特許第6405103号(P6405103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6405103ソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405103
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/16 20060101AFI20181004BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20181004BHJP
   G01N 33/02 20060101ALI20181004BHJP
   C12N 15/06 20060101ALN20181004BHJP
   C12N 5/20 20060101ALN20181004BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20181004BHJP
【FI】
   C07K16/16ZNA
   G01N33/53 D
   G01N33/02
   !C12N15/06 100
   !C12N5/20
   !C12P21/08
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-55507(P2014-55507)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2015-178461(P2015-178461A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年12月16日
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-01791
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-01792
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-01793
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-01794
【微生物の受託番号】NPMD  NITE P-01795
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】日本製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】綱 美香
(72)【発明者】
【氏名】原田 義孝
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 泰裕
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/169625(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/018274(WO,A1)
【文献】 KOYANO, Satoru et al.,"Molecular cloning of cDNA, recombinant protein expression and characterization of a buckwheat 16-kDa major allergen",Int. Arch. Allergy Immunol.,2006年,Vol. 140,pp. 73-81
【文献】 Definition: BW 16kDa allergen, UniProtKB/Swiss-Prot [online], Accession No. Q56CY3, 31-OCT-2006 uploaded, [retrieved on 2017-10-17],URL,https://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/Q56CY3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
UniProt/GeneSeq
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受領番号NITE AP−01791で特定されるハイブリドーマ、受領番号NITE AP−01792で特定されるハイブリドーマ、受託番号NITE AP−01793で特定されるハイブリドーマ及び受領番号NITE AP−01794で特定されるハイブリドーマ、受託番号NITE AP−01795で特定されるハイブリドーマからなる群から選択されるハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体。
【請求項2】
受領番号NITE AP−01792で特定されるハイブリドーマ、受託番号NITE AP−01793で特定されるハイブリドーマ及び受領番号NITE AP−01794で特定されるハイブリドーマで特定されるハイブリドーマからなる群から選択されるハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体を用いた、検体中のソバの検出方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体を含む、ソバ検出キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はソバアレルゲンBWp16特異的モノクローナル抗体に関するものである。
【0002】
本願発明は各種ソバを含む原料及び食品に含まれるソバアレルゲンBWp16の検出に適用可能であり、且つソバ以外の種子植物と抗原交差性を示さないソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、我が国における食物アレルギー患者数は増加傾向にあり、アレルギー物質を含む食品による健康被害を防止するため、平成13年4月の食品衛生法施行改正により、アレルギー物質を含む食品の表示が制度化された。特に小麦、ソバ、卵、乳、落花生、えび、かにの7品目については「特定原材料」として、一般消費者向けの製品だけでなく、業務用や加工食品の原料についても食品中のアレルギー物質について表示が義務化された。
