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特許6405772組成物およびそれを用いた有機薄膜トランジスタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405772
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】組成物およびそれを用いた有機薄膜トランジスタ
(51)【国際特許分類】
   C08L 25/18 20060101AFI20181004BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20181004BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20181004BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20181004BHJP
   C08K 5/21 20060101ALI20181004BHJP
   C08K 5/105 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/312 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C08L25/18
   H01L29/28 100A
   H01L29/28 280
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 617T
   C08K5/42
   C08K5/3492
   C08K5/21
   C08K5/105
   H01L29/78 619A
   H01L21/312 A
【請求項の数】10
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-156026(P2014-156026)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33182(P2016-33182A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】矢作 公
【審査官】 大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−038062(JP,A)
【文献】 特開2001−356481(JP,A)
【文献】 特開昭59−045439(JP,A)
【文献】 特開2013−228675(JP,A)
【文献】 特開2000−147773(JP,A)
【文献】 特開2013−131634(JP,A)
【文献】 特表2004−518305(JP,A)
【文献】 特表2004−516338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 25/18
C08K 5/105
C08K 5/21
C08K 5/3492
C08K 5/42
H01L 21/312
H01L 21/336
H01L 29/786
H01L 51/05
H01L 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰り返し単位及び下記式(2)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物(A)と、電磁波もしくは電子線の照射、または、加熱により分解して酸を発生する化合物(B)と、酸の存在下において、2以上の水酸基と反応して前記高分子化合物(A)の分子間の架橋構造を形成し得る化合物(C)とを含有する組成物。
【化1】

(1)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。aは、0〜10の整数を表し、nは、1〜5の整数を表す。Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、または、−NHCOO−で表される基を表す。なお前記「−」で表される結合手は、左側の結合手が式(1)中の上側の結合手であってもよく、右側の結合手が式(1)中の上側の結合手であってもよい。これらのうち、アルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基が有する水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rは、酸により脱離する1価の有機基を表す。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【化2】

(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。bは、0〜10の整数を表し、mは、1〜5の整数を表す。Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、または、−NHCOO−で表される基を表す。なお前記「−」で表される結合手は、左側の結合手が式(2)中の上側の結合手であってもよく、右側の結合手が式(2)中の上側の結合手であってもよい。これらのうち、アルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基が有する水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。R’’は、水素原子又は炭素原子数1〜20の1価の有機基を表す。該炭素原子数1〜20の1価の有機基はフッ素原子を有しない。R’’が複数個ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の1価の有機基を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
前記化合物(B)が、スルホン酸エステル化合物、トリアジン化合物、スルホニウム塩、ヨードニウム塩またはブロック酸化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物(C)が、メラミン化合物またはユリア化合物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
更に、下記式(3)で表される化合物(D)を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【化3】
(3)
[式中、R12は、水素原子又はメチル基を表す。R、R、R、R、R、R、R、R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の1価の有機基を表す。該炭素原子数1〜20の1価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。]
【請求項5】
さらに、溶媒を含有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項に記載の組成物を基材上に塗布することにより、膜を形成する工程と、
膜中に含有される前記高分子化合物(A)の分子同士を化合物(C)を介して架橋させる工程とを含む、膜の製造方法。
【請求項7】
請求項に記載の製造方法により製造された膜。
【請求項8】
請求項に記載の膜を、絶縁層に有する有機薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記絶縁層が、ゲート絶縁層および/またはオーバーコート層である、請求項に記載の有機薄膜トランジスタ。
【請求項10】
請求項またはに記載の有機薄膜トランジスタを有する電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物およびそれを用いた有機薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタは、従来の無機半導体材料を用いた薄膜トランジスタと比較して、低温で製造できることから、プラスチック基板に代表されるフレキシブル基板を用いることが可能である。また、有機半導体材料として高分子化合物を用いることでスピンコート法やインクジェット印刷法や反転印刷法に代表される塗布法で成膜できることから、簡易な製造プロセスが可能である。そのため、有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタの研究開発が盛んに行われている。
【0003】
有機薄膜トランジスタの1種である電界効果型有機薄膜トランジスタは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層およびゲート絶縁層を有する。
ボトムゲート型の電界効果型有機薄膜トランジスタは、有機半導体層が有機薄膜トランジスタの最上層に位置するため、有機半導体層を外気から遮断するべく、通常、オーバーコート層(保護層とも呼ばれる。)を有する。一方、トップゲート型の電界効果型有機薄膜トランジスタは、ゲート絶縁層が有機薄膜トランジスタの最上層に位置するため、通常、ゲート絶縁層がオーバーコート層としても機能する。これらのオーバーコート層は、有機薄膜トランジスタの上に形成される表示デバイスから保護するという機能も有する。
有機薄膜トランジスタのドレイン電極と、表示デバイスの電極とを接合する必要があるため、ゲート絶縁層またはオーバーコート層にビアホール(コンタクトホール、スルーホールとも呼ばれる。)を形成することにより、これらの電極が接合される。
【0004】
有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層およびオーバーコート層には、平坦性、隣接する層との密着性が要求され、誘電正接が低く、絶縁耐性が高いことが要求される。また、ボトムゲート型の電界効果型有機薄膜トランジスタは、ゲート絶縁層の上に有機半導体層を形成するため、有機半導体層を塗布法にて形成する場合、ゲート絶縁層には架橋による硬化性が要求される。
