特許第6407291号(P6407291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6407291
(24)【登録日】2018年9月28日
(45)【発行日】2018年10月17日
(54)【発明の名称】ポリオレフィン
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/6592 20060101AFI20181004BHJP
   C08F 210/02 20060101ALI20181004BHJP
【FI】
   C08F4/6592
   C08F210/02
【請求項の数】9
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-545698(P2016-545698)
(86)(22)【出願日】2014年9月29日
(65)【公表番号】特表2016-536442(P2016-536442A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】KR2014009119
(87)【国際公開番号】WO2015046995
(87)【国際公開日】20150402
【審査請求日】2016年8月18日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0116760
(32)【優先日】2013年9月30日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2014-0129367
(32)【優先日】2014年9月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クム、トン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュン−フン
(72)【発明者】
【氏名】パク、サン−ウン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、スン−ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ユン−ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ト、ヨン−シル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヘ−ウン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン−ウ
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0051467(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0038798(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 4/659−4/6592
C08F 10/00−10/14
C08F 110/00−110/14
C08F 210/00−210/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式3または4で表される第1メタロセン化合物、および下記化学式2で表される第2メタロセン化合物を含む混成メタロセン化合物と、エチレンおよびアルファオレフィン共単量体を共重合したポリオレフィンとの組成物であり、
分子量分布が2.0乃至2.8であり、下記式1で計算したBGN(Branch gradient number)値が0.03乃至0.1であり、
1,000個炭素当り炭素数2以上の分枝含量の個数が50乃至100個である組成物
【数5】

上記式1において、
分子量(Molecular weight、Mw)のログ値(log Mw)をx軸にし、dwt/dlog Mwをy軸にして分子量分布曲線を描いた時、
低分子量の分枝含量は全体面積に対して左右端10%を除いた中間80%の左側境界での分枝含量(炭素1,000個当りの炭素数2以上の分枝(branch)含量、単位:個/1,000C)を意味し、高分子量の分枝含量は右側境界での分枝含量を意味する。
【化11】
上記化学式2において、
M2は、4族遷移金属であり;
Q3およびQ4は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであってもよく;
R4乃至R10は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;または炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキルであり;
Bは、炭素、シリコン、またはゲルマニウムであり、シクロペンタジエニル系リガンドとJR10z-yを共有結合によって結ぶ橋であり;
Jは、周期律表15族元素または16族元素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数であり;
nは、0乃至10の整数である。
【化12】
上記化学式3において、
R1およびR2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドであり;前記R1とR2または2個のR2が炭素数1乃至20のアルキルまたは炭素数6乃至20のアリール官能基を含むアルキリジンによって互いに連結されて環を形成することができ;
Q1およびQ2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであり;
M1は、4族遷移金属であり;
R11は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;またはアミドグループであり;前記R11のうちの2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【化13】
上記化学式4において、
R1およびR2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドであり;前記R1とR2または2個のR2が炭素数1乃至20のアルキルまたは炭素数6乃至20のアリール官能基を含むアルキリジンによって互いに連結されて環を形成することができ;
Q1およびQ2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであり;
M1は、4族遷移金属であり;
R12は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;またはアミドグループであり;前記R12のうちの2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【請求項2】