【0004】
ソバアレルギーはアナフィラキシーを含む重篤なアレルギー症状を引き起こす危険性が高く、摂食には注意を要する。
ソバの主要タンパク質は、貯蔵タンパク質である13Sグロブリンと2Sアルブミンであり、アレルゲンとしては、含有量が高い76kDaアレルゲン(13Sグロブリン)、24kDaアレルゲン(13Sグロブリンβサブユニット)、24kDaアレルゲンと比較して消化酵素(ペプシン)に対して高い耐性を示す16kDaアレルゲン(2Sアルブミンの1種、以下BWp16という)等が報告されている。
【0005】
ソバは他花受粉の植物なので、他の品種と交雑しやすく、原種はない。そのため、はっきりした品種が無く、便宜上、栽培される地域の名を頭につけて分類されている(例:キタワセソバ、常陸秋ソバ)。
【0006】
従来のソバアレルゲンの検出方法としては、ソバの粗タンパク質や、含有量が多い76kDaアレルゲン及び24kDaアレルゲンを検出対象とするものが主流である。
例えば特許文献1にはソバ成分検出用抗体としてソバの70〜500kDaタンパク質画分を抗原とするIgG画分又はポリクロナール抗体及びそれら抗体を利用した検査用キットが提案されている。
また特許文献2には、未変性ソバ粗タンパク質、加熱変性ソバ粗タンパク質及びソバの主要タンパク質24kDaアレルゲン並びに76kDaアレルゲンのタンパク質に対するモノクローナル抗体を用いたソバアレルゲンの検出方法が提案されている。
これらの検出方法を用いたキットは、それぞれイムノアッセイキットして市販されている。
【0007】
しかしながらこれらのソバの粗タンパク質や76kDaアレルゲン及び24kDaアレルゲンを検出対象とする検査方法は、食品中の他の種子植物由来のタンパク質と交差反応を示し、偽陽性を呈することがあるという問題点があった。
偽陽性は、サンプル中から確実にソバアレルゲンを検出する必要があるという患者側の要請から従来法では容認されていた。しかし、特定原材料の表示義務化に伴って製造現場におけるソバアレルゲンの混入を検出するという需要が増加するにあたり、製造ロスの発生、製造ラインの洗浄の必要性など、生産効率の低下を防ぐため、偽陽性の発生を低減させたソバアレルゲンに特異性の高い検出方法の開発が望まれており、それを実現するために、ソバ以外の種子植物と抗原交差性を示さないソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体が望まれている。
【0008】
またソバアレルゲン検出方法の汎用性確保の観点から、非加熱の原材料及び食品に含まれるソバアレルゲンと加熱変性後の食品中のソバアレルゲンを同様に検出できるソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3799290号公報
【特許文献2】特許第5043078号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Molecular cloning of cDNA, recombinant protein expression and characterization of a buckwheat 16-kDa major allergen. Int Arch Allergy Immunol. 2006;140(1):73-81.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、各種ソバの検出に適用可能であり、且つソバ以外の種子植物と抗原交差性を示さないソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体を提供することを目的とする。
また本発明は非加熱の原材料及び食品に含まれるソバアレルゲンと加熱変性後の食品中のソバアレルゲンを同様に検出できるソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、ソバアレルゲンBWp16に着目し、各種ソバに共通するアミノ酸配列を有し、且つソバ以外の種子植物の2Sアルブミンと相同性の低いアミノ酸配列を有する組換えBWp16の特定領域を認識するモノクローナル抗体が、各種ソバの検出に適用可能であり、且つソバ以外の種子植物と抗原交差性を示さないことを見いだした。また本発明のモノクローナル抗体はソバアレルゲンBWp16の立体構造の違いにかかわらずエピトープを認識することから、非加熱の原材料及び食品に含まれるソバアレルゲンと加熱変性後の食品中のソバアレルゲンを同様に検出することが可能である。
【0013】
すなわち本発明は以下の通りである。
(1)配列番号12、
配列番号13又は
配列番号14で表されるペプチドを抗原とするモノクローナル抗体であって、
配列番号30に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識し、
ソバのBWp16と結合することを特徴とする、モノクローナル抗体。
(2)配列番号31に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識することを特徴とする、前記(1)に記載のモノクローナル抗体。
(3)配列番号32に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識することを特徴とする、前記(2)に記載のモノクローナル抗体。
(4)配列番号33に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識することを特徴とする、前記(3)に記載のモノクローナル抗体。
