(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ターゲット材料液滴の供給源と、EUV放射線を生成するプラズマを形成するために照射領域で前記液滴を照射するビームを生成するレーザと、を含むプラズマ発生システムを備える装置であって、
前記液滴供給源は、オリフィスを出る流体と、前記液滴が前記照射領域に進む時に少なくとも一部の隣接液滴間の間隔を低減させる異なる初速を有する液滴を発生させる外乱を前記流体に生成する電気起動可能な要素を有するサブシステムと、を含み、
前記サブシステムは、一連のパルス外乱を生成し、
各パルス外乱の波形は、前記電気起動可能な要素の作動可能な応答範囲の基本周波数と前記基本周波数の少なくとも1つの高調波とが発生するように、前記波形の周期の長さと比較すると十分に短い立上り時間及び十分に短い立下り時間のうちの少なくとも一方を有し、
前記基本周波数は、0.3v/πd未満であり、vは前記液滴の流れ速度であり、dは前記液滴の直径である、装置。
【背景技術】
【0004】
EUV光(EUV)、例えば、約50nm又はそれ未満の波長を有し、かつ約13nmの波長での光を含む電磁放射線(軟X線とも呼ばれることもある)を使用して基板、例えば、シリコンウェーハ内で極めて小さな特徴部を生成することができる。
【0005】
EUV光を生成する方法には、1つ又はそれよりも多くの輝線がEUV範囲にある少なくとも1つの元素、例えば、キセノン、リチウム、又は錫を有する材料をプラズマ状態に変換することがあるが必ずしもこれに限定されるわけではない。レーザ生成プラズマ(LPP)という1つのこのような方法において、所要の線放出元素を有するターゲット材料にレーザビームを照射することによって所要のプラズマを発生させることができる。
【0006】
1つの特定のLPP技術は、1つ又はそれよりも多くのプレパルス、次に、主パルスでターゲット材料液滴を照射することを伴っている。この点に関して、CO
2レーザは、LPP処理で「主」パルスを生成する駆動レーザとしての特定の利点を有することができる。これは、特に、溶融錫液滴のような特定のターゲット材料に対して当て嵌まると考えられる。例えば、1つの利点は、比較的高い変換効率、例えば、出力EUV帯域内電力対駆動レーザ入力電力の比を生成する機能を含むことができる。
【0007】
より理論的には、LPP光源は、キセノン(Xe)、錫(Sn)、又はリチウム(Li)のような光源元素にレーザエネルギを堆積させることにより、EUV放射線を生成し、数10のeVの電子温度を有する高度にイオン化されたプラズマが生成される。これらのイオンの脱励起及び再結合中に生成されたエネルギ放射線は、全方向にプラズマから出射される。1つの一般的な構成において、近垂直入射ミラー(「コレクターミラー」と呼ぶことが多い)は、中間位置、例えば、焦点に光を集め、すなわち、そこに誘導する(かつ一部の配置において集束する)ようにプラズマから隔てて位置決めされる。集光光は、次に、中間位置から1組のスキャナ光学要素に、最終的にはウェーハに中継することができる。より定量的には、中間位置で約100Wを生成することを目的として現在開発中である1つの構成では、順次約40,000〜100,000個の錫液滴を照射するように液滴発生器と同期化されたパルス集束10〜12kWCO
2駆動レーザの使用が考えられている。この目的のために、比較的高い繰返し数(例えば、40〜100kHz又はそれよりも高い)で液滴の安定した流れを生成し、比較的より長い周期にわたってタイミング及び位置に関して高精度及びより優れた反復性で(すなわち、非常に小さい「ジッタ」で)照射部位に液滴を送出する必要性が存在する。
【0008】
典型的なLPP構成に対して、ターゲット材料液滴が生成され、次に、真空チャンバ内で照射部位に移動し、ターゲット材料液滴は、例えば、集光レーザビームが照射される。EUV放射線を生成することに加えて、これらのプラズマ処理でも、様々なプラズマチャンバ光学要素の作動効率を潜在的に損なうか又は低減する可能性がある望ましくない副産物(例えば、デブリ)がプラズマチャンバ内で一般的に生成される。このデブリは、プラズマ形成による高エネルギイオン及び散乱デブリ、例えば、原材料の原子及び/又は塊/微細液滴を含むことができる。こういう理由から、原材料のいわゆる「質量制限」液滴を使用してデブリの形成を低減又は排除することが望ましいことが多い。「質量制限」液滴の使用により、結果として、原材料消費量の低減になる場合もある。質量制限液滴をもたらす技術では、原材料を希釈し及び/又は比較的小さい液滴を用いることができる。例えば、僅か10〜50μmの液滴の使用が現在考えられている。
【0009】
真空チャンバ内の光学要素に及ぼす影響に加えて、プラズマ副産物は、照射部位に接近する液滴(すなわち、液滴流内の次の液滴)に悪影響を与える恐れもある。一部の場合には、液滴とプラズマ副産物の相互作用により、これらの液滴に対してEUV出力低下をもたらす可能性がある。この点に関して、2005年2月15日にShieldsに付与された「高パルス繰返し数レーザプラズマ極紫外光源のための液滴ターゲット送出方法」という名称の米国特許第6,855,943号明細書(以下、’943特許と呼ぶ)では、液滴流中の液滴の一部のみ、例えば、2つ置きの液滴を照射してパルス極紫外線出力を生成する手法が開示されている。’943特許で開示されているように、非関与液滴(いわゆるバッファ液滴)は、有利な態様では、照射部位で生成されたプラズマの影響から次の関与液滴を保護する。しかし、バッファ液滴の使用により、原材料消費量及び/又は真空チャンバ汚染が増大する場合があり、及び/又はバッファ液滴を使用なしで必要なものよりも遥かに高い(例えば、2倍又はそれよりも高い)周波数での液滴生成が必要である場合がある。他方、液滴間の間隔を増大させることができる場合に、バッファ液滴の使用を低減又は排除することができる。従って、液滴サイズ、間隔、及びタイミング一貫性(すなわち、ジッタ)は、とりわけ、LPP−EUV光源のための液滴発生器を設計にする時に考慮すべきファクタである。
【0010】