前記ポリオレフィンの密度が0.85乃至0.91g/ccである請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記アルファオレフィン共単量体の含量は全体ポリオレフィンに対して5乃至70重量%である、請求項1または2に記載の組成物
【請求項4】
前記ポリオレフィンは、下記化学式3または4で表される第1メタロセン化合物、および下記化学式2で表される第2メタロセン化合物を含む混成メタロセン触媒の存在下に、エチレンおよびアルファオレフィン共単量体を重合して請求項1のポリオレフィンが得られるポリオレフィンの製造方法。
【化14】

上記化学式2において、
M2は、4族遷移金属であり;
Q3およびQ4は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであってもよく;
R4乃至R10は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;または炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキルであり;
Bは、炭素、シリコン、またはゲルマニウムであり、シクロペンタジエニル系リガンドとJR10z-yを共有結合によって結ぶ橋であり;
Jは、周期律表15族元素または16族元素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数であり;
nは、0乃至10の整数であり、
【化15】

上記化学式3において、
R1およびR2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドであり;前記R1とR2または2個のR2が炭素数1乃至20のアルキルまたは炭素数6乃至20のアリール官能基を含むアルキリジンによって互いに連結されて環を形成することができ;
Q1およびQ2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであり;
M1は、4族遷移金属であり;
R11は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;またはアミドグループであり;前記R11のうちの2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【化16】

上記化学式4において、
R1およびR2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドであり;前記R1とR2または2個のR2が炭素数1乃至20のアルキルまたは炭素数6乃至20のアリール官能基を含むアルキリジンによって互いに連結されて環を形成することができ;
Q1およびQ2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであり;
M1は、4族遷移金属であり;
R12は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;またはアミドグループであり;前記R12のうちの2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【請求項5】
前記混成メタロセン触媒は前記第2メタロセン化合物を前記第1および第2メタロセン化合物の総量を基準に0mol%超過乃至50mol%未満で含む請求項4に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項6】
エチレンおよびアルファオレフィン共単量体の重合は連続溶液重合工程で遂行する請求項4または5に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項7】
前記混成メタロセン触媒は、下記の化学式5乃至7で表される化合物から選択される1種以上の助触媒をさらに含む請求項4〜6のいずれか一項に記載のポリオレフィンの製造方法。
[化学式5]
−[Al(R13)−O]c−
上記化学式5において、R13はハロゲンラジカル、炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカルであり、cは2以上の整数であり、
[化学式6]
D(R14)3
上記化学式6において、
Dはアルミニウムまたはボロンであり、R14は炭素数1乃至20のヒドロカルビルまたはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルであり、
[化学式7]
[L−H]+[ZE4-または[L]+[ZE4-
上記化学式7において、
Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、Hは水素原子であり、Zは13族元素であり、Eは互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して1以上の水素原子価ハロゲン、炭素数1乃至20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換または非置換された炭素数6乃至20のアリール基または炭素数1乃至20のアルキル基である。
【請求項8】
エチレンおよびアルファオレフィン共単量体の重合は130乃至250℃で遂行される請求項4〜7のいずれか一項に記載のポリオレフィンの製造方法。
【請求項9】
前記アルファオレフィン共単量体は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンからなる群より選択される1種以上である、請求項4〜8のいずれか一項に記載のポリオレフィンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィンに関するものであって、より詳しくは狭い分子量分布を有しながら特徴的な共単量体分布図を示すポリオレフィンに関するものである。
【0002】
本出願は、2013年9月30日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0116760号および2014年9月26日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2014−0129367号の出願日の利益を主張し、その内容全部は本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0003】
ダウ(Dow)社が1990年代初期[Me2Si(Me45)NtBu]TiCl2(Constrained−Geometry Catalyst、CGC)を発表し(米国特許5,064,802)、エチレンとアルファオレフィンの共重合反応において前記CGCが既存に知られたメタロセン触媒に比べて前記CGCの優れた側面は大きく次のように2つに要約される:(1)高い重合温度でも高い活性度を示しながら高分子量の共重合体を生成し、(2)1−ヘキセンおよび1−オクテンのような立体的障害が大きいアルファオレフィンの共重合性にも非常に優れるという点である。それ以外にも、重合反応時、CGCの様々な特性が次第に知られ、その誘導体を合成して重合触媒として用いようとする努力が学界および産業界で活発に行われている。
