(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態による圧力センサについて図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による圧力センサ1の一例を示す平面図である。また、
図2は、
図1に示すA−A線に沿った圧力センサ1の断面図であり、
図3は、
図1に示すB−B線に沿った圧力センサ1の断面図である。
【0025】
図1〜3に示すように、本実施形態の圧力センサ1は、所定の周波数帯域(例えば、1Hz以下の低周波帯域)の圧力変動を検出するセンサであり、圧力伝達媒体(例えば空気等の気体)が存在する空間等に配置されて使用される。圧力センサ1は、例えば、SOI基板5を利用して形成された直方体状の外形を有するセンサ本体2と、先端部3aが自由端とされ、基端部3bが片持ち支持されたカンチレバー3と、カンチレバー3の変位(撓み変位)を検出する変位検出部4と、を備えている。
【0026】
なお、本実施形態では、圧力センサ1の厚み方向に沿ったカンチレバー3側を上方、その反対側を下方といい、圧力センサ1の平面視で長手方向をL1(以下、長手方向L1)、圧力センサ1の平面視で長手方向L1に直交する短手方向をL2(以下、短手方向L2)という。
また、SOI基板5は、
図2に示すように、シリコン支持層5a、シリコン酸化膜等の電気的絶縁性を有する絶縁層5b、及びシリコン活性層5cを熱的に張り合わせた基板とされている。
【0027】
センサ本体2は、例えばSOI基板5におけるシリコン支持層5aで形成されている。
具体的には、センサ本体2は底壁部2a及び周壁部2bを有し、上方に開口する中空の有底筒状に形成されている。センサ本体2の内部空間は、キャビティ(空気室)10として機能し、上方に開口した部分がキャビティ10の内部と外部とを連通する連通開口11として機能する。すなわち、中空のセンサ本体2は、内部にキャビティ10が形成され、キャビティ10の内部と外部とを連通する連通開口11を有する。
【0028】
絶縁層5bは、例えば、SiO2(二酸化ケイ素)により形成された酸化層であり。センサ本体2の周壁部2bの開口端縁上に全周に亘って環状に形成されている。
シリコン活性層5cは、センサ本体2を上方から塞ぐように絶縁層5b上に形成されている。このシリコン活性層5cには、該シリコン活性層5cを厚さ方向に貫通する平面視コ形状(C形状)のギャップ12が形成されている。これにより、シリコン活性層5cには、環状の枠部13とカンチレバー3とが形成されている。
【0029】
上記ギャップ12は、平面視で連通開口11の内側に位置する領域内(キャビティ10の内部に連通する領域内)に形成され、そのギャップ幅Gは、例えば数百nm〜数十μmの微小幅とされている。
【0030】
カンチレバー3は、基端部3bが枠部13を介してセンサ本体2における周壁部2bの開口端の内側に一体的に接続され、且つ先端部3aが自由端とされた片持ち梁構造とされ、連通開口11を覆うように配置されている。
なお、枠部13は、絶縁層5b上に全周に亘って環状に形成されているとともに、一部が連通開口11を覆うように周壁部2bよりもカンチレバー3側に突出している。これにより、枠部13の一部は連通開口11を覆っている。
【0031】
カンチレバー3について詳細に説明する。
カンチレバー3は、レバー本体20と、該レバー本体20を片持ち状態で支持する2つのレバー支持部21A、21Bと、を備えている。そして、カンチレバー3は、基端部3bを中心としてキャビティ10の内部と外部との圧力差(すなわち、ギャップ12を介してキャビティ10の内部と外部との間を流通可能な圧力伝達媒体による圧力の差)に応じて撓み変形する。すなわち、カンチレバー3は、レバー本体20と、レバー本体20とセンサ本体2とを接続するとともにレバー本体20を片持ち状態で支持する複数のレバー支持部21とを有し、連通開口11を覆うように配置され、且つキャビティ10とセンサ本体2の外部との圧力差に応じて撓み変形する。
なお、レバー支持部21A及びレバー支持部21Bは、同一の構成であり、以下の説明において、カンチレバー3が備える任意のレバー支持部を示す場合、又は特に区別しない場合には、レバー支持部21として説明する。
【0032】
カンチレバー3の基端部3bには、該カンチレバー3を厚さ方向に貫通する平面視コ形状(C形状)の補助ギャップ22が形成されている。この補助ギャップ22は、カンチレバー3の基端部3bにおいて圧力センサ1の短手方向L2の中央部に配置されている。これにより、カンチレバー3は基端部3bを中心として撓み変形し易い構造とされている。
【0033】
2つのレバー支持部21A、21Bは、補助ギャップ22を挟んで短手方向L2に並ぶように配置され、レバー本体20と枠部13とを接続するとともにレバー本体20を片持ち状態で支持している。従って、カンチレバー3は、これらレバー支持部21A、21Bを中心に撓み変形する。
なお、2つのレバー支持部21A、21Bの短手方向L2に沿った支持幅は、同等とされている。従って、カンチレバー3が撓み変形した際、一方のレバー支持部21Aに作用する単位面積当たりの応力と、他方のレバー支持部21Bに作用する単位面積当たりの応力とは同等とされている。
【0034】
上述したカンチレバー3及び枠部13が形成されたシリコン活性層5cには、ピエゾ抵抗(抵抗素子)30がシリコン活性層5cの全面に亘って形成されている。このピエゾ抵抗30は、例えばリン等のドープ剤(不純物)がイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成されている。
【0035】
ピエゾ抵抗30のうち、レバー支持部21Aに形成されている部分は、レバー抵抗部31として機能し、レバー支持部21Bに形成されている部分は、レバー抵抗部32として機能する。また、ピエゾ抵抗30のうち、レバー本体20に形成されている部分は、本体抵抗部33として機能し、カンチレバー3の基端部3bに形成されている部分は、基端抵抗部34として機能する。
【0036】
レバー抵抗部31(第1レバー抵抗部の一例)は、レバー支持部21Aに形成され、レバー支持部21Aの撓み量に応じて抵抗値が変化する。また、レバー抵抗部31のカンチレバー3の先端側の第1端には、検出電極35Aが接続され、レバー抵抗部31のカンチレバー3の基端側の第2端には、検出電極35Cが接続されている。
【0037】
