(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
全エポキシ樹脂中のエポキシ基の総数1モルに対して、エポキシ樹脂硬化剤(C)中のカルボキシル基およびカルボン酸無水物基の総数が0.4〜0.7モルの混合比である請求項1〜3のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
DMA(Dynamic Mechanical Analysis)分析の貯蔵弾性率(E´)と損失弾性率(E´´)の商で表される損失係数(tanδ=E´´/E´)の極大点の温度が145℃以上となる硬化物を与える、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、下記(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする。
(A) 式(1)で表されるシリコーン変性エポキシ樹脂
(B) 式(2)で表されるシリコーン変性エポキシ樹脂
(C) 式(3)で表される多価カルボン酸とカルボン酸無水物化合物を含有するエポキシ樹脂硬化剤
【0019】
まず、(A)成分について説明する。
(A)成分は下記式(1)で表されるシリコーン変性エポキシ樹脂である。
【0021】
式(1)中、R
1は炭素数1〜6の一価脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の一価芳香族炭化水素基を、Xはエポキシ基を有する有機基を、nは1〜3の整数をそれぞれ表す。式中、複数存在するR
1、Xはそれぞれ同一であっても異なっても構わない。
【0022】
R
1は炭素数1〜6の一価脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜12の一価芳香族炭化水素基であり、炭素数1〜
6の一価脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基などの飽和一価脂肪族炭化水素基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基などの不飽和一価脂肪族炭化水素基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘプチル基であり、更に好ましくはメチル基である。また、炭素数6〜12の一価芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基や、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアラルキル基であり、好ましくはフェニル基、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基であり、更に好ましくはフェニル基である。
【0023】
Xにおける有機基とは、C、H、N、O原子からなる化合物を表し、エポキシ基含有の有機基の具体例としては、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が挙げられ、硬化物の耐熱透明性の観点から
3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基が好ましい。ここで、有機基における炭素数は1〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましい。また、炭素数1〜5のアルキレン基を介在して
3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、3―グリシドキシプロピル基が付加している基であることが好ましく、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基であることが、硬化物の透明性、機械強度の観点から特に好ましい。
【0024】
nは1〜3の整数であり、中でも2が好ましい。
【0025】
シリコーン変性エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量(JIS K7236:2001で測定)は、180〜250g/eqが好ましく、185〜200g/eqがさらに好ましい。180g/eq以上であると硬化物が硬くなりすぎずヒートサイクル性に優れ、250g/eq以下であると硬化物の機械強度に優れるため好ましい。
【0026】
シリコーン変性エポキシ樹脂(A)の室温(25℃)における粘度(JIS Z8803:2011で測定)は、2,000〜6,000mPa・sが好ましく、2,500〜4,000mPa・sがさらに好ましい。2,000〜6,000mPa・sであると、エポキシ樹脂組成物の粘度が適度となるため好ましい。
【0027】
次に、(B)成分について説明する。
(B)成分は下記式(2)で表されるシリコーン変性エポキシ樹脂である。
【0029】
式(2)中、R
1、Xは前記と同じ意味をそれぞれ表す。式中、複数存在するR
1、Xはそれぞれ同一であっても異なっても構わない。
【0030】
式(2)中、複数存在するR
1の内、少なくとも1つがフェニル基であることが、硬化物の低ガス透過率の観点から好ましい。
【0031】
シリコーン変性エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量(JIS K7236で測定)は、200〜270g/eqが好ましく、210〜250g/eqがさらに好ましい。200g/eq以上であると硬化物が硬くなりすぎずヒートサイクル性に優れ、270g/eq以下であると硬化物の機械強度に優れるため好ましい。
【0032】
シリコーン変性エポキシ樹脂(