液滴を発生させる1つの技術は、ターゲット材料、例えば、錫を溶融し、次に、高い圧力を掛けて比較的小径、例えば、0.5〜30μmのオリフィスに強制的に通過させることを伴っている。殆どの条件下で、オリフィスを出る流れに自然に発生する不安定な性質、例えば、ノイズが原因となって、流れを液滴に分解させることができる。液滴をLPP駆動レーザの光パルスと同期させるために、不規則ノイズの振幅を超える振幅による反復的な外乱を連続的な流れに印加することができる。パルスレーザの繰返し数と同じ周波数(又はより高い高調波)で外乱を印加することにより、液滴をレーザパルスと同期させることができる。従来的に、外乱は、正弦波形又はその均等物のような単一の周波数の波形で電気起動可能な要素(圧電材料のような)を駆動することによって流れに印加される。
【0011】
本明細書で使用する時に「電気起動可能な要素」という用語及びその派生語は、電圧、電場、磁場、又はその組合せを受けた時に寸法変化が発生する材料又は構造体を意味し、圧電材料、電歪材料、及び磁気歪材料を含むがこれらに限定されない。
【0012】
一般的に、正弦波形のような単一周波数の非変調波形外乱の印加に対して、外乱周波数が減少する時に液滴間の間隔は増加する(すなわち、圧力及びオリフィス径のような他のファクタが一定に保持して)。しかし、「変調された電気信号により駆動される振動オリフィス発生器からの液滴形成(Drop Formation From A Vibrating Orifice Generator Driven By Modulated Electrical Signals)」(G.Brenn及びU.Lackermeier、流体物理学9、3658(1997)、内容が引用により本明細書に組み込まれている)に開示されているように、約0.3ν/(πd)未満の外乱周波数に対しては、1つよりも多い液滴を外乱周期毎に生成させることができ、ここで、νは流れ速度であり、dは連続液体流れの直径である。従って、約50m/sの流れ速度での10μm噴流に対して、それを下回ると周期当たり1つよりも多い液滴を発生させることができる計算された最小値周波数は、約480kHzである(注:40〜100kHzの液滴繰返し数及び30〜100m/sの速度がLPP−EUV処理に対して望ましいと考えられることが現在想定されている)。最終結果として、単一の周波数、非変調波形外乱の印加に対して、液滴間の間隔は基本的に限定され、約3.33πdを超えることができない。上述のように、接近中の液滴に及ぼすプラズマからのデブリの影響を低減/排除するために液滴流れの隣接液滴間に十分な距離を供給することが望ましい場合がある。更に、間隔に関する制限は、流れ直径、及びその結果として液滴サイズに比例するので、この制限は、比較的小さく質量制限された液滴が望ましい(上述の内容を参照されたい)LPP−EUV光源のような用途においては特に厳しいものになる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許出願番号第11/358,988号明細書
【特許文献2】米国特許出願番号第11/067,124号明細書
【特許文献3】米国特許出願番号第11/174,443号明細書
【特許文献4】米国特許出願番号第11/358,992号明細書
【特許文献5】米国特許出願番号第11/174,299号明細書
【特許文献6】米国特許出願番号第11/406,216号明細書
【特許文献7】米国特許出願番号第11/580,414号明細書
【特許文献8】米国特許出願番号第11/644,153号明細書
【特許文献9】米国特許出願番号第11/505,177号明細書
【特許文献10】米国特許出願番号第11/452,558号明細書
【特許文献11】米国特許第6,928,093号明細書
【特許文献12】米国特許出願番号第11/394,512号明細書
【特許文献13】米国特許出願番号第11/138,001号明細書
【特許文献14】米国特許第6,693,939号明細書
【特許文献15】米国特許出願番号第10/141,216号明細書
【特許文献16】米国特許第6,625,191号明細書
【特許文献17】米国特許出願番号第10/012002号明細書
【特許文献18】米国特許第6,549,551号明細書
【特許文献19】米国特許出願番号第09/848043号明細書
【特許文献20】米国特許第6,567,450号明細書
【特許文献21】米国特許出願番号第09/943343号明細書
【特許文献22】米国特許出願番号第11/509,925号明細書
【特許文献23】米国特許第6,855,943号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】「変調された電気信号により駆動される振動オリフィス発生器からの液滴形成(Drop Formation From A Vibrating Orifice Generator Driven By Modulated Electrical Signals)」、G.Brenn及びU.Lackermeier、流体物理学9、3658(1997)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記を念頭に置いて、本出願人は、変調外乱波形を用いて生成した液滴流を有するレーザ生成プラズマEUV光源及び対応する使用方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様では、装置は、ターゲット材料液滴の供給源と照射領域で液滴を照射するビームを生成するレーザとを含むプラズマ発生システムを含むことができ、プラズマは、EUV放射線を生成し、液滴供給源は、オリフィスを出る流体と、液滴が照射領域に進む時に少なくとも一部の隣接液滴間の間隔を低減させる異なる初速を有する液滴を発生させる外乱を流体内に生成するサブシステムとを含む。
【0017】
特定的な実施では、少なくとも一部の隣接液滴は、照射領域に到達する前に合体することができる。
【0018】
一実施形態では、サブシステムは、液滴パターンを発生させることができ、液滴ダブレットは、照射部位に到達し、液滴ダブレット内の各液滴は、プラズマを生成するために照射される。
【0019】
1つの特定的な実施形態では、液滴ダブレット内の少なくとも1つの液滴は、直径dを有することができ、照射部位に接近し、各ダブレット内の中心間液滴間隔はDであり、d≦D≦4dである。
【0020】
特定的な実施形態では、外乱は、周波数変調外乱波形を含むことができる。
【0021】
別の特定的な実施形態では、外乱は、振幅変調外乱波形を含むことができる。
【0022】