レバー抵抗部32(第2レバー抵抗部の一例)は、レバー支持部21Bに形成され、レバー支持部21Bの撓み量に応じて抵抗値が変化する。また、レバー抵抗部32のカンチレバー3の先端側の第1端には、検出電極35Bが接続され、レバー抵抗部32のカンチレバー3の基端側の第2端には、検出電極35Dが接続されている。
なお、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32は、後述するホイートストンブリッジ回路の互いに対向する抵抗を構成するように形成されている。
【0038】
本体抵抗部33は、レバー本体20の撓み量に応じてほとんど抵抗値が変化しないピエゾ抵抗30であり、検出電極35Aと検出電極35Bとの間に接続されている。
基端抵抗部34は、カンチレバー3の基端部3bに形成され、レバー本体20の撓み量に応じてほとんど抵抗値が変化しないピエゾ抵抗30である。基端抵抗部34は、検出電極35Cと検出電極35Dとの間に接続されている。
【0039】
また、ピエゾ抵抗30の上面には、ピエゾ抵抗30よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えば、Au(金)等)からなる検出電極35が形成されている。この検出電極35は、平面視でカンチレバー3を囲む枠状に形成され、枠部13の上方に配置されている。
なお、ピエゾ抵抗30及び検出電極35の上面に図示しない絶縁膜を保護膜として被膜することで、外部との電気的な接触を防止することが好ましい。
【0040】
また、検出電極35は、電極溝40及び区画溝41〜43により検出電極35A〜35Dの各電極に分離されている。
電極溝40は、ギャップ12におけるカンチレバー3の先端部3a側からセンサ本体2に、長手方向L1に沿って延びた直線状に形成された溝である。電極溝40は、検出電極35Aと検出電極35Bとを電気的に分離する区画部として機能する。電極溝40は、
図3に示すように、枠部13のカンチレバー3の先端部3a側に位置する部分に形成され、例えば絶縁層5bに達する深さとされている。
【0041】
区画溝41(第1区画部)は、レバー支持部21Aにおける短手方向L2の中央部分に配置され、長手方向L1に沿って延びた直線状に形成されている。また、区画溝41は、レバー支持部21Aにおける長手方向L1の中間部から、カンチレバー3の基端部3bに向かって直線状に延びるとともに、検出電極35を短手方向L2に分断するようにセンサ本体2の側方まで達するように形成されている。すなわち、区画溝41は、レバー支持部21Aを含む部分に形成され、検出電極35Aと検出電極35Cとを電気的に切り離す。
【0042】
区画溝42(第2区画部)は、レバー支持部21Bにおける短手方向L2の中央部分に配置され、長手方向L1に沿って延びた直線状に形成されている。また、区画溝42は、レバー支持部21Bにおける長手方向L1の中間部から、カンチレバー3の基端部3bに向かって直線状に延びるとともに、検出電極35を短手方向L2に分断するようにセンサ本体2の側方まで達するように形成されている(
図3参照)。すなわち、区画溝42は、レバー支持部21Bを含む部分に形成され、検出電極35Bと検出電極35Dとを電気的に切り離す。
【0043】
区画溝43(第3区画部)は、カンチレバー3の基端部3bにおいて短手方向L2に直線状に延びるとともに、当該区画溝43の短手方向L2の中間部から、長手方向L1に沿って延びた直線状に形成されている。また、区画溝43は、検出電極35を短手方向L2に分断するようにセンサ本体2の側方まで達するように形成されている。すなわち、区画溝43は、カンチレバー3の基端部3bに形成され、検出電極35Cと検出電極35Dとを電気的に切り離す。
なお、区画溝41〜43は、絶縁層5bに達する深さとされている。但し、この場合に限られるものではなく、例えばカンチレバー3を厚さ方向に貫通してもよい。いずれにしても、少なくとも絶縁層5bに達する深さまで区画溝41〜43を形成することが好ましい。
【0044】
このように、変位検出部4は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34と、検出電極35A〜35Dとを有し、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値変化に基づいて、カンチレバー3の変位を検出する。
なお、上述したレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34とは、ホイートストンブリッジ回路を形成しており、検出電極35A〜35Dの各電極は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値変化に基づいてカンチレバー3の変位を検出する検出回路50に接続されている。
【0045】
ここで、
図4を参照して本実施形態の検出回路50の構成例について説明する。
図4は、本実施形態における各抵抗及び検出回路50の一例を示す構成図である。
この図に示すように、変位検出部4が有するレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34とが、ホイートストンブリッジ回路を形成している。ここで、カンチレバー3の撓み変形のない場合に、レバー抵抗部31の抵抗値R1と基端抵抗部34の抵抗値R2との抵抗比は、本体抵抗部33の抵抗値R4とレバー抵抗部32の抵抗値R3との抵抗比と等しくなるように各抵抗が形成されている。
【0046】
また、検出電極35Aは、後述する基準電圧発生回路51の基準電圧Vrefの信号線に接続され、検出電極35Dは、検出回路50の基準電圧GNDの信号線に接続されている。また、検出電極35Cは、後述する差動増幅回路52の反転入力端子(−端子)に接続され、検出電極35Bは、後述する差動増幅回路52の非反転入力端子(+端子)に接続されている。
【0047】
また、検出回路50は、基準電圧発生回路51と、差動増幅回路52とを備えている。
基準電圧発生回路51は、圧力を検出するための所定の基準電圧Vrefを生成し、生成した基準電圧Vrefをホイートストンブリッジ回路の検出電極35Aに供給する。
差動増幅回路52は、例えば、計測アンプ(インスツルメンテーションアンプ)であり、検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差を増幅して出力信号として出力する。
【0048】
