fの各化合物の存在を確認した。
【0160】
a.2,7−ジヒドロキシナフタレン3量体のピーク(M
+=444)、これにトリメチルシリル基(分子量Mw:72)が2個付加したピーク(M
+=588)、及びトリメチルシリル基が3個付加したピーク(M
+=660)が見られたことから、2,7−ジヒドロキシナフタレン3量体エーテル化合物、及び2,7−ジヒドロキシナフタレン2量体エーテル化合物1モルに2,7−ジヒドロキシナフタレンが1モル核脱水して生成した構造の3量体化合物の存在を確認した。
【0161】
b.2,7−ジヒドロキシナフタレン5量体のピーク(M
+=728)、これにトリメチルシリル基(分子量Mw:72)が3個付加したピーク(M
+=945)、及びトリメチルシリル基が4個付加したピーク(M
+=1018)が見られたことから、2,7−ジヒドロキシナフタレン5量体エーテル化合物、2,7−ジヒドロキシナフタレン4量体エーテル化合物1モルに2,7−ジヒドロキシナフタレンが1モル核脱水して生成した構造の5量体化合物、2,7−ジヒドロキシナフタレン3量体エーテル化合物1モルに2,7−ジヒドロキシナフタレンが2モル核脱水して生成した構造の5量体化合物の存在を確認した。
【0162】
製造例3 エポキシ樹脂中間体(β)の製造
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、製造例1で得たポリアリーレンエーテル中間体(α)178g(水酸基1.0モル)、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃まで昇温し、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去して油層を反応系内に戻しながら反応を行った。次いで、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させ、粗エポキシ樹脂を得た。粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン455gとn−ブタノール137gとを加えて溶解し、更に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた。反応終了後、洗浄液のPHが中性となるまで水150gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、エポキシ樹脂中間体(β)242gを得た。得られたエポキシ樹脂中間体(β)のエポキシ当量は292g/eqであった。
【0163】
製造例4 エポキシ樹脂中間体(ε)の製造
製造例3のポリアリーレンエーテル中間体(α)178g(水酸基1.0モル)をポリアリーレンエーテル中間体(γ)120g(水酸基1.0モル)に変更する以外は、製造例3と同様の操作で、エポキシ樹脂中間体(ε)を得た。得られたエポキシ樹脂中間体(ε)のエポキシ当量は197g/eqであった。
【0164】
実施例1 (メタ)アクリロイル基含有樹脂(1)の製造
温度計、冷却管、空気導入管、撹拌機を取り付けたフラスコに、空気を吹き込みつつ、製造例3で得られたエポキシ樹脂中間体(β)292g(エポキシ基1.0モル)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート196g、アクリル酸72g(1.0モル)、ハイドロキノン0.18gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン1.09gを仕込み、120℃で6時間反応させ、(メタ)アクリロイル基含有樹脂(1)溶液を得た。得られた(メタ)アクリロイル基含有樹脂(1)溶液の固形分は65質量%、原料仕込み比から算出される固形分の二重結合当量は364g/当量であった。(メタ)アクリロイル基含有樹脂(1)のGPCチャート図を
図8に示す。
【0165】
実施例2 (メタ)アクリロイル基含有樹脂(2)の製造
実施例1のエポキシ樹脂中間体(β)をエポキシ樹脂中間体(ε)197g(エポキシ基1.0モル)に変更し、ハイドロキノンを0.13gに、トリフェニルホスフィンを0.81gに変更する以外は、実施例1と同様の操作で(メタ)アクリロイル基含有樹脂(2)溶液を得た。得られた(メタ)アクリロイル基含有樹脂(2)溶液の固形分は65質量%、原料仕込み比から算出される固形分の二重結合当量は269g/当量であった。
【0166】
実施例3 (メタ)アクリロイル基含有樹脂(3)の製造
実施例1のアクリル酸72gをメタクリル酸86g(1.0モル)に変更し、ハイドロキノンを0.19g、トリフェニルホスフィンを1.13gに変更する以外は、実施例1と同様の操作で(メタ)アクリロイル基含有樹脂(3)溶液を得た。得られた(メタ)アクリロイル基含有樹脂(3)溶液の固形分は65質量%、原料仕込み比から算出される固形分の二重結合当量は378g/当量であった。
【0167】
実施例4 (メタ)アクリロイル基含有樹脂(4)の合成
実施例1のエポキシ樹脂中間体をエポキシ樹脂中間体(ε)197g(エポキシ基1.0モル)に変更し、アクリル酸をメタクリル酸86g(1.0モル)に変更し、ハイドロキノンを0.14gに、トリフェニルホスフィンを0.85gに変更する以外は、実施例1と同様の操作で(メタ)アクリロイル基含有樹脂(4)溶液を得た。得られた(メタ)アクリロイル基含有樹脂(4)溶液の固形分は65質量%、原料仕込み比から算出される固形分の二重結合当量は283g/当量であった。
