(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係る位置調整治具を用いて調整される切削装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る位置調整治具を用いて調整される切削装置の構成例を模式的に示す図である。
図1に示すように、切削装置2は、各構造を支持する基台4を備えている。
【0017】
基台4の上面には、X軸方向(加工送り方向)に長い矩形状の開口4aが形成されている。この開口4a内には、X軸移動テーブル6、X軸移動テーブル6をX軸方向に移動させるX軸移動機構(不図示)、及びX軸移動機構を覆う防塵防滴カバー8が設けられている。
【0018】
X軸移動機構は、X軸方向に平行な一対のX軸ガイドレール(不図示)を備えており、X軸ガイドレールには、X軸移動テーブル6がスライド可能に設置されている。X軸移動テーブル6の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレールと平行なX軸ボールネジ(不図示)が螺合されている。
【0019】
X軸ボールネジの一端部には、X軸パルスモータ(不図示)が連結されている。X軸パルスモータでX軸ボールネジを回転させれば、X軸移動テーブル6はX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
【0020】
X軸移動テーブル6の上面には、半導体ウェーハや樹脂基板、セラミックス基板等の板状の被加工物(不図示)を吸引保持するチャックテーブル10が設けられている。チャックテーブル10は、モータ等の回転駆動源(不図示)と連結されており、Z軸方向(鉛直方向)に平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル10は、上述のX軸移動機構でX軸方向に移動する。
【0021】
チャックテーブル10の表面(上面)は、被加工物を吸引保持する保持面10aとなっている。この保持面10aは、チャックテーブル10の内部に形成された流路(不図示)を通じて吸引源(不図示)と接続されている。チャックテーブル10の周囲には、被加工物を支持するフレーム(不図示)を挟持固定するためのクランプ12が設けられている。
【0022】
基台4の上面には、切削ユニット(切削手段)14を支持する門型の支持構造16が、開口4aを跨ぐように配置されている。支持構造16の表面側には、切削ユニット14をY軸方向(割り出し送り方向)及びZ軸方向に移動させる切削ユニット移動機構(移動手段)18が設けられている。
【0023】
切削ユニット移動機構18は、支持構造16の表面上部に配置されY軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール20を備えている。Y軸ガイドレール20には、切削ユニット移動機構18を構成するY軸移動プレート22がスライド可能に設置されている。
【0024】
Y軸移動プレート22の裏面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール20と平行なY軸ボールネジ24が螺合されている。Y軸ボールネジ24の一端部には、Y軸パルスモータ(不図示)が連結されている。Y軸パルスモータでY軸ボールネジ24を回転させれば、Y軸移動プレート22は、Y軸ガイドレール20に沿ってY軸方向に移動する。
【0025】
Y軸移動プレート22の表面には、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール26が設けられている。Z軸ガイドレール26には、Z軸移動プレート28がスライド可能に設置されている。
【0026】
Z軸移動プレート28の裏面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール26と平行なZ軸ボールネジ30が螺合されている。Z軸ボールネジ30の一端部には、Z軸パルスモータ32が連結されている。Z軸パルスモータ32でZ軸ボールネジ30を回転させれば、Z軸移動プレート28は、Z軸ガイドレール26に沿ってZ軸方向に移動する。
【0027】
Z軸移動プレート28の下部には、チャックテーブル10に吸引保持された被加工物を切削する切削ユニット14が設けられている。上述のようにY軸移動プレート22及びZ軸移動プレート28を移動させれば、切削ユニット14は、Y軸方向及びZ軸方向に移動する。
【0028】
図2は、切削ユニット14の構造を模式的に示す分解斜視図である。
図2に示すように、切削ユニット14は、Z軸移動プレート28の下部に固定されたスピンドルハウジング34を備えている。
【0029】
スピンドルハウジング34の内部には、Y軸の周りに回転するスピンドル(不図示)が収容されている。スピンドルの先端部(一端部)は、スピンドルハウジング34の外部に露出しており、このスピンドルの先端部には、ブレードマウント36が取り付けられる。一方、スピンドルの他端側(基端側)には、スピンドルを回転させるためのモータ(不図示)が連結されている。
