特許第6406892号(P6406892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406892
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20181004BHJP
【FI】
   H05K7/20 G
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-127491(P2014-127491)
(22)【出願日】2014年6月20日
(65)【公開番号】特開2016-9688(P2016-9688A)
(43)【公開日】2016年1月18日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(72)【発明者】
【氏名】平澤 壮史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 千佳
(72)【発明者】
【氏名】池田 匡視
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−116190(JP,A)
【文献】 特開2008−117984(JP,A)
【文献】 特開2008−078477(JP,A)
【文献】 特開2003−046282(JP,A)
【文献】 特開2002−039662(JP,A)
【文献】 特開2005−123470(JP,A)
【文献】 特開平03−293693(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0292088(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を収納する筐体と、該発熱体と該筐体の間に配置された仕切り板とを備え、該発熱体を強制冷却する機構を備えない冷却装置であって、
該仕切り板によって、該発熱体と該仕切り板との間に上下方向に形成された第1の空間部と、該仕切り板と前記筐体との間に上下方向に形成された第2の空間部と、前記第1の空間部と前記第2の空間部を前記筐体内の上部にて連通させる第3の空間部と、前記第1の空間部と前記第2の空間部を前記筐体内の下部にて連通させる第4の空間部と、が形成され
前記第1の空間部の上下方向に対して直交方向の幅が、前記第2の空間部の上下方向に対して直交方向の幅よりも広く、前記筐体が、前記発熱体の、上下方向に対して直交方向の周囲を外部環境から隔てる、4つの矩形状の平板が平面視長方形状に配置された側壁部を備えた冷却装置。
【請求項2】
前記第1の空間部の上昇気流が、前記第3の空間部を通って前記第2の空間部へ流入し、前記第2の空間部へ流入した気流の熱が、前記筐体の壁面全体から放熱される請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第3の空間部が、前記第4の空間部よりも上下方向の幅が広い請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記筐体の角部が、曲面である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記筐体及び/または前記仕切り板に、フィン及び/またはヒートパイプが熱的に接続されている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記筐体の外壁面にヒートシンクが熱的に接続されている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記筐体の壁面に、貫通孔が形成されている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子を冷却ファン等の強制冷却機構を設けずに冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却装置として、発熱体を収納した筐体上部に冷却ユニットを設け、このユニットから発する冷気をファンにより、下方に吹き付けて筐体全体を冷却し、また、ヒートスポットを解消するために、放熱シートを発熱体全面に敷設する密閉型冷却装置がある(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の冷却装置では、ファンにより筐体内部に循環流を発生させることで筐体から外部環境へ熱を放出させて発熱体を冷却する。