特許第6403722号(P6403722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6403722基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6403722
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20181001BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20181001BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20181001BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20181001BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20181001BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01L21/31 C
   H01L21/68 A
   H01L21/302 101G
   H01L21/316 X
   H01L21/02 Z
   C23C16/52
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-143329(P2016-143329)
(22)【出願日】2016年7月21日
(65)【公開番号】特開2018-14427(P2018-14427A)
(43)【公開日】2018年1月25日
【審査請求日】2017年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】水口靖裕
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−159981(JP,A)
【文献】 特開2008−135517(JP,A)
【文献】 特開2017−183545(JP,A)
【文献】 特開2014−082470(JP,A)
【文献】 特開2000−252179(JP,A)
【文献】 特開昭64−064213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/3065
H01L 21/31
H01L 21/316
H01L 21/677
C23C 16/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するリアクタを複数有するモジュールと、
複数の前記モジュールと隣接する搬送室と、
前記基板を、前記モジュールに搬送する搬送部と、
前記基板のプロセス情報を受信する受信部と、
複数の前記リアクタの共通部品に対応した共通部品品質情報と、前記リアクタごとの部品に対応したリアクタ品質情報とで構成される品質情報を検出する検出部と、
複数の前記プロセス情報と複数の前記品質情報とが対応したテーブルと、
前記テーブルを記憶する記憶部と、
前記受信部が受信した前記プロセス情報と、前記検出部が検出した前記品質情報とを前記テーブルを用いて比較し、前記プロセス情報に対応した前記モジュールを選択すると共に、前記選択されたモジュールに前記基板を搬送するよう前記搬送部に指示するコントローラと
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、更に複数のプロセスレシピを記憶し、
前記コントローラは、前記品質情報に応じてプロセスレシピを選択する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記品質情報は複数のレベルを有し、前記コントローラは、前記モジュールを選択する際、前記検出部で検出した品質情報が前記プロセス情報で要求しているレベルを満たすか否かを判断する請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記品質情報として前記モジュールを構成する部品の稼働時間または前記モジュールにおけるウエハ累積処理枚数を検出する請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記モジュールは、前記基板を処理するリアクタと、前記リアクタにガスを供給するガス供給系と、前記リアクタからガスを排気する排気系とを有し、
前記検出部が前記モジュールの稼働時間を検出する際は、前記ガス供給系または前記排気系の稼働時間を検出する、請求項1から請求項4のうち、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
受信部が、基板のプロセス情報を受信する工程と、
搬送室に隣接する複数のモジュールそれぞれが有する複数のリアクタにおいて基板を処理する工程と、
複数の前記リアクタの共通部品に対応した共通部品品質情報と、前記リアクタごとの部品に対応したリアクタ品質情報とで構成される品質情報を検出部が検出する工程と、
記憶部に記憶されている複数の前記プロセス情報と複数の前記品質情報とが対応したテーブルを読み出す工程と、
前記受信部が受信した前記プロセス情報と、前記検出部が検出した前記品質情報とを、
前記テーブルを用いて比較する工程と、
前記プロセス情報に対応した前記モジュールを選択すると共に、前記選択されたモジュールに前記基板を搬送する工程と、
搬送先の前記モジュールにて前記基板を処理する工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項7】
受信部が、基板のプロセス情報を受信する手順と、
搬送室に隣接する複数のモジュールそれぞれが有する複数のリアクタにおいて基板を処理する手順と、
複数の前記リアクタの共通部品に対応した共通部品品質情報と、前記リアクタごとの部品に対応したリアクタ品質情報とで構成される品質情報を検出部が検出する手順と、
記憶部に記憶されている複数の前記プロセス情報と複数の前記品質情報とが対応したテーブルを読み出す手順と、
前記受信部が受信した前記プロセス情報と、前記検出部が検出した前記品質情報とを、
前記テーブルを用いて比較する手順と、
前記プロセス情報に対応した前記モジュールを選択すると共に、前記選択されたモジュールに前記基板を搬送する手順と、
搬送先の前記モジュールにて前記基板を処理する手順と
を基板処理装置に実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程で用いられる基板処理装置の一態様としては、例えばリアクタを有するモジュールを備えた装置がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012―54536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の半導体装置では、多くの膜種が用いられている。ここで膜種とは、例えばシリコン酸化膜等、半導体装置において繰り返し使用される膜をいう。半導体装置では、同じ膜種を繰り返し用いているが、それらの膜は、膜を処理するプロセス毎に膜厚や膜密度等の膜質が異なる。基板処理装置でそれぞれの膜を処理する際、膜種や膜質毎の要求に応える必要がある。
【0005】
ここで半導体装置としては、例えば2D構造のメモリや、3D構造のメモリ等を指す。また、プロセスとは、例えば、積層される回路層の層間を絶縁し、酸化膜で構成される層間絶縁膜の形成プロセスや微細ピッチのパターンを形成するダブルパターニング処理のための酸化膜形成プロセス等を指す。
【0006】
一般的な基板処理装置では、装置の使用効率の問題から、基板処理装置に供給するガス種を固定し、同じ膜種・膜質の膜を処理している。従って、各装置では同じ条件で基板を処理することが求められており、そのために各モジュールの処理条件を等しくするよう運用されている。従って、膜質の異なる複数のプロセスを一つの基板処理装置で処理することは困難であった。
【0007】
それを解決する方法として、プロセス毎に基板処理装置を準備することが考えられるが、工場内のフットプリントには限界があるため、多くの基板処理装置を準備することは困難である。
【0008】