(5)配列番号1:Xaa1Glu Ala Leu Xaa2 Arg Xaa3 Glu Gly Glu Gly Cys Lys Ser Glu Glu Ser Cys Met Arg
配列番号2:Met Xaa4 Glu Met Asp Asp Glu Cys Val Cys又は
配列番号3:Met Val Glu Asn Xaa5 Lys Gly Arg Ile
(配列中、Xaa1〜Xaa5は天然に存在する任意のアミノ酸である。)
に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識することを特徴とする、前記(4)に記載のモノクローナル抗体。
(6)配列番号1:Xaa1Glu Ala Leu Xaa2 Arg Xaa3 Glu Gly Glu Gly Cys Lys Ser Glu Glu Ser Cys Met Arg
配列番号2:Met Xaa4 Glu Met Asp Asp Glu Cys Val Cys又は
配列番号3:Met Val Glu Asn Xaa5 Lys Gly Arg Ile
(配列中、Xaa1はAla 又はGlu、Xaa2はSer又はLys、Xaa3はVal又はIle、Xaa4はLys又はArg、Xaa5はGlnである。)
に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識することを特徴とする、前記(5)に記載のモノクローナル抗体。
(7)ソバ以外の種子植物由来タンパク質と交差反応しない前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
(8)受領番号NITE AP−01791で特定されるハイブリドーマ、受領番号NITE AP−01792で特定されるハイブリドーマ、受託番号NITE AP−01793で特定されるハイブリドーマ及び受領番号NITE AP−01794で特定されるハイブリドーマ、受託番号NITE AP−01795で特定されるハイブリドーマからなる群から選択されるハイブリドーマが産生する抗体である、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を用いた、検体中のソバの検出方法。
(10)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のモノクローナル抗体を含む、ソバ検出キット。
【発明の効果】
【0014】
本発明の、BWp16の特定領域に含まれるアミノ酸配列を認識するモノクローナル抗体により、各種ソバの検出に適用可能であり、且つソバ以外の種子植物と抗原交差性を示さないソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体を提供することができる。すなわち本発明のソバアレルゲン特異的モノクローナル抗体を用いることにより、食品中の各種ソバの検出を行うことが出来、且つソバ以外の種子植物の存在による偽陽性を抑制することが出来る。
また本発明はBWp16の立体構造の違いに関わらずエピトープを認識することが可能であるので、非加熱の原材料及び食品に含まれるソバアレルゲンと加熱変性後の食品中のソバアレルゲンを同様に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】BWp16アミノ酸配列の相同性を比較検討した結果を示す。
図2】BWp16の高次構造(3パターン)を示す。
図3】ELISA法による抗BWp16抗血清の抗体価の測定結果を示す。
図4】WB法によりモノクローナル抗体の交差反応性を確認した結果を示す。
図5】組換えBWp16の発現マップを示す。
図6A】WB法によりモノクローナル抗体の各分割BWp16への反応性を確認した結果を示す。
図6B】WB法によりモノクローナル抗体の各分割BWp16への反応性を確認した結果を示す
図7】分割のBWp16の認識領域を図示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(ソバ)
本願発明において、ソバはタデ科ソバ属に属する食用の穀類である。ソバの原種はなく、他花受粉のため他の品種と交雑しやすい。そのため、遺伝子上明確に区分される品種がなく、通常は便宜上栽培されている地区の名を頭につけて区分される。例えば、中国マンカン、中国北方中粒、アメリカ産マンカン、ブラジル産、キタワセ、常陸秋ソバ等があげられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
(BWp16)
本願発明におけるBWp16は、ソバに含まれる約16kDaのアレルゲンタンパク質であり、ペプシン耐性を有する。非特許文献1にはBWp16が貯蔵タンパク質2Sアルブミンファミリーに属するものであること、日本産ソバから同定されたBWp16をコードするcDNAが報告されている(非特許文献1)。
現在、アレルゲンの登録データベースAllergome(http://www.allergome.org.)には、日本産のソバから同定された2つのBWp16のアミノ酸配列がそれぞれソバアレルゲンFag e2(配列番号4)、Fag e 2.0101(配列番号5)として登録されている(Fag e 2.0101は149残基のアミノ酸配列である。Fag e2はシグナルペプチドを含まず、Fag e 2.0101のアミノ酸配列23−149位のアミノ酸配列に対応する127残基のアミノ酸配列である。Fag e 2.0101において138位がLeu(L)であるのに対し、Fag e 2ではMet(M)である。)が、本願発明においてBWp16はこのアミノ酸配列に完全に一致するものに限定されるものではなく、天然に存在する各種ソバにおける変異体も含む。
【0018】
(モノクローナル抗体)