【0168】
アルカリ現像性樹脂(1)の製造
温度計、攪拌器、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、エチルジグリコールアセテート297gを導入し、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロンN−680」エポキシ当量210g/当量)630gを加え、加熱溶解させた。続いて、アクリル酸216g、重合禁止剤としてハイドロキノン0.6g、反応触媒としてトリフェニルホスフィン2.5gを加えて120℃に加熱し、約12時間反応させた。この反応生成物を80℃にまで冷却した後、テトラヒドロフタル酸無水物252gを加え、約6時間反応させた。この反応溶液に、ソルベッソ150を297g加え、アルカリ現像性樹脂(1)溶液を得た。アルカリ現像性樹脂(1)溶液の固形分は65質量%、固形分の酸価は85mgKOH/gであった。
【0169】
比較製造例1 (メタ)アクリロイル基含有樹脂(1’)の製造
実施例1のエポキシ樹脂中間体(β)をオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロンN−680」エポキシ当量210g/当量)210g(エポキシ基1.0モル)に変更し、ハイドロキノン0.13g、TPP(トリフェニルホスフィン)0.75gに変更する以外は、実施例1と同様の操作で、(メタ)アクリロイル基含有樹脂(1’)を得た。得られた(メタ)アクリロイル基含有樹脂(1’)の固型分は65質量%、原料仕込み比から算出される固形分の(メタ)アクリロイル基当量は282g/当量であった。
【0170】
実施例5〜8、及び比較例1
下記要領で硬化性樹脂材料を調整し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0171】
<硬化性樹脂材料の調整>
表1に示す割合で各成分を配合し、冷却装置をつけた自転公転型撹拌機で混合して、硬化性樹脂材料を調製した。表中に記載した各成分の詳細は以下の通り。
重合開始剤1:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン
重合開始剤2:2、4−ジエチルチオキサントン
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
顔料:フタロシアニングリーン
充填材:タルク
【0172】
<乾燥性の評価>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。塗膜を室温まで冷却した後、ソルダーマスクパターンを塗膜面に重ねた際の付着状態を観察し、乾燥性を評価した。
○:ソルダーマスクパターンが樹脂塗膜に付着しない
×:ソルダーマスクパターンが樹脂塗膜に付着する
【0173】
<感度の評価>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。塗膜に21段ステップタブレット(コダック社製)を密着させ、メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて紫外線を照射した。次いで、30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cm
2のスプレー圧で60秒間現像処理を行ったのち、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。露光部に残存した樹脂硬化物の段数により、硬化性樹脂材料の感度を評価した。数字が大きい方が高感度であることを表す。
【0174】
<現像所用時間の評価>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。塗膜にソルダーマスクパターンを密着させ、メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射し、次いで30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cm
2のスプレー圧で現像を行った。15秒毎に未露光部分の現像状態を拡大鏡にて目視判定し、未露光部の硬化性樹脂材料が完全に除去され、現像が終了するまでの時間を現像時間(秒)として評価した。
【0175】
<熱管理幅の評価>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃での予備乾燥時間を20分から90分まで10分間隔で変更したサンプルをそれぞれ作成した。30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cm
2のスプレー圧で60秒間現像処理を行った際に、樹脂塗膜が完全に除去できたものの最大予備乾燥時間(分)を熱管理幅として評価した。
【0176】