そこで本発明は、プロセスの種類に制限されること無く基板処理可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、本発明の一態様によれば、基板を処理するモジュールと、複数の前記モジュールと隣接する搬送室と、前記基板を、前記モジュールに搬送する搬送部と、前記基板のプロセス情報を受信する受信部と、前記モジュール毎の品質情報を検出する検出部と、複数の前記プロセス情報と複数の前記品質情報とが対応したテーブルと、前記テーブルを記憶する記憶部と、前記受信部が受信した前記プロセス情報と、前記検出部が検出した前記品質情報とを前記テーブルを用いて比較し、前記プロセス情報に対応した前記モジュールを選択すると共に、前記選択されたモジュールに前記基板を搬送するよう前記搬送部に指示するコントローラとを有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プロセスの種類に制限されること無く基板処理可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図3】本発明の実施形態に係るポッドを説明する説明図である。
図4】本発明の実施形態に係るロボットを説明する説明図である。
図5】本発明の実施形態に係るコントローラを説明する説明図である。
図6】本発明の実施形態に係るプロセスモジュールを説明する説明図である。
図7】本発明の実施形態に係るリアクタの概略構成例を示す説明図である。
図8】本発明の実施形態に係る基板処理装置を説明する説明図である。
図9】本発明の実施形態に係るテーブルの一例を説明する説明図である。
図10】本発明の実施形態に係るテーブルの一例を説明する説明図である。
図11】本発明の実施形態に係るテーブルの一例を説明する説明図である。
図12】本発明の実施形態に係る基板処理フローを説明するフロー図である。
図13】本発明の実施形態に係る基板処理フローを説明するフロー図である。
図14】本発明の実施形態に係る基板処理フローを説明するフロー図である。
図15】本発明の実施形態に係る基板処理フローを説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
[本発明の第一実施形態]
先ず、本発明の第一実施形態について説明する。
【0014】
(1)基板処理装置の構成
本発明の一実施形態に係る基板処理装置の概要構成を、図1図2を用いて説明する。図1は本実施形態に係る基板処理装置の構成例を示す横断面図である。図2は、本実施形態に係る基板処理装置の構成例を示し、図1α−α’における縦断面図である。
【0015】
図1および図2において、本発明が適用される基板処理装置100は基板としてのウエハ200を処理するもので、IOステージ110、大気搬送室120、ロードロック室130、真空搬送室140、モジュールPMで主に構成される。次に各構成について具体的に説明する。図1の説明においては、前後左右は、X1方向が右、X2方向が左、Y1方向が前、Y2方向が後とする。
【0016】
(大気搬送室・IOステージ)
基板処理装置100の手前には、IOステージ(ロードポート)110が設置されている。IOステージ110上には複数のポッド111が搭載されている。ポッド111はシリコン(Si)基板などのウエハ200を搬送するキャリアとして用いられる。ポッド111内には、図3に記載のようにウエハ200を多段に水平姿勢で支持する支持部113が設けられている。
【0017】
ポッド111内に格納されたウエハ200にはウエハ番号が付与されている。( )がウエハ番号である。図3においては、例えば下から順にW(1)、・・・、W(j)、W(j+1)、・・・、W(k)(1<j<k)と設定される。後述するように、これらのウエハ番号は後述するプロセス情報とリンクされる。
【0018】
ポッド111にはキャップ112が設けられ、ポッドオープナ121によって開閉される。ポッドオープナ121は、IOステージ110に載置されたポッド111のキャップ112を開閉し、基板出し入れ口を開放・閉鎖することにより、ポッド111に対するウエハ200の出し入れを可能とする。ポッド111は図示しないAMHS(Automated Material Handling Systems、自動ウエハ搬送システム)によって、IOステージ110に対して、供給および排出される。
【0019】
IOステージ110は大気搬送室120に隣接する。大気搬送室120は、IOステージ110と異なる面に、後述するロードロック室130が連結される。大気搬送室120内にはウエハ200を移載する大気搬送ロボット122が設置されている。
【0020】
大気搬送室120の筐体127の前側には、ウエハ200を大気搬送室120に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口128と、ポッドオープナ121とが設置されている。大気搬送室120の筐体127の後ろ側には、ウエハ200をロードロック室130に搬入搬出するための基板搬入出口129が設けられる。基板搬入出口129は、ゲートバルブ133によって開放・閉鎖することにより、ウエハ200の出し入れを可能とする。
【0021】
(ロードロック室)
ロードロック室130は大気搬送室120に隣接する。ロードロック室130を構成する筐体131が有する面のうち、大気搬送室120と異なる面には、後述する真空搬送室140が配置される。
【0022】
ロードロック室130内にはウエハ200を載置する載置面135を、少なくとも二つ有する基板載置台136が設置されている。基板載置面135間の距離は、後述するロボット170のアームが有するエンドエフェクタ間の距離に応じて設定される。
【0023】
(真空搬送室)
基板処理装置100は、負圧下でウエハ200が搬送される搬送空間となる搬送室としての真空搬送室(トランスファモジュール)140を備えている。真空搬送室140を構成する筐体141は平面視が五角形に形成され、五角形の各辺には、ロードロック室130及びウエハ200を処理するモジュール(以下PMと呼ぶ。)であるPM1〜PM4が連結されている。真空搬送室140の略中央部には、負圧下でウエハ200を移載(搬送)する搬送部としての搬送ロボット170がフランジ144を基部として設置されている。
【0024】
真空搬送室140内に設置される真空搬送ロボット170は、エレベータ145およびフランジ144によって真空搬送室140の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。ロボット170が有する二つのアーム180は昇降可能なよう構成されている。尚、図2においては、説明の便宜上、アーム180のエンドエフェクタを表示し、他の構造である第一リンク構造等は省略している。
【0025】
PM1、PM2、PM3、PM4のそれぞれには、リアクタ(以下RCと呼ぶ。)が設けられている。具体的には、PM1にはRC1、RC2が設けられる。PM2にはRC3、RC4が設けられる。PM3にはRC5、RC6が設けられる。PM4にはRC7、RC8が設けられる。
【0026】
PMに設けられる二つのRCは、後述する処理空間205の雰囲気が混在しないよう、RCの間に隔壁を設け、各処理空間205が独立した雰囲気となるよう構成されている。
【0027】
筐体141の側壁のうち、各RCと向かい合う壁には基板搬入出口148が設けられる。例えば、図2に記載のように、RC5と向かい合う壁には、基板搬入搬出口148(5)が設けられる。更には、ゲートバルブ149がRCごとに設けられる。例えば、RC5にはゲートバルブ149(5)が設けられる。なお、RC1からRC4、RC6からRC8もRC5と同様の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0028】
続いて、真空搬送室140に搭載されるロボット170について、図4を用いて説明する。図4図1のロボット170を拡大した図である。
【0029】
ロボット170は、二つのアーム180を備える。
【0030】
アーム180は、主にエンドエフェクタ181と、エンドエフェクタ182と、第一リンク構造183と、第二リンク構造185と、第三リンク構造187と、それらを接続するための軸を有する。第三リンク構造187は、回転可能な状態でフランジ144に固定される。
【0031】
図2に戻ると、エレベータ145内には、アーム180の昇降や回転を制御するアーム制御部171が内蔵される。アーム制御部171は、軸188を支持する支持軸171aと、支持軸171aを昇降させたり回転させたりする作動部171bを主に有する。フランジ144のうち、軸188と支持軸171aの間には穴が設けられており、支持軸171aは軸188を直接支持するよう構成される。作動部171bは、例えば昇降を実現するためのモータを含む昇降機構171cと、支持軸171aを回転させるための歯車等の回転機構171dを有する。尚、エレベータ145内には、アーム制御部171の一部として、作動部171bに昇降・回転支持するための指示部171eを設けても良い。指示部171eはコントローラ280に電気的に接続される。指示部171eはコントローラ280の指示に基づいて、作動部171bを制御する。