なお、カンチレバー3が撓み変形していない状態において、抵抗値R1と抵抗値R2との抵抗比は、抵抗値R4と抵抗値R3との抵抗比と等しいため、検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差は生じない。この場合、差動増幅回路52は、所定の電圧(例えば、0V)を出力信号に出力する。また、カンチレバー3の撓みが生じた場合には、カンチレバー3の撓み量(変位量)に応じて、抵抗値R1及び抵抗値R3が変化して、検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差が生じる。この場合、差動増幅回路52は、カンチレバー3の撓み量(変位量)に応じた検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差を増幅して出力信号に出力する。
【0049】
例えば、圧力変動によりカンチレバー3の撓みが生じて、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値(R1、R3)が増加したとする。この場合、抵抗分圧の比率(抵抗値R2/(抵抗値R2+抵抗値R1))の値は、抵抗値R1が増加するため、減少する方向に変化する。すなわち、基準電圧Vrefを抵抗値R1と抵抗値R2との抵抗比により分圧した検出電極35Cの電位は、低くなる。また、抵抗分圧の比率(抵抗値R3/(抵抗値R3+抵抗値R4))の値は、抵抗値R3が増加するため、増加する方向に変化する。すなわち、基準電圧Vrefを抵抗値R4と抵抗値R3との抵抗比により分圧した検出電極35Bの電位は、高くなる。
【0050】
このように、カンチレバー3の撓みに応じてレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値(R1、R3)が増加した場合には、検出電極35Cの電位が低くなり、検出電極35Bの電位が高くなる。その結果、検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差は、検出電極35Bと検出電極35Cとの逆向きの変化により、より大きい電位差として現れることになる。
【0051】
また、例えば、圧力変動によりカンチレバー3の撓みが生じて、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値(R1、R3)が減少した場合には、上述とは逆に、検出電極35Cの電位が高くなり、検出電極35Bの電位が低くなる。この場合も、上述と同様に、検出電極35Bと検出電極35Cと電位差は、検出電極35Bと検出電極35Cとの逆向きの変化により、より大きい電位差として現れることになる。
このように、本実施形態の圧力センサ1では、カンチレバー3の撓み量(変位量)に応じて、検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差は、検出電極35Bと検出電極35Cとの逆向きに変化するので、圧力変動に応じた検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差を、大きな電位差として検出することができる。
【0052】
次に、
図5及び
図6を参照して、本実施形態による圧力センサ1の動作について説明する。
図5は、本実施形態による圧力センサ1の出力信号の一例を示す図である。また、
図6は、本実施形態による圧力センサ1の動作の一例を示す図である。
【0053】
まず、
図5に示す時刻t1以前の期間Aのように、キャビティ10の外部の圧力(以下、外気圧Poutと称する)と、キャビティ10の内部の圧力(以下、内気圧Pinと称する)との圧力差がゼロである場合には、
図6(A)に示すように、カンチレバー3は撓み変形しない。これにより、検出回路50は、所定値(例えば、0V)を出力信号(センサ信号)に出力する。
【0054】
次に、
図6に示す時刻t1以降の期間Bのように、例えば外気圧Poutがステップ状に上昇すると、キャビティ10の外部と内部との間に圧力差が生じるので、
図6(B)に示すようにカンチレバー3は、キャビティ10の内部に向けて撓み変形する。すると、カンチレバー3の撓み変形に応じて、レバー本体20に形成されたレバー支持部(21A、21B)に形成されたレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32に歪が生じ、それにより抵抗値R1と抵抗値R2との抵抗比と抵抗値R4と抵抗値R3との抵抗比とが変化するので、検出電極35Bと検出電極35Cとの電位差が生じる。その結果、検出回路50は、
図5に示すようにカンチレバー3の撓み量(変位量)に応じて増大した出力信号を出力する。
【0055】
さらに、外気圧Poutの上昇以降、ギャップ12を介してキャビティ10の外部から内部へと圧力伝達媒体が流動するので、
図5に示すように、内気圧Pinが時間の経過とともに外気圧Poutよりも遅れながら、且つ外気圧Poutの変動よりも緩やかな応答で上昇する。
これにより、内気圧Pinが外気圧Poutに徐々に近づくので、キャビティ10の外部と内部との圧力が均衡状態になりはじめ、カンチレバー3の撓みが徐々に小さくなり、検出回路50は、
図5に示すように徐々に低下する出力信号を出力する。
【0056】
そして、内気圧Pinが外気圧Poutに等しくなると、
図6(C)に示すように、カンチレバー3の撓み変形が解消されて元の状態に復帰し、検出回路50は、
図5に示す時刻t2以降の期間Cのように出力信号に再び所定値(例えば、0V)を出力する。
【0057】
このように、変位検出部4により、カンチレバー3の変位に基づいた出力信号の変動をモニタすることで、圧力変動を検出することができる。特に、SOI基板5のシリコン活性層5cを利用して半導体プロセス技術によりカンチレバー3を形成できるので、従来の圧電素子に比べて薄型化(例えば数十〜数百nm)し易い。従って、微小な圧力変動の検出を精度良く行うことができる。
【0058】