【0030】
ブレードマウント36は、径方向外向きに延出したフランジ部38と、フランジ部38の表面から突出したボス部40とを含む。フランジ部38の表面は、切削ブレード42の裏面側を支持する支持面38aとなっている。ボス部40は円筒状に形成されており、その先端側の外周面40aには、ネジ山が設けられている。
【0031】
切削ブレード42の中央部には、円形の開口42aが形成されている。この開口42aにボス部40を挿通することで、切削ブレード42は、ブレードマウント36(スピンドルの先端部)に装着される。
【0032】
切削ブレード42は、いわゆるハブブレードであり、円盤状のハブ基台44の外周部に、被加工物を切削する円環状の切り刃46が設けられている。切り刃46は、例えば、金属や樹脂等のボンド材(結合材)に、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒を混合して所定の厚みに形成される。
【0033】
切削ブレード42をブレードマウント36に装着した状態で、切削ブレード42の表面側には、円盤状の固定ナット48が配置される。固定ナット48の中央部には、円形の開口48aが形成されており、当該開口48aの内周面には、ボス部40の外周面40aに形成されたネジ山に対応するネジ溝が設けられている。
【0034】
この固定ナット48の開口48aにボス部40の先端を締め込むと、切削ブレード42の表面に固定ナット48の裏面が接触して、切削ブレード42はフランジ部38と固定ナット48とで挟持される。これにより、切削ブレード42をブレードマウント36に固定できる。
【0035】
図1に示すように、切削ユニット14に装着された切削ブレード42と対向する位置には、切削ブレード42を自動で交換するオートブレードチェンジャ50が設けられている。
図3は、オートブレードチェンジャ50の周辺の構造を模式的に示す斜視図である。
【0036】
図3に示すように、オートブレードチェンジャ50の下方には、オートブレードチェンジャ50をX軸方向に移動させるオートブレードチェンジャ移動機構(移動手段)52が設けられている。
【0037】
オートブレードチェンジャ移動機構52は、X軸方向に平行な一対のガイドレール54を備えており、ガイドレール54には、移動ブロック56がスライド可能に設置されている。移動ブロック56の下面側には、ナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、ガイドレール54と平行なボールネジ58が螺合されている。
【0038】
ボールネジ58の一端部には、パルスモータ60が連結されている。パルスモータ60でボールネジ58を回転させれば、移動ブロック56はガイドレール54に沿ってX軸方向に移動する。
【0039】
移動ブロック56の上部には、オートブレードチェンジャ50の筐体62が固定されている。筐体62の側方(切削ユニット14側)には、ブレードマウント36(スピンドルの先端部)に切削ブレード42を取り付け、ブレードマウント36から切削ブレード42を取り外す切削ブレード着脱ユニット(切削ブレード着脱手段)64が設けられている。
【0040】
図4(A)は、切削ブレード着脱ユニット64の構造を模式的に示す斜視図である。
図4(A)に示すように、切削ブレード着脱ユニット64は、筐体62の第1収容部62aから延出するアーム66を備えている。
【0041】
アーム66の先端部には、円柱状に形成された基台68の第1底面68a側が固定されている。基台68の第2底面68b側には、第2底面68bの中央から突出した押圧ピン70aと、押圧ピン70aの周囲に配置された3個の爪70bと、を含むブレード保持部70が設けられている。
【0042】
ブレード保持部70の3個の爪70bで切削ブレード42を把持し、切削ユニット移動機構18とオートブレードチェンジャ移動機構52とで切削ユニット14と切削ブレード着脱ユニット64とを相対的に移動させれば、切削ユニット14のブレードマウント36に切削ブレード42を取り付け、又は、ブレードマウント36から切削ブレード42を取り外すことができる。
【0043】
なお、押圧ピン70aは、コイルばね70c(
図8(A)等参照)によって付勢されており、3個の爪70bによる切削ブレード42の把持を解除すると、切削ブレード42は押圧ピン70aで押圧されY軸方向に移動する。これにより、切削ブレード42をブレード保持部70からブレードマウント36に移動させることができる。
【0044】
図3に示すように、切削ブレード着脱ユニット64と隣接する位置には、ブレードマウント36(スピンドルの先端部)に固定ナット48を取り付け、ブレードマウント36から固定ナット48を取り外す固定ナット着脱ユニット(固定ナット着脱手段)72が設けられている。
【0045】
図4(B)は、固定ナット着脱ユニット72の構造を模式的に示す斜視図である。