本発明のモノクローナル抗体は、組換えBWp16である、BWp16−1(配列番号12)、BWp16−2(配列番号13)又はBWp16−3(配列番号14)で表されるペプチドを抗原とし、ソバのBWp16のアミノ酸配列のうち、Fag e 2.0101のアミノ酸配列23−149位のアミノ酸配列に対応し、Fag e 2.0101における34、50、62、66、70、72、92、110及び131位のアミノ酸が天然に存在する任意のアミノ酸である配列(配列番号30)に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識し、ソバのBWp16と結合することを特徴とする、モノクローナル抗体である。
ソバのBWp16のアミノ酸配列のうち、Fag e 2.0101のアミノ酸配列66−149位のアミノ酸配列に対応し、Fag e 2.0101における66、70、72、92、110及び131位のアミノ酸が天然に存在する任意のアミノ酸である配列(配列番号31)に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識すること、ソバのBWp16のアミノ酸配列のうち、Fag e 2.0101のアミノ酸配列66−131位のアミノ酸配列に対応し、Fag e 2.0101における66、70、72、92、110及び131位のアミノ酸が天然に存在する任意のアミノ酸である配列(配列番号32)に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識すること、ソバのBWp16のアミノ酸配列のうち、Fag e 2.0101のアミノ酸配列66−114位のアミノ酸配列に対応し、Fag e 2.0101における66、70、72、92及び110位のアミノ酸が天然に存在する任意のアミノ酸である配列(配列番号33)に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識することが、この順で好ましい。
さらに好ましくは、本発明のモノクローナル抗体は、
配列番号1:Xaa1Glu Ala Leu Xaa2 Arg Xaa3 Glu Gly Glu Gly Cys Lys Ser Glu Glu Ser Cys Met Arg
配列番号2:Met Xaa4 Glu Met Asp Asp Glu Cys Val Cys又は
配列番号3:Met Val Glu Asn Xaa5 Lys Gly Arg Ile
に含まれるアミノ酸配列をエピトープとして認識することを特徴とする。
配列中、Xaa1〜Xaa5は天然に存在する任意のアミノ酸である。Xaa1は好ましくはAla又はGluであり、さらに好ましくはAlaである。Xaa2は好ましくはSer、Lys、Arg又はAsnであり、さらに好ましくはSer又はLysであり、もっとも好ましくはSerである。Xaa3は好ましくはVal又はIleであり、さらに好ましくはValである。Xaa4は好ましくはLys又はArgであり、さらに好ましくはLysである。Xaa5は好ましくはGlnである。
本発明のモノクローナル抗体は、配列番号30〜33及び1〜3の各配列に含まれるアミノ酸配列において、好ましくは連続する5個以上、より好ましくは6個以上のアミノ酸からなる配列をエピトープとして認識する。
本発明のモノクローナル抗体のクラスは、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが挙げられるが、好ましくは、IgGである。
【0019】
(免疫方法)
抗体を作製するために使用される動物は特に限定されるものではないが、マウス、ラット、ヒト、兎、鶏等を挙げることができる。作製の簡便性からマウスが好適に使用される。また、本発明のモノクローナル抗体はBWp16で免疫した動物から採取した抗体産生細胞とミエローマ細胞との細胞融合により調製されるハイブリドーマを、培地内で培養又は動物腹腔内に投与して腹水内で増殖させた後、該培養物又は腹水から採取することにより製造することができる。
【0020】
(ハイブリドーマの作製)
抗BWp16抗体産生ハイブリドーマは、例えば、BWp16を用いてBALB/cマウスを免疫し、免疫されたマウスの抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞とを、常法により細胞融合させ、免疫蛍光染色パターンによりスクリーニングすることにより、抗BWp16モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作出することができる。上記の抗体産生細胞としては、例えばBWp16又はこれを含有する組成物を投与して免疫した動物から得られる脾臓細胞、リンパ節細胞、B−リンパ球等を挙げることができる。免疫する動物としてはマウス、ラット、ウサギ、ウマ等が挙げられる。免疫は、例えばBWp16を単独で又は適当なアジュバントと共に動物の皮下、筋肉内又は腹腔内に1〜3回/月、1〜6ケ月間投与することにより行なわれる。抗体産生細胞の分離は、最終免疫から2〜4日後に免疫動物から採取することにより行なわれる。ミエローマ細胞としては、マウス、ラット由来のもの等を使用することができる。抗体産生細胞とミエローマ細胞とは同種動物由来であることが好ましい。
【0021】
本発明のモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマ(BWp16−1A12、受領番号 NITE AP−01791)が産生する抗BWp16タンパク質モノクローナル抗体1A12 や、ハイブリドーマ(BWp16−34D9、受領番号 NITE AP−01792)が産生する抗BWp16タンパク質モノクローナル抗体34D9や、ハイブリドーマ(BWp16−34F9、受領番号 NITE AP−01793)が産生する抗BWp16タンパク質モノクローナル抗体34F9や、ハイブリドーマ(BWp16−35E2、受領番号 NITE AP−01794)が産生する抗BWp16タンパク質モノクローナル抗体35E2や、ハイブリドーマ(BWp16−41D4、受領番号 NITE AP−01795)が産生する抗BWp16タンパク質モノクローナル抗体41D4を挙げることができ、これらハイブリドーマは、平成26(2014)年1月23日(受領日)付で独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託した。