【0004】
そのうちの一つの接近方法として、シリコンブリッジの代わりに他の多様なブリッジおよび窒素置換体が導入された金属化合物の合成とこれを用いた重合が試みられた。最近まで知られた代表的な金属化合物を列挙すれば下記の通りである(Chem.Rev.2003、103、283)。
【0005】
【化1】
【0006】
上記図に羅列された化合物は、CGC構造のシリコンブリッジの代わりに、フォスフォラス(1)、エチレンまたはプロピレン(2)、メチリデン(3)、およびメチレン(4)ブリッジがそれぞれ導入されているが、エチレン重合またはエチレンとアルファオレフィンの共重合への適用時にCGCに比べて重合活性度や共重合性能などの面で優れた結果を示さなかった。
【0007】
他の接近方法としては、前記CGCのアミドリガンドの代わりにオキシドリガンドから構成された化合物が多く合成され、これを用いた重合も一部試みられた。
【0008】
しかし、このような全ての試みの中で実際に商業工場に適用されている触媒は若干に過ぎない水準である。大部分の遷移金属化合物を用いて重合されるエチレンとアルファオレフィンの共重合体の場合、既存の高圧工程によって得られるLDPEに比べて狭い分子量分布を示すが、高分子構造の面では長鎖分枝を含まないか、相対的に少ない含量の長鎖分枝を含む。最近は長鎖分枝を有する高分子構造および多様な特性を有するポリオレフィン系共重合体を得ようとする努力が学界および産業界で活発に行われており、そのための新たな触媒および工程の開発が依然として要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,064,802号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Chem.Rev.2003、103、283
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、メタロセン触媒を用いて分子量による共単量体の分布を 調節することによって、分子量分布が狭いながらも新たな組成の共単量体分布を有するポリオレフィンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための本発明の一側面は、分子量分布が1.5乃至3.0であり、下記式1で計算したBGN(Branch gradient number)値が0.01乃至1.0であるポリオレフィンを提供する:
【0013】
【数1】
【0014】
上記式1において、
分子量(Molecular weight、Mw)のログ値(log Mw)をx軸にし、前記ログ値に対する分子量分布(dwt/dlog Mw)をy軸にして分子量分布曲線を描いた時、
低分子量の分枝含量は全体面積に対して左右端10%を除いた中間80%の左側境界での分枝含量(炭素1,000個当りの炭素数2以上の分枝(branch)含量、単位:個/1,000C)を意味し、高分子量の分枝含量は右側境界での分枝含量を意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、狭い分子量分布を有し固有の共単量体分布を示し衝撃強度および機械的物性に優れたポリオレフィンを提供することができる。したがって、本発明のポリオレフィンは、単独でまたは他の高分子とブレンディングして高い衝撃強度および弾性を要求する生活用品、自動車、衝撃吸収材などの分野に多様に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1のポリオレフィンのGPC−FTIR測定結果を示すグラフである。
図2】実施例2のポリオレフィンのGPC−FTIR測定結果を示すグラフである。
図3】比較例1のポリオレフィンのGPC−FTIR測定結果を示すグラフである。
図4】比較例2のポリオレフィンのGPC−FTIR測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において、第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明することに用いられ、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0018】
また、本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、“含む”、“備える”または“有する”などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0019】
本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有し得るところ、特定実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0020】
以下、発明の具体的な実施形態によるポリオレフィンについて詳細に説明する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、分子量分布が1.5乃至3であり、下記式1で計算したBGN(Branch gradient number)値が0.01乃至1.0であるポリオレフィンを提供する。
【0022】
【数2】
【0023】
本発明の明細書で使用されるBGN(Branch gradient number)という用語において、BGNはアルファオレフィンのような共単量体の含量が分子量によって如何なる形態に分布するかを示す尺度である。前記BGNにおいて意味する分枝(branch)は、ポリオレフィン重合工程時に共単量体としてプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのようなアルファオレフィンを用いる場合、これに由来して作られる、主鎖についている分枝を意味する。また、前記分枝は炭素数2乃至6のSCB(short carbon branch)および炭素数7以上のLCB(long carbon branch)を全て含むことにする。
【0024】
GPC−FTIR装備を用いて分子量、分子量分布および分枝含量を同時に連続的に測定することができる。
【0025】
BGN(Branch gradient number)値は、GPC−FTIR装備を用いて分子量、分子量分布および分枝含量を同時に連続的に測定して分子量(Molecular weight、Mw)のログ値(log Mw)をx軸にし、前記ログ値に対する分子量分布(dwt/dlog Mw)をy軸にして分子量分布曲線を描いた時、低分子量の分枝含量を全体面積に対して左右端10%を除いた中間80%の左側境界での分枝含量(単位:個/1,000C)にし、高分子量の分枝含量は中間80%の右側境界での分枝含量にして、下記式1によって計算した値を意味する。ここで、前記分枝の含量は炭素1,000個当りの炭素数2つ以上の分枝含量を意味するものとする。