しかし、特許文献1の冷却装置では、発熱体で暖められた筐体内の空気は、密閉容器中では、筐体上部に溜まることがあるので、安定して冷却を行うためには、筐体の表面積を大きくして、放熱能力を高める必要があった。また、上記冷却装置では、筐体内部の空気を、ファンを利用して強制的に循環させるので、ファンへの電源が、別途、必要となり、またファンの故障による冷却信頼性の低下という問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−224091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、強制冷却機構を備えなくても、筐体の壁面全体から放熱し、筐体内の空気を循環させることで、発熱体の冷却効率が向上する冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、発熱体を収納する筐体と、該発熱体と該筐体の間に配置された仕切り板とを備え、該発熱体を強制冷却する機構を備えない冷却装置であって、該仕切り板によって、該発熱体と該仕切り板との間に上下方向に形成された第1の空間部と、該仕切り板と前記筐体との間に上下方向に形成された第2の空間部と、前記第1の空間部と前記第2の空間部を前記筐体内の上部にて連通させる第3の空間部と、前記第1の空間部と前記第2の空間部を前記筐体内の下部にて連通させる第4の空間部と、が形成されている冷却装置である。
【0007】
上記「上下方向」とは、重力方向側とその反対側とを結ぶ方向を意味する。また、「下部」とは、筐体内のうち重力方向側の領域、「上部」とは、筐体内のうち重力方向と反対側の領域を意味する。
【0008】
本発明の態様は、前記第1の空間部の上下方向に対して直交方向の幅が、前記第2の空間部の上下方向に対して直交方向の幅よりも広い冷却装置である。
【0009】
本発明の態様は、前記第3の空間部が、前記第4の空間部よりも上下方向の幅が広い冷却装置である。
【0010】
本発明の態様は、前記筐体の角部が、曲面である冷却装置である。
【0011】
本発明の態様は、前記筐体及び/または前記仕切り板に、フィン及び/またはヒートパイプが熱的に接続されている冷却装置である。
【0012】
本発明の態様は、前記筐体の外壁面にヒートシンクが熱的に接続されている冷却装置である。
【0013】
本発明の態様は、前記筐体の壁面に、貫通孔が形成されている冷却装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、筐体の壁面と発熱体の間に仕切り板を設けることにより、発熱体と仕切り板との間の第1の空間部では、雰囲気が発熱体によって加熱されて上昇気流が発生し、筐体の壁面と仕切り板との間の第2の空間部では、雰囲気が筐体及び/または仕切り板によって冷却されて下降気流が発生する。従って、仕切り板を設けることにより第3の空間部及び第4の空間部を介して、第1の空間部と第2の空間部との間で筐体内の空気が循環する、つまり、筐体と発熱体の間の空間に循環流が発生するので、筐体の壁面全体から放熱できるようになり、発熱体の冷却効率が向上する。また、上記のように、筐体内で雰囲気の循環流が発生することにより、発熱体や筐体壁面近傍における循環流の流速も向上するため、さらに発熱体の冷却効率が向上する。
【0015】
本発明の態様によれば、上昇気流が発生する第1の空間部の上下方向に対して直交方向の幅が、下降気流が発生する第2の空間部の上下方向に対して直交方向の幅よりも広い、すなわち、雰囲気が加熱されてその体積が相対的に膨張する第1の空間部が、雰囲気が冷却されてその体積が相対的に縮小する第2の空間部よりも幅広なので、筐体と発熱体の間の雰囲気が円滑に第1の空間部と第2の空間部との間を循環し、発熱体の冷却効率がさらに向上する。
【0016】
本発明の態様によれば、筐体の角部が曲面となっていることにより、循環流が第1の空間部と第2の空間部との間をより円滑に循環でき、結果、発熱体の冷却効率がさらに向上する。
【0017】
本発明の態様によれば、筐体及び/または前記仕切り板に、フィン及び/またはヒートパイプが熱的に接続されていることにより、筐体及び/または前記仕切り板がより効率的に冷却されるので、上記循環流による発熱体の冷却効率がさらに向上する。
