特許第6405786号(P6405786)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6405786
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】貼合方法及び貼合装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20181004BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20181004BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20181004BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   G09F9/00 342
   G02F1/13 101
   G02F1/1333
   C09J5/00
   G09F9/00 302
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-165390(P2014-165390)
(22)【出願日】2014年8月15日
(65)【公開番号】特開2016-42120(P2016-42120A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2017年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】植松 利之
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/070495(WO,A1)
【文献】 特開2013−228419(JP,A)
【文献】 特開2013−080046(JP,A)
【文献】 特開2011−053503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00
C09J 5/00
G02F 1/13
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置を被貼合物に粘着剤又は接着剤を介して貼り合わせる貼合方法であって、
一定の曲率半径で湾曲する、厚さが50mm以下である湾曲プレートの外周面に前記表示装置を吸着させる吸着工程と、
前記表示装置が前記被貼合物に対向するように前記湾曲プレートを配置し、前記湾曲プレートを周方向における一端から他端に向かって前記被貼合物に押圧して前記表示装置を前記被貼合物に粘着剤又は接着剤を介して貼り合わせる貼合工程と、を有する
ことを特徴とする貼合方法。
【請求項2】
前記吸着工程は、前記湾曲プレートの周方向において異なる位置に設けられている複数の吸引孔から吸引することで前記表示装置を前記湾曲プレートの外周面に吸着させ、前記貼合工程において前記表示装置が前記被貼合物に貼り合わされた領域では、前記吸引孔からの吸引を停止して前記表示装置を前記湾曲プレートから解放する
ことを特徴とする請求項1に記載の貼合方法。
【請求項3】
前記貼合工程は、
前記湾曲プレートの周方向における一端と前記被貼合物との間に間隙を形成する第1スペーサにより、貼合開始位置において前記表示装置の貼合面と前記被貼合物の表面とを略平行に保つ貼合開始工程と、
前記湾曲プレートを前記被貼合物に押圧し、前記表示装置を前記被貼合物に貼り合わせる貼合実施工程と、
前記湾曲プレートの周方向における他端と前記被貼合物との間に間隙を形成する第2スペーサにより、貼合完了位置において前記表示装置の貼合面と前記被貼合物の表面とを略平行に保つ貼合完了工程と、を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の貼合方法。
【請求項4】
前記表示装置を吸着した前記湾曲プレートの周方向における一端を位置決め部材に突き当てて位置決めする位置決め工程を有する
ことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の貼合方法。
【請求項5】
前記貼合工程は、前記湾曲プレートの内周面に当接して回転するローラによって前記湾曲プレートを押圧することで前記表示装置を前記被貼合物に貼り合わせる
ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の貼合方法。
【請求項6】
表示装置を被貼合物に貼り合わせる貼合装置であって、
一定の曲率半径で湾曲し、外周面に前記表示装置を吸着する、厚さが50mm以下である湾曲プレートと、
