特許第6404828号(P6404828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6404828小型回転アームを有する処理室および小型製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6404828
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】小型回転アームを有する処理室および小型製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20181004BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G49/07 E
   H01L21/30 562
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-549221(P2015-549221)
(86)(22)【出願日】2014年11月25日
(86)【国際出願番号】JP2014081050
(87)【国際公開番号】WO2015076405
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2017年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-242497(P2013-242497)
(32)【優先日】2013年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成25年度、経済産業省委託研究「エネルギー使用合理化技術開発等委託費(革新的製造プロセス技術開発)」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】594192349
【氏名又は名称】リソテック ジャパン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】504466719
【氏名又は名称】株式会社パルサ
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】扇子 義久
(72)【発明者】
【氏名】原 史朗
(72)【発明者】
【氏名】クンプアン ソマワン
(72)【発明者】
【氏名】武内 翔
(72)【発明者】
【氏名】土井 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】荒崎 成雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】服部 晃一
【審査官】 石丸 昌平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−214689(JP,A)
【文献】 特開2000−150610(JP,A)
【文献】 特表2007−519831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67 − 21/687
B65G 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置前室に隣接して設けられ、搬送口を介して前記装置前室との間で処理基板の搬送を行う処理室であって、
小型回転アームを最も上部に有する搬送ロボットと、この搬送ロボットを取り巻いて前記小型回転アームの回転円弧上に位置する複数の基板処理装置とが、1つのボックス形状のハウジング内に設置され、前記小型回転アームへ処理基板が受け渡され、前記小型回転アームが回転中心を中心として回転することにより、前記各基板処理装置との間で処理基板の受け渡しを行うように構成されており、
前記小型回転アームは、前記搬送口に近い側に回転中心を有するとともに、前記搬送口から遠い側に基板保持部を有し、前記装置前室の伸縮アームが前記小型回転アームと接触することなく伸びて前記搬送ロボットの上を跨ぐようにして前記小型回転アームの前記基板保持部へ処理基板が受け渡されるように構成されていることを特徴とする小型回転アームを有する処理室。
【請求項2】
前記小型回転アームは、平行に配置された一対のハンド本体と、該ハンド本体にそれぞれ設けられた円弧状の基板載置部とを備え、
前記装置前室の前記伸縮アームが、該一対のハンド本体の間の上方で伸びることによって、前記処理基板を前記基板保持部の上方まで移動させ、その後、該一対の基板載置部の間を通過するように該伸縮アームを下降させることで、該処理基板を該基板保持部に保持させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の処理室。
【請求項3】
前記小型回転アームが、回転方向及び進退方向の両方に移動することを特徴とする請求項1に記載の小型回転アームを有する処理室。
【請求項4】
装置前室に隣接して設けられ、搬送口を介して前記装置前室との間で処理基板の搬送を行う処理室を備える小型製造装置であって、
該処理室は、
小型回転アームを最も上部に有する搬送ロボットと、この搬送ロボットを取り巻いて前記小型回転アームの回転円弧上に位置する複数の基板処理装置とが、1つのボックス形状のハウジング内に設置され、前記小型回転アームへ処理基板が受け渡され、前記小型回転アームが回転中心を中心として回転することにより、前記各基板処理装置との間で処理基板の受け渡しを行うように構成されており、
