【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1における周波数変調回路10の構成を示すブロック図である。周波数変調回路10は、半導体ICに形成されている。
【0012】
周波数変調回路10は、送信周波数設定ブロック11、データ値変換部12、PLL(Phase Locked Loop)ブロック13、校正演算ブロック14、補間演算ブロック15、校正値保持ブロック16及び出力部17を含む。
【0013】
送信周波数設定ブロック11は、図示せぬユーザインタフェースから、送信周波数帯域を選択するためのチャネル選択信号CSの供給を受け、送信周波数信号TSを生成する。チャネル選択信号CSは、1番目〜78番目のチャネルを選択する信号であり、各チャネルは全送信周波数帯域2.402GHz〜2.48GHzを1000kHz刻みで分けた78の周波数帯域に対応している。送信周波数信号TSは、チャネル選択信号CSが示すチャネルに対応するバンド帯域の中心周波数の値を示す信号である。送信周波数設定ブロック11は、送信周波数信号TSをPLLブロック13、校正演算ブロック14及び校正値保持ブロック16に供給する。
【0014】
データ値変換部12は、“0”“1”の2値のシリアルデータからなる入力データ信号DINの信号値を、例えば“1”を「250」に、“0”を「−250」に変換する。データ値変換部12は、変換した信号をデータ値信号DSとして、PLLブロック13に供給する。
【0015】
PLLブロック13は、データ値信号DSの供給を受け、周波数変調を行う変調部である。PLLブロック13は、周波数変調を行って出力信号OPSを生成し、出力部17に供給する。
【0016】
図2は、PLLブロック13及び校正演算ブロック14の構成を示すブロック図である。PLLブロック13は、発振器21、位相比較器22、VCO(Voltage Controlled Oscillator)23、分周部24、加算部25、分周値設定部26、乗算部27及びD/A変換部28を含む。
【0017】
発振器21は、例えば水晶発振器等から構成され、所定の源振周波数を有する源振信号FSを生成する。発振器21は、生成した源振信号FSを位相比較器22に供給する。
【0018】
位相比較器22は、発振器21から供給された源振信号FS及び分周部24から供給された分周信号DIVの位相差を比較して、位相差に対応する電圧値を有する位相差信号PDSをVCO23に供給する。
【0019】
VCO23は、位相比較器22から供給された位相差信号PDSに基づいて発振し、発振信号を出力信号OPSとして出力部17に供給する。なお、VCO23の発振周波数は、原則として送信周波数設定信号TSに応じて定まるが、温度等の環境変化に応じてばらつきが生じるため、これを調整する必要がある。そこで、VCO23は、電圧値D/A変換部28から供給されたVCO調整信号VASに応じて、発振周波数を調整する。
【0020】
分周部24は、分周値設定部26から供給された分周値設定信号DVSに応じた分周比で出力信号OPSを分周した分周信号DIVを位相比較器22及び校正演算ブロック14の比較部32に供給する。
【0021】
加算部25は、データ値信号DS及び送信周波数信号TSを加算して加算信号ASを生成し、これを分周値設定回路26に供給する。
【0022】
分周値設定部26は、加算信号ASに対してデルタシグマ変調を行い、分周部24の分周比を設定するための分周値設定信号DVSを生成する。
【0023】
乗算部27は、データ値信号DS及び校正値CVを乗算して、乗算結果を示す乗算結果信号MSを生成し、D/A変換部28に供給する。
【0024】
D/A変換部28は、乗算部27から供給された乗算結果信号MSにデジタルアナログ変換を施し、VCO23の発振周波数を調整するためのVCO調整信号VASをVCO23に供給する。
【0025】
このように、VCO調整信号VASは、校正値CVの値に応じて変化する。すなわち、校正値CVは、VCO23の発振周波数を調整するための校正値であり、周波数変調回路10が行う周波数変調の変調度の校正値である。
【0026】