【0018】
本発明の態様によれば、筐体の外壁面にヒートシンクが熱的に接続されていることにより、筐体がより効率的に冷却されるので、上記循環流による発熱体の冷却効率がさらに向上する。
【0019】
本発明の態様によれば、筐体の壁面に貫通孔が形成されていることにより、筐体の外部環境から、発熱体によって加熱されていない空気が、第2の空間部において冷却されつつ筐体内へ供給されるので、発熱体の冷却効率がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態例の冷却装置内部の平面図である。
図2】本発明の第1実施形態例の冷却装置の側面断面図である。
図3】本発明の第2実施形態例の冷却装置内部の平面図である。
図4】本発明の第3実施形態例の冷却装置の説明図である。
図5】本発明の第3実施形態例の冷却装置内部の平面図である。
図6】本発明の第4実施形態例の冷却装置の説明図である。
図7】本発明の第5実施形態例の冷却装置の説明図である。
図8】本発明の他の実施形態例の冷却装置の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について図面を用いながら説明する。図1、2に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、発熱体12を収納する筐体10と、該発熱体12と該筐体10の間に配置された仕切りケース11とを備え、該発熱体12を強制冷却する機構は設けられていない。筐体10は、矩形状の箱形容器であり、発熱体12の、上下方向に対して直交する方向の周囲を外部環境から隔てる、4つの矩形状の平板が平面視長方形状に配置された側壁部13と、側壁部13の下部端面に設けられた底部14と、側壁部13の上部端面に設けられた上蓋部15と、を備えている。底部14または上蓋部15を筐体10の側壁部13から取り外すことで、発熱体12と仕切りケース11を筐体10内部へ収納することができる。側壁部13に底部14と上蓋部15を取り付けることにより、筐体10内部を閉鎖空間とすることができる。
【0022】
仕切りケース11は、4つの矩形状かつ平板状の仕切り板17が平面視長方形状に配置された仕切り部16と、該仕切り部16を筐体10の底部14に設置するための脚部18とを備えている。仕切り部16の平面視の寸法は、筐体10の側壁部13の平面視の寸法よりも小さい構造となっている。また、仕切り部16の平面視の寸法は、発熱体12の平面視の寸法よりも大きく、発熱体12に当接することなく、発熱体12を収納できる寸法となっている。従って、仕切りケース11は、筐体10に収納されることができ、また発熱体12を収納することもできる。
【0023】
仕切り部16の仕切り板17の表面部が、筐体10の側壁部13の表面部と対向するように、すなわち、仕切り部16の仕切り板17の表面部が、筐体10の側壁部13の表面部に対して平行方向または略平行方向となるように、仕切りケース11が筐体10内部に配置されている。従って、仕切り部16の仕切り板17により、発熱体12と仕切り板17との間に上下方向に第1の空間部20が形成され、仕切り板17と筐体10との間に上下方向に第2の空間部21が形成される。
【0024】
また、仕切り板17の上下方向の長さは側壁部13の上下方向の長さよりも短く、仕切りケース11の上下方向の長さも側壁部13の上下方向の長さよりも短くなっている。従って、仕切り板17の上部端面と上蓋部15との間に第3の空間部22、仕切り板17の下部端面と底部14との間に、それぞれ、第4の空間部22’が形成されている。
【0025】