前記表示装置が前記被貼合物に対向するように配置された前記湾曲プレートを、周方向における一端から他端に向かって前記被貼合物に押圧し、前記表示装置を前記被貼合物に貼り合わせる押圧手段と、を有する
ことを特徴とする貼合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼合方法及び貼合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶パネルと、液晶パネルの表面を保護するガラス板とを貼り合わせる際に、液晶パネルとガラス板との間に気泡が混入すると、液晶パネルに表示される画像の視認性が低下すると共に、液晶パネルがガラス板から剥がれて脱落し易くなる。
【0003】
従来から、液晶パネル又はタッチパネルにカバーガラス板を貼り合わせる手段として、一端が持ち上げられたカバーガラスを、他端から一端に向かって走行するローラで押圧し、液晶パネルに貼り合わせる板状部材貼り合わせ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に係る板状部材貼り合わせ装置によれば、ローラで気泡を押し出しながら貼り合わせることで、液晶パネルとガラス板との間における気泡の混入が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−53503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した特許文献1に係る板状部材貼り合わせ装置では、ローラがカバーガラスを液晶パネルに押圧して貼り合わせる貼合圧力が一定に保たれるように、走行するローラの位置に応じてカバーガラスの一端の高さが制御される。
【0007】
しかしながら、ローラの走行速度や液晶パネルの剛性等のばらつきにより、液晶パネルとカバーガラスとの貼合圧力を一定に保つのは困難であり、貼合圧力にばらつきが生じて液晶パネルとカバーガラスとの間に気泡が混入してしまう場合があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、気泡を混入させることなく表示装置を粘着剤又は接着剤を介して被貼合物に貼り合わせることが可能な貼合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、表示装置を被貼合物に粘着剤又は接着剤を介して貼り合わせる貼合方法であって、一定の曲率半径で湾曲する、厚さが50mm以下である湾曲プレートの外周面に前記表示装置を吸着させる吸着工程と、前記表示装置が前記被貼合物に対向するように前記湾曲プレートを配置し、前記湾曲プレートを周方向における一端から他端に向かって前記被貼合物に押圧して前記表示装置を前記被貼合物に粘着剤又は接着剤を介して貼り合わせる貼合工程と、を有する。

【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、気泡を混入させることなく表示装置を粘着剤又は接着剤を介して被貼合物に貼り合わせることが可能な貼合方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における貼合装置の構成を例示する側面概略図である。
図2】実施形態における貼合装置の構成を例示する上面概略図である。
図3】実施形態における湾曲プレートの概略構成を例示する図である。
図4】実施形態において液晶パネルが湾曲プレートに吸着された状態を例示する図である。
図5】実施形態において液晶パネルが湾曲プレートに吸着された状態を例示する図である。
図6】実施形態において湾曲プレートが位置決めされる様子を説明する図である。
図7】実施形態において表示装置がガラス板に貼合される様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0013】
なお、以下で説明する実施形態では、表示装置の一例としての液晶パネルを、被貼合物の一例としてのガラス板に貼り合わせる場合について説明する。なお、被貼合物は、ガラス板とは異なる部材であってもよく、剛性を有する樹脂基板や、柔軟性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0014】
<貼合装置>
本発明の一態様に係る貼合装置は、表示装置を被貼合物に貼り合わせる貼合装置であって、一定の曲率で湾曲し、外周面に前記表示装置を吸着する湾曲プレートと、前記表示装置が前記被貼合物に対向するように配置された前記湾曲プレートを、周方向における一端から他端に向かって前記被貼合物に押圧し、前記表示装置を前記被貼合物に貼り合わせる押圧手段と、を有する。