校正演算ブロック14は、レジスタ31、比較部32及び校正値算出部33を含む。レジスタ31は、温度等の条件を考慮して予め設定された分周信号DIVのトグル回数の目標値を記憶する。ここで、トグル回数とは、一定期間内での分周クロックのクロック回数を指し、トグル回数の目標値とは適切な分周クロックとして目標とする一定期間内でのクロック回数を示す。比較部32は、分周部24から供給された分周信号DIVのトグル回数と目標値とを比較して、その差分を比較結果CRとして得る。校正値算出部33は、比較結果CRに基づいて校正値を算出する。校正演算ブロック14は、2.402GHz〜2.48GHzまでの全送信周波数帯域を3つに分けた第1帯域、第2帯域及び第3帯域について、分周部24から供給された分周信号DIVのトグル回数(すなわち、実測値)に基づいて校正演算を行い、各帯域の中心周波数における実測校正値ACVを得る。
【0027】
補間演算ブロック15は、校正演算ブロック14から供給された第1〜第3帯域についての実測校正値ACVに基づいて補間演算を行い、第1〜第3帯域の中心周波数の中間の周波数における校正値と、全送信周波数帯域の両端部の周波数における校正値を算出する。補間演算ブロック15は、算出した校正値を補間校正値ICVとして校正値保持ブロック16に供給する。
【0028】
校正値保持ブロック16は、校正演算ブロック14から供給された実測校正値ACV及び補間演算ブロック15から供給された補間校正値ICVを保持する。また、校正値保持ブロック16は、実測校正値ACV又は補間校正値ICVのうちチャネル選択信号CS(すなわち、送信周波数信号TS)に対応する校正値を、校正値CVとしてPLLブロック13に供給する校正値供給部である。
【0029】
出力部17は、出力信号OPSを送信信号として出力する。
【0030】
次に、本発明の周波数変調回路10が行う校正動作について、
図3及び
図4を参照して説明する。
【0031】
校正演算ブロック14は、実測値に基づく校正演算の対象帯域(第k帯域とする)を、第1帯域(すなわち、k=1)に設定する(ステップS1)。
【0032】
校正演算ブロック14は、レジスタ31から第k帯域の中心周波数における目標値を読み出す。比較部32は、読み出した目標値と、分周部24から供給された分周信号DIVのトグル回数(すなわち、実測値)とを比較して、その差分を比較結果CRとして算出する。校正値算出部33は、比較結果CRに基づいて校正演算を行い、これを第k帯域の実測校正値ACVとして得る(ステップS2)。
【0033】
実測値に基づく校正演算が第1〜3帯域まで終了したかどうかを判定する(ステップS3)。実測値に基づく校正演算が第1〜3帯域について終了していない場合には、kの値を1だけインクリメントして(ステップS4)、ステップS2に戻る。
【0034】
実測値に基づく校正演算を第3帯域まで(すなわち、k=3まで)行うことより、
図4(a)に示すように、第1帯域、第2帯域、第3帯域の各々について実測校正値ACVを得る。校正演算ブロック14は、実測校正値ACVを補間演算ブロック15に供給する。
【0035】
実測値に基づく校正演算が第1〜3帯域について終了した場合、補間演算ブロック15は、第1〜3帯域の実測校正値ACVに基づいて、中間帯域について補間演算を行い、補間校正値ICVを生成する(ステップS5)。具体的には、
図4(b)に示すように、第1帯域及び第2帯域の実測校正値ACVの平均値を算出し、第1帯域と第2帯域の中心周波数の中間値(すなわち、中間帯域)の補間校正値ICVを得る。同様に、第2帯域及び第3帯域の実測校正値ACVの平均値を算出し、第2帯域と第3帯域の中心周波数の中間値(すなわち、中間帯域)の補間校正値ICVを得る。
【0036】
補間演算ブロック15は、
図4(c)に示すように、全送信周波数帯域の両端部の校正値を線形補間により算出し、補間校正値ICVを得る(ステップS6)。
【0037】
以上のステップにより、
図4(d)に示すように、帯域A〜Gの7つの帯域における校正値を得る。
【0038】
図5は、送信周波数と校正値との関係を示す図である。帯域B、D、Fの校正値は、校正演算ブロック14が算出した第1〜第3帯域の実測校正値ACVに対応する校正値である。帯域Cの校正値は、補間演算ブロック15が算出した、第1帯域及び第2帯域の実測校正値ACVの平均値である補間校正値ICVに対応する校正値である。帯域Dの校正値CVは、補間演算ブロック15が算出した、第2帯域及び第3帯域の実測校正値ACVの平均値である補間校正値ICVに対応する校正値である。帯域A及びGの校正値CVは、帯域B〜Fの校正値CVに基づいて、補間演算ブロック15が線形補間により算出した補間校正値ICVに対応する校正値である。
【0039】
