特許第6404296号(P6404296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404296静電チャックの窒化アルミ誘電体の修復方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404296
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月10日
(54)【発明の名称】静電チャックの窒化アルミ誘電体の修復方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20181001BHJP
   B24C 1/06 20060101ALI20181001BHJP
   B24C 1/04 20060101ALI20181001BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20181001BHJP
【FI】
   H01L21/68 R
   B24C1/06
   B24C1/04 B
   H02N13/00 D
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-206156(P2016-206156)
(22)【出願日】2016年10月20日
(62)【分割の表示】特願2014-513509(P2014-513509)の分割
【原出願日】2012年4月16日
(65)【公開番号】特開2017-55126(P2017-55126A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】61/492,692
(32)【優先日】2011年6月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ボイド ウェンデル ジー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ソマーズ ジョセフ エフ
(72)【発明者】
【氏名】ル ウィリアム エム
(72)【発明者】
【氏名】バレサン ラジャン
【審査官】 小山 満
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−028052(JP,A)
【文献】 特開2004−031479(JP,A)
【文献】 特開平07−173592(JP,A)
【文献】 特開2003−264223(JP,A)
【文献】 特開2005−085913(JP,A)
【文献】 特開平09−232415(JP,A)
【文献】 特開2008−085129(JP,A)
【文献】 特開2004−103648(JP,A)
【文献】 特開2010−042967(JP,A)
【文献】 米国特許第05810933(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00790641(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
B24C 1/04
B24C 1/06
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電チャックを修復する方法であって、
静電チャック本体の上面から下方の電極の深さを測定する段階と、
測定された深さに応じて、前記静電チャック本体の除去すべき一部分の厚さを決定する段階と、
前記静電チャック本体の一部分を除去してベース表面を露出させる段階であって、前記ベース表面と前記電極との間に約20μm〜約25μmの静電チャック本体を残す段階を含む、前記段階と、
前記ベース表面を粗面化する段階と、
前記粗面化されたベース表面に誘電材料をプラズマ溶射して、前記ベース表面上に溶射された材料の誘電体層を形成する段階と、
前記溶射された材料の誘電体層を高圧の、不活性ガス環境において圧縮する段階と、
前記溶射された材料の圧縮された誘電体層から材料を選択的に除去して、新しい上側表面を形成する段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記静電チャック本体の一部分を除去して前記ベース表面を露出させる段階が、前記上面にラッピング処理を実施する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラッピング処理は、毎分1マイクロメートル〜毎分120マイクロメートルの範囲の速度で材料を除去する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ベース表面を粗面化する段階が、前記ベース表面をビードブラスト処理する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記粗面化されたベース表面が、約50マイクロインチ〜約300マイクロインチの範囲の表面粗さを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記溶射された材料の誘電体層を圧縮する段階が、前記溶射された材料の誘電体層を約1Torrよりも高い圧力に曝す段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記溶射された材料の圧縮された誘電体層から材料を選択的に除去して前記新しい上側表面を形成する段階が、
前記溶射された材料の圧縮された誘電体層を覆ってマスクを形成する段階と、