【0026】
【数3】
【0027】
BGN値が正(+)の値であれば、分子量のログ値に対する分子量分布曲線による低分子量領域で分枝含量が低く、高分子量領域では分枝含量が相対的に高い分布を示すことを意味し、逆にBGN値が負(−)の値であれば、低分子量領域で分枝含量が高く、高分子量領域では分枝含量が相対的に低い分布を示す構造を意味する。
【0028】
本発明のポリオレフィンは、前記のような方法で測定および計算したBGN値が0.01乃至1.0、または約0.01乃至約0.9、または約0.01乃至約0.5、または約0.01乃至約0.2、または約0.01乃至約0.1、または約0.03乃至約0.1の範囲を有する。即ち、本発明のポリオレフィンは低分子量領域で分枝含量が低く、高分子量領域では分枝含量が相対的に高い構造であり、その傾きが前述の範囲内にあることを特徴とする。
【0029】
BGN値が前記範囲にありながら狭い範囲の分子量分布を同時に満足する時、ポリオレフィンの物性が最適化されて高い衝撃強度および良好な機械的物性を達成することができる。これにより、ポリプロピレン樹脂のような他の高分子とコンパウンディングされた時、高い衝撃強度および良好な機械的物性を達成することができる。
【0030】
また、本発明のポリオレフィンは、1,000個炭素当り炭素数2以上の分枝含量の個数の範囲が約20乃至約120個、好ましくは約50乃至約100個であり得る。
【0031】
本発明のポリオレフィンはまた、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が約1.0乃至約3.0、または約1.5乃至約3.0、または約1.5乃至約2.8、または約2.0乃至約2.8の範囲を有する。このように本発明のポリオレフィンは非常に狭い分子量分布を有することによって高い衝撃強度を示すことができる。
【0032】
また、前記ポリオレフィンは、ASTM D1238によって190℃、2.16kg荷重条件で測定した溶融流れ指数(MI)が約0.1乃至約2000g/10min、好ましくは約0.1乃至約1000g/10min、より好ましくは約0.1乃至500g/10minであり得るが、これに限定されるのではない。
【0033】
また、前記ポリオレフィンの溶融流動率比(MFRR)は約5乃至約15、好ましくは約6乃至約13であり得るが、これに限定されるのではない。
【0034】
また、前記ポリオレフィンの密度(density)は約0.85乃至約0.91g/cc、好ましくは約0.86乃至約0.91g/cc、より好ましくは約0.86乃至約0.90g/ccであり得るが、これに限定されるのではない。
【0035】
但し、前記のように溶融流れ指数、溶融流動率比、密度などが前述の範囲にある時、物性がより最適化されて高い衝撃強度および良好な機械的物性を達成することができる。
【0036】
本発明によるポリオレフィンは、オレフィン系単量体であるエチレンとアルファオレフィン共単量体の共重合体であるのが好ましい。
【0037】
前記アルファオレフィン共単量体としては炭素数3以上のアルファオレフィンを用いることができる。炭素数3以上のアルファオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンまたは1−エイコセンなどがある。
【0038】
前記エチレンおよびアルファオレフィン系共単量体の共重合体において、アルファオレフィン共単量体の含量は約5乃至約70重量%、好ましくは約5乃至約60重量%、より好ましくは約10乃至約50重量%であり得る。
【0039】
本発明によるポリオレフィンの重量平均分子量は約10,000乃至約500,000g/mol、好ましくは約20,000乃至約200,000g/molであり得るが、これにのみ限定されるのではない。
【0040】
本発明によるポリオレフィンは、他の高分子と混合する場合に衝撃強度に優れるため、生活用品、自動車、衝撃吸収材などの分野に多様に用いることができる。
【0041】
前述の特徴を有する本発明によるポリオレフィンは、互いに異なる構造のメタロセン化合物2種を含む混成メタロセン化合物を触媒として使用して、エチレンおよびアルファオレフィンとの共重合によって得ることができ、このようなポリオレフィンは前述のような分子量分布およびBGN値を有し得る。
【0042】
より具体的に、本発明のポリオレフィンは、下記化学式1で表される第1メタロセン化合物;および下記化学式2で表される第2メタロセン化合物を含む混成メタロセン触媒の存在下に、エチレンおよびアルファオレフィン共単量体を重合して収得することができる。
【0043】
【化2】
【0044】
上記化学式1において、
R1およびR2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;またはヒドロカルビルで置換された4族金属のメタロイドであり;前記R1とR2または2個のR2が炭素数1乃至20のアルキルまたは炭素数6乃至20のアリール官能基を含むアルキリジンによって互いに連結されて環を形成することができ;
R3、R3'およびR3”は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;またはアミドグループであり;前記R3、R3'およびR3”のうちの2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができ;
CYは置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族環であり、前記CYにおいて置換される置換基はハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;または炭素数1乃至20のアルキルアミド基;炭素数6乃至20のアリールアミド基であり、前記置換基が複数個である場合には前記置換基のうちの2つ以上の置換基が互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成することができ;
M1は、4族遷移金属であり;
Q1およびQ2は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであり得る。
【0045】
【化3】
【0046】
上記化学式2において、
M2は、4族遷移金属であり;
Q3およびQ4は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルキルアミド;炭素数6乃至20のアリールアミド;または炭素数1乃至20のアルキリデンであってもよく;
R4乃至R10は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリール;炭素数1乃至20のアルキルシリル、炭素数6乃至20のアリールシリル;または炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキルであり;
