特許第6406956号(P6406956)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧
<>
  • 特許6406956-切削装置 図000002
  • 特許6406956-切削装置 図000003
  • 特許6406956-切削装置 図000004
  • 特許6406956-切削装置 図000005
  • 特許6406956-切削装置 図000006
  • 特許6406956-切削装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6406956
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20181004BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20181004BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   B24B27/06 M
   G05B19/418 P
   H01L21/78 F
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-195169(P2014-195169)
(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公開番号】特開2016-64476(P2016-64476A)
(43)【公開日】2016年4月28日
【審査請求日】2017年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(72)【発明者】
【氏名】久保 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】内田 文雄
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽平
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−083016(JP,A)
【文献】 特開2014−034089(JP,A)
【文献】 特開2012−000704(JP,A)
【文献】 特開2014−024151(JP,A)
【文献】 米国特許第07191898(US,B1)
【文献】 特開2006−051596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B27/06
H01L21/301
G05B19/418
B25H3/02
B23Q13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードと、該切削ブレードが着脱自在に装着される切削手段と、被加工物を加工するために設定された加工条件に基づいて該切削手段を制御する制御手段と、該切削ブレードが収容されるブレードケースを保持するブレードケースホルダーと、該ブレードケースホルダーが固定されるカバーと、を備え、
該ブレードケースには、該切削ブレードの使用履歴情報を無線で読み出し、無線で書き込むことのできるICタグが設けられており、
該制御手段は、該ブレードケースホルダーで保持した該ブレードケースの該ICタグから該切削ブレードの使用履歴情報を無線で読み出し、該切削ブレードの使用履歴情報を無線で該ICタグへと書き込む読み書き手段に接続され、
該読み書き手段は、該カバーの該ブレードケースホルダーと対向する領域に配置され、
該読み書き手段で該ICタグから読み出した該切削ブレードの使用履歴情報を加工条件に反映させ、被加工物を加工した後の該切削ブレードの使用履歴情報を該読み書き手段で該ICタグに書き込むことを特徴とする切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状の被加工物を切削する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハのような板状の被加工物を複数のチップへと分割する際には、例えば、円環状の切削ブレードを装着した切削装置が使用される。切削ブレードは、ビトリファイドやレジノイド等の結合材料にダイヤモンドやCBN等の砥粒を混合して形成され、ある程度まで摩耗すると廃棄される。
【0003】
ところで、多品種少量の生産を行うメーカー等では、被加工物の特性に合わせて切削ブレードを交換する機会が多く、まだ使用できる切削ブレードを切削装置から取り外すこともある。このように切削装置から取り外された切削ブレードは、通常、ブレードケースに収容された状態で保管される。
【0004】