【0005】
有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層に用いる材料として、エポキシ樹脂とシランカップリング剤とを含有する組成物が知られている(特許文献1)。エポキシ樹脂を架橋により硬化させるとともに、硬化の際に発生する水酸基を、シランカップリング剤で保護することにより、上記の特性に加え、耐久性にも優れるゲート絶縁層となる。
【0006】
また、有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層に用いる材料として、ポリビニルフェノールとメラミン化合物とを含有する組成物が知られている(非特許文献1)。ポリビニルフェノールとメラミン化合物とを架橋により硬化させるとともに、硬化の際にポリビニルフェノールが有する水酸基が除去されるため、上記の特性に加え、耐久性にも優れるゲート絶縁層となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−305950
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.89,093507(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の材料でゲート絶縁層またはオーバーコート層を形成する場合、硬化温度が高いという課題があった。
【0010】
そこで、本発明は、ゲート絶縁層またはオーバーコート層を形成する際に、硬化温度が低い組成物、該組成物を用いた膜の製造方法、該製造方法で製造された膜、該膜を絶縁層に有する有機薄膜トランジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] 下記式(1)で表される繰り返し単位及び下記式(2)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物(A)と、電磁波もしくは電子線の照射、または、加熱により分解して酸を発生する化合物(B)と、酸の存在下において、2以上の水酸基と反応して前記高分子化合物(A)の分子間の架橋構造を形成し得る化合物(C)とを含有する組成物。
【化1】
(1)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。aは、0〜10の整数を表し、nは、1〜5の整数を表す。Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、または、−NHCOO−で表される基を表す。なお前記「−」で表される結合手は、左側の結合手が式(1)中の上側の結合手であってもよく、右側の結合手が式(1)中の上側の結合手であってもよい。これらのうち、アルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基が有する水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rは、酸により脱離する1価の有機基を表す。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 ]

【化2】
(2)
[式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。bは、0〜10の整数を表し、mは、1〜5の整数を表す。Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、または、−NHCOO−で表される基を表す。なお前記「−」で表される結合手は、左側の結合手が式(2)中の上側の結合手であってもよく、右側の結合手が式(2)中の上側の結合手であってもよい。これらのうち、アルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基が有する水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 R’’は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。該炭素原子数1〜20の1価の有機基はフッ素原子を有しない。R’’が複数個ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素数1〜20の1価の有機基を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。]
[2]前記高分子化合物(A)が、25℃においてアルコール溶媒に5重量%未満しか溶解しない高分子化合物である、[1]に記載の組成物。
[3]前記化合物(B)が、スルホン酸エステル化合物、トリアジン化合物、スルホニウム塩、ヨードニウム塩またはブロック酸化合物である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4]前記化合物(C)が、メラミン化合物またはユリア化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]更に、下記式(3)で表される化合物(D)を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
【化3】
(3)
[式中、R12は、水素原子又はメチル基を表す。R、R、R、R、R、R、R、R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の1価の有機基を表す。該炭素原子数1〜20の1価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。]
[6]さらに、溶媒を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7][6]に記載の組成物を基材上に塗布することにより、膜を形成する工程と、
膜中に含有される前記高分子化合物(A)の分子同士を架橋させる工程とを含む、膜の製造方法。
[8][7]に記載の製造方法により製造された膜。
[9][8]に記載の膜を、絶縁層に有する有機薄膜トランジスタ。
[10]前記絶縁層が、ゲート絶縁層および/またはオーバーコート層である、[9]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[11][9]または[10]に記載の有機薄膜トランジスタを有する電子デバイス。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低い硬化温度でゲート絶縁層またはオーバーコート層を形成することができる組成物を提供することができる。さらに本発明によれば、短い硬化時間でゲート絶縁層またはオーバーコート層を形成することができる組成物も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
図2】本発明の他の実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、必要に応じて図面を参照することにより、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
<共通する用語の説明>
以下、本明細書で共通して用いられる用語は、特記しない限り、以下の意味である。
【0016】
「高分子化合物」とは、分子量が1000以上の化合物を意味する。高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0017】
アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐アルキル基のいずれであってもよい。直鎖アルキル基の炭素原子数は、通常1〜30であり、分岐アルキル基の炭素原子数は、通常3〜30である。なお、アルキル基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。シクロアルキル基の炭素原子数は、通常3〜30である。なお、シクロアルキル基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基等の分岐アルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。シクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。置換基を有しているアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、ベンジル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロヘキシル基が挙げられる。
【0018】
アルコキシ基は、直鎖アルコキシ基、分岐アルコキシ基のいずれであってもよい。直鎖アルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜30であり、分岐アルコキシ基の炭素原子数は、通常3〜30である。なお、アルコキシ基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。シクロアルコキシ基の炭素原子数は、通常3〜30である。なお、シクロアルコキシ基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基等の直鎖アルコキシ基、イソプロピルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、2−オクチルドデシルオキシ基、2−デシルテトラデシルオキシ基等の分岐アルコキシ基が挙げられる。シクロアルコキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基が挙げられる。
アルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。シクロアルコキシ基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられる。
【0019】
アリール基は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団である。芳香族炭化水素の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは6〜20である。なお、芳香族炭化水素基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ベンゼンを含む炭化水素縮合環化合物、ベンゼンおよびベンゼンを含む炭化水素縮合環化合物からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した化合物が含まれる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、4−フェニルフェニル基が挙げられる。
アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子が挙げられ、アルキル基またはシクロアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0020】
1価の複素環基とは、複素環式化合物から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた残りの原子団である。複素環式化合物の炭素原子数は通常2〜30であり、好ましくは3〜20である。なお、1価の複素環基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。1価の複素環基は、1価の芳香族複素環基であることが好ましい。
複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。
複素環式化合物としては、単環の複素環式化合物、複素環式化合物を含む縮合環化合物、単環の複素環式化合物および複素環式化合物を含む縮合環化合物からなる群から選ばれる2個以上が直接結合した化合物が含まれる。
1価の複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子が挙げられ、アルキル基またはシクロアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
1価の複素環基としては、例えば、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−チエノチエニル基、4−(2,1,3−ベンゾチアジアゾリル)基が挙げられる。
【0021】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0022】
アルキレン基は、直鎖アルキレン基、分岐アルキレン基のいずれであってもよい。直鎖アルキレン基の炭素原子数は、通常1〜20であり、分岐アルキレン基の炭素原子数は、通常3〜20である。なお、アルキレン基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。シクロアルキレン基の炭素原子数は、通常3〜20である。なお、シクロアルキレン基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。
アルキレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、シアノ基、アルキルカルボニル基、シクロアルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、シクロアルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピルレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、ジメチルプロピレン基が挙げられる。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0023】
アリーレン基は、芳香族炭化水素から環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子2個を除いた残りの原子団である。芳香族炭化水素の炭素原子数は、通常6〜20である。なお、アリーレン基の炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含まれない。アリーレン基は置換基を有していてもよく、置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリール基、1価の複素環基、ハロゲン原子が挙げられ、アルキル基またはシクロアルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、フェニレンメチレン基、フェニレンジメチレン基、フェニレントリメチレン基、フェニレンテトラメチレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、トリメチルナフチレン基、ビニルナフチレン基、エテニルナフチレン基、メチルアンスリレン基、エチルアンスリレン基が挙げられる。
【0024】
<組成物>
本発明の組成物は、高分子化合物(A)と、電磁波もしくは電子線の照射、または、加熱により分解して酸を発生する化合物(B)と、酸の存在下において、2以上の水酸基と反応して前記高分子化合物(A)の分子間の架橋構造を形成し得る化合物(C)とを含有する。
【0025】
<高分子化合物(A)>
高分子化合物(A)は、下記式(1)および下記式(2)で表される繰り返し単位を含む。
【0026】
【化4】
(1)
【0027】
【化5】

(2)
式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Rは水素原子であることが好ましい。
【0028】
式(1)中、aは、0〜10の整数を表す。aは、0であることが好ましい。
【0029】
式(1)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、または、−NHCOO−で表される基を表す。なお前記「−」で表される結合手は、左側の結合手が式(1)中の上側の結合手であってもよく、右側の結合手が式(1)中の上側の結合手であってもよい。これらのうち、アルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基が有する水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基またはアリーレン基であることが好ましく、アルキレン基またはアリーレン基であることがより好ましい。
【0030】
で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピルレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、ジメチルプロピレン基が挙げられる。
で表されるシクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0031】
で表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、フェニレンメチレン基、フェニレンジメチレン基、フェニレントリメチレン基、フェニレンテトラメチレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、トリメチルナフチレン基、ビニルナフチレン基、エテニルナフチレン基、メチルアンスリレン基、エチルアンスリレン基が挙げられ、本発明の組成物を用いて得られるゲート絶縁層またはオーバーコート層の誘電正接が優れるので、フェニレン基であることが好ましい。
【0032】
式(1)中、nは、1〜5の整数を表す。nは、1であることが好ましい。
【0033】
式(1)中、Rは、酸により酸素原子から脱離する1価の有機基を表す。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。 −ORで表される基に対して酸が作用した場合、Rが酸素原子から脱離して、−OH基で表される基が生成する。
【0034】
Rで表される酸により酸素原子から脱離する1価の有機基としては、例えば、ヒドロフラニル基、ヒドロピラニル基、1位の炭素原子にアルコキシ基を置換基として有するアルキル基、1位の炭素原子にシクロアルコキシ基を置換基として有するアルキル基、および、1位の炭素原子にアルコキシ基を置換基として有するシクロアルキル基および1位の炭素原子にシクロアルコキシ基を置換基として有するシクロアルキル基が挙げられ、これらの基は置換基を有していてもよい。
【0035】
Rで表されるヒドロフラニル基とは、ジヒドロフランまたはテトラヒドロフランの環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を意味し、ヒドロフラニル基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、水酸基が挙げられる。
ヒドロフラニル基としては、例えば、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基が挙げられる。
【0036】
Rで表されるヒドロピラニル基とは、ジヒドロピランまたはテトラヒドロピランの環を構成する炭素原子に直接結合する水素原子1個を除いた基を意味し、ヒドロフラニル基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、水酸基が挙げられる。
ヒドロピラニル基としては、例えば、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、4−メトキシテトラヒドロピラニル基が挙げられる。