B)の室温(25℃)における粘度は、500〜3,000mPa・sが好ましく、700〜2,500mPa・sがさらに好ましい。500〜3,000mPa・sであると、エポキシ樹脂組成物の粘度が適度となるため好ましい。
【0033】
式(1)、(2)で表されるシリコーン変性エポキシ樹脂は、下記式(7)、(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と、アルケニル基とエポキシ基を有する化合物との付加反応によって得ることができる。
【0035】
式(7)、(8)中、R
1、nは前記と同じ意味をそれぞれ表す。式中、複数存在するR
1はそれぞれ同一であっても異なっても構わない。
【0036】
アルケニル基とエポキシ基を有する化合物は、同一分子内にエポキシ基とアルケニル基を有する化合物であれば特に限定されないが、下記式(9)、(10)で表される化合物が、シリコーン変性エポキシ樹脂とした際の反応性、硬化物の透明性、耐熱性の観点から好ましい。
【0038】
式(9)および(10)中、R
2はエステル、エーテル結合を含有してもよい炭素数0〜4のアルキレン基を表し、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、メチルエステル基、メチルエーテル基、メチレンオキシメチレン基、メチレンオキシエチレン基、エチレンオキシエチレン基などである。
【0039】
式(7)、(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と同一分子内にエポキシ基とアルケニル基を有する化合物との反応割合としては、同一分子内にエポキシ基とアルケニル基を有する化合物のアルケニル基1個に対してハイドロジェンシロキサン化合物中のSiH基が0.25〜1.0個、特に0.5〜0.8個となる割合で反応させることが好ましい。なお、ヒドロシリル化反応は、従来公知の方法に従えばよい。
【0040】
式(1)、(2)で表される化合物は、前記したハイドロジェンシロキサンと同一分子内にエポキシ基とアルケニル基を有する化合物とのヒドロシリル化反応によって得る方法の他に、例えば下記式(11)、(12)で表される多価オレフィン系化合物を酸化エポキシ化することでも得ることができる。
【0042】
式(11)、(12)中、R
1、R
2、nは前記と同じ意味をそれぞれ表す。式中、複数存在するR
1、R
2はそれぞれ同一であっても異なっても構わない。
【0043】
酸化の手法としては過酢酸等の過酸で酸化する方法、過酸化水素水で酸化する方法、空気(酸素)で酸化する方法などが挙げられるが、これらに限らない。
【0044】
過酸によるエポキシ化の手法としては具体的には日本国特開2006−52187号公報に記載の手法などが挙げられる。使用できる過酸の原料としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、安息香酸、m−クロロ安息香酸、フタル酸などの有機酸およびそれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、過酸化水素と反応して有機過酸を生成する効率、反応温度、操作の簡便性、経済性などの観点からは、ギ酸、酢酸、無水フタル酸を使用するのが好ましく、特に反応操作の簡便性の観点から、ギ酸または酢酸を使用するのがより好ましい。
【0045】
過酸化水素水によるエポキシ化の手法においては種々の手法が適応できるが、具体的には、日本国特開昭59−108793号公報、日本国特開昭62−234550号公報、日本国特開平5−213919号公報、日本国特開平11−349579号公報、日本国特公平1―33471号公報、日本国特開2001−17864号公報、日本国特公平3−57102号公報等に挙げられるような手法が適応できる。
【0046】
他にも、非特許文献1(James V.Crivello and Ramesh Narayan(1996),Novel Epoxynorbornane Monomers.1.Synthesis and Characterization,Macromolecules,29巻,433〜438頁)に記載されている方法も適用することができる。具体的には、オキソンを使用して、アルケニル基をエポキシ化して得ることができる。
【0047】
式(11)、(12)で表されるオレフィン系化合物は、式(7)、(8)で表されるハイドロジェンシロキサン化合物と、アルケニル基を有するシクロヘキセン化合物(例えばビニルシクロヘキセン)を付加反応することによって得ることができる。
【0048】
次に、(C)成分について説明する。
(C)成分は下記式(3)で表される多価カルボン酸とカルボン酸無水物化合物を含有するエポキシ樹脂硬化剤である。
【0050】
(C)成分中のカルボン酸無水物化合物は、分子中にカルボン酸無水物基を含有する化合物であればよいが、下記式(4)〜(6)より選択される1種以上であることが、硬化物の透明性の観点から好ましい。
【0052】
成分(C)中の、前記式(3)で表される多価カルボン酸の含有率は、20〜80質量%が好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。多価カルボン酸が20質量%以上含有されると、硬化物のへこみが少なく、かつ機械強度に優れ、80質量%以下であると、粘度が上がりすぎないため好ましい。
【0053】
成分(C)の官能基当量は、210〜350mgKOH/gが好ましく、260〜330mgKOH/gがさらに好ましい。官能基当量が210mgKOH/g以上であると、硬化物が硬くなり過ぎないため好ましく、350mgKOH以下であると、硬化物の機械物性に優れるため好ましい。なお、ここで官能基とは、多価カルボン酸においてはカルボキシル基を、カルボン酸無水物化合物においては−CO−O−CO−で表される酸無水物基を指す。成分(C)の官能基当量は、酸価、