図4(B)に示すように、固定ナット着脱ユニット72は、筐体62の第2収容部62bに収容されY軸の周りに回転するスピンドル74を備えている。
【0046】
スピンドル74の一端側(先端側)は、第2収容部62bの外部に露出している。一方、スピンドル74の他端側(基端側)には、スピンドル74を回転させるためのモータ(不図示)が連結されている。
【0047】
スピンドル74の先端には、円柱状に形成された基台76の第1底面76a側が固定されている。基台76の第2底面76bの外周部分には、4個の爪78aを含む固定ナット保持部78が設けられている。
【0048】
固定ナット保持部78の4個の爪78aで固定ナット48を把持し、切削ユニット移動機構18とオートブレードチェンジャ移動機構52とで切削ユニット14と固定ナット着脱ユニット72とを相対的に移動させつつスピンドル74を回転させれば、切削ユニット14のブレードマウント36に固定ナット48を取り付け、又は、ブレードマウント36から固定ナット48を取り外すことができる。
【0049】
図1に示すように、オートブレードチェンジャ50と隣接する位置には、切削ブレード42や固定ナット48を収容するブレードラック80が配置されている。オートブレードチェンジャ50は、例えば、ブレードラック80に収容された切削ブレード42や固定ナット48を保持して切削ユニット14のブレードマウント36に取り付ける。
【0050】
X軸移動機構、チャックテーブル10、切削ユニット14、切削ユニット移動機構18、オートブレードチェンジャ50、オートブレードチェンジャ移動機構52等の各構成要素は、制御装置(制御手段)82に接続されている。制御装置82は、被加工物を適切に切削できるように各部の動作を制御する。なお、この制御装置82には、各種の情報を記憶する記憶部(不図示)が設けられている。
【0051】
次に、本実施形態に係る位置調整治具について説明する。
図5(A)は、本実施形態に係る位置調整治具の第1の調整部材を模式的に示す斜視図であり、
図5(B)は、第1の調整部材を別の方向から見た斜視図であり、
図6(A)及び
図6(B)は、第1の調整部材がブレードマウント36(スピンドルの先端部)に装着される様子を模式的に示す一部断面平面図である。
【0052】
図5(A)及び
図5(B)に示すように、第1の調整部材(位置調整治具)84は、第1底面(第1の接触面)84aと、第1底面84aの反対側の第2底面(第1の調整面)84bと、を有する所定高さの円柱状に形成されている。第1の調整部材84の第1底面84a側には、ブレードマウント36のボス部40に対応する凹部84cが形成されている。
【0053】
凹部84cの内周面には、ボス部40の外周面40aに形成されたネジ山に対応するネジ溝が設けられている。
図6(A)及び
図6(B)に示すように、この凹部84cにボス部40の先端を締め込むことで、第1の調整部材84はブレードマウント36に装着される。
【0054】
図6(B)に示すように、第1の調整部材84をブレードマウント36に装着すると、第1底面84aはフランジ部38の支持面38aに接触する。一方、第2底面84bは、略平坦に形成されており、第1底面84aが支持面38aに接触した状態で切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1に対して垂直になる。また、第2底面84bの中心は、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1上(軸心C1の延長線上)に位置付けられる。
【0055】
図7(A)は、本実施形態に係る位置調整治具の第2の調整部材を模式的に示す斜視図であり、
図7(B)は、第2の調整部材を別の方向から見た図であり、
図8(A)及び
図8(B)は、第2の調整部材がブレード保持部70に装着される様子を模式的に示す一部断面平面図である。
【0056】
図7(A)及び
図7(B)に示すように、第2の調整部材(位置調整治具)86は、第1底面(第2の接触面)86aと、第1底面86aの反対側の第2底面(第2の調整面)86bと、を有する所定高さの円柱状に形成されている。第1底面86a及び第2底面86bは、略平坦である。また、第2底面86bは、第1の調整部材84の第2底面84bと同じ形状及び同じ大きさに形成されている。
【0057】
図8(A)及び
図8(B)に示すように、ブレード保持部70の押圧ピン70aを第2の調整部材86の第1底面86aに押し当てた後、3個の爪70bを内向きに移動させて第2の調整部材86を把持することで、第2の調整部材86はブレード保持部70に装着される。
【0058】
すなわち、
図8(B)に示すように、第2の調整部材86をブレード保持部70に装着すると、第1底面86aは押圧ピン70a及び爪70bに接触する。一方、第2底面86bは、切削ブレード着脱ユニット64が備えるアーム66の中心軸C2に対して垂直になる。また、第2底面86bの中心は、アーム66の中心軸C2上(中心軸C2の延長線上)に位置付けられる。