【0037】
Rで表されるヒドロフラニル基およびヒドロピラニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アルキル基およびシクロアルキル基が挙げられる。
【0038】
Rで表される、1位の炭素原子にアルコキシ基を置換基として有するアルキル基としては、例えば、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、1−エトキシプロピル基が挙げられる。
【0039】
Rで表される、1位の炭素原子にアルコキシ基を置換基として有するアルキル基、1位の炭素原子にシクロアルコキシ基を置換基として有するアルキル基、1位の炭素原子にアルコキシ基を置換基として有するシクロアルキル基および1位の炭素原子にシクロアルコキシ基を置換基として有するシクロアルキル基が更に有していてもよい置換基としては、例えば、エチル基、プロピル基が挙げられる。
【0040】
Rは、1−エトキシエチル基であることが好ましい。
【0041】
式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Rはメチル基であることが好ましい。
【0042】
式(2)中、bは、0〜10の整数を表す。bは、0であることが好ましい。
【0043】
式(2)中、Rは、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、−CO−で表される基、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、または、−NHCOO−で表される基を表す。なお前記「−」で表される結合手は、左側の結合手が式(2)中の上側の結合手であってもよく、右側の結合手が式(2)中の上側の結合手であってもよい。これらのうち、アルキレン基、シクロアルキレン基およびアリーレン基が有する水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。Rが複数ある場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rは、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、アルキレン基またはアリーレン基であることが好ましく、−COO−で表される基、−NHCO−で表される基、またはアルキレン基であることがより好ましい。
【0044】
で表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピルレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、ジメチルプロピレン基が挙げられる。
【0045】
で表されるシクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が挙げられる。
【0046】
で表されるアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アンスリレン基、ジメチルフェニレン基、トリメチルフェニレン基、フェニレンメチレン基、フェニレンジメチレン基、フェニレントリメチレン基、フェニレンテトラメチレン基、メチルナフチレン基、ジメチルナフチレン基、トリメチルナフチレン基、ビニルナフチレン基、エテニルナフチレン基、メチルアンスリレン基、エチルアンスリレン基が挙げられる。
【0047】
R’’は、水素原子又は炭素原子数1〜20の1価の有機基を表す。R’’が複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。ある一態様では、R’’は水素原子である。
R’’が炭素原子数1〜20の1価の有機基である場合、該炭素原子数1〜20の1価の有機基はフッ素原子を有しない。該炭素原子数1〜20の1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、トリル基、キシリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、トリメチルナフチル基、ビニルナフチル基、エテニルナフチル基、メチルアンスリル基、エチルアンスリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基などが挙げられる。
【0048】
式(2)中、mは、1〜5の整数を表す。mは、5であることが好ましい。
【0049】
Rfは、フッ素原子又はフッ素原子を有する炭素原子数1〜20の1価の有機基を表す。Rfが複数個ある場合、それらは同一でも相異なっていてもよい。Rfとしては、フッ素原子であることが好ましい。Rfで表されるフッ素原子を有する炭素原子数1〜20の1価の有機基の具体例としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、トリフルオロブチル基、ペンタフルオロブチル基、トリフルオロペンチル基、ペンタフルオロペンチル基、ヘプタフルオロペンチル基、ペンタフルオロフェニル基およびトリフルオロメチルフェニル基が挙げられる。
【0050】
高分子化合物(A)は、25℃においてアルコール溶媒に5重量%未満しか溶解しない高分子化合物であることが好ましい。アルコール溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、シクロペンタノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ペンタフルオロ−1−ペンタノール、オクタフルオロ−1−ペンタノールが挙げられる。
【0051】
高分子化合物(A)は、例えば、式(1)で表される基を有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと式(2)で表される繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを、光重合開始剤または熱重合開始剤の存在下において、共重合させることにより製造することができる。
【0052】
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、メチル(o−ベンゾイル)ベンゾエート、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインオクチルエーテル、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ジアセチル等のカルボニル化合物;メチルアントラキノン、クロロアントラキノン、クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のアントラキノン誘導体およびチオキサントン誘導体;ジフェニルジスルフィド、ジチオカーバメート等の硫黄化合物が挙げられる。
【0053】
共重合を開始させるエネルギーとして光エネルギーを用いる場合、重合性モノマーに照射する光の波長は、通常、360nm以上であり、好ましくは、360nm以上450nm以下である。
【0054】
熱重合開始剤としては、ラジカル重合の開始剤となる化合物であればよく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩等のアゾ系化合物;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、シクロヘキサノンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド等のケトンパーオキシド化合物;イソブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、オルト−メチルベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、パラ−クロロベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド化合物;2,4,4−トリメチルペンチル−2−ヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド化合物;ジクミルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、トリス(tert−ブチルパーオキシ)トリアジン等のジアルキルパーオキシド化合物;1,1−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、ジ−tert−ブチルパーオキシアゼレート、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキシトリメチルアジペート等のアルキルパーエステル化合物;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシカーボネート化合物が挙げられる。
【0055】
式(1)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、例えば、4−(1−エトキエトキシ)スチレン、4−(2−ピラニルオキシ)スチレン、4−(2−エチル−2−アダマンチルオキシ)スチレンが挙げられる。
【0056】
式(2)で表される繰り返し単位の原料となるモノマーとしては、例えば、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2−トリフルオロメチルスチレン、3−トリフルオロメチルスチレン、4−トリフルオロメチルスチレン、ビニル−4−トリフルオロメチルフェニルエーテル、ビニル−2−トリフルオロメチルベンゾエート、ビニル−3−トリフルオロメチルベンゾエート、ビニル−4−トリフルオロメチルベンゾエートが挙げられる。
【0057】