Bは、炭素、シリコン、またはゲルマニウムであり、シクロペンタジエニル系リガンドとJR10z-yを共有結合によって結ぶ橋であり;
Jは、周期律表15族元素または16族元素であり;
zは、J元素の酸化数であり;
yは、J元素の結合数であり;
nは、0乃至10の整数である。
【0047】
前記化学式1の第1メタロセン化合物および前記化学式2の第2メタロセン化合物を含む混成メタロセン触媒を用いてエチレンおよびアルファオレフィン共単量体を重合すれば、前述のように低分子量領域で分枝含量が低く、高分子量領域では分枝含量が相対的に高い構造を有するポリオレフィンを得ることができる。
【0048】
一方、前記エチレンおよびアルファオレフィン共単量体の重合反応は約130乃至約250℃、好ましくは約140乃至約200℃で行われ得る。前記第2メタロセン化合物は第1メタロセン化合物と混合されて使用される場合、130℃以上の高温の合成過程でも触媒の活性が維持され、ポリオレフィンの合成反応で触媒の活性点が2以上になり得るようにする。特に、高密度ポリオレフィン合成用メタロセン触媒は高温領域で活性が低いため、高い反応温度を適用する溶液重合段階では使用されないのが一般的であるが、前記化学式2の第2メタロセン化合物は前記化学式1の第1メタロセン化合物と混合されると130℃以上の高温領域でも優れた触媒活性を示すことができる。
【0049】
また、前記エチレンおよびアルファオレフィン共単量体の重合反応は連続式溶液重合工程、バルク重合工程、懸濁重合工程または乳化重合工程で行うことができるが、好ましくは単一反応器で行われる溶液重合(solution polymerization)反応によって行うことができる。前記ポリオレフィンの製造方法では互いに異なる2種のメタロセン触媒を用いるが単一反応器内でポリオレフィンを合成することができるので、簡単な製造工程を構成して工程時間および費用を減らすことができる。
【0050】
前記化学式1の第1メタロセン化合物の具体的な例としては、下記化学式3または化学式4の化合物が挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0051】
【化4】
【0052】
上記化学式3において、
R1、R2、Q1、Q2およびM1は、前記化学式1で定義したとおりであり、
上記R11は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;またはアミドグループであり;前記R11のうちの2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【0053】
【化5】
【0054】
上記化学式4において、
R1、R2、Q1、Q2およびM1は、前記化学式1で定義したとおりであり、
上記R12は、互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して水素;ハロゲン;炭素数1乃至20のアルキル;炭素数2乃至20のアルケニル;炭素数6乃至20のアリール;炭素数7乃至20のアルキルアリール;炭素数7乃至20のアリールアルキル;炭素数1乃至20のアルコキシ;炭素数6乃至20のアリールオキシ;またはアミドグループであり;前記R12のうちの2つ以上が互いに連結されて脂肪族環または芳香族環を形成することができる。
【0055】
そして、前記化学式1の化合物において金属周囲の電子的立体環境の制御のためにさらに好まれる化合物の具体的な例は次の通りである。
【0056】
下記化学式において、R2はそれぞれ独立して水素またはメチル基であってもよく、Q1またはQ2は互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立してメチル基、ジメチルアミド基またはクロリド基であり得る。
【0057】
【化6】
【0058】
前記化学式2の第2メタロセン化合物の具体的な例として下記化学式の化合物が挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0059】
【化7】
【0060】
本発明の一実施形態によれば、前記ポリオレフィンの製造方法において、前記混成メタロセン触媒は前述の第1および第2メタロセン化合物以外に助触媒化合物を追加的に含むことができる。
【0061】
前記助触媒化合物は周期律表13族金属を含むものであって、下記化学式5の化合物、下記化学式6の化合物および下記化学式7の化合物からなる群より選択された1種以上であり得る。
【0062】
【化8】
【0063】
上記化学式5において、R13はハロゲンラジカル、炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカルであり、cは2以上の整数であり、
【0064】
【化9】
【0065】
上記化学式6において、
Dはアルミニウムまたはボロンであり、R14は炭素数1乃至20のヒドロカルビルまたはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルであり、
【0066】
【化10】
【0067】
上記化学式7において、
Lは中性または陽イオン性ルイス塩基であり、Hは水素原子であり、Zは13族元素であり、Eは互いに同一または異なってもよく、それぞれ独立して1以上の水素原子価ハロゲン、炭素数1乃至20の炭化水素、アルコキシまたはフェノキシで置換または非置換された炭素数6乃至20のアリール基または炭素数1乃至20のアルキル基である。
【0068】
前記化学式5で表される化合物としては、例えば、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどであり得る。
【0069】
前記化学式6で表されるアルキル金属化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、ジメチルイソブチルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、ジエチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどであり得る。
【0070】
前記化学式7で表される化合物としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルボロン、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどであり得る。
【0071】
また、前記助触媒の含量は、前記第1および第2メタロセン化合物の13族金属/4族金属のモル比は約1乃至約10,000、好ましくは約1乃至約1,000、より好ましくは約1乃至約500になるように含むことができる。前記モル比が1未満である場合には助触媒の添加の効果が微少であり、10,000を超過する場合には反応に参与せず残留する過量のアルキル基などがむしろ触媒反応を阻害して触媒毒として作用することがあり、これにより副反応が行われ過量のアルミニウムまたはホウ素が重合体に残留するようになる問題が発生することがある。
