特許第6405110号(P6405110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ADEKAの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405110
(24)【登録日】2018年9月21日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】菓子
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20181004BHJP
   A23G 3/00 20060101ALI20181004BHJP
   A21D 13/80 20170101ALI20181004BHJP
   A21D 15/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   A23G3/34 102
   A23G3/00
   A21D13/80
   A21D15/00
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-82848(P2014-82848)
(22)【出願日】2014年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-202072(P2015-202072A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100143856
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 廣己
(74)【代理人】
【識別番号】100171217
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 望
(74)【代理人】
【識別番号】100155206
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 源一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 稔
【審査官】 西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−072258(JP,A)
【文献】 特開2009−072086(JP,A)
【文献】 特開2002−209530(JP,A)
【文献】 特開昭63−214136(JP,A)
【文献】 特開平10−084847(JP,A)
【文献】 特開2011−234650(JP,A)
【文献】 パウンド★ラスク,cookpad[online],2012年 3月11日,[2017年12月25日検索]インターネット<https://cookpad.com/recipe/1736359>
【文献】 シフォンをアレンジ バニラ風味のラスク,cookpad[online],2014年 4月 9日,[2017年12月25日検索]インターネット<https://cookpad.com/recipe/2578558>
【文献】 失敗&食べきれないなら!*パウンドラスク,cookpad[online],2011年 2月11日,[2017年12月25日検索]インターネット<https://cookpad.com/recipe/1356676>
【文献】 かけるだけ 食パンで簡単サバラン,cookpad[online],2013年11月22日,[2017年12月25日検索]インターネット<https://cookpad.com/recipe/2409581>
【文献】 バケットのサバラン ,cookpad[online],2009年 1月31日,[2017年12月25日検索]インターネット<https://cookpad.com/recipe/180164>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G
A21D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラスク様焼菓子にシロップ液を含浸してなる菓子であって、
上記ラスク様焼菓子が、澱粉類、油脂類、卵類、糖類を含有し、生地中の油分含量が13〜40質量%である焼菓子生地を使用したものであり、
上記焼菓子生地における卵類の含有量が、上記澱粉類100質量部に対し50〜150質量部であり、
上記焼菓子生地の卵類に占める卵白の含有量が80質量%以上である菓子
【請求項2】
上記シロップ液が酒類を含有する、請求項1記載の菓子。
【請求項3】
ラスク様焼菓子にシロップを含浸する菓子の製造方法であって、
上記ラスク様焼菓子が、澱粉類、油脂類、卵類、糖類を含有し、生地中の油分含量が13〜40質量%である焼菓子生地を使用したものであり、
上記焼菓子生地における卵類の含有量が、上記澱粉類100質量部に対し50〜150質量部であり、