装置の1つの構成において、サブシステムは、一連のパルス外乱を発生させることができ、各パルス外乱は、基本周波数と、基本周波数の少なくとも1つの高調波とを生成するのに十分に短い立上り時間及び十分に短い立下り時間のうちの少なくとも一方を有する。
【0023】
別の態様では、装置は、ターゲット材料液滴の供給源と、照射領域で液滴を照射するビームを生成するレーザとを含むプラズマ発生システムを含むことができ、プラズマは、EUV放射線を生成し、液滴供給源は、オリフィスを出る流体と、流体内に外乱を生成する電気起動可能な要素を有するサブシステムとを含み、電気起動可能な要素は、電気起動可能な要素の作動可能な応答範囲の基本周波数と基本周波数の少なくとも1つの高調波とを生成するのに十分に短い立上り時間及び十分に短い立下り時間のうちの少なくとも一方を有する波形により駆動される。
【0024】
この態様の一実施形態では、波形は、方形波、矩形波、及びピークを有する非正弦波から構成された波形の群から選択することができる。
【0025】
この態様の特定的な実施形態では、ピークを有する非正弦波は、高速パルス波形、高速ランプ波形、及びシンク関数波形から構成された波形の群から選択することができる。
【0026】
この態様の1つの特定的な実施形態では、少なくとも1つの高調波は、基本周波数の奇数高調波とすることができる。
【0027】
この態様の一実施形態では、少なくとも1つの高調波は、基本周波数の少なくとも1つの偶数高調波と基本周波数の少なくとも1つの奇数高調波とを含むことができる。
【0028】
この態様の特定的な実施形態では、波形は、液滴が照射領域に進む時に少なくとも一部の隣接液滴間の間隔を低減させる異なる初速を有する液滴を発生させることができる。
【0029】
この態様の1つの特定的な実施形態では、少なくとも一部の隣接液滴は、照射領域に到達する前に合体する。
【0030】
この態様の特定的な実施形態では、各パルスは、オン−オフスイッチ状態を変えることによって発生させることができる。
【0031】
別の態様では、方法は、流体をオリフィスに向けて流動させる行為/段階と、流体を乱して第1の液滴と第2の液滴を発生させ、第1の液滴が、液滴が照射領域に進む時に第1及び第2の液滴間の間隔を低減させる第2の液滴と異なる初速を有する行為/段階と、照射領域で液滴材料を照射してプラズマを形成する行為/段階とを含むことができる。
【0032】
この態様の一実施では、第1及び第2の液滴は、照射領域に到達する前に合体する。
【0033】
この態様の特定的な実施では、外乱は、周波数変調外乱波形及び振幅変調外乱波形から構成された変調波形の群から選択された波形を含むことができる。
【0034】
この態様の1つの特定的な実施では、流体を乱す段階は、一連のパルス外乱を生成する段階を含むことができ、各パルス外乱は、基本周波数と基本周波数の少なくとも1つの高調波とを生成するのに十分に短い立上り時間及び十分に短い立下り時間のうちの少なくとも一方を有する。
【0035】
特定的な実施では、パルス外乱は、方形波、矩形波、及びピークを有する非正弦波から構成された外乱波形の群から選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】レーザ生成プラズマEUV光源の簡素化した概略図である。
【
図2A】電気起動可能な要素を流体と結合してオリフィスを出る流れ内に外乱を生成する技術を示す図である。
【
図2B】電気起動可能な要素を流体と結合してオリフィスを出る流れ内に外乱を生成する技術を示す図である。
【
図2C】電気起動可能な要素を流体と結合してオリフィスを出る流れ内に外乱を生成する技術を示す図である。
【
図2D】電気起動可能な要素を流体と結合してオリフィスを出る流れ内に外乱を生成する技術を示す図である。
【
図3】単一周波数の非変調外乱波形から生じる液滴のパターンを示す図である。
【
図4】振幅変調外乱波形から生じる液滴のパターンを示す図である。
【
図5】周波数変調外乱波形から生じる液滴のパターンを示す図である。
【
図6】単一周波数の非変調波形外乱及びいくつかの周波数変調波形外乱に向けて得られた錫の液滴の写真である。
【
図7】液滴対が照射領域に到達して1つの液滴がプラズマデブリからその後の液滴対を保護することができる変調波形外乱を用いて達成可能な液滴パターンを示す図である。
【
図8】液滴対が照射領域に到達して第1の液滴が自己誘導レーザシステムに光を反射し、第2の液滴を照射してEUV出射プラズマを生成する放電を開始する変調波形外乱を用いて達成可能な液滴パターンを示す図である。
【
図8A】液滴ダブレットが照射部位に到達して液滴ダブレット内の各液滴がプラズマを生成するために照射される液滴パターンを示す図である。
【
図9】正弦波信号の奇数高調波の重ね合わせとしての方形波の図である。
【
図10】出力オリフィスから〜40mmで取られた30kHzでの方形波変調で得られた液滴の画像を示す図である。
【
図11】出力オリフィスから〜120mmで取られた30kHzでの方形波変調で得られた液滴の画像を示す図である。
【
図12B】矩形波の周波数スペクトルを示す図である。
【
図12C】出力オリフィスから20mmで撮られた液滴の画像を示す図である。
【
図12D】出力オリフィスから450mmで撮られた合体した液滴の画像を示す図である。
【
図13A】高速パルス変調の実験結果を示す図である。
【
図13B】高速パルスの周波数スペクトルを示す図である。
【
図13C】出力オリフィスから20mmで撮られた液滴の画像を示す図である。
【
図13D】出力オリフィスから450mmで撮られた合体した液滴の画像を示す図である。
【
図14A】高速ランプ波変調の実験結果を示す図である。
【
図14B】高速ランプ波の周波数スペクトルを示す図である。
【
図14C】出力オリフィスから20mmで撮られた液滴の画像を示す図である。
【
図14D】出力オリフィスから450mmで撮られた合体した液滴の画像を示す図である。
【
図15A】シンク関数波変調の実験結果を示す図である。
【
図15B】シンク関数波の周波数スペクトルを示す図である。
【
図15C】出力オリフィスから20mmで撮られた液滴の画像を示す図である。
【
図15D】出力オリフィスから450mmで撮られた合体した液滴の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