【0022】
(ソバ以外の種子植物)
本発明において、「ソバ以外の種子植物」とは従来のソバアレルゲン検出方法で交差反応性を示していたすべての種子植物を意味する。例えば、カシューナッツ、クルミ、アーモンド、落花生などのナッツ類、小豆、黒豆、大豆及びささげ豆などの豆類、ゴマ、イネ、小麦、大麦などの穀類、トマトなどの野菜などが挙げられる。
【0023】
(交差反応)
本発明のモノクローナル抗体はソバ以外の種子植物由来タンパク質と交差反応しないことが好ましい。本発明において、「ソバ以外の種子植物由来タンパク質」とは、上記ソバ以外の種子植物に自然に含まれるタンパク質を意味し、「ソバ以外の種子植物由来タンパク質と交差反応しない」とは、本発明のモノクローナル抗体がソバ以外の種子植物由来タンパク質を認識し、反応することがないことを意味する。例えば通常のWB(ウエスタンブロット)法において、タンパク質として1〜15μg/10μlのソバ以外の種子植物のタンパク質抽出物をSDS-PAGEゲルにて分離し、分離したタンパク質をメンブレンに転写した後、本発明のモノクローナル抗体を1次抗体として反応させ、適切な標識2次抗体を用いて免疫染色した場合に、陽性バンドが検出されないことを意味する。
【0024】
(ソバの検出方法)
本発明のソバの検出方法において、検出対象となる「ソバ」は生の子実及び穀粒の他、それを脱穀、加熱、乾燥、粉砕等加工したものも含む。検体としては、広く食品原料、加熱等の加工前の食品、加熱等の加工後の食品を含み、その生産及び製造の過程で上記「ソバ」を積極的に混合するもののみならず、意図せず混入する可能性があるものも含み、その加工の方法や加工の程度は問わない。
本発明のソバの検出方法は、本発明のモノクローナル抗体を使用する、免疫学的な検出方法であれば特に限定されない。例えばサンドイッチELISA、競合法、SPR、イムノクロマトなどのバイオセンサーが挙げられる。抗体の使用形態としては抗体全体を使用する場合に限定されず、F(ab’)2、Fabなどの断片も使用することが出来る。
【0025】
(ソバ検出キット)
また、本発明のソバ検出キットは、本発明のモノクローナル抗体を構成成分として含むキットであれば、いずれのキットであってもよい。キットに含まれる抗体は、個別に又は混合物の形態で存在しうるし、或いは固相担体に結合されていてもよいし又は遊離の形態でもよい。さらに、そのようなキットは、標識抗体、担体、洗浄バッファー、試料希釈液、酵素基質、反応停止液、精製された標準物質としてのマーカー(標的)ポリペプチド、使用説明書、等を含むことができる。
【実施例】
【0026】
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0027】
1.各種ソバBWp16のアミノ酸配列の確認
(1)各種ソバDNAの調製
玄ソバ(中国マンカン、中国北方中粒、アメリカ産マンカン、ブラジル産、キタワセ、常陸秋ソバ)を0.1% SDS 溶液で洗浄し、−80℃で一夜凍結後、乳鉢で粉砕した。得られた粉末から、DNeasy Plant Mini Kit (Qiagen社)を使用してDNAを抽出した。
【0028】
(2)標的タンパク質BWp16の遺伝子配列
非特許文献1に記載された方法に従って、BWp16の遺伝子を、DNAからPCRで増幅し、その配列を確認した。

PCR Primer配列
BWp16-R:5'- AATTACACAAAATACCGATTTCCTCTC-3'
BWp16-F:5'-AAAATGAAGCTCTTCATCATCCTAGCA-3'
【0029】
(3)BWp16のアミノ酸配列の特徴
6種の玄ソバの、BWp16のDNA配列をアミノ酸配列に変換し、アレルゲンの登録データベースAllergome(http://www.allergome.org.)にソバアレルゲンとして登録されているFag e2.0101のアミノ酸配列と、入手した玄ソバ6種(中国マンカン(配列番号6)、中国北方中粒(配列番号7)、アメリカ産マンカン(配列番号8)、ブラジル産(配列番号9)、キタワセ(配列番号10)、常陸秋ソバ(配列番号11))の相同性を比較した結果、11箇所(Fag e2.0101のN末端側より9、10、34、50、62、66、70、72、92、110及び131番目)で変異が観察された(図1、白抜き文字のアミノ酸)。図1中、Xは、複数種のアミノ酸の混在を示す。
Fag e2.0101のN末端側より66〜114番目における66、70、72、92及び110番目のアミノ酸の組み合わせは、以下の表1−1に示す7パターンが存在した。またFag e2.0101、Fag e2及び各ソバのBWp16は、表1−2中に○で示すパターンをとった。
【0030】
【表1-1】
【0031】
【表1-2】
【0032】
上記のようにソバに含まれるBWp16には様々な変異が存在するため、変異のパターンを多く含み、かつ国内流通の6割以上を占める「中国マンカン」(品種マンカンの中国栽培品)にターゲットを絞って解析した。
その結果、中国マンカン内には5種類のBWp16アミノ酸配列が含まれ、BWp16アミノ酸配列の変異は、図1に示された部分に限定され、すべての変異部分のアミノ酸をとりうるアミノ酸で置換した変異体をコンピューター上でシミュレートし、解析ソフト(GENETYX)を用いて高次構造を推定したところ、そのタンパク質の予測高次構造は、図2に示す3パターンに集約されることがわかった。
【0033】
(4)BWp16ソバ遺伝子配列の選択
他の植物(落花生等)中のBWp16に対応するタンパク質(2Sアルブミン)のアミノ酸配列と、相同性が低いものを選択し、BWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3とした。
以下の表2にFag e 2.0101のアミノ酸配列と比較してどの位置がどのように変異しているかを示す。