高分子化合物(A)は、式(1)で表される基を有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーおよび式(2)で表される基を有する繰り返し単位の原料となる重合性モノマーと、他の繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとを、共重合させることにより製造してもよい。
【0058】
他の繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステルおよびその誘導体、メタアクリル酸エステルおよびその誘導体、スチレンおよびその誘導体、有機カルボン酸のビニルエステルおよびその誘導体、有機カルボン酸のアリルエステルおよびその誘導体、フマル酸のジアルキルエステルおよびその誘導体、マレイン酸のジアルキルエステルおよびその誘導体、イタコン酸のジアルキルエステルおよびその誘導体、有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体、末端不飽和炭化水素およびその誘導体、不飽和炭化水素基を含む有機ゲルマニウム誘導体、ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンおよびその誘導体が挙げられる。
【0059】
他の繰り返し単位の原料となる重合性モノマーの種類は、ゲート絶縁層またはオーバーコート層に要求される特性に応じて適宜選択される。溶媒に対する耐久性が優れ、有機薄膜トランジスタのヒステリシスが小さくなるため、スチレンおよびその誘導体のような分子の密度が高く、硬い膜を形成する重合性モノマーが選択される。また、ゲート電極や隣接する層との密着性が優れるため、メタアクリル酸エステルおよびその誘導体、アクリル酸エステルおよびその誘導体のような可塑性を付与する重合性モノマーが選択される。
【0060】
アクリル酸エステルおよびその誘導体は、単官能のアクリレートであっても、多官能のアクリレートであってもよい。アクリル酸エステルおよびその誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、アクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、アクリル酸−グリシジル、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
【0061】
メタアクリル酸エステルおよびその誘導体は、単官能のメタアクリレートであってもよく、多官能のメタアクリレートであってもよい。メタアクリル酸エステルおよびその誘導体としては、例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸−n−プロピル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−sec−ブチル、メタアクリル酸ヘキシル、メタアクリル酸オクチル、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル、メタアクリル酸デシル、メタアクリル酸イソボルニル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ベンジル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、メタアクリル酸−グリシジル、エチレングリコールジメタアクリレート、プロピレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、トリメチロールプロパンジメタアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、ペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタアクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチルメタアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチルメタアクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピルメタアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタアクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタアクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニルメタアクリレート、1H−1−(トリフルオロメチル)トリフルオロエチルメタアクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタアクリレート、N,N−ジメチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルメタアクリルアミド、N−アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
【0062】
スチレンおよびその誘導体としては、例えば、スチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2,4,5−トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニル−p−ターフェニル、1−ビニルアントラセン、α−メチルスチレン、o−イソプロペニルトルエン、m−イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,5−ジメチル−α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロピルベンゼン、4−アミノスチレンが挙げられる。
【0063】
有機カルボン酸のビニルエステルおよびその誘導体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニルが挙げられる。
【0064】
有機カルボン酸のアリルエステルおよびその誘導体としては、例えば、酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリルが挙げられる。
【0065】
フマル酸のジアルキルエステルおよびその誘導体としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジベンジルが挙げられる。
【0066】
マレイン酸のジアルキルエステルおよびその誘導体としては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−sec−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジベンジルが挙げられる。
【0067】
イタコン酸のジアルキルエステルおよびその誘導体としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル、イタコン酸ジ−sec−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジベンジルが挙げられる。
【0068】
有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体としては、例えば、N−メチル−N−ビニルアセトアミドが挙げられる。
【0069】
末端不飽和炭化水素およびその誘導体としては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、アリルアルコールが挙げられる。
【0070】
不飽和炭化水素基を含む有機ゲルマニウム誘導体としては、例えば、アリルトリメチルゲルマニウム、アリルトリエチルゲルマニウム、アリルトリブチルゲルマニウム、トリメチルビニルゲルマニウム、トリエチルビニルゲルマニウムが挙げられる。
【0071】
ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンおよびその誘導体としては、例えば、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンが挙げられる。
【0072】
他の繰り返し単位の原料となる重合性モノマーとしては、アクリル酸アルキルエステル、メタアクリル酸アルキルエステル、スチレン、4−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アリルトリメチルゲルマニウムまたは4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オンであることが好ましい。
【0073】
高分子化合物(A)に含まれる式(1)で表される基を有する繰り返し単位は、高分子化合物(A)に含まれる全繰り返し単位に対して、好ましくは10モル%以上80モル%以下であり、より好ましくは20モル%以上60モル%以下である。
高分子化合物(A)に含まれる式(2)で表される基を有する繰り返し単位は、高分子化合物(A)に含まれる全繰り返し単位に対して、好ましくは5モル%以上80モル%以下であり、より好ましくは10モル%以上80モル%以下である。
【0074】
高分子化合物(A)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、3000〜1000000であることが好ましく、5000〜500000であることがより好ましい。
【0075】
高分子化合物(A)としては、例えば、
ポリ[4−(1−エトキエトキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン]、ポリ[4−(1−エトキエトキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン−co−スチレン]、ポリ[4−(1−エトキエトキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン−co−メチル−メタクリレート]、