以上説明したように、本実施形態による圧力センサ1は、中空のセンサ本体2と、カンチレバー3と、変位検出部4とを備えている。中空のセンサ本体2は、内部にキャビティ10が形成され、キャビティ10の内部と外部とを連通する連通開口11を有する。カンチレバー3は、レバー本体20と、レバー本体20とセンサ本体2とを接続するとともにレバー本体20を片持ち状態で支持する複数のレバー支持部21(21A、21B)とを有し、連通開口11を覆うように配置され、且つキャビティ10とセンサ本体2の外部との圧力差に応じて撓み変形する。変位検出部4は、レバー抵抗部31(第1レバー抵抗部)及びレバー抵抗部32(第2レバー抵抗部)と、本体抵抗部33とを有している。レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32は、ホイートストンブリッジ回路の互いに対向する抵抗を構成するようにレバー支持部21(21A、21B)に形成されている。また、本体抵抗部33は、レバー本体20に形成された抵抗部であって、ホイートストンブリッジ回路においてレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の間に接続されている。そして、変位検出部4は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値変化に基づいて、カンチレバー3の変位を検出する。
【0059】
これにより、本実施形態による圧力センサ1は、カンチレバー3が、圧力の変化に応じて、2つのレバー支持部21A、21Bを中心に撓み変形するので、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値(R1、R3)が、カンチレバー3の撓み量(変形量)に応じて変化する。レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32は、ホイートストンブリッジ回路を構成する互いに対向する抵抗であるため、カンチレバー3の撓み量(変形量)に応じて、この両方の抵抗値(R1、R3)がホイートストンブリッジ回路の電位差がより大きくなる方向に変化する。そのため、本実施形態による圧力センサ1は、センサ感度を向上でき、圧力変動を感度良く検出することができる。その結果、本実施形態による圧力センサ1は、例えば、1Hz以下の低周波帯域の圧力変動であっても感度良く検出することができ、検出できる下限周波数を下げることができる。
また、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33とが、カンチレバー3及びレバー本体20に形成されているため、本実施形態による圧力センサ1は、外部からの電磁ノイズ(例えば、コモンノイズ)や温度変化の影響を抑制することができる。
よって、本実施形態による圧力センサ1は、外部からの電磁ノイズや温度変化の影響を抑制しつつ、圧力変動を感度良く検出することができる。
【0060】
また、本実施形態では、変位検出部4は、検出電極35A(第1電極)と、検出電極35B(第2電極)と、検出電極35C(第3電極)と、検出電極35D(第4電極)とを有している。ここで、検出電極35Aは、レバー抵抗部31におけるカンチレバー3の先端側の第1端に接続され、検出電極35Bは、レバー抵抗部32におけるカンチレバー3の先端側の第1端に接続されている。検出電極35Cは、レバー抵抗部31におけるカンチレバー3の基端側の第2端に接続され、検出電極35Dは、レバー抵抗部32におけるカンチレバー3の基端側の第2端に接続されている。また、本体抵抗部33は、検出電極35Aと検出電極35Bとの間に接続されている。
【0061】
これにより、本実施形態による圧力センサ1は、カンチレバー3及びレバー本体20に形成されている各抵抗(レバー抵抗部31、レバー抵抗部32、及び本体抵抗部33)の端部に、検出電極35A、検出電極35B、検出電極35C、及び検出電極35Dにより、検出用の信号線を接続することができる。よって、本実施形態による圧力センサ1は、ホイートストンブリッジ回路(少なくとも3つの抵抗部)を内部に形成することができるとともに、当該ホイートストンブリッジ回路により簡易な検出回路により、圧力変動を感度良く検出することができる。
【0062】
また、本実施形態では、変位検出部4は、カンチレバー3の基端部3bに形成され、検出電極35Cと検出電極35Dとの間に接続されている基端抵抗部34を有している。
これにより、本実施形態による圧力センサ1は、ホイートストンブリッジ回路を構成する全ての抵抗部を内部に形成することができるので、さらに簡易な検出回路により、圧力変動を感度良く検出することができる。また、本実施形態による圧力センサ1は、外部からの電磁ノイズや温度変化の影響をさらに抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、変位検出部4は、区画溝41(第1区画部)と、区画溝42(第2区画部)とを有している。区画溝41は、レバー支持部21Aを含む部分に形成され、検出電極35Aと検出電極35Cとを電気的に切り離す。区画溝42は、レバー支持部21Bを含む部分に形成され、検出電極35Bと検出電極35Dとを電気的に切り離す。
これにより、本実施形態による圧力センサ1は、レバー支持部21を利用して、レバー抵抗部(31、32)の両端に接続された検出電極35をカンチレバー3の基端部3b側に引き出すことができる。よって、本実施形態による圧力センサ1は、内部に構成したホイートストンブリッジ回路と検出回路50とを容易に接続することができる。
【0064】
なお、本実施形態による圧力センサ1は、上記の作用効果を奏功できるため、以下の各種用途に適用することができる。
本実施形態による圧力センサ1は、例えば、自動車用ナビゲーション装置に適用することが可能である。この場合、例えば、圧力センサ1を利用して高低差に基づく気圧差を検出できるので、高架道路と高架下道路とを正確に判別してナビゲーション結果に反映させることができる。
また、本実施形態による圧力センサ1は、携帯用ナビゲーション装置に適用することも可能である。この場合、例えば、圧力センサ1を利用して高低差に基づく気圧差を検出できるので、ユーザが建物内の何階に位置しているのかを正確に判別してナビゲーション結果に反映させることができる。
【0065】
さらには、本実施形態による圧力センサ1は、室内の気圧変化を検出することが可能であるので、例えば建物や自動車の防犯装置に適用することも可能である。特に、本実施形態による圧力センサ1は、1Hz以下の周波数帯域の圧力変動であっても感度良く検出することができるので、ドアや引き戸の開閉等に基づく圧力変動であっても検出することが可能であり、防犯装置等の適用に好適である。
【0066】