【0034】
【表2】
【0035】
2.組換えBWp16タンパク質の作製
(1)BWp16発現用大腸菌ベクターの作製
上記のように選択した3タイプのBWp16、すなわちBWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3のアミノ酸配列を、それぞれHisタグ又はGSTタグ融合タンパク質として発現させるため、各アミノ酸配列をコードする遺伝子配列を相当するタグ配列の付いたベクター、pET−22b(+) (Novagen社)又は pGEX−6P (GEヘルスケアジャパン社)に挿入した。
このプラスミドを大腸菌Escherichia coli BL21(DE3) Rosetta gami2 (Novagen社)に導入して目的コロニーを単離した。
【0036】
(2)大腸菌を用いた組換えBWp16の発現と精製
上記大腸菌を2×YT培地 (Trypton,Yeast Extract,NaCl)で37℃、一晩前培養した。続いて新鮮な同培地に培養液を希釈して37℃、30分培養し、IPTG (Isopropyl β−D−1−thiogalactopyranoside)を終濃度1mMで添加してタンパク質の発現を誘導し、16℃、16時間培養した。菌体を遠心分離法で培養液から回収し、‐80℃で凍結後、超音波破砕して、遠心上清を得た。組換えBWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3は、タグを指標にニッケルセファロース精製(GEヘルスケアジャパン社)又は グルタチオンセファロース精製(SIGMA社)をした。
精製した組換えBWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3の各濃度は、Bradford Protein Assay(Bio−Rad社)により算出した。
【0037】
3.抗BWp16 モノクローナル抗体の作製
(1)ハイブリドーマの作製
3種類のHisタグ融合の組換えBWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3とアジュバント(Gibco社)を混合乳化し、BALB/cマウス(日本SLC社)の腹腔内に10日ごと5回注入した。最終注入の3日後に尾静脈採血し、血清を102,400倍まで希釈し、その抗体価をELISA法で測定した。抗体価の上昇を確認した(10万倍以上の希釈で発色を確認できたもの、図3参照)マウスの脾臓を摘出し、これをマウスのミエローマ細胞と融合させて、抗体産生ハイブリドーマを作製した。
【0038】
(2)ハイブリドーマの選別
細胞融合から10日後以降、96well cell plateで、ハイブリドーマがウェルの三分の二以上の表面積で増殖したクローンから順に細胞上清液を回収した。
(a)ELISA法
96well ELISA plateに、GST融合の組換えBWP16−1、BWp16−2及びBWp16−3の混合物を固相化した。洗浄、ブロッキング(5%スキムミルク-PBST)の後、ハイブリドーマの細胞上清液を1次抗体として反応させた。洗浄後、HRP標識抗マウスIgG抗体(Invitrogen社)で2次抗体として反応させた。洗浄後、TMB基質で発色検出した。吸光度650nmで測定した。この結果、測定値2.5以上のクローン140種を選択した。
(b)WB法
SDS−PAGEゲル(Wako社)にてGST融合の組換えBWP16−1、BWp16−2及びBWp16−3の混合物をPVDFメンブレン(GEヘルスケアジャパン社)に転写した。メンブレンをブロッキング(5%スキムミルク−TBST)した後、選択したハイブリドーマの細胞上清液を1次抗体として反応させた。メンブレンを洗浄後、HRP標識抗マウスIgG抗体を2次抗体として反応させた。メンブレンを洗浄し、ECL Western Blotting Detection Reagents(GEヘルスケアジャパン社)で反応させ、X線フィルム(Fujifilm社)で化学発光を検出した。この結果、化学発光の強いクローン20種を選択した。
【0039】
(3)ハイブリドーマの大量調製と抗BWP16モノクローナル抗体の精製
プリスタンをBALB/cマウスの腹腔内に注入し、その1週間後に抗体産生ハイブリドーマ浮遊液(2x106cells/200μl)をマウスの腹腔内に注入した。腹腔内の膨張を確認後、針付きシリンジにて腹水を回収した。この腹水液から、硫安沈殿及びプロテインGカラム(GEヘルスケアジャパン社)を用いて、モノクローナル抗体を精製した。精製したモノクローナル抗体の濃度を、下記の計算式で算出した。
濃度(mg/ml)=吸光度280nmの値/1.35
【0040】
4.モノクローナル抗体の確認
(1)ELISA法による検出感度の測定
96well ELISA plateに、組換えBWp16混合物(BWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3)を1mg/mlの濃度から2倍希釈系列で固相化した。洗浄後、このplateにブロッキング(5%スキムミルク−PBST)を添加した。次に、モノクローナル抗体を1mg/mlの濃度から2倍希釈系列で1次抗体反応とした。洗浄後、HRP標識抗マウスIgG抗体で2次抗体反応とした。洗浄後、TMB基質で発色検出した。吸光度650nmで測定した。この結果、測定値0.05以上の陽性反応とし、その組換えBWp16混合物の最小のタンパク質濃度を検出限界値(感度)とした(表3)。
【0041】
(2)WB法による交差性の確認