ポリ[4−(2−ピラニルオキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン]、ポリ[4−(2−ピラニルオキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン−co−スチレン]、ポリ[4−(2−ピラニルオキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン−co−メチル−メタクリレート]、
ポリ[4−(2−エチル−2−アダマンチルオキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン]、ポリ[4−(2−エチル−2−アダマンチルオキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン−co−スチレン]、ポリ[4−(2−エチル−2−アダマンチルオキシ)スチレン−co−2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン−co−メチル−メタクリレート]、
が挙げられる。
【0076】
本発明の組成物に含まれる高分子化合物(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0077】
<化合物(B)>
化合物(B)は、電磁波もしくは電子線の照射、または、加熱により分解して酸を発生する化合物であり、いわゆる酸発生剤と呼ばれることもある化合物である。
【0078】
電磁波としては、例えば、赤外線、可視光線、紫外線が挙げられ、好ましくは紫外線である。電磁波の波長は、好ましくは450nm以下であり、より好ましくは200nm以上410nm以下である。
【0079】
化合物(B)が加熱により分解して酸を発生する化合物である場合、酸を発生する温度は、通常200℃以下であり、好ましくは100℃以上200℃以下であり、より好ましくは120℃以上200℃以下である。
【0080】
化合物(B)としては、例えば、スルホン酸エステル化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ブロック酸化合物が挙げられる。
【0081】
スルホン酸エステル化合物としては、フッ素化アルキルスルホン酸エステル化合物またはトルエンスルホン酸エステル化合物が好ましい。
【0082】
フッ素化アルキルスルホン酸エステル化合物としては、例えば、N-ヒドロキシナフタルイミドトリフレート、N-ヒドロキシナフタルイミドパーフルオロブチルトリフレート、N-ヒドロキシフタルイミドトリフレート、N-ヒドロキシフタルイミドパーフルオロブチルトリフレートが挙げられる。
【0083】
トルエンスルホン酸エステル化合物としては、例えば、α−(p−トルエンスルホニルオキシメチル)ベンゾイン、α−(p−トルエンスルホニルオキシ)−o−ニトロトルエン、α−(p−トルエンスルホニルオキシ)−p−ニトロトルエンが挙げられる。
【0084】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−メチル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3’,4’−ジメトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。
【0085】
ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリルキュミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0086】
スルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ(4−メチルフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。
【0087】
ブロック酸化合物とは、有機カルボン酸、有機スルホン酸、有機燐酸をアミン化合物やエーテル化合物で保護した化合物であり、例えば、p−トルエンスルホン酸のアミン塩、p−トルエンスルホン酸の4級アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のアミン塩、トリフルオロメタンスルホン酸の4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0088】
化合物(B)は、特開平9−118663号公報に記載のスルホニウム塩、特開2007−262401号公報に記載のオニウムフッ素化アルキルフルオロリン酸塩であってもよい。
【0089】
また、化合物(B)は、電磁波または電子線の照射により分解し、かつ、加熱により分解して酸を発生する化合物であって、酸を発生する温度が200℃以上の化合物であってもよい。その場合、加熱により分解して酸を発生する温度が200℃以下の化合物(B)と併用することが好ましい。
【0090】
本発明の組成物に含まれる化合物(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0091】
<化合物(C)>
化合物(C)は、酸の存在下において、2以上の高分子化合物(A)中の水酸基と反応して、高分子化合物(A)の分子間の架橋構造を形成し得る化合物である。
【0092】
化合物(C)としては、例えば、メラミン化合物、ユリア化合物が挙げられる。
【0093】
メラミン化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)メチル化物、ポリ(メラミン−co−ホルムアルデヒド)メチル化物が挙げられる。
【0094】
ユリア化合物としては、例えば、テトラメトキシメチルグリコルユリア、テトラエトキシメチルグリコルユリアが挙げられる。
【0095】
本発明の組成物に含まれる化合物(C)は、1種のみであってもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0096】
<化合物(D)>
本発明の組成物は、更に、下記式(3)で表される化合物(D)を含んでいてもよい。

【化6】
(3)
式(3)中、R12は、水素原子又はメチル基を表す。R12は、メチル基であることが好ましい。式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20の1価の有機基を表す。該炭素原子数1〜20の1価の有機基中の水素原子は、フッ素原子で置換されていてもよい。R、R、R、R、R、R、R、R10、R11は、水素原子であることが好ましい。該炭素原子数1〜20の1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチニル基、シクロヘキシニル基、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、トリル基、キシリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、メチルナフチル基、ジメチルナフチル基、トリメチルナフチル基、ビニルナフチル基、エテニルナフチル基、メチルアンスリル基、エチルアンスリル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロプロピル基などが挙げられる。
【0097】
本発明に用いられる化合物(D)としては、例えば、4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2´−メチル−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、3´−メチル−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、4´−メチル−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0098】
本発明の組成物により形成される絶縁層の絶縁耐圧を高くする観点から、化合物(D)が含まれていることが好ましい。本発明の組成物に更に化合物(D)が含まれる場合、化合物(D)は、1種のみであってもよいし、2種以上含まれていてもよい。
【0099】
本発明の組成物に含まれる化合物(B)の重量部は、高分子化合物(A)100重量部に対して、0.1重量部から10重量部であることが好ましく、0.5重量部から5重量部であることがより好ましい。
【0100】
本発明の組成物に含まれる化合物(C)は、高分子化合物(A)100重量部に対して、0.1重量部から100重量部であることが好ましく、1重量部から80重量部であることがより好ましい。
【0101】
また、本発明の組成物に含まれる化合物(C)は、高分子化合物(A)に化合物(B)を作用させることによりRが脱離して生成する全ての水酸基に対して、0.5当量から3当量であることが好ましく、0.7当量から2当量であることがより好ましい。
【0102】
本発明の組成物に更に化合物(D)が含まれる場合、化合物(D)の重量部は、高分子化合物(A)100重量部に対して、0.1重量部から50重量部であることが好ましく、1重量部から30重量部であることがより好ましい。
【0103】
<溶媒を含有する組成物>
本発明の組成物は、溶媒、添加剤等をさらに含有していてもよい。
溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒;ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素溶媒;ペンテン等の不飽和炭化水素溶媒;キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;アセトン等のケトン溶媒;ブチルアセテート等のアセテート溶媒;クロロホルム等のハロゲン溶媒が挙げられ、これらの溶媒を混合したものでもよい。
