特許第6404132号(P6404132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404132相分離構造を含む構造体の製造方法、パターン形成方法、微細パターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404132
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】相分離構造を含む構造体の製造方法、パターン形成方法、微細パターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20181001BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20181001BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20181001BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20181001BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20181001BHJP
   B05D 3/02 20060101ALI20181001BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   G03F7/11 503
   G03F7/40 521
   B82Y40/00
   B05D7/24 302Y
   B05D3/02 Z
   B05D1/36 Z
【請求項の数】5
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2015-11647(P2015-11647)
(22)【出願日】2015年1月23日
(65)【公開番号】特開2015-159281(P2015-159281A)
(43)【公開日】2015年9月3日
【審査請求日】2017年10月11日
(31)【優先権主張番号】特願2014-10688(P2014-10688)
(32)【優先日】2014年1月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】瀬下 武広
(72)【発明者】
【氏名】前橋 貴哉
(72)【発明者】
【氏名】太宰 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】内海 義之
(72)【発明者】
【氏名】松宮 祐
(72)【発明者】
【氏名】宮城 賢
(72)【発明者】
【氏名】塩野 大寿
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 剛志
【審査官】 田口 孝明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−516891(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0370159(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/119832(WO,A1)
【文献】 特開2013−165151(JP,A)
【文献】 特開2013−187408(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0240481(US,A1)
【文献】 特開2015−199290(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0244439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H01L 21/027、
G03F 7/00、
7/06、
7/07、
7/12−7/14、
7/26−7/42、
B05D 1/00−7/26、
G03C 3/00、
7/004−7/04、
7/06、
7/075−7/115、
7/16−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上のガイドパターンの間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、
トップコート材料を、該層及び前記ガイドパターン上に塗布してトップコート膜を形成する工程と、
前記トップコート膜が形成された前記Si含有ブロックコポリマーを含む層を、熱アニールによって相分離させる工程と、
を含み、前記トップコート材料の溶剤が塩基性物質を含まないことを特徴とする、
相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項2】
前記支持体上に、中性化膜を形成する工程を含む請求項1に記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項3】
前記中性化膜が架橋性ポリマーユニットを含まないことを特徴とする、請求項2に記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の構造体の製造方法により製造された相分離構造を含む構造体から、少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去してパターンを形成する工程を含むことを特徴とする、パターン形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載のパターン形成方法によって得られたパターンをマスクとして支持体のエッチングを行う工程を有する、微細パターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相分離構造を含む構造体の製造方法、パターン形成方法、微細パターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模集積回路(LSI)のさらなる微細化に伴い、より繊細な構造体を加工する技術が求められている。このような要望に対して、互いに非相溶性のブロック同士を結合させたブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する試みが始まっている。(例えば、特許文献1参照。)。
ブロックコポリマーの相分離構造を利用するためには、ミクロ相分離により形成される自己組織化ナノ構造を、特定の領域のみに形成し、かつ、所望の方向へ配列させることが必須となる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって、相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等のプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
前記位置制御及び配向制御を実現するため、ガイドパターンの形成には、樹脂等の基材成分を含むレジスト材料が用いられている。前記レジスト材料はポジ型とネガ型とに分けられ、露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が低下するレジスト材料をネガ型という。
ブロックコポリマーの自己組織化を利用した微細パターンを形成するために使用するガイドパターンの形成時に、ネガ型現像プロセスを用いることが提案されている。ネガ型現像プロセスは、前記ポジ型の化学増幅型レジスト組成物と、有機溶剤を含有する現像液(以下「有機系現像液」ということがある。)とを組み合わせたプロセス(以下、有機系現像液を用いるプロセスを「溶剤現像プロセス」又は「溶剤現像ネガ型プロセス」ということがある)である。一般に、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物は、露光によってアルカリ現像液に対する溶解性が増大するが、このとき相対的に有機溶剤に対する溶解性が減少する。そのため、溶剤現像ネガ型プロセスにおいては、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解し、除去されて、レジストパターンが形成される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−36491号公報
【特許文献2】特開2009−025723号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】プロシーディングスオブエスピーアイイー(Proceedings of SPIE),第7637巻,第76370G−1(2010年).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガイドパターンを用いた場合、ガイドパターン上にブロックコポリマーやトップコート剤等を塗布した場合に、ガイドパターンにダメージを与えることがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ガイドパターンにダメージを与えにくい相分離構造を含む構造体の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は支持体上のガイドパターンの間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、トップコート材料を、該層及び前記ガイドパターン上に塗布してトップコート膜を形成する工程と、前記トップコート膜が形成された前記Si含有ブロックコポリマーを含む層を、熱アニールによって相分離させる工程と、を含み、前記トップコート材料の溶剤が塩基性物質を含まないことを特徴とする、相分離構造を含む構造体の製造方法である。
前記第一の態様において、前記ガイドパターン形成工程の前に、支持体上に、中性化膜を形成する工程を含むことが好ましい。また、前記第一の態様において、前記中性化膜が架橋性ポリマーユニットを含まないことが好ましい。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の構造体の製造方法により製造された相分離構造を含む構造体から、少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去してパターンを形成する工程を含むことを特徴とする、パターン形成方法である。
本発明の第三の態様は、前記第二の態様のパターン形成方法によって得られたパターンをマスクとして支持体のエッチングを行う工程を有する、微細パターン形成方法である。
【0008】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレン誘導体」とは、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいスチレンのベンゼン環に、水酸基又はカルボキシ基以外の置換基が結合したものを含む概念とする。ただし、ヒドロキシスチレン誘導体及びビニル安息香酸誘導体に該当するものは除くものとする。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガイドパターンにダメージを与えにくい相分離構造を含む構造体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る相分離構造を含む構造体の製造方法の一実施形態例を説明する概略工程図である。
図2】本発明に係るパターン形成方法の一実施形態例を説明する概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
≪相分離構造を含む構造体の製造方法≫
本発明の第一の態様は、支持体上のガイドパターンの間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程と、トップコート材料を、該層及び前記ガイドパターン上に塗布してトップコート膜を形成する工程と、前記トップコート膜が形成された前記Si含有ブロックコポリマーを含む層を、熱アニールによって相分離させる工程と、を含み、前記トップコート材料の溶剤が塩基性物質を含まないことを特徴とする、相分離構造を含む構造体の製造方法である。
図1は、本態様の相分離構造を含む構造体の製造方法の一実施形態例を示す。
以下、本態様の相分離構造を含む構造体の製造方法について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
[支持体上のガイドパターンの間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程]
本発明は、支持体上のガイドパターンの間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程を含む。
本発明においてガイドパターンは、支持体上に感光性樹脂膜を形成し、露光し、現像して形成するとよい。ガイドパターンとしては、例えば図1の(b)に示すように、支持体1上にガイドパターン2を形成するとよい。
【0013】
<支持体>
まず、支持体1を用意する(図1(a))。
支持体1は、その表面上に感光性樹脂膜やブロックコポリマーを含む溶液を塗布し得るものであれば、その種類は特に限定されない。例えば、シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属、ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカなどの無機物からなる基板、アクリル板、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂などの有機化合物からなる基板などが挙げられる。
また、本発明において用いられる支持体1の大きさや形状は、特に限定されるものではない。支持体1は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状のものまで多様に用いることができる。
【0014】
また、支持体1の表面には、無機系および/または有機系の膜が設けられていてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
【0015】
支持体1に中性化膜5(図2(b))を形成する場合には、支持体の表面を洗浄してもよい。支持体の表面を洗浄することにより、後の中性化膜形成工程が良好に行える場合がある。
洗浄処理としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。例えば、基板を硫酸/過酸化水素水溶液等の酸溶液に浸漬させた後、水洗し、乾燥させる。その後、当該基板の表面に、ブロックコポリマーを含む層を形成することができる。
【0016】
<感光性樹脂膜>
具体的には、まず支持体1上に後述の感光性樹脂組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施して感光性樹脂膜を形成する。
次に、該感光性樹脂膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記感光性樹脂膜を現像処理し、ガイドパターン2を形成する。感光性樹脂膜の現像処理等については後述する。
【0017】
<複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程>
本発明は、支持体上のガイドパターンの間に、複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程を有する。
本発明においては、例えば図1の(b)に示すように、支持体1上にガイドパターン2を形成した後、ガイドパターン2の間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層3を形成するとよい。
【0018】
<ブロックコポリマー>
・ブロックコポリマー
本発明においてブロックコポリマーとは、同種の構成単位のみが結合した部分構成成分(ブロック)が、複数結合した高分子であって、Si含有ブロックを含有するものをいう。ブロックコポリマーを構成するブロックの種類は、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。本発明においては、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、Si含有ブロックと、非Si含有ブロックとの組み合わせであることが好ましく、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。また、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。容易に選択的に除去可能な組み合わせとしては、エッチング選択比が1よりも大きい、1種又は2種以上のブロックとが結合したブロックコポリマーが挙げられる。
【0019】
本発明において「ブロックコポリマーの周期」とは、相分離構造が形成された際に観察される相構造の周期を意味し、互いに非相溶である各相の長さの和である。ブロックコポリマーの周期は、該ブロックコポリマーの分子1つ分の長さに相当する。
ブロックコポリマーの周期は、重合度N、及び、フローリー−ハギンズ(Flory−Huggins)の相互作用パラメータχ、などの固有重合特性によって決まる。すなわち、「χN」が大きくなるほど、ブロックコポリマーにおける異なるブロック間の相互反発は大きくなる。このため、χN>10(以下「強度分離限界点」という)のときには、ブロックコポリマーにおける異種類のブロック間の反発が大きく、相分離が起こる傾向が強くなる。そして、強度分離限界点においては、ブロックコポリマーの周期は、およそN2/3χ1/6となる。つまり、ブロックコポリマーの周期は、分子量Mnと、異なるブロック間の分子量比と、に相関する重合度Nに比例する。従って、用いるブロックコポリマーの組成及び総分子量を調整することにより、ブロックコポリマーの周期を容易に調節することができる。
【0020】
[Si含有ブロック]