また、本実施形態によれば、圧力センサ1は、中空のセンサ本体2と、カンチレバー3と、変位検出部4とを備えている。変位検出部4は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、検出電極35Aと、検出電極35Bと、検出電極35Cと、検出電極35Dとを有している。ここで、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32は、レバー支持部21に形成され、検出電極35Aは、レバー抵抗部31におけるカンチレバー3の先端側の第1端に接続され、検出電極35Bは、レバー抵抗部32におけるカンチレバー3の先端側の第1端に接続されている。検出電極35Cは、レバー抵抗部31におけるカンチレバー3の基端側の第2端に接続され、検出電極35Dは、レバー抵抗部32におけるカンチレバー3の基端側の第2端に接続されている。そして、変位検出部4は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値変化に基づいて、カンチレバー3の変位を検出する。
【0067】
これにより、本実施形態による圧力センサ1は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の両端に信号線を接続することが可能になるため、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32を利用して容易にホイートストンブリッジ回路を構成することができる。また、本実施形態による圧力センサ1は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32を利用したホイートストンブリッジ回路を構成することにより、センサ感度を向上でき、圧力変動を感度良く検出することができる。
また、ホイートストンブリッジ回路を構成するレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32が、カンチレバー3及びレバー本体20に形成されているため、本実施形態による圧力センサ1は、外部からの電磁ノイズ(例えば、コモンノイズ)や温度変化の影響を抑制することができる。
よって、本実施形態による圧力センサ1は、外部からの電磁ノイズや温度変化の影響を抑制しつつ、圧力変動を感度良く検出することができる。
【0068】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態による圧力センサ1aの一例を示す平面図である。また、
図8は、
図7に示すA−A線に沿った圧力センサ1aの断面図である。
本実施形態では、圧力センサ1aは、区画溝44と、導電パターン36とを備え、当該区画溝44と、当該導電パターン36とにより、基端抵抗部34aの抵抗値を調整するようにした点が、上述した第1の実施形態と異なる。
【0069】
図7及び
図8に示すように、圧力センサ1aは、変位検出部4aを備え、変位検出部4aは、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34aと、検出電極35A〜35Dとを備えている。
なお、
図7及び
図8において、
図1〜
図3に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
基端抵抗部34aは、カンチレバー3の基端部3bに形成され、レバー本体20の撓み量に応じて抵抗値がほとんど変化しないピエゾ抵抗30である。基端抵抗部34aは、検出電極35Cと検出電極35Dとの間に接続されている。また、基端抵抗部34aは、区画溝44及び導電パターン36を有している。
【0071】
区画溝44は、カンチレバー3の基端部3bに長手方向L1に沿って延びた直線状に形成された溝であり、基端抵抗部34aの抵抗値を増大させるための調整が可能な抵抗増大部として機能する。区画溝44は、上述した区画溝41〜43と同様に、絶縁層5bに達する深さとされている。但し、この場合に限られるものではなく、例えばカンチレバー3を厚さ方向に貫通してもよい。
なお、区画溝44は、例えば、レーザートリミング装置や溝の微細加工可能なFIB(focused Ion Beam:集束イオンビーム)装置を利用して溝の長さを調整するようにしてもよい。
【0072】
導電パターン36は、カンチレバー3の基端部3bに長手方向L1に沿って延びた直線状に形成されたピエゾ抵抗30よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えば、Au等)である。導電パターン36は、基端抵抗部34aの抵抗値を低減させるための調整が可能な抵抗低減部として機能する。なお、本実施形態に示す例では、
図8に示すように、導電パターン36は、ピエゾ抵抗30の上に形成されている。
また、導電パターン36は、例えば、レーザートリミング装置や導電性材料のパターンの微細加工可能なFIB装置を利用してパターンの長さを調整するようにしてもよい。
【0073】
次に、
図9を参照して本実施形態の検出回路50の構成例について説明する。
図9は、本実施形態における各抵抗及び検出回路50の一例を示す構成図である。
この図に示すように、変位検出部4aが有するレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34aとが、ホイートストンブリッジ回路を形成している。
なお、この図において、
図4に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
本実施形態では、基端抵抗部34aが、上述した区画溝44と導電パターン36とにより、可変抵抗として機能する。すなわち、区画溝44と導電パターン36とにより基端抵抗部34aの抵抗値R2を調整することにより、カンチレバー3の撓み変形のない場合に、レバー抵抗部31の抵抗値R1と基端抵抗部34aの抵抗値R2との抵抗比が、本体抵抗部33の抵抗値R4とレバー抵抗部32の抵抗値R3との抵抗比と等しくなるように調整することができる。なお、本実施形態では、一例として、基端抵抗部34aが、区画溝44と導電パターン36との両方を備える例を説明したが、いずれか一方を備える構成としてもよい。
【0075】
以上説明したように、本実施形態による圧力センサ1aは、変位検出部4aを備えている。また、変位検出部4aには、基端抵抗部34aの抵抗値を増大させるための調整が可能な区画溝44(抵抗増大部)が形成されている。
これにより、本実施形態による圧力センサ1aは、基端抵抗部34aの抵抗値を増大させて調整することが可能になり、ホイートストンブリッジ回路を正確な抵抗比により構成することができる。そのため、本実施形態による圧力センサ1aは、圧力変動を正確に測定することができる。
【0076】