マスクを通って曝される前記溶射された材料の圧縮された誘電体層をビードブラスト処理してメサを形成する段階と、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記新しい上側表面をポリッシングする段階を更に含み、前記新しい上側表面をポリッシングする段階が前記メサからバリを除去する段階を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記新しい上側表面をポリッシングする段階は、最小の力で柔らかいポリッシングパッドを用いる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ベース層が第1の材料を含み、前記溶射された材料の誘電体層が前記第1の材料とは異なる第2の材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記溶射された材料の誘電体層が、更に、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化サマリウム、又はこれらの組合せを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記静電チャックの上側表面から下方の前記電極の深さを測定する段階が、前記電極と前記上面との間の前記静電チャック本体の静電容量を測定する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶射された材料の誘電体層が、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化サマリウム、又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記溶射された材料の誘電体層が、前記ベース表面と非共形的である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般的には、修復された静電チャック、及び静電チャックの修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
静電チャックは、半導体デバイスの製造において有用である。静電チャックは、基板をチャックに静電気的にクランプすることにより、処理中に基板を静電チャック上の固定位置に留めることを可能にする。
【0003】
静電チャックは、通常、誘電材料の内部に埋め込まれた電極を有する。静電チャックの最上面は、処理中に基板が置かれる複数のメサを有する。時間の経過に伴って、メサが摩滅する可能性があり、静電チャックがそれ程有効では無くなることになる。加えて、静電チャックの電気特性は、誘電材料の亀裂により損なわれる恐れがあり、或いは、誘電材料は、誘電材料が絶縁破壊を引き起こす化学的又はプラズマ作用により損傷を受ける可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メサが摩滅するか、又は誘電材料内に亀裂が形成されるか、或いは誘電材料が絶縁破壊すると、静電チャックはもはや役に立たず、通常は廃棄される。新品の静電チャックを購入する費用を避けるために、静電チャックを修復することが有益となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一般に、修復された静電チャック、及び使用済の静電チャックを修復する方法に関する。最初に、所定の量の誘電材料が使用済静電チャックから除去され、ベース表面が残される。次いで、新しい誘電材料の密着性を高めるためにベース表面が粗面化される。次に、新しい誘電材料が粗面上に溶射される。次いで、処理中に基板が載置されるメサの形成を助けるために、新しい誘電材料を覆ってマスクが配置される。次に、新しい誘電体層の一部分が除去されて新しいメサが形成される。マスクを除去した後、メサのエッジを円滑にすることができ、洗浄後、修復された静電チャックは再使用の準備が整う。
【0006】
一実施形態では、静電チャックを修復する方法は、静電チャックの上側表面から下方の電極の深さを測定する段階と、測定された深さに応じて静電チャックの除去すべき一部分の厚さを決定する段階と、静電チャックの一部分を除去してベース表面を露出させる段階と、を含む。本方法はまた、ベース表面を粗面化する段階と、粗面化されたベース表面に誘電材料をプラズマ溶射して、ベース表面上に溶射された材料の誘電体層を形成する段階と、溶射された材料の誘電体層を圧縮する段階と、を含む。本方法は更に、溶射された材料の圧縮された誘電体層から材料を選択的に除去して、新しい上側表面を形成する段階と、新しい上側表面をポリッシングする段階とを含む。
【0007】
別の実施形態では、静電チャックを修復する方法が開示される。本方法は、静電チャック本体の上面から下方の電極の深さを測定する段階と、測定された深さに応じて、静電チャック本体の除去すべき一部分の厚さを決定する段階と、静電チャック本体の一部分を除去してベース表面を露出させる段階と、ベース表面を粗面化する段階と、粗面化されたベース表面上に誘電材料を配置して、ベース表面上に誘電体層を形成する段階と、を含む。
【0008】
別の実施形態において、修復された静電チャックは、1つ又はそれ以上の電極とそれを覆って配置される1つ又はそれ以上の第1誘電体層とを有するチャック本体と、1つ又はそれ以上の第1誘電体層を覆って配置される第2誘電体層と、を含む。第2誘電体層は、1つ又はそれ以上の第1誘電体層から離れる方向に延びる複数のメサを含む上面を有する。第2誘電体層と1つ又はそれ以上の第1誘電体層とは別個の層である。
【0009】
別の実施形態では、修復された静電チャックは、多層の静電チャック本体を含み、多層の静電チャック本体の第1層が、内部に埋め込まれた1つ又はそれ以上の電極を有し、多層の静電チャック本体の第2層が、焼結された誘電体層と、接着剤で第1層に接合された誘電体層とから成るグループから選択され、当該第2層は、第1層から離れる方向に延びる複数のメサを含む上面を有し、第2誘電体層と第1誘電体層とは別個の層である。
【0010】