Si含有ブロックとしては、Siを有する構成単位のブロックであれば特に限定されず、例えば、下記一般式(a00−1)又は(a00−2)で表される構成単位のブロック、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロック、又は後述するかご型シルセスキオキサン(POSS)構造含有構成単位のブロック等が挙げられる。
【0021】
【化1】
[式(a00−1)又は(a00−2)中、Laは単結合又はヘテロ原子を有していてもよい2価の連結基であり、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Yaは単結合又は2価の連結基である。]
【0022】
式(a00−1)中、Laは単結合又はヘテロ原子を有していてもよい2価の連結基である。Laのヘテロ原子を有していてもよい2価の連結基としては、後述の一般式(a2−1)中のYa21における2価の連結基中のヘテロ原子を有していてもよい2価の連結基と同様の連結基が挙げられる。Laにおいて、ヘテロ原子としては酸素原子が好ましい。本発明において、Laとしては、単結合、又はエステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましい。
【0023】
式(a00−1)又は(a00−2)中、R、R、Rはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。本発明においてR、R、Rはメチル基であることが好ましい。
【0024】
式(a00−2)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0025】
式(a00−2)中、Yaは単結合又は2価の連結基である。2価の連結基としては、後述の一般式(a2−1)中のYa21における2価の連結基と同様の連結基が挙げられる。
【0026】
以下に、式(a00−1)又は(a00−2)で表される構成単位の具体例を示す。
【0027】
【化2】
【0028】
ブロックコポリマーとしては、例えば、芳香族基を有する構成単位のブロックと、Siを含有する構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー:(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、Siを含有する構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、Siを含有する構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;Siを含有する構成単位のブロックと、ポリエチレンオキサイドから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;Siを含有する構成単位のブロックと、ポリプロピレンオキサイドから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;Siを含有する構成単位のブロックと、ポリ乳酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;芳香族基を有する構成単位のブロックと、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位のブロックと、(α置換)アクリル酸から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー;かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位のブロックと、シロキサン又はその誘導体から誘導される構成単位のブロックと、を結合させたブロックコポリマー等が挙げられる。
【0029】
本発明において、ブロックコポリマーとしては、上記のなかでも芳香族基を有する構成単位と、Siを含有する構成単位と、を含むことが好ましい。
【0030】
芳香族基を有する構成単位としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基を有する構成単位が挙げられ、本発明においてはスチレン又はその誘導体から誘導される構成単位であることが好ましい。
スチレン又はその誘導体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−n−オクチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−ニトロスチレン、3−ニトロスチレン、4−クロロスチレン、4−フルオロスチレン、4−アセトキシビニルスチレン、4−ビニルベンジルクロリド、1−ビニルナフタレン、4−ビニルビフェニル、1−ビニル−2−ピロリドン、9−ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。
【0031】
(α置換)アクリル酸は、アクリル酸、又は、アクリル酸におけるα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されているもの、の一方又は両方を意味する。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
【0032】
(α置換)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステル、又は、アクリル酸エステルにおけるα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されているもの、の一方又は両方を意味する。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸アントラセン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸アントラセン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメタン、メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらのなかでも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t−ブチルが好ましい。
【0033】
シロキサン又はその誘導体としては、たとえば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等が挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0034】
かご型シルセスキオキサン(POSS)構造含有構成単位としては、下記一般式(a0−1)で表される構成単位が挙げられる。
【0035】
【化3】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。Vは置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を表す。Rは置換基を有していてもよい1価の炭化水素基を表し、複数のRはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。]
【0036】
前記式(a0−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0037】
前記式(a0−1)中、Rにおける1価の炭化水素基は、炭素数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは1〜8である。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
における1価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、なかでも脂肪族炭化水素基であることが好ましく、1価の脂肪族飽和炭化水素基(アルキル基)であることがより好ましい。
前記アルキル基として、より具体的には、鎖状の脂肪族炭化水素基(直鎖状または分岐鎖状のアルキル基)、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、メチル基、エチル基又はイソブチル基がより好ましく、エチル基又はイソブチル基がさらに好ましく、エチル基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜5が好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基又はtert−ブチル基であることが最も好ましい。
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか、又は該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜8であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0038】
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0039】
における1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基としては、芳香環を少なくとも1つ有する1価の炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0040】
前記式(a0−1)中、Vにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
における2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0041】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0042】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0043】
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0044】
以下に、前記式(a0−1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0045】
【化4】
【0046】
本発明においては、芳香族基を有する構成単位と、Siを含有する構成単位とのモル比が60:40〜90:10であることが好ましく、65:35〜80:20であることがより好ましい。
芳香族基を有する構成単位、Siを含有する構成単位の割合が前記の好ましい範囲内であると、支持体表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状の相分離構造が得られやすい。
【0047】
かかるブロックコポリマーとして、具体的には、スチレンのブロックとSi含有ブロックとを有するブロックコポリマー、かご型シルセスキオキサン(POSS)構造含有構成単位のブロックとアクリル酸のブロックとを有するブロックコポリマー、かご型シルセスキオキサン(POSS)構造含有構成単位のブロックとアクリル酸メチルのブロックとを有するブロックコポリマー、等が挙げられる。
【0048】
ブロックコポリマーを構成する各ポリマーの質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、相分離を起こすことが可能な大きさであれば特に限定されるものではないが、5000〜500000が好ましく、5000〜400000がより好ましく、5000〜300000がさらに好ましい。
またブロックコポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましく、1.0〜1.3がさらに好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0049】
ブロックコポリマーを含有する組成物には、上記ブロックコポリマー以外に、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えば中性化膜からなる層の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物等を適宜、添加含有させることができる。
【0050】
・有機溶剤
ブロックコポリマーを含有する組成物は、上記ブロックコポリマーを有機溶剤に溶解して作製することができる。有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、樹脂を主成分とする膜組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
【0051】
また、ブロックコポリマーを含有する組成物中の有機溶剤として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
ブロックコポリマーを含有する組成物中の有機溶剤の使用量は特に限定されるものではなく、塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはブロックコポリマーの固形分濃度が0.2〜70質量%、好ましくは0.2〜50質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0052】
なお、以下において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、後の任意工程で選択的に除去されないブロックをPブロック(図1中の3a)、選択的に除去されるブロックをPブロック(図1中の3b)、という。例えば、PS−Si含有ブロックコポリマーを含む層を相分離した後、当該層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、Si含有ブロックからなる相が選択的に除去される。この場合、PSがPブロックであり、Si含有ブロックPブロックである。
【0053】
本発明において、選択的に除去される相(すなわち、Pブロックからなる相)の形状や大きさは、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの体積分率や、ブロックコポリマーの分子量により規定される。例えば、ブロックコポリマー中に占めるPブロックの体積分率を比較的小さくすることにより、Pブロックからなる相中にPブロックからなる相がシリンダー状に存在するシリンダー構造を形成させることができる。一方で、ブロックコポリマー中に占めるPブロックとPブロックの体積分率を同程度にすることにより、Pブロックからなる相とPブロックからなる相とが交互に積層されたラメラ構造を形成させることができる。また、ブロックコポリマーの分子量を大きくすることにより、各相の大きさを大きくすることができる。
【0054】
[トップコート材料を、該層及び前記ガイドパターン上に塗布してトップコート膜を形成する工程]
本発明においては、前記[支持体上のガイドパターンの間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程]の後に、トップコート材料を、複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層及びガイドパターン上に塗布してトップコート膜を形成する工程(以下、「トップコート膜形成工程」という事がある。)を有する。
トップコート膜形成工程においては、例えば、図1(d)に示すように、トップコート材料を、複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層3及びガイドパターン2上に塗布してトップコート膜を形成するトップコート膜4を形成するとよい。
トップコート膜形成工程では、加熱などにより極性が変化し、かつ、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御するトップコート材料を、該層上に塗布してトップコート膜を形成する。
前記ブロックコポリマーを含む層3上に、該トップコート材料を用いてトップコート膜4を設けることにより、該層の表面状態を良好にコントロールでき、より安定に相分離させることができる。
本発明において、トップコート膜4の形成は、たとえば、前記ブロックコポリマーを含む層3上に、該トップコート材料を、スピンナー等を用いて塗布することにより実施できる。該塗布の後、ベーク処理を行ってもよい。その際、加熱温度を80〜280℃とすることが好ましく、加熱時間を10〜600秒間とすることが好ましい。
ブロックコポリマーを含む層3上に形成されるトップコート膜4の厚さは、2〜500nmであることが好ましく、より好ましくは厚さ5〜200nmであり、さらに好ましくは厚さ10〜100nmであ。トップコート膜4の厚さが前記の好ましい範囲内にあることで、外部環境の影響を充分に遮断することができ、相分離がより良好に起こりやすくなる。
トップコート材料については、後述のトップコート材料を用いることができる。本発明においては、後述するように、前記トップコート材料の溶剤が塩基性物質を含まないことを特徴とする。
【0055】
[相分離工程]
相分離工程では、前記トップコート膜4が形成されたブロックコポリマーを含む層3を、熱アニールによって相分離させる(図1(e))。
本発明において、熱アニールは、具体的には、該ブロックコポリマーを含む層が形成された支持体を加熱する。加熱温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満で行うことが好ましい。本態様において、加熱温度は、100〜300℃とすることが好ましく、120〜280℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.5〜1440分間とすることが好ましく、1〜600分間とすることがより好ましい。また、加熱は、窒素等の反応性の低いガス中で行うことが好ましい。
このように、該ブロックコポリマーを含む層の熱アニールにより、該ブロックコポリマーを含む層を相分離させる(図1(e)における3a及び3b)。この結果、支持体表面に相分離構造(好ましくは、支持体表面に対して垂直方向に配向したラメラ状又はシリンダー状の相分離構造)を有する構造体が製造される。
【0056】
[中性化膜形成工程]