最初に
図1を参照すると、実施形態の一態様によるEUV光源、例えば、レーザ生成プラズマEUV光源20の概略図が示されている。
図1に示すと共に以下でより詳細に説明するように、LPP光源20は、一連の光パルスを発生させてチャンバ26内に光パルスを送出するシステム22を含むことができる。以下で詳述するように、各光パルスは、システム22からビーム経路に沿って進んでチャンバ26内に入って照射領域でそれぞれの目標液滴を照射することができる。
【0038】
図1に示すシステム22に使用する適切なレーザは、パルスレーザ装置、例えば、比較的高電力、例えば、10kW又はそれよりも高く、かつ高いパルス繰返し数、例えば、50kHz又はそれよりも高く作動するDC又はRF励起で例えば9.3μm又は10.6μmで放射線を生成するパルスガス放電CO
2レーザ装置を含むことができる。1つの特定的な実施では、レーザは、複数の増幅ステージを有するMOPA構成を有し、かつ100KHzでの作動が可能である低エネルギ及び高繰返し数を有するQスイッチ式主発振器(MO)により開始されるシードパルスを有する軸流RF励起CO
2レーザとすることができる。MOから、次に、LPPチャンバ48に入る前にレーザパルスを増幅し、成形し、及び/又は集束させることができる。連続励起CO
2増幅器をシステム22に使用することができる。例えば、発振器及び3つの増幅器(O−PA1−PA2−PA3構成)を有する適切なCO
2レーザ装置は、代理人整理番号第2005−0044−01号の2005年6月29日出願の「LPP−EUV光源駆動レーザシステム」という名称の現在特許出願中の米国特許出願番号第11/174,299号明細書に開示されており、この特許の内容全体は、引用により本明細書に先に組み込まれている。代替的に、レーザは、液滴が光キャビティの1つのミラーとして機能するいわゆる「自己ターゲット式」レーザシステムとして構成することができる。一部の「自己ターゲット式」構成において、主発振器は不要とすることができる。自己ターゲット式レーザシステムは、代理人整理番号第2006−0025−01号の2006年10月13日出願の「EUV光源のための駆動レーザ送出システム」という名称の現在特許出願中の米国特許出願番号第11/580,414号明細書に開示かつ特許請求されており、この特許の内容全体は、引用により本明細書に先に組み込まれている。
【0039】
用途により、他のタイプのレーザ、例えば、高電力及び高パルス繰返し数で作動するエキシマ又は分子フッ素レーザも適切とすることができる。例示的に、例えば、ファイバ又は円板状活性媒体を有する固体レーザ、1つ又はそれよりも多くのチャンバ、例えば、発振器チャンバ及び1つ又はそれよりも多くの増幅チャンバ(増幅チャンバが並列に又は直列)、主発振器/電力発振器(MOPO)構成、電力発振器/電力増幅器(POPA)構成、主発振器/電力リング増幅器(MOPRA)を有するエキシマレーザがあり、又は1つ又はそれよりも多くのエキシマ又は分子フッ素増幅器又は発振器チャンバにシード光を送出する固体レーザを適切とすることができる。他の設計も可能である。
【0040】
図1に更に示すように、EUV光源20は、液滴が、1つ又はそれよりも多くの光パルス、例えば、ゼロ、1つ、又はそれよりも多くのプレパルスと、次に、1つ又はそれよりも多くの主パルスと相互作用して最終的にプラズマを生成してEUV放射を発生させる照射領域28までチャンバ26の内部にターゲット材料の液滴を送出するターゲット材料供給システムを含むことができる。ターゲット材料は、錫、リチウム、キセノン、又はその組合せを含む材料を含むことができるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。EUV放出元素、例えば、錫、リチウム、キセノンなどは、液滴内に含まれた液滴及び/又は固体粒子の形態とすることができる。例えば、元素錫は、純粋な錫として、錫化合物、例えば、SnBr
4、SnBr
2、SnH
4として、錫合金、例えば、錫ガリウム合金、錫インジウム合金、錫インジウムガリウム合金、又はその組合せとして使用することができる。使用する材料に基づいて、ターゲット材料は、室温又は室温の近く(例えば、錫合金、SnBr
4)、高温(例えば、純粋な錫)、又は室温よりも低い温度(例えば、SnH
4)を含む様々な温度で照射領域28に呈することができ、一部の場合には、比較的揮発性、例えば、SnBr
4とすることができる。LPP EUV源におけるこれらの材料の使用に関する更なる詳細は、代理人整理番号第2006−0003−01号の2006年4月17日出願の「EUV光源のための代替燃料」という名称の現在特許出願中の米国特許出願番号第11/406,216号明細書に示されており、この特許の内容全体は、引用により本明細書に先に組み込まれている。
【0041】
引き続き
図1に対して、EUV光源20は、光学要素30、例えば、モリブデン及びシリコンの互層を有する漸変多層コーティングを有する例えば先端を切った楕円体の形態の集光ミラーを含むことができる。例えば、
図1は、システム22によって生成された光パルスが通過して照射領域28到達することを可能にする開口を光学要素30に形成することができることを示している。図示のように、光学要素30は、例えば、照射領域28内の又はその近くの第1の焦点と、いわゆる中間領域40にある第2の焦点とを有する扁長の回転楕円体ミラーとすることができ、中間領域40では、EUV光をEUV光源10から出力して、EUV光を利用する装置、例えば、集積回路リソグラフイツール(図示せず)にEUV光を入力することができる。EUV光を利用する装置へのその後の送出に向けて光を中間位置に集光して誘導する他の光学要素を楕円面ミラーの代わりに使用することができ、例えば、光学要素は、放物線状とすることができ、又は環状断面を有するビームを中間位置に送出するように構成することができることは認められるものとする。例えば、代理人整理番号第2006−0027−01号の2006年8月16日出願の「EUV光学系」という名称の米国特許出願番号第11/505,177号明細書を参照することができ、この特許の内容は、引用により本明細書に組み込まれている。
【0042】