1H−NMR等によって測定することができる。
【0054】
式(3)で表される多価カルボン酸化合物はトリシクロデカンジメタノールと、前記式(4)〜(6)で表されるカルボン酸無水物化合物のいずれか1種以上との付加反応により得ることができる。
【0055】
式(3)で表される多価カルボン酸化合物の製造は、溶媒中でも無溶剤でも行うことができるが、室温(25℃)にて固体であることが多いため、溶剤で希釈して製造することが作業性の観点から好ましい。溶剤としては、トリシクロデカンジメタノールや式(4)〜(6)で表されるカルボン酸無水物化合物と反応しない溶剤であれば特に制限なく使用できる。使用しうる溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルの様な非プロトン性極性溶媒、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素等が挙げられ、これらの中で、芳香族炭化水素やケトン類が好ましい。
【0056】
これらの溶剤は1種又は2種以上を混合して用いても良い。溶剤を用いる場合の使用量は、トリシクロデカンジメタノールと式(4)〜(6)で表されるカルボン酸無水物化合物のいずれか1種以上の合計100質量部に対して、0.5〜300質量部が好ましい。
【0057】
本発明の式(3)で表される多価カルボン酸化合物は無触媒でも、触媒を用いても製造する事ができる。触媒を用いる場合、用い得る触媒は、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の複素環式化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラメチル等のオルトチタン酸類、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸マンガン、オクチル酸カルシウム、オクチル酸ナトリウム、オクチル酸カリウム等の金属石鹸類が挙げられる。
【0058】
触媒を用いる場合、1種または2種以上を混合して用いることもできる。触媒を用いる場合の使用量は、トリシクロデカンジメタノールとカルボン酸無水物化合物の合計100質量部に対して、0.05〜10質量部が好ましい。
【0059】
触媒の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。この際、メタノール、エタノール等のアルコール性の溶媒や水を用いることは、未反応の、カルボン酸無水物化合物と反応してしまうため、避けることが好ましい。
【0060】
本発明の式(3)で表される多価カルボン酸化合物の製造時の反応温度は、触媒量、使用溶剤にもよるが、通常20〜160℃、好ましくは50〜150℃、特に好ましくは60〜145℃である。又、反応時間の総計は通常1〜20時間、好ましくは3〜18時間である。反応は2段階以上で行なっても良く、例えば20〜100℃で1〜8時間反応させた後に、100〜160℃で1〜12時間などで反応させても良い。これは特に前記式(5)で表されるカルボン酸無水物化合物は揮発性が高く、そのようなものを用いる場合、あらかじめ20〜100℃で反応させた後に、100〜160℃で反応させることで、揮発を抑えることができる。これにより、大気中への有害物質の拡散を抑制するだけでなく、設計どおりの式(3)で表される多価カルボン酸化合物を得ることができる。
【0061】
触媒を用いて製造を行なった場合は必要に応じてクエンチ、および/又は水洗を行なうことで触媒を除くことができるが、そのまま残存させ、エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤として利用することもできる。
【0062】
水洗工程を行なう場合、使用している溶剤の種類によっては水と分離可能な溶剤を加えることが好ましい。好ましい溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できる。
【0063】
反応や水洗に溶剤を用いた場合、減圧濃縮などによって除くことができる。
【0064】
本発明の成分(C)は、式(3)で表される多価カルボン酸化合物を製造した後に、カルボン酸無水物化合物を混合することで得てもよいが、式(3)で表される多価カルボン酸化合物の製造時にトリシクロデカンジメタノールに対して、過剰の式(4)〜(6)で表されるカルボン酸無水物化合物のいずれか1種以上中で反応を行い、式(3)で表される多価カルボン酸化合物の製造が終了した時点で、式(3)で表される多価カルボン酸化合物とカルボン酸無水物化合物との混合物(本発明の成分(C))として得ることもできる。
【0065】
式(3)で表される多価カルボン酸化合物の製造時に、過剰の式(4)〜(6)で表されるカルボン酸無水物化合物のいずれか1種以上中を仕込んで反応させた場合、水洗工程時の水によって過剰のカルボン酸無水物化合物が加水分解されてしまう恐れがあるため、前述の水洗工程は避けたほうがよい。
【0066】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、前記(A)〜(C)成分は下記配合量であることが好ましい。
(A)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の5〜95質量%
(B)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の5〜95質量%
(C)成分の量が、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、30〜65質量部
【0067】
上記配合量で配合することで、その硬化物が優れた耐熱透明性と高いTg(ガラス転移点)を両立するため好ましい。