切削ブレードの保管においては、後の使用(再使用)に備えて切削ブレードの使用履歴を適切に管理しておくことが重要である。そこで、使用履歴を含む情報を記憶できる無線ICタグを埋め込んだ切削ブレードが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−51596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような切削ブレードでは、製造の過程で無線ICタグが破損しやすく、製造コスト等の点において実用的でない。また、切削時の振動や衝撃等で、無線ICタグが破損することもあった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切削ブレードの使用履歴を容易かつ適切に管理できる切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、被加工物を保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードと、該切削ブレードが着脱自在に装着される切削手段と、被加工物を加工するために設定された加工条件に基づいて該切削手段を制御する制御手段と、該切削ブレードが収容されるブレードケースを保持するブレードケースホルダーと、該ブレードケースホルダーが固定されるカバーと、を備え、該ブレードケースには、該切削ブレードの使用履歴情報を無線で読み出し、無線で書き込むことのできるICタグが設けられており、該制御手段は、該ブレードケースホルダーで保持した該ブレードケースの該ICタグから該切削ブレードの使用履歴情報を無線で読み出し、該切削ブレードの使用履歴情報を無線で該ICタグへと書き込む読み書き手段に接続され、該読み書き手段は、該カバーの該ブレードケースホルダーと対向する領域に配置され、該読み書き手段で該ICタグから読み出した該切削ブレードの使用履歴情報を加工条件に反映させ、被加工物を加工した後の該切削ブレードの使用履歴情報を該読み書き手段で該ICタグに書き込むことを特徴とする切削装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る切削装置は、切削ブレードが装着される切削手段と、切削手段を制御する制御手段と、切削ブレードが収容されるブレードケースを保持するブレードケースホルダーと、を備え、制御手段は、ブレードケースホルダーで保持したブレードケースのICタグから切削ブレードの使用履歴情報を読み出し、切削ブレードの使用履歴情報をICタグへと書き込む読み書き手段に接続されている。
【0011】
そのため、読み書き手段でICタグから読み出した切削ブレードの使用履歴情報を加工条件に反映させ、また、被加工物を加工した後の切削ブレードの使用履歴情報を読み書き手段でICタグに書き込むことができる。これにより、切削ブレードの使用履歴を容易かつ適切に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】切削装置の構成例を模式的に示す図である。
図2】切削ユニットの構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図3】ブレードケースの構成例を模式的に示す斜視図である。
図4】ブレードケースの構成例を模式的に示す平面図である。
図5】ブレードケースホルダーの構成例を模式的に示す斜視図である。
図6】変形例に係る切削装置において、ブレードケースホルダーの周辺の構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る切削装置の構成例を模式的に示す図である。図1に示すように、切削装置2は、各構造を支持する基台4を備えている。
【0014】
基台4の上方には、基台4を覆うカバー6が設けられている。カバー6の内側には、空間が形成されており、切削ブレード8を含む切削ユニット(切削手段)10が収容されている。切削ユニット10は、切削ユニット移動機構(不図示)によって前後方向(Y軸方向、割り出し送り方向)に移動する。
【0015】
切削ユニット10の下方には、被加工物11を吸引保持するチャックテーブル12が設けられている。チャックテーブル12は、チャックテーブル移動機構(不図示)によって左右方向(X軸方向、加工送り方向)に移動し、回転機構(不図示)によって鉛直軸(Z軸)の周りに回転する。
【0016】
基台4の角部には、カセットエレベーター14が配置されている。カセットエレベーター14の上面には、複数の被加工物11を収容可能なカセット16が載置される。被加工物11は、例えば、シリコン、サファイア、樹脂等でなる円形の板状物である。カセットエレベーター14は、昇降可能に構成されており、この被加工物11を搬出、搬入できるように、カセット16の位置を高さ方向(Z軸方向)において調整する。
【0017】
カバー6の前面6aには、ユーザインタフェースとなるタッチパネル式のモニター18が設けられている。また、カバー6の側面6bには、ブレードケースホルダー20が配置されている。ブレードケースホルダー20の詳細は後述する。
【0018】
モニター18は、加工装置2の各部を制御する制御装置(制御手段)22と接続されている。制御装置22は、モニター18を通じて設定される加工条件等に基づいて、切削ユニット10、切削ユニット移動機構、チャックテーブル12、チャックテーブル移動機構等の動作を制御する。