前記小型回転アームは、前記搬送口に近い側に回転中心を有するとともに、前記搬送口から遠い側に基板保持部を有し、前記装置前室の伸縮アームが前記小型回転アームと接触することなく伸びて前記搬送ロボットの上を跨ぐようにして前記小型回転アームの前記基板保持部へ処理基板が受け渡されるように構成されていることを特徴とする小型製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型回転アームを有する処理室および小型製造装置に関し、例えば、直径が20mm以下の小口径の半導体ウェハ等の処理基板に対して、レジストの塗布、露光、現像、エッチング加工など各種の処理(プロセス)を各基板処理装置で実施可能な小型回転アームを有する処理室と、この処理室を備えた半導体製造装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造技術では、半導体ウェハの大口径化(例えば、直径8インチ、12インチ等)によって、チップ製造単価の低減が図られてきた。このため、一連の製造プロセスで使用される装置は巨大化および高価格化の一途をたどり、製造工場の規模や建設・運営コストを肥大化させることとなった。このような大規模製造システムは、少品種大量生産ではチップの製造単価の低減には寄与するものの、少量多品種生産の要請に応えにくく、市場状況に応じた生産量の調整を困難にすると共に、中小企業の参入を困難にしている。これらの問題を解決するためには、小口径の半導体ウェハを用いて低コストで半導体チップを製造できる小型の半導体製造装置が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−135630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような大口径の半導体ウェハ向けの従来の半導体製造装置では、特許文献1に示されたように、多関節水平型の搬送ロボットを用いるのが一般的であった。
【0005】
しかしながら、こうした多関節水平型の搬送ロボットは、そのアームの関節を曲げる分だけ、水平面内での占有面積(フットプリント)が広くなってしまう。そのため、処理室の小型化および低価格化の妨げとなり、ひいては半導体製造装置全体の小型化および低価格化の障害になる。したがって、小口径の半導体ウェハを用いて低コストで半導体チップを製造することができないという課題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、小型化および低価格化を実現することが可能な小型回転アームを有する処理室を提供することを第1の目的とする。また、このような処理室を採用することにより、小型化および低価格化を実現することが可能な半導体製造装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る小型回転アームを有する処理室は、装置前室に隣接して設けられ、搬送口を介して前記装置前室との間で処理基板の搬送を行う処理室であって、小型回転アームを最も上部に有する搬送ロボットと、この搬送ロボットを取り巻いて前記小型回転アームの回転円弧上に位置する複数の基板処理装置とが、1つのボックス形状のハウジング内に設置され、前記小型回転アームへ処理基板が受け渡され、前記小型回転アームが回転中心を中心として回転することにより、前記各基板処理装置との間で処理基板の受け渡しを行うように構成されており、前記小型回転アームは、前記搬送口に近い側に回転中心を有するとともに、前記搬送口から遠い側に基板保持部を有し、前記装置前室の伸縮アームが前記小型回転アームと接触することなく伸びて前記搬送ロボットの上を跨ぐようにして前記小型回転アームの前記基板保持部へ処理基板が受け渡されるように構成されているとしたことを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記小型回転アームは、平行に配置された一対のハンド本体と、該ハンド本体にそれぞれ設けられた円弧状の基板載置部とを備え、前記装置前室の前記伸縮アームが、該一対のハンド本体の間の上方で伸びることによって、前記処理基板を前記基板保持部の上方まで移動させ、その後、該一対のハンド本体の間を通過するように該伸縮アームを下降させることで、該処理基板を該基板保持部に保持させることが望ましい。
【0010】
本発明において、前記小型回転アームは、回転方向及び進退方向の両方に移動することが望ましい。
【0011】
本発明に係る小型製造装置は、装置前室に隣接して設けられ、搬送口を介して前記装置前室との間で処理基板の搬送を行う処理室を備える小型製造装置であって、該処理室は、小型回転アームを最も上部に有する搬送ロボットと、この搬送ロボットを取り巻いて前記小型回転アームの回転円弧上に位置する複数の基板処理装置とが、1つのボックス形状のハウジング内に設置され、前記小型回転アームへ処理基板が受け渡され、前記小型回転アームが回転中心を中心として回転することにより、前記各基板処理装置との間で処理基板の受け渡しを行うように構成されており、前記小型回転アームは、前記搬送口に近い側に回転中心を有するとともに、前記搬送口から遠い側に基板保持部を有し、前記装置前室の伸縮アームが前記小型回転アームと接触することなく伸びて前記搬送ロボットの上を跨ぐようにして前記小型回転アームの前記基板保持部へ処理基板が受け渡されるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の処理室によれば、搬送ロボットおよび複数の基板処理装置が同一のハウジング内に設置されているので、処理室を小型化および低価格化することができる。その結果、製造装置全体をも小型化および低価格化することができ、小口径の処理基板を用いて低コストで基板処理を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の処理室において、装置前室と処理室との間で処理基板を搬送する際に、装置前室の伸縮アームが小型回転アームと接触することなく伸びて搬送ロボットの上を跨ぐようにして小型回転アームの基板保持部へ処理基板が受け渡される構成とすることにより、この受け渡し時にハウジング内で小型回転アームを回転させる必要がない。したがって、処理室において、搬送ロボットの水平面内での占有面積を狭くすることができる。その結果、処理室、ひいては半導体製造装置全体を小型化および低価格化することができ、半導体チップの製造コストを一層削減することが可能となる。