【0059】
ここで、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と、切削ブレード着脱ユニット64が備えるアーム66の中心軸C2とは、共にY軸方向に平行である。つまり、第2の調整部材86をブレード保持部70に装着すると、第2底面86bは、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1に対して垂直になり、第2底面86bの中心は、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と平行な直線上に位置付けられる。
【0060】
図9(A)は、本実施形態に係る位置調整治具の第3の調整部材を模式的に示す斜視図であり、
図9(B)は、第3の調整部材を別の方向から見た図であり、
図10(A)及び
図10(B)は、第3の調整部材が固定ナット保持部78に装着される様子を模式的に示す平面図である。
【0061】
図9(A)及び
図9(B)に示すように、第3の調整部材(位置調整治具)88は、第1底面(第3の接触面)88aと、第1底面88aの反対側の第2底面(第3の調整面)88bと、を有する所定高さの円柱状に形成されている。第1底面88aには、固定ナット保持部78を構成する4個の爪78aと係合する係合凸部88cが設けられている。第2底面88bは、略平坦であり、第1の調整部材84の第2底面84bと同じ形状及び同じ大きさに形成されている。
【0062】
図10(A)及び
図10(B)に示すように、4個の爪78aを第3の調整部材88の第1底面88aに押し当てた状態で内向きに移動させて係合凸部88cに係合させることで、第3の調整部材88は固定ナット保持部78に装着される。
【0063】
すなわち、
図10(B)に示すように、第3の調整部材88を固定ナット保持部78に装着すると、第1底面88aは爪78aに接触する。一方、第2底面88bは、固定ナット着脱ユニット72が備えるスピンドル74の軸心C3に対して垂直になる。また、第2底面88bの中心は、スピンドル74の軸心C3上(軸心C3の延長線上)に位置付けられる。
【0064】
ここで、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と、固定ナット着脱ユニット72が備えるスピンドル74の軸心C3とは、共にY軸方向に平行である。つまり、第3の調整部材88を固定ナット保持部78に装着すると、第2底面88bは、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1に対して垂直になり、第2底面88bの中心は、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と平行な直線上に位置付けられる。
【0065】
次に、本実施形態に係る位置調整治具を用いる位置調整方法について説明する。本実施形態に係る位置調整方法では、まず、第1の調整部材84をブレードマウント36(スピンドルの先端部)に装着する第1装着ステップを実施する。この第1装着ステップでは、上述のように、第1の調整部材84の凹部84cにブレードマウント36のボス部40を締め込む。これにより、第1の調整部材84の第1底面84aは、フランジ部38の支持面38aに接触する。
【0066】
また、第2の調整部材86をブレード保持部70に装着する第2装着ステップを実施する。この第2装着ステップでは、上述のように、ブレード保持部70の押圧ピン70aを第2の調整部材86の第1底面86aに押し当てた後、3個の爪70bを内向きに移動させる。これにより、第2の調整部材86の第1底面86aは、押圧ピン70a及び爪70bに接触する。
【0067】
さらに、第3の調整部材88を固定ナット保持部78に装着する第3装着ステップを実施する。この第3装着ステップでは、上述のように、4個の爪78aを第3の調整部材88の第1底面88aに押し当てた状態で内向きに移動させて係合凸部88cに係合させる。これにより、第3の調整部材88の第1底面88aは爪78aに接触する。なお、第1装着ステップ、第2装着ステップ、及び第3装着ステップを実施する順序は特に限定されない。
【0068】
第1装着ステップ、第2装着ステップ、及び第3装着ステップを実施した後には、切削ユニット14が備えるスピンドルに対する切削ブレード着脱ユニット64の位置を調整する切削ブレード着脱ユニット調整ステップ、及び切削ユニット14が備えるスピンドルに対する固定ナット着脱ユニット72の位置を調整する固定ナット着脱ユニット調整ステップを実施する。
【0069】
切削ブレード着脱ユニット調整ステップでは、まず、切削ユニット14が備えるスピンドルと切削ブレード着脱ユニット64とを、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1に対して垂直な方向(すなわち、Y軸方向に対して垂直なX軸方向及びZ軸方向)に相対的に移動させて、第1の調整部材84の第2底面84bと第2の調整部材86の第2底面86bとを対面させる第1の移動ステップを実施する。