また、本実施形態では、変位検出部4aには、基端抵抗部34aの抵抗値を低減させるための調整が可能な導電パターン36(抵抗低減部)が形成されている。
これにより、本実施形態による圧力センサ1aは、基端抵抗部34aの抵抗値を低減させて調整することが可能になり、ホイートストンブリッジ回路をより正確な抵抗比により構成することができる。そのため、本実施形態による圧力センサ1aは、圧力変動を正確に測定することができる。
【0077】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について図面を参照して説明する。
図10は、本実施形態による圧力センサ1bの一例を示す平面図である。また、
図11は、
図10に示すA−A線に沿った圧力センサ1bの断面図である。
本実施形態では、圧力センサ1bは、区画溝44aと、導電パターン36aとを備え、当該区画溝44aと、当該導電パターン36aとにより、本体抵抗部33aの抵抗値を調整するようにした点が、上述した第1の実施形態と異なる。
【0078】
図10及び
図11に示すように、圧力センサ1bは、変位検出部4bを備え、変位検出部4bは、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33aと、基端抵抗部34と、検出電極35A〜35Dとを備えている。
なお、
図10及び
図11において、
図1〜
図3に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
本体抵抗部33aは、レバー本体20に形成され、レバー本体20の撓み量に応じてほとんど抵抗値が変化しないピエゾ抵抗30である。本体抵抗部33aは、検出電極35Aと検出電極35Bとの間に接続されている。また、本体抵抗部33aは、区画溝44a及び導電パターン36aを有している。
【0080】
区画溝44aは、カンチレバー3の先端部3aに長手方向L1に沿って延びた直線状に形成された溝であり、本体抵抗部33aの抵抗値を増大させるための調整が可能な抵抗増大部として機能する。区画溝44aは、上述した区画溝41〜43と同様に、絶縁層5bに達する深さとされている。但し、この場合に限られるものではなく、例えばカンチレバー3を厚さ方向に貫通してもよい。
なお、区画溝44aは、例えば、レーザートリミング装置や溝の微細加工可能なFIB装置を利用して溝の長さを調整するようにしてもよい。
【0081】
導電パターン36aは、カンチレバー3の先端部3aに長手方向L1に沿って延びた直線状に形成されたピエゾ抵抗30よりも電気抵抗率が小さい導電性材料(例えば、Au等)である。導電パターン36aは、本体抵抗部33aの抵抗値を低減させるための調整が可能な抵抗低減部として機能する。なお、本実施形態に示す例では、
図11に示すように、導電パターン36aは、ピエゾ抵抗30の上に形成されている。
また、導電パターン36aは、例えば、レーザートリミング装置や導電性材料のパターンの微細加工可能なFIB装置を利用してパターンの長さを調整するようにしてもよい。
【0082】
次に、
図12を参照して本実施形態の検出回路50の構成例について説明する。
図12は、本実施形態における各抵抗及び検出回路50の一例を示す構成図である。
この図に示すように、変位検出部4bが有するレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33aと、基端抵抗部34とが、ホイートストンブリッジ回路を形成している。
なお、この図において、
図4に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
本実施形態では、本体抵抗部33aが、上述した区画溝44aと導電パターン36aとにより、可変抵抗として機能する。すなわち、区画溝44aと導電パターン36aとにより本体抵抗部33aの抵抗値R4を調整することにより、カンチレバー3の撓み変形のない場合に、レバー抵抗部31の抵抗値R1と基端抵抗部34の抵抗値R2との抵抗比が、本体抵抗部33aの抵抗値R4とレバー抵抗部32の抵抗値R3との抵抗比と等しくなるように調整することができる。なお、本実施形態では、一例として、本体抵抗部33aが、区画溝44aと導電パターン36aとの両方を備える例を説明したが、いずれか一方を備える構成としてもよい。
【0084】
以上説明したように、本実施形態による圧力センサ1bは、変位検出部4bを備えている。また、変位検出部4bには、本体抵抗部33aの抵抗値を増大させるための調整が可能な区画溝44a(抵抗増大部)が形成されている。
これにより、本実施形態による圧力センサ1bは、本体抵抗部33aの抵抗値を増大させて調整することが可能になり、ホイートストンブリッジ回路を正確な抵抗比により構成することができる。そのため、本実施形態による圧力センサ1bは、圧力変動を正確に測定することができる。
【0085】
また、本実施形態では、変位検出部4bには、本体抵抗部33aの抵抗値を低減させるための調整が可能な導電パターン36a(抵抗低減部)が形成されている。
これにより、本実施形態による圧力センサ1bは、本体抵抗部33aの抵抗値を低減させて調整することが可能になり、ホイートストンブリッジ回路をより正確な抵抗比により構成することができる。そのため、本実施形態による圧力センサ1bは、圧力変動を正確に測定することができる。
【0086】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態について図面を参照して説明する。
図13は、本実施形態による圧力センサ1cの一例を示す平面図である。
本実施形態では、圧力センサ1cは、検出電極35Eを備え、ホイートストンブリッジ回路の抵抗比を外付け抵抗により調整するようにした点が、上述した第1の実施形態と異なる。
【0087】
図13に示すように、圧力センサ1cは、変位検出部4cを備え、変位検出部4cは、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34と、検出電極35A〜35Eとを備えている。また、
図13に示すように、圧力センサ1cには、区画溝41〜43が形成されており、検出電極35は、電極溝40、区画溝41〜43a、及び、区画溝44により検出電極35A〜35Eの各電極に分離されている。
なお、
図13において、
図1に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0088】