上記焼菓子生地の卵類に占める卵白の含有量が80質量%以上であることを特徴とする菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、しっとりとした食感を有する菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
菓子の分類は様々であるが、頻繁に用いられるものとしては水分含量や保存性の観点から区分する方法がある。一般に、水分含量が30質量超の菓子を生菓子、10〜30質量%の菓子を半生菓子、10質量%未満の菓子を干菓子と呼ぶことが多い。生菓子の賞味期限はおおよそ数日程度、半生菓子は同じく数週間程度、干菓子は数ヶ月程度である。
【0003】
このうち、半生菓子の代表例としては、洋菓子のバターケーキ、パウンドケーキ、フィナンシェが広く知られている。これらはバター等の油分を多く含有し、しっとりとした食感とコクのある重量感が特徴であり、季節を問わず広く親しまれている。半生菓子は生菓子に比べて保存性は良いものの、1週間から1ヶ月前後のものが多くストックがきかないため、販売量に合わせて少量ずつ毎日生産するなど、生産効率が悪いという問題があった。
このため、より長期間保存することのできる、半生菓子に対するニーズは非常に高い。
【0004】
このような課題に対し、これまでに半生菓子の包装方法を工夫することで賞味期限を延ばす方法が開示されている(例えば特許文献1,2)。これらの方法は保存性を高める上で有効であるが、包装工程を大きく変える必要があり、製法上の制約がある。
【0005】
また、半生菓子の配合や製造方法を工夫することで保存性を高める方法も検討されている。例えば特許文献3には、水難溶性物質でコートされた酸味料を使用し、加熱調理中に製品のpHが2〜4.5になる事を特徴とする水分活性が0.80以上の熱成食品の製造方法が開示されている。
しかし、この方法では通常酸味料を使用しないような半生菓子の場合は風味に対する影響が大きく、適用範囲の面で課題が残る。
【0006】
一方、保存性の高い食材を含浸させた菓子、例えば、半生菓子等へグミを含浸させた、もちもちとした食感のでんぷん性菓子(特許文献4)、固形可食物へチョコレート等を含浸させた含浸食品(特許文献5)が開示されているが、これらは半生菓子のしっとりとした食感が失われてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−67694号公報
【特許文献2】特開2001−352956号公報
【特許文献3】特開2001−169764号公報
【特許文献4】特開2012−85594号公報
【特許文献5】WO2011/049166号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って本発明の目的は、保存性の高いしっとりとした食感の半生菓子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記の課題について種々検討した結果、特定の焼菓子をさらに乾燥焼きしてラスク様焼菓子とし、これに高糖度のシロップ液を含浸させることで、良好な風味としっとりとした食感を有する半生菓子でありながら保存性が高い新規な菓子が得られることを知見した。また、この場合、ラスク様焼菓子は長期の保存が可能であることから、必要な時にシロップ液を含浸させることで、しっとりした食感の半生菓子を効率的に生産することが可能であることを見出した。
【0010】
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり、ラスク様焼菓子にシロップ液を含浸してなる菓子である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保存性の高いしっとりした食感の半生菓子を簡単な方法で安定して得ることができる。
また、本発明によれば、あらかじめラスク様焼菓子を生産し保管しておくことで、しっとりした食感の半生菓子を効率的に生産することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の菓子について詳述する。
まず、本発明で使用するラスク様焼菓子について説明する。
ラスクとは、特に定義はないが、水分含量が高くソフトな食感であるパンが老化により硬くなった場合に、魅力ある食品として再生する一方法として古くから食されてきたもので、スライスしたパンの表面に、油脂と糖類の混合物、あるいは卵白と糖類の混合物等を塗布又は散布した後、加熱調理した、カリカリした食感が特徴の再加熱ベーカリー製品である。
すなわち、ラスクとは、パンに含まれる水分を可能な限り除去し、必要に応じ風味付けのために糖類や油脂類を表面に付着させて焼成することにより、パンを使用していながら、ビスケットのような食感と風味と保存性を持たせた再加熱ベーカリー製品である。
本発明で使用するラスク様焼菓子とは、上記一般的なラスク製造に使用するパンに代えてケーキ等の水分含量の高い焼菓子を使用した菓子である。