図1、2に示すように、筐体10の側壁部13と発熱体12の間に仕切り板17を設けることにより、発熱体12が発熱すると、発熱体12と仕切り板17との間に形成された第1の空間部20では、雰囲気(空気)が加熱されて上昇気流が発生する。一方で、筐体10の側壁部13と仕切り板17との間に形成された第2の空間部21では、雰囲気(空気)が含む発熱体12由来の熱が筐体10の側壁部13から外部環境へ移動するので、雰囲気が筐体10の側壁部13及び/または仕切り板17によって冷却されて下降気流が発生する。従って、仕切り板17を設けることにより、第1の空間部20で発生した上昇気流の温度は第1の空間部20を上昇するにつれて上昇していく(図1、2中の破線の矢印から実線の矢印への変化が上昇気流の温度上昇を意味する。)。第1の空間部20の最上部域に達した上昇気流は、筐体10上部の第3の空間部22を介して、第2の空間部21へ流入する。第2の空間部21へ流入した気流は、第2の空間部にて冷却されて下降気流となり、下降気流の温度は第2の空間部21を下降するにつれて低下していく(図1、2中の実線の矢印から破線の矢印への変化が下降気流の温度低下を意味する。)。第2の空間部21の最下部域に達した下降気流は、筐体10下部の第4の空間部22’を介して、第1の空間部20へ、再度、流入する。すなわち、第1の空間部20と第2の空間部21との間で筐体10内の空気が循環する。
【0026】
つまり、発熱体12から発せられた熱は、第1の空間部20の雰囲気へ移動し、第1の空間部20の雰囲気を上昇気流とさせる。発熱体12から受熱した上昇気流は、筐体10上部の第3の空間部22を通って第2の空間部21へ流入する。第2の空間部21へ流入した気流に含まれる発熱体12由来の熱は、筐体10の側壁部13から外部環境へ放出され、仕切り板17が筐体10の外部と熱的に接続されている場合には、側壁部13と仕切り板17から外部環境へ放出されていく。熱が放出された気流は冷却されるので、下降気流となる。冷却された下降気流は、筐体10下部の第4の空間部22’を通って、再び第1の空間部20へ戻る。発熱体12から発せられた熱が、第1の空間部20へ戻ってきた気流へ移動し、再び、上昇気流を発生させる。
【0027】
このように、第1の空間部20と第2の空間部21との間で循環流が発生するので、筐体10の壁面全体から放熱ができるようになり、発熱体12の冷却効率が向上する。また、上記のように、筐体内で雰囲気の循環流が発生することにより、発熱体12や筐体10側壁部13近傍における循環流の流速も速くなっていくため、さらに発熱体の冷却効率が向上する。
【0028】
第1の空間部20と第2の空間部21の上下方向に対して直交方向の幅は、適宜選択可能であるが、第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1の空間部20の前記幅を、第2の空間部21の前記幅よりも広くしている。第1の空間部20では、雰囲気が発熱体12により加熱されてその体積が相対的に膨張するのに対し、第2の空間部21では、雰囲気が筐体10の側壁部13等により冷却されてその体積が相対的に縮小するので、上記構成とすることで、循環流をより円滑に循環させることができ、結果、筐体10の大きさを抑えながらも、発熱体12の冷却効率がさらに向上する。
【0029】
筐体10の材質は特に限定されず、例えば、樹脂やコンクリート、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属を挙げることができる。また、仕切りケース11の材質も特に限定されず、例えば、樹脂やコンクリート、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属を挙げることができる。第1実施形態例に係る冷却装置1では、筐体10、仕切りケース11ともにアルミニウム製としている。
【0030】
また、冷却装置1の寸法は、発熱体12の寸法や発熱量等に応じて適宜選択可能である。第1実施形態例に係る冷却装置1では、例えば、発熱体12は200×300×160mm、筐体10の寸法は250×350×210mm、仕切りケース11の寸法は230×330×180mm、第3の空間部22及び第4の空間部22’の上下方向の幅は15mmである。
【0031】
発熱体12としては、特に限定されないが、例えば、半導体素子若しくは部品、基板、発光素子、ヒーター、通信機器、内燃機関、充電池、燃料電池等が挙げられる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態例について説明する。なお、以下、第1実施形態例に係る冷却装置と同じ構成要素については、同じ符号を用いて説明する。
【0033】