【0068】
さらに、下記配合量であることが、特に好ましい。
(A)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の20〜80質量%
(B)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の20〜80質量%
(C)成分の量が、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して、40〜50質量部
【0069】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物において、前記(A)、(B)成分は下記配合量であることが好ましい。
(A)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の5〜95質量%
(B)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の5〜95質量%
【0070】
さらに、下記配合量であることが、特に好ましい。
(A)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の20〜80質量%
(B)成分の量が、(A)成分と(B)成分の総量中の20〜80質量%
【0071】
本発明のエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂硬化剤(C)中のカルボキシル基およびカルボン酸無水物基の総数は、全エポキシ樹脂中のエポキシ基の総数1モルに対して、0.4〜0.8モルの混合比であることが好ましく、0.45〜0.6モルであることがさらに好ましい。
【0072】
0.4モル以上であると硬化物の機械物性が優れ、0.8モル以下であると硬化物の耐熱透明性に優れるため好ましい。
【0073】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、シリコーン変性エポキシ樹脂(A)、(B)の他にもエポキシ樹脂を混合して用いることができる。例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。
【0074】
他のエポキシ樹脂を混合して用いる場合、その使用量はエポキシ樹脂全体中、シリコーン変性エポキシ樹脂(A)、(B)の合計が50質量%以上になるように混合することが、硬化物の耐熱透明性の観点から好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
【0075】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、式(3)で表される多価カルボン酸とカルボン酸無水物化合物からなるエポキシ樹脂硬化剤(C)の他にエポキシ樹脂硬化剤を含有することもできる。例えば、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、多価カルボン酸樹脂が挙げられる。他のエポキシ樹脂硬化剤を混合して用いる場合、その使用量はエポキシ樹脂硬化剤全体中、エポキシ樹脂硬化剤(C)が50質量%以上になるように混合することが、硬化物の耐熱透明性の観点から好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
【0076】
本発明のエポキシ樹脂組成物はシリコーン変性エポキシ樹脂(A)、(B)、エポキシ樹脂硬化剤(C)と、エポキシ樹脂硬化促進剤(D)を含有する。
【0077】
ここからは、エポキシ樹脂硬化促進剤(D)について説明する。
【0078】
エポキシ樹脂硬化促進剤(D)としては、テトラブチルホスホニウム・O,O−ジエチルホスホロジチオエート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどの第四級ホスホニウム塩、トリフェニルフォスフィン、ジフェニルフォスフィン等の有機フォスフィン系硬化触媒、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン系硬化触媒、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7 フェノール塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7 オクチル酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7 p−トルエンスルホン酸塩、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7 ギ酸塩等の第四級アンモニウム塩、オクチル酸亜鉛、ナフチル酸亜鉛等の有機カルボン酸塩、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート等のアルミキレート化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、アンチモン系スルホニウム塩等の熱カチオン硬化促進剤、アンチモン系スルホニウム塩、リン系スルホニウム塩等の光カチオン硬化促進剤などを挙げられる。
【0079】
エポキシ樹脂硬化促進剤(D)の配合量は(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して0.01〜3質量部、好ましくは0.05〜1.5質量部である。エポキシ樹脂硬化促進剤(D)の配合量が前記下限値より少ないと、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させる効果が十分ではないおそれがある。逆に、エポキシ樹脂硬化促進剤の配合量が前記上限値より多いと、硬化時やリフロー試験時の変色の原因となるおそれがある。