本発明の上記の特徴が詳細に理解され得るように、上で概略的に要約した本発明の実施形態に関するより詳細な説明は、実施形態によって参照することができ、その一部が添付図面に例示されている。しかしながら、これらの添付図面は本発明の代表的な実施形態を例示しているに過ぎず、従って、本発明は、他の同様に効果的な実施形態を認めることができるので、本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】修復前の使用済静電チャックの概略上面図である。
図1B図1Aの使用済静電チャックの断面図である。
図2】一実施形態による、修復の種々の段階における図1A及び図1Bの静電チャックの断面図である。
図3】一実施形態による、修復の種々の段階における図1A及び図1Bの静電チャックの断面図である。
図4】一実施形態による、修復の種々の段階における図1A及び図1Bの静電チャックの断面図である。
図5】一実施形態による、修復の種々の段階における図1A及び図1Bの静電チャックの断面図である。
図6】一実施形態による、修復の種々の段階における図1A及び図1Bの静電チャックの断面図である。
図7】一実施形態による、修復の種々の段階における図1A及び図1Bの静電チャックの断面図である。
図8】別の実施形態による、修復の種々の段階における図1A及び図1Bの静電チャックの断面図である。
【0012】
理解を容易にするために、各図に共通した同一の要素を示すために可能な場合には同一の参照数字が使用されている。一実施形態において開示された要素は、具体的な記載なしで他の実施形態で便宜的に利用できることは企図される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、一般に、修復された静電チャック、及び静電チャックの修復方法に関する。本明細書で議論される実施形態に従って修復することができる好適な静電チャックは、カリフォルニア州Santa Clara所在のApplied Material Inc.,から入手可能なジョンソン−ラーベック型静電チャックを含む。本明細書で議論される実施形態は、他の製造メーカから入手可能なものを含む、他のタイプの静電チャックにも同様に適用可能である点を理解されたい。
【0014】
図1Aは、修復の前の使用済ジョンソン−ラーベック型静電チャック100の概略上面図である。図1Bは、図1Aの使用済静電チャック100の断面図である。静電チャック100は、上面112と底面114とを含むチャック本体108を有する。上面112は、静電チャック100のチャック本体108から延びる複数のメサを含む。チャック本体108は、1つ又はそれ以上の誘電体層を有することができる。図1A及び図1Bに示される実施形態では、チャック本体108は単一の誘電体層を備える。チャック本体108は、窒化アルミのようなセラミック材料を含むが、本明細書で議論される修復方法は、他の誘電材料を含む静電チャックに適用可能である点を理解されたい。ガス保持リング104が上面112から延びて、メサ102が配置される領域を取り囲む。メサ102及びガス保持リング104は両方とも、チャック本体108と同じ誘電材料を含む。静電チャック100の底面114に結合された心棒110を通して電源に結合される電極116が、チャック本体108内に埋め込まれている。
【0015】
図1Bに示されるように、メサ102は各々、チャック本体の上方へ異なる高さで延びる。従って、メサ102の不均等な高さに起因して、静電チャック100上に配置されるどのような基板も実質的に平坦に保持することができない。更に、不均等なメサ102は、静電チャック100上に配置された基板が均等にチャッキング(固定)されるのを妨げ、基板上の処理の均一性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0016】
静電チャック100を修復するために、除去すべき材料の分量を決定する必要がある。電極106とメサ102の最高点又はガス保持リング104との間の距離(矢印「B」で示される)は、静電チャックの100の静電容量を測定することにより決定される。電極の偶発的な露出を防ぐために、材料が除去された後に矢印「D」で示される材料の既定の分量が電極106上に残ることが望ましい。このように、距離「C」で示される除去されるべき材料の分量は、距離「B」から距離「D」を差し引くことによって決定することができる。
【0017】
除去される材料の分量が決定されると、メサ102、ガス保持リング104、及びチャック本体108の余分な材料を除去するために、静電チャックがラッピング(粗研磨)されてポリッシングされ、図2に示されるように電極106上の距離「D」にあるベース表面202が残される。距離「D」は、電極106から約20μm〜約25μmの範囲とすることができる。ラッピングは、材料の大部分を除去し、一方、ポリッシングは表面202を滑らかにする。一実施形態では、ラッピングは、スラリー内のダイヤモンドのサイズに応じて毎分約1μm〜毎分約150μmの範囲の速度で材料を除去する。一実施形態では、スラリーのダイヤモンドサイズは、約0.05μm〜約100μmの範囲である。スラリーのダイヤモンドサイズは、所望の除去速度に適合するよう調整できることを理解されたい。ラッピングは、1μm以内に制御され、可能な限り一様で滑らかなベース表面202を生成できるので、材料を除去するのに有利である。ビードブラスト処理又はエッチングのような他の除去技術は、ラッピングほど上手く制御することができないので適切ではないであろう。
【0018】
新しい誘電材料を滑らかなベース表面202に接着するのを強化するために、ベース表面を粗面化することができる。例えば、ベース表面202は、約50マイクロインチ〜約300マイクロインチの範囲の表面粗さに粗面化することができ、その結果、図3に示されるような粗面302となる。一実施形態では、ベース表面202は、ビードブラスト処理により粗面化される。