本発明においては、前記[支持体上のガイドパターンの間に複数種類のブロックが結合したSi含有ブロックコポリマーを含む層を形成する工程]の前に、支持体上に、表面処理剤を含む中性化膜5を形成する(基板を中性化処理する)、[中性化膜形成工程]を有することが好ましい(図2(b))。
中性化処理とは、基板表面を、ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性を有するように改質する処理をいう。中性化処理を行うことにより、相分離によって特定のブロックからなる相のみが基板表面に接することを抑制することができる。この点を考慮し、相分離によって基板表面に対して相分離構造(好ましくは、基板表面に対して垂直方向に配向したラメラ状又はシリンダ状の相分離構造)を形成させるために、ブロックコポリマーを含む層を形成する前に、用いるブロックコポリマーの種類に応じた中性化膜を基板表面に形成しておくことが好ましい。
【0057】
具体的には、支持体1表面に、ブロックコポリマーを構成するいずれのブロックとも親和性を有する、表面処理剤を含む薄膜(中性化膜5)を形成する。中性化膜5は、たとえば、基板上に表面処理剤を塗布することにより形成することができる。
支持体1に中性化膜5を形成する前に、支持体1表面を洗浄してもよい。支持体1表面を洗浄することにより、後の中性化膜5の形成を良好に行える場合がある。
洗浄方法としては、従来公知の方法を利用でき、たとえば酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。一例として、基板を硫酸/過酸化水素水溶液等の酸溶液に浸漬させた後、水洗し、乾燥させる方法がある。
【0058】
中性化膜5は、表面処理剤として樹脂組成物、を用いることにより形成できる。
かかる樹脂組成物は、ブロックコポリマーを構成するブロックの種類に応じて、薄膜形成に用いられる従来公知の樹脂組成物の中から適宜選択することができる。
表面処理剤として用いられる樹脂組成物は、熱重合性樹脂組成物であってもよく、ポジ型レジスト組成物やネガ型レジスト組成物等の感光性樹脂組成物であってもよい。その他、化合物を表面処理剤とし、該化合物を塗布して形成された非重合性膜を中性化膜としてもよい。たとえば、フェネチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン等を表面処理剤として形成されたシロキサン系有機単分子膜も、中性化膜として好適に用いることができる。
【0059】
このような表面処理剤としては、たとえば、ブロックコポリマーを構成する各ブロックの構成単位をいずれも有する樹脂を含有する樹脂組成物や、ブロックコポリマーを構成する各ブロックと親和性の高い構成単位をいずれも有する樹脂を含有する樹脂組成物、ブロックコポリマーを構成する全ブロックの極性の平均値に近い極性を有する樹脂を含有する樹脂組成物等が挙げられる。
たとえば、構成単位(a00−1)又は(a00−2)と共にスチレンのブロックを有するブロックコポリマーを用いる場合には、表面処理剤としてメタクリル酸メチルを構成単位として有する樹脂を含有する樹脂組成物や、スチレン構造と親和性の高い部位と、構成単位(a00−1)又は(a00−2)と親和性の高い部位と、の両方を有する化合物又は組成物を用いることが好ましい。
メタクリル酸メチルと親和性の高い部位としては、トリメトキシシリル基、トリクロロシリル基、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルキル基等の極性の高い官能基を有するモノマー等が挙げられる。
【0060】
本発明において、前記中性化膜が架橋性ポリマーユニットを含まないことが好ましい。
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法は、感光性樹脂膜によるガイドパターンを形成する工程を有するが、ガイドパターン形成工程の前に、中性化膜形成工程を有する場合、中性化膜上にガイドパターンを形成し易くする、又は形成したガイドパターンのパターン倒れ等を防ぐため、中性化膜の膜厚は薄膜であることが好ましいと考えられる。
そこで、本発明者らは、中性化膜が架橋性ポリマーを有する構成単位を含まないことにより、中性化膜を薄膜化することができることを見出した。
架橋性ポリマーユニットとしては、架橋性を有する者であれば特に限定されないが、エポキシ基、オキセタン基、エチレン性不飽和基やラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。
本発明において、中性化膜は、架橋性ポリマーユニットを含まず、基板相互作用基を有する構成単位(II)を有することが好ましい。
【0061】
{基板相互作用基}
下地剤が構成単位(II)を有することにより、下地剤と基板とが相互作用し、強固な膜(下地剤からなる層)が基板上に形成される結果、該下地剤からなる層の上で、ブロックコポリマーからなる層が良好に相分離すると考えられる。
本発明において「基板相互作用基」とは、基板と化学的又は物理的相互作用をすることが可能な基であって、基板の種類に応じて適宜選択することができる。基板と該基板相互作用基との相互作用の種類としては、共有結合性相互作用、イオン結合性相互作用、水素結合性相互作用、静電相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス力結合等が挙げられる。
基板相互作用基として具体的には、カルボキシ基、水酸基、シアノ基、アジド基、アミノ基又はトリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、モノアルコキシシリル基等が挙げられ、中でもカルボキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基又はトリアルコキシシリル基が好ましい。トリアルコキシシリル基中のアルコキシ基としては、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0062】
また、本発明において、基板相互作用基は、ラクトン含有環式基、後述の式(ba0−3−1’−r1)〜(ba0−3−1’−r2)で表される基が挙げられる。
「ラクトン含有環式基」とは、後述する構成単位(a2)中の「ラクトン含有環式基」と同様の基が挙げられる。
【0063】
また、式(ba0−3−1’−r1)又は(ba0−3−1’−r2)で表される基板相互作用基を以下に示す。
【0064】
【化5】
[式中、Ra’201は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、nは1〜3の整数である。式(ba0−3−1’−r2)中、Ra’201は前記同様で、アルキル基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。式中、*は結合手を示す。]
【0065】
一般式(ba0−3−1’−r1)又は(ba0−3−1’−r2)中、Ra’201は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、nは1〜3の整数である。Ra’201における炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i―プロピル基、2−メチルプロピル基、l−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0066】
一般式(ba0−3−1’−r2)中、Ra’201は前記同様で、アルキル基の場合、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環構造としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0067】
構成単位(II)としては、下記一般式(ba0−3−1)〜(ba0−3−4)で表される構成単位が好ましい。
【0068】
【化6】
[式中、Rは前記同様であり、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Y01は2価の連結基であり、Y02は2価の連結基であり、Y03は単結合または2価の連結基であり、X01〜X04は前記基板相互作用基である。]
【0069】
前記式中、Y01の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよく、芳香環を有しない2価の炭化水素基;ヘテロ原子を含み、芳香環を有しない2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。Y01の2価の連結基としては、後述の一般式(a2−1)中のYa21における2価の連結基と同様の基が挙げられる。
【0070】
式中、X01はカルボキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、トリアルコキシシリル基、アジド基、ラクトン含有環式基、後述の式(ba0−3−1’−r1)〜(ba0−3−1’−r2)で表される基、エーテル含有環式基であることが好ましい。トリアルコキシシリル基中のアルコキシ基は前記同様であって、トリアルコキシシリル基としてはトリメトキシシリル基が好ましい。
【0071】
以下に構成単位(II)の具体例を示す。式中、Rは前記同様である。
【0072】
【化7】
【0073】
構成単位(II)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
下地剤中の樹脂成分中、構成単位(II)の割合は、特に限定されず、樹脂成分を構成する全構成単位に対し、20モル%以下であることが好ましく、1〜10モル%であることがより好ましく、1〜5モル%であることが特に好ましい。上記範囲とすることで基板密着性が向上させることができる。
【0074】
≪トップコート材料≫
本発明の相分離構造を含む構造体の製造方法において、用いることが好ましいトップコート材料について説明する。
本発明においてトップコート材料とは、加熱などにより極性が変化する構成単位(Tc1)を有する高分子化合物と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する表面エネルギー制御剤と、を含有することを特徴とする、トップコート材料(以下「トップコート材料(1)」ともいう)である。
また、本発明のトップコート材料は、加熱などにより極性が変化する構成単位(Tc1)と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)と、を有する高分子化合物、を含有することを特徴とする、トップコート材料(以下「トップコート材料(2)」ともいう)であってもよい。
【0075】
<トップコート材料(1)>
トップコート材料(1)は、加熱などにより極性が変化する構成単位(Tc1)を有する高分子化合物と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する表面エネルギー制御剤と、を含有する。
【0076】
(高分子化合物)
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物は、加熱などにより極性が変化する構成単位(Tc1)を有する。
構成単位(Tc1)を有することで、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを適度な高さに維持することができる。
「加熱などにより極性が変化する構成単位」とは、加熱などにより構造が変わり、極性基の露出状態が変化する繰返し単位をいう。たとえば、開環構造が加熱により脱水縮合して環構造を形成するのに伴い、極性基の露出状態が変化する繰返し単位などが挙げられる。
極性基としては、たとえば−COO、−SO、−NH;カルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。
【0077】
構成単位(Tc1)としては、たとえば、下記の化学式で表される構成単位が挙げられる。
化学式(Tc1−1)で表される構成単位は、水又は塩基性成分の存在下で、極性が増大する構成単位である。化学式(Tc1−2)、(Tc1−3)で表される構成単位は、加熱により極性が減少する構成単位である。
【0078】
【化8】
【0079】
高分子化合物が有する構成単位(Tc1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc1)として、水又は塩基性成分により極性が増大する構成単位、又は、加熱により極性が減少する構成単位のいずれを選択すべきか、については、ブロックコポリマーの種類や、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーの程度などによって適宜決定される。
構成単位(Tc1)のなかでも、前記の化学式(Tc1−1)で表される構成単位、又は、化学式(Tc1−2)で表される構成単位を用いることが好ましい。
高分子化合物中の構成単位(Tc1)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がより好ましく、40〜80モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc1)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを適度な高さに容易に維持できる。
【0080】
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物は、構成単位(Tc1)以外の構成単位を有していてもよい。
構成単位(Tc1)以外の構成単位としては、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)、ガラス転移温度(Tg)を調整する構成単位(Tc3)等が挙げられる。
【0081】
・構成単位(Tc2)
構成単位(Tc2)としては、後述の<トップコート材料(2)>のなかで説明する構成単位(Tc2)と同様である。
高分子化合物が有する構成単位(Tc2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc2)のなかでも、後述の一般式(Tc2−1)で表される構成単位、一般式(Tc2−2)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−3)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、一般式(Tc2−1)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−2)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
高分子化合物が構成単位(Tc2)を有する場合、高分子化合物中の構成単位(Tc2)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc2)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを容易に制御できる。
【0082】
トップコート材料(1)中、構成単位(Tc1)を有する高分子化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物は、少なくとも構成単位(Tc1)を有する重合体であり、該構成単位(Tc1)に加えて、構成単位(Tc2)を有する共重合体であることが好ましい。
かかる共重合体の中でも好ましくは、前記化学式(Tc1−1)で表される構成単位と、後述の一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、後述の一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体等が挙げられる。
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物の好適な具体例としては、後述の<トップコート材料(2)>のなかで例示する高分子化合物の好適な具体例と同様のものが挙げられる。
【0083】
トップコート材料(1)に用いられる高分子化合物の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜30000が最も好ましい。前記の好ましい範囲内とすることによって、溶媒に対する溶解性がより良好となる。
該高分子化合物の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜6.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜4.0が最も好ましい。
【0084】
高分子化合物は、各構成単位を誘導するモノマーを、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
トップコート材料(1)中、高分子化合物の含有量は、形成しようとするトップコート膜厚等に応じて調整すればよい。トップコート材料(1)中、高分子化合物の濃度は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.2〜7質量%である。
【0085】
(表面エネルギー制御剤)
トップコート材料(1)は、前記構成単位(Tc1)を有する高分子化合物に加えて、前述した≪相分離構造を含む構造体の製造方法≫における、前記ブロックコポリマーを含む層、の表面エネルギーを制御する表面エネルギー制御剤を含有する。
表面エネルギー制御剤を含有することで、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーが適度な高さとなるように制御できる。
【0086】
表面エネルギー制御剤としては、たとえば、加熱によりトップコート材料中の高分子化合物間及び高分子化合物内で化学結合を形成する成分(架橋剤)が挙げられる。
表面エネルギー制御剤として、具体的には、ジアミン、トリアミン等の架橋剤が挙げられ、なかでもジアミン又はトリアミンを用いることがより好ましく、ジアミンを用いることが特に好ましい。
【0087】