図3に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置100では、筐体10の角部、すなわち、平面視長方形状の側壁部13の4つの角部と、平面視長方形状の仕切り部16の4つの角部とが、それぞれ、直角ではなく、曲面30、30’となっている。前記角部の角を取って曲面に加工することで、筐体10の四隅において下降気流が滞留することを防止し、仕切り部16の四隅において上昇気流が滞留することを防止するので、循環流が第1の空間部と第2の空間部との間をより円滑に循環できる。
【0034】
また、図示しないが、側壁部13の曲面30と仕切り部16の曲面30’に加えて、または側壁部13の曲面30と仕切り部16の曲面30’に代えて、側壁部13と底部14の境界部及び側壁部13と上蓋部15の境界部が、それぞれ、直角ではなく、曲面となっていてもよい。前記境界部の角を取って曲面に加工することで、循環流が筐体の前記境界部にて流れの方向を変える際の抵抗を低減でき、循環流の流れを上下方向からその直交方向へまた直交方向から上下方向へ円滑に変えることができる。よって、循環流の流速がさらに増し、さらに第1の空間部20と第2の空間部21との間を効率よく循環できるので、結果、発熱体12の冷却効果が一層向上する。
【0035】
次に、本発明の第3実施形態例について説明する。図4、5に示すように、第3の実施形態例に係る冷却装置200では、仕切り板17の表面部に放熱用のフィン31が設けられている。冷却装置200では、筐体10の長手方向及び短手方向を形成する側壁部13に対向する側の仕切り板17表面部に、フィン31が、複数、設けられている。従って、フィン31は、第2の空間部21に配置された態様となっている。冷却装置200では、フィン31は、側面視L字状であり、仕切り板17の表面部の略全面に配置されている。また、第3の実施形態例に係る冷却装置200では、フィン31のピッチは適宜選択可能であるが、下降気流の流れを阻害しない程度、例えば、5〜30mmである。冷却装置200でも、側壁部13に底部14と上蓋部15とを取り付けることにより、筐体10内部を閉鎖空間とすることができる。
【0036】
さらに、冷却装置200では、仕切り板17と筐体10の外部とを熱的に接続するため、すなわち、仕切り板17から筐体10の外部へ熱を輸送するためのヒートパイプ32が設けられている。ヒートパイプ32は、側面視I字状であり、一方の端部及び端部近傍が仕切り板17と熱的に接続され、他方の端部及び端部近傍が筐体10の上蓋部15から筐体外部へ突出されている。ヒートパイプ32は、仕切り部16の4つの角部にそれぞれ設けられており、上蓋部15にはバーリングが形成されたヒートパイプ32挿入用の孔部が設けられている。また、他方の端部及び端部近傍には、放熱用である平板状のフィン31’が、複数、熱的に接続されている。仕切り板17からヒートパイプ32の一方の端部及び端部近傍へ輸送された熱は、該一方の端部及び端部近傍から他方の端部及び端部近傍へ輸送され、放熱用のフィン31’から筐体10の外部へ放出される。
【0037】
第1の空間部20から第2の空間部21へ流入した気流に含まれる発熱体12の熱は、筐体10の壁面全体から外部環境へ放出されるだけではなく、フィン31を介して仕切り板17へ移動し、仕切り板17へ移動した熱は、ヒートパイプ32によって仕切り板17から放熱用のフィン31’へ熱輸送され、放熱用のフィン31’から筐体10の外部環境へ放出される。従って、冷却装置200では、第2の空間部21の冷却効果がさらに向上し、循環流の流速が一層増して、発熱体12の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0038】
フィン31、31’の材質は特に限定されず、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属、カーボン、樹脂、コンクリート、複合素材等を挙げることができる。第3の実施形態例に係る冷却装置200では、アルミニウム製のフィン31、31’を使用している。ヒートパイプ32のコンテナ材料も、特に限定されず、適宜選択可能であり、例えば、上記金属材料で製造されている。ヒートパイプ32の作動液には、コンテナ材料との適合性に合せた作動液が減圧状態で封入される。第3の実施形態例に係る冷却装置200では、コンテナが銅、作動液は純水を用いている。
【0039】