【0032】
アーム180は、軸を中心とした回転や延伸が可能である。回転や延伸を行うことで、RC内にウエハ200を搬送したり、RC内からウエハ200を搬出したりする。更には、コントローラ280の指示に応じて、ウエハ番号に応じたRCにウエハを搬送可能とする。
【0033】
(コントローラ)
基板処理装置100は、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。
【0034】
コントローラ280の概略を図5に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)280a、RAM(Random Access Memory)280b、記憶部としての記憶装置280c、I/Oポート280dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM280b、記憶装置280c、I/Oポート280dは、内部バス280fを介して、CPU280aとデータ交換可能なように構成されている。基板処理装置100内のデータの送受信は、CPU280aの一つの機能でもある送受信指示部280eの支持により行われる。
【0035】
コントローラ280には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置281や、外部記憶装置282が接続可能に構成されている。更に、上位装置270にネットワークを介して接続される受信部283が設けられる。受信部283は、上位装置からポッド111に格納されたウエハ200のプロセス情報等を受信することが可能である。プロセス情報については後述する。
【0036】
記憶装置280cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置280c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、後述するテーブル等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM280bは、CPU280aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0037】
I/Oポート280dは、各ゲートバルブ149、後述するリアクタに設けられた将校機構218、各圧力調整器、各ポンプ、各センサ291、292、アーム制御部170等、基板処理装置100の各構成に接続されている。
【0038】
CPU280aは、記憶装置280cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置281からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU280aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ149の開閉動作、ロボット170の動作、昇降機構218の昇降動作、センサ291、292の動作、各ポンプのオンオフ制御、マスフローコントローラの流量調整動作、バルブ等を制御可能に構成されている。更には各RCのウエハ処理回数等をカウントする。
【0039】
なお、コントローラ280は、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、DVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)282を用いてコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置282を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置282を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置280cや外部記憶装置282は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置280c単体のみを含む場合、外部記憶装置282単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0040】
(2)モジュールの構成
次に、PM1〜PM4とRC1〜RC8の構成について説明する。PM1〜PM4はそれぞれ同様の構成であるため、ここではPMとして説明する。また、RC1〜RC8もそれぞれ同様の構成であるため、ここではRCとして説明する。
【0041】
(モジュール)
PMについて、図1図2図6を例にして説明する。図6図1のβ−β’の断面図であり、PMを構成するRC、ガス供給系、ガス排気系との関連を説明する説明図である。なお、本実施形態においては、RCとガス供給系とガス排気系をまとめてPMと呼ぶ。
【0042】
PMは筐体203を有する。筐体203内には、雰囲気が隔離された二つのRCが設けられる。ここでは二つのRCをRCRとRCLとする。例えば、PM3においては、RCLはRC6であり、RCRはRC5に相当する。
【0043】
各RCの内側にはウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。
【0044】
RCRとRCLには、処理ガスを供給するガス供給系310が設けられている。ガス供給系310はガス供給管311を備える。ガス供給管311には、上流にガス源312が設けられ下流にRCR、RCLが設けられている。ガス供給管311はRCに向かって分配されている。ここでは、分配前のガス供給管、即ちガス源312側のガス供給管311をガス供給管311aと呼び、分配後のガス供給管、即ちRC側のガス供給管311をガス供給管311bと呼ぶ。
【0045】
ガス供給管311aにはマスフローコントローラ313が設けられる。ガス供給管311bの下流端はRCRに設けられたガス供給孔321、RCLに設けられたガス供給孔322に連通するよう、各RCに接続される。更にガス供給管311bには、各RCに対応したバルブ314が設けられる。なお、ガス供給管311aにはリモートプラズマユニット315を設けても良い。ガス供給管311、マスフローコントローラ313、バルブ314をまとめてガス供給系と呼ぶ。
【0046】
本実施形態においては、マスフローコントローラ313やリモートプラズマユニット315をガス供給管311aに設けたが、それに限るものではなく、各RCに対応するよう、ガス供給管311bに設けてもよい。また、本実施形態における基板処理装置は、図7に記載のように少なくとも三つのガス供給系を有しているが、図6においては説明の便宜上、一つのガス供給系を記載している。
【0047】
PMには、RCRとRCLからガスを排気するガス排気系340が設けられる。ガス排気系340を構成する排気管は、RCRの排気孔331と連通するように設けられる排気管341と、RCLの排気孔332と連通するように設けられる排気管342と、排気管341と排気管342が合流する合流管343を有する。合流管343には、上流から圧力調整器344と、ポンプ345が設けられ、ガス供給系310との協働で各チャンバ内の圧力を調整している。
【0048】
上記構成のうち、RCRとRCLとで共通する部品をモジュールの共通部品と呼ぶ。例えば上記実施例においては、マスフローコントローラ313、圧力調整器344を共通部品と呼ぶ。なお、RCRとRCLとで共通する部品であればよく、例えばリモートプラズマユニット315を共通部品としてもよい。更には、ガス源312、ポンプ345を共通部品としてもよい。
【0049】
図7は、第一実施形態に係る基板処理装置のRCの概略構成の一例を模式的に示す説明図である。
【0050】
(容器)
図例のように、RCは、容器202を備えている。容器202は、図1図6に記載のように隣接するRCを有するが、ここでは説明の便宜上、隣接するRCを省略する。
【0051】
容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料により構成されている。容器202内には、シリコンウエハ等のウエハ200を処理する処理空間205と、ウエハ200を処理空間205に搬送する際にウエハ200が通過する搬送空間206とが形成されている。容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切り板208が設けられる。