【0070】
この第1の移動ステップでは、例えば、切削ユニット14が備えるスピンドルを切削ユニット移動機構18でZ軸方向に移動させ、オートブレードチェンジャ移動機構52で切削ブレード着脱ユニット64をX軸方向に移動させる。Y軸方向から見て第2底面84b及び第2底面86bの少なくとも一部が重なる位置に切削ユニット14が備えるスピンドル及び切削ブレード着脱ユニット64が位置付けられると、第1の移動ステップは終了する。
【0071】
第1の移動ステップを実施した後には、切削ユニット14が備えるスピンドルと切削ブレード着脱ユニット64とを、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と平行な方向(すなわち、Y軸方向)に相対的に移動させて、第1の調整部材84の第2底面84bと第2の調整部材86の第2底面86bとを接触させる第1の接触ステップを実施する。
【0072】
図11(A)は、第1の接触ステップを模式的に示す一部断面平面図である。この第1の接触ステップでは、例えば、切削ユニット14が備えるスピンドルを切削ユニット移動機構18でY軸方向に移動させる。第2底面84bと第2底面86bとが接触すると、第1の接触ステップは終了する。
【0073】
第1の接触ステップを実施した後には、第1の調整部材84の第2底面84bの外周縁と第2の調整部材86の第2底面86bの外周縁とのずれを確認する第1のずれ確認ステップを実施する。上述のように、第1の調整部材84の第2底面84bと第2の調整部材86の第2底面86bとは、同じ形状及び同じ大きさに形成されている。そのため、例えば、目視又は手指の接触によって第2底面84bの外周縁と第2底面86bの外周縁とのずれを確認できる。
【0074】
第1のずれ確認ステップを実施した後には、切削ユニット14が備えるスピンドルと切削ブレード着脱ユニット64とを、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1に対して垂直な方向に相対的に移動させて、第1の調整部材84の第2底面84bと第2の調整部材86の第2底面86bとが接触した状態で第2底面84bの外周縁と第2底面86bの外周縁とを一致させる第1の調整ステップを実施する。
【0075】
図11(B)及び
図11(C)は、第1の調整ステップを模式的に示す一部断面平面図である。この第1の調整ステップでは、例えば、切削ユニット14が備えるスピンドルを切削ユニット移動機構18でZ軸方向に移動させ、オートブレードチェンジャ移動機構52で切削ブレード着脱ユニット64をX軸方向に移動させる。
【0076】
切削ユニット14が備えるスピンドルと切削ブレード着脱ユニット64との相対的な移動量は、第1のずれ確認ステップで確認された第2底面84bの外周縁と第2底面86bの外周縁とのずれに応じて決定される。
図11(C)に示すように、第2底面84bの外周縁と第2底面86bの外周縁とが一致すると、第1の調整ステップは終了する。
【0077】
第1の調整ステップを実施した後には、第1の調整部材84の第2底面84bの外周縁と第2の調整部材86の第2底面86bの外周縁とが一致した状態で、切削ユニット14が備えるスピンドルの位置(座標)と切削ブレード着脱ユニット64の位置(座標)とを制御装置82の記憶部(不図示)に記憶する第1の記憶ステップを実施する。
【0078】
上述のように、第2底面84bの外周縁と第2底面86bの外周縁とを一致させることで、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と切削ブレード着脱ユニット64が備えるアーム66の中心軸C2とは同一の直線上に位置付けられる。そのため、この状態で切削ユニット14が備えるスピンドルの位置と切削ブレード着脱ユニット64の位置とを制御装置82の記憶部に記憶すれば、切削ブレード42を適切に着脱できるようになる。
【0079】
なお、第1の調整ステップを実施した後には、念のため、第1のずれ確認ステップを実施しても良い。仮に、ずれが確認された場合には、再び第1の調整ステップを実施してから第1の記憶ステップを実施すれば良い。
【0080】
固定ナット着脱ユニット調整ステップの手順も同様である。具体的には、まず、切削ユニット14が備えるスピンドルと固定ナット着脱ユニット72とを、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1に対して垂直な方向(すなわち、Y軸方向に対して垂直なX軸方向及びZ軸方向)に相対的に移動させて、第1の調整部材84の第2底面84bと第3の調整部材88の第2底面88bとを対面させる第2の移動ステップを実施する。
【0081】