【0015】
図1は、実施形態における貼合装置100の構成を例示する側面概略図である。また、図2は、実施形態における貼合装置100の構成を例示する上面概略図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、貼合装置100は、ステージ10、位置決め部材12、第1スペーサ14、第2スペーサ16、押圧手段としてのローラ20、湾曲プレート30、吸引ポンプ40を有する。なお、図1において、X方向はステージ10の移動方向であり、Y方向はステージ10の表面においてX方向に直交する幅方向であり、Z方向はステージ10の表面に対して垂直な高さ方向である。
【0017】
(ステージ)
ステージ10は、例えば平板状のガラス板であって、位置決め部材12、第1スペーサ14及び第2スペーサ16が所定の位置に設けられている。第1スペーサ14及び第2スペーサ16は、X方向において離間して設けられ、第1スペーサ14と第2スペーサ16との間に、被貼合物であるガラス板50が載置される。なお、ステージ10は、被貼合物を載置できる部材であれば、ガラス板とは異なる部材であってもよい。
【0018】
(位置決め部材)
位置決め部材12は、図2に示すように、例えば上面視でL字状の形状を有し、樹脂等を用いて形成され、ステージ10の所定の位置に設けられている。位置決め部材12は、略矩形状の湾曲プレート30の2つの辺が突き当てられることで、X方向及びY方向において湾曲プレート30を位置決めする。なお、位置決め部材12は、本実施形態では第1スペーサ14の上に固定されているが、ステージ10の上に固定して設けられてもよい。また、位置決め部材12は、X方向及びY方向において湾曲プレート30を位置決め可能であればよく、本実施形態とは異なる形状であってもよい。
【0019】
(スペーサ)
第1スペーサ14は、例えばアルミ等の金属又はゴム等の弾性体で形成された平板状の部材であり、ステージ10上の所定の位置に設けられる。第1スペーサ14は、図1及び図2に示すように、位置決め部材12により位置決めされた湾曲プレート30の一端(図1における左側端部)が載置され、湾曲プレート30の一端側における外周面(図1における下面)とステージ10の表面との間に一定の間隙を形成する。
【0020】
第2スペーサ16は、第1スペーサ14と同様に、例えばアルミなどの金属又はゴム等の弾性体で形成された平板状の部材であり、ステージ10上において第1スペーサ14とはX方向に離間した所定の位置に設けられる。第2スペーサ16は、湾曲プレート30の他端(図1における右側端部)に乗り上げられ、湾曲プレート30の他端側における外周面とステージ10の表面との間に一定の間隙を形成する。
【0021】
第1スペーサ14及び第2スペーサ16は、例えばガラス板50、液晶パネル60及び粘着層65が重ねられた厚さと同等の厚さを有する。第1スペーサ14は、液晶パネル60とガラス板50との貼合開始位置において、液晶パネル60の貼合面をガラス板50の表面に平行に保つ。また、第2スペーサ16は、液晶パネル60とガラス板50との貼合完了位置において、液晶パネル60の貼合面をガラス板50の表面に平行に保つ。
【0022】
第1スペーサ14及び第2スペーサ16によって、貼合開始位置及び貼合完了位置において液晶パネル60の貼合面とガラス板50の表面とが平行に保たれることで、液晶パネル60の端部に過剰な圧力がかかるのが防止される。このように、液晶パネル60をガラス板50に貼り合わせる際に、貼合開始位置及び貼合完了位置とその他の部分との圧力変動が抑制されることで、液晶パネル60とガラス板50との間への気泡の混入が防止される。
【0023】
第1スペーサ14及び第2スペーサ16は、例えば貼合時において湾曲プレート30とガラス板50との間隔が、液晶パネル60及び粘着層65を合わせた厚さに対して0.3〜1.1倍になる厚さを有することが好ましい。
【0024】
なお、本実施形態では、第1スペーサ14及び第2スペーサ16がステージ10上に設けられているが、第1スペーサ14及び第2スペーサ16は、それぞれ湾曲プレート30の端部に設けられてもよい。また、湾曲プレート30の端部に第1スペーサ14及び第2スペーサ16が設けられる場合には、第1スペーサ14及び第2スペーサ16が被貼合物であるガラス板50に当接してもよい。
【0025】
(ローラ)