【0013】
なお、本発明で使用するラスク様焼菓子は油分含量が一定の範囲内であると良好な食感の菓子が得られるため好ましい。すなわち本発明で使用するラスク様焼菓子は、澱粉類、油脂類、卵類、糖類を含有し、生地中の油分含量が13〜40質量%、好ましくは15〜37質量%、より好ましくは20〜35質量%である焼菓子生地を使用したものであることが好ましい。
生地中の油分含量が13質量%よりも少ないと、最終的に得られる菓子がぱさついた食感となってしまう場合がある。また、生地中の油分含量が40質量%よりも多いと、ラスク様焼菓子にシロップ液が含浸しにくい問題や、一体感のない食感になってしまう問題、さらには油性感が強すぎべたついたものとなってしまう問題が発生する場合がある。
【0014】
上記澱粉類としては、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム粉、全粒粉などの小麦粉類、ライ麦粉、大麦粉、米粉などのその他の穀粉類、アーモンド粉(アーモンドプードル)、へーゼルナッツ粉、カシューナッツ粉、オーナッツ粉、松実粉などの堅果粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチ米澱粉などの澱粉や、これらの澱粉をアミラーゼなどの酵素で処理したものや、α化処理、分解処理、エーテル化処理、エステル化処理、架橋処理、微細化、グラフト化処理などの中から選ばれた1種又は2種以上の処理を施した化工澱粉等が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本発明においては、上記澱粉類のうち、アーモンド粉を20質量%以上含有することが好ましく、25〜80質量%であることがより好ましく、30〜70質量%が最も好ましい。アーモンド粉を20質量%以上含有することで、最終的に得られる菓子がよりしっとりとした食感を有し、風味も良好なものとなる。
また、本発明においては、最終的に得られる菓子の食感がよりしっとりとしたものとなる点で、上記澱粉類のうち化工澱粉を5質量%以上含有することが好ましい。より好ましくは10〜60質量%、最も好ましくは15〜50質量%である。本発明においては、上記化工澱粉の中でもα化処理、アセチル化処理、ヒドロキシプロピル化処理、酸化処理から選ばれた1種又は2種以上の処理を施されたものを使用することがより好ましい。
【0016】
上記油脂類としては、マーガリン、ショートニング、バター、粉末油脂、液状油等が挙げられ、これらの中から一種又は二種以上を用いることができる。
上記焼菓子生地における油脂類の含有量は、澱粉類100質量部に対し、50〜150質量部であることが好ましく、70〜130質量部であることがより好ましい。
【0017】
上記卵類としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白、乾燥全卵、乾燥卵黄、凍結全卵、凍結卵黄、凍結卵白、凍結加糖全卵、凍結加糖卵黄、凍結加糖卵白、酵素処理全卵、酵素処理卵黄等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記焼菓子生地における卵類の含有量は、澱粉類100質量部に対し、生卵換算で50〜150質量部であることが好ましく、60〜140質量部であることがより好ましい。
なお、本発明では卵黄分が多いと最終的に得られる菓子が一体感のない食感となってしまうことから、上記卵類は生卵換算した場合に卵白の含有量が80質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0018】
上記糖類としては、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等の中から選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。上記焼菓子生地における糖類の含有量は、澱粉類100質量部に対し、好ましくは、糖の固形分として、50〜150質量部、より好ましくは70〜120質量部である。糖類の含有量が澱粉類100質量部に対し、糖の固形分として50質量部未満であると、最終的に得られる菓子に必要な甘味が得られず、またしっとりとした食感とならない場合がある。また、糖類の含有量が澱粉類100質量部に対し、糖の固形分として150質量部を超えると、べとついた食感になってしまう場合がある。
【0019】
上記焼菓子生地では、上記必須原料のほかその他の原料を含有することができる。
上記その他の原料としては、牛乳、水、食塩、乳化剤、調味料、香辛料、着香料、着色料、ココア、チョコレート、ナッツ類、ヨーグルト、チーズ、抹茶、紅茶、コーヒー、豆腐、黄な粉、豆類、野菜類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、果物、ハーブ、肉類、魚介類、保存料、日持ち向上剤等が挙げられ、本発明の目的を損なわない限り、任意に使用することができるが、好ましくは、上記澱粉類100質量部に対して合計で100質量部以下、より好ましくは50質量部以下となる範囲で使用する。