【0052】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ149に隣接した基板搬入出口148が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口148を介して搬送室141との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0053】
処理空間205には、ウエハ200を支持する基板支持部210が配される。基板支持部210は、ウエハ200を載置する基板載置面211と、基板載置面211を表面に持つ基板載置台212、基板載置台212内に設けられた加熱源としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0054】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、容器202の底部を貫通しており、さらに容器202の外部で昇降部218に接続されている。
【0055】
昇降部218はシャフト217を支持する支持軸218aと、支持軸218aを昇降させたり回転させたりする作動部218bを主に有する。作動部218bは、例えば昇降を実現するためのモータを含む昇降機構218cと、支持軸218aを回転させるための歯車等の回転機構218dを有する。
【0056】
昇降部218には、昇降部218の一部として、作動部218bに昇降・回転指示するための指示部218eを設けても良い。指示部218eはコントローラ280に電気的に接続される。指示部218eはコントローラ280の指示に基づいて、作動部218bを制御する。
【0057】
昇降部218を作動させてシャフト217および支持台212を昇降させることにより、基板載置台212は、載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、これにより処理空間205内は気密に保持されている。
【0058】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、基板載置面211が基板搬入出口148に対向する位置まで下降し、ウエハ200の処理時には、図7で示されるように、ウエハ200が処理空間205内の処理位置となるまで上昇する。
【0059】
処理空間205の上部(上流側)には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド230が設けられている。シャワーヘッド230の蓋231には貫通孔231aが設けられる。貫通孔231aは後述するガス供給管242と連通する。
【0060】
シャワーヘッド230は、ガスを分散させるための分散機構としての分散板234を備えている。この分散板234の上流側がバッファ空間232であり、下流側が処理空間205である。分散板234には、複数の貫通孔234aが設けられている。分散板234は、基板載置面211と対向するように配置されている。分散板234は例えば円盤状に構成される。貫通孔234aは分散板234の全面にわたって設けられている。
【0061】
上部容器202aはフランジを有し、フランジ上に支持ブロック233が載置され、固定される。支持ブロック233はフランジ233aを有し、フランジ233a上には分散板234が載置され、固定される。更に、蓋231は支持ブロック233の上面に固定される。
【0062】
(供給部)
ここで説明する容器202の供給部は、図6のガス供給系310と同様の構成であり、一つのチャンバに対応した構成をより詳細に説明するものである。
【0063】
シャワーヘッド230の蓋231に設けられたガス導入孔231a(図6のガス供給孔321もしくは322に相当。)と連通するよう、蓋231には共通ガス供給管242が接続される。共通ガス供給管242は図6のガス供給管311に相当する。
【0064】
共通ガス供給管242には、第一ガス供給管243a、第二ガス供給管244a、第三ガス供給管245aが接続されている。第二ガス供給管244aは共通ガス供給管242に接続される。
【0065】
(第一ガス供給系)
第一ガス供給管243aには、上流方向から順に、第一ガス源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、及び開閉弁であるバルブ243dが設けられている。
【0066】
第一ガス源243bは第一元素を含有する第一ガス(「第一元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第一元素含有ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。ここで、第一元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第一元素含有ガスは、例えばシリコン含有ガスである。具体的には、シリコン含有ガスとして、ヘキサクロロジシラン(SiCl。HCDとも呼ぶ。)ガスが用いられる。
【0067】
主に、第一ガス供給管243a、マスフローコントローラ243c、バルブ243dにより、第一ガス供給系243(シリコン含有ガス供給系ともいう)が構成される。
【0068】
(第二ガス供給系)
第二ガス供給管244aには、上流方向から順に、第二ガス源244b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)244c、及び開閉弁であるバルブ244dが設けられている。
【0069】
第二ガス源244bは第二元素を含有する第二ガス(以下、「第二元素含有ガス」とも呼ぶ。)源である。第二元素含有ガスは、処理ガスの一つである。なお、第二元素含有ガスは、反応ガスまたは改質ガスとして考えてもよい。
【0070】
ここで、第二元素含有ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。本実施形態では、第二元素含有ガスは、例えば酸素含有ガスであるとする。具体的には、酸素含有ガスとして、酸素(O)ガスが用いられる。
【0071】
ウエハ200をプラズマ状態の第二ガスで処理する場合、第二ガス供給管にリモートプラズマユニット244eを設けてもよい。リモートプラズマユニット244eは図6におけるリモートプラズマユニット315に相当する構成である。
【0072】
リモートプラズマユニット244eには、配線251が接続される。配線251の上流側には電源253が設けられ、リモートプラズマユニット244eと電源253の間には周波数整合器252が設けられる。電源253からの電力供給と共に、周波数整合器252によるマッチング用パラメータの調整を行い、リモートプラズマユニット244eでプラズマを生成する。なお、本実施形態においては、リモートプラズマユニット244e、配線251、周波数整合器252をまとめてプラズマ生成部と呼ぶ。プラズマ生成部に電源253を加えてもよい。
【0073】
主に、第二ガス供給管244a、マスフローコントローラ244c、バルブ244dにより、第二ガス供給系244(酸素含有ガス供給系ともいう)が構成される。
【0074】
(第三ガス供給系)
第三ガス供給管245aには、上流方向から順に、第三ガス源245b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)245c、及び開閉弁であるバルブ245dが設けられている。
【0075】
第三ガス源245bは不活性ガス源である。不活性ガスは、例えば、窒素(N)ガスである。
【0076】
主に、第三ガス供給管245a、マスフローコントローラ245c、バルブ245dにより、第三ガス供給系245が構成される。
【0077】
不活性ガス源245bから供給される不活性ガスは、基板処理工程では、容器202やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。
【0078】
(排気系)
排気系は、図6における排気系340に相当する構成である。
容器202の雰囲気を排気する排気系は、容器202に接続された複数の排気管を有する。具体的には、バッファ空間232に接続される排気管(第1排気管)263と、処理空間205に接続される排気管(第2排気管)262と、搬送空間206に接続される排気管(第3排気管)261とを有する。また、各排気管261,262,263の下流側には、排気管(第4排気管)264が接続される。
【0079】
排気管261は、搬送空間206の側方あるいは下方に設けられる。排気管261には、ポンプ264(TMP。Turbo Morecular Pump)が設けられる。排気管261においてポンプ264の上流側には搬送空間用第一排気バルブとしてのバルブ265が設けられる。
【0080】