図1を引き続き参照すると、EUV光源20は、EUVコントローラ60を含むことができ、EUVコントローラ60は、システム22内の1つ又はそれよりも多くのランプ及び/又はレーザ装置をトリガすることによってチャンバ26内への送出のための光パルスを生成する発射制御システム65を含むことができる。EUV光源20は、例えば、照射領域28に対して1つ又はそれよりも多くの液滴の位置を示す出力を供給する1つ又はそれよりも多くの液滴撮像器70を含むことができる液滴位置検出システムを含むことができる。撮像器70は、液滴位置検出フィードバックシステム62にこの出力を供給することができ、液滴位置検出フィードバックシステム62は、例えば、液滴単位で又は平均して液滴誤差を計算することができる例えば液滴位置及び軌道を計算することができる。液滴誤差は、次に、コントローラ60への入力として供給することができ、コントローラ60は、例えば、位置、方向、及びタイミング補正信号をシステム42に供給し、光源タイミング回路を制御し、及び/又は例えばチャンバ26内の照射領域28に送出された光パルスの位置及び/又は集束力を変えるようにビーム位置及び成形システムを制御することができる。
【0043】
EUV光源20は、光源20によって生成されたEUV光の様々な特性を測定する1つ又はそれよりも多くのEUV測定計器を含むことができる。これらの特性は、例えば、強度(例えば、全体的強度又は特定のスペクトル帯域における強度)、スペクトル帯域、偏光、ビーム位置、照準などを含むことができる。EUV光源20に対して、計器は、例えば、ピックオフミラーを使用してEUV出力の一部をサンプリングするか、又は「未集光」EUV光をサンプリングすることによって下流ツール、例えば、フォトリソグラフィスキャナがオンラインである間に作動するように構成することができ、及び/又は例えばEUV光源20のEUV出力全体を測定することによって下流ツール、例えば、フォトリソグラフィスキャナが例えばオフラインである間に作動させることができる。
【0044】
図1に更に示すように、EUV光源20は、例えば、液滴供給源92からのターゲット材料の放出点を修正し、及び/又は望ましい照射領域28に到達する液滴の誤差を補正し、及び/又は液滴の生成をパルスレーザシステム22と同期させるように液滴形成タイミングを修正するように、コントローラ60からの信号(一部の実施例では上述の液滴誤差又はそこから導出した何らかの数量を含むことができる)に応答して作動可能な液滴制御システム90を含むことができる。
【0045】
図2は、概略図で簡素化した液滴供給源92の構成要素を示している。図示のように、液滴供給源92は、流体、例えば、溶融錫を圧力下に保持するリザーバ94を含むことができる。また、図示のように、リザーバ94には、オリフィス98を形成することができ、加圧流体96はオリフィスを通ることができ、その後に複数の液滴102a、bに分解される連続流100が確立される。
【0046】
引き続き
図2に対して、図示の液滴供給源92は、流体96及び電気起動可能な要素104を駆動する信号発生器106と作動可能に結合された電気起動可能な要素104を有する流体内に外乱を生成するサブシステムを更に含む。
図2A〜
図2Dは、1つ又はそれよりも多くの電気起動可能な要素を流体と作動可能に結合して液滴を発生させることができる様々な方法を示している。
図2A4から始めると、圧力が掛かって流体が強制的にリザーバ108から例えば約0.5〜0.8mmの間の内径及び約10〜50mmの長さを有する管110、例えば、毛細管を通過すると、その後に液滴116a、bに分解される管110のオリフィス114を出る連続流112が生成される構成が示されている。図示のように、電気起動可能な要素118を管に結合することができる。例えば、電気起動可能な要素を管110に結合して管110を偏向させて流れ112を乱すことができる。
図2Bは、リザーバ120、管122、及び各々がそれぞれの周波数で管122を偏向させる管122に結合された1対の電気起動可能な要素124、126を有する類似した構成を示している。
図2Cは、プレート128が、流体を強制的にオリフィス132を通過させて液滴136a、bに分解する流れ134を生成するように移動可能なリザーバ130に位置決めされた別の変形を示している。図示のように、力をプレート128に印加することができ、1つ又はそれよりも多くの電気起動可能な要素138をプレートに結合して流れ134を乱すことができる。毛細管は
図2Cに示す実施形態と共に使用することができることは認められるものとする。
図2Dは、圧力が掛かって流体が強制的にリザーバ140から管142を通過すると、その後に液滴148a、bに分解される管142のオリフィス146を出る連続流144が生成される別の変形を示している。図示のように、例えば、リング状の形状を有する電気起動可能な要素150を管142周りに位置決めすることができる。駆動された時に、電気起動可能な要素142は、管142を選択的に圧搾及び/又は圧搾解除して流れ144を乱すことができる。2つ又はそれよりも多くの電気起動可能な要素を使用して、それぞれの周波数で管142を選択的に圧搾することができることは認められるものとする。
【0047】
様々な液滴分注器構成及びそれらの相対的な利点に関する更なる詳細は、代理人整理番号第2005−0085−01号の2006年2月21日出願の「プレパルスによるレーザ生成プラズマEUV光源」という名称の現在特許出願中の米国特許出願番号第11/358,988号明細書、代理人整理番号第2004−0008−01号の2005年2月25日出願の「EUVプラズマ源ターゲット送出の方法及び装置」という名称の現在特許出願中の米国特許出願番号第11/067,124号明細書、及び代理人整理番号第2005−0003−01号の2005年6月29日出願の「LPP−EUV光源材料ターゲット送出システム」という名称の米国特許出願番号第11/174,443号明細書に見ることができ、これらの特許の各々の内容は、引用により本明細書に組み込まれている。
【0048】
図3(従来技術)は、単一周波数の正弦波外乱波形202から生じる液滴200のパターンを示す(約0.3ν/(πd)を超える外乱周波数に関する)。外乱波形の各周期により液滴が生成されることを見ることができる。
図3は、液滴は共に合体しないが、むしろ、各液滴が同じ初速で確立されることも示している。
【0049】