【0019】
図2は、切削ユニット10の構成例を模式的に示す分解斜視図である。なお、図2では、切削ユニット10の構成要素の一部を省略している。図2に示すように、切削ユニット10は、スピンドルハウジング24に回転可能に支持されたスピンドル26を含む。
【0020】
スピンドル26の先端部には、切削ブレード8を固定するためのフランジ28が装着されている。フランジ28は、径方向外向きに延出されたフランジ部30と、フランジ部30の表面(前面)から突出するボス部32とで構成されている。
【0021】
フランジ部30の裏面(後面)側には、スピンドル26の先端部と嵌合する嵌合部(不図示)が形成されている。この嵌合部にスピンドル26の先端部を嵌め込んだ状態でボルト34を締め込めば、フランジ28はスピンドル26に固定される。
【0022】
切削ブレード8は、いわゆるハブブレードであり、円盤状の支持基台36の外周に、リング状の切り刃38が固定されている。支持基台36の中央には、フランジ28のボス部32が挿通される開口36aが形成されている。この開口36aにボス部32を挿通することで、切削ブレード8はフランジ28に装着される。
【0023】
切り刃38は、例えば、ビトリファイドやレジノイド、金属(代表的には、ニッケル)等の結合材料にダイヤモンドやCBN等の砥粒を混合して円環状に形成されている。なお、本実施形態では、切削ブレード8としてハブブレードを用いているが、切り刃のみでなる、いわゆるワッシャーブレードを用いてもよい。
【0024】
フランジ28に切削ブレード8が装着された状態で、ボス部32の先端部には円環状の固定リング40が取り付けられる。これにより、切削ブレード8は、フランジ28と固定リング40とで挟持される。
【0025】
図3は、切削ブレード8を収容するブレードケースの構成例を模式的に示す斜視図であり、図4は、ブレードケースの構成例を模式的に示す平面図である。図3に示すように、ブレードケース42は、切削ブレード8を収容する収容部44と、収容部44に収容された切削ブレード8の脱落を防ぐ蓋部46とを含む。
【0026】
収容部44及び蓋部46は、隣接する2個の角部を円弧状に切り欠いた半矩形状の板状部材であり、切り欠かれていない側の外周に設けられた連結部48(図4)によって互いに連結されている。連結部48は、収容部44に対して蓋部46を開閉するヒンジとして機能する。連結部48と反対側の外周には、爪部50が形成されている。
【0027】
蓋部46と対面する収容部44の内表面には、円柱状の凸部44aが形成されている。この凸部44aを切削ブレード8の開口36aに挿通し、蓋部46を閉じることで、切削ブレード8をブレードケース42内に収容できる。
【0028】
図4に示すように、蓋部46の連結部48側には、非接触(無線)で受信した切削ブレード8の使用履歴情報を記憶し、また、記憶した使用履歴情報を非接触(無線)で送信するICタグ52が設けられている。なお、このICタグ52は、収容部44に設けられても良い。また、ICタグ52は、無線ICタグ、RFIDタグ等と表記されることもある。
【0029】
図5は、ブレードケースホルダー20の構成例を模式的に示す斜視図である。本実施形態のブレードケースホルダー20は、例えば、切削ブレード8の装着後に空となったブレードケース42を保持するために使用される。
【0030】
図5に示すように、ブレードケースホルダー20は、ブレードケース42が挿通されるスリット状の開口を備えた保持部20bを含む。保持部20bの下方には、保持部20bに挿通されたブレードケース42の爪部50側を下方から支持する支持部20cが配置されている。支持部20cには、爪部50に対応して切り欠かれた切り欠き部20dが形成されている。
【0031】
また、ブレードケースホルダー20は、蓋部材46の外表面に形成された凸部46a(図4)に対応する溝部20aを備えている。ブレードケース42は、この溝部20aに沿って凸部46aをスライドさせるように、爪部50側を下に向けた状態で保持部20bに挿通される。
【0032】
溝部20aには、ブレードケース42に設けられたICタグ52から使用履歴情報を読み出し、また、使用履歴情報をICタグ52へと書き込むためのリーダライタ(読み書き手段)54が設けられている。このリーダライタ54は、ブレードケースホルダー20で保持したブレードケース42のICタグ52と対応する位置に配置され、制御装置22と接続されている。
【0033】
制御装置22は、リーダライタ54でICタグ52から読み出した切削ブレード8の使用履歴情報を被加工物11の加工条件に反映させる。また、制御装置22は、被加工物11を加工した後の切削ブレード8の使用履歴情報をリーダライタ54でICタグ52に書き込む。
【0034】
使用履歴情報の読み出し及び書き込みは、例えば、オペレータからの指示に基づいて行われる。ただし、所定のタイミングで行われるように自動制御されても良い。また、リーダライタ54は、使用履歴情報を送受信するための最小限の構成要素(例えば、アンテナ)を備えていれば良い。この場合、他の構成要素はリーダライタ54の外部に配置される。