各種玄ソバ(常陸秋ソバ、中国北方中粒、キタワセ、中国マンカン)及び他の植物の種子(カシューナッツ、クルミ、アーモンド、落花生、ゴマ、イネ、トマト、小豆、黒豆、大豆及びささげ豆)を、0.1% SDS 溶液で洗浄した後、凍結乾燥し、乳鉢で粉砕した。この粉末に抽出液(4%SDS、8M Urea、20% Glycerol、0.25M Tris−HCl(pH6.8)、5%2−Mercaptoethanol)を添加し、ローテーター(室温、2時間)で攪拌後、遠心(10,000xg、20分間、室温)上清を回収し、抽出液を得た。SDS−PAGEゲルにて抽出液(タンパク質として1μg/10μlを分離し、分離したタンパク質及び組換えBWp16混合物(BWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3)をPVDFメンブレンに転写した。メンブレンをブロッキング(5%スキムミルク−TBST)した後、作製したモノクローナル抗体を反応させた。メンブレンを洗浄後、HRP標識抗マウスIgG抗体を2次抗体として反応させた。メンブレンを洗浄し、ECL Western Blotting Detection Reagentsで反応させ、X線フィルムで化学発光を検出した。
【0042】
結果を図4及び表3に示す。「交差反応なし(-)」は、各モノクローナル抗体のクローンが、ソバ以外と反応しなかったことを示す。「交差反応あり(+)」は、ソバ以外のものと反応したことを示す。
モノクローナル抗体のクローンNo.1〜2、6〜8及び10のいずれも各種ソバから分離したタンパク質を認識した。
モノクローナル抗体のクローンNo.2は他のモノクローナル抗体のクローンと比較して検出感度が低く、また多くのソバ以外の植物由来のタンパク質(カシューナッツ、アーモンド、落花生、ゴマ、トマト、小豆、黒豆、大豆及びささげ豆)についても交差反応性を示した。
組換えBWp16混合物に対して高い反応性を示すモノクローナル抗体のクローンNo.1及びNo.10は一部のソバ以外の植物由来のタンパク質(No.1:アーモンド、ゴマ及び小豆、No.10:カシューナッツ)について交差反応を示した。
モノクローナル抗体のクローンNo.6〜8は検討したすべてのソバ以外の植物由来のタンパク質について交差反応性を示さなかった。
【0043】
5.サブクラスの確認
ハイブリドーマの培養上清液を検体とし、Iso Strip Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Kit (Roche社)で測定した。この試薬により、マウス抗体のサブクラスを識別した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
6.モノクローナル抗体の認識領域の確認
(1)分割した組換えBWp16発現用大腸菌ベクターの作製
BWp16遺伝子の全配列を、コードするアミノ酸配列が多少重複するように3つの領域を決定(アミノ酸配列として23aa−65aa、55aa−107aa及び99aa−149aaをコードする位置)し、分割した遺伝子配列がコードするアミノ酸配列を有する組換えタンパク質をそれぞれBWp16−A、BWp16−B及びBWp16−Cとした(図5)。各領域のタンパク質をそれぞれGSTタグ融合タンパク質として発現させるため、相当するタグ配列の付いたベクター pGEX−6P (GEヘルスケアジャパン社)に挿入した。
【0046】
更に、BWp16−Aをコードする領域とは重複せず、BWp16−B及びBWp16−Cをコードする領域と重複する、BWp16遺伝子のアミノ酸配列として66aa−149aaをコードする位置について、コードするアミノ酸配列が多少重複するように5つの領域を決定(アミノ酸配列として66aa−90aa、86aa−105aa、101aa−109aa、115aa−136aa、132aa−149aaをコードする位置)し、分割した遺伝子配列がコードするアミノ酸配列を有する組換えタンパク質をそれぞれBWp16−a、BWp16−b、BWp16−c、BWp16−d及びBWp16−eとした(図5)。各領域のタンパク質をそれぞれGSTタグ融合タンパク質として発現させるため、相当するタグ配列の付いたベクター pGEX−6P (GEヘルスケアジャパン社)に挿入した。
【0047】
なお、BWp16−A、BWp16−B、BWp16−C、BWp16−a、BWp16−b、BWp16−c、BWp16−d及びBWp16−eについては、分割した各領域内で、アミノ酸の配列パターンが複数存在した場合、そのパターンごとのタンパク質を作製した。例えば、BWp16−Aは領域内に変異が存在しないので1通り、BWp16−Bは領域内に変異が存在するため2通り、BWp16−Cは領域内に変異が存在するため3通りを作製した。
以下の表4に各分割した組換えBWp16をFag e 2.0101のアミノ酸配列と比較してどの位置がどのように変異しているかを示す。
【0048】
【表4】
【0049】
これらのプラスミドを大腸菌Escherichia coli BL21(DE3) Rosetta gami2 (Novagen社)に導入して目的コロニーを単離した。
各分割の組換えBWp16をコードする遺伝子配列を得るためのPCR Primer配列は以下の通りである。
(a)BWp16−A
BWp16-A-R:5’-GGGGGATCCAGAGATGAAGGCTTCGATTTAGGC-3’
BWp16-A-F:5’-CCCGAATTCGTATTTGTCGTCGAGTATATCCATGGC-3’
(b)BWp16−B1
BWp16-B1-R:5’-GGGGGATCCATAGCCATGGATATACTCGACGAC-3’
BWp16-B1-F:5’-CCCGAATTCCTCAACCATCATCTTCATCCACTC-3’
(c)BWp16−B2
BWp16-B2-R:5’- GGGGGATCCATAGCCATGGATATACTCGATGAC-3’
BWp16-B2-F:5’- CCCGAATTCCTCAACCATCATCTTCATCCACTC-3’
(d)BWp16−C1
BWp16-C1-R:5’- GGGGGATCCGTTTGTGAGTGGATGAAGATGATGG-3’
BWp16-C1-F:5’- CCCGAATTCTTACACAAAATACCGATTTCCTCT-3’
(e)BWp16−C2