図4は、振幅変調外乱波形302から最初に生じる液滴300のパターンを示すが、振幅変調外乱波形302は、約0.3ν/(πd)を超えた外乱周波数に限定されないという点において上述の乱れ波形202とは異なるものである。振幅変調波形外乱302は、2つの特性周波数、すなわち、波長λ
cに対応する比較的大きな周波数、例えば、搬送波周波数、及び波長λ
mに対応するこれよりも小さい周波数、例えば、変調周波数を含むことを見ることができる。
図4に示す特定の外乱波形の例に対して、変調周波数は、搬送波周波数低調波であり、特に、変調周波数は、搬送波周波数の1/3である。この波形に対して、
図4は、搬送波波長λ
cに対応する外乱波形の各周期により液滴が生成されることを示している。
図4はまた、液滴が共に合体し、従って、より大きな液滴304の流れになり、外乱波形の各周期の1つのより大きな液滴は、変調波形λ
mに対応することも示している。矢印306a、bは、変調波形外乱302により液滴上で与えられる初期相対速度成分が、液滴合体の原因であることを示している。
【0050】
図5は、振幅変調外乱波形402から最初に生じる液滴400のパターンを示しており、振幅変調外乱波形402は、上述の外乱波形302と同様に0.3ν/(πd)を超える外乱周波数に限定されない。周波数変調波形外乱402は、2つの特性周波数、すなわち、波長λ
cに対応する比較的大きな周波数、例えば、搬送波周波数、及び波長λ
mに対応するこれよりも小さい周波数、例えば、変調周波数を含むことを見ることができる。
図5に示す特定の外乱波形の例に対して、変調周波数は、搬送波周波数低調波であり、特に、変調周波数は、搬送波周波数の1/3である。この波形に対して、
図5は、搬送波波長λ
c対応する外乱波形の各周期により液滴が生成されることを示している。
図5はまた、液滴は共に合体し、従って、より大きな液滴404の流れになり、外乱波形の各周期の1つのより大きな液滴は、変調波形λ
mに対応することも示している。振幅変調外乱(すなわち、
図4)と同様に、初期相対速度成分は、変調波形外乱402により液滴上で与えられ、かつ液滴合体の原因である。
【0051】
図4及び
図5は、2つの特性周波数を有する実施形態を図示かつ説明しており、
図4は、2つの特性周波数を有する振幅変調外乱を示し、
図5は、2つの特性周波数を有する周波数変調外乱を示すが、2つよりも多い特性周波数を使用することができ、変調は、角度変調(すなわち、周波数又は位相変調)、振幅変調、又はその組合せとすることができることは認められるものとする。
【0052】
図6は、100kHzの周波数を有する単一の周波数の非変調波形外乱(最上部の写真)、100kHzの搬送波周波数及び10kHzの比較的強い変調度の変調周波数を有する周波数変調波形外乱(最上部の写真から2番目)、100kHzの搬送波周波数及び10kHzの比較的弱い変調度の変調周波数を有する周波数変調波形外乱(最上部の写真から3番目)、100kHzの搬送波周波数及び15kHzの変調周波数を有する周波数変調波形外乱(最上部の写真から4番目)、及び100kHzの搬送波周波数及び20kHzの変調周波数を有する周波数変調波形外乱(最下部の写真)に対して、約70μmのオリフィス直径、〜30m/sの流れ速度を有する
図2Dに類似した器具を使用して得られた錫液滴の写真を示している。
【0053】
これらの写真は、約3.14mm、すなわち、単一の周波数の非変調波形外乱を用いてはこの液滴サイズ及び繰返し数では達成することができない間隔だけ離間している約265μmの直径を有する錫の液滴を発生させることができることを示している。
【0054】
測定は、単一周波数の非変調波形外乱を使用して類似の条件下で観測したジッタを実質的に下回る変調周期の約0.14%のタイミングジッタを示している。この効果は、いくつかの合体液滴にわたって個々の液滴不安定性を平均化することによって達成される。
【0055】
図7は、変調された例えば複数の周波数の外乱波形を用いて生成した液滴パターン600を示す(
図6、上から4番目の写真も参照されたい)。また、図示のように、液滴対が、オリフィス604からの選択した距離で形成される。図示のように、液滴対が照射領域に到達するこの液滴パターンにより、液滴608aは、レーザ22’によって照射されるとEUV出射プラズマを確立することができ、一方、液滴608bは、プラズマデブリからその後の液滴対610を保護する。
【0056】
図8は、液滴対が照射領域に到達し、第1の液滴702aが第2の液滴702bを照射してEUV出射プラズマを生成するレーザビームを出力するレーザ発振出力レーザビームを開始する自己誘導レーザシステム704に光を反射する変調された例えば複数の周波数乱波形を用いて達成可能な液滴パターン700を示している。
【0057】
自己誘導レーザシステム704は、代理人整理番号第2006−0025−01号の2006年10月13日出願の「EUV光源のための駆動レーザ送出システム」という名称の現在特許出願中の米国特許出願番号第11/580,414号明細書により詳細に説明されている。特に、米国特許第11/580,414号明細書の
図5を参照することができ、この特許の開示内容全体は、引用により本明細書に既に組み込まれている。以下では第11/580,414号明細書の特許出願の
図5に対応するレーザシステム704を説明するが、この説明は、第11/580,414号明細書の特許出願に開示された他の自己誘導式レーザ(すなわち、
図6〜
図16)にも等しく適用可能であることは認められるものとする。
【0058】
引き続き
図8に対して、自己誘導レーザシステム704は、光増幅器706a、b、cを含むことができることを見ることができる。例えば、光増幅器706は、0.6μmの波長で光を増幅し、かつ比較的高い複光路利得(例えば、約1,000,000の複光路利得)を有するCW励起複数チャンバCO
2レーザ増幅器とすることができる。更に図示するように、増幅器706は、各々が固有の活性媒体及び励起源、例えば、電極を有する直列に配置された一連の増幅チャンバ706a〜cを含むことができる。
【0059】