排気管262は、処理空間205の側方に設けられる。排気管262には、処理空間205内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(AutoPressure Controller)266が設けられる。APC266は開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ280からの指示に応じて排気管262のコンダクタンスを調整する。また、排気管262においてAPC266の上流側にはバルブ267が設けられる。排気管262とバルブ267、APC266をまとめて処理室排気系と呼ぶ。
【0081】
排気管263は、処理空間205側の面と異なる面に接続される。排気管263には、バルブ268が備えられる。排気管263、バルブ268をまとめてシャワーヘッド排気系と呼ぶ。
【0082】
排気管264には、DP(Dry Pump。ドライポンプ)269が設けられる。図示のように、排気管264には、その上流側から排気管263、排気管262、排気管261が接続され、さらにそれらの下流にDP269が設けられる。DP269は、排気管262、排気管263、排気管261のそれぞれを介してバッファ空間232、処理空間205および搬送空間206のそれぞれの雰囲気を排気する。また、DP269は、TMP264が動作するときに、その補助ポンプとしても機能する。すなわち、高真空(あるいは超高真空)ポンプであるTMP264は、大気圧までの排気を単独で行うのは困難であるため、大気圧までの排気を行う補助ポンプとしてDP269が用いられる。上記した排気系の各バルブには、例えばエアバルブが用いられる。
【0083】
(センサ)
各PMには品質情報を検出する検出部としてのセンサが設けられている。具体的には、図8に記載のように、共通部品の品質情報を検出する共通センサ291と、RC個別の部品の品質情報を検出するRCセンサ292が設けられている。
【0084】
図8を用いて説明すると、PM1には共通部品センサ291(1)と、RC1の品質情報を検出するRCセンサ292(1)とRC2の品質情報を検出するRCセンサ292(2)が設けられる。PM2も同様に、共通部品センサ291(2)と、RC3の品質情報を検出するRCセンサ292(3)とRC4の品質情報を検出するRCセンサ292(4)が設けられる。PM3も同様に、共通部品センサ291(3)と、RC5の品質情報を検出するRCセンサ292(5)とRC6の品質情報を検出するRCセンサ292(6)が設けられる。PM4も同様に、共通部品センサ291(4)と、RC7の品質情報を検出するRCセンサ292(7)とRC8の品質情報を検出するRCセンサ292(8)が設けられる。各センサはコントローラ280と電気的に接続され、各センサが検出した情報はコントローラ280が受信するよう構成される。
【0085】
(テーブル)
続いて、記憶部280cに記憶されるテーブルについて、図9図10図11を用いて説明する。
【0086】
図9に記載のデータテーブルは、各PMと品質情報との関係を表したテーブルである。品質情報としては、モジュール品質情報とウエハ品質情報が存在する。モジュール品質情報はPMに関連する品質情報であり、RCの品質情報であるリアクタ品質情報(以下RC品質情報と呼ぶ。)と、二つのRCに共通する部品である共通部品の共通部品品質情報が存在する。なお、A1…K8は最新の品質情報データが格納される領域である。
【0087】
RC品質情報は、各RCにおける品質情報である。例えば、ウエハ200を処理した累積数である「ウエハ累積処理枚数」、プラズマ生成部を構成する部品(例えば周波数整合器252)の累積稼働時間等を示す「プラズマ制御系」、ガス供給系/排気系を構成する部品(例えばバルブ)の稼働時間や、稼動した結果の圧力や開口度の情報を示す「ガス供給/排気系」である。RC品質情報は、センサ292(1)から292(8)によりリアルタイムで検出される。各センサで検出された検出値はデータテーブルのA1…D8に格納される。例えば、センサ292(1)によってプラズマ制御系の品質情報を検出したら、コントローラ280はそれらの品質情報データを受信し、データテーブルのB1に品質情報データを書き込む。
【0088】
共通部品品質情報は、PMが有する各RCの共通部品の情報である。「共通部品品質情報」とは、例えばこれら共通部品であるガス供給系/排気系を構成する部品(例えばマスフローコントローラ、ポンプ)の稼動時間や、稼動した結果の圧力や開口度の情報である。共通部品品質情報は、センサ291(1)から291(4)により検出される。各センサで検出された検出値はデータテーブルのE1…F4に格納される。例えば、センサ291(1)によって共通ガス供給/排気系の品質情報データを検出したら、受信したコントローラ280はデータテーブルのE1に品質情報データを書き込む。
【0089】
なお、本実施形態においては、品質情報をセンサ292によって検出した例を説明したが、それに限るものではなく、例えばウエハ累積処理枚数等の制御系の情報に関しては、コントローラ280が直接カウントしてもよい。この場合、コントローラ280を検出部と呼んでもよい。
【0090】
次にウエハ品質情報を説明する。ウエハ品質情報は、処理後のウエハの品質であり、例えば単位面積当たりの「パーティクル数」や、ウエハの処理分布を示す「ウエハ面内分布」、ウエハ200上に形成された膜の「屈折率」、ウエハ200上に形成された膜の「膜応力」を示す。なお、ウエハの処理分布とは、例えば膜厚分布や膜密度であったり、不純物の濃度分布であったりする。検出された検出データはデータテーブルのG1…K8に格納される。
【0091】
ウエハ品質情報を本実施形態における基板処理装置100で検出できない場合、以前に同チャンバで処理したウエハ200の品質情報を他の検出装置にて検出し、その検出された情報を、上位装置270を介して受信部283が受信してもよい。例えばRC1で処理したウエハのパーティクル数に関する情報であれば、上位装置から、以前にRC1で処理したウエハのパーティクル数に関する品質情報を受信し、受信した品質情報データをデータテーブルのG1に書き込む。
【0092】
続いて、図10に記載の定義テーブル1について説明する。定義テーブル1はウエハ200のプロセス情報と、品質情報とを比較したものである。
【0093】
まずプロセス情報について説明する。プロセス情報とは、基板処理装置100で処理するウエハ200のプロセス(工程)をあらわしている。例えば、ダブルパターニング工程における酸化膜形成プロセスや、酸化膜で構成される層間絶縁膜形成プロセス、酸化膜形成で構成される配線間絶縁膜プロセス等である。いずれも同種のガスを用いてシリコン酸化膜(SiO膜)を形成するプロセスである。
【0094】
それぞれのプロセスではシリコン酸化膜を形成するものの、要求される膜質が異なることが知られている。例えば、ダブルパターニング工程においては、パーティクルの少ないシリコン酸化膜が求められている。シリコン酸化膜中の不純物がエッチングに悪影響を与え、その結果微細パターンを形成することができないためである。従って、パーティクルが少ないリアクタでウエハ200を処理することが望ましい。
【0095】
また、層間絶縁膜形成プロセスにおいては、ある程度のパーティクルの除去が必要であるが、一方でダブルパターニング工程ほど不純物の影響を受けることが無い。層間絶縁膜を形成した後、層間絶縁膜そのものを研磨するなど、他の膜に影響を及ぼしにくいためである。従って、前述のダブルパターニング工程のレベルではないが、比較的パーティクルが少ないリアクタでウエハ200を処理することが望ましい。
【0096】
また、配線間絶縁膜形成工程においては、ウエハ200に膜を形成する際、ウエハ200上に所望量のプラズマで改質することが求められている。具体的には次の理由による。一般的に知られているように、近年の微細化に伴い配線間が近づいている。その配線間には配線間絶縁膜を形成するが、そこに不純物が多く含まれると、抵抗値が変化したりして、ウエハ面内における膜質を均一な状態にできない恐れがある。配線間絶縁膜を形成する場合、例えば不純物が含まれた第一ガスで膜を形成し、続いて不純物を除去する第二ガスで膜を改質している。従って、改質する工程においては、不純物を均一に脱離させる程度のプラズマが生成されるRCでウエハ200を処理することが望ましい。また、プラズマ生成部による異常放電等により容器内部がエッチングされ、それが膜中に進入することが考えられる。この場合、隣接する配線同士が銅通するおそれがある。そのため、安定したプラズマ生成が求められる。
【0097】