ローラ20は、押圧手段の一例である。ローラ20は、例えば金属材料で形成された回転軸の外周面に樹脂層が形成された回転体であり、図1に示す矢印方向に回転可能に設けられている。ローラ20は、湾曲プレート30の内周面(図1における上面)に当接し、湾曲プレート30を押圧しながら回転する。ローラ20は、ステージ10がX方向に移動することで、湾曲プレート30の一端から他端まで、湾曲プレート30を押圧しながら回転する。なお、ローラ20は、ステージ10及び湾曲プレート30に対して相対的に移動可能であればよく、ステージ10が固定され、ローラ20が湾曲プレート30の一端から他端までZ方向において一定の高さで移動するように構成されてもよい。
【0026】
なお、押圧手段としては、作業者が湾曲プレート30を押圧する構成であってもよく、作業者がローラ20を湾曲プレート30に向かって押圧する構成であってもよい。また、ローラ20が湾曲プレート30を押圧する構成の場合には、ローラ20が単独で湾曲プレート30を押圧する構成であってもよく、ローラ20を湾曲プレート30に押圧するバックアップローラが設けられてもよい。
【0027】
(湾曲プレート)
湾曲プレート30は、図3に示すように、プレート31、表面カバー34を有する。
【0028】
プレート31は、例えばアルミ等の金属板であり、一定の曲率で湾曲するように形成されている。プレート31の外周面(図2における上面)の曲率半径は、例えばR500〜6000が好ましく、R2500〜3500がより好ましい。曲率半径が小さ過ぎると、液晶パネル60を大きく屈曲させることとなり破損等を招く場合がある。また、曲率半径が大き過ぎると、ガラス板50と液晶パネル60とを貼り合わせる際に、液晶パネル60の表面の粘着層65が有する凹凸によりガラス板50と液晶パネル60との間に気泡が混入し易くなる。
【0029】
プレート31には、それぞれ幅方向Wpに略平行に延伸する複数の吸引溝32が、周方向Rにおいて異なる位置に設けられている。吸引溝32は、幅方向Wpの一方の端部がプレート31の側面に達するように形成されている。
【0030】
吸引溝32は、図3に示すように、プレート31の外周面(図3における上面)に設けられてもよく、内周面(図3における下面)に設けられてもよい。吸引溝32がプレート31の内周面に設けられる場合には、吸引溝32は、表面カバー34とは異なるカバーで覆われる。また、吸引溝32がプレート31の内周面に設けられる場合には、吸引溝32からプレート31の外周面に貫通し、後述する表面カバー34の吸引孔35に通じる複数の貫通孔が設けられる。
【0031】
表面カバー34は、例えば樹脂等の弾性を有する材料で形成されたシート状の部材であり、例えば接着剤等によりプレート31の外周面に貼り合わされている。表面カバー34には、プレート31の吸引溝32に対応する位置に、複数の吸引孔35が設けられている。
【0032】
湾曲プレート30は、図4に示すように、表面カバー34の上に載置される液晶パネル60を吸着して保持する。また、湾曲プレート30の吸着面は、第1スペーサ14及び第2スペーサ16に当接できるように、液晶パネル60の表示面よりも大きいことが好ましい。
【0033】
湾曲プレート30の厚さは、プレート31及び表面カバー34の厚さを合わせて3〜50mmであることが好ましく、3〜40mmがより好ましく、5〜30mmがさらに好ましい。湾曲プレート30の厚さが上記範囲に設けられることで、貼合時に湾曲プレート30を介して押圧力が粘着剤又は接着剤に正確に伝わるようになり、所望する点に力を加えることが可能になる。さらに湾曲プレート30が取扱いし易い重量になることで、位置合わせを高精度に行うことが可能になる。
【0034】
プレート31の吸引溝32の一端には、それぞれ湾曲プレート30の側面から吸引管41が挿入されている。各吸引管41は、図1及び図2に示す吸引ポンプ40に接続されている。吸引ポンプ40が吸引管41を通じて空気を吸引すると、表面カバー34の上に載置された液晶パネル60が、吸引孔35から吸引されて湾曲プレート30に吸着される。
【0035】
吸引ポンプ40は、吸引管41ごとに吸引のON/OFFを切り替えることで、湾曲プレート30の周方向Rにおいて液晶パネル60を吸着する領域を変更できる。例えば、吸引ポンプ40が全ての吸引管41で吸引を実行すると、液晶パネル60の全体が湾曲プレート30に吸着される。また、例えば図1及び図2において左側2つの吸引管41の吸引を停止し、右側2つの吸引管41の吸引を実行すると、液晶パネル60の略半分が湾曲プレート30に吸着され、残り半分が湾曲プレート30から解放されることになる。
【0036】