区画溝44(第4区画部)は、補助ギャップ22のレバー支持部21A側端部から、長手方向L1に沿って延びた直線状に形成され、検出電極35を短手方向L2に分断するようにセンサ本体2の側方まで達するように形成されている。すなわち、区画溝44は、カンチレバー3の基端部3bに形成され、検出電極35Cと検出電極35Eとを電気的に切り離す。
【0089】
区画溝43a(第3区画部)は、カンチレバー3の基端部3bにおいて短手方向L2に直線状に延びるとともに、当該区画溝43における短手方向L2のレバー支持部21A側端部から、長手方向L1に沿って延びた直線状に形成されている。また、区画溝43aは、検出電極35を短手方向L2に分断するようにセンサ本体2の側方まで達するように形成されている。すなわち、区画溝43aは、カンチレバー3の基端部3bに形成され、検出電極35Dと検出電極35E(第5電極)とを電気的に切り離す。
【0090】
このように、検出電極35E(第5電極)は、検出電極35Cと電気的に切り離されている。
なお、本実施形態における基端抵抗部34は、カンチレバー3の基端部3bに形成され、検出電極35Dと、検出電極35Eとの間に接続されている。すなわち、基端抵抗部34は、レバー支持部21B側の第1端が検出電極35Dに接続され、レバー支持部21A側の第2端が検出電極35Eに接続されている。
【0091】
また、上述したレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34とは、ホイートストンブリッジ回路を形成しており、検出電極35A〜35Eの各電極は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値変化に基づいてカンチレバー3の変位を検出する検出回路50aに接続されている。
【0092】
次に、
図14を参照して本実施形態の検出回路50aの構成例について説明する。
図14は、本実施形態における各抵抗及び検出回路50aの一例を示す構成図である。
この図に示すように、変位検出部4cが有するレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34と、調整抵抗53とが、ホイートストンブリッジ回路を形成している。
なお、この図において、
図4に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0093】
また、
図14に示すように、検出回路50aは、基準電圧発生回路51と、差動増幅回路52と、調整抵抗53とを備えている。
調整抵抗53は、上述したホイートストンブリッジ回路の抵抗比を調整する外付け抵抗である。調整抵抗53は、検出電極35Cと、検出電極35Eとの間に接続されている。
この場合、調整抵抗53の抵抗値R5を調整することにより、カンチレバー3の撓み変形のない場合に、抵抗値R1と(抵抗値R2+抵抗値R5)との抵抗比が、抵抗値R4と抵抗値R3との抵抗比と等しくなるように調整することができる。
【0094】
以上説明したように、本実施形態による圧力センサ1cは、変位検出部4cを備えている。変位検出部4cは、カンチレバー3の基端部3bに形成され、検出電極35Dと、検出電極35Cと電気的に切り離された検出電極35E(第5電極)との間に接続されている基端抵抗部34を有する。
これにより、本実施形態による圧力センサ1cは、例えば、外付け抵抗(調整抵抗53)により、ホイートストンブリッジ回路を正確な抵抗比により構成することができる。そのため、本実施形態による圧力センサ1cは、圧力変動をより正確に測定することができる。
【0095】
[第5の実施形態]
次に、第5の実施形態について図面を参照して説明する。
図15は、本実施形態による圧力センサ1dの一例を示す平面図である。
本実施形態では、圧力センサ1dは、上述した第4の実施形態と同様に、検出電極35Eを備え、ホイートストンブリッジ回路の抵抗比を外付け抵抗により調整するようにする一例であり、上述した第4の実施形態とは別の一例である。
【0096】
図15に示すように、圧力センサ1dは、変位検出部4dを備え、変位検出部4dは、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34bと、検出電極35A〜35Eとを備えている。また、
図15に示すように、圧力センサ1dには、区画溝41、区画溝42、及び区画溝44〜46が形成されており、検出電極35は、電極溝40、区画溝41、区画溝42、及び区画溝44〜46により検出電極35A〜35Eの各電極に分離されている。
なお、
図15において、
図1及び
図13に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
基端抵抗部34bは、カンチレバー3の基端部3bに形成され、レバー本体20の撓み量に応じてほとんど抵抗値が変化しないピエゾ抵抗30である。基端抵抗部34bは、
例えば、カンチレバー3のレバー支持部21Bにおける基端部3bから短手方向L2にカンチレバー3の外に向かって延びた直線状に形成され、検出電極35Cと検出電極35E(第5電極)との間に接続されている。ここで、検出電極35E(第5電極)は、第4の実施形態と同様に、検出電極35Cと電気的に切り離されている。
【0098】
区画溝45(第5区画部)は、ギャップ12のレバー支持部21B側端部から、短手方向L2に沿って延びた直線状に形成され、検出電極35に達するように形成されている。
【0099】
区画溝46(第6区画部)は、区画溝45と平行に延びた直線状に形成されるとともに、当該区画溝43における短手方向L2のレバー支持部21B側端部から、長手方向L1に沿って延びた直線状に形成されている。すなわち、区画溝46は、検出電極35Dと検出電極35E(第5電極)とを電気的に切り離す。
【0100】
なお、基端抵抗部34bは、レバー支持部21B側の第1端が検出電極35Dに接続され、センサ本体2の側方側の第2端が検出電極35Eに接続されている。
また、上述したレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34bとは、ホイートストンブリッジ回路を形成しており、検出電極35A〜35Eの各電極は、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32の抵抗値変化に基づいてカンチレバー3の変位を検出する検出回路50aに接続されている。
【0101】
次に、
図16を参照して本実施形態の検出回路50aの構成例について説明する。
図16は、本実施形態における各抵抗及び検出回路50aの一例を示す構成図である。