表面エネルギー制御剤として好適な具体例を以下に示す。
【0088】
【化9】
【0089】
トップコート材料(1)中、表面エネルギー制御剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トップコート材料(1)中、表面エネルギー制御剤の含有量は、前記高分子化合物100質量部に対して2〜500質量部であることが好ましく、5〜300質量部であることがより好ましい。
表面エネルギー制御剤の含有量が好ましい下限値以上であれば、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを容易に制御できる。一方、好ましい上限値以下であれば、成膜性がより良好となる。
【0090】
トップコート材料(1)には、前述した高分子化合物及び表面エネルギー制御剤の他に、さらに所望により混和性のある添加剤などを含有させることができる。
・溶剤
トップコート材料(1)は、前述した高分子化合物及び表面エネルギー制御剤を溶媒に溶解させて製造することができる。
かかる溶媒としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよいが、本発明において溶剤は塩基性物質を含まない。
本発明においては、トップコート材料の溶剤が塩基性物質を含まないことにより、ガイドパターン上にトップコート剤を塗布した際に、ガイドパターンにダメージを与えにくくすることができると考えられる。
本発明において、溶剤が含まない塩基性物質としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、等の金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、等の金属アルコキシド類;酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、等のカルボン酸塩類;ナトリウムフェノキシド等のフェノール塩類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、等の炭酸塩類、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、等のアミン類が挙げられる。
【0091】
本発明において、溶剤としては、たとえば、水、メタノール、水とメタノールとの混合溶剤、水とイソプロピルアルコールとの混合溶剤等が挙げられる。
本発明においては、トップコート材料の溶剤として水とメタノールの混合溶媒が好ましく、メタノール:水=3:1の混合溶媒であることがより好ましい。
(任意成分)
トップコート材料(1)には、前述した高分子化合物及び表面エネルギー制御剤の他に、さらに所望により混和性のある添加剤などを含有させることができる。
【0092】
<トップコート材料(2)>
トップコート材料(2)は、加熱などにより極性が変化する構成単位(Tc1)と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)と、を有する高分子化合物、を含有する。
【0093】
(高分子化合物)
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物は、加熱などにより極性が変化する構成単位(Tc1)と、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位(Tc2)と、を有する。
・構成単位(Tc1)
構成単位(Tc1)としては、前述の<トップコート材料(1)>のなかで説明した構成単位(Tc1)と同様である。
高分子化合物が有する構成単位(Tc1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc1)として、水又は塩基性成分により極性が増大する構成単位、又は、加熱により極性が減少する構成単位のいずれを選択すべきか、については、ブロックコポリマーの種類や、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーの程度などによって適宜決定される。
構成単位(Tc1)のなかでも、前記の化学式(Tc1−1)で表される構成単位、又は、化学式(Tc1−2)で表される構成単位を用いることが好ましい。
高分子化合物中の構成単位(Tc1)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、30〜80モル%がより好ましく、40〜80モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc1)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、相分離のときに、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを適度な高さに容易に維持できる。
【0094】
・構成単位(Tc2)
構成単位(Tc2)は、前記ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを制御する構成単位である。
構成単位(Tc2)を有することで、相分離の時に、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーが適度な高さとなるように制御できる。
【0095】
構成単位(Tc2)としては、前記構成単位(Tc1)を有する高分子化合物の極性を調整できるものであればよく、下記の一般式(Tc2−1)で表される構成単位、一般式(Tc2−2)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−3)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0096】
【化10】
[式中、x1は、0又は1である。Rはフッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。x2は、0〜4の整数である。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。複数のRはそれぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。Rは、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。yは、0〜3の整数である。Rは、置換基で置換されていてもよい炭化水素基を表す。Rにおける置換基は、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基である。]
【0097】
前記式(Tc2−1)中、x1は、0又は1である。
x2は、0〜4の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1であり、特に好ましくは1である。
【0098】
前記式(Tc2−1)中、Rは、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。Rにおける炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよく、なかでも脂肪族炭化水素基であることが好ましく、1価の脂肪族飽和炭化水素基(アルキル基)であることがより好ましい。
前記アルキル基として、より具体的には、鎖状の脂肪族炭化水素基(直鎖状または分岐鎖状のアルキル基)、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10が好ましく、3〜8がより好ましく、3〜6がさらに好ましい。
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか、又は該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜8であることが好ましく、4〜6であることがより好ましく、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから1つ以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0099】
鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、環状の脂肪族炭化水素基は、それぞれフッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい。すなわち、該脂肪族炭化水素基の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。又は、該脂肪族炭化水素基のメチレン基(−CH−)が酸素原子(−O−)又はカルボニル基(−C(=O)−)で置換されていてもよい。
【0100】
における1価の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基としては、芳香環を少なくとも1つ有する1価の炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、後述の置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。
前記アリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
芳香族炭化水素基は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい。すなわち、該芳香族炭化水素基の水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい。又は、該芳香族炭化水素基のメチレン基(−CH−)が酸素原子(−O−)又はカルボニル基(−C(=O)−)で置換されていてもよい。
【0101】
前記の式(Tc2−2)、式(Tc2−3)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表す。複数のRは、それぞれ同じであってもよく異なっていてもよい。
Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0102】
前記式(Tc2−2)中、Rは、前記式(Tc2−1)中のRと同様のものが挙げられる。
yは、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
【0103】
前記式(Tc2−3)中、Rは、置換基で置換されていてもよい炭化水素基を表す。
における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
における置換基は、フッ素原子、又は、フッ素原子もしくは酸素原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、前記式(Tc2−1)中のRと同様のものが挙げられる。
【0104】
以下に、前記式(Tc2−1)で表される構成単位の具体例を示す。
式中、R11は、水素原子、又は、フッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。R11における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。下記化学式中、波線は「くさび型結合」と「破線結合」の両方を意味する。
【0105】
【化11】
【0106】
以下に、前記式(Tc2−2)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
式中、R12は、水素原子、又は、フッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。R12における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0107】
【化12】
【0108】
以下に、前記式(Tc2−3)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
式中、R13は、水素原子、又は、フッ素原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。R13における炭化水素基は、前記式(Tc2−1)中のRにおける炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0109】
【化13】
【0110】
高分子化合物が有する構成単位(Tc2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
構成単位(Tc2)のなかでも、前記の一般式(Tc2−1)で表される構成単位、一般式(Tc2−2)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−3)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましく、一般式(Tc2−1)で表される構成単位、及び、一般式(Tc2−2)で表される構成単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることがより好ましい。
高分子化合物中の構成単位(Tc2)の割合は、該高分子化合物を構成する全構成単位に対し、10〜90モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。
構成単位(Tc2)の割合を前記の好ましい範囲内とすることによって、ブロックコポリマーを含む層の表面エネルギーを容易に制御できる。
【0111】
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物は、構成単位(Tc1)及び構成単位(Tc2)以外の構成単位を有していてもよい。
構成単位(Tc1)及び構成単位(Tc2)以外の構成単位としては、ガラス転移温度(Tg)を調整する構成単位(Tc3)等が挙げられる。
【0112】
トップコート材料(2)中、構成単位(Tc1)と構成単位(Tc2)とを有する高分子化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物は、少なくとも構成単位(Tc1)と構成単位(Tc2)とを有する共重合体である。
かかる共重合体として、具体的には、前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−3)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−3)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−3)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体;前記化学式(Tc1−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体、等が挙げられる。これらの中でも、前記化学式(Tc1−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−1)で表される構成単位と、前記一般式(Tc2−2)で表される構成単位と、の繰返し構造を有する共重合体がより好ましい。
【0113】
以下に、トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物の好適な具体例を示す。
式中、R、R、R及びyは、前記式(Tc2−1)〜(Tc2−3)中のR、R、R及びyとそれぞれ同様である。
式中、R1a及びR1bは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−1)中のRと同様である。
2a及びR2bは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−2)中のRと同様である。
及びyは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−2)中のyと同様である。
3a及びR3bは、それぞれ独立に、前記式(Tc2−3)中のRと同様である。
さらに、Rαは前記同様である。
【0114】
【化14】
【0115】
【化15】
【0116】
【化16】
【0117】
【化17】
【0118】
【化18】
【0119】
【化19】
【0120】
トップコート材料(2)に用いられる高分子化合物の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜30000が最も好ましい。前記の好ましい範囲内であれば、溶媒に対して充分な溶解性がある。
該高分子化合物の分子量分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜6.0が好ましく、1.0〜5.0がより好ましく、1.0〜4.0が最も好ましい。
【0121】
高分子化合物は、各構成単位を誘導するモノマーを、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチルのようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等により重合させることによって得ることができる。
トップコート材料(2)中、高分子化合物の含有量は、形成しようとするトップコート膜厚等に応じて調整すればよい。トップコート材料(2)中、高分子化合物の濃度は、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.2〜7質量%である。
【0122】
(任意成分)
トップコート材料(2)には、前述した高分子化合物の他に、さらに所望により混和性のある添加剤、たとえば、前記表面エネルギー制御剤などを含有させることができる。
・溶媒
トップコート材料(2)は、前述した高分子化合物を溶媒に溶解させて製造することができる。
かかる溶媒としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、たとえば、水、アンモニア水(好ましくは10〜50質量%)、メタノール、アンモニア水とメタノールとの混合溶剤、水とメタノールとの混合溶剤、アンモニア水とエタノールとの混合溶剤等が挙げられる。