【0080】
本発明のエポキシ樹脂組成物はシリコーン変性エポキシ樹脂(A)、(B)、エポキシ樹脂硬化剤(C)、エポキシ樹脂硬化促進剤(D)と、酸化防止剤(E)を含有する。
【0081】
ここからは、酸化防止剤(E)について説明する。
【0082】
酸化防止剤(E)は、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、HALS(ヒンダード・アミン・ライト・スタビライザー)等、公知のものを添加することができるが、本発明のエポキシ樹脂組成物については、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤が、硬化物の高い透明性と透明性維持の観点から好ましい。
【0083】
リン系酸化防止剤としては、構造中にリン原子を含有し、樹脂および/または硬化物の酸化を防止する機能を有していれば特に限定されず、例えば、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−イソプロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェニル)(2−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3'−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3,3'−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェニルホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイドなどが挙げられる。
【0084】
上記リン系酸化防止剤は、市販品を用いることもできる。市販されているリン系化合物としては特に限定されず、例えば
、ADEKA製として、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブHP−10、アデカスタブ2112、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、三光株式会社製としてHCAが好ましい例として挙げられる。
【0085】
フェノール系酸化防止剤は、構造中にフェノール系水酸基を含有し、樹脂および/または硬化物の酸化を防止する機能を有していれば特に限定されず、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェノール、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス−〔2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2'−ブチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノールアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、ビス−[3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3'−tert−ブチルフェニル)−ブタノイックアシッド]−グリコールエステル等が挙げられる。
【0086】
上記フェノール系酸化防止剤は、市販品を用いることもできる。市販されているフェノール系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製としてIRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX245、IRGANOX259、IRGANOX295、IRGANOX3114、IRGANOX1098、IRGANOX1520L、アデカ製としては、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−90、アデカスタブAO−330、住友化学工業製として、SumilizerGA−80、Sumilizer MDP−S、Sumilizer BBM−S、Sumilizer GM、Sumilizer GS(F)、Sumilizer GPなどが挙げられる。
【0087】
酸化防止剤(E)は2種類以上を併用することもでき、特にリン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤を併用することが、硬化物の透明性維持の観点から好ましい。
【0088】
酸化防止剤(E)の配合量は(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して、0.01〜3質量部、好ましくは0.02〜1.5質量部である。酸化防止剤(E)の配合量が前記下限値より少ないと、硬化物の耐熱透明性が劣るおそれがある。逆に、酸化防止剤(E)の配合量が前記上限値より多いと、硬化時やリフロー試験時の変色の原因となるおそれがある。
【0089】
<その他の成分>
上記各成分に加えて、慣用の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、劣化防止剤、蛍光体、熱可塑剤、希釈剤などを必要に応じて併用しても差し支えない。
【0090】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分および必要により各種の添加剤を配合して、溶解または溶融混合することで製造することができる。溶融混合は、公知の方法でよく、例えば、上記の成分をリアクターに仕込み、バッチ式にて溶融混合してもよく、また上記の各成分をニーダーや熱三本ロールなどの混練機に投入して、連続的にて溶融混合することができる。エポキシ樹脂硬化促進剤(D)は、エポキシ樹脂硬化剤(C)に予め加熱溶解混合し、混合の最終段階でシリコーン変性エポキシ樹脂(A)、(B)成分等と分散・混合することが好ましい。