【0072】
前記混成メタロセン触媒の製造時に反応溶媒としてペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのような炭化水素系溶媒またはベンゼン、トルエンなどのような芳香族系溶媒を用いることができるが、必ずしもこれに限定されるのではなく、当該技術分野で使用可能な全ての溶媒を用いることができる。
【0073】
本発明によるポリオレフィンの製造方法において、前記混成メタロセン触媒はオレフィン重合工程に適した炭素数5乃至12の脂肪族炭化水素溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体とトルエン、ベンゼンのような芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンのような塩素原子で置換された炭化水素溶媒などに溶解するか希釈して注入可能である。ここに使用される溶媒は少量のアルキルアルミニウム処理することによって触媒毒として作用する少量の水または空気などを除去して使用するのが好ましく、助触媒をさらに使用して実施することも可能である。
【0074】
前記混成メタロセン触媒を用いて前述の物性を満足するポリオレフィンを製造することができる。混成メタロセン触媒を用いる時、アルファオレフィンとの共重合は、特に高分子量部分を作る第2メタロセン化合物によって誘導され、アルファオレフィン共単量体が高分子量鎖側に集中的に結合された高性能のポリオレフィン製造を可能にする。
【0075】
前記のポリオレフィン製造は溶液重合によって行うことができ、例えばエチレンとアルファオレフィン共単量体を一定比率で連続供給しながら定法により行うことができる。
【0076】
前記混成メタロセン触媒を用いてエチレンと共単量体としてアルファオレフィンを共重合する時、前記アルファオレフィン共単量体として例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンまたは1−エイコセンなどを使用することができるが、これに制限されるのではない。
【0077】
前記混成メタロセン触媒を用いてエチレンと共単量体としてアルファオレフィンを共重合する時の重合温度は約130乃至約250℃、好ましくは約140乃至約200℃の範囲であり得る。前述のように、前記第2メタロセン化合物は第1メタロセン化合物と混合されて使用される場合、130℃以上の高温の合成過程でも触媒の活性が維持され、ポリオレフィンの合成反応で触媒の活性点が2以上になり得るようにする。特に、高密度ポリオレフィン合成用メタロセン触媒は高温領域で活性が低いため高い反応温度を適用する溶液重合段階では使用されないのが一般的であるが、前記化学式2の第2メタロセン化合物は前記化学式1の第1メタロセン化合物と混合されると130℃以上の高温領域でも優れた触媒活性を示すことができる。
【0078】
また、重合圧力は約1乃至約150barで遂行するのが好ましく、約1乃至約120barがより好ましく、約10乃至約120barが最も好ましい。
【0079】
一方、前記エチレンおよびアルファオレフィン共単量体の重合反応では前記第2メタロセン化合物の含量を調節することで、製造されるポリオレフィンの物性を調節することができる。
【0080】
特に、前記混成メタロセン触媒では第2メタロセン化合物を相対的に低い含量で含む。より具体的に、前記第2メタロセン化合物は前記第1および第2メタロセン化合物の総量を基準に0mol%超過乃至約50mol%未満で、好ましくは約5乃至約30mol%、より好ましくは約5乃至約25mol%で使用することができる。このような含量比で第2メタロセン化合物を含む時、狭い分子量分布を示しながらも前述の範囲の量のBGN値を有するポリオレフィンを提供することができる。
【0081】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0082】
<実施例>
<メタロセン化合物の製造例>
製造例1:第1メタロセン化合物の合成
製造例1−1
8−(2,3,4,5−テトラメチル−1,3−シクロペンタジエニル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン((8−(2,3,4,5−Tetramethyl−1,3−cyclopentadienyl)−1,2,3,4−tetrahydroquinoline))の製造
1,2,3,4−テトラハイドロキノリン(13.08g、98.24mmol)とジエチルエーテル(150mL)をシュレンクフラスコに入れた。ドライアイスとアセトンで作った−78℃低温槽に前記シュレンクフラスコを浸し30分間攪拌した。その次に、n−BuLi(n−ブチルリチウム、39.3mL、2.5M、98.24mmol)を窒素雰囲気下に注射器で投入し、淡い黄色のスラリーが形成された。その次に、フラスコを2時間攪拌した後に、生成されたブタンガスを除去しながら常温にフラスコの温度を上げた。フラスコを再び−78℃低温槽に浸して温度を下げた後、CO2ガスを投入した。二酸化炭素ガスを投入することによってスラリーがなくなりながら透明な溶液になった。フラスコをバブラー(bubbler)に連結して二酸化炭素ガスを除去しながら温度を常温に上げた。その後に、真空下で余分のCO2ガスと溶媒を除去した。ドライボックスにフラスコを運んだ後、ペンタンを加え激しく攪拌した後にろ過して白い固体化合物のリチウムカルバメートを得た。前記白い固体化合物はジエチルエーテルが配位結合されている。この時、収率は100%である。
【0083】
1H NMR(C6D6、C5D5N):δ1.90(t、J=7.2Hz、6H、ether)、1.50(br s、2H、quin−CH2)、2.34(br s、2H、quin−CH2)、3.25(q、J=7.2Hz、4H、ether)、3.87(br、s、2H、quin−CH2)、6.76(br d、J=5.6Hz、1H、quin−CH)ppm
13C NMR(C6D6):δ24.24、28.54、45.37、65.95、121.17、125.34、125.57、142.04、163.09(C=O)ppm。
【0084】