次に、本発明の第4実施形態例について説明する。図6に示すように、第4の実施形態例に係る冷却装置300では、第1の実施形態例に係る冷却装置1の筐体10に、ヒートシンク33が熱的に接続され、仕切り板17から筐体10の上蓋部15へ熱を輸送するための側面視U字状のヒートパイプ32’が仕切りケース11に設けられている。ヒートパイプ32’では、側面視U字形状のうち、底辺部を形成する部位は上蓋部15と熱的に接続され、該底辺部から突設した部位は仕切りケース11と熱的に接続されている。第4の実施形態例に係る冷却装置300では、筐体10の上蓋部15にヒートシンク33が設けられている。ヒートシンク33は、筐体10の上蓋部15と熱的に接続された受熱ブロック34と受熱ブロック34の表面にて受熱ブロックと熱的に接続された放熱用のフィン35を備えている。ヒートシンクのフィン35は、受熱ブロック34の表面に複数立設されることで、ヒートシンク33の冷却効果を発揮する。
【0040】
仕切りケース11の仕切り板17から筐体10の上蓋部15へヒートパイプ32’により熱輸送された熱は、ヒートシンク33(ヒートシンクのフィン35)によって、筐体10の上蓋部15から効率的に外部環境へ放出される。従って、冷却装置300では、発熱体12の冷却効率をさらに向上させることができる。
【0041】
受熱ブロック34の材料もヒートシンクのフィン35の材料も、特に限定されず、適宜選択可能であり、例えば、上記金属材料で製造されている。第4の実施形態例に係る冷却装置300では、アルミニウムで製造されている。
【0042】
次に、本発明の第5実施形態例について説明する。図7に示すように、第5の実施形態例に係る冷却装置400は、第4の実施形態例に係る冷却装置300の筐体10の長手方向を形成する側壁部13に、貫通孔36が形成されている態様である。貫通孔36を設けることにより、筐体10の外部環境から第2の空間部21内へ加熱されていない空気が新たに供給されるので、発熱体12の冷却効率をさらに向上させることができる。また、外部環境から第2の空間部21へ新たな空気を円滑に導入するために、筐体10の上蓋部15に通気口(図示せず)を設けてもよい。なお、冷却装置400では、筐体10の底部14にヒートシンク33が設けられているので、仕切り板17から筐体10の底部14へ側面視U字状のヒートパイプ32’により熱輸送された熱は、ヒートシンク33(ヒートシンクのフィン35)によって、筐体10の底部14から効率的に外部環境へ放出される。
【0043】
貫通孔36を設ける位置は、適宜選択可能であり、例えば、第2の空間部21を下降する気流の温度が、新たに供給される空気の温度よりも高くなるような位置に、貫通孔36を設けることで、第2の空間部21を下降する気流の温度をさらに効率よく低下させることができる。第5の実施形態例に係る冷却装置400では、長手方向を形成する1つの側壁部13あたり、仕切り板17の仕切り板17の最上部近傍の1カ所に、貫通孔36を設けることで、第2の空間部21を下降する気流に、その温度よりも低い温度の空気を新たに供給している。
【0044】
また、冷却装置400では、上記位置に貫通孔36を設けることで、筐体10の外部環境から第2の空間部21へ新たに供給される空気が、仕切り板17及び筐体10の側壁部13内壁面と接触することにより、仕切り板17及び筐体10の側壁部13による下降気流の冷却効果がさらに向上する。
【0045】
次に、本発明の冷却装置の使用方法を説明する。ここでは、装置に取り付けられた半導体素子を冷却する場合を例にとって説明する。まず、装置から取り外した半導体素子を、底部14または上蓋部15を外した状態の筐体10に収納し、適宜固定する、あわせて、4つの仕切り板17が平面視長方形状に配置された仕切り部16内に半導体素子が収納されるように、筐体10内部に仕切りケース11を挿入し、適宜固定する。仕切りケース11の挿入後、底部14または上蓋部15を筐体10にねじ止め等の所定の方法で取り付けることで、冷却装置に半導体素子が収納される。その後、冷却装置を装置に取り付けることで、半導体素子を冷却することができる。
【0046】