【0014】
本発明の処理室において、平行に配置された一対のハンド本体の間を通過するように伸縮アームを下降させることにより、簡単な構成で、伸縮アームを小型回転アームと接触させることなしに、処理基板を基板保持部に保持させることができる。
【0015】
本発明の処理室において、小型回転アームを回転方向及び進退方向の両方に移動可能なものとすることにより、小型回転アームを後退させた状態で所定の角度位置まで回転させた後、この小型回転アームを基板処理装置に向けて前進させることで、処理室内において搬送ロボットと各基板処理装置との間で処理基板の受け渡しを行うことができ、従って、搬送ロボットの水平面内での占有面積を大幅に狭くすることができる。その結果、処理室、ひいては半導体製造装置全体を小型化および低価格化することができ、基板処理のコストをますます削減することが可能となる。
【0016】
本発明の小型製造装置によれば、製造装置全体を小型化および低価格化することができるので、小口径の半導体ウェハを用いて低コストで半導体チップを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係る半導体製造装置の全体構成を示す概念的斜視図である。
図2】同実施の形態1に係る小型回転アームを有するレジスト塗布装置の構成を示す概念的平面図である。
図3A】同実施の形態1に係るレジスト塗布装置の小型回転アームの移動範囲を示す平面図であって、小型回転アームが2段式で約180°回転する場合を示している。
図3B】比較例に係るレジスト塗布装置の小型回転アームの移動範囲を示す平面図であって、小型回転アームが1段式で360°回転する場合を示している。
図4A】同実施の形態1に係るレジスト塗布装置の搬送ロボットを示す側面図である。
図4B】同実施の形態1に係るレジスト塗布装置の搬送ロボットを示す平面図である。
図5】比較例に係る半導体製造装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[比較例]
以下、比較例に係る半導体製造装置について、図5を用いて説明する。
【0019】
従来の大口径半導体ウェハ向けの従来の半導体製造装置では、図5に示すように、装置前室65と処理室67との間で大口径の半導体ウェハ(図示せず)を搬送(搬入および搬出)する際に、多関節水平型の搬送ロボット70を用いるのが一般的であった。なお、図5において、符号「61」はカセットオープナー、符号「62」はカセット、符号「63」はロードロック室、符号「64」は走行搬送装置、符号「66」はトランスファーチャンバーである。
【0020】
しかしながら、こうした多関節水平型の搬送ロボット70は、そのアームの関節を曲げる分だけ、水平面内での占有面積(フットプリント)が広くなってしまう。そのため、処理室67の小型化および低価格化の妨げとなり、ひいては半導体製造装置全体の小型化および低価格化の障害になる。したがって、図5の半導体製造装置では、小口径の半導体ウェハを用いて低コストで半導体チップを製造することができない。
[発明の実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1図2図3A図4A及び図4Bに、本発明の実施の形態1を示す。
【0022】
実施の形態1に係る半導体製造装置100は、図1図2に示すように、装置前室120と、この装置前室120に隣接して設けられ、搬送口130を介して装置前室120との間で半導体ウェハ(処理基板)300の搬送を行う処理室としてのレジスト塗布装置110とを備えている。装置前室120とレジスト塗布装置110とは、互いに分離可能に構成されている。
【0023】
装置前室120は、ウェハ搬送容器(図示せず)に収容された半導体ウェハ300を取り出して、レジスト塗布装置110に搬送するための部屋である。この装置前室120は、図1に示すように、1つのボックス形状(この実施の形態1では、縦長の直方体)のハウジング125を有している。ハウジング125の天板125aには、図1に示すように、ウェハ搬送容器を載置するための容器載置台121と、この容器載置台121に載置されたウェハ搬送容器を上方から押圧固定する押さえレバー122と、半導体製造装置100の操作を行うための操作ボタン124等が設けられている。また、ハウジング125内には、図2に示すように、ウェハ搬送容器から下方に取り出した半導体ウェハ300を搬送口130を経由してレジスト塗布装置110に搬入するための伸縮アーム126が、水平方向である矢印A、B方向に伸縮自在に支持されている。この伸縮アーム126の先端には、基板載置部126aが形成されている。
【0024】
一方、レジスト塗布装置110は、図2に示すように、搬送口130を介して装置前室120から半導体ウェハ300を受け取り、この半導体ウェハ300に対して、公知のレジスト膜形成処理を行うためのものである。この実施の形態1では、半導体ウェハ300として、直径が20mm以下(例えば12.5±0.2mm)の小径のものを使用する。このレジスト塗布装置110は、図1に示すように、1つの小さなボックス形状(この実施の形態1では、縦30cm、横30cm、高さ26cmの直方体)のハウジング111を有している。ハウジング111内には、図2に示すように、搬送ロボット210が搬送口130の近傍に設置されているとともに、複数の基板処理装置、すなわち、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理ユニット220、コーターカップ部230、レジストノズル240、EBR(Edge Bead Removal)ノズル250、ベーク処理ユニット260等が、搬送ロボット210を取り巻くように設置されている。