【0020】
次に、本発明で使用するラスク様焼菓子について説明する。
本発明で使用するラスク様焼菓子は、上記焼菓子生地を焼成し、さらに必要に応じ再焼成あるいは乾燥することで得られるものである。なお、その際のラスク様焼菓子は、好ましい水分含量が10質量%未満、より好ましくは7質量%未満、さらに好ましくは5質量%未満である。水分含量が10質量%以上であると、ラスク様素材としての保存性が悪くなるほか、シロップ液の含浸が困難となることに加え、最終的に得られる菓子の保存性の向上の効果が見られず、また一体感のない食感となってしまう。
【0021】
なお、上記焼成は、展板上あるいはコンベア上に積置する方法のほか、焼型に入れて焼成してもよい。焼成する際の温度は、通常の焼菓子製品同様、好ましくは160℃〜250℃、より好ましくは170℃〜220℃である。その際の焼成時間は、好ましくは5〜30分、より好ましくは10〜20分である。また、再焼成する場合の温度は80〜150℃、好ましくは80〜120℃である。その際の焼成時間は、好ましくは10分〜5時間、より好ましくは30分〜2時間である。
なお、上記のように焼成後にさらに再焼成するのではなく、一度に低温長時間焼成することももちろん可能である。
【0022】
続いて、本発明で使用するシロップ液について説明する。
本発明で使用するシロップ液としては、一般に使用されるシロップそのもの、あるいはシロップに必要に応じその他の成分を溶解した、糖類をベースとする水溶液であり、例えば転化糖シロップ、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖果糖液糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、シュガーシロップ、ガムシロップ、メープルシロップ、フルーツシロップ、グレナデンシロップ等を挙げることができる。
なお、上記シロップ液における糖類含量は、最終的に得られる菓子の保存性が良好である点、及び含浸時の作業性が良好であるためには、固形分として20〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。
【0023】
なお上記シロップ液はブランデー、ワイン、リキュール、日本酒、焼酎、紹興酒、麦酒、ラム酒等の酒類を、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜65質量%、さらに好ましくは20〜60質量%含有することが好ましい。酒類を含有させることで、最終的に得られる菓子の風味がよく、しっとりとした食感となるほか、日持ちをより向上させることができる。
【0024】
上記シロップ液には、必要に応じて風味成分や着色成分などのその他の成分を含有させても良い。
その他の成分としては、具体的には緑茶、紅茶、ウーロン茶等のお茶類、オレンジ、ミカン、バナナ、リンゴ、パイナップル、パッションフルーツ、イチゴ、ブドウ、グレープフルーツ、梨、桃、梅、カリン、ビワ、杏、サクランボ、スモモ、栗、レモン等から得られる果汁、コーヒー、ココア、チョコレート類、クリーム類、香料、着色料、乳化剤、酸味料等を挙げることができる。
【0025】
これらの成分を含有するシロップ液を予め各種準備しておくことで、単一の風味のラスク様菓子を使用しながら、各種の風味や色調の菓子を効率的に生産することができる。また、焼菓子生地にこれらの風味成分を含有させる場合に比べて焼成時の加熱による風味の劣化や色調の変調が見られないため、より自然な風味と色調の菓子が得られるというメリットもある。
【0026】
本発明の菓子は、上記ラスク様焼菓子に上記シロップ液を含浸させて得られる。
上記含浸方法は、特に限定されるものではないが、塗布、浸漬、スプレー等の方法によって、上記シロップ液をラスク状焼菓子に含浸させることができる。塗布する場合は、例えば、ラスク状焼菓子の片面に塗布する、さらに裏返してもう片面にも塗布する、又は表面全体に塗布することができる。浸漬する場合は、例えば、シロップ液を入れたバットに、ラスク状焼菓子を、片面だけ又は両面漬ける、あるいは完全にどぶ漬けすることができる。
なお、上記シロップ液を含浸させる際は、シロップ液を、必要に応じ加温することで粘度を下げることが可能である。
また、上記シロップ液を含浸させる際は、減圧下で含浸させる方法や、遠心法を使用することも可能である。
【0027】
上記シロップ液の含浸量は、特に限定されるものではないが、ラスク状焼菓子100質量部に対し、好ましくは10〜200質量部、さらに好ましくは30〜100質量部である。シロップ液の含浸量が10質量部未満であると、最終的に得られる菓子にしっとりとした食感が感じられなくなり、また、200質量部を超えると、最終的に得られる菓子がべたついた食感となりやすいことに加え、離水するなど、保存性も悪化しやすくなる。
【0028】