使用時には、ターゲット材料の第1の液滴702aは、増幅器506を通って延びるビーム経路710を通過するか又はその近傍を通る軌道上に配置される。増幅器706から自然発生的に出射された光子は、液滴により散乱させることができ、一部の散乱光子は、これらの光子が増幅器706を通過する経路710上に配置することができる。図示のように、光学要素708は、増幅器706から経路710上で光子を受け取って、第2の液滴702bとのその後の相互作用に向けてビームを誘導して再び増幅器706を通過させてEUV放射プラズマを生成するように位置決めすることができる。この構成に対して、光学要素708は、例えば、平面ミラー、曲面ミラー、位相共役反射ミラー、又はコーナ反射器とすることができる。光学要素714、例えば、レンズは、液滴から増幅器606に入る光を平行化して増幅器706から液滴に進む光を集束するように位置決めすることができる。任意的な光学遅延716をもたらして、第1及び第2の液滴が照射領域に到達する時にその間に所要の時間遅延を確立することができる。異なる液滴を使用する1つの利点は、特殊関数(すなわち、反射対プラズマ発生)に向けて液滴のサイズを独立して最適化することができることである。
【0060】
図8Aは、変調された例えば複数の周波数の外乱波形(上述)、又は液滴ダブレットが照射部位に到達し、液滴ダブレット内の各液滴がプラズマを生成するために照射されるパルス波形(以下に説明)を使用して達成可能な液滴パターン700’を示している。具体的には、ダブレット内の両方の液滴は、プラズマ及びEUV光を生成し、両方の液滴を増幅器706a’−c’内で単一の利得逆転で生成されたレーザビームによって照射することができる。この構成に対して、単一の液滴で生成されたEUV出力に対して各利得逆転に対してEUV出力電力の増大を取得することができる。一部の場合には、照射部位に接近する液滴ダブレット内の少なくとも1つの液滴は、直径dと、各ダブレット内に中心間液滴間隔Dとを有することができ、d≦D≦4dであるように液滴を使用することが有利であると考えられる。液滴は、直径が実質的に等しいとすることができ、又は一方の液滴は、他方の液滴より大きいとすることができる。
【0061】
引き続き
図8Aに対して、自己誘導レーザシステム7’は、光増幅器706a’,b’,c’を含むことができることを見ることができる。例えば、光増幅器706’は、10.6μmの波長で光を増幅し、比較的高い複光路利得(例えば、約1,000,000の複光路利得)を有するCW励起の複数チャンバCO
2レーザ増幅器とすることができる。更に図示するように、増幅器706’は、各々が固有の活性媒体及び励起源、例えば、電極を有する直列に配置された一連の増幅チャンバ706a’〜c’を含むことができる。
【0062】
使用時には、ターゲット材料の第1の液滴702b’は、増幅器706’を通って延びるビーム経路710’を通過するか又はその近傍を通る軌道上に配置される。増幅器706’から自然発生的に出射された光子は、液滴により散乱させることができ、一部の散乱光子は、これらの光子が増幅器706’を通過する経路710’上に配置することができる。図示のように、光学要素708’は、増幅器706’から経路710’上で光子を受け取ってビームを誘導して増幅器706’を再び通過させるように位置決めすることができる。レーザビームを、次に、ビーム経路710’に沿って確立することができ、液滴702b’を照射してEUV放射プラズマを生成し、レーザビームは、液滴702a’がビーム経路710’に到達するまでプラズマと光学要素708’の間に確立された光キャビティ内で循環し続ける。液滴702a’は、次に、EUV放射プラズマを生成するために照射される。この構成に対して、光学要素708’は、例えば、平面ミラー、曲面ミラー、位相共役反射ミラー、又はコーナ反射器とすることができる。光学要素714’、例えば、レンズは、液滴から増幅器706’に入る光を平行化して増幅器706’から液滴に進む光を集束するように位置決めすることができる。一部の実施例では、ダブレット内の液滴は、合体することができ、照射前又は照射中に細長い液滴が形成される。
【0063】
図9〜
図12をここで参照すると、本出願人は、変調した例えば複数の周波数の上述の外乱波形に加えて、他の波形を用いて、制御しなければ単一の周波数正弦非変調波形外乱を用いた安定した液滴製造を制限するであろう周波数最小値(約
0.3v/(πd))よりも小さい合体した液滴の安定した流れを生成するように制御することができる合体液滴流れを発生させることができると判断した。
【0064】
具体的には、これらの波形は、制御され、予想可能であり、反復可能であり、及び/又は非ランダムである異なる初速を流れ内に有する液滴の流れを生成する外乱を流体内に生成することができる。
【0065】
例えば、電気起動可能な要素を使用して外乱を生成する液滴発生器に対して、一連のパルス波形を使用することができ、各パルスは、波形周期の長さと比較すると、電気起動可能な要素の作動可能な応答範囲の基本周波数と基本周波数の少なくとも1つの高調波とを生成するのに十分に短い立上り時間及び/又は立下り時間を有する。
【0066】
本明細書で使用する時に基本周波数という用語及びその派生語及び均等物は、出口オリフィスに流れる流体を乱す周波数、及び/又は流れ内の液滴が等間隔の液滴のパターンに完全に合体することができる場合に基本周波数の周期当たりに1つの完全に合体した液滴があるように液滴の流れを生成する流体内に外乱を生成する電気起動可能な要素を有するノズルのような液滴を発生させるサブシステムに印加された周波数を意味する。
【0067】
適切なパルス波形の例には、方形波(
図9)、矩形波、及び高速パルス(
図13A)、高速ランプ波(
図14A)、及びシンク関数波(
図15A)のような十分に短い立上り時間及び/又は立下り時間を有するピークを有する非正弦波があるがこれらに限定されない。
【0068】
図9は、正弦波信号の奇数高調波の重ね合わせとしての方形波の図を示している。注:簡潔さを期すために周波数の最初の2つの高調波のみを示している。正確な方形波形状は、漸進的に小さくなる振幅を有する無数の奇数次高調波で得られることは認められるものとする。より詳細には、方形波800は、方形波の基本周波数f(波形802)及び高位奇数高調波3f(波形804)、5f(波形806)のようなで正弦波の組合せとして数学的に表すことができ、