前記で製造されたリチウムカルバメート化合物(8.47g、42.60mmol)をシュレンクフラスコに入れた。その次に、テトラヒドロフラン(4.6g、63.9mmol)とジエチルエーテル45mLを順次に入れた。アセトンと少量のドライアイスで作った−20℃低温槽に前記シュレンクフラスコを浸して30分間攪拌した後、tert−BuLi(25.1mL、1.7M、42.60mmol)を入れた。この時、反応混合物の色が赤色に変わった。−20℃を維持し続けながら6時間攪拌した。テトラヒドロフランに溶かされているCeCl3・2LiCl溶液(129mL、0.33M、42.60mmol)とテトラメチルシクロペンタノン(5.89g、42.60mmol)を注射器中で混合した後、窒素雰囲気下でフラスコに投入した。フラスコの温度を常温に徐々に上げて1時間後に恒温槽を除去し温度を常温に維持した。その次に、前記フラスコに水(15mL)を添加した後、酢酸エチルを入れろ過して濾液を得た。その濾液を分液漏斗に移した後に塩酸(2N、80mL)を入れて12分間振った。そして、飽和された炭酸水素ナトリウム水溶液(160mL)を入れて中和した後に有機層を抽出した。この有機層に無水硫酸マグネシウムを入れて水分を除去しろ過した後、その濾液を取って溶媒を除去した。得られた濾液をヘキサンと酢酸エチル(v/v、10:1)溶媒を用いてカラムクロマトグラフィー方法で精製して黄色オイルを得た。収率は40%であった。
【0085】
1H NMR(C6D6):δ1.00(br d、3H、Cp−CH3)、1.63〜1.73(m、2H、quin−CH2)、1.80(s、3H、Cp−CH3)、1.81(s、3H、Cp−CH3)、1.85(s、3H、Cp−CH3)、2.64(t、J=6.0Hz、2H、quin−CH2)、2.84〜2.90(br、2H、quin−CH2)、3.06(br s、1H、Cp−H)、3.76(br s、1H、N−H)、6.77(t、J=7.2Hz、1H、quin−CH)、6.92(d、J=2.4Hz、1H、quin−CH)、6.94(d、J=2.4Hz、1H、quin−CH)ppm。
【0086】
製造例1−2
[(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)テトラメチルシクロペンタジエニル−エタ5,カパ−N]チタニウムジメチル)([(1,2,3,4−Tetrahydroquinolin−8−yl)tetramethylcyclopentadienyl−eta5,kapa−N]titanium dimethyl)の製造
ドライボックスの中で前記製造例1−1で製造された化合物(8.07g、32.0mmol)とジエチルエーテル140mLを丸底フラスコに入れた後、−30℃に温度を下げ、n−BuLi(17.7g、2.5M、64.0mmol)を攪拌しながら徐々に入れた。温度を常温に上げながら6時間反応させた。その後に、ジエチルエーテルで数回洗浄しながらろ過して固体を得た。真空をかけて残っている溶媒を除去すると黄色固体のジリチウム化合物(化合物4a)(9.83g)が得られた。収率は95%であった。
【0087】
1H NMR(C6D6、C5D5N):δ2.38(br s、2H、quin−CH2)、2.53(br s、12H、Cp−CH3)、3.48(br s、2H、quin−CH2)、4.19(br s、2H、quin−CH2)、6.77(t、J=6.8Hz、2H、quin−CH)、7.28(br s、1H、quin−CH)、7.75(brs、1H、quin−CH)ppm。
【0088】
ドライボックス中でTiCl4・DME(4.41g、15.76mmol)とジエチルエーテル(150mL)を丸底フラスコに入れて−30℃で攪拌しながらMeLi(21.7mL、31.52mmol、1.4M)を徐々に入れた。15分間攪拌した後に前記で製造された[(1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−8−イル)テトラメチルシクロペンタジエニル−エタ5,カパ−N]ジリチウム化合物(化合物4a)([(1,2,3,4−Tetrahydroquinolin−8−yl)tetramethylcyclopentadienyl−eta5,kapa−N]dilithium)(5.30g、15.76mmol)をフラスコに入れた。温度を常温に上げながら3時間攪拌した。反応が終わった後、真空をかけて溶媒を除去し、ペンタンに溶かした後にろ過して濾液を取った。真空をかけてペンタンを除去すると濃い茶色の化合物(3.70g)が得られた。収率は71.3%であった。
【0089】
1H NMR(C6D6):δ0.59(s、6H、Ti−CH3)、1.66(s、6H、Cp−CH3)、1.69(br t、J=6.4Hz、2H、quin−CH2)、2.05(s、6H、Cp−CH3)、2.47(t、J=6.0Hz、2H、quin−CH2)、4.53(m、2H、quin−CH2)、6.84(t、J=7.2Hz、1H、quin−CH)、6.93(d、J=7.6Hz、quin−CH)、7.01(d、J=6.8Hz、quin−CH)ppm。
【0090】
13C NMR(C6D6):δ12.12、23.08、27.30、48.84、51.01、119.70、119.96、120.95、126.99、128.73、131.67、136.21ppm。
【0091】
製造例2:第2メタロセン化合物の合成
[メチル(6−t−ブトキシヘキシル)シリル(η5−テトラメチルCp)(t−ブチルアミド)]TiCl2([methyl(6−t−buthoxyhexyl)silyl(η5−tetramethylCp)(t−Butylamido)]TiCl2)の製造
常温で50gのMg(s)を10L反応器に加えた後、THF300mLを加えた。I2を0.5g程度加えた後、反応器温度を50℃に維持した。反応器温度が安定化された後、250gの6−t−ブトキシヘキシルクロリド(6−t−buthoxyhexyl chloride)を注入ポンプ(feeding pump)を用いて5mL/minの速度で反応器に加えた。6−t−ブトキシヘキシルクロリドを加えることによって反応器温度が4〜5℃程度上昇するのを観察することができた。継続的に6−t−ブトキシヘキシルクロリドを加えながら12時間攪拌した。反応12時間後、黒色の反応溶液を得ることができた。生成された黒色の溶液2mLを取った後、水を加えて有機層を得て1H−NMRを通じて6−t−ブトキシヘキサン(6−t−buthoxyhexane)を確認することができ、6−t−ブトキシヘキサンからグリニャール反応がよく行われたのが分かった。このようにして6−t−ブトキシヘキシルマグネシウムクロリド(6−t−buthoxyhexyl magnesium chloride)を合成した。
【0092】
MeSiCl3500gと1LのTHFを反応器に加えた後、反応器温度を−20℃まで冷却した。合成した6−t−ブトキシヘキシルマグネシウムクロリドの中の560gを注入ポンプを用いて5mL/minの速度で反応器に加えた。グリニャール試薬の注入が終わった後、反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後に白色のMgCl2塩が生成されるのを確認した。ヘキサン4Lを加えて実験用加圧脱水ろ過装置(labdori、(株)ハンガンエンジニアリング)を通じて塩を除去しフィルター溶液を得ることができた。得られたフィルター溶液を反応器に加えた後、70℃でヘキサンを除去し薄い黄色の液体を得ることができた。得られた液体を1H−NMRを通じて所望のメチル(6−t−ブトキシヘキシル)ジクロロシラン化合物であるのを確認することができた。