【0091】
本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、DMA(Dynamic Mechanical Analysis)分析の貯蔵弾性率(E´)と損失弾性率(E´´)の商で表される損失係数(tanδ=E´´/E´)の極大点の温度が145℃以上であることが好ましい。
【0092】
損失係数の極大点の温度が145℃未満であると、エポキシ樹脂組成物を光半導体封止用として用いた場合の、光半導体(例えばLED)のヒートサイクル試験においてクラックや不点灯などのエラーが起きやすいため好ましくない。
【実施例】
【0093】
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、合成例、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。ここで、部は特に断りのない限り質量部を表す。
○GPC:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)は下記条件にて測定した。
メーカー:ウォーターズ
カラム:SHODEX GPC LF−G(ガードカラム)、KF−603、KF−602.5、KF−602、KF−601(2本)
流速:0.4ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
○エポキシ当量:JIS K7236:2001に記載の方法で測定した。
○官能基当量:以下の方法により測定した。
多価カルボン酸化合物とカルボン酸無水物化合物の混合物を約0.15g秤量し、メタノール(試薬特級)40mlで溶解したのち、20〜28℃で10分間撹拌し、測定サンプルとした。測定サンプルを、京都電子工業製滴定装置AT−610を使用し、0.1Nの水酸化ナトリウム溶液を用いて滴定し、酸価(mg/KOH)を得た。
【0094】
[合成例1]SiH基を有するオルガノポリシロキサン1の合成
フェニルトリメトキシシラン(1mоl、198.44g)、アセトニトリル30
gを混合し、内温を10℃以下に冷却した。そして濃硫酸16gを30分かけて滴下し、その後、水81gを1時間かけて滴下した。次に1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン(1.5mоl、201.48g)を30分かけて滴下し、終夜攪拌した。廃酸分離した後、トルエン500gを添加し、熱水で3回、熱純水で2回洗浄した。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することにより、下記式(13)で示される化合物を主成分とするオルガノポリシロキサン1を得た。得られたオルガノポリシロキサン1の純度は97%であった(GPCの分子量分布における主成分のピーク面積より算出)
【0095】
【化11】
【0096】
[合成例2]SiH基を有するオルガノポリシロキサン2の合成
ジフェニルジメトキシシラン(1mоl、244.36g)、アセトニトリル10gを混合し、内温を10℃以下に冷却した。そして濃硫酸19gを30分かけて滴下し、その後、水43gを1時間かけて滴下した。次に1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン(3mоl、402.96g)を30分かけて滴下し、終夜攪拌した。廃酸分離した後、トルエン500gを添加し、熱水で3回、熱純水で2回洗浄した。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することにより、下記式(14)で示される化合物を主成分とするオルガノポリシロキサン2を得た。得られたオルガノポリシロキサン2の純度は97%であった(GPCの分子量分布における主成分のピーク面積より算出)
【0097】
【化12】
【0098】
[合成例3]SiH基を有するオルガノポリシロキサン3の合成
ジフェニルジメトキシシラン(1.0mоl、244.36g)、アセトニトリル7gを混合し、内温を10℃以下に冷却した。そして硫酸14gを30分かけて滴下し、その後、水43gを1時間かけて滴下した。次に1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン(0.75mоl、100.73g)を30分かけて滴下し、終夜攪拌した。廃酸分離した後、トルエン500gを添加し、熱水で3回、熱純水で2回洗浄した。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することにより、下記式(15)で示される化合物を主成分とするオルガノポリシロキサン3を得た。
【0099】
【化13】
(式中、n=2.0(平均))
【0100】
[合成例4](A)シリコーン変性エポキシ樹脂(A−1)の合成
2Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液1.68g、トルエン200g、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(2.4mоl、596.06g)を入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシロキサン(1mоl、240.51g)を1時間かけて滴下し、100℃で2時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記化合物(16)を主成分とするシリコーン変性エポキシ樹脂(A−1)を得た。シリコーン変性エポキシ樹脂(A−1)のエポキシ当量は200g/eqであった。