BWp16-C2-R:5’- GGGGGATCCGTTTGTGAGTGGATGAAGATGATGG-3’
BWp16-C2-F:5’- CCCGAATTCTTACACAAAATACCGATTTCCTCT-3’
(f)BWp16−C3
BWp16-C3-R:5’- GGGGGATCCGTTTGTGAGTGGATGAAGATGATGG-3’
BWp16-C3-F:5’- CCCGAATTCTTACACAAAATACCGATTTCCTCT-3’
(g)BWp16−a1
BWp16-a1-R:5’-GGGGGATCCGCAGAAGCTTTGAGTAGGGTTG-3’
BWp16-a1-F:5’-CCCGAATTCCGCCACACAGCATCCTCTCA-3’
(h)BWp16−a2
BWp16-a2-R:5’-GGGGGATCCGAAGAAGCTTTGAAGAGGATTGAAGG-3’
BWp16-a2-F:5’-CCCGAATTCCGCCACACAGCATCCTCTCA-3’
(i)BWp16−b1
BWp16-b1-R:5’-GGGGGATCCGGATGCTGTGTGGCGATGAAG-3’
BWp16-b1-F:5’-CCCGAATTCCATCTTCATCCACTCACAAACAC-3’
(j)BWp16−b2
BWp16-b2-R:5’-GGGGGATCCGGATGCTGTGTGGCGATGAGG-3’
BWp16-b2-F:5’-CCCGAATTCCATCTTCATCCACTCACAAACAC-3’
(k)BWp16−c
BWp16-c-R:5’-GGGGGATCCGAGTGGATGAAGATGATGGTTG-3’
BWp16-c-F:5’-CCCGAATTCAATCAACCTTTCACCAATACGCCC-3’
(l)BWp16−d1
BWp16-d1-R:5’-GGGGGATCCGGTGAAAGGTTGATTAAGGAGGG-3’
BWp16-d1-F:5’-CCCGAATTCACTAAGCCCACACTTACTAGG-3’
(m)BWp16−d2
BWp16-d2-R:5’-GGGGGATCCGGTGAAAGGTTGATTAAGGAGGG-3’
BWp16-d2-F:5’-CCCGAATTCACTAAGCCCACACTTACCAGG-3’
(n)BWp16−e1
BWp16-e1-R:5’-GGGGGATCCAAGTGTGGGCTTAGTGAAATGG-3’
BWp16-e1-F:5’-CCCGAATTCCACAAAATACCGATTTCCTCTCG-3’
(o)BWp16−e2
BWp16-e2-R:5’-GGGGGATCCAAGTGTGGGCTTAGTGAATTGG-3’
BWp16-e2-F:5’-CCCGAATTCCACAAAATACCGATTTCCTCTCG-3’
【0050】
(2)大腸菌を用いた分割の組換えBWp16の発現と精製
上記大腸菌を2×YT培地 (Trypton,Yeast Extract,NaCl)で37℃、一晩前培養した。続いて新鮮な同培地に培養液を希釈して37℃、30分培養し、IPTG (Isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside) を終濃度1mMで添加してタンパク質の発現を誘導し、16℃、16時間培養した。菌体を遠心分離法で培養液から回収し、―80℃で凍結後、超音波破砕して、遠心上清を得た。これらの組換え体は、グルタチオンセファロース精製(SIGMA社)をした。精製した分割の組換えBWp16の濃度は、Bradford(Bio−Rad社)により算出した。
【0051】
(3)WB法による認識領域の確認
SDS−PAGEゲルに、それぞれ分割の組換えBWp16を0.5μg/1レーンを泳動し、泳動タンパク質をPVDFメンブレンに転写した。メンブレンをブロッキング(5%スキムミルク−TBST)した後、作製したモノクローナル抗体(クローンNo.1、2、6、7、8及び10)を反応させた。メンブレンを洗浄後、HRP標識抗マウスIgG抗体を2次抗体として反応させた。メンブレンを洗浄し、ECL Western Blotting Detection Reagentsで反応させ、X線フィルムで化学発光を検出した。
WBの結果を図6A及び図6Bに示す。
図6Aに示すように、クローンNo.1、2、6、7、8及び10はいずれも、BWp16-1、BWp16-2及びBWp16-3に対して同程度の反応を示した。この結果により、これらクローンが立体構造の違いに関わらずエピトープを認識することが可能であることを示し、非加熱の原材料及び食品に含まれるソバアレルゲンと加熱変性後の食品中のソバアレルゲンを同様に検出できることが示唆された。
【0052】
また各モノクローナル抗体のクローンが認識する各分割の組換えBWp16をまとめたものが表5である。
【表5】
(抗体が結合した場合を+、反応しない場合を−として表示)
これらの結果と分割した組み換えBWp16の発現マップを合わせて、各モノクローナル抗体のクローンが認識するBWp16の特定領域を図解したものが図7である。
各モノクローナル抗体のクローンが認識するBWp16のエピトープは以下の表6に示される特定領域の範囲内にあることが示された。
【0053】
【表6】
【0054】
各モノクローナル抗体のクローンは11カ所(Fag e2.0101のN末端側より9、10、34、50、62、66、70、72、92、110及び131番目)に変異を有する各種ソバと反応し、また表2に示した計6カ所の変異(Fag e2.0101のN末端側より66、70、72、92、131及び138番目)を含む組換えBWp16タンパク質のいずれとも反応するものであった。
従って本発明のモノクローナル抗体は66aa、70aa並びに72aaに変異を含む特定領域66aa−85aa、92aaに変異を含む特定領域91aa−100aa、及び110aa二変異を含む特定領域106aa−114aaを認識する抗体であることが示された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]