添加剤としては、例えば、増感剤、レべリング剤、粘度調節剤が挙げられる。
本発明の組成物は、溶媒、添加剤を含有する場合、固形分濃度は、通常、5〜40wt%である。
【0104】
本発明の組成物は、有機薄膜トランジスタの絶縁層の形成に有用である。有機薄膜トランジスタの絶縁層の中でも、ゲート絶縁層および/またはオーバーコート層の形成に用いられることが好ましく、ゲート絶縁層の形成に用いられることがより好ましい。
【0105】
<有機薄膜トランジスタ>
図1は、本発明の一実施形態であるボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上に形成された有機半導体層4と、有機半導体層4上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、素子全体を覆うオーバーコート層7とが、備えられている。
【0106】
ボトムゲートトップコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に有機半導体層を形成し、有機半導体層上にソース電極およびドレイン電極を形成し、最後にオーバーコート層を形成することで製造することができる。本発明の組成物は、ゲート絶縁層を形成するのに好適に用いることができる。また、本発明の組成物は、オーバーコート層を形成するのにも好適に用いることができる。
【0107】
図2は、本発明の一実施形態であるボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの構造を示す模式断面図である。この有機薄膜トランジスタには、基板1と、基板1上に形成されたゲート電極2と、ゲート電極2上に形成されたゲート絶縁層3と、ゲート絶縁層3上にチャネル部を挟んで形成されたソース電極5およびドレイン電極6と、ソース電極5およびドレイン電極6上に形成された有機半導体層4と、素子全体を覆うオーバーコート層7とが、備えられている。
【0108】
ボトムゲートボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタは、例えば、基板上にゲート電極を形成し、ゲート電極上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上にソース電極およびドレイン電極を形成し、ソース電極およびドレイン電極の上に有機半導体層を形成し、最後にオーバーコート層を形成することで製造することができる。本発明の組成物は、ゲート絶縁層を形成するのに好適に用いることができる。また、本発明の組成物は、オーバーコート層を形成するのにも好適に用いることができる。
【0109】
<膜の製造方法>
有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層および/またはオーバーコート層の形成は、例えば、
高分子化合物(A)と化合物(B)と化合物(C)と溶媒とを含有する本発明の組成物(以下、絶縁層塗布液ともいう。)を調製し、絶縁層塗布液を基材上に塗布し、必要に応じて乾燥することにより、膜を形成する工程と、
加熱等により化合物(B)を分解し、更に加熱することで該膜中に含有される高分子化合物(A)の分子同士をと化合物(C)を介して架橋させる工程とにより行うことができる。加熱以外の化合物(B)の分解手段としては、電磁波または電子線の照射が挙げられる。
【0110】
塗布膜に電磁波または電子線を照射することにより、化合物(B)が分解して酸を発生し、高分子化合物(A)中のR(酸により酸素原子から脱離する1価の有機基)が酸素原子から脱離し、水酸基が生成する。脱離反応を加熱によって促進してもよい。または、塗布膜を化合物(B)の熱分解温度以上の温度に加熱することで、化合物(B)が熱分解して酸を発生し、前記同様に水酸基が生成する。
【0111】
その後、塗布膜を加熱することにより、化合物(B)の分解により発生した酸の存在下において、生成した高分子化合物(A)中の水酸基と化合物(C)が反応し、2以上の高分子化合物(A)の分子が化合物(C)を介して、架橋された構造が形成される。
【0112】
本発明の組成物には、更に、化合物(D)を添加することが出来る。化合物(D)を添加することにより、化合物(B)の光による分解が促進され、また、膜中に新たな疎水的な高分子構造が形成されるため、リーク電流が減少し、絶縁耐圧がより向上する。
【0113】
ここで、「基材」とは、その上に絶縁層が形成されることになる有機薄膜トランジスタの構成部材をいう。基材の最上層には、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層の少なくとも1つが形成されている。
【0114】
絶縁層塗布液は、スピンコート法、ダイコーター法、反転印刷法、インクジェット印刷法等の公知の塗布法により基材上に塗布することができ、必要に応じて乾燥させる。乾燥により、塗布された樹脂組成物に含有される溶媒を除去することができる。
【0115】
照射する電磁波の波長は、好ましくは450nm以下であり、より好ましくは200nm以上410nm以下である。電磁波としては、紫外線が好ましい。
【0116】
紫外線の照射は、例えば、半導体の製造のために使用されている露光装置やUV硬化性樹脂を硬化させるために使用されているUVランプを用いて行うことができる。電子線の照射は、例えば、超小型電子線照射管を用いて行うことができる。
【0117】
加熱はホットプレートおよびオーブンなどを用いて行うことができる。
【0118】
塗布膜を加熱する場合は、熱分解により酸を発生する化合物(B)の熱分解温度以上の温度で、通常、5分以上120分以下で加熱するが、好ましくは10分以上60分以下で加熱することが好ましい。形成される絶縁層の架橋性および絶縁性が優れるため、パターニングされた膜の加熱温度は、好ましくは80℃以上250℃以下であり、より好ましくは100℃以上230℃以下である。
【0119】
有機薄膜トランジスタのゲート絶縁層上には、自己組織化単分子膜層を形成してもよい。自己組織化単分子膜層は、例えば、溶媒中にアルキルクロロシラン化合物またはアルキルアルコキシシラン化合物を1〜10重量%溶解した溶液を用いて、ゲート絶縁層を処理することにより形成することができる。
【0120】
アルキルクロロシラン化合物としては、例えば、メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシランが挙げられる。
【0121】
アルキルアルコキシシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランが挙げられる。
【0122】
基板1、ゲート電極2、ソース電極5、ドレイン電極6および有機半導体層4は、通常使用される材料および方法で構成すればよい。基板の材料には、樹脂やプラスチックの板やフィルム、ガラス板、シリコン板などが用いられる。電極の材料には、クロム、金、銀、アルミニウム、モリブデン等を用い、蒸着法、スパッタ法、印刷法、インクジェット法等の公知の方法で電極を形成する。
【0123】
有機半導体層4を形成するための有機半導体化合物としてはπ共役ポリマーが用いられ、例えば、ポリピロール系ポリマー、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマー、ポリアリルアミン系ポリマー、フルオレン系ポリマー、ポリカルバゾール系ポリマー、ポリインドール系ポリマー、ポリ(P−フェニレンビニレン)系ポリマーを用いることができる。
また、有機半導体層4を形成するための有機半導体化合物としては溶媒への溶解性を有する低分子化合物も用いられ、例えば、ペンタセン等の多環芳香族の誘導体、フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、テトラチアフルバレン誘導体、テトラシアノキノジメタン誘導体、フラーレン化合物、カーボンナノチューブ化合物を用いることができる。具体的には、例えば、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジ(エチレンボロネート)と、2,6−ジブロモ−(4,4−ビス−ヘキサデカニル−4H−シクロペンタ[2,1−b;3,4−b’]−ジチオフェンとの縮合化合物、9,9−ジ−n−オクチルフルオレン−2,7−ジ(エチレンボロネート)と、5,5’−ジブロモ−2,2’−バイチオフェンとの縮合化合物があげられる。
【0124】
有機半導体層の形成は、例えば、有機半導体化合物を溶媒に溶解させて有機半導体塗布液を調製し、有機半導体塗布液をゲート絶縁層上に塗布し、必要に応じて乾燥させることにより行う。
【0125】
有機半導体塗布液に使用される溶媒としては、有機半導体化合物を溶解または分散させるものであれば特に制限は無いが、好ましくは、常圧での沸点が50℃以上200℃以下の溶媒である。溶媒としては、例えば、クロロホルム、トルエン、アニソール、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。有機半導体塗布液は、絶縁層塗布液と同様に、スピンコート法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等の公知の方法により、ゲート絶縁層上に塗布することができる。
【0126】
本発明の有機薄膜トランジスタは、有機半導体層を保護し、また、表面の平滑性を高める目的で、オーバーコート層を有していてもよい。オーバーコート層は、本発明の組成物から形成される層であってもよい。
【0127】
本発明の組成物から形成される絶縁層は、その上に平坦な膜等を積層することができ、積層構造を容易に形成することができる。例えば、絶縁層上に、有機エレクトロルミネッセンス素子を好適に搭載することができる。
【0128】
本発明の有機薄膜トランジスタは、電子デバイスに好適に用いることが出来る。電子デバイスとしては、例えば、RFIDタグ、電子ペーパー、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、センサー等が挙げられる。