【0101】
【化14】
【0102】
[合成例5](B)シリコーン変性エポキシ樹脂(B−1)の合成
2Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.38g、トルエン200g、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(3.6mоl、447g、)を入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、上記で得られたオルガノポリシロキサン1(1mоl、330.76g)を1時間かけて滴下し、100℃で2時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記化合物(17)を主成分とするシリコーン変性エポキシ樹脂(B−1)を得た。シリコーン変性エポキシ樹脂(B−1)のエポキシ当量は237g/eqであった。
【0103】
【化15】
【0104】
[合成例6]シリコーン変性エポキシ樹脂(EP−1)の合成
2Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.26g、トルエン200g、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(2.4mоl、298.03g、)を入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、上記で得られたオルガノポリシロキサン2(1mоl、332.61g)を1時間かけて滴下し、100℃で2時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記化合物(18)を主成分とするシリコーン変性エポキシ樹脂(EP−1)を得た。シリコーン変性エポキシ樹脂(EP−1)のエポキシ当量は296g/eqであった。
【0105】
【化16】
【0106】
[合成例7]シリコーン変性エポキシ樹脂(EP−2)の合成
2Lのセパラブルフラスコに0.5質量%塩化白金酸トルエン溶液0.78g、トルエン200g、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(2.4mоl、298.03g、)を入れ、攪拌した後、内温を80℃まで上昇させた。その後、上記で得られたオルガノポリシロキサン3(1mоl、530.91g)を1時間かけて滴下し、100℃で2時間反応させた。得られたトルエン溶液を減圧蒸留することで下記化合物(19)を主成分とするシリコーン変性エポキシ樹脂(EP−2)を得た。シリコーン変性エポキシ樹脂(EP−2)のエポキシ当量は400g/eqであった。
【0107】
【化17】
【0108】
[合成例8](C)多価カルボン酸化合物と酸無水物化合物の混合物(C−1)の合成
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、窒素パージを施しながらトリシクロデカンジメタノール41.2g、リカシッドMH−T(四国化成工業製 4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)182.5gを仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を40℃に保ち2時間反応させた後、50℃で3時間、60℃で1.5時間反応させた。GPCでトリシクロデカンジメタノールのピークが1面積%以下であることを確認し、多価カルボン酸化合物とカルボン酸無水物化合物の混合物であるエポキシ樹脂硬化剤(C−1)223gが得られた。得られた組成物は無色透明の液状であり、GPCによる純度は下記式(20)で表される多価カルボン酸化合物が59.9面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸が0.7面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物が39.4面積%であった。外観は無色透明液体であった。また酸価は294.1mg/KOHであった。
【0109】
【化18】
【0110】
[合成例9]多価カルボン酸化合物と酸無水物化合物の混合物(H−1)の合成
ガラス製500mlセパラブルフラスコに、窒素パージを施しながらイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)13.1g、リカシッドMH−T(四国化成工業製 4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物)114.6gを仕込み、ジムロートコンデンサ、撹拌装置、温度計を設置し、オイルバスにフラスコを浸した。オイルバスを加熱し、内温を70℃に保ち2時間反応させた後、75℃で2.5時間反応させた。GPCでイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)のピークが1面積%以下であることを確認し、多価カルボン酸化合物とカルボン酸無水物化合物の混合物である多価カルボン酸組成物(H−1)127.1gが得られた。得られた組成物は無色透明の液状であり、GPCによる純度は下記式(21)で表される多価カルボン酸が37.0面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸が1.0面積%、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物が61.9面積%であった。外観は無色透明液体であった。また酸価は296.3mg/KOHであった。
【0111】
【化19】
【0112】
−組成物の調製−