液晶パネル60の湾曲プレート30とは反対側の面には、図1に示すように、粘着層65が形成されている。粘着層65は、粘着剤又は接着剤の層である。粘着層65は、例えば、液晶パネル60の表面に塗布されることで形成されてもよく、液晶パネル60の表面に粘着フィルム等が貼り合されることで形成されてもよい。
【0037】
また、液晶パネル60には、図2及び図4に示すように、例えば複数のフラットケーブル62により基板61が接続されている。基板61は、液晶パネル60の各種制御を行う回路等が搭載されており、湾曲プレート30に沿って曲げられたり、ローラ20に押圧されると破損等する可能性がある。したがって、接続されている基板61が湾曲プレート30の外部に位置するように、液晶パネル60が湾曲プレート30に吸着されることが好ましい。
【0038】
また、基板61は、湾曲プレート30と第1スペーサ14や第2スペーサ16等との間に挟み込まれると破損する可能性がある。そこで、基板61が幅方向Wpにおいて湾曲プレート30の外側に位置するように、液晶パネル60が湾曲プレート30に吸着されることが好ましい。
【0039】
なお、吸引溝32、吸引孔35及び吸引管41の形状、位置、数等は、湾曲プレート30が液晶パネル60を吸着して保持可能な構成であればよく、本実施形態において例示される構成に限られない。
【0040】
また、湾曲プレート30は、図5に示すように、基板61を収納する収納部38を有してもよい。このような構成により、基板61が湾曲プレート30に沿って曲げられたり、ローラ20に押圧されることによる破損等が防止される。また、図4に例示される構成とは異なる方向で、液晶パネル60をガラス板50に貼合することが可能になる。
【0041】
<貼合方法>
本発明の一態様に係る貼合方法は、表示装置を被貼合物に粘着剤又は接着剤を介して貼り合わせる貼合方法であって、一定の曲率で湾曲する湾曲プレートの外周面に前記表示装置を吸着させる吸着工程と、前記表示装置が前記被貼合物に対向するように前記湾曲プレートを配置し、前記湾曲プレートを周方向における一端から他端に向かって前記被貼合物に押圧して前記表示装置を前記被貼合物に粘着剤又は接着剤を介して貼り合わせる貼合工程と、を有する。
【0042】
本発明の一態様に係る貼合方法において、粘着剤又は接着剤で形成される粘着層65は、貼合物又は被貼合物の一方の面に予め設けられてもよく、貼合物を被貼合物に貼合する過程において、貼合物又は被貼合物の一方の面に設けられてもよい。
【0043】
以下に、本発明の貼合方法の好ましい態様を、図4から図7に基づいて説明する。なお、図6及び図7において、吸引ポンプ40、吸引管41、基板61は図示が省略されている。図4から図7は、貼合装置100を用いて、液晶パネル60をガラス板50に貼り合わせる場合の貼合方法を例示する図である。
【0044】
図4又は図5に示すように、吸引ポンプ40が全ての吸引管41から吸引し、液晶パネル60が湾曲プレート30に、液晶パネル60の粘着層65を有する面とは反対側の面を介して吸着される。そして、湾曲プレート30は、外周面に液晶パネル60を吸着した状態で、液晶パネル60の粘着層65側の面がガラス板50に対向するように配置される。
【0045】
次に、図6に示すように、湾曲プレート30の周方向Rにおける一端(図6における左側端部)が位置決め部材12に突き当てられ、湾曲プレート30がX方向及びY方向において位置決めされる。
【0046】
続いて、図7(A)に示すように、ローラ20が湾曲プレート30の周方向における一端(図7における左側端部)に当接し、湾曲プレート30をステージ10に向かって押圧し始める。湾曲プレート30は、ステージ10と共にX方向に移動し、固定して設けられているローラ20に押圧されて回転するように変位し、粘着層65を介して液晶パネル60をガラス板50に貼り合わせる。
【0047】
液晶パネル60とガラス板50との貼合開始位置では、第1スペーサ14によって、湾曲プレート30とステージ10との間に、第1スペーサ14の厚さに相当する間隙が形成される。ガラス板50、液晶パネル60及び粘着層65が重ねられた厚さと同等の厚さを有する第1スペーサ14によって、液晶パネル60とガラス板50との貼合開始位置において、液晶パネル60の貼合面がガラス板50の表面に略平行に保たれ、液晶パネル60の端部に過剰な圧力がかかるのが防止される。
【0048】
本実施形態では、上記したように、第1スペーサ14によって、貼合開始位置において液晶パネル60の貼合面がガラス板50の表面に平行に保たれることで、液晶パネル60の端部にかかる圧力が抑制され、液晶パネル60とガラス板50との間への気泡の混入が防止される。
【0049】