【0093】
1H−NMR(CDCl3):3.3(t、2H)、1.5(m、3H)、1.3(m、5H)、1.2(s、9H)、1.1(m、2H)、0.7(s、3H)。
【0094】
テトラメチルシクロペンタジエン1.2モル(150g)と2.4LのTHFを反応器に加えた後、反応器温度を−20℃に冷却した。n−BuLi480mLを注入ポンプを用いて5mL/minの速度で反応器に加えた。n−BuLiを加えた後、反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、当量のメチル(6−t−ブトキシへキシル)ジクロロシラン(Methyl(6−t−buthoxyhexyl)dichlorosilane)(326g、350mL)を速やかに反応器に加えた。反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した後、再び反応器温度を0℃に冷却させた後、2当量のt−BuNH2を加えた。反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、THFを除去し4Lのヘキサンを加えてlabdoriを通じて塩を除去したフィルター溶液を得ることができた。フィルター溶液を再び反応器に加えた後、ヘキサンを70℃で除去し黄色の溶液を得ることができた。得られた黄色の溶液を1H−NMRを通じてメチル(6−t−ブトキシヘキシル)(テトラメチルCpH)t−ブチルアミノシラン(Methyl(6−t−buthoxyhexyl)(tetramethylCpH)t−Butylaminosilane)化合物であるのを確認することができた。
【0095】
n−BuLiとリガンドのジメチル(テトラメチルCpH)t−ブチルアミノシラン(Dimethyl(tetramethylCpH)t−Butylaminosilane)からTHF溶液で合成した−78℃のリガンドのジリチウム塩にTiCl3(THF)3(10mmol)を速やかに加えた。反応溶液を徐々に−78℃から常温に上げながら12時間攪拌した。12時間攪拌後、常温で当量のPbCl2(10mmol)を反応溶液に加えた後、12時間攪拌した。12時間攪拌後、青色を帯びる濃い黒色の溶液を得ることができた。生成された反応溶液からTHFを除去した後、ヘキサンを加えて生成物をフィルターした。得られたフィルター溶液からヘキサンを除去した後、1H−NMRから所望の[メチル(6−t−ブトキシヘキシル)シリル(η5−テトラメチルCp)(t−ブチルアミド)]TiCl2([methyl(6−t−buthoxyhexyl)silyl(η5−tetramethylCp)(t−Butylamido)]TiCl2)化合物であるのを確認した。
【0096】
1H−NMR(CDCl3):3.3(s、4H)、2.2(s、6H)、2.1(s、6H)、1.8〜0.8(m)、1.4(s、9H)、1.2(s、9H)、0.7(s、3H)。
【0097】
<ポリオレフィンの重合実施例>
実施例1
2Lオートクレーブ連続工程反応器にヘキサン溶媒(5.38kg/h)と1−ブテン(0.82kg/h)を満たした後、反応器上段の温度を160℃で予熱した。トリイソブチルアルミニウム化合物(0.05mmol/min)、前記で得られた第1メタロセン化合物(0.45μmol/min)、第2メタロセン化合物(0.05μmol/min)、およびジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒(1.5μmol/min)を同時に反応器に投入した。その次に、前記オートクレーブ反応器の中にエチレン(0.87kg/h)を投入し89barの圧力で連続工程で160℃に30分以上維持した後、共重合反応を行って共重合体を得た。その次に、残ったエチレンガスを取り出し、高分子溶液を真空オーブンで12時間以上乾燥した後に物性を測定した。
【0098】
実施例2
2Lオートクレーブ連続工程反応器にヘキサン溶媒(5.9kg/h)と1−ブテン(1.01kg/h)を満たした後、反応器上段の温度を160℃で予熱した。トリイソブチルアルミニウム化合物(0.05mmol/min)、前記で得られた第1メタロセン化合物(0.4μmol/min)、第2メタロセン化合物(0.1μmol/min)、およびジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート助触媒(1.5μmol/min)を同時に反応器に投入した。その次に、前記オートクレーブ反応器の中にエチレン(1.0kg/h)を投入し89barの圧力で連続工程で160℃に30分以上維持した後、共重合反応を行って共重合体を得た。その次に、残ったエチレンガスを取り出し、高分子溶液を真空オーブンで12時間以上乾燥した後に物性を測定した。
【0099】
比較例1
チーグラー−ナッタ触媒で製造されたLG化学のLLDPE(製品名:SN318)を準備した。
【0100】
比較例2
第1メタロセン触媒のみを用いて製造されたLG化学のエチレン−1−ブテン共重合体(製品名:LC565)を準備した。
【0101】
<実験例>
下記のような方法で実施例1、2および比較例1、2のポリオレフィンの物性を測定して下記表1に示した。
【0102】
1)密度:ASTM 1505
2)溶融流れ指数(MI、2.16kg/10分):測定温度190℃、ASTM1238
3)分子量、および分子量分布:測定温度160℃、ゲル浸透クロマトグラフィー−エフティアイアール(GPC−FTIR)を用いて数平均分子量、重量平均分子量、Z平均分子量を測定した。分子量分布は重量平均分子量と数平均分子量の比で示した。
【0103】
4)BGN(Branch gradient number):前記GPC−FTIR測定結果において、分子量(Mw)のログ値(log Mw)をx軸にし、前記ログ値に対する分子量分布(dwt/dlog Mw)をy軸にして分子量分布曲線を描いた時、低分子量の分枝含量を全体面積に対して左右端10%を除いた中間80%の左側境界での分枝含量(単位:個/1,000C)にし、高分子量の分枝含量は中間80%の右側境界で分枝含量にして、下記式1でその値を計算してBGN値を求めた。
【0104】
【数4】
【0105】
【表1】
【0106】
実施例1、2および比較例1、2のポリオレフィンのGPC−FTIR測定結果をそれぞれ図1乃至4に示した。
【0107】
図1および2を参照すれば、分子量分布曲線面積の中間80%領域での左側境界地点(A地点)での炭素数2以上の分枝含量と、右側境界地点(B地点)での炭素数2以上の分枝含量を測定して前記式1によって計算したBGN値が正の値を有するのを確認することができる。
【0108】
図3を参照すれば、比較例1のポリオレフィンは−0.14で負のBGN値を示し、分子量分布が3を超過した。
【0109】
また、図4を参照すれば、比較例2のポリオレフィンは0に近いBGN値を示し、本発明のような特徴的な共単量体分布を示さないのが分かる。
図1
図2
図3
図4