この第2の移動ステップでは、例えば、切削ユニット14が備えるスピンドルを切削ユニット移動機構18でZ軸方向に移動させ、オートブレードチェンジャ移動機構52で固定ナット着脱ユニット72をX軸方向に移動させる。Y軸方向から見て第2底面84b及び第2底面88bの少なくとも一部が重なる位置に切削ユニット14が備えるスピンドル及び固定ナット着脱ユニット72が位置付けられると、第2の移動ステップは終了する。
【0082】
第2の移動ステップを実施した後には、切削ユニット14が備えるスピンドルと固定ナット着脱ユニット72とを、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と平行な方向(すなわち、Y軸方向)に相対的に移動させて、第1の調整部材84の第2底面84bと第3の調整部材88の第2底面88bとを接触させる第2の接触ステップを実施する。
【0083】
この第1の接触ステップでは、例えば、切削ユニット14が備えるスピンドルを切削ユニット移動機構18でY軸方向に移動させる。第2底面84bと第2底面88bとが接触すると、第2の接触ステップは終了する。
【0084】
第2の接触ステップを実施した後には、第1の調整部材84の第2底面84bの外周縁と第3の調整部材88の第2底面88bの外周縁とのずれを確認する第2のずれ確認ステップを実施する。上述のように、第1の調整部材84の第2底面84bと第3の調整部材88の第2底面88bとは、同じ形状及び同じ大きさに形成されている。そのため、例えば、目視又は手指の接触によって第2底面84bの外周縁と第2底面88bの外周縁とのずれを確認できる。
【0085】
第2のずれ確認ステップを実施した後には、切削ユニット14が備えるスピンドルと固定ナット着脱ユニット72とを、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1に対して垂直な方向に相対的に移動させて、第1の調整部材84の第2底面84bと第3の調整部材88の第2底面88bとが接触した状態で第2底面84bの外周縁と第2底面88bの外周縁とを一致させる第2の調整ステップを実施する。
【0086】
この第2の調整ステップでは、例えば、切削ユニット14が備えるスピンドルを切削ユニット移動機構18でZ軸方向に移動させ、オートブレードチェンジャ移動機構52で固定ナット着脱ユニット72をX軸方向に移動させる。
【0087】
切削ユニット14が備えるスピンドルと固定ナット着脱ユニット72との相対的な移動量は、第2のずれ確認ステップで確認された第2底面84bの外周縁と第2底面88bの外周縁とのずれに応じて決定される。第2底面84bの外周縁と第2底面88bの外周縁とが一致すると、第2の調整ステップは終了する。
【0088】
第2の調整ステップを実施した後には、第1の調整部材84の第2底面84bの外周縁と第3の調整部材88の第2底面88bの外周縁とが一致した状態で、切削ユニット14が備えるスピンドルの位置(座標)と固定ナット着脱ユニット72の位置(座標)とを制御装置82の記憶部(不図示)に記憶する第2の記憶ステップを実施する。
【0089】
上述のように、第2底面84bの外周縁と第2底面88bの外周縁とを一致させることで、切削ユニット14が備えるスピンドルの軸心C1と固定ナット着脱ユニット72が備えるスピンドル74の軸心C3とは同一の直線上に位置付けられる。そのため、この状態で切削ユニット14が備えるスピンドルの位置と固定ナット着脱ユニット72の位置とを制御装置82の記憶部に記憶すれば、固定ナット48を適切に着脱できるようになる。
【0090】
なお、第2の調整ステップを実施した後には、念のため、第2のずれ確認ステップを実施しても良い。仮に、ずれが確認された場合には、再び第2の調整ステップを実施してから第2の記憶ステップを実施すれば良い。また、切削ブレード着脱ユニット調整ステップ、及び固定ナット着脱ユニット調整ステップを実施する順序は特に限定されない。
【0091】
以上のように、本実施形態に係る位置調整治具は、ブレードマウント36(スピンドルの先端部)に装着される第1の調整部材84の第2底面(第1の調整面)84bと、切削ブレード着脱ユニット(切削ブレード着脱手段)64のブレード保持部70に装着される第2の調整部材86の第2底面(第2の調整面)86bと、固定ナット着脱ユニット(固定ナット着脱手段)72の固定ナット保持部78に装着される第3の調整部材88の第2底面(第3の調整面)88bとが、同じ形状、及び同じ大きさに形成されているので、第2底面84bと第2底面86bとを接触させた上で第2底面84bの外周縁と第2底面86bとの外周縁とを一致させ、また、第2底面84bと第2底面88bとを接触させた上で第2底面84bの外周縁と第2底面88bとの外周縁とを一致させるだけで、切削ユニット14が備えるスピンドルに対する切削ブレード着脱ユニット64及び固定ナット着脱ユニット72の位置を容易に調整できる。
【0092】
なお、上記実施形態に係る構成、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。