なお、シロップ液を含浸させる時期については、ラスク様焼菓子が得られた直後であっても良いが、ラスク様焼菓子として保存し、必要なときにシロップ液を含浸させることもできる。
【0029】
このようにして得られた本発明の菓子は、半生菓子のようなしっとりした食感でありながら、保存可能な期間が長く、数週間程度〜干菓子並みの3〜6か月の保存が可能である。
このようにして得られた本発明の菓子は、シロップ液を含浸後すぐに食べてもよく、またポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニール製の袋や、アルミ蒸着された袋等で包装することによりさらに保存することもできる。
【0030】
最後に、本発明の菓子の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、上記ラスク様焼菓子に上記シロップを含浸するものである。
本発明の製造方法によれば、保存性の高いしっとりした食感の半生菓子を簡単な方法で安定して得ることができる。
【実施例】
【0031】
次に、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
【0032】
[実施例1]
まず、卵白120質量部をミキサーに入れ泡立てたところへ、上白糖120質量部、アーモンドプードル40質量部、薄力粉30質量部、加工澱粉(酢酸澱粉)30質量部、食塩1質量部、ベーキングパウダー2質量部を加え、よく混合した。この時の比重は0.85であった。次に、マーガリン(製品名「アロマゴールド」ADEKA社製)100質量部を60℃に溶解したものを添加、混合し焼菓子生地Aを得た。焼菓子生地A中の油分含量は23質量%であった。
続いて、得られた焼菓子生地Aをフィナンシェ型へ流し込み、170℃で20分焼成し、その後さらに110℃で30分再焼成(乾燥焼き)してラスク様焼菓子Aを得た。ラスク様焼菓子Aの水分含量は4.4質量%であった。
ラスク様焼菓子Aを室温で3ヶ月保存した後、ブランデーと転化糖液糖(糖固形分70%)を6:4の割合で混合したシロップ液をラスク様焼菓子Aに含浸させ、本発明の菓子Aを得た。なおラスク様焼菓子100質量部あたりのシロップ液含浸量は53質量部であった。
菓子Aはフィナンシェ様のしっとりとした弾力のある食感であり、風味も非常に良好であった。また、菓子Aをフィルムで密封し、室温で2週間保存した後試食したところ、2週間前と同様の食感、風味を維持していた。
【0033】
[実施例2]
まず、卵白120質量部をミキサーに入れ泡立てたところへ、上白糖120質量部、アーモンドプードル40質量部、薄力粉30質量部、加工澱粉(リン酸架橋澱粉)30質量部、食塩1質量部、ベーキングパウダー2質量部を加え、よく混合した。この時の比重は0.85であった。次に、マーガリン(製品名「アロマゴールド」ADEKA社製)100質量部を60℃に溶解したものを添加、混合し、焼菓子生地Bを得た。焼菓子生地B中の油分含量は23質量%であった。
続いて、得られた焼菓子生地Bをフィナンシェ型へ流し込み、170℃で20分焼成し、その後さらに110℃で30分再焼成(乾燥焼き)してラスク様焼菓子Bを得た。ラスク様焼菓子Bの水分含量は4.4質量%であった。
ラスク様焼菓子Bを室温で3ヶ月保存した後、ブランデーと転化糖液糖(糖固形分70%)を6:4の割合で混合したシロップ液をラスク様焼菓子Bに含浸させ、本発明の菓子Bを得た。なおラスク様焼菓子100質量部あたりのシロップ液含浸量は50質量部であった。
菓子Bはフィナンシェ様のしっとりとした弾力のある食感であり、風味も非常に良好であった。また、菓子Bをフィルムで密封し、室温で2週間保存した後試食したところ、2週間前と同様の食感、風味を維持していた。
【0034】
[実施例3]
まず、卵白120質量部をミキサーに入れ泡立てたところへ、上白糖120質量部、アーモンドプードル40質量部、薄力粉30質量部、加工澱粉(湿熱処理ハイアミロースコーンスターチ)30質量部、食塩1質量部、ベーキングパウダー2質量部を加え、よく混合した。この時の比重は0.85であった。次に、マーガリン(製品名「アロマゴールド」ADEKA社製)100質量部を60℃に溶解したものを添加、混合し焼菓子生地Cを得た。焼菓子生地C中の油分含量は23質量%であった。
続いて、得られた焼菓子生地Cをフィナンシェ型へ流し込み、170℃で20分焼成し、その後さらに110℃で30分再焼成(乾燥焼き)してラスク様焼菓子Cを得た。ラスク様焼菓子Cの水分含量は4.4質量%であった。
ラスク様焼菓子Cを室温で3ヶ月保存した後、ブランデーと転化糖液糖(糖固形分70%)を6:4の割合で混合したシロップ液をラスク様焼菓子Cに含浸させ、本発明の菓子Cを得た。なおラスク様焼菓子100質量部あたりのシロップ液含浸量は52質量部であった。
菓子Cはフィナンシェ様のしっとりとした弾力のある食感であり、風味も非常に良好であった。また、菓子Cをフィルムで密封し、室温で2週間保存した後試食したところ、2週間前と同様の食感、風味を維持していた。