【0025】
搬送ロボット210は、図2に示すように、半導体ウェハ300を装置前室120の伸縮アーム126から受け取って、HMDS処理ユニット220、コーター部230、ベーク処理ユニット260に順次搬送するためのものである。この搬送ロボット210は、図2図4A及び図4Bに示すように、ベース215を有しており、ベース215の上側には、2段式(すなわち、回転方向及び進退方向の両方の移動が可能な方式)の小型回転アーム211が搬送ロボット210の最も上部に位置して設けられている。
【0026】
すなわち、小型回転アーム211は、図2に示すように、搬送口130に近い側(図2上側)に回転中心CT1を有するとともに、搬送口130から遠い側(図2下側)に基板保持部214を有しており、図3Aに示すように、この回転中心CT1を中心として矢印M、N方向に、所定の基準角度位置P1から第1角度位置P2、第2角度位置P3、第3角度位置P4まで約180°回転しうるように構成されている。ここで、基準角度位置P1は、小型回転アーム211の基板保持部214が装置前室120とは正反対に向いた角度位置である。また、第1角度位置P2は、小型回転アーム211の基板保持部214がHMDS処理ユニット220に向き合う角度位置である。また、第2角度位置P3は、小型回転アーム211の基板保持部214がコーターカップ部230に向き合う角度位置である。さらに、第3角度位置P4は、ベーク処理ユニット260に向き合う角度位置である。なお、この実施の形態1では、第2角度位置P3は、基準角度位置P1に一致している。また、第1角度位置P2は、第2角度位置P3から矢印N方向に約90°離れている。さらに、第3角度位置P4は、第2角度位置P3から矢印M方向に約90°離れている。
【0027】
また、小型回転アーム211は、図2図4A及び図4Bに示すように、水平方向である矢印C、D方向に進退しうるように構成されており、ベース215上に回転中心CT1を中心として矢印M、N方向に約180°回転自在に支持されたアーム本体217と、このアーム本体217から横向き(矢印C方向)に突出され、この突出方向(矢印C方向)と直角な水平方向である矢印E、F方向にエアシリンダ219によって同期的に開閉自在に支持された一対のハンド部212a、212bとを備えている。各ハンド部212a、212bはそれぞれ、図4A及び図4Bに示すように、互いに平行に配置されたハンド本体216a、216bと、このハンド本体216a、216bより高い位置に形成された円弧状の基板載置部213a、213bとを有している。そして、これら一対の基板載置部213a、213bによって基板保持部214が形成されている。この基板保持部214に半導体ウェハ300が載置されるときは、半導体ウェハ300の外縁部が基板載置部212a、212bに接触するように載置される。
【0028】
さらに、小型回転アーム211には、図4A及び図4Bに示すように、一対のハンド部212a、212b間の全閉時(半導体ウェハ300の載置時)の距離L1を微調整するためのハンド部センタリング調整機構270が設けられており、このハンド部センタリング調整機構270は、第1雌ねじ部271、ストッパ272、セットビス273、第2雌ねじ部275およびロックナット276等から構成されている。
【0029】
すなわち、図4A及び図4Bに示すように、一方のハンド部212bのハンド本体216bには、第1雌ねじ部271が矢印E、F方向に平行な方向に貫通して形成されており、第1雌ねじ部271には、ボルト形状のストッパ272が螺合している。また、他方のハンド部212aのハンド本体216aには、第2雌ねじ部275が、第1雌ねじ部271に対向する形で矢印E、F方向に平行な方向に貫通して形成されており、第2雌ねじ部275には、長ねじボルト形状のセットビス273が螺合している。さらに、セットビス273にはロックナット276が螺合している。そのため、エアシリンダ219を駆動して一対のハンド部212a、212bを全閉にすると、図4Bに示すように、セットビス273の先端部がストッパ272の頭部に当たった状態で一対のハンド部212a、212bが停止する。したがって、セットビス273を所望の位置までねじ込んでロックナット276でハンド部212aに固定することにより、一対のハンド部212a、212b間の全閉時の距離L1を簡便に微調整することが可能となり、小型回転アーム211の利便性が向上する。
【0030】
HMDS処理ユニット220は、HMDS処理(すなわち、フォトレジストと半導体ウェハ300との密着性を向上させるために、半導体ウェハ300表面のOH基(ヒドロキシル基)をHMDSで置換する処理)を行うための機構である。このHMDS処理ユニット220は、図2に示すように、ホットプレート221と昇降装置223とを備えている。さらに、昇降装置223は、4つの昇降自在のピン部材222a〜222dを有している。
【0031】
コーターカップ部230は、半導体ウェハ300に対するレジスト膜の形成や、EBR処理、裏面洗浄処理等を行うための機構である。このコーターカップ部230は、図2に示すように、半導体ウェハ300を保持して回転させるための回転台231を備えている。
【0032】