このようにリアクタは、プロセスに応じて求められる環境が異なる。そこで、定義テーブル1では、プロセス情報に応じた品質情報を明確にしている。例えばパーティクルが少ないリアクタで処理する場合は、品質情報として「ウエハ累積処理枚数」が選択される。一つのチャンバでウエハの累積処理枚数が多いと、ガスが装置の内壁等に付着し、それが剥がれ落ちてパーティクルとなるためである。また、所望量のプラズマが生成されるリアクタで処理する場合は、品質情報として「プラズマ制御系」が選択される。プラズマ制御系が劣化した場合、所望量のプラズマを生成できないためである。
【0098】
このようにして、上位装置から受信したウエハ200のプロセス情報は定義テーブル1にて比較され、どの品質情報に基づいて優先的に処理されるかが決定される。この処理はポッド111に格納された各ウエハ200で行う。
【0099】
以上の選択方法について具体的に説明すると、例えば、W(j)のウエハ200がプロセス1(図10におけるP1。以下P1と呼ぶ。)である場合、「ウエハ累積処理枚数」情報に基づいて処理することが決定される。W(j)のウエハ200がP2(図10におけるP2。以下P2と呼ぶ。)である場合も同様に、「ウエハ累積処理枚数」情報に基づいて処理することが決定される。W(j)のウエハ200がプロセス7(図10におけるP7。以下P7と呼ぶ。)である場合、「共通ガス/排気系」情報に基づいて処理することが決定される。なお、W(j)がプロセス0(以下P0(Pゼロ))の場合、品質情報に基づかない処理として決定される。
【0100】
続いて、図11に記載の定義テーブル2について説明する。定義テーブル2は品質情報の最新のデータとPMごとに設定されたテーブル群を比較したものである。ここでは、データテーブルで格納された最新のデータ(図9におけるデータA1・・・K8)とプロセス情報とを比較している。
【0101】
定義テーブル2においては、品質情報が複数のレベルに分けられていると共に、プロセス情報と品質情報の関係がRCごとに記録されている。図11の定義テーブル2は、品質情報を累積ウエハ処理枚数とした場合の例である。累積ウエハ処理枚数をγとした場合、は「レベル1(L1)0<γ≦200」、「レベル2(L2)200<γ≦400」「レベル3(L3)400<γ≦600」「レベル4(L4)600<γ」とされる。「○」はRCで処理可能であることを表し、「−」はRCで処理不可能であることを表す。
【0102】
例えばRC1の場合、P1はL1、L2に○がついており、累積処理枚数が「0<γ≦400」の範囲であれば処理可能であることを示す。P2ではL1に○がついており、累積処理枚数が「0<γ≦200」の範囲であれば処理可能であることを示す。ウエハ枚数は、各工程においてパーティクルの影響が無い累積枚数で設定される。例えば、P1が層間絶縁膜形成プロセスである場合、事前の実験等により層間絶縁膜形成プロセスに影響の無い累積処理枚数が抽出される。また、例えばP2がダブルパターニング工程における酸化膜形成プロセスである場合、事前の実験等により層間絶縁膜形成プロセスに影響の無い累積処理枚数が抽出される。なお、前述したように、ダブルパターニング工程における酸化膜形成プロセスは層間絶縁膜形成プロセスよりもパーティクルの影響を受けやすいので、工程の累積枚数は、P1の累積枚数よりも少なく設定されている。
【0103】
なお、累積処理枚数が「400<γ≦600」の範囲であれば、P1、P2は処理不可能となる。更には、累積処理枚数が「600<γ」であれば、メンテナンス工程を選択するよう構成される。
【0104】
尚、図11においては、品質情報「ウエハ累積処理枚数」を例としているが、その他の品質情報においても図11の内容に相当するテーブルが存在する。その他の品質情報のテーブルについては説明を省略する。
【0105】
ここでは、例えば、W(j)のウエハ200がP1の場合、定義テーブル1にて「累積ウエハ処理枚数」を選択し、定義テーブル2にて各RCの最新のウエハ処理枚数とを比較する。P1の場合、RCの累積ウエハ処理枚数nが「0<γ≦400」の範囲であれば処理可能としている。また、W(j)のウエハ200がP2の場合、定義テーブル1にて「累積ウエハ処理枚数」を選択し、更に定義テーブル2にて、各RCの最新のウエハ処理枚数とを比較する。P2の場合、RCの累積ウエハ処理枚数nが「0<γ≦200」の範囲内であれば処理可能としている。
【0106】
(4)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成のRCを用いてウエハ200上に薄膜を形成する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0107】
ここでは、第一元素含有ガス(第一の処理ガス)としてHCDを気化させて得られるHCDガスを用い、第二元素含有ガス(第二の処理ガス)としてOガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上にシリコン含有膜としてシリコン酸化膜(SiO)膜を形成する例について説明する。
【0108】
図12は、本実施形態に係る基板処理工程の概要を示すフロー図である。(A)から(D)は図13図14と連続する構成である。
【0109】
まず図12図13図14を用いてフローを説明する。
(S102)
本工程は、各PMの品質情報データを検出し、更にその情報をデータテーブルに格納する工程である。例えば、センサ291によって各PMの共通部品の品質情報データを検出すると共に、センサ292によって各RCの品質情報データを検出する。検出後、データテーブルに最新の品質情報データをリアルタイムに格納する。例えば、RC1のウエハ累積処理枚数の場合、A1に累積処理枚数データが格納され、RC1のプラズマ制御系の情報の場合B1にプラズマ制御系のデータ、例えばリモートプラズマユニット244eの累積使用時間を格納する。
【0110】
品質情報がウエハ品質情報である場合、上位装置からウエハの品質情報データを受信する。ウエハの品質情報データは、各RCにリンクした情報であり、データテーブルにそれらの品質情報を格納する。例えば以前にRC1で処理したウエハ200のデータのうち、パーティクルデータであればG1にデータを格納し、RC3で処理したウエハ200のデータのうち、ウエハ面内分布データであればH3にデータを格納する。
【0111】
(S104)
本工程は、ウエハのプロセス情報を上位装置から受信する工程である。ここでいうプロセス情報とは、前述のようにダブルパターニング工程における酸化膜形成プロセスや、層間絶縁膜形成プロセス等をいう。本実施形態においては、例えば「W(1)からW(j)までのウエハ200がP1であり、W(j+1)からW(k)までのウエハ200がP2である」情報を受信する。なお、本実施形態においてはP1が層間絶縁膜形成プロセスであり、P2がダブルパターニング工程における酸化膜形成プロセスとする。
【0112】
(S106)
ウエハ200のプロセス情報がP0か否かを判断する。P0の場合、即ちYesの場合、後述する工程S124に移行し、RCを決定する。P0ではない場合、即ちNoの場合、工程S108に移行する。
【0113】
(S108)
ここでは、定義テーブル1を参照しプロセス情報に対応する品質情報が共通部品品質情報であるかを確認する。共通部品品質情報の場合は「Yes」を選択してS110に移行する。共通部品品質情報ではない場合、即ちRC品質情報もしくはウエハ品質情報の場合は「No」を選択して(A)に移行する。なお、(A)は図14に記載のフローと連続している。
【0114】
(S110)
RC品質情報もしくはウエハ品質情報を基準に処理することが決定されたら、ウエハ200を処理するRCnの初期値を設定する。ここではn=1とする。
【0115】
(S112)
S112ではnが最大RC数よりも大きい数値か否かを確認する。本実施形態においては、RCはRC1からRC8であるため最大数が8となる。したがって、「n>8」であるかを確認する。n>8である場合、Yesを選択して(B)に移行する。n≦8の場合、「No」を選択してS116に移行する。
【0116】
(S114)
(B)は図13のS114に接続される。S112において「n>最大RC数」と判断された場合とは、処理可能なRCが存在しないということである。そのような状況であるため、S114では、「処理可能なRCが存在しない」という状況を上位装置に報告する。報告後、フローを終了し、改めて上位装置からの指示を待つ。
【0117】
(S116)
定義テーブル1を参照して、ウエハのプロセス情報と対応する品質情報を確認し、選択する。例えば、W(1)からW(j)のウエハ200がP1の場合、品質情報がウエハ累積処理枚数であることを確認し、選択する。また、W(j+1)からW(k)のウエハ200がP2の場合、同じく品質情報がウエハ累積処理枚数であることを確認し、選択する。