下記表1に示す配合(質量部)で樹脂組成物を調製した。これらの表中の各成分は以下のとおりである。また、表中、空欄は「0」を意味する。
(D)硬化促進剤:第四級ホスホニウム塩(サンアプロ株式会社製、U−CAT5003)
(E−1)リン系酸化防止剤:イソデシルジフェニルホスファイト(株式会社ADEKA製、アデカスタブ135A)
(E−2)フェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]((株)ADEKA製、アデカスタブAO−60)
【0113】
−組成物及び硬化物の特性評価−
得られた組成物及び硬化物の特性評価を以下の方法で行なった。硬化は、組成物を100℃で1時間、次いで150℃で4時間加熱して行なった。結果を表1に示す。
【0114】
(1)粘度
未硬化の組成物の粘度をJIS Z8803:2011に準拠して、東機産業製B型回転粘度計(製品名:TVB−15M)にて、23℃で測定した。
【0115】
(2)曲げ強さ、曲げ弾性率
80mm×10mm×4mmの棒状硬化物を作製し、島津製作所製のオートグラフ(製品名:AG−IS)にてJIS K7171:2008に準拠して測定した。
【0116】
(3)耐熱性
0.8mm厚のシート状硬化物の、波長450nmにおける光透過率(T
0)を分光光度計U−3310(日立ハイテック社製)にて測定した。該硬化物を、150℃×250時間加熱した後の光透過率(T
1)を同様にして測定し、T
1/T
0(%)を求めた。
【0117】
(4)硬さ
JIS K6253−3:2012に準拠して棒状硬化物について測定した(タイプD)。
【0118】
(5)DMA(Dynamic Mechanical Analysis)
40mm×5mm×0.8mmtの板状硬化物を作製し、下記条件にてDMA(Dynamic Mechanical Analysis)を測定し、得られた貯蔵弾性率(E´)と損失弾性率(E´´)の商で表される損失係数(tanδ=E´´/E´)の極大点の温度を求めた。
【0119】
<DMA測定条件>
メーカー:セイコーインスツル株式会社
機種:粘弾性スペクトロメータ EXSTAR DMS6100
測定温度:−50℃〜150℃
昇温速度:2℃/min
周波数:10Hz
測定モード:引張振動
【0120】
【表1】
【0121】
表1の結果から明らかなように実施例1の組成物は耐熱性に優れ、さらにDMAにおいても高いtanδを示し、優れた硬化物が得られた。一方、比較例1の組成物は高いtanδを示したが、耐熱性に劣る硬化物であった。
【0122】
−組成物の調製−
下記表2に示す配合(質量部)で樹脂組成物を調製した。これらの表中の各成分は以下のとおりである。また、表中、空欄は「0」を意味する。
(D)硬化促進剤:第四級ホスホニウム塩(サンアプロ株式会社製、U−CAT5003)
(E−1)リン系酸化防止剤:イソデシルジフェニルホスファイト(株式会社ADEKA製、アデカスタブ135A)
(E−2)フェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]((株)ADEKA製、アデカスタブAO−60)
【0123】
−組成物及び硬化物の特性評価−
得られた組成物及び硬化物の特性評価を前記(1)〜(5)の試験に加え、以下の方法で行なった。硬化は、組成物を100℃で1時間、次いで150℃で4時間加熱して行なった。結果を表2に示す。
【0124】
(6)水蒸気透過率
厚さ0.5mmを有する各硬化物の水蒸気透過率をJIS K 7129:2008に準拠して測定した。
【0125】
(7)ヒートサイクル試験
下記4種類のサイズの、底面に銀メッキを施した銅製電極を具備するPPA(ポリフタルアミド)製表面実装型LEDパッケージに発光波長450nmを持つ発光素子を搭載し金ワイヤーを用いて電極と発光素子を接続した表面実装型LEDに、未硬化の組成物をシリンジに充填し精密吐出装置を使用して、開口部が平面になるように注型し、硬化した。各組成物で封止した各パッケージに通電し、発光素子が発光することを確認した後、下記条件でヒートサイクル試験を行い、下記状態になったものを○・×として評価した。
【0126】
<評価に用いたパッケージサイズ>
パッケージ1:5.0mm×5.0mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)
パッケージ2:3.2mm×2.8mm×1.4mmt(封止部0.6mmt)
パッケージ3:3.0mm×1.4mm×1.2mmt(封止部0.4mmt)
パッケージ4:3.5mm×0.4mm×1.2mmt(封止部0.4mmt)
【0127】
<ヒートサイクル試験条件>
メーカー:エスペック株式会社
機種:Thermal Shock Chamber TSA−41L
試験条件;−40℃(30分保持)〜昇温〜100℃(30分保持)〜降温〜−40℃を1サイクルとし、200サイクル実施した。
【0128】
<試験後の状態>
○;封止材にひび割れ(クラック)が確認されず、かつ、パッケージ基材からの剥離が確認されず、かつ、通電し発光素子が点灯することが確認された。
×;封止材にひび割れ(クラック)が入った、および/または、パッケージ基材からの剥離が確認された、および/または、発光素子が点灯しなくなった。
【0129】
【表2】
【0130】
表2の結果から明らかなように実施例2〜4の組成物は強度、耐熱性、低ガス透過性に優れ、さらに光半導体を封止して行ったヒートサイクル試験ではいずれのパッケージにおいてもひび割れや不点灯といった不具合は起きなかった。一方、比較例2,4の組成物は、ヒートサイクル試験は優れているものの、耐熱性で劣り、比較例3の組成物は、耐熱性は優れるもののヒートサイクル試験では劣った。また、比較例5の組成物は、耐熱性、ヒートサイクル試験のいずれにおいても劣る結果であった。