レジストノズル240は、レジスト膜形成工程において、コーターカップ部230の回転台231上で回転する半導体ウェハ300にフォトレジスト液を供給するためのノズルである。このレジストノズル240を用いてフォトレジストを供給する際には、コーターカップ部230の回転台231に載置された半導体ウェハ300の中心部上方までノズル口241を回転移動させて、この半導体ウェハ300上にフォトレジスト液を滴下する。
【0033】
EBRノズル250は、EBR工程(すなわち、半導体ウェハ300の周縁部に形成されたレジスト膜を除去する工程)において、半導体ウェハ300の周縁部にレジスト溶解液を供給するためのノズルである。このEBRノズル250を用いてレジスト膜を除去する際には、コーターカップ部230の回転台231に載置された半導体ウェハ300の周縁部上方までノズル口251を回転移動させて、この半導体ウェハ300上にレジスト溶液を滴下する。
【0034】
ベーク処理ユニット260は、フォトレジスト膜を固化するために半導体ウェハ300を加熱するための機構である。このベーク処理ユニット260は、図2に示すように、ホットプレート261と昇降装置263とを備えている。さらに、昇降装置263は、4つの昇降自在のピン部材262a〜262dを有している。
【0035】
なお、上述した複数の基板処理装置(HMDS処理ユニット220、コーターカップ部230、レジストノズル240、EBRノズル250、ベーク処理ユニット260等)は、図2に示すように、いずれも搬送ロボット210の小型回転アーム211の回転円弧上に位置している。
【0036】
以上説明したように、半導体製造装置100は、搬送ロボット210および複数の基板処理装置(HMDS処理ユニット220、コーターカップ部230、レジストノズル240、EBRノズル250、ベーク処理ユニット260等)が同一の小さなハウジング111内に設置されているので、レジスト塗布装置110を小型化および低価格化することができる。その結果、半導体製造装置100全体をも小型化および低価格化することができ、小口径の半導体ウェハ300を用いて低コストで半導体チップを製造することが可能となる。
【0037】
また、小型回転アーム211には、上述したとおり、ハンド部センタリング調整機構270が設けられており、一対のハンド部212a、212b間の全閉時の距離L1を簡便に微調整することができるので、小型回転アーム211上で半導体ウェハ300の位置合わせを実行して半導体ウェハ300の偏心を抑制することが可能となる。
【0038】
次に、この半導体製造装置100において、レジスト塗布装置110で半導体ウェハ300にレジストを塗布する動作について、図2図4Bを用いて説明する。
【0039】
まず、第1工程で、装置前室120からレジスト塗布装置110へ半導体ウェハ300を搬入する。このとき、図3Aに実線で示すように、搬送ロボット210の小型回転アーム211が矢印D方向に後退するとともに基準角度位置P1に位置決めされた状態である。そして、装置前室120の伸縮アーム126の基板載置部126aに半導体ウェハ300を載置した後、この伸縮アーム126を半導体ウェハ300とともに矢印A方向に伸ばす。すると、この伸縮アーム126は、搬送口130を経てレジスト塗布装置110のハウジング111内に侵入した後、搬送ロボット210の上を跨ぐようにして小型回転アーム211と接触することなく前方(図2の下方、図4A及び図4Bの右方)へ進む。そこで、半導体ウェハ300を伸縮アーム126の基板載置部126aから小型回転アーム211の基板保持部214に受け渡す。
【0040】
なお、伸縮アーム126の基板載置部126aから小型回転アーム211の基板保持部214に半導体ウェハ300を受け渡す具体的な手法は、次のとおりである。すなわち、伸縮アーム126が搬送ロボット210、ハンド本体216a、216bの間の領域の上方を矢印A方向に前進して、図4A及び図4Bに想像線で示すように、半導体ウェハ300が小型回転アーム211の基板保持部214の真上に達したところで、伸縮アーム126をハンド本体216a、216bの基板載置部213a、213bの間を通過させて、下降させる。すると、伸縮アーム126の基板載置部126aから小型回転アーム211の基板保持部214に半導体ウェハ300が移動する。その後、伸縮アーム126を矢印B方向に縮める。これにより、半導体ウェハ300が伸縮アーム126の基板載置部126aから小型回転アーム211の基板保持部214に受け渡される。
【0041】
このとき、基板保持部214は、図4Aに示すように、ハンド本体216a、216bより高い位置に形成されているので、伸縮アーム126を下降させて縮めても、この伸縮アーム126がハンド本体216a、216bに干渉する恐れはなく、したがって、伸縮アーム126の基板載置部126aから小型回転アーム211の基板保持部214への半導体ウェハ300の受け渡し動作を容易に実行することができる。
【0042】
次に、第2工程に移行し、レジスト塗布装置110において、搬送ロボット210が、半導体ウェハ300をHMDS処理ユニット220へ搬送する。それには、小型回転アーム211を矢印D方向に後退させたまま矢印N方向に約90°回転させて、図3Aに想像線で示すように、第1角度位置P2に位置決めした後、この小型回転アーム211をHMDS処理ユニット220に向けて矢印C方向に前進させる。そして、半導体ウェハ300がHMDS処理ユニット220の昇降装置223の真上に達したところで、小型回転アーム211を停止させ、半導体ウェハ300を小型回転アーム211からHMDS処理ユニット220に受け渡す。
【0043】