ここで、tは時間であり、v(t)は波の瞬間的な振幅(すなわち、電圧)であり、ωは角振動数である。従って、例えば、圧電の電気起動可能な要素に方形波信号を印加すると、結果的に基本周波数f=ω/2π、並びにこの周波数よりも高い高調波3f、5fなどで機械的振動が発生する場合がある。これは、電気起動可能な要素を使用する液滴発生器の制限されて一般的な場合に非常に不均一な周波数応答のために起こり得る。方形波信号の基本周波数が0.3ν/πdの限界値を有意に超える場合に、この周波数での単一の液滴の形成が事実上禁止され、液滴は、より高い高調波で生成される。上述の振幅及び周波数変調の場合のように、方形波信号で生成される液滴は、流れ内の隣接液滴に対して、周波数でより大きな液滴への最終的な合体を引き起こす差速を有する。一部の実施例では、EUV光源は、周期当たりに複数の液滴が生成されて各液滴が、1)少なくとも2つの液滴が照射部位に到達する前に合体するか、又は2)液滴が密接に離間した液滴ダブレット(以下に説明する内容を参照されたい)を含むパターンのような望ましいパターンを生成するようにその後の液滴より異なる初速を有するように構成される。
【0069】
図10及び
図11は、30kHzの方形波変調で得られた液滴の画像を示している。単一の正弦波変調では、この実験に使用する液滴発生器に向けて周期当たり1つの液滴を取得することができる最低変調周波数は、110kHzであった。
図10に示す画像は、出力オリフィスから〜40mmで撮られたものであり、
図11に示す画像は、液滴が合体している出力オリフィスから〜120mmで後になって撮られたものである。この実施は、方形波変調を用いて特定の液滴発生器構成の本来の低周波限界よりも低い周波数で液滴を取得する利点を示している。
【0070】
類似の増強は、高速パルス(
図13A)、高速ランプ波(
図14A)、及びシンク関数波(
図15A)を含むがこれらに限定されない短い立上り時間及び/又は立下り時間を有する複数の高調波を有する様々な反復的な変調信号に適用することができる。例えば、鋸波形は、基本周波数の奇数だけでなく偶数の高調波も含み、従って、低周波数変調限界を克服して液滴発生器の安定性を改善するのに有効に使用することができる。一部の場合には、特定の液滴発生器構成の方が、他の構成よりも一部の周波数に応答することができる。この場合に、多くの周波数を生成する波形の方が、特定の液滴発生器の反応頻度に適合する周波数を含む可能性が高い。
【0071】
図12Aは、液滴発生器を駆動する矩形波900を示し、
図12Bは、矩形波の周期に対して基本周波数902a及び様々なマグニチュードの高調波902b〜hを有する対応する周波数スペクトルを示している。
図12Cは、矩形波により駆動された液滴発生器の出力オリフィスから20mmで撮られた画像を示すと共に、合体し始める液滴を示している。
図12Dは、液滴が完全に合体した後に出力オリフィスから450mmで撮られた液滴の画像を示している。
【0072】
図13Aは、液滴発生器を駆動する一連の高速パルス1000を示し、
図13Bは、矩形波の周期に対して基本周波数1002a及び様々なマグニチュードの高調波902b−iを有する対応する周波数スペクトルを示している。
図13Cは、一連の高速パルスにより駆動された液滴発生器の出力オリフィスから20mmで撮られた画像を示すと共に合体し始める液滴を示している。
図13Dは、液滴が完全に合体した後に出力オリフィスから450mmで撮られた液滴の画像を示している。
【0073】
図14Aは、液滴発生器を駆動する高速ランプ波1100を示し、
図14Bは、矩形波の周期に対して基本周波数1002a及び様々なマグニチュードの高調波1002b〜pを有する対応する周波数スペクトルを示している。
図14Cは、高速ランプ波により駆動された液滴発生器の出力オリフィスから20mmで撮られた画像を示すと共に合体し始める液滴を示している。
図14Dは、液滴が完全に合体した後に出力オリフィスから450mmで撮られた液滴の画像を示している。
【0074】
図15Aは、液滴発生器を駆動する高速ランプ波1200を示し、
図15Bは、矩形波の周期に対して基本周波数1202a及び様々なマグニチュードの高調波1202b〜lを有する対応する周波数スペクトルを示している。
図15Cは、シンク関数波により駆動された液滴発生器の出力オリフィスから20mmで撮られた画像を示すと共に合体し始める液滴を示している。
図15Dは、液滴が完全に合体した後に出力オリフィスから450mmで撮られた液滴の画像を示している。
【0075】
「35U.S.C.§112」を満足するために必要とされる詳細において本特許出願において説明しかつ例示した特定の実施形態は、上述の実施形態の1つ又はそれよりも多くの上述の目的を、及び上述の実施形態により又はその目的のあらゆる他の理由で又はその目的のために解決すべき問題を完全に達成することができるが、上述の実施形態は、本出願によって広く考察された内容を単に例示しかつ代表することは、当業者によって理解されるものとする。単数形での以下の請求項における要素への言及は、解釈において、明示的に説明していない限り、このような要素が「1つ及び1つのみ」であることを意味するように意図しておらず、かつ意味しないものとし、「1つ又はそれよりも多い」を意味する意図とし、かつ意味するものとする。当業者に公知か又は後で公知になる上述の実施形態の要素のいずれかに対する全ての構造的及び機能的均等物は、引用により本明細書に明示的に組み込まれると共に、特許請求の範囲によって包含されるように意図されている。本明細書及び/又は本出願の請求項に使用され、かつ本明細書及び/又は本出願の請求項に明示的に意味を与えられたあらゆる用語は、このような用語に関するあらゆる辞書上の意味又は他の一般的に使用される意味によらず、その意味を有するものとする。実施形態として本明細書で説明したデバイス又は方法は、それが特許請求の範囲によって包含されるように本出願において説明した各及び全て問題に対処又は解決することを意図しておらず、また必要でもない。本発明の開示内容におけるいかなる要素、構成要素、又は方法段階も、その要素、構成要素、又は方法段階が特許請求の範囲において明示的に詳細に説明されているか否かに関係なく、一般大衆に捧げられることを意図したものではない。特許請求の範囲におけるいかなる請求項の要素も、その要素が「〜のための手段」という語句を使用して明示的に列挙されるか又は方法の請求項の場合にはその要素が「行為」ではなく「段階」として列挙されていない限り、「35U.S.C.§112」第6項の規定に基づいて解釈されないものとする。