【0035】
[実施例4]
まず、卵白120質量部をミキサーに入れ泡立てたところへ、上白糖120質量部、薄力粉100質量部、食塩1質量部、ベーキングパウダー2質量部を加え、よく混合した。この時の比重は0.83であった。次に、マーガリン(製品名「アロマゴールド」ADEKA社製)100質量部を60℃に溶解したものを添加、混合し焼菓子生地Dを得た。焼菓子生地D中の油分含量は18質量%であった。
続いて、得られた焼菓子生地Dをフィナンシェ型へ流し込み、170℃で20分焼成し、その後さらに110℃で30分再焼成(乾燥焼き)してラスク様焼菓子Dを得た。ラスク様焼菓子Dの水分含量は4.4質量%であった。
ラスク様焼菓子Dを室温で3ヶ月保存した後、ブランデーと転化糖液糖(糖固形分70%)を6:4の割合で混合したシロップ液をラスク様焼菓子Dに含浸させ、本発明の菓子Dを得た。なおラスク様焼菓子100質量部あたりのシロップ液含浸量は55質量部であった。
菓子Dはフィナンシェ様のややぱさつきはあるもののしっとりとした食感であり、風味も非常に良好であった。また、菓子Dをフィルムで密封し、室温で2週間保存した後試食したところ、2週間前と同様の食感、風味を維持していた。
【0036】
[実施例5]
まず、卵白120質量部をミキサーに入れ泡立てたところへ、上白糖120質量部、アーモンドプードル40質量部、薄力粉30質量部、加工澱粉(酢酸澱粉)30質量部、食塩1質量部、ベーキングパウダー2質量部を加え、よく混合した。この時の比重は0.85であった。次に、マーガリン(製品名「アロマゴールド」ADEKA社製)100質量部を60℃に溶解したものを添加、混合し焼菓子生地Eを得た。焼菓子生地E中の油分含量は23質量%であった。
続いて、得られた焼菓子生地Eをフィナンシェ型へ流し込み、170℃で20分焼成し、その後さらに110℃で30分再焼成(乾燥焼き)してラスク様焼菓子Eを得た。ラスク様焼菓子Eの水分含量は4.4質量%であった。
ラスク様焼菓子Eを室温で3ヶ月保存した後、転化糖液糖(糖固形分70%)100%からなるシロップ液をラスク様焼菓子Eに含浸させ、本発明の菓子Eを得た。なおラスク様焼菓子100質量部あたりのシロップ液含浸量は48質量部であった。
菓子Eはフィナンシェ様のしっとりとした弾力のある食感であり、風味も良好であった。また、菓子Eをフィルムで密封し、室温で2週間保存した後試食したところ、2週間前と同様の食感、風味を維持していた。
【0037】
[実施例6]
まず、上白糖85質量部とマーガリン(製品名「アロマゴールド」ADEKA社製)85質量部をミキサーにいれ、クリーミングした後、全卵(正味)90質量部を添加し、軽く混合した。ここに、薄力粉100質量部を加え、さらにベーキングパウダー1質量部を添加し、軽く混合して焼菓子生地Fを得た。焼菓子生地F中の油分含量は22質量%であった。また、全卵に占める卵白の含有量は66質量%であった。
続いて、得られた焼菓子生地Fをフィナンシェ型へ流し込み、160℃で20分焼成し、その後さらに110℃で30分再焼成(乾燥焼き)してラスク様焼菓子Fを得た。ラスク様焼菓子Fの水分含量は4.4質量%であった。
ラスク様焼菓子Fを室温で3ヶ月保存した後、ブランデーと転化糖液糖(糖固形分70%)を6:4の割合で混合したシロップ液をラスク様焼菓子Fに含浸させ、本発明の菓子Fを得た。なおラスク様焼菓子100質量部あたりのシロップ液含浸量は48質量部であった。
菓子Fはややぱさついていたものの、バターケーキ様のしっとりとした食感であり、風味も良好であった。また、菓子Fをフィルムで密封し、室温で2週間保存した後試食したところ、2週間前と同様の食感、風味を維持していた。
【0038】
[実施例7]
全卵180質量部、上白糖90質量部、液糖10質量部、ケーキ用起泡性乳化脂15質量部(製品名「トルテ」ADEKA社製)をミキサーに入れて十分に起泡したところへ、薄力粉80質量部、加工澱粉(酢酸澱粉)20質量部、ベーキングパウダー1質量部を加えて混合した。この時の比重は0.4であった。次に製菓用液状油(製品名「グラシュー」ADEKA社製)を20質量部加えて、泡を壊さないように混ぜ合わせて焼菓子生地Gを得た。焼菓子生地G中の油分含量は11質量%であった。また、全卵に占める卵白の含有量は66質量%であった。続いて、底と側面に紙をあてた6号スポンジ型に生地を流し込み、180℃30分焼成し、得られたスポンジケーキを10mm厚にスライスし、さらに110℃で20分焼成し、ラスク様焼菓子Gを得た。ラスク様焼菓子Gの水分含量は4.2質量%であった。
ラスク様焼菓子Gを室温で3ヶ月保存した後、ブランデーと転化糖液糖を6:4の割合で混合したシロップ液をラスク様焼菓子Gに含浸させ、菓子Gを得た。なおラスク様焼菓子100質量部あたりのシロップ液含浸量は50質量部であった。
菓子Gはぱさつきがあるもののしっとりとした食感であり、風味も良好であった。また、菓子Gをフィルムで密封し、室温で2週間保存した後試食したところ、2週間前と比べ、ややざらつきが感じられるものであった。