なお、小型回転アーム211からHMDS処理ユニット220に半導体ウェハ300を受け渡す具体的な手法は、次のとおりである。すなわち、半導体ウェハ300がHMDS処理ユニット220の昇降装置223の真上に達した状態で、昇降装置223の4つのピン部材222a〜222dを上昇させて半導体ウェハ300を下から押し上げることにより、半導体ウェハ300を小型回転アーム211の基板保持部214から離間させる。続いて、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印E方向に開いた後、昇降装置223の4つのピン部材222a〜222dを下降させて半導体ウェハ300をホットプレート221内に収容する。その後、小型回転アーム211を矢印D方向に後退させ、そのハンド部212a、212bを矢印F方向に閉じる。これにより、半導体ウェハ300が小型回転アーム211からHMDS処理ユニット220に受け渡される。
【0044】
次いで、第3工程に移行し、HMDS処理ユニット220において、半導体ウェハ300に対してHMDS処理を行う。
【0045】
次に、第4工程に移行し、レジスト塗布装置110において、搬送ロボット210により、半導体ウェハ300をHMDS処理ユニット220からコーターカップ部230へ搬送する。
【0046】
それには、まず、半導体ウェハ300をHMDS処理ユニット220から小型回転アーム211に受け渡す。具体的には、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印E方向に開き、その状態で、小型回転アーム211をHMDS処理ユニット220に向けて矢印C方向に前進させる。そして、小型回転アーム211の基板保持部214が半導体ウェハ300の真上に達したところで、小型回転アーム211を停止させる。続いて、昇降装置223の4つのピン部材222a〜222dを上昇させて、半導体ウェハ300を、基板保持部214の上方に押し上げる。その後、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印F方向に閉じた後、昇降装置223の4つのピン部材222a〜222dを下降させる。これにより、半導体ウェハ300がHMDS処理ユニット220から小型回転アーム211に受け渡される。
【0047】
その後、小型回転アーム211を半導体ウェハ300とともに矢印D方向に後退させた後、この小型回転アーム211を矢印D方向に後退させたまま矢印M方向に約90°回転させて、図3Aに想像線で示すように、第2角度位置P3に位置決めする。
【0048】
続いて、この小型回転アーム211をコーターカップ部230に向けて矢印C方向に前進させる。そして、半導体ウェハ300がコーターカップ部230の回転台231の真上に達したところで、小型回転アーム211を停止させ、コーターカップ部230のスピンチャック(図示せず)を上昇させて、このスピンチャックで半導体ウェハ300を把持する。続いて、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印E方向に開いた後、このスピンチャックを下降させる。その後、小型回転アーム211を矢印D方向に後退させ、そのハンド部212a、212bを矢印F方向に閉じる。これにより、半導体ウェハ300が小型回転アーム211からコーターカップ部230に受け渡される。
【0049】
次いで、第5工程に移行し、コーターカップ部230において、半導体ウェハ300に対して、レジストノズル240およびEBRノズル250を用いて、レジスト膜の形成、EBR処理、裏面洗浄処理等を行う。
【0050】
次に、第6工程に移行し、レジスト塗布装置110において、搬送ロボット210により、半導体ウェハ300をコーターカップ部230からベーク処理ユニット260へ搬送する。
【0051】
それには、まず、半導体ウェハ300をコーターカップ部230から小型回転アーム211に受け渡す。具体的には、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印E方向に開き、小型回転アーム211をコーターカップ部230に向けて矢印C方向に前進させる。そして、小型回転アーム211の基板保持部214がコーターカップ部230の回転台231の真上に達したところで、小型回転アーム211を停止させ、コーターカップ部230のスピンチャック(図示せず)を、基板保持部214の上方まで上昇させる。そして、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印F方向に閉じる。続いて、このスピンチャックを下降させて、小型回転アーム211の基板保持部214で半導体ウェハ300を保持する。これにより、半導体ウェハ300がコーターカップ部230から小型回転アーム211に受け渡される。
【0052】
その後、小型回転アーム211を半導体ウェハ300とともに矢印D方向に後退させた後、この小型回転アーム211を矢印D方向に後退させたまま矢印M方向に約90°回転させて、図3Aに想像線で示すように、第3角度位置P4に位置決めする。
【0053】
続いて、この小型回転アーム211をベーク処理ユニット260に向けて矢印C方向に前進させる。そして、半導体ウェハ300がベーク処理ユニット260の昇降装置263の真上に達したところで、小型回転アーム211を停止させ、半導体ウェハ300を小型回転アーム211からベーク処理ユニット260に受け渡す。
【0054】