以上のように、本実施例の周波数変調回路10は、3つの帯域(帯域B、D、F)について実測値に基づいて校正演算を行って校正値を得た後、他の4つの帯域(帯域A、C、E、G)については、平均値の算出及び線形補間により校正値を算出する。
【0040】
したがって、実測値に基づいて校正値を得ることにより高精度の校正を行うことができる一方、3つの帯域の校正値を得る間だけPLLブロック13及びその周辺回路(校正演算ブロック14、補間演算ブロック15等)を動作させればよいため、短時間で校正を行うことができる。
【実施例2】
【0041】
実施例2における周波数変調回路10は、構成において実施例1と共通し、補間演算ブロック15が行う補間演算の動作において実施例1と異なる。すなわち、
図3のフローチャートのステップS4までは実施例1と同様であり、ステップS5及びステップS6の動作において、実施例1と異なる。
【0042】
補間演算ブロック15は、校正演算ブロック14から供給された第1〜第3帯域についての実測校正値ACVをもとに、非線形関数に基づいて補間演算を行い、補間校正値ICVを生成する。
【0043】
具体的には、補間演算ブロック15は、第1帯域及び第2帯域の中間の帯域の校正値を、非線形関数により算出し、補間校正値ICVを得る。同様に、第2帯域及び第3帯域の中間の帯域の校正値を、非線形関数により算出し、補間校正値ICVを得る(ステップS5)。
【0044】
また、補間演算ブロック15は、全送信周波数帯域の両端部の校正値を、非線形補間により算出し、補間校正値ICVを得る(ステップS6)。
【0045】
以上のように、本実施例の周波数変調回路10は、3つの帯域(帯域B、D、F)について実測値に基づいて校正演算を行って校正値CVを得た後、他の4つの帯域(帯域A、C、E、G)については非線形関数を用いた補間演算によって校正値を算出する。
【0046】
したがって、
図6に示すように、PLLブロック13における変調度の校正値が周波数に対して非線形特性を有する場合であっても、補間演算によって校正値を得ることが可能である。
【0047】
また、実施例1と同様、本発明の周波数変調回路10は、3つの帯域(帯域B、D、F)について実測値に基づいて校正演算を行って校正値得た後、他の4つの帯域(帯域A、C、E、G)については補間演算により校正値を算出する。したがって、実測値に基づく校正値の算出により高精度の校正を行うことができる一方、3つの帯域の校正値を得る間だけPLLブロック13及びその周辺回路(校正演算ブロック14、補間演算ブロック15等)を動作させればよいため、短時間で校正を行うことができる。
【0048】
なお、本発明の実施形態は、上記実施例で示したものに限られない。例えば、上記実施例では、本発明を直接変調方式のVCOを有するPLLに適用した例について示したが、直接変調方式ではないVCOに対しても適用可能である。
【0049】
また、上記実施例では、第1〜第3の3つの帯域について実測校正値ACVを算出した後、2つの中間帯域及び両端部帯域について補間演算により補間校正値ICVを算出した。しかし、帯域の数はこれに限られない。例えば、5つの帯域について実測校正値ACVを算出した後、4つの中間帯域及び両端部帯域について補間演算により補間校正値ICVを算出しても良い。すなわち、n(n:2以上の整数)個の帯域について実測校正値ACVを算出した後、(n−1)個の中間帯域及び両端部帯域(すなわち、計(n+1)個の帯域)について補間演算により補間校正値ICVを算出するものであればよい。
【0050】
要するに、本発明に係る周波数変調回路(10)は、校正値に基づいて変調度を校正しつつ入力データ信号に周波数変調を行う変調部(13)と、全送信周波数帯域のうちからチャネル選択信号に対応する送信波数帯域を選択して設定する送信周波数帯域設定部(11)と、変調部における変調度と目標値とを比較して、全送信周波数帯域をn(n:2以上の整数)に分けたn個の送信周波数帯域の各中心周波数における変調度の校正値を入力データ信号に基づいて算出し、n個の実測校正値を得る校正演算部(14)と、n個の実測校正値に基づいて補間演算を行い、n個の送信周波数帯域のうち隣接する送信周波数帯域の中心周波数の中間の周波数における校正値と、全送信周波数帯域の両端部の周波数における校正値と、を算出し、(n+1)個の補間校正値を得る補間演算部(15)と、n個の実測校正値及び(n+1)個の補間校正値のうち、送信周波数帯域設定部により設定された送信周波数帯域に対応する値を校正値として変調部に供給する校正値供給部(16)と、を含むものである。