【実施例】
【0129】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0130】
合成例1
(高分子化合物1の合成)
125ml耐圧容器(エース製)に、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン(東ソー有機化学(株)製)を18.46g、スチレン(純正化学(株)製)を5.00g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)を18.66g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)を0.21g、2−ヘプタノン(東京化成工業(株)製)を63.50g加えた後、溶存酸素を取り除くためにアルゴンガスでバブリングし、密栓した。耐圧容器を60℃のオイルバス中に浸け、17時間反応されることにより、高分子化合物1が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物1は、下記の繰り返し単位を含む高分子化合物である。括弧の添え数字は繰り返し単位のモル分率を示している。
【0131】
【化7】

高分子化合物1
【0132】
合成例2
スチレン(和光純薬製)2.06g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)2.43g、2−〔O−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ〕エチル−メタクリレート(昭和電工製、商品名「カレンズMOI−BM」)1.00g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.06g、2−ヘプタノン(和光純薬製)14.06gを、50ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物2が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。高分子化合物2の化学構造は次の通りである。
【0133】
【化8】
高分子化合物2

合成例3
4−アミノスチレン(アルドリッチ製)3.50g、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン(アルドリッチ製)13.32g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.08g、2−ヘプタノン(和光純薬製)25.36gを、125ml耐圧容器(エース製)に入れ、窒素をバブリングした後、密栓し、60℃のオイルバス中で48時間重合させて、高分子化合物3が溶解している粘稠な2−ヘプタノン溶液を得た。
高分子化合物3の化学構造は次の通りである。
【0134】
【化9】
高分子化合物3
【0135】
合成例4
内部を窒素置換した誘導攪拌式攪拌羽、500ml平衡型滴下ロート、ジムロート、3方コックを取り付けた1L4つ口丸底フラスコにメタクリロイルクロライド(東京化成工業製)53.79gとテトラヒドロフラン(和光純薬製)300mlを入れた。攪拌羽で攪拌しながら滴下ロートに入れた4´−ヒドロキシベンゾフェノン(和光純薬製)85g、トリエチルアミン(和光純薬製)64.97g、テトラヒドロフラン200mlの混合溶液を室温でゆっくり2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で更に12時間反応させた。反応終了後、生成したトリエチルアミン塩酸塩をろ別し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粘調物にジエチルエーテル200mlを加え、不溶物をろ別し、ジエチルエーテル溶液を分液ロートに移した。ジエチルエーテル溶液を希塩酸で2回、炭酸カリウム水溶液で2回洗浄した後、水層が中性になるまでイオン交換水で洗浄し、ジエチルエーテル層を分液した。ジエチルエーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。塩をろ別後、ジエチルエーテル溶液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、化合物4を乳白色ワックス状物として得た。得量93.65g
【0136】
【化10】
化合物4
【0137】
実施例1
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料およびMIM素子の製造)
10mlのサンプル瓶に、合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液を10.00g、光酸発生剤である下記式で表される化合物(みどり化学製「MBZ−101」)を0.06g、ヘキサメトキシメチルメラミン(三和化学製「MW−390」)を0.59g、2−ヘプタノンを20.37g加え、攪拌しながら溶解させることで、塗布溶液1を調製した。
【0138】
【化11】
MBZ−101
【0139】
実施例1−1
<絶縁層の形成>
得られた塗布溶液1を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、クロム電極の付いたガラス基板上にスピンコートした。その後、ホットプレート上で90℃、1分間乾燥させることで、塗布層を形成した。その後、アライナー(CANON(株)製、PLA−521)を用いて、3200mJ/cmのUV光(波長365nm)を塗布層に照射した。その後、ホットプレート上で90℃、1分間ポストベークすることで塗布層を硬化させ、ゲート絶縁層を得た。表1に絶縁層形成時の硬化温度と硬化時間を示す。
【0140】
得られたゲート絶縁層上に、メタルマスクを用いて蒸着によりアルミ電極を形成することで、MIM(Metal Insulator Metal)素子を作製した。
【0141】
実施例1−2
<MIM素子の電気特性の評価>
作製したMIM素子の誘電正接および絶縁耐圧を、真空プロ−バ(Nagase Electronic Equipments Service Co., LTD製、BCT22MDC−5−HT−SCU;)を用いて測定した。ここで、絶縁耐圧は、電極間に電界をかけて、リーク電流が1X10-6A/cm2となる電解強度により評価した。表2に結果を示す。
【0142】
実施例2
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料およびMIM素子の製造)
10mlのサンプル瓶に、合成例1で得た高分子化合物1の2−ヘプタノン溶液を10.00g、光酸発生剤である上記式で表される化合物(みどり化学製「MBZ−101」)を0.06g、ヘキサメトキシメチルメラミン(三和化学製「MW−390」)を0.59g、合成例4で得た化合物4を0.40g、2−ヘプタノンを22.60g加え、攪拌しながら溶解させることで、塗布溶液2を調製した。
【0143】
実施例2−1
<絶縁層の形成>
得られた塗布溶液2を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、クロム電極の付いたガラス基板上にスピンコートした。その後、ホットプレート上で90℃、1分間乾燥させることで、塗布層を形成した。その後、アライナー(CANON(株)製、PLA−521)を用いて、3200mJ/cmのUV光(波長365nm)を塗布層に照射した。その後、ホットプレート上で90℃、1分間ポストベークすることで塗布層を硬化させ、ゲート絶縁層を得た。表1に絶縁層形成時の硬化温度と硬化時間を示す。
【0144】
得られたゲート絶縁層上に、メタルマスクを用いて蒸着によりアルミ電極を形成することで、MIM(Metal Insulator Metal)素子を作製した。
【0145】
実施例2−2
<MIM素子の電気特性の評価>
作製したMIM素子の誘電正接および絶縁耐圧を、真空プロ−バ(Nagase Electronic Equipments Service Co., LTD製、BCT22MDC−5−HT−SCU;)を用いて測定した。ここで、絶縁耐圧は、電極間に電界をかけて、リーク電流が1X10-6A/cm2となる電解強度により評価した。表2に結果を示す。
【0146】
比較例1
(有機薄膜トランジスタ絶縁層材料およびMIM素子の製造)
200mlのサンプル瓶に、合成例2で得た高分子化合物2の2−ヘプタノン溶液を21.31g、合成例3で得た高分子化合物3の2−ヘプタノン溶液を12.64g、2−ヘプタノンを73.08g加え、攪拌しながら溶解させることで、塗布溶液3を調製した。
【0147】
比較例1−1
<絶縁層の形成>
得られた塗布溶液3を、孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した後、クロム電極の付いたガラス基板上にスピンコートした。その後、ホットプレート上で90℃、1分間乾燥させることで、塗布層を形成した。その後、窒素中、ホットプレート上で200℃、30分間ポストベークすることで塗布層を硬化させ、ゲート絶縁層を得た。表1に絶縁層形成時の硬化温度と硬化時間を示す。
【0148】
【表1】
【0149】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の組成物を用いることにより、低い硬化温度で、ゲート絶縁層またはオーバーコート層を形成することができる。また、本発明の組成物を用いることにより、短い硬化時間で、ゲート絶縁層またはオーバーコート層を形成することもできる。また、本発明の組成物により形成されるゲート絶縁層またはオーバーコート層は、良好な誘電正接および絶縁耐圧を示す。
【符号の説明】
【0151】
1…基板、
2…ゲート電極、
3…ゲート絶縁層、
4…有機半導体層、
5…ソース電極、
6…ドレイン電極、
7…オーバーコート層。
図1
図2