なお、小型回転アーム211からベーク処理ユニット260に半導体ウェハ300を受け渡す具体的な手法は、次のとおりである。すなわち、半導体ウェハ300がベーク処理ユニット260の昇降装置263の真上に達した状態で、昇降装置263の4つのピン部材262a〜262dを上昇させて半導体ウェハ300を下から押し上げることにより、半導体ウェハ300を小型回転アーム211の基板保持部214から離間させる。続いて、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印E方向に開いた後、昇降装置223の4つのピン部材262a〜262dを下降させて半導体ウェハ300をホットプレート261内に収容する。その後、小型回転アーム211を矢印D方向に後退させ、そのハンド部212a、212bを矢印F方向に閉じる。これにより、半導体ウェハ300が小型回転アーム211からベーク処理ユニット260に受け渡される。
【0055】
次いで、第7工程に移行し、ベーク処理ユニット260において、ホットプレート261上の半導体ウェハ300に対して、フォトレジスト膜を固化するために加熱する。
【0056】
次に、第8工程に移行し、半導体ウェハ300を搬送ロボット210に戻す。
【0057】
それには、まず、半導体ウェハ300をベーク処理ユニット260から小型回転アーム211に受け渡す。具体的には、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印E方向に開き、その状態で、小型回転アーム211をベーク処理ユニット260に向けて矢印C方向に前進させる。そして、小型回転アーム211の基板保持部214が半導体ウェハ300の真上に達したところで、小型回転アーム211を停止させる。続いて、昇降装置263の4つのピン部材262a〜262dを上昇させて半導体ウェハ300を、下から、基板保持部214の上方まで押し上げる。その後、小型回転アーム211のハンド部212a、212bを矢印F方向に閉じた後、昇降装置263の4つのピン部材262a〜262dを下降させる。これにより、半導体ウェハ300がベーク処理ユニット260から小型回転アーム211に受け渡される。
【0058】
その後、小型回転アーム211を半導体ウェハ300とともに矢印D方向に後退させた後、この小型回転アーム211を矢印D方向に後退させたまま矢印N方向に約90°回転させて、図3Aに実線で示すように、基準角度位置P1に位置決めする。
【0059】
最後に、第9工程に移行し、レジスト塗布装置110から装置前室120へ半導体ウェハ300を搬出する。
【0060】
それには、まず、装置前室120の伸縮アーム126を矢印A方向に伸ばす。すると、この伸縮アーム126は、搬送口130からレジスト塗布装置110のハウジング111内に侵入した後、搬送ロボット210の上を跨ぐようにして小型回転アーム211と接触することなく前方(図2の下方、図4A及び図4Bの右方)へ進む。そこで、半導体ウェハ300を小型回転アーム211の基板保持部214から伸縮アーム126の基板載置部126aに受け渡す。
【0061】
なお、小型回転アーム211の基板保持部214から伸縮アーム126の基板載置部126aに半導体ウェハ300を受け渡す具体的な手法は、次のとおりである。すなわち、伸縮アーム126がハンド本体216a、216bの間の領域を矢印A方向に前進して、その基板載置部126aが半導体ウェハ300の真下に達したところで、伸縮アーム126を小型回転アーム211の基板保持部214の基板載置部213a、213bの間を通過するように、上昇させる。すると、小型回転アーム211の基板保持部214から伸縮アーム126の基板載置部126aに半導体ウェハ300が移動する。その後、伸縮アーム126を矢印B方向に縮める。これにより、半導体ウェハ300が小型回転アーム211の基板保持部214から伸縮アーム126の基板載置部126aに受け渡される。
【0062】
このとき、基板保持部214は、図4Aに示すように、ハンド本体216a、216bより高い位置に形成されているので、伸縮アーム126を矢印A方向に伸ばすだけで伸縮アーム126の基板載置部126aを基板保持部214の下方に差し込むことができ、したがって、小型回転アーム211の基板保持部214から伸縮アーム126の基板載置部126aへの半導体ウェハ300の受け渡し動作を容易に実行することができる。
【0063】
その後、伸縮アーム126を半導体ウェハ300とともに矢印B方向に縮める。すると、この伸縮アーム126は、搬送ロボット210の上を跨ぐようにして小型回転アーム211と接触することなく搬送口130を経て装置前室120のハウジング125に戻る。
【0064】
ここで、レジスト塗布装置110において半導体ウェハ300にレジストを塗布する動作が終了する。
【0065】
このように、この半導体製造装置100において、装置前室120とレジスト塗布装置110との間で半導体ウェハ300を搬送(搬入および搬出)する際には、装置前室120の伸縮アーム126が小型回転アーム211と接触することなく伸びて搬送ロボット210の上を跨ぐようにして小型回転アーム211の基板保持部214へ半導体ウェハ300が受け渡されるため、ハウジング111内で小型回転アーム211を回転させる必要がない。したがって、レジスト塗布装置110において、搬送ロボット210の水平面内での占有面積を狭くすることができる。その結果、レジスト塗布装置110、ひいては半導体製造装置100全体を小型化および低価格化することができ、半導体チップの製造コストを一層削減することが可能となる。
【0066】