次に、本発明のその他の実施態様例について説明する。上記各実施形態例では、筐体10は矩形状であり、仕切りケース11は平面視長方形状であったが、筐体及び仕切りケースの形状は特に限定されず、例えば、平面視円形状であってもよい。また、上記各実施形態例では、仕切り板17は平板状であったが、これに代えて、仕切り板の上下方向の中央部から上部の領域を、筐体の側壁部側へ曲げ加工して、第1の空間部の上部が、その下部よりも幅の広い態様としてもよい。この態様により、第1の空間部にて発熱体12から受熱して上昇とともに膨張していく上昇気流は、円滑に第1の空間部を上昇することができる。また、第1実施形態例に係る冷却装置1では、第3の空間部と第4の空間部とは上下方向の幅が同じ寸法であったが、これに代えて、第3の空間部が、前記第4の空間部よりも上下方向の幅が広い態様でもよい。上記態様により、第1の空間部と第2の空間部との間の雰囲気の循環を、より円滑化することができる。
【0047】
さらに、仕切りケースは必ずしも発熱体の全周を覆う必要はなく、例えば1面のみもしくは一部のみであってもよい。また、上記各実施形態例では、第2の空間部21や第3の空間部22を形成する仕切り板17の仕切り位置は同一平面にあったが、必ずしもこれに限定されるものではなく、仕切り面における仕切り位置が同じ仕切り面の中でも異なっている態様でもよく、また、仕切りの一部の高さが他の仕切り位置の高さと異なる態様でもよい。さらに、仕切りケースを構成するものとして、必ずしもその機能が仕切りケースに限定されるものを用いる必要はなく、電子基板や温度センサー、発光パネルなど、仕切り以外の機能を有するもの、もしくはその組み合わせを用いてもよい。
【0048】
第3の実施形態例に係る冷却装置200では、仕切り板17の表面部に、フィン31が設けられていたが、これに代えて、筐体10の側壁部13の内壁面及び/または外壁面にフィンを設けてもよく、仕切り板17の表面部だけでなく筐体10の外壁面にもフィンを設けてもよい。第3の実施形態例に係る冷却装置200では、フィン31は、仕切り板17の表面部の略全面に配置されていたが、これに代わり、表面部の一部にのみフィン31を配置してもよい。また、第3の実施形態例に係る冷却装置200では、フィン31とヒートパイプ32ともに設けられていたが、これに代えて、フィン31のみ、またはヒートパイプ32のみを設ける態様としてもよい。さらに、上記実施形態例では、ヒートパイプを使用したが、これに限られず、他の沸騰冷却器を用いてもよく、また、冷却源としては、ヒートシンクに代えて、ペルチェ素子を用いてもよい。
【0049】
また、第5の実施形態例に係る冷却装置400では、長手方向を形成する1つの側壁部13あたり、1カ所の貫通孔36が形成されていたが、これに限定されず、2カ所でもよく、3カ所以上でもよい。
【0050】
また、第5の実施形態例に係る冷却装置400では、筐体10の側壁部13に貫通孔36を設けたが、図8に示すように、第1の空間部20を流れる上昇気流の温度の上がりすぎも抑えるために、筐体10の側壁部13の貫通孔36だけではなく、さらに、仕切り板17にも貫通孔36’を設けた冷却装置400’としてもよい。
【0051】
冷却装置400’では、仕切り板17の貫通孔36’は、仕切り板17の上下方向の中央部近傍に設けられており、仕切り板17の最上部近傍の貫通孔36から第2の空間部21へ導入された外部環境の新たな空気は、第2の空間部21を下降していき、仕切り板17の貫通孔36’を通って、第1の空間部20へ導入される。第1の空間部20へ導入された外部環境の新たな空気は、発熱体12から熱を受けつつ、上昇気流を形成する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の冷却装置は、あらゆる分野で広く利用可能であるが、例えば、電池を冷却する分野、装置中の回路基板や車両に搭載される発熱体を冷却する分野等、高い冷却信頼性が要求され、かつ発熱体に冷却部品を直接接触させて冷却することを控えたい分野でも、利用することができる。さらに、安全性の高い加熱源や、ビルや住宅などの居住空間においては省エネで快適な室温を実現するためにも利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1、100、200、300、400、400’ 冷却装置
10 筐体
17 仕切り板
20 第1の空間部
21 第2の空間部
22 第3の空間部
22’ 第4の空間部
31 フィン
32、32’ ヒートパイプ
33 ヒートシンク
36、36’ 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8