【0118】
(S118からS126)
S118にて、データテーブル1と定義テーブル2を参照し、データテーブルのRCnに格納された最新の品質情報とウエハのプロセス情報とを比較する。例えばRC1でP1のウエハを処理する場合、定義テーブル2を参照して、最新の品質情報データA1がP1の品質情報である「累積ウエハ処理枚数」の範囲内かどうかを確認する。
【0119】
確認した結果、品質情報の範囲外であれば、S120にて処理不可能と判断し、「No」を選択してS122に移行する。品質情報の範囲内と判断されたら、処理可能と判断し、S126に移行する。
【0120】
S122ではn=n+1として、次のRCn+1に移行する。RC1の場合はRC2に移行する。処理可能の場合、(C)に移行する。(C)は図13のS124に接続される。S124ではRCn内にウエハ200が存在しないことを確認する。ウエハが存在する場合、「Yes」を選択してS126に移行し、次のRCで処理可能かを判断する。存在しない場合「No」を選択し、S122に移行する。S126ではRCnにウエハ200を搬入することを決定する。
【0121】
以上のS118からS126の流れについて、W(j)のウエハ200がP1の場合を例にして説明する。
【0122】
まずS116にて、定義テーブル1を参照し、P1に応じた品質情報である「ウエハ累積処理枚数」選択する。
【0123】
次に工程S118にて定義テーブル2を参照し、P1と品質情報との関係を読み出す。P1の場合、品質情報が「累積ウエハ処理枚数n 0<γ≦400」で処理可能であることがわかる。次に、データテーブルからデータA1を読み出し、データA1が品質情報の範囲かどうかを確認する。ここでは、RC1の累積処理枚数がP1における累積枚数の範囲か否かを確認する。確認した結果、S120にて、品質情報の範囲外、即ち累積処理枚数γがγ>400と判断されたら、処理不可能と判断し、「No」を選択してS122に移行する。品質情報の範囲内、即ち累積処理枚数nが0<γ≦400と判断されたら、処理可能と判断し、S124に移行する。
【0124】
なお、データテーブルに書き込まれた品質情報データが、メンテナンスプロセスの範囲内である場合、そのRCにウエハを搬入せずに、メンテナンスプロセスを実行しても良い。例えば、累積処理枚数γがγ>600であればメンテナンスプロセスを行う。
【0125】
S126にて、RC1にウエハが存在するかを確認する。ウエハが存在している場合、S124に移行する。ウエハが存在しない場合、S128に移行する。
【0126】
RC1で処理不可能と判断された場合、S122にてn=n+1として、RC2を選択する。その後、RC1と同様に、RC2で処理可能かどうかを判断する。
【0127】
RC1で処理可能と判断された場合、S126にてRC1にウエハを搬入することを決定する。
【0128】
W(j+1)がP2である場合は、定義テーブル2のP2に関する品質情報を読み出す。ここでは、累積ウエハ処理枚数nが0<n≦200であることがわかる。従って、P2である場合は、この条件に倣ってRCを選択する。
【0129】
以上のように、各プロセス情報の品質情報に基づいてリアクタを選択することで、各工程に適した条件でウエハ処理を実行することができる。
【0130】
(S128)
各プロセス情報でプロセスレシピが異なる場合に行う。例えば、プロセス3(図10においてはP3と表示。)は二種のガスを同時に供給するCVD処理を行うプロセスレシピであり、プロセス4(図10においてはP4と表示。)はガスを交互に供給するサイクリック処理を行うプロセスレシピである場合をいう。前述のCVD処理とサイクリック処理とは、ガスの供給排気制御や圧力制御などが異なることから、それぞれに応じたプロセスレシピを読み出す。
【0131】
このように、各工程の品質情報に基づいてリアクタを選択可能とすると共に、各工程に応じたプロセスレシピを選択可能することで、記憶装置280cに記憶されるプロセスレシピ総数を低減することができる。なお、各工程で同じプロセスレシピを用いる場合、本工程を省略してもよい。
【0132】
仮に従来のように、各プロセス情報の品質情報に基づいてリアクタを選択できない場合、通常の膜種ごとのプロセスレシピが工程ごとに必要となる。例えば、サイクリック処理でシリコン酸化膜を形成するプロセスレシピを基本プロセスレシピとした場合、パーティクルの発生を抑える方向に改良したプロセスレシピと、プラズマの供給量制御に改良したプロセスレシピと、が必要となる。また、予め品質情報に基づいた特定のRCに搬送するようなプロセスレシピを作成することも考えられるが、この方法でもプロセス情報に応じたプロセスレシピ数が必要となる。
【0133】
このように、従来の場合、プロセスレシピがプロセス情報分必要となる。これに対して本実施形態に係る発明では、基本プロセスレシピを準備すればよく、従って従来に比べプロセスレシピ総数を低減することができる。
【0134】
(S130)
S126にて搬入するRCnが決定されたら、ウエハ200を搬入する。
【0135】
(S132)
ここでは、RCnに搬入されたウエハ200を膜処理する。「膜処理する」とは、例えば膜の形成や改質、エッチング処理等の処理を含む。膜処理のフローについては後述する。
【0136】
(S140)
次に、S108にてNoが選択され(A)に移行された場合を、図14を用いて説明する。S108にてNoが選択された場合とは、品質情報が共通部品情報であることを示す。ウエハ200を処理するPMmの初期値を設定する。ここではm=1とする。
【0137】
(S142)
S142ではmが最大PM数以下であることを確認する。本実施形態においては、PMはPM1からPM4であるため最大数が4となる。したがって、「m≦4」であるかを確認する。m≦4である場合、Yesを選択してS144に移行する。m>4の場合、図13に記載のS114に移行する。
【0138】
(S144)
定義テーブル1を参照して、ウエハのプロセス情報と対応する品質情報を確認し、選択する。例えば、共通ガス供給/排気情報を選択する。
【0139】
(S146からS154)
S146にて、データテーブル1と定義テーブル2を参照し、データテーブルのPMmに格納された最新の品質情報データとウエハのプロセス情報とを比較する。例えばPM1でP7(図10においてはP7。以下P7とする。)のウエハを処理する場合、定義テーブル2を参照して、最新の品質情報データE1がP7の品質情報である「共通ガス供給/排気系」の範囲内かどうかを確認する。
【0140】
確認した結果、品質情報の範囲外であれば、S148にて処理不可能と判断し、「No」を選択してS150に移行する。品質情報の範囲内と判断されたら、処理可能と判断し、S152に移行する。
【0141】
S150ではm=m+1として、次のPMm+1に移行する。PM1の場合はPM2に移行する。処理可能の場合、S152に移行し、PMmが有する二つのRC内にウエハ200が存在しないことを確認する。ウエハが存在する場合、「Yes」を選択してS150に移行し、次のPMで処理可能かを判断する。存在しない場合「No」を選択し、S154に移行する。S154ではPMmにウエハ200を搬入することを決定する。
【0142】
以上のS144からS154の流れについて、W(j)のウエハ200がP7である場合を例にして説明する。
【0143】
まずS144にて、定義テーブル1を参照し、P7に応じた品質情報である「共通ガス供給/排気系」を選択する。
【0144】
次に工程S146にて定義テーブル2を参照し、P7と品質情報との関係を読み出す。P7の場合、品質情報が「共通ガス供給/排気系」であり、例えば圧力調整器344の可動累積時間である。データテーブルからデータE1を読み出し、データE1が品質情報の範囲かどうかを確認する。ここでは、圧力調整器344の可動累積時間が範囲か否かを確認する。確認した結果、S146にて、品質情報の範囲外、即ち可動累積時間が所定の時間よりも長いと判断されたら、処理不可能と判断し、「No」を選択してS150に移行する。品質情報の範囲内、即ち累可動累積時間が所定の時間よりも短いと判断されたら、処理可能と判断し、S152に移行する。
【0145】
S152にて、PMmが有する二つのRCのうち、少なくともいずれかにウエハが存在するかを確認する。ウエハが存在している場合、S150に移行する。PMmが有する二つのRCの両方にウエハが存在しない場合、S154に移行する。
【0146】
PM1で処理不可能と判断された場合、S150にてm=m+1として、PM2を選択する。その後、PM1と同様に、PM2で処理可能かどうかを判断する。