また、この半導体製造装置100においては、搬送ロボット210の小型回転アーム211の回転角度が約180°であるとともに、この小型回転アーム211が2段式であって、レジスト塗布装置110内において搬送ロボット210と各基板処理装置(HMDS処理ユニット220、コーターカップ部230、レジストノズル240、EBRノズル250、ベーク処理ユニット260等)との間で半導体ウェハ300の受け渡しを行う際には、小型回転アーム211を後退させた状態で基準角度位置P1から第1角度位置P2、第2角度位置P3、第3角度位置P4まで回転させた後、この小型回転アーム211を基板処理装置に向けて前進させることにより、この半導体ウェハ300の受け渡しを実行することができる。その結果、以下に説明するとおり、1段式(進退不可)で360°回転する小型回転アーム211を有する場合と比べて、搬送ロボット210の水平面内での占有面積を大幅に狭くすることができる。
【0067】
すなわち、搬送ロボット210の小型回転アーム211が1段式(すなわち、回転はできるが、進退はできない方式)で360°回転すると仮定すると、図3Bに示すように、搬送ロボット210の水平面内での占有領域は、格子模様の領域S2になる。これに対して、この実施の形態1のように、搬送ロボット210の小型回転アーム211が2段式(すなわち、回転方向及び進退方向の両方の移動が可能な方式)で約180°回転する場合には、図3Aに示すように、搬送ロボット210の水平面内での占有領域は、格子模様の領域S1になる。ここで、領域S1、S2の面積を比較すると、まず、小型回転アーム211の回転角度が360°から約180°にほぼ半減したことにより、前者は後者のほぼ半分になる。これに加えて、小型回転アーム211が2段式であれば、その進退の程度に応じて前者は後者より小さくなる。例えば、小型回転アーム211の基板保持部214の回転半径が、小型回転アーム211を後退させることによって半分(1/2)になるとすると、小型回転アーム211が回転時に掃く面積(小型回転アーム211の回転中心CT1から基板保持部214までの距離を半径とする円の面積)は、基板保持部214の回転半径の2乗に比例することから、1/4になる。したがって、この半導体製造装置100は、1段式(進退不可)で360°回転する小型回転アーム211を有する場合と比べて、搬送ロボット210の水平面内での占有面積を大幅に狭くすることができる。
【0068】
その結果、レジスト塗布装置110、ひいては半導体製造装置100全体を小型化および低価格化することができ、半導体チップの製造コストをますます削減することが可能となる。
【0069】
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、半導体ウェハ300を用いる半導体製造装置について説明したが、本発明は、他の種類の処理基板(例えば、サファイア基板等の絶縁性基板や、アルミニウム基板等の導電性基板)や、非円盤形状(例えば、矩形)の処理基板からデバイスを製造する製造装置にも適用することができる。
【0070】
また、上述した実施の形態1では、レジスト塗布装置110のハウジング111が縦30cm、横30cm、高さ26cmの直方体に形成されている場合について説明したが、このハウジング111のサイズ(縦、横、高さ)は、これに限るわけではない。ただし、レジスト塗布装置110を小型化および低価格化する観点からは、縦50cm以下、横50cm以下が好ましく、縦30cm以下、横30cm以下がさらに好ましい。また、このハウジング111の形状は直方体に限るわけではなく、例えば、立方体、円筒状その他の立体形状に形成しても構わない。
【0071】
また、上述した実施の形態1では、複数の基板処理装置として、HMDS処理ユニット220、コーターカップ部230、レジストノズル240、EBRノズル250、ベーク処理ユニット260等を備えたレジスト塗布装置110について説明した。しかし、これら以外の装置・機器(例えば、レーザ加熱装置など)を基板処理装置として備えている場合にも本発明を同様に適用することができる。
【0072】
また、上述した実施の形態1では、処理室がレジスト塗布装置110である場合について説明したが、レジスト塗布装置110以外の処理室(例えば、現像装置など)に本発明を同様に適用することも可能である。
【0073】
また、上述した実施の形態1では、2段式の小型回転アーム211を有する搬送ロボット210について説明したが、この小型回転アーム211の段数は、1段であっても3段以上(進退方向に移動する機構を2段設けた方式)であっても構わない。小型回転アーム211の段数が増えるほど、小型回転アーム211の後退時の基板保持部214の回転半径が小さくなり、搬送ロボット210の水平面内での占有面積を狭くする効果が高まることは言及するまでもない。
【0074】
さらに、上述した実施の形態1では、本発明を小口径の半導体ウェハ300に適用した場合について説明したが、8インチや12インチ等の大口径の半導体ウェハ300等にも本発明を同様に適用することができる。
【0075】
また、本発明は、半導体ウェハを用いる製造装置だけでなく、他の種類の基板(例えばサファイア基板等の絶縁性基板や、アルミニウム基板等の導電性基板)や、非円盤形状(例えば矩形)の処理基板からデバイスを製造する製造装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
100……半導体製造装置
110……レジスト塗布装置(処理室)
111……ハウジング
120……装置前室
125……ハウジング
126……伸縮アーム
130……搬送口
210……搬送ロボット
211……小型回転アーム
214……基板保持部
220……HMDS処理ユニット(基板処理装置)
230……コーターカップ部(基板処理装置)
240……レジストノズル(基板処理装置)
250……EBRノズル(基板処理装置)
260……ベーク処理ユニット(基板処理装置)
300……半導体ウェハ(処理基板)
CT1……小型回転アームの回転中心
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5