【0019】
粗面302が形成された後、新しい誘電材料402が、図4に示されるように成膜することができる。一実施形態では、新しい誘電材料402は、粗面302上へ熱プラズマ溶射コーティングされる。ほとんどの成膜処理は、成膜を行う表面を複製する共形成膜処理である。熱プラズマ溶射処理は、非共形的なコーティングを達成する処理である(すなわち、新しい皮膜の上側表面は粗面302を複製しない)。熱プラズマ溶射処理のおかげで、後で形成されるメサ及びガス保持リングは、基板又はシリコンへの損傷及び裏面パーティクルを低減した所望のエンボス断面形状を有することができる。溶射コーティング用に適切な材料を決定するために、最初の誘電材料の抵抗率が測定され、次いで、溶射可能で且つ最初の誘電材料の抵抗率に可能な限り近いように、好適な材料が選択される。使用できる適切な材料は、窒化アルミの粉体を含む。誘電材料は、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化サマリウム、及びこれらの化合物のようなドーパントと混合することができる。適切な材料がジョンソン−ラーベック型静電チャック用に選択されると、新しい誘電材料402が粗面302へ溶射コーティングされる。
【0020】
新しい誘電材料402は溶射コーティングされるので、グレイン(粒状粒子)が緩く充填されている。従って、静電チャック100は、グレイン間の隙間がより少なくなるようにグレインを圧縮するため、高圧の不活性ガス環境に置かれる。圧縮に好適な圧力は、約1Torrより高い圧力環境である。
【0021】
次に、メサ及びガス保持リングが形成される。メサ及びガス保持リングを形成するために、新しい誘電材料402の一部分が選択的に除去される。新しい誘電材料402の一部分を選択的に除去するために、図5に示されるようにマスク502が新しい誘電材料402を覆って配置される。メサ604及びガス保持リング604を形成する工程の間に、ガス溝、エンボス、及び他の幾何形状を所望通りに形成することができる。マスク502は、メサ及びガス保持リングが形成される位置に隣接した領域に対応する開口部504を有する。次いで、露出した新しい誘電材料402は、マスク502を貫通して形成された開口部504を通してビードブラスト処理される。マスク502が除去されて、図6に示されるように新しく形成されたメサ604及びガス保持リング602が残される。
【0022】
メサ604及びガス保持リング602は、処理中に基板の裏面を傷つけ、望ましくないパーティクルを生成する可能性がある鋭利なエッジ又はバリを有する場合がある。従って、メサ604及びガス保持リング602は、最小の力で柔らかいポリッシングパッドを用いてポリッシングして鋭利な角部を丸め、バリを除去し、図7に示されるような仕上げ処理されたメサ704及びガス保持リング702を残すことができる。このようにして、修復された静電チャック700は、再び運用する準備が整う。
【0023】
図8は、別の実施形態による修復の種々の段階における図1A及び1Bの静電チャックの断面図である。粗面302上に誘電体層を溶射コーティングするのではなく、誘電材料のパック(平円盤)を接着層804により粗面302に接合されてもよい。上述のように、使用できる好適な誘電材料は、窒化アルミの粉体を含む。誘電材料は、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化サマリウム、及びこれらの化合物のようなドーパントと混合されてもよい。接着層用に好適な材料は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化サマリウム、及びこれらの化合物のような、抵抗率及び減衰又は放電を制御するための添加物を加えた真空エポキシ樹脂から成る。パック802が粗面302に接着されると、図5−7に関して上述されたようにメサが形成される。パックのグレインは既に稠密に充填されているので、パック802は焼結する必要はない。
【0024】
修復された静電チャック700は、内部に埋め込まれた電極106を有する最初のチャック本体108と、その上に配置されて最初のチャック本体108から離れる方向に延びる複数のメサ704を有する上部表面を備えた新しい誘電材料402とを含む。このように、修復された静電チャック700は、複数の誘電体層を含む。従って、修復された静電チャック700は、異なる部分、すなわち、最初のチャック本体108と新しい誘電材料402とを有する。最初のチャック本体108及び新しい誘電材料402の両方が、窒化アルミのような同じ材料を含むことができる。更に、新しい誘電材料402は、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化サマリウム、及びこれらの化合物のようなドーパントを含んでもよい。
【0025】
静電チャックを修復することにより、全く新品の静電チャックを購入する必要がなくなる。修復された静電チャックは、新品の静電チャックよりも費用が掛からず、その上、新品の静電チャックと本質的に同じ抵抗率及び実質的に同等の機能を有することになる。
【0026】
以上では、本発明の実施形態に関連していたが、本発明の別の実施形態及び追加の実施形態が本発明の基本的範囲から逸脱することなく考案することができ、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって決定される。
【符号の説明】
【0027】
106 静電チャックの内部に埋め込まれた電極
108 チャック本体
110 心棒
302 粗面
402 新しい誘電材料
700 修復された静電チャック
702 ガス保持リング
704 メサ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8