【0123】
本発明においてガイドパターンの形成には、例えばレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法、ナノインプリンティングによるパターン形成方法等を採用することができる。
【0124】
レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法によりガイドパターンを形成する場合、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)、及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するレジスト組成物を、支持体上に塗布してレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記レジスト膜を、現像液を用いて現像してレジストパターンを形成する工程と、を有することが好ましい。
【0125】
本発明においては、上記の工程を経ることにより、レジストパターンの向きに沿った相分離構造を含む構造体を得ることができる。即ち、本発明により、相分離構造の配向性が制御可能となると考えられる。
なお、本発明は、レジスト組成物等を物理的なガイドに用いて相分離パターンの配向性を制御する手法(グラフォエピタキシー)を用いてもよい。
【0126】
<レジスト組成物>
本発明において、レジスト組成物は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう。)及び露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」ともいう。)を含有していることが好ましい。
かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、当該レジスト組成物がポジ型の場合は露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、当該レジスト組成物がネガ型の場合は未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をポジ型レジスト組成物といい、未露光部が溶解除去されるネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物をネガ型レジスト組成物という。
本発明において、レジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本発明において、レジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよいが、溶剤現像プロセスであることが好ましい。
【0127】
本発明において、レジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(A)成分が露光により酸を発生してもよく、(A)成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
具体的には、本発明において、レジスト組成物は、
(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)を含有するものであってもよく;
(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;
(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。(A)成分が露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分である場合、後述する(A1)成分が、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、露光により酸を発生する構成単位を有する樹脂を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位としては、公知のものを用いることができる。
本発明において、レジスト組成物は、上記(1)の場合であることが特に好ましい。
【0128】
<(A)成分>
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルの感光性樹脂パターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分としては、樹脂を用いてもよく、低分子化合物を用いてもよく、これらを併用してもよい。
(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が増大するものであってもよく、酸の作用により現像液に対する溶解性が減少するものであってもよい。
また、本発明において(A)成分は、露光により酸を発生するものであってもよい。
【0129】
本発明において、(A)成分は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(以下、「構成単位(a1)」ということがある。)、−SO−含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(以下、「構成単位(a2)」ということがある。)、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(以下、「構成単位(a3)」ということがある。)、酸非解離性環式基を含む構成単位(以下、「構成単位(a4)」ということがある。)、ラクトン含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(以下、「構成単位(a5)」ということがある。)、又はエーテル含有環式基を含む構成単位(以下、「構成単位(a13)」ということがある。)を有する高分子化合物(A1)(以下、「(A1)成分」ということがある。)を含んでいることが好ましい。
【0130】
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、
(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、
(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、
の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
【0131】
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。
上記極性基のうち、カルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下、便宜上「アセタール型酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
【0132】
【化20】
[式中、Ra’、Ra’は水素原子またはアルキル基、Ra’は炭化水素基、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
【0133】
式(a1−r−1)中、Ra’、Ra’のアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
【0134】
Ra’の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく;直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2,2,−ジメチルブチル基等が挙げられる。
【0135】
Ra’が環状の炭化水素基となる場合、脂肪族でも芳香族でもよく、また多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜8のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0136】
芳香族炭化水素基となる場合、含まれる芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基);前記アリール基の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0137】
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0138】
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基が挙げられる(下記式(a1−r−2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある)。
【0139】
【化21】
[式中、Ra’〜Ra’は炭化水素基であり、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。]
【0140】
Ra’〜Ra’の炭化水素基としては前記Ra’と同様のものが挙げられる。Ra’は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。Ra’、Ra’が互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1−r2−1)で表される基が挙げられる。
一方、Ra’〜Ra’が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−2)で表される基が挙げられる。
【0141】
【化22】
[式中、Ra’10は炭素数1〜10のアルキル基、Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基、Ra’12〜Ra’14は、それぞれ独立に炭化水素基を示す。]
【0142】
式(a1−r2−1)中、Ra’10の炭素数1〜10のアルキル基のアルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基が好ましい。式(a1−r2−1)中、Ra’11が構成する脂肪族環式基は、式(a1−r−1)におけるRa’の環状のアルキル基として挙げた基が好ましい。
【0143】
式(a1−r2−2)中、Ra’12及びRa’14はそれぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’13は、式(a1−r−1)におけるRa’の炭化水素基として例示された直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であることが好ましい。これらの中でも、Ra’の環状のアルキル基として挙げられた基であることがより好ましい。
【0144】
前記式(a1−r2−1)の具体例を以下に挙げる。以下の式中、「*」は結合手を示す。
【0145】
【化23】
【0146】
前記式(a1−r2−2)の具体例を以下に挙げる。
【0147】
【化24】
【0148】
また、上記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下、便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
【0149】
【化25】
[式中、Ra’〜Ra’はアルキル基を示す。]
【0150】
式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、1〜3がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
【0151】
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
【0152】
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a1)として、下記一般式(a1−1)又は(a1−2)で表される構成単位が好ましい。
【0153】
【化26】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaはエーテル結合、ウレタン結合、又はアミド結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na1は0〜2であり、Raは上記式(a1−r−1)〜(a1−r−2)で表される酸解離性基である。Waはna2+1価の炭化水素基であり、na2は1〜3であり、Raは上記式(a1−r−1)または(a1−r−3)で表される酸解離性基である。]
【0154】
前記一般式(a1−1)中、炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
Vaの炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
またVaとしては上記2価の炭化水素基がエーテル結合、ウレタン結合、又はアミド結合を介して結合したものが挙げられる。
【0155】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0156】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0157】
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0158】
前記式(a1−2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられ、具体的には、上述の式(a1−1)のVaと同じ基が挙げられる。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
【0159】
前記式(a1−2)としては、特に、下記一般式(a1−2−01)で表される構成単位が好ましい。
【0160】
【化27】
【0161】
式(a1−2−01)中、Raは上記式(a1−r−1)または(a1−r−3)で表される酸解離性基である。na2は1〜3の整数であり、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。cは0〜3の整数であり、0又は1であることが好ましく、1であることがより好ましい。Rは前記と同じである。
以下に上記式(a1−1)、(a1−2)の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0162】
【化28】
【0163】
【化29】
【0164】
【化30】
【0165】
【化31】
【0166】
【化32】
【0167】
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、20〜80モル%が好ましく、20〜75モル%がより好ましく、25〜70モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0168】
(構成単位(a2))
構成単位(a2)は、−SO−含有環式基を含む構成単位である。
構成単位(a2)の−SO−含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めるうえで有効なものである。
本発明において、(A1)成分は、構成単位(a2)を有していることが好ましい。
なお、前記構成単位(a1)がその構造中に−SO−含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
【0169】
構成単位(a2)は、下記一般式(a2−1)で表される構成単位であることが好ましい。
【0170】
【化33】
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Ya21は単結合または2価の連結基であり、La21は−O−、−COO−、−CON(R’)−、−OCO−、−CONHCO−又は−CONHCS−であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。Ra21は−SO−含有環式基である。]
【0171】
Ya21の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
【0172】
(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、上述の式(a1−1)におけるVaで例示した基が挙げられる。
【0173】
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0174】
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、上述の式(a1−1)におけるVaで例示した基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
【0175】
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基としては、具体的には、上述の式(a1−1)におけるVaで例示された基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
【0176】
(ヘテロ原子を含む2価の連結基)
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
【0177】
Ya21がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−−Y21、[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
【0178】
本発明において、Ya21としては、単結合、又はエステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましい。
【0179】
前記式(a2−1)中、Ra21は−SO−含有環式基である。
【0180】
「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