【0035】
次に、上述した切削装置2で切削ブレード8の使用履歴情報を管理する管理方法について説明する。例えば、使用履歴のある切削ブレード8を切削装置2に装着する場合を想定する。すなわち、切削ブレード8を収容するブレードケース42のICタグ52には、既に何らかの使用履歴情報が記憶されている。
【0036】
まず、ブレードケース42から切削ブレード8を取り出して切削ユニット10に装着する。切削ブレード8を装着した後には、空となったブレードケース42をブレードケースホルダー20に保持させる。
【0037】
この状態で、例えば、モニター18に表示される「読み出し」アイコンをタッチして使用履歴情報の読み出しを指示すると、リーダライタ54は、ICタグ52に記憶されている使用履歴情報を読み出して制御装置22に通知する。制御装置22は、この使用履歴情報を被加工物11の加工条件に反映させる。
【0038】
使用履歴情報は、例えば、「切削ブレード8で加工した被加工物の属性」、「切削ブレード8の残存量」、「切削ブレード8の摩耗量」、「切削ブレード8の寿命」、「切削ブレード8の使用日時」、「切削ブレード8の使用時間」、「切削ブレード8が装着されていた装置」、「加工の際に発生したトラブルの状況」等の情報である。
【0039】
使用履歴情報に「切削ブレード8の残存量」が含まれている場合、例えば、制御装置22は、この「切削ブレード8の残存量」に基づき、被加工物11に対する切削ブレード8の切り込み深さを調整する。これにより、切削ブレード8の残存量に合わせて被加工物11を適切に切削できるようになる。
【0040】
被加工物11の切削が完了すると、切削ブレード8を切削ユニット10から取り外す。この場合、例えば、モニター18に表示される「書き込み」アイコンをタッチして使用履歴情報の書き込みを指示すると、制御装置22は、切削後の新たな使用履歴情報をリーダライタ54に通知する。
【0041】
リーダライタ54は、制御装置22から通知された新たな使用履歴情報をICタグ52に書き込む。切削ユニット10から取り外された切削ブレード8は、新たな使用履歴情報が書き込まれたブレードケース42に収容され、保管される。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る切削装置2は、切削ブレード8が装着される切削ユニット(切削手段)10と、切削ユニット10を制御する制御装置(制御手段)22と、切削ブレード8が収容されるブレードケース42を保持するブレードケースホルダー20と、を備え、制御装置22は、ブレードケースホルダー20で保持したブレードケース42のICタグ52から切削ブレード8の使用履歴情報を読み出し、切削ブレード8の使用履歴情報をICタグ52へと書き込むリーダライタ(読み書き手段)54に接続されている。
【0043】
そのため、リーダライタ54でICタグ52から読み出した切削ブレード8の使用履歴情報を加工条件に反映させ、また、被加工物11を加工した後の切削ブレード8の使用履歴情報をリーダライタ54でICタグ52に書き込むことができる。これにより、切削ブレード8の使用履歴を容易かつ適切に管理できる。
【0044】
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態の切削装置2では、ブレードケースホルダー20にリーダライタ54を配置しているが、リーダライタ54は、少なくともICタグ52との間で切削ブレード8の使用履歴情報を送受信できる位置に配置されていれば良い。
【0045】
は、変形例に係る切削装置において、ブレードケースホルダー20の周辺の構造を模式的に示す図である。図に示すように、変形例に係る切削装置62では、ブレードケースホルダー20が固定されるカバー6の側面6bにリーダライタ(読み書き手段)54が配置されている。このように、ブレードケースホルダー20と対向する領域にリーダライタ54を配置する場合にも、ICタグ52との間で使用履歴情報を適切に送受信できる。
【0046】
その他、上記実施形態に係る構成、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0047】
2,62 切削装置
4 基台
6 カバー
6a 前面
6b 側面
8 切削ブレード
10 切削ユニット(切削手段)
12 チャックテーブル
14 カセットエレベーター
16 カセット
18 モニター
20 ブレードケースホルダー
20a 溝部
20b 保持部
20c 支持部
20d 切り欠き部
22 制御装置(制御手段)
24 スピンドルハウジング
26 スピンドル
28 フランジ
30 フランジ部
32 ボス部
34 ボルト
36 支持基台
36a 開口
38 切り刃
40 固定リング
42 ブレードケース
44 収容部
44a 凸部
46 蓋部
48 連結部
50 爪部
52 ICタグ
54 リーダライタ(読み書き手段)
11 被加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6