<半田耐熱性の評価>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射したのち、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。JIS C 6481の試験方法に従って、サンプルを260℃の半田浴へ10秒間浸漬し、これを3回繰り返した。外観変化がなかった最大浸漬回数で評価した。
【0177】
<硬化物の表面硬度の評価>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射したのち、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。サンプルの塗膜表面の鉛筆硬度をJIS K 5400の試験方法に従って試験し、塗膜に傷がつかなかった最も高い硬度を観測した。
【0178】
<基材密着性>
銅張積層板上に先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射したのち、150℃で30分後硬化させてサンプルを得た。樹脂塗膜に巾1mmで10×10のクロスカットを入れ、セロハンテープで剥離テストを行い、剥がれの状態を目視観察した。
○:剥がれが認められないもの
△:1〜10箇所に剥がれが認められるもの
×:10箇所以上剥がれたもの
【0179】
<硬化物の耐酸性>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射したのち、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。サンプルを10重量%の塩酸に30分間浸漬した後の硬化塗膜の状態を評価した。
○:全く変化が認められないもの
×:硬化塗膜が膨潤して剥離したもの
【0180】
<硬化物の耐溶剤性>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射したのち、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。サンプルを塩化メチレンに30分間浸漬した後の硬化塗膜の状態を評価した。
○:全く変化が認められないもの
×:硬化塗膜が膨潤して剥離したもの
【0181】
<硬化物のPCT耐性>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射したのち、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。サンプルを121℃の飽和水蒸気中に50時間晒した際の硬化塗膜の状態を評価した。
○:試験前後で硬化塗膜に全く変化が認められないもの
×:硬化塗膜が膨潤して剥離したもの
【0182】
<硬化物の電気信頼性>
ポリイミドフィルム基板に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。塗膜にソルダーマスクパターンを密着させ、メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射した。30℃の1重量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、2.0kg/cm2のスプレー圧で60秒間現像処理した後、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。サンプルの電気絶縁性を以下の条件で評価した。
加湿条件:温度120℃、湿度95%RH、引加電圧30V、100時間
測定条件:測定時間60秒、引加電圧500V
○:加湿後の絶縁抵抗値10
−10Ω以上、銅のマイグレーションなし
△:加湿後の絶縁抵抗値10
−10Ω以上、銅のマイグレーションあり
×:加湿後の絶縁抵抗値10
−9Ω以下、銅のマイグレーションあり
【0183】
<硬化物の難燃性>
先で調整した硬化性樹脂材料を用い、ASTM D4804−03に準拠し、難燃性を評価した。サンプルを5本用意し、各サンプル2回、3秒間ずつ接炎し、計10回の燃焼時間を測定し、下記の基準に沿って判定した。
VTM−0:個々の燃焼時間10秒以下、かつトータル燃焼時間50秒以下
VTM−1:個々の燃焼時間30秒以下、かつトータル燃焼時間250秒以下
VTM−2:個々の燃焼時間30秒以下、かつトータル燃焼時間250秒以下、かつ燃焼物が落下
BURN:個々の燃焼時間30秒以上、またはトータル燃焼時間250秒以上
【0184】
<硬化物の耐熱性>
鏡面アルミ板上に、先で調整した硬化性樹脂材料を60μmの厚さで塗布し、80℃で30分間予備乾燥した。メタルハライドランプ露光装置(オーク製作所製)を用いて、紫外線積算強度計(アイグラフィック社製)での測定置で200mJ/cm
2の紫外線を照射した後、150℃で30分間硬化させてサンプルを得た。サンプルを幅5mm、長さ54mmのサイズに切り出し、これを試験片として粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、レクタンギュラーテンション法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる(tanδ変化率が最も大きい)温度をガラス転移温度として評価した。
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【表1】