【0147】
PM1で処理可能と判断された場合、S154にてPM1にウエハを搬入することを決定する。
【0148】
以上のように、各プロセス情報の品質情報に基づいてPMを選択することで、各工程に適した条件でウエハ処理を実行することができる。
【0149】
(S156)
本工程は、各プロセス情報でプロセスレシピが異なる場合の他に、PMが有するRCのうち、いずれか一方のみでウエハを処理する場合に行う。例えば、図6において二つのRCであるRCL、RCRのそれぞれにウエハを搬入/処理する場合は、RCRとRCLが同じ条件となるようなプロセスレシピを読みだす。また、RCLにウエハを搬入/処理し、RCRにウエハを搬入しない場合は、RCLに処理ガスを供給し、RCLに処理ガスを供給しないようなプロセスレシピを読みだす。なお、RCLに処理ガスを流さない理由は、ウエハが存在しない状態で処理ガスを流すと、ウエハ載置面211に処理ガスが付着し、それがパーティクルの原因となることによる。
【0150】
このように、各プロセスの品質情報に基づいてPMを選択可能とすると共に、各プロセス情報に応じたプロセスレシピを選択することができるので、記憶装置280cに記憶されるプロセスレシピ総数を低減することができる。
【0151】
また、本実施形態のような一つのモジュールが複数のRCを有する装置形態においても、ウエハの処理枚数とRCの数が合致しない場合であっても、最適なプロセスレシピを選択することでウエハを搬入しないRCの品質の劣化を防ぐことができる。
【0152】
(S158)
S154にて搬入するPMmが決定されたら、PMmが有するRCにウエハ200を搬入する。このとき、S156で読み出されたプロセスレシピにて搬入先RCが設定されている場合は、決定されたRCに搬入する。なお、搬入先のRCを決定する際、S116からS118のように、品質情報に応じて決定しても良い。
【0153】
搬入先RCが決定したら(D)に移行する。(D)は図13のS132の前に接続される。
【0154】
(S134)
各RCでの膜処理が終了したらウエハ200を搬出する。
【0155】
次にS132の膜処理フローの詳細について、図15を用いて説明する。
(S202)
容器202内にウエハ200を搬入したら、真空搬送ロボット170を容器202の外へ退避させ、ゲートバルブ149を閉じて容器202内を密閉する。その後、基板載置台212を上昇させることにより、基板載置台212に設けられた基板載置面211上にウエハ200を載置させ、さらに基板載置台212を上昇させることにより、前述した処理空間205内の処理位置(基板処理ポジション)までウエハ200を上昇させる。
【0156】
ウエハ200が搬送空間205に搬入された後、処理空間205内の処理位置まで上昇すると、バルブ266とバルブ267を閉状態とする。これにより、搬送空間205とTMP264の間、および、TMP264と排気管264との間が遮断され、TMP264による搬送空間205の排気が終了する。一方、バルブ277とバルブ267を開き、処理空間205とAPC266の間を連通させるとともに、APC266とDP269の間を連通させる。APC266は、排気管262のコンダクタンスを調整することで、DP269による処理空間205の排気流量を制御し、処理空間205を所定の圧力(例えば10−5〜10−1Paの高真空)に維持する。
【0157】
このようにして、S202では、処理空間205内を所定の圧力となるように制御するとともに、ウエハ200の表面温度が所定の温度となるように制御する。温度は、例えば室温以上500℃以下であり、好ましくは室温以上であって400℃以下である。圧力は例えば50〜5000Paとすることが考えられる。
【0158】
(S204)
S202の後は、S204の成膜工程を行う。成膜工程では、プロセスレシピに応じて、第一ガス供給系を制御して第一ガスを処理空間205に供給すると共に、排気系を制御して処理空間を排気し、膜処理を行う。なお、ここでは第二ガス供給系を制御して、第二ガスを第一ガスと同時に処理空間に存在させてCVD処理を行ったり、第一ガスと第二ガスとを交互に供給してサイクリック処理を行ったりしても良い。また、第二ガスをプラズマ状態として処理する場合は、リモートプラズマユニット244eを起動してもよい。
【0159】
膜処理方法の具体例であるサイクリック処理としては次の方法が考えられる。たとえば第一ガスとしてHCDガスを用い、第二ガスとしてOガスを用いた場合、第一工程としてHCDガスを処理空間205に供給し、第二工程としてOガスを処理空間205に供給し、パージ工程として第一工程と第二工程の間にNガスを供給すると共に処理空間205の雰囲気を排気し、第一工程とパージ工程と第二工程との組み合わせを複数回行うサイクリック処理を行い、SiO膜を形成する。
【0160】
(S206)
S206では、上述したS202と逆の手順にて、処理済みのウエハ200を容器202の外へ搬出する。そして、S202と同様の手順にて、次に待機している未処理のウエハ200を容器202内に搬入する。その後、搬入されたウエハ200に対しては、S204が実行されることになる。
【0161】
(効果)
以上本発明の実施形態を説明したが、以下に本発明により導きだされる代表的な効果を列挙する。
(a)同膜種であって膜質が異なるものであっても、一つの基板処理装置で対応することができる。
(b)ウエハのプロセス情報とRC(もしくはPM)の品質情報に応じてRC(もしくはPM)を選択するので、工程ごとに膜質への要求が異なったとしても、要求される品質を確実にクリアすることができる。
(c)各工程の品質情報に基づいてリアクタを選択可能とすると共に、各工程に応じたプロセスレシピを選択可能することで、記憶装置に記憶されるプロセスレシピ総数を低減することができる。
【0162】
[他の実施形態]
以上に、本発明の実施形態を具体的に説明したが、それに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0163】
例えば、上述した各実施形態では、各モジュールPM1〜PM4が隣接配置された二つの処理室RCL,RCRを備えている場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、各モジュールPM1〜PM4は、処理室を三つ以上備えたものであってもよい。
【0164】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う成膜処理において、第一元素含有ガス(第一の処理ガス)としてHCDガスを用い、第二元素含有ガス(第二の処理ガス)としてOガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上にSiO膜を形成する場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスは、HCDガスやOガス等に限られることはなく、他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本発明を適用することが可能である。具体的には、第一元素としては、Siではなく、例えばチタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等、種々の元素であってもよい。また、第二元素としては、Oではなく、例えば窒素(N)等であってもよい。
【0165】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う処理として成膜処理を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、本発明は、各実施形態で例に挙げた成膜処理の他に、各実施形態で例示した薄膜以外の成膜処理にも適用できる。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。さらに、さらに、本発明は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、エッチング装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、本発明は、これらの装置が混在していてもよい。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0166】
1…基板処理装置、10…本体部、200…ウエハ(基板)、280…コントローラ、PM1〜PM4…モジュール、RC1〜RC8…処理室


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15