Ra21における環状の炭化水素基としての−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。−SO−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)で表される基が挙げられる。
【0181】
【化34】
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数である。]
【0182】
前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)中、A”は前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のA”と同様である。Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21と同様である。
【0183】
下記に一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)で表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
【0184】
【化35】
【0185】
【化36】
【0186】
【化37】
【0187】
−SO−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(a5−r−1)で表される基が好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)、(r−sl−1−18)、(r−sl−3−1)および(r−sl−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)で表される基が最も好ましい。
【0188】
(A1)成分が有する構成単位(a2)は1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
【0189】
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a1)、(a2)に該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与すると考えられる。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
【0190】
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0191】
【化38】
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
【0192】
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
【0193】
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
【0194】
(A1)成分が含有する構成単位(a3)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該樹脂成分(A1)を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
【0195】
(構成単位(a4))
構成単位(a4)は、酸非解離性環式基を含む構成単位である。(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性が向上する。また、(A1)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に有機溶剤現像の場合に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与すると考えられる。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により後述の(B)成分から酸が発生した際に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−7)の構造のものを例示することができる。
【0196】
【化39】
[式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。]
【0197】
(A1)成分が含有する構成単位(a4)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際、構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
【0198】
(構成単位(a5))
構成単位(a5)は、ラクトン含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位である。
構成単位(a5)のラクトン含有環式基又はカーボネート含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めるうえで有効なものである。
なお、前記構成単位(a1)がその構造中にラクトン含有環式基又はカーボネート含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a5)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a5)には該当しないものとする。
【0199】
構成単位(a5)は、前記式(a2−1)中のRa21がラクトン含有環式基又はカーボネート含有環式基である構成単位であることが好ましい。
【0200】
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
における環状の炭化水素基としてのラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)で表される基が挙げられる。以下、「*」は結合手を表す。
【0201】
【化40】
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”はそれぞれ独立に酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数であり、m’は0または1である。]
【0202】
前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中、A”は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。A”における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。Ra’21はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基である。
Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
【0203】
下記に一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)で表される基の具体例を挙げる。
【0204】
【化41】
【0205】
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−O−を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
における環状の炭化水素基としてのカーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)で表される基が挙げられる。
【0206】
【化42】
[式中、Ra’x31はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子またはアルキル基であり;A”はそれぞれ独立に酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子でありq’は0または1である。]
【0207】
前記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)中のA”は、A”は前記一般式(a2−r−1)中のA”と同様である。
Ra’ 31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0208】
下記に一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)で表される基の具体例を挙げる。
【0209】
【化43】
【0210】
上記の中でも、ラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2−r−1)または(a2−r−2)で表される基が好ましく、前記化学式(r−lc−1−1)の基がより好ましい。
【0211】
(A1)成分が有する構成単位(a5)は1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a5)を有する場合、構成単位(a5)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a5)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、DOF、CDU等の種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
【0212】
(構成単位(a13))
構成単位(a13)は、エーテル含有環式基を含む構成単位である。構成単位(a13)としては、下記一般式(a13−1)〜(a13−3)のいずれかで表さる構成単位が挙げられる。
【0213】
【化44】
[式中、Rは前記同様であり、Xは単結合または炭素数1〜3のアルキレン基であり、nは1〜5であり、Rは水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、n’は0〜2であり、n”は0〜2である。]
【0214】
前記式(a13−1)〜(a13−3)で表されるもののうち、好ましい具体例を以下に示す。
【0215】
【化45】
[式中、Rは前記同様である。]
【0216】
(A1)成分が有する構成単位(a13)は1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a13)を有する場合、構成単位(a13)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。下限値以上とすることにより構成単位(a13)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができ、DOF、CDU等の種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
【0217】
(A1)成分は、(a1)、(a2)、(a3)、(a4)、(a5)又は(a13)のいずれかを有する共重合体であることが好ましく、構成単位(a1)及び(a2)、構成単位(a1)、(a2)及び(a5)、または構成単位(a1)、(a2)、(a3)及び(a13)を有する共重合体であることがより好ましい。
【0218】
本発明において、(A1)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
【0219】
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
基材成分(A)中の(A1)成分の割合は、基材成分(A)の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、リソグラフィー特性がより向上する。
【0220】
本発明のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0221】
<酸発生剤成分;(B)成分>
本発明のレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という。)を含有していてもよい。(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。なかでも、オニウム塩系酸発生剤を用いるのが好ましい。
【0222】
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b−1)で表される化合物(以下「(b−1)成分」ともいう)、一般式(b−2)で表される化合物(以下「(b−2)成分」ともいう)、又は一般式(b−3)で表される化合物(以下「(b−3)成分」ともいう)を用いることができる。
【0223】
【化46】
[式中、R101、R104〜R108はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。R106〜R107のいずれか2つは、相互に結合して環を形成していてもよい。R102はフッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Y101は単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。V101〜V103はそれぞれ独立に単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。L101〜L102はそれぞれ独立に単結合または酸素原子である。L103〜L105はそれぞれ独立に単結合、−CO−又は−SO−である。M’m+はm価の有機カチオンであり、mは1以上の整数である。]
【0224】
{アニオン部}
・(b−1)成分のアニオン部
式(b−1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
【0225】
(置換基を有していてもよい環式基)
前記環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
101における芳香族炭化水素基は、前記式(a1−1)のVaにおける2価の芳香族炭化水素基で挙げた芳香族炭化水素環、または2以上の芳香環を含む芳香族化合物から水素原子を1つ除いたアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、前記式(a1−1)のVaにおける2価の脂肪族炭化水素基で挙げたモノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基が挙げられ、アダマンチル基、ノルボルニル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよく、具体的には上記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、上記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基、その他以下に挙げる複素環式基が挙げられる。
【0226】
【化47】
【0227】
101の環状の炭化水素基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0228】
(置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基)
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
【0229】
(置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基)
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
【0230】
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
【0231】
なかでも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、上記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基などが好ましい。
【0232】
式(b−1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。当該組み合わせとしては、たとえば下記式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
【0233】
【化48】
[式中、V’101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
【0234】
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましい。
【0235】
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
【0236】
101としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
【0237】
式(b−1)中、V101は、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1〜4であることが好ましい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
【0238】
式(b−1)中、R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
【0239】
(b−1)成分のアニオン部の具体例としては、たとえば、
101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
【0240】
【化49】
[式中、R”101は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基であり;R”102は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基であり;R”103は、置換基を有していてもよい芳香族環式基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり;V”101は、フッ素化アルキレン基であり;L”101は、−C(=O)−又は−SO−であり;v”はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q”はそれぞれ独立に1〜20の整数であり、n”は0または1である。]