続いて、図7(B)に示すように、湾曲プレート30がステージ10と共にX方向に移動して回転するように変位し、液晶パネル60が粘着層65を介してガラス板50に押圧され、液晶パネル60がガラス板50に貼り合わされる。
【0050】
液晶パネル60とガラス板50とは、湾曲プレート30の周方向における一端(図7における左側端部)から他端(図7における右側端部)に向かって一方向に、ローラ20により押圧されることで貼り合わされる。液晶パネル60とガラス板50とが粘着層65を介して接触して貼り合わされる貼合前線では、湾曲プレート30がローラ20により常に一方に向かって押圧されることで、液晶パネル60とガラス板50との間から空気が押し出され、粘着層65への気泡の混入が防止される。
【0051】
また、液晶パネル60とガラス板50とが粘着層65を介して貼り合わされた領域では、吸引ポンプ40による液晶パネル60の吸引が停止されることが好ましい。液晶パネル60が貼り合わされた領域では、このように吸引ポンプ40による吸引が停止されることで、液晶パネル60が湾曲プレート30から解放され、液晶パネル60が湾曲プレート30から力を受けることなくガラス板50に貼り合わされた状態に保たれる。
【0052】
図7に例示するように、湾曲プレート30の4つの吸引溝32にそれぞれ吸引管41a〜41dが挿入されている構成では、吸引ポンプ40がステージ10の位置等に応じて吸引管41a,41b,41c,41dの順に吸引を停止する。
【0053】
例えば図7(B)に示す状態では、液晶パネル60とガラス板50とが既に貼り合わされた領域において、吸引管41a,41bの吸引が停止されて液晶パネル60が湾曲プレート30から解放されている。また、液晶パネル60とガラス板50とが貼り合わされていない領域では、吸引管41a,41bの吸引が継続されて液晶パネル60が湾曲プレート30に引き続き吸着されている。
【0054】
このように、吸引ポンプ40が液晶パネル60の吸着領域を制御することで、液晶パネル60がガラス板50に貼り合わされた領域では、液晶パネル60が湾曲プレート30から解放され、液晶パネル60とガラス板50との貼合状態が維持される。
【0055】
図7(C)に示すように、ステージ10が移動してローラ20が湾曲プレート30の他端(図7における右側端部)に達すると、液晶パネル60とガラス板50との貼り合わせが完了する。
【0056】
液晶パネル60とガラス板50との貼合完了位置では、第2スペーサ16によって、湾曲プレート30とステージ10との間に、第2スペーサ16の厚さに相当する間隙が形成されることが好ましい。ガラス板50、液晶パネル60及び粘着層65が重ねられた厚さと同等の厚さを有する第2スペーサ16によって、液晶パネル60とガラス板50との貼合完了位置において、液晶パネル60の貼合面がガラス板50の表面に略平行に保たれ、液晶パネル60の端部に過剰な圧力がかかるのが防止される。
【0057】
本実施形態では、上記したように、第2スペーサ16によって、貼合完了位置において液晶パネル60の貼合面がガラス板50の表面に平行に保たれることで、液晶パネル60の端部にかかる圧力が抑制され、液晶パネル60とガラス板50との間への気泡の混入が防止される。
【0058】
以上で説明したように、本実施形態に係る貼合装置100を用いた貼合方法によれば、液晶パネル60とガラス板50との貼合圧力が一定に保たれ、気泡を混入させることなく液晶パネル60をガラス板50に貼り合わせることが可能である。
【0059】
なお、上記した実施形態では、表示装置の一例としての液晶パネル60を、被貼合物の一例としてのガラス板50に貼り合わせる場合について示したが、表示装置としては例えば有機ELディスプレイ等であってもよく、被貼合物は例えば透明フィルム等であってもよい。また、上記した実施形態では表示装置である液晶パネル60の表面に粘着層65が設けられているが、被貼合物であるガラス板50の表面に粘着層65が設けられてもよい。
【0060】
以上、実施形態に係る貼合方法及び貼合装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 テーブル
12 位置決め部材
14 第1スペーサ
16 第2スペーサ
20 ローラ(押圧手段)
30 湾曲プレート
31 プレート
32 吸引溝
34 表面カバー
35 吸引孔
40 吸引ポンプ
41 吸引管
50 ガラス板(被貼合物)
60 液晶パネル
61 基板
65 粘着層
100 貼合装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7