この図に示すように、変位検出部4dが有するレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33と、基端抵抗部34bと、調整抵抗53とが、ホイートストンブリッジ回路を形成している。
なお、この図において、
図14に示す構成と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0102】
また、
図16に示すように、検出回路50aは、基準電圧発生回路51と、差動増幅回路52と、調整抵抗53とを備えている。
本実施形態における調整抵抗53は、上述したホイートストンブリッジ回路の抵抗比を調整する外付け抵抗である。調整抵抗53は、検出電極35Cと、検出電極35Eとの間に接続されている。
この場合、調整抵抗53の抵抗値R5を調整することにより、カンチレバー3の撓み変形のない場合に、抵抗値R1と(基端抵抗部34bの抵抗値R2+抵抗値R5)との抵抗比が、抵抗値R4と抵抗値R3との抵抗比と等しくなるように調整することができる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態による圧力センサ1dは、変位検出部4dを備えている。変位検出部4dは、カンチレバー3の基端部3bに形成され、検出電極35Dと、検出電極35Cと電気的に切り離された検出電極35E(第5電極)との間に接続されている基端抵抗部34bを有する。
これにより、本実施形態による圧力センサ1dは、例えば、外付け抵抗(調整抵抗53)により、ホイートストンブリッジ回路を正確な抵抗比により構成することができる。そのため、本実施形態による圧力センサ1dは、圧力変動をより正確に測定することができる。
【0104】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態は、それぞれ単独で実施する例を説明したが、上記の各実施形態を複数組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0105】
例えば、上記の第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせて実施してもよい。すなわち、本体抵抗部33と基端抵抗部34とのうちの少なくとも一方の抵抗値を増大させるための調整が可能な抵抗増大部(区画溝44又は区画溝44a)が形成されるようにしてもよい。これにより、圧力センサ1a(1b)は、本体抵抗部33a又は基端抵抗部34aの抵抗値を増大させて調整することが可能になり、ホイートストンブリッジ回路を正確な抵抗比により構成することができる。そのため、圧力センサ1a(1b)は、圧力変動を正確に測定することができる。
【0106】
また、本体抵抗部33と基端抵抗部34とのうちの少なくとも一方の抵抗値を増大させるための調整が可能な抵抗低減部(導電パターン36又は導電パターン36a)が形成されるようにしてもよい。これにより、圧力センサ1a(1b)は、本体抵抗部33a又は基端抵抗部34aの抵抗値を低減させて調整することが可能になり、ホイートストンブリッジ回路を正確な抵抗比により構成することができる。そのため、圧力センサ1a(1b)は、圧力変動を正確に測定することができる。
【0107】
また、例えば、上記の第2の実施形態又は第3の実施形態と、第4の実施形態又は第5の実施形態とを組み合わせて実施してもよい。
また、上記の各実施形態において、2つのレバー支持部21A、21Bを有するカンチレバー3を例に挙げて説明したが、レバー支持部21A、21Bの数は2つに限定されるものではなく、さらに複数(例えば4つや6つ等)備えていてもよい。
【0108】
また、上記の各実施形態において、検出電極35は、導電性材料としてAu(金)を使用する例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、Al(アルミニウム)、Cu(銅)などの他の導電性材料を使用してもよい。
また、上記の各実施形態において、圧力センサ1(1a〜1d)は、ホイートストンブリッジ回路の4つの抵抗(レバー抵抗部31、レバー抵抗部32、本体抵抗部33(33a)、及び基端抵抗部34(34a、34b))を備える例を説明したが、少なくともレバー抵抗部31及びレバー抵抗部32を備え、本体抵抗部33(33a)と、基端抵抗部34(34a、34b)とのいずれか一方又は両方を備えない構成であってもよい。
【0109】
また、上記の各実施形態において、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33(33a)と、基端抵抗部34(34a、34b)とは、シリコン活性層5cの全面に亘って形成されたピエゾ抵抗30により構成する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、レバー抵抗部31及びレバー抵抗部32と、本体抵抗部33(33a)と、基端抵抗部34(34a、34b)との一部又は全部を、所定の形状パターンにより形成されたシリコン活性層5cによって構成してもよい。また、シリコン活性層5cを抵抗ごとに、調整するようにしてもよい。また、本体抵抗部33(33a)又は基端抵抗部34(34a、34b)を、例えば、ポリシリコンなどの他の構成部材により形成するようにしてもよい。
【0110】
また、上記の第2の実施形態又は第3の実施形態において、抵抗増大部は、区画溝により形成する例を説明したが、これに限定されるものではなく、抵抗値を増大させる構成であれば、他の構成であってもよい。例えば、抵抗増大部は、不純物をドーピングしない非ドープ部により形成してもよい。
また、上記の第2の実施形態又は第3の実施形態において、抵抗低減部は、Auを使用した導電パターンにより形成する例を説明したが、これに限定されるものではなく、抵抗値を低減させる構成であれば、他の導電性材料(例えば、FIB装置で金属薄膜形成可能なタングステンなど)を使用してもよい。
【0111】
また、検出回路50(50a)は、上記の各実施形態において説明した構成に限定されるものではなく、他の構成の検出回路であってもよい。また、各検出電極35との接続も、上記の各実施形態において説明した接続に限定されるものではなく、他の接続であってもよい。例えば、検出電極35B又は検出電極35Cを基準電圧Vrefの信号線に接続し、検出電極35Aと検出電極35Dとを差動増幅回路52に接続するようにしてもよいし、他の接続であってもよい。