【0241】
R”101、R”102およびR”103の置換基を有していてもよい脂肪族環式基は、前記R101における環状の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における環状の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0242】
R”103における置換基を有していてもよい芳香族環式基は、前記R101における環状の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0243】
R”101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基は、前記R101における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。R”103における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前記R101における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。V”101は、好ましくは炭素数1〜3のフッ素化アルキレン基であり、特に好ましくは、−CF−、−CFCF−、−CHFCF−、−CF(CF)CF−、−CH(CF)CF−である。
【0244】
・(b−2)成分のアニオン部
式(b−2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b−2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b−1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b−2)中、L101〜L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
【0245】
・(b−3)成分のアニオン部
式(b−3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。
【0246】
{カチオン部}
式(b−1)、(b−2)及び(b−3)中、M’m+は、前記式(b1−1)の化合物におけるカチオン以外のm価の有機カチオンであり、なかでもスルホニウムカチオンまたはヨードニウムカチオンであることが好ましく、下記の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンが特に好ましい。
【0247】
【化50】
[式中、R201〜R207、およびR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R210は置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基、アルケニル基、又は−SO−含有環式基であり、L201は−C(=O)−または−C(=O)−O−を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、xは1または2であり、W201は(x+1)価の連結基を表す。]
【0248】
201〜R207、およびR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、アリールチオ基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
置換基としてのアリールチオ基におけるアリール基としては、R101で挙げたものと同様であり、具体的にフェニルチオ基又はビフェニルチオ基が挙げられる。
【0249】
【化51】
[式中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、鎖状のアルキル基、または鎖状のアルケニル基である。]
【0250】
R’201の置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、上記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる他、置換基を有していてもよい環式基又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基として上記式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
【0251】
201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
【0252】
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合相互に結合して環を形成してもよい。
【0253】
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
210における、置換基を有していてもよい−SO−含有環式基としては、上記一般式(a2−1)中のRa21の「−SO−含有環式基」と同様のものが挙げられ、上記一般式(a5−r−1)で表される基が好ましい。
【0254】
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、上記式(b−1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、上記一般式(a1−1)中のVaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
【0255】
前記式(ca−4)中、xは、1または2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、前記一般式(a2−1)におけるYa21と同様の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
【0256】
式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−63)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0257】
【化52】
【0258】
【化53】
【0259】
【化54】
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
【0260】
【化55】
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、置換基としては前記R201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
【0261】
前記式(ca−3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−3−1)〜(ca−3−6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0262】
【化56】
【0263】
前記式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
【0264】
【化57】
【0265】
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0266】
<塩基性化合物成分;(D)成分>
本発明のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、または(A)成分および(B)成分に加えて、さらに、酸拡散制御剤成分(以下「(D)成分」ともいう。)を含有してもよい。
(D)成分は、前記(B)成分等から露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
本発明における(D)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
【0267】
[(D1)成分]
(D1)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、露光部と非露光部のコントラストを向上させることができる。
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
【0268】
【化58】
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。ただし、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合、または2価の連結基である。Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンであり、mは1以上の整数である。]
【0269】
{(d1−1)成分}
・アニオン部
式(d1−1)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状の炭化水素基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては水酸基、フッ素原子又はフッ素化アルキル基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としてはフェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状の炭化水素基としては、鎖状のアルキル基が好ましい。鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基;が挙げられる。
【0270】
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが好ましい。
【0271】
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0272】
【化59】
【0273】
・カチオン部
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては、特に限定されず、例えば、前記一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが挙げられ、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−63)でそれぞれ表されるカチオンが好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0274】
{(d1−2)成分}
・アニオン部
式(d1−2)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられる。
ただし、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分のクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましく、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
【0275】
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0276】
【化60】
【0277】
・カチオン部
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0278】
{(d1−3)成分}
・アニオン部
式(d1−3)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
【0279】
式(d1−3)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、R101と同様のものが挙げられる。
中でも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0280】
Rdにおけるアルケニル基は、上記R101と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を有していても良い。
【0281】
Rdにおける環式基は、上記R101と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
【0282】
式(d1−3)中、Ydは、単結合、または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、前記式(a2−1)におけるYa21の2価の連結基の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
【0283】
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
【0284】
【化61】
【0285】
【化62】
【0286】
・カチオン部
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0287】
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
【0288】
前記の(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
【0289】
(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜8.0質量部であることがより好ましく、1.0〜8.0質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
【0290】
((D2)成分)
(D)成分は、上記(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下、(D2)成分という。)を含有していてもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するものであり、且つ(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
【0291】
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0292】
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
【0293】
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、アニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
【0294】
(D2)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
【0295】
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、0.3〜12質量部であることがより好ましく、0.5〜12質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、レジスト組成物とした際、LWR等のリソグラフィー特性がより向上する。また、より良好なレジストパターン形状が得られる。前記範囲の上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
【0296】
<任意成分>
[(E)成分]
本発明において、レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下、(E)成分という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、ホスホン酸フェニルエステル、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
【0297】
[(F)成分]
本発明において、レジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するため、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を含有していてもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報、に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。前記重合体としては、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)と、前記構成単位(a1)との共重合体;下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートまたは前記式(a1−2−01)で表される構成単位が好ましい。
【0298】
【化63】
[式中、Rは前記同様であり、Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは1〜5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
【0299】
式(f1−1)中、Rは前記同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、nfは1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
【0300】
式(f1−1)中、Rf101はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、トリフルオロメチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが最も好ましい。
【0301】
(F)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
【0302】
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
【0303】
本発明において、レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0304】
[(S)成分]
本発明において、レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下、(S)成分ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン(2−ヘプタノン)、メチルイソペンチルケトン、などのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように用いられる。
【0305】
具体的には、まず表面処理剤を含む中性化膜上に後述のレジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次に、該レジスト膜に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等による選択的露光を行った後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次に、前記レジスト膜を現像処理する。
【0306】
現像処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、アルカリ現像液を用い、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)用いて行う。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、アルカリ現像プロセスの場合は、純水を用いた水リンスが好ましく、溶剤現像プロセスの場合は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。
溶剤現像プロセスの場合、前記現像処理またはリンス処理の後に、パターン上に付着している現像液またはリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
【0307】
現像処理後またはリンス処理後、乾燥を行う。また、本発明においては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。このようにして、レジストパターンを得ることができる。本発明においては、現像後のベーク処理を180℃以上で行うことが好ましく、190℃以上で行うことがより好ましく、200℃以上で行うことが特に好ましい。
【0308】
本発明においては、現像後のベーク処理を、例えば180℃以上の高温で行うことにより、後述する、パターン及び中性化膜を被覆するように、複数種類のポリマーが結合したブロックコポリマーを含む層を形成する工程において、レジストパターンにブロックコポリマーを含む層の溶剤に対する耐性を付与することができると考えられる。
レジストパターンにブロックコポリマーを含む層の溶剤に対する耐性を付与することにより、レジストパターンの上部にもブロックコポリマーを塗布することが可能となり、さらに、レジストパターン上においてもブロックコポリマーを相分離させることが可能となると考えられる。
また、この高温でのベーク処理によってレジストパターンが適度にフローする。その結果、後述する、レジストパターン3の基板表面(若しくは中性化膜表面)からの高さ、および形状が最適なものとなり、レジストパターン3上にブロックコポリマーの相分離構造を形成することができると考えられる。
【0309】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用としての有用性が高い。
【0310】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0311】
アルカリ現像プロセスで現像処理に用いるアルカリ現像液としては、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
溶剤現像プロセスで現像処理に用いる有機系現像液が含有する有機溶剤としては、(A)成分(露光前の(A)成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶剤及び炭化水素系溶剤を用いることができる。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としてはたとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
【0312】
現像に用いる有機系溶剤が含有する有機溶剤としては、基材成分(A)(露光前の基材成分(A))を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤のなかから適宜選択できる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、ニトリル系溶剤等が挙げられる。エステル系溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。ケトン系溶剤としてはメチルアミルケトン(2−ヘプタノン)が好ましい。
【0313】
ケトン系溶剤は、構造中にC−C(=O)−Cを含む有機溶剤である。エステル系溶剤は、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む有機溶剤である。アルコール系溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤であり、「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。アミド系溶剤は構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系溶剤は構造中にC−O−Cを含む有機溶剤である。有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。たとえば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤いずれにも該当するものとする。また、炭化水素系溶剤は、炭化水素からなり、置換基(水素原子および炭化水素基以外の基または原子)を有さない炭化水素溶剤である。
【0314】
各溶剤の具体例として、ケトン系溶剤としては、たとえば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)等が挙げられる。
【0315】
エステル系溶剤としては、たとえば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。
【0316】
ニトリル系溶剤としては、たとえば、アセトニトリル、プロピオ二トリル、バレロニトリル、ブチロ二トリル等が挙げられる。
有機系現像液には、添加剤として、必要に応じて公知の界面活性剤を配合することができる。
【0317】
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0318】
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0319】
また、本発明においてはガイドパターンの形成において、ナノインプリントリソグラフィにより、ガイドパターンを形成してもよい。ナノインプリントリソグラフィは、所望のパターンが形成されたモールドを、表面に樹脂層が形成された基体に押し付けて、モールドパターンを樹脂層に転写する方法である。
ナノインプリントによるガイドパターン形成方法としては、例えば、特開2007−072374、特開2007−329276、特開2008−246876に記載の方法等が挙げられる。
【0320】
≪パターン形成方法≫
本発明の第二の態様は、前記第一の態様の相分離構造を含む構造体の製造方法により製造された相分離構造を含む構造体から、少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去してパターンを形成する工程を含むことを特徴とする、パターン形成方法である。
具体的には、相分離構造を形成させた後の基板上のブロックコポリマーを含む層のうち、Pブロックからなる相中のブロックの少なくとも一部を選択的に除去(低分子量化)することにより、パターンを形成する方法が挙げられる。予めPブロックの一部を選択的に除去することにより、現像液に対する溶解性を高められる結果、Pブロックからなる相がPブロックからなる相よりも選択的に除去しやすくなる。
【0321】
このような選択的除去処理は、Pブロックに対しては影響せず、Pブロックを分解除去し得る処理であれば、特に限定されるものではなく、樹脂膜の除去に用いられる手法の中から、PブロックとPブロックの種類に応じて、適宜選択して行うことができる。また、基板表面に予め中性化膜が形成されている場合には、当該中性化膜もPブロックからなる相と同様に除去される。このような除去処理としては、例えば、酸素プラズマ処理、オゾン処理、UV照射処理、熱分解処理、及び化学分解処理等が挙げられる。
【0322】
上記の様にしてブロックコポリマーからなる層の相分離によりパターンを形成させた基板は、そのまま使用することもできるが、さらに熱処理を行うことにより、基板上の高分子ナノ構造体の形状を変更することもできる。熱処理の温度は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ熱分解温度未満で行うことが好ましい。また、熱処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
【0323】
≪微細パターン形成方法≫
本発明の第三の態様は、前記第二の態様のパターン形成方法により形成したパターンをマスクとして、基板のエッチングを行うエッチング工程を有する微細パターン形成方法である。
【0324】
[エッチング工程]
エッチング工程は、前記相分離構造により形成されたパターンをマスクとして基板のエッチングを行う工程である。
エッチングの方法は特に限定されるものではないが、ドライエッチングが好ましく、酸素(O)プラズマエッチング、またはCFガス、CHFガス、Ar/CFガスを用いたエッチングを用いることが効率の点からより好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが好ましい。
【0325】
ドライエッチングの条件は特に限定されるものではなく、前記相分離構造により形成されたパターンの材料や基板表面からの高さに応じて適宜決定することができる。たとえば、酸素プラズマ処理を用いる場合、酸素プラズマ処理時の圧力は、1.33〜66.5Pa(10〜50mtorr)が好ましく、13.3〜26.6Pa(100〜200mtorr)がより好ましい。また、酸素プラズマ処理時のプラズマ出力は、5〜500Wが好ましく、5〜50Wがより好ましい。また、酸素プラズマ処理時の処理時間は、1〜100秒が好ましく、2〜60秒がより好ましい。また、酸素プラズマ処理の温度は、−30〜300℃が好ましく、0〜100℃がより好ましく、最も好ましくは室温(5〜40℃)である。酸素プラズマ処理に用いるプラズマ装置は、特に限定されず、たとえば、サウスベイ社製(South Bay Technology,USA)のPE−2000プラズマエッキャー(Plasma etcher)などを用いることができる。
【実施例】
【0326】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0327】
≪実施例1〜3≫
[ガイドパターンの形成]
下記に示す高分子化合物(A)を100質量部、下記に示す化合物(B)を10.00質量部、トリペンチルアミンを1.2質量部、サリチル酸を2.0質量部、含フッ素高分子化合物(F)を3.0質量部、及び、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に固形分濃度が5質量%となるように、混合して溶解することによりレジスト組成物を調製した。
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚85nmの有機系反射防止膜を形成した。
次いで、下地剤として、PGMEAを用いて0.5〜1.0質量%の濃度に調整した下記に示す下地剤組成物1を、スピンナーを用いて塗布し、230℃、1分間焼成して乾燥させることにより、膜厚5nmの下地剤からなる層を基板上に形成した。
次いで、該下地剤上に、前記レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度85℃で60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚70nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に、露光装置NSR−S609B(ニコン社製 NA=0.60 2/3Ann)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(6%ハーフトーン)を介して選択的に照射した。
次いで、温度125℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて酢酸ブチルで20秒間ネガ型現像し、振り切り乾燥を行った。このパターンに対し、200℃で、60秒間のハードベークを行った。
その結果、幅130、140、150nmのトレンチガイドパターンが形成された。
【0328】
【化64】
【0329】
【化65】
【0330】
次いで、前記レジストパターンが形成された基板上に、下記に示すBCP1とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とを含有する、BCP1の固形分濃度1.2質量%のPGMEA溶液、をシリコン基板上で膜厚15nmとなる条件でスピンコート(回転数:1500rpm、60秒間)し、110℃で60秒間のベーク処理を行い、膜厚15nmのBCP1層を形成した。ガイド幅が130nmのものを参考例1、140nmのものを参考例2、150nmのものを参考例3とした。
該BCP1層上に、TC材料(下記に示すTC−B)を混合溶剤(メタノール:水=3:1)に溶解させたものを塗布し、膜厚50nmのトップコート膜を形成した。
その後、窒素気流下、210℃で3分間加熱処理を行い、相分離構造を形成させた。
その後、前記トップコート膜に溶媒(アンモニア水:メタノール=1:3(質量比)の混合溶剤)を塗布してトップコート膜を除去した。
相分離が形成された基板を、TCA−3822(東京応化工業製)を用いて、酸素プラズマ処理(200mL/分、40Pa、40℃、200W、20秒間)を行ってPMMAからなる相を選択的に除去し、得られた基板の表面を走査型電子顕微鏡SU8000(日立ハイテクノロジーズ社製)で観察した。
その結果を表1に示す。
【0331】
【化66】
【0332】
≪比較例1〜3≫
トップコート膜を形成しなかったこと以外は、実施例1〜3と同様の方法により、パターン形成を試みた。ガイド幅が130nmのもの比較例1、140nmのものを比較例2、150nmのものを比較例3とした。
【0333】
【表1】
【0334】
表1に示したとおり、トップコート膜を形成した実施例1〜3はパターン形成が可能であったが、トップコート膜を形成しなかった比較例1〜3はパターン形成をすることができなかった。
【0335】
≪実施例4〜5、比較例4≫
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚85nmの有機系反射防止膜を形成した。
次いで、下地剤として、PGMEAを用いて0.5〜1.0質量%の濃度に調整した上記に示す下地剤組成物1(l/m/n=46/51/3)を、スピンナーを用いて塗布し、230℃、1分間焼成して乾燥させることにより、膜厚4nmの下地剤からなる層を基板上に形成した。
次いで、該下地剤上に、前記レジスト組成物を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度85℃で60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚70nmのレジスト膜を形成した。
次いで、該レジスト膜に、露光装置NSR−S308(ニコン社製 Dipole)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を照射した。
次いで、温度100℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて酢酸ブチルで13秒間ネガ型現像し、振り切り乾燥を行った。このパターンに対し、140℃で、60秒間、さらに200℃で60秒間のハードベークを行った。
【0336】
上記ガイドパターン上に下記表2に示すトップコート剤を表2に示す混合溶剤に溶解させたものをスピンコートし、トップコート膜を形成し、210℃で60秒間のベークを行った。冷却後、前記トップコート膜に2.38質量%のTMAH水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業株式会社製)を塗布してトップコート膜を除去し、走査型電子顕微鏡SU8000(日立ハイテクノロジーズ社製)でガイドパターンの高さを観察した。また、用いたトップコート剤のトップコート溶液のpHをpH試験紙を用いて確認した。その結果を表2に示す。下記表2中、「TC」は「トップコート」を意味する。
【0337】
【表2】
【0338】
上記結果に示した通り、塩基性のトップコート溶液を用いた比較例4は、ガイドの高さが著しく減少し、ガイドパターンにダメージを与えていた。これに対し、中性のトップコート溶液を用いた実施例1〜2はトップコート剤の塗布前後でガイドの高さに大きな差異がなく、ガイドパターンにダメージを与えていないことがわかった。
【符号の説明】
【0339】
1 支持体 2 ガイドパターン 3 Si含有ブロックコポリマーを含む層 4 トップコート